JPH08309873A - 樹脂成形光学部品およびその成形金型 - Google Patents

樹脂成形光学部品およびその成形金型

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JPH08309873A
JPH08309873A JP11859895A JP11859895A JPH08309873A JP H08309873 A JPH08309873 A JP H08309873A JP 11859895 A JP11859895 A JP 11859895A JP 11859895 A JP11859895 A JP 11859895A JP H08309873 A JPH08309873 A JP H08309873A
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JP
Japan
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resin
molding
optical component
molded optical
lens
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JP11859895A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Nakanishi
弘 中西
Kazuhiko Ito
和彦 伊藤
Michi Suzuki
導 鈴木
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 凹面の光学面の精度を向上させ得る樹脂成形
光学部品およびその成形金型を提供する。 【構成】 駒ホルダ24L, 24Mと、駒ホルダ24
L, 24Mに収納保持される成形駒23L, 23Mと、
成形駒23L, 23Mと駒ホルダの一部とで囲まれて樹
脂が注入される成形キャビティC1 と、一方の駒ホルダ
24Mに摺動自在に設けられて成形キャビティC1 内に
先端部が突出し得るエジェクタピン30とを具え、一方
の駒ホルダ24Mに保持された一方の成形駒23Mは、
樹脂成形光学部品の平面あるいは凸面となる成形面26
を有し、他方の成形駒23Lは、樹脂成形光学部品の凹
面と対応した光学成形面25を有し、一方の駒ホルダ2
4Mは、樹脂成形光学部品の突出部12を形成するため
の成形面27を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂成形光学部品およ
びその成形金型に関し、特に一端側が凹面の光学面を有
するメニスカスレンズや平凹レンズなどに応用して好適
なものである。
【0002】
【従来の技術】ここ、15〜20年余り、カメラにはガ
ラスレンズに代わってプラスチックレンズが使われてき
つつある。最初は、レンズシャッターカメラのファイン
ダー光学系というような比較的要求精度の低い箇所に使
用されていたが、その後、高精度な金型加工技術やプラ
スチック成形加工技術が開発され、また、温度などの環
境変動を考慮したプラスチックレンズを使いこなす光学
設計技術の進歩により、最近では感光フィルム面やCC
Dに光が到達する撮影系のレンズにも使用されてきてい
る。
【0003】このようなプラスチックレンズは、一般的
に金型を用いて射出成形にて製作されるため、ガラスレ
ンズと比較すると形状の自由度があり、収差特性の改善
のためにレンズ面を非球面に形成する他、レンズ面以外
に突出部を設け、この突出部をレンズ鏡筒に組み込む際
の位置決めのための基準として利用したり、あるいは突
出部を筒状などに形成することによって、レンズ鏡筒に
対する組み込みの容易性や組み込みの高精度化などを企
図している。
【0004】このようなプラスチックレンズを組み込ん
だレンズ鏡筒の一部を図9に示す。このプラスチックレ
ンズLL2 は、外径が40mm(有効径が30mm)で中心
部分の肉厚が4mmのメニスカスレンズであり、凸レンズ
面1および凹レンズ面2の外周縁に沿ってつば状をなす
突出部3が形成されている。ここで、突出部3とはレン
ズの径方向外側へ突出した部分を意味する。この突出部
3の凹レンズ面2側の端面4は、レンズ鏡筒5に形成し
たレンズ受け部6に当接し、また、突出部3の外周面7
がレンズ鏡筒5の内周面8に緊密に嵌合され、これによ
ってレンズ鏡筒5に対するプラスチックレンズLL2
相対的な位置決めがなされるようになっている。
【0005】このようなプラスチックレンズLL2 に対
する従来の樹脂成形金型の構造を図10に示す。すなわ
ち、溶融状態の樹脂材料を供給するためのスプルー101
が形成された固定型板102Lには、成形駒103Lを保持する
駒ホルダ104Lが一体的に取り付けられており、前記成形
駒103Lには、凹レンズ面2を成形するための光学成形面
105 が形成されている。そして、これら固定型板102L,
成形駒103L, 駒ホルダ104Lなどで固定側金型が構成され
ている。一方、固定型板102Lと対向する可動型板102Mに
は、成形駒103Mを保持する駒ホルダ104Mが一体的に取り
付けられており、成形駒103Mには、凸レンズ面1を成形
するための光学成形面106 が形成されている。そして、
これら可動型板102M, 成形駒103M, 駒ホルダ104Mなどで
可動側金型が構成され、固定側金型および可動側金型の
成形駒103L,103M と駒ホルダ104L,104M とでプラスチッ
クレンズLL2 と対応したキャビティC2 が形成され
る。
【0006】固定型板102Lおよび駒ホルダ104Lと、可動
型板102Mおよび駒ホルダ104Lとの間には、スプルー101
からキャビティC2 に連通するランナ107 およびゲート
108が形成され、これらランナ107 およびゲート108 を
介して前記キャビティC2 がスプルー101 と連通するよ
うになっている。可動型板102Mには、駒ホルダ104Mを貫
通して先端がプラスチックレンズLL2 の突出部3と対
応するキャビティC2の部分に臨む複数本のエジェクタ
ピン109 がキャビティC内に突出可能に取り付けられて
おり、同様に、この可動型板102Mを貫通して先端がスプ
ルーロック111に臨むエジェクタピン110 も突出可能に
取り付けられている。
【0007】つまり、図10に示すように、可動側金型
を固定側金型の方に駆動して固定型板102Lと可動型板10
2Mとを当接させると共にエジェクタピン109,110 を退避
させた状態にてスプルー101 から溶融樹脂をランナ107
およびゲート108 を介してキャビティC2 内に射出し、
冷却・固化させた後に固定側金型から可動側金型を引き
離すように移動して可動型板102Mを固定型板102Lから引
き離し、その後エジェクタピン109,110 を固定型板102L
および駒ホルダ104L側に突出させ、駒ホルダ104Mから射
出成形されたプラスチックレンズLL2 をランナ107 お
よびゲート108に対応した部分と共に抜き外すのであ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】撮影系のレンズとして
使用されてきているとは言え、プラスチックレンズのレ
ンズ面精度は旧来のガラスレンズのそれと比較した場
合、あまり良好とは言えなかった。特に、凹レンズ面を
有する図9に示す如きメニスカスレンズや、平凹レンズ
の場合、凹レンズ面の精度が反対側の凸レンズ面あるい
は平坦面と比較して低下する傾向にある。
【0009】ここで、図9に示したプラスチックレンズ
LL2 の凸レンズ面1および凹レンズ面2のレンズ面精
度をレーザ干渉装置を用いて測定した結果について図1
1および図12に示す。これらの図から明らかなよう
に、干渉縞の数が少ない図11に示す凸レンズ面1側の
レンズ面精度は、ガラスレンズ並の比較的良好な状態と
なっているが、図12に示す凹レンズ面2側は、干渉縞
の数が非常に多く、特に周縁部ではこの干渉縞が密とな
っていることからも明らかなように、所望のレンズ面精
度を得られ難いことが判る。
【0010】その原因としては、図10に示したキャビ
ティC2 中に射出された溶融樹脂が成形駒103L,103M お
よび駒ホルダ104L,104M に熱を奪われて冷却・収縮する
が、樹脂の凸レンズ面1となる部分は、キャビティC2
に対して引っ込んだ状態にある成形駒103Mの光学成形面
106 から何ら拘束を受けることなく、その曲率半径が小
さくなるように収縮できるのに対し、樹脂の凹レンズ面
2となる部分は、その曲率半径が小さくなるように収縮
した場合、キャビティC2 に対して突出状態にある成形
駒103Lの光学成形面105 に食い付く状態となる上、突出
部3の凹レンズ面2側の端面4となる部分との収縮方向
の相違によって内部応力が発生する結果、固定側金型か
ら可動側金型を引き離してプラスチックレンズLL2
成形駒103L,103M および駒ホルダ104L,104M から取り外
す際に、その残留歪みによって凹レンズ面2、特にその
周縁部のレンズ面精度が悪化してしまうためであると考
えられる。
【0011】
【発明の目的】本発明の目的は、一端面が凹面の少なく
とも光学面を有し、他端面が平面あるいは凸面を有する
樹脂成形光学部品において、凹面の光学面の精度を向上
させ得る樹脂成形光学部品を提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、位置決めや保持ある
いは成形金型からの取り外しを容易に行うことが可能で
あり、平面あるいは凸面となった他端面を保護し得る樹
脂成形光学部品を提供することにある。
【0013】本発明のさらなる目的は、かかる樹脂成形
光学部品を効率良く低コストにて製造し得る樹脂成形金
型を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明による第一の形態
は、一端面が凹面の少なくとも光学面を有し、他端面が
平面あるいは凸面を有する樹脂成形光学部品であって、
前記一端面はその全面に亙って前記凹面の光学面であ
り、前記他端面にのみ、前記平面あるいは凸面の外周縁
に突出部が形成されていることを特徴とする樹脂成形光
学部品にある。
【0015】ここで、前記一端面に反射膜を形成するこ
とにより、樹脂成形光学部品を反射鏡として使用するこ
とができる。また、前記平面あるいは凸面が光学面であ
っても良く、この場合には、樹脂成形光学部品をレンズ
として使用したり、前記他端面に反射膜を形成すること
によって裏面反射鏡として使用することができる。
【0016】前記突出部は、前記樹脂成形光学部品を位
置決めしたり、保持したり、その成形金型から取り外し
たり、前記平面あるいは凸面側を保護するために使用さ
れ、前記他端面の全周に亙ってフランジ状に形成される
か、前記平面あるいは凸面の外周縁に沿って一つ以上形
成される。
【0017】なお、前記一端面の外周縁に面取り部を形
成することも有効である。
【0018】また、本発明による第二の形態は、一端面
が全面に亙って凹面の光学面を有し、他端面が平面ある
いは凸面を有すると共にこの他端面にのみ、前記平面あ
るいは凸面の外周縁に突出部が形成された樹脂成形光学
部品を成形するための樹脂成形金型であって、一対の駒
ホルダと、これら駒ホルダにそれぞれ一体的に収納保持
される一対の成形駒と、これら一対の成形駒と前記駒ホ
ルダの一部とで囲まれて樹脂が射出される成形キャビテ
ィと、前記一方の駒ホルダに摺動自在に設けられて前記
成形キャビティ内に先端部が突出し得るエジェクターピ
ンとを具え、前記一方の駒ホルダに保持された一方の前
記成形駒は、前記平面あるいは凸面と対応した成形面を
有し、他方の前記成形駒は、前記凹面と対応した光学成
形面を有し、前記一方の駒ホルダは、前記突出部を形成
するための成形面を有するものであることを特徴とする
樹脂成形金型にある。
【0019】ここで、前記一方の成形駒の成形面は、光
学成形面であっても良い。
【0020】
【作用】本発明によると、一対の成形駒と駒ホルダの一
部とで囲まれる成形キャビティ内に樹脂を射出し、これ
を冷却・固化させることによって一端面が全面に亙って
凹面の光学面を有し、他端面が平面あるいは凸面を有す
ると共にこの他端面にのみ、平面あるいは凸面の外周縁
に突出部が形成された樹脂成形光学部品を成形する。そ
して、一方の成形駒および駒ホルダに対して他方の成形
駒および駒ホルダを引き離した後にエジェクターピンを
成形キャビティ側に突出させることにより、このエジェ
クターピンの先端が樹脂成形光学部品の突出部に押し当
たり、一方の成形駒および駒ホルダから樹脂成形光学部
品が抜き外される。
【0021】なお、樹脂成形光学部品の一端面がその全
面に亙って凹面の光学面となって、ここに突出部が存在
しないため、その射出成形時に一端面側に位置する樹脂
も均一に収縮することとなる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例のいくつかについて、
図1〜図8を参照しながら詳細に説明する。
【0023】本発明による樹脂成形光学部品をメニスカ
スレンズに応用した一実施例の断面構造を図1に示す。
すなわち、本実施例におけるプラスチックレンズLL1
は、外径が40mm(有効径が30mm)で中心部分の肉厚
が4mmのメニスカスレンズであり、凸レンズ面11の外
周縁に沿ってつば状をなす突出部12が形成されてい
る。凸レンズ面11の反対側は、その全域が凹レンズ面
13に形成され、その外周縁部には0. 5〜1c程度の
面取り部14が形成されている。本発明では、突出部1
2を凸レンズ面11の周囲に形成することによって、有
効径が狭められることになるが、この有効径の如何に拘
らず、凸レンズ面11と反対側の面はその全域に亙って
凹レンズ面13としておく必要がある。
【0024】前記凸レンズ面11に続く突出部12の端
面15は、このプラスチックレンズLL1 を図示しない
鏡筒に対する位置決めや保持、あるいはその成形金型か
ら取り外すために利用されるものであり、凸レンズ面1
1を囲むようにその全周に亙って形成する必要はなく、
放射状に複数形成するようにしても良い。この場合にお
いても、突出部12の端面15と反対側の面を凹レンズ
面13とする。
【0025】このようなプラスチックレンズLL1 を射
出成形し得る本発明の樹脂成形金型の一実施例を図2に
示す。すなわち、溶融状態の樹脂材料を供給するための
スプルー21が形成された固定側型板22Lには、固定
側成形駒23Lを保持する固定側駒ホルダ24Lが一体
的に取り付けられており、前記固定側成形駒23Lに
は、凹レンズ面13を成形するための光学成形面25が
形成されている。そして、これら固定側型板22L, 固
定側成形駒23L, 固定側駒ホルダ24Lなどで固定側
金型が構成されている。一方、固定側型板22Lと対向
する可動側型板22Mには、可動側成形駒23Mを保持
する可動側駒ホルダ24Mが一体的に取り付けられてお
り、可動側成形駒23Mには、凸レンズ面11を成形す
るための光学成形面26が形成され、可動側駒ホルダ2
4Mには突出部12を成形するための環状をなす成形面
27が形成されている。そして、これら可動側型板22
M,可動側成形駒23M, 可動側駒ホルダ24Mなどで
可動側金型が構成され、固定側金型および可動側金型の
成形駒23L, 23Mと、可動側金型の駒ホルダ24M
とでプラスチックレンズLL1 と対応したキャビティC
1 が形成される。
【0026】固定側型板22Lおよび固定側駒ホルダ2
4Lと、可動側型板22Mおよび可動側駒ホルダ24M
との間には、スプルー21とキャビティC1 とに連通す
るランナ28およびゲート29が形成され、これらラン
ナ28およびゲート29を介して前記キャビティC1
スプルー21と連通するようになっている。可動側型板
22Mには、可動側駒ホルダ24Mを貫通して先端がプ
ラスチックレンズLL1 の突出部12と対応するキャビ
ティC1 の部分に臨む複数本のエジェクタピン30がキ
ャビティC1 内に突出可能に取り付けられており、同様
に、この可動側型板22Mを貫通して先端がスプルーロ
ック34に臨むエジェクタピン31も突出可能に取り付
けられている。
【0027】つまり、図2に示すように、可動側金型を
固定側金型の方に駆動して固定側型板22Lと可動側型
板22Mとを当接させると共にエジェクタピン30, 3
1を退避させた状態にてスプルー21から溶融樹脂をラ
ンナ28およびゲート29を介してキャビティC1 内に
射出し、冷却・固化させた後、固定側金型から可動側金
型を引き離すように移動して可動側型板22Mを固定側
型板22Lから引き離し、その後にエジェクタピン3
0, 31を固定側型板22Lおよび固定側駒ホルダ24
L側に突出させ、突出部12にエジェクタピン30を突
き当てることにより、可動側駒ホルダ24Mから射出成
形されたプラスチックレンズLL1 をランナ28および
ゲート29に対応した部分と共に抜き外す。
【0028】このように、突出部12が存在しない場合
には、可動側駒ホルダ24Mに対して可動側成形駒23
Mを相対的に移動させてプラスチックレンズLL1 を可
動側金型から抜き外さなければならない。このため、可
動側駒ホルダ24Mと可動側成形駒23Mとの間に相対
移動を許容する遊びを形成する必要があり、凸レンズ面
11の光軸に対して突出部12の端面15が傾いたり、
可動側駒ホルダ24Mと可動側成形駒23Mとの間でか
じりが発生してしまう虞がある。また、本実施例では、
キャビティC1 内で溶融樹脂が冷却・収縮する際、樹脂
の凸レンズ面11となる部分は、キャビティC1 に対し
て引っ込んだ状態にある可動側成形駒23Mの光学成形
面26から何ら拘束を受けることなく、その曲率半径が
小さくなるように収縮できる。また、樹脂の凹レンズ面
13となる部分は、その曲率半径が小さくなるように収
縮した場合、キャビティC1 に対して突出状態にある固
定側成形駒23Lの光学成形面25に食い付く状態とな
るが、凹レンズ面13側には突出部12が存在していな
いため、樹脂の収縮が均一となって内部応力が発生する
ような不均一な樹脂の収縮が起こらない。このため、凹
レンズ面13側の精度劣化を図9に示した従来のものよ
り抑えることができる。
【0029】ここで、図1に示したプラスチックレンズ
LL1 を上述した樹脂成形金型を用いて射出成形した場
合の凸レンズ面11および凹レンズ面13のレンズ面精
度について、レーザ干渉装置を用いて測定した結果を図
3および図4に示す。これらの図から明らかなように、
図3に示す凸レンズ面11側のレンズ面精度は、図11
に示した従来のものとほぼ同じ良好な状態となっている
上、図4に示す凹レンズ面13側は、図12に示した従
来のものよりも干渉縞の数が著しく少なくなっており、
ガラスレンズ並の良好なレンズ面精度を得られることが
判る。
【0030】このようなプラスチックレンズLL1 をビ
デオカメラの撮影系ズームレンズに組み込んだ一例につ
いて、その断面構造を図5およびその矢視VI部を抽出拡
大した図6にそれぞれ示す。L1 〜L14は、それぞれレ
ンズであり、その内の後群側の単レンズL11として、図
1に示したプラスチックレンズLL1 と同形状のものを
採用している。そして、有効径以外の突出部12の端面
15をレンズ鏡筒32に対する単レンズL11の位置決め
基準面として利用している。
【0031】なお、本発明の樹脂成形光学部品は、上述
したビデオカメラなどの撮影系のレンズ以外の他の光学
装置にも応用することが当然可能である。
【0032】上述した実施例では、突出部12を凸レン
ズ面11の外周に連続して形成するようにしたが、筒状
に形成することも可能である。このような本発明の他の
実施例の断面構造を図7に示すが、先の実施例と同じ機
能の部分には、これと同一の符号を記してその説明は省
略するものとする。すなわち、凸レンズ面11の外周縁
には、筒状をなす突出部12が形成されており、この突
出部12の端面15が当該プラスチックレンズLL3
図示しない鏡筒に対する位置決めや保持、あるいは凸レ
ンズ面11を保護したり、その成形金型から取り外すた
めに利用される。特に、ガラスレンズよりも硬度が小さ
いプラスチックレンズにおいては、本実施例のように凸
レンズ面11よりも図中、上方に突出する突出部12を
形成することは、ハンドリングなどの際に損傷を受けや
すい凸レンズ面11を保護するのに極めて有効である。
【0033】なお、凸レンズ面11の反対側の面は、そ
の全面が凹レンズ面13であることは、先の実施例と全
く同じである。
【0034】上述した二つの実施例では、メニスカスレ
ンズを対象としたが、平凹レンズに応用することも可能
であり、このような本発明の別な実施例の断面構造を図
8に示すが、先の実施例と同じ機能の部分には、これと
同一の符号を記してその説明は省略するものとする。す
なわち、本実施例のプラスチックレンズLL4 は、その
一端面側が平坦な光学平面33と、この光学平面33を
囲む環状の突出部12とが形成され、他端面は、その全
面が凹レンズ面13となったものであり、光学平面33
と突出部12の端面15とは、光軸に沿ってその高さが
ずれた段付き状態となっている。
【0035】この他、本発明の樹脂成形光学部品は、プ
ラスチックレンズ以外に反射鏡として利用することも可
能であり、この場合、図8に示した凹レンズ面13に反
射膜を形成した表面鏡としたり、図1や図7に示した凸
レンズ面11に反射膜を形成し、裏面鏡として利用する
ことができる。表面鏡として利用する場合には、その反
対側の端面を光学平面33として形成する必要は当然な
い。
【0036】
【発明の効果】本発明の樹脂成形光学部品によると、一
端面が全面に亙って凹面の光学面を有し、他端面が平面
あるいは凸面を有すると共にこの他端面にのみ、平面あ
るいは凸面の外周縁に突出部を形成するようにしたの
で、その射出成形時に一端面側に位置する樹脂も均一に
収縮して光学面の精度低下を抑制することができる。
【0037】また、突出部を凹面の光学面と反対側の端
面側に形成するようにしたので、樹脂成形光学部品を位
置決めしたり、保持したり、その成形金型から取り外し
たり、平面あるいは凸面側を保護することが可能であ
り、ハンドリングや組み立てが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による樹脂成形光学部品をメニスカスレ
ンズに応用した一実施例の断面図である。
【図2】図1に示したメニスカスレンズを成型するため
の本発明による樹脂成形金型の一実施例の断面図であ
る。
【図3】図1に示したメニスカスレンズの凸面側のレン
ズ面とその基準レンズ面との誤差の状態を干渉縞を用い
て表す平面図である。
【図4】図1に示したメニスカスレンズの凹面側のレン
ズ面とその基準レンズ面との誤差の状態を干渉縞を用い
て表す平面図である。
【図5】本発明による樹脂成形光学部品をズームレンズ
に組み込んだ実施例の構造を表す断面図である。
【図6】図5中の矢視VI部を抽出拡大した断面図であ
る。
【図7】本発明による樹脂成形光学部品の他の実施例の
構造を表す断面図である。
【図8】本発明による樹脂成形光学部品の別な実施例の
構造を表す断面図である。
【図9】従来のメニスカスプラスチックレンズを用いた
光学装置の一部を抽出して表す断面図である。
【図10】図9に示すプラスチックレンズの成形金型の
一例を表す断面図である。
【図11】図9に示す従来のプラスチックレンズの凸面
側のレンズ面とその基準レンズ面との誤差の状態を干渉
縞を用いて表す平面図である。
【図12】図9に示す従来のプラスチックレンズの凹面
側のレンズ面とその基準レンズ面との誤差の状態を干渉
縞を用いて表す平面図である。
【符号の説明】
11 凸レンズ面 12 突出部 13 凹レンズ面 14 面取り部 15 端面 21 スプルー 22L, 22M 型板 23L, 23M 成形駒 24L, 24M 駒ホルダ 25, 26 光学成形面 27 成形面 28 ランナ 29 ゲート 30, 31 エジェクタピン 32 レンズ鏡筒 33 光学平面 C1,C2 キャビティ LL1 〜LL4 プラスチックレンズ L1 〜L14 レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02B 1/04 G02B 1/04 3/00 3/00 Z // B29L 11:00

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端面が凹面の少なくとも光学面を有
    し、他端面が平面あるいは凸面を有する樹脂成形光学部
    品であって、前記一端面はその全面に亙って前記凹面の
    光学面であり、前記他端面にのみ、前記平面あるいは凸
    面の外周縁に突出部が形成されていることを特徴とする
    樹脂成形光学部品。
  2. 【請求項2】 前記平面あるいは凸面が光学面であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載した樹脂成形光学部品。
  3. 【請求項3】 樹脂成形光学部品がレンズであることを
    特徴とする請求項2に記載した樹脂成形光学部品。
  4. 【請求項4】 前記樹脂成形光学部品が前記一端面に反
    射膜を形成した反射鏡であることを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載した樹脂成形光学部品。
  5. 【請求項5】 前記樹脂成形光学部品が前記他端面に反
    射膜を形成した反射鏡であることを特徴とする請求項2
    に記載した樹脂成形光学部品。
  6. 【請求項6】 前記一端面の外周縁に面取り部が形成さ
    れていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載
    した樹脂成形光学部品。
  7. 【請求項7】 前記突出部は、前記樹脂成形光学部品を
    位置決めするために使用されるものであることを特徴と
    する請求項1〜6の何れかに記載した樹脂成形光学部
    品。
  8. 【請求項8】 前記突出部は、前記樹脂成形光学部品を
    保持するために使用されるものであることを特徴とする
    請求項1〜7の何れかに記載した樹脂成形光学部品。
  9. 【請求項9】 前記突出部は、前記樹脂成形光学部品を
    その成形金型から取り外す際に使用されるものであるこ
    とを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載した樹脂成
    形光学部品。
  10. 【請求項10】 前記突出部は、前記樹脂成形光学部品
    の前記平面あるいは凸面側を保護するために使用される
    ものであることを特徴とする請求項2〜9の何れかに記
    載した樹脂成形光学部品。
  11. 【請求項11】 前記突出部は、前記他端面の全周に亙
    ってフランジ状に形成されていることを特徴とする請求
    項1〜10の何れかに記載した樹脂成形光学部品。
  12. 【請求項12】 前記突出部は、前記平面あるいは凸面
    の外周縁に沿って一つ以上形成されていることを特徴と
    する請求項1〜10の何れかに記載した樹脂成形光学部
    品。
  13. 【請求項13】 一端面が全面に亙って凹面の光学面を
    有し、他端面が平面あるいは凸面を有すると共にこの他
    端面にのみ、前記平面あるいは凸面の外周縁に突出部が
    形成された樹脂成形光学部品を成形するための樹脂成形
    金型であって、 一対の駒ホルダと、 これら駒ホルダにそれぞれ一体的に収納保持される一対
    の成形駒と、 これら一対の成形駒と前記駒ホルダの一部とで囲まれて
    樹脂が射出される成形キャビティと、 前記一方の駒ホルダに摺動自在に設けられて前記成形キ
    ャビティ内に先端部が突出し得るエジェクターピンとを
    具え、前記一方の駒ホルダに保持された一方の前記成形
    駒は、前記平面あるいは凸面と対応した成形面を有し、
    他方の前記成形駒は、前記凹面と対応した光学成形面を
    有し、前記一方の駒ホルダは、前記突出部を形成するた
    めの成形面を有するものであることを特徴とする樹脂成
    形金型。
  14. 【請求項14】 前記一方の成形駒の成形面は、光学成
    形面であることを特徴とする請求項13に記載した樹脂
    成形金型。
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