JP3369704B2 - 射出圧縮成形方法及び装置 - Google Patents

射出圧縮成形方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出圧縮成形方法及び
装置に関し、特に、金型同志の摺動及び衝突を除去する
と共に、成形品の外側部へのバリ発生を防止するための
新規な改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、用いられていたこの種の射出圧縮
成形方法及び装置としては、一般に、図3から図5に示
す構成が採用されていた。すなわち、図3において符号
1で示されるものは、射出シリンダ2のノズル2aが接
合されると共に固定盤3に固定された固定型であり、こ
の固定型1にはこのノズル2aに連通する凹部1aが形
成されている。
【0003】前記固定型1に対向して、可動盤4に設け
られこの可動盤4と共に可動する可動型5が設けられ、
この可動型5の凸部5aが前記凹部1aに対向すること
により、この凹部1aと凸部5aとによってキャビティ
6が形成されている。
【0004】前記可動盤4内に形成されたシリンダ室7
には、圧縮用コア8が作動自在に設けられ、このシリン
ダ室7に圧力媒体を供給することにより、この圧縮用コ
ア8は前記凸部5aの前面と面−位置及びこの面−位置
からさらに前進してこのキャビティ6内の溶融樹脂を圧
縮成形することができるように構成されている。
【0005】次に、図4で示す従来構成の場合、固定金
型1の凹部1aと可動型5の凸部5aとが互いに直接摺
動する状態で係合して型閉が行われ、可動盤4で可動型
5を押圧することによりキャビティ6内の溶融樹脂が圧
縮成形されるように構成されている。なお、前述の図3
と同等部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0006】次に、図5で示す従来構成の場合、固定型
1の凸部1bと可動型5の凸部5aとが対向配置され、
この固定型1の凸部1bの外周にばね10を介して設け
られた輪状の移動コア11が可動型5の凸部5aの外縁
に位置する面5bに当接している。従って、キャビティ
6は、前述の各凸部1b、5a及び移動コア11の内面
11aによって形成され、可動盤4による可動型5の押
圧により、キャビティ6内の溶融樹脂が圧縮成形され
る。なお、図3、図4と同等部分には同一符号を付し、
その説明は省略している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】まず、図3の第1従来
例の場合、可能な限り広い面積に圧縮力を加えることで
ソリのない良質な成形品を得ることができる反面、この
場合、大形成形品の射出圧縮成形においては、大容量の
油圧ユニットを必要とし、消費エネルギも大きくなる。
従って、機械コストが高くなり、省エネに逆行するもの
となっていた。また、油圧シリンダの大型化のために、
既存の射出成形機には組込みが困難となっていた。
【0008】また、図4の第2従来例の場合、固定型と
可動型が喰い切り部fが嵌合するために、固定型と可動
型が毎ショット毎に嵌合と離脱を繰り返すために、この
喰い切り部fに摺動摩擦が生じ、金型寿命を著しく低下
させると共に、成形品の重要品質である外周部のバリが
避けられないものであった。さらに、成形品側面及び天
面に穴やアンダーカットを設けることができなかった。
【0009】また、図5に示す第3従来例の場合、成形
品の外周壁面を形成する移動コアは固定型に保持されか
つばねによって可動型へ圧接してパーティングを閉鎖し
ているため、移動コア内面と固定型との摺動部において
前述の図4と同様に成形品の外側へバリが発生すること
になっていた。
【0010】本発明は、以上のような課題を解決するた
めになされたもので、特に、金型同志の摺動及び衝突を
除去すると共に、成形品の外側部へのバリ発生を防止す
るようにした射出圧縮成形方法及び装置を提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による射出圧縮成
形方法は、固定型の凹部と可動型の凸部間に形成される
キャビティの一部を、前記可動型内に設けられ前記可動
型から突出するピストンロッドを有する複数の押付け手
段を介して押付け自在でかつ一断面がL字型をなし全体
形状が枠状に形成された移動コアを用いて形成し、前記
凸部の外周には前記移動コアが摺動自在でかつ前記移動
コアの内面が前記凸部の外周に摺動していると共に、前
記移動コアの第1端面が前記固定型の枠状の端面に当接
し、前記キャビティ内の成形品の外側部には成形時にス
ライド面を有することなく成形する方法であり、また、
固定型の凸部と可動型の凹部間に形成されるキャビティ
の一部を、前記固定型内に設けられ前記固定型から突出
するピストンロッドを有する複数の押付け手段を介して
押付け自在でかつ一断面がL字型をなし全体形状が枠状
に形成された移動コアを用いて形成し、前記凸部の外周
には前記移動コアが摺動自在でかつ前記移動コアの内面
が前記凸部の外周に摺動していると共に、前記移動コア
の第1端面が前記可動型の枠状の端面に当接し、前記キ
ャビティ内の成形品の外側部には成形時にスライド面を
有することなく成形する方法であり、また、本発明によ
る射出圧縮成形装置は、固定型の凹部と可動型の凸部間
に形成されるキャビティ内に溶融樹脂を注入し、前記各
型を用いて前記溶融樹脂を圧縮するようにした射出圧縮
成形装置において、前記各型間に移動自在でかつ一断面
がL字型をなし全体形状が枠状に形成された移動コアを
設け、前記移動コアは、前記可動型内に設けられ前記可
動型から突出するピストンロッドを有する複数の押付け
手段により移動でき、前記凸部の外周には前記移動コア
が摺動自在でかつ前記移動コアの内面が前記凸部の外周
に摺動していると共に、前記移動コアの第1端面が前記
固定型の枠状の端面に当接している構成であり、また、
固定型の凸部と可動型の凹部間に形成されるキャビティ
内に溶融樹脂を注入し、前記各型を用いて前記溶融樹脂
を圧縮するようにした射出圧縮成形装置において、前記
各型間に移動自在でかつ一断面がL字型をなし全体形状
が枠状に形成された移動コアを設け、前記移動コアは、
前記固定型内に設けられ前記固定型から突出するピスト
ンロッドを有する複数の押付け手段により移動でき、前
記凸部の外周には前記移動コアが摺動自在でかつ前記移
動コアの内面が前記凸部の外周に摺動していると共に、
前記移動コアの第1端面が前記可動型の枠状の端面に当
接している構成である。
【0012】
【作用】本発明による射出圧縮成形方法及び装置におい
て、固定型と可動型と移動コアによって形成されるキャ
ビティ内に注入された溶融樹脂は、移動コアと可動型に
より圧縮されて成形され、成形後の成形品は、可動型を
移動させることにより取り出されるが、この成形時に
は、成形品の外側部における型によるスライド面が形成
されないため、成形品の外側部にはバリのない外観の良
好な成形品を得ることができる。
【0013】
【実施例】以下、図面と共に本発明による射出圧縮成形
方法及び装置の好適な実施例について詳細に説明する。
なお、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付し
て説明する。図1は本発明による射出圧縮成形装置を示
す断面図、図2は他の実施例を示す断面図である。図1
において、符号1で示されるものは、射出シリンダ2の
ノズル2aが接合されると共に固定盤3に固定された固
定型であり、この固定型1にはこのノズル2aにスプル
ー孔20を介して連通する凹部1aが形成されている。
【0014】前記固定型1に対向して、可動盤4に設け
られこの可動盤4と共に可動する可動型5が設けられ、
この可動型5の凸部5aが前記凹部1aと対向してい
る。前記凸部5aの外周には、一断面がL字型をなし全
体形状が枠状(円、角等を含む)に形成された移動コア
11が摺動自在に設けられており、この移動コア11の
内面11aが前記凸部5aの外周に摺動していると共
に、その第1端面11bが前記固定型1の枠状の端面1
cに当接している。
【0015】従って、前述の凹部1a、凸部5a及び移
動コア11によって閉状態のキャビティ6が形成されて
いる。前記移動コア11の第2端面11cに当接された
複数のピストンロッド30のピストン31は、前記可動
型5内に形成されたシリンダ室7あるいは7’内にてそ
の供給された油圧によって移動自在に設けられている。
なお、このシリンダ室7、ピストン31及びピストンロ
ッド30により、移動コア11を固定型1側に押圧する
ための押付け手段40を構成している。なお、この押付
け手段40は、シリンダ型に限らず、ばね型、モータ型
等を用いることができる。
【0016】次に、前述の構成において図1で示す射出
圧縮成形装置を作動させる場合について述べる。まず、
図1の状態、すなわち、可動盤4は微少な型閉ストロー
クを残して停止し、押付け手段40によって移動コア1
1は固定型1側に圧接されている状態で、溶融樹脂2A
をスプルー孔20を介してキャビティ6内に注入し、所
定量の注入が完了した後に、可動盤4を型閉方向に前進
させてこのキャビティ6内の樹脂を圧縮する。すなわ
ち、この圧縮成形時には、成形品6Aの外側部6Abは
型によるスライド面を発生することなく成形できる。
【0017】前述のようにして、キャビティ6内の樹脂
が圧縮成形されて成形品が成形された状態で、可動盤4
とともに可動型5を型開させると、移動コア11がキャ
ビティ6内の成形品6Aの内側部6Aaから離れ、型開
後にこの成形品6Aを固定型1から取出すことにより最
終的に成形品6Aを外部に取出すことができる。
【0018】なお、前述の場合、成形工程における可動
型5の可動時に、移動コア11の内面11aと凸部5a
の外周とが摺動するため、この内面11aと凸部5aの
外周による摺動部70にはバリが発生するが、成形品6
Aの外側部6Abには前述のようにバリは発生しないた
め、外観の良好な成形品6Aを得ることができる。
【0019】また、図1の構成では、押付け手段40を
可動型5内に設けた場合について述べたが、例えば、可
動盤4内に設けることも可能である。
【0020】また、前述の図1の構成とは逆に、図2で
示すように、凸部1Aを有する固定型1(あるいは固定
盤3内に設けることも可)内にシリンダ型押付け手段4
0を設け、図1と同様に作動させることも可能である。
すなわち、図2の場合も、成形時には移動コア11によ
る圧縮を行うため、成形品6の外側部6Abにはスライ
ド面が発生せず、バリの発生を防止できる。なお、図2
の図1と同一部分には、同一符号を付し、その説明は省
略するが、5Aが凹部、5bが可動型5の枠状の端面、
11aが移動コア11の内面、11bが第1端面を示し
ている。
【0021】
【発明の効果】本発明による射出圧縮成形方法及び装置
は、以上のように構成されているため、次のような効果
を得ることができる。すなわち、固定型又は可動型と移
動コアとは面接触し、かつ、移動コアは成形品の内側部
のみと摺動するため、成形時における成形品の外側部に
は型とのスライド面がなく、そのためバリが発生せず、
外観の良好な成形品を得ることができると共に、金型の
長寿命化を得ることができる。また、成形品の外側部を
形成する各型の相対的動きがないので、側壁部の横孔や
アンダーカットのためのスライドコアが設けられるの
で、成形品の自由度が大きくなる。また、シリンダ型押
付け手段の移動コアが成形品外周の小面積部分を担い、
中央大面積部分は型締力で受ける構造であるために、押
付け手段の押付け力は小さいもので良く、したがって、
図3に示す従来の方法に比べて大型成形品への対応が容
易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による射出圧縮成形装置を示す断面図で
ある。
【図2】図1の他の実施例を示す断面図である。
【図3】第1従来例を示す断面図である。
【図4】第2従来例を示す断面図である。
【図5】第3従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 固定型 3 固定盤 4 可動盤 5 可動型 6 キャビティ 2A 溶融樹脂 6A 成形品 6AB 貫通孔 40 シリンダ型押付け手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/56 B29C 45/26

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定型(1)の凹部(1a)と可動型(5)の凸部
    (5a)間に形成されるキャビティ(6)の一部を、前記可動
    型(5)内に設けられ前記可動型(5)から突出するピストン
    ロッド(30)を有する複数の押付け手段(40)を介して押付
    け自在でかつ一断面がL字型をなし全体形状が枠状に形
    成された移動コア(11)を用いて形成し、前記凸部(5a)の
    外周には前記移動コア(11)が摺動自在でかつ前記移動コ
    ア(11)の内面(11a)が前記凸部(5a)の外周に摺動してい
    ると共に、前記移動コア(11)の第1端面(11b)が前記固
    定型(1)の枠状の端面(1c)に当接し、前記キャビティ(6)
    内の成形品(6A)の外側部(6Ab)には成形時にスライド面
    を有することなく成形することを特徴とする射出圧縮成
    形方法。
  2. 【請求項2】 固定型(1)の凸部(1A)と可動型(5)の凹部
    (5A)間に形成されるキャビティ(6)の一部を、前記固定
    型(1)内に設けられ前記固定型(1)から突出するピストン
    ロッド(30)を有する複数の押付け手段(40)を介して押付
    け自在でかつ一断面がL字型をなし全体形状が枠状に形
    成された移動コア(11)を用いて形成し、前記凸部(1A)の
    外周には前記移動コア(11)が摺動自在でかつ前記移動コ
    ア(11)の内面(11a)が前記凸部(1A)の外周に摺動してい
    ると共に、前記移動コア(11)の第1端面(11b)が前記可
    動型(5)の枠状の端面(5b)に当接し、前記キャビティ(6)
    内の成形品(6A)の外側部(6Ab)には成形時にスライド面
    を有することなく成形することを特徴とする射出圧縮成
    形方法。
  3. 【請求項3】 固定型(1)の凹部(1a)と可動型(5)の凸部
    (5a)間に形成されるキャビティ(6)内に溶融樹脂(2A)を
    注入し、前記各型(1、5)を用いて前記溶融樹脂(2A)を圧
    縮するようにした射出圧縮成形装置において、前記各型
    (1、5)間に移動自在でかつ一断面がL字型をなし全体形
    状が枠状に形成された移動コア(11)を設け、前記移動コ
    ア(11)は、前記可動型(5)内に設けられ前記可動型(5)か
    ら突出するピストンロッド(30)を有する複数の押付け手
    段(40)により移動でき、前記凸部(5a)の外周には前記移
    動コア(11)が摺動自在でかつ前記移動コア(11)の内面(1
    1a)が前記凸部(5a)の外周に摺動していると共に、前記
    移動コア(11)の第1端面(11b)が前記固定型(1)の枠状の
    端面(1c)に当接している構成としたことを特徴とする射
    出圧縮成形装置。
  4. 【請求項4】 固定型(1)の凸部(1A)と可動型(5)の凹部
    (5A)間に形成されるキャビティ(6)内に溶融樹脂(2A)を
    注入し、前記各型(1、5)を用いて前記溶融樹脂(2A)を圧
    縮するようにした射出圧縮成形装置において、前記各型
    (1、5)間に移動自在でかつ一断面がL字型をなし全体形
    状が枠状に形成された移動コア(11)を設け、前記移動コ
    ア(11)は、前記固定型(1)内に設けられ前記固定型(1)か
    ら突出するピストンロッド(30)を有する複数の押付け手
    段(40)により移動でき、前記凸部(1A)の外周には前記移
    動コア(11)が摺動自在でかつ前記移動コア(11)の内面(1
    1a)が前記凸部(1A)の外周に摺動していると共に、前記
    移動コア(11)の第1端面(11b)が前記可動型(5)の枠状の
    端面(5b)に当接している構成としたことを特徴とする射
    出圧縮成形装置。
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