JP3260592B2 - 画像形成装置の製造方法及びこの方法により製造された画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置の製造方法及びこの方法により製造された画像形成装置

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JP3260592B2 JP16117495A JP16117495A JP3260592B2 JP 3260592 B2 JP3260592 B2 JP 3260592B2 JP 16117495 A JP16117495 A JP 16117495A JP 16117495 A JP16117495 A JP 16117495A JP 3260592 B2 JP3260592 B2 JP 3260592B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面伝導型電子放出素
子が多数配置された電子源基板を備えた画像形成装置の
製造方法、及びこの方法により製造された画像形成装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、平面型画像形成装置としては、単
純マトリックス液晶表示装置(LCD)、薄膜トランジ
スタ液晶表示装置(TFT/LCD)、プラズマディス
プレイ(PDP)、低速電子線蛍光表示管(VFD)、
マルチ電子源フラットCRT等がある。
【0003】これらの平面型画像形成装置の例として、
マルチ電子源によって蛍光体を発光させる発光素子、及
びこの素子を備えた画像形成装置がある。この画像形成
装置においては、電子放出素子を用いて蛍光体を発光さ
せる方法がとられている。この方法に用いられる電子放
出素子としては表面伝導型電子放出素子が一般的に知ら
れている(M.I.Elinson,Radio En
g.ElectronPhys.,10,(196
5))。この電子放出素子は、基板上に形成された小面
積の導電性薄膜へ膜面に対して平行方向に電流を流した
際に電子が放出する現象を利用したものである。
【0004】表面伝導型電子放出素子の薄膜としては、
SnO2薄膜(M.I.Elinson,Radio
Eng.Electron Phys.,10(196
5))、Au薄膜(G.Dittmer,Thin S
olid Films,9,317(1972))、I
23/SnO2薄膜(M.Hartwell and
C.G.Fonstad,IEEE Trans.E
D Conf.,519(1975))、カーボン薄膜
(荒木 久ほか,真空,26,1,22(1983))
等が報告されている。
【0005】表面伝導型電子放出素子の典型的な例を図
5に示す。この電子放出素子の構成は上記のM.Har
twellによるもので、51は絶縁性の基板、53は
導電性薄膜、54は電子放出部である。導電性薄膜(5
3)の形成は、基板(51)上にH型形状の金属酸化物
の薄膜をスパッタで形成し、次いでフォーミングと呼ば
れる通電処理によって電子放出部(54)を形成する。
フォーミングとは、導電性薄膜(53)の両端に電圧を
印加通電し、この導電性薄膜(53)を局所的に破壊・
変形・変質させ、電気的に高抵抗な電子放出部(54)
を形成することである。なお電子の放出は、導電性薄膜
(53)の亀裂付近から行われる場合もある。
【0006】一方、本出願人は、微粒子が分散配置され
た電子放出材(微粒子膜)からなる導電性薄膜を、一対
の素子電極間に配置することによって、新規な表面伝導
型電子放出素子を開発し、これを技術開示した(USP
5,066,883)。この電子放出素子は、上記従来
のものより電子放出位置(電子放出部)を精密に制御で
き、より高精密に電子放出素子を配列することができ
る。この電子放出素子の典型的な例を図6に示す。図6
(a)は平面図であり、図6(b)は図6(a)のB−
B線断面図である。図6において、61は絶縁性の基
板、62は電気的接続のための素子電極、63は微粒子
が分散配置された電子放出材(微粒子膜)からなる導電
性薄膜、64は電子放出部である。一対の素子電極(6
2)の間隔は、0.01〜100μm、電子放出部(6
4)のシート抵抗値は1×103〜1×109オーム/□
が適当である。
【0007】上記の表面伝導型電子放出素子は、基板上
に多数形成され電子源基板を形成する。この電子源基板
は蛍光体を有するフェースプレートと組み合わされ、真
空外囲器内に設置され、画像形成装置を構成する。真空
外囲器内では、電子源基板からフェースプレートの蛍光
体へ電子線が照射され、蛍光体が発光し、これにより画
像形成が行われる。
【0008】上記の表面伝導型電子放出素子の形成にお
いて、素子電極はその膜厚を比較的薄く設定する必要が
ある。その理由は、一対の素子電極間に電子放出材(微
粒子膜)からなる導電性薄膜を形成した際の段切れの発
生を防止するためである。
【0009】このように素子電極の膜厚を薄くするた
め、印刷法を用いて素子電極を形成する場合は、その材
料として有機金属を含んだレジネートペーストが用いら
れる。このレジネートペーストには、卑金属用のものと
貴金属用のものとがある。
【0010】卑金属用のレジネートペーストを用いた場
合、印刷工程後の焼成工程において、形成された素子電
極内で酸化反応が起き、それによって素子電極と後に形
成される導電性薄膜との電気的接触が不安定になること
があった。これは画素欠陥を生じさせ、この画素欠陥に
より画像品位が低下することがあった。
【0011】一方、貴金属用のレジネートペーストに
は、含有されている金属と有機物とを結合するリガンド
として硫黄を含有するペーストと、硫黄以外のものを含
有するペーストがある。これらのうち、リガンドとして
硫黄以外のものを含有する貴金属用のレジネートペース
トは高価であり、製品のコスト高の要因となるためにで
きるだけ使用を避ける必要がある。したがって、リガン
ドとして硫黄を含有する貴金属用のレジネートペースト
が、比較的安価であり且つ上記の問題を生じさせないも
のとして好適である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リガン
ドとして硫黄を含有する貴金属用のレジネートペースト
を用いた場合には次のような問題点があった。
【0013】印刷法により形成された素子電極は膜厚が
薄く、加えて金属粒塊の集合体からなる構造を有するた
め膜質が緻密でない。このため、印刷ペーストの焼成時
において、アルカリガラス、例えばソーダライムガラス
等のアルカリ含有珪酸塩ガラスからなる基板からナトリ
ウムが素子電極の表面上に拡散移動する。このナトリウ
ムは、素子電極のレジネートペーストに含有される硫黄
とともに、ナトリウムと硫黄を含む化合物として素子電
極の表面上、特に膜厚が薄い素子電極のエッジ上に析出
する。この化合物は、硫黄とナトリウムとの化合物、そ
の他の硫黄化合物やナトリウム化合物、硫黄単体等を含
むものと考えられる。この析出した化合物は、素子電極
と後に形成する導電性薄膜との電気的接触を不安定にす
る。このような電気的接触の不安定さは画素欠陥を引き
起こし、その結果、画像品位が低下することがあった。
【0014】そこで本発明の目的は、表面伝導型電子放
出素子の素子電極を印刷法で形成して電子源基板を作製
する際、上記の問題を解決し、低コストで行え且つ良好
な画像を表示する画像形成装置の製造方法を提供するこ
とである。また、この方法により製造された画像形成装
置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために種々の検討を重ねた結果、本発明を
完成した。すなわち本発明は、アルカリガラスからなる
基板上に表面伝導型電子放出素子が多数配置された電子
源基板を備えた画像形成装置の製造方法において、前記
電子放出素子の素子電極を、硫黄及び有機金属を含有す
るペーストを用いて印刷法によって基板上に形成し、次
いでこの基板を焼成した後であって電子放出部形成用の
導電性薄膜を形成する前に、この基板を洗浄して硫黄と
ナトリウムとの化合物を除去することを特徴とする画像
形成装置の製造方法に関する。
【0016】以下、本発明の製造方法をマトリクス型電
子源基板を例にとり詳細に説明する。
【0017】図1に、表面伝導型電子放出素子の作製工
程の説明図を示す。この図1中の各図は、図2に示すマ
トリクス型電子源基板のA−A線に対応する断面図であ
る。 工程(a):アルカリガラスからなる基板(1)上に電
気的接続を得るための一対の素子電極(2a、2b)を
形成する。この一対の素子電極の間隔は数μm〜数百μ
mに設定し、それら素子電極の厚さは数百オングストロ
ーム〜数千オングストロームに設定することが適当であ
る。本発明の特徴的な操作である基板の洗浄は、この素
子電極の形成後に行うことが望ましい。
【0018】工程(b):これらの素子電極にそれぞれ
電気的に接続した接続電極(5)及び下層印刷配線
(6)を形成する。また一方で、絶縁帯(不図示)及び
上層印刷配線(不図示)を基板上に形成する。
【0019】工程(c):一対の素子電極(2a、2
b)間に電子放出材からなる導電性薄膜(微粒子膜)
(3)を形成する。この導電性薄膜の形成は、有機金属
溶液の塗布・焼成、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気
相堆積法、電子放出材からなる超微粒子の分散塗布・焼
成、リバースエッチング法、フォトリソグラフ法など種
々の方法によって行う。導電性薄膜の厚さは、数十オン
グストローム〜数千オングストロームの範囲に適宜設定
する。
【0020】工程(d):導電性薄膜(3)に、素子電
極と接続された前記印刷配線を通して通電処理を行い、
電子放出部(4)を形成する。
【0021】上記工程(a)の素子電極の形成は、素子
電極形成用の印刷インキをオフセット印刷やスクリーン
印刷等の印刷法によって基板上に塗布する印刷工程と、
その基板を焼成する焼成工程からなる。
【0022】素子電極形成用の印刷インキとしては、硫
黄と、導電性成分を含む有機金属とを含有するレジネー
トペーストを用いる。導電性成分としては、例えばNi
・Cr・Au・Mo・W・Pt・Ti・Al・Cu・P
d・Ag等の金属が挙げられる。
【0023】焼成工程が終了した後に、素子電極が形成
された基板を洗浄する。この洗浄に用いる洗浄液は、素
子電極や基板、その他の基板上の部材に影響を与えない
ものであれば特に制限されないが、純水を用いることが
望ましい。
【0024】洗浄液の温度は、素子電極や基板、その他
の基板上の部材に影響を与えない範囲に設定される。
【0025】洗浄方法としては、基板を洗浄液と接触さ
せる方法であれば制限されないが、超音波洗浄・温水洗
浄・煮沸洗浄・流水洗浄等が挙げられ、これらを適宜組
み合わせて行うことが望ましい。
【0026】上記の洗浄後に、必要に応じて、水分除去
のために基板のベークを行ってもよい。
【0027】導電性薄膜(3)の材料としては、Pt・
Ru・Ag・Au・Ti・In・Cu・Cr・Fe・Z
n・Sn・Ta・W・Pb等の金属、PdO・SnO2
・In23・PbO・Sb23等の酸化物、HfB2
ZrB2・LaB6・CeB6・YB4・GdB4等のホウ
化物、TiC・ZrC・HfC・TaC・SiC・WC
等の炭化物、TiN・ZrN・HfN等の窒化物、Si
・Ge等の半導体、カーボン、Ag−Mg、Ni−C
u、Pb−Sn等が挙げられる。これらの材料からなる
導電性薄膜は微粒子膜である。なお、本発明における微
粒子膜とは、複数の微粒子が集合した膜のことであり、
その微細構造が、微粒子が個々に分散配置した状態のほ
か、微粒子が互いに隣接した状態、あるいは重なり合っ
た状態(島状も含む)をなしている膜をいう。
【0028】以上のようにして形成される表面伝導型電
子放出素子は、アルカリガラスからなる基板上に多数配
置され、マトリックス型や梯子型などの電子源基板を形
成する。
【0029】次に、マトリクス型の電子源基板の作製工
程を図3を参照しながら説明する。 工程(I):よく洗浄した基板(1)上に、前記のイン
キを印刷法により塗布し、次いで焼成を行って素子電極
(2a、2b)を形成する。その後、基板の洗浄(上
述)を行い、必要により基板をベークする。
【0030】工程(II):印刷法によって導電性ペース
トを工程(I)の基板上に塗布し、接続電極(5)及び
下層印刷配線(6)のパターンを形成し、次いで焼成を
行う。
【0031】工程(III):工程(II)の基板上に絶縁
性ペーストを印刷し、次いで焼成して、開口部(コンタ
クトホール(8))を有する絶縁帯(7)を形成する。
このコンタクトホール(8)は接続電極(5)の表面へ
通じさせる。
【0032】工程(IV):絶縁帯(7)の上面に導電性
ペーストを印刷し、次いで焼成して上層印刷配線(9)
を形成する。この上層印刷配線(9)は、コンタクトホ
ール(8)において接続電極(5)と導通している。
【0033】工程(V):工程(IV)で形成した基板上
に、前記各種の方法によって導電性薄膜(3)を形成す
る。
【0034】以上のようにして作製された電子源基板
は、後述するフェースプレートと組み合わせ、これらを
真空外囲器内に設置する。次いで、上層印刷配線(9)
及び下層印刷配線(6)に電圧を印加して、一対の素子
電極間の導電性薄膜(3)に通電処理を行い、電子放出
部(4)を形成する。
【0035】なお、上層印刷配線および下層印刷配線の
膜厚は、通常、数μm〜数十μmに設定される。
【0036】図4に、この電子源基板の上部にフェース
プレートを設置した構成を示す。図4中、図(a)は電
子源基板に対向するフェースプレートの断面図であり、
図(b)は電子源基板の図2におけるA−A線断面図で
ある。これらは、真空外囲器内に設置される。
【0037】フェースプレート(図4(a))は、ガラ
ス等からなる基板(41)上に蛍光体(42)及びメタ
ルバック(43)を積層して形成する。
【0038】このフェースプレートと組み合わされた電
子源基板上の一対の素子電極(2a、2b)間に電圧を
印加し、一方、フェースプレートのメタルバック(4
3)へ+側電位として電圧を加えると、電子放出部
(4)からフェースプレート表面へ電子が照射され、蛍
光体(42)が発光し、画像が形成される。なお、必要
により、電子源基板とフェースプレートとの間にグリッ
ド電極を設けてもよい。このグリッド電極は、電子放出
素子が複数接続した直線状の印刷配線に対して立体的に
直角に交差するように設置され、電子放出部の上部にあ
たる位置にはそれぞれの電子放出部に対王した開口を有
する。
【0039】上記のフェースプレートの作製方法は次の
通りである。
【0040】まず、ガラス等からなる基板(41)上
へ、蛍光体樹脂と溶剤とを混合した蛍光体スラリーをベ
タ状に塗布し乾燥する。塗布法は、スピンナー、ディッ
ピング、スプレーコート、ロールコート、スクリーン印
刷、オフセット印刷等の方法が用いられる。
【0041】次に、塗工された蛍光体スラリーにフォト
マスクを用いて必要部分にのみ光を照射露光する。これ
を現像して不要部分の蛍光体スラリーを除去し、次いで
焼成する。これにより、感光性樹脂は酸化焼失し、パタ
ーニングされた蛍光体(42)が形成される。
【0042】画像をカラー化するために赤(R)・緑
(G)・青(B)の3原色カラー蛍光体が必要な場合
は、各色について繰り返して蛍光体スラリーを塗り分け
るようにパターニングする。
【0043】蛍光体(42)を形成したらこの基板を水
に浸漬し、水面にクリアラッカー等の樹脂薄膜を展開す
る。次いで、水を抜き取って展開した樹脂薄膜を展開配
置し、乾燥を行う。これをフィルミングという。
【0044】このようなフィルミングが施された蛍光体
(42)上へ、真空堆積法によってAl等の金属薄膜を
数百オングストロームの厚さに成膜し、メタルバック
(43)を形成する。
【0045】最後に樹脂薄膜を焼失させてフェースプレ
ート上から取り除く。この際、メタルバック(43)は
平坦化された切断の無い連続した膜として蛍光体(4
2)上に配置される。
【0046】上述のようにして作製した電子源基板及び
フェースプレートおいて、それぞれ表面伝導型電子放出
素子及び蛍光体(42)をマルチに配列した場合、これ
らの大きさは画像形成装置として必要とされる画素数と
画面の大きさによって決定される。例えば、画面の長さ
40cmに対し560本の解像力を持たせようとする
と、1画素あたりピッチが約720μmとなる。さらに
これをカラー化するには、1画素をR・G・Bの3原色
に分割する必要があり、単純に3分割すればピッチは2
40μmとなる。
【0047】なお、上記の画像形成装置に、長さ40c
mのアレイ状発光素子を作製し、これを感光体ドラム上
に配置することにより、電子写真記録装置を構成するこ
とができる。さらには、電子写真記録装置自体にアレイ
状発光素子を作製して設けた場合においても、上記電子
写真記録装置と同様な機能・効果を有する電子写真記録
装置を得ることができる。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに説明する
が、本発明はこれらに限定するものではない。
【0049】実施例1 図1〜図4に示す電子源基板とフェースプレートを備え
た画像形成装置を作製した。
【0050】素子電極(2a、2b)を、オフセット印
刷によってソーダライムガラス基板(1)上に形成し
た。インキは、硫黄及び有機金属を含有するAuレジネ
ートペースト(エヌ・イー・ケムキャット(株)製M.
O.PtペーストE−3100A)を用いた。基板上に
塗布されたインキは、約70℃で乾燥した後、約580
℃で焼成を行った。このとき、一対の素子電極の間隔
(L)を30μm、素子電極の幅(W)を約200μ
m、素子電極の厚さを1000オングストロームに設定
した。
【0051】次に、素子電極を形成した上記の基板を洗
浄した。洗浄は、純水中での超音波洗浄を5分間、次い
で純水による流水洗浄を10分間行い、これらを3回繰
り返した。この洗浄後、120℃で3回ベークした。
【0052】接続電極(5)および下層印刷配線(6)
は、Agペーストインキを用いてスクリーン印刷し、次
いで焼成を行って形成した。これらの電極の幅は300
μm、厚さは7μmに設定した。接続電極(5)は素子
電極(2a)と接続し、下層印刷配線(6)は素子電極
(2b)と接続している。絶縁帯(7)はガラスを主成
分とするペーストを印刷・焼成して形成し、幅500μ
m、厚さ20μmとした。この絶縁帯(7)には、開口
寸法100μm角のコンタクトホール(8)を形成し
た。さらにこの絶縁帯(7)上に、Agペーストインキ
を所定のパターンにスクリーン印刷・焼成して、幅30
0μm、厚さ10μmの上層印刷配線(9)を形成し
た。このとき、上層印刷配線(9)はコンタクトホール
(8)を通じて接続電極(5)に電気的に接続してい
る。
【0053】導電性薄膜(3)は次のようにして形成し
た。まず、スパッタ法及びフォトリソエッチング法によ
って、導電性薄膜(3)を最終的に形成しない領域をC
r薄膜でマスクした。次いで、有機パラジウム溶液(奥
野製薬(株)製キャタペーストCCP4230)を基板
上に塗布・焼成してパラジウムの微粒子膜を形成した。
そして、Cr薄膜のパターンをリバースエッチングして
所定の形状の導電性薄膜(3)を得た。
【0054】一方で、フェースプレートの作製は以下の
通りに行った。青板ガラスの基板(41)上に、感光性
樹脂と蛍光体を混合したスラリーを塗布・乾燥し、次い
でフォトリソグラフ法によってパターニングして蛍光体
(42)を形成した。この感光体(42)は、R・G・
Bの各色の色分けを行い、電子源基板上の電子放出素子
に対応した位置に形成した。次に、この蛍光体(42)
上にフィルミングを行い、その後、真空蒸着によって厚
さ約300オングストロームのAl薄膜を形成し、次い
で焼成によりフィルム層を焼失させてメタルバック(4
3)を形成した。
【0055】以上のようにして作製した電子源基板及び
フェースプレートは、これらを5mm隔てて対向させ真
空外囲器内に設置した。そして、電子源基板の上層印刷
配線(9)及び下層印刷配線(6)に電圧を印加して、
一対の素子電極(2a、2b)間の導電性薄膜(3)に
通電処理を行い、電子放出部(4)を形成した。
【0056】上述の電子源基板は、基板の大きさを40
cm角とし、その基板上において電子放出素子の素子配
列ピッチを1mmとして、表面伝導型電子放出素子35
0個×350個をマトリックス状に配置した。
【0057】フェースプレートのメタルバック(43)
をアノード電極として電子の引き出し電圧3kVを印加
し、上層印刷配線(9)及び下層印刷配線(6)を通し
て素子電極(2a、2b)から電子放出部(4)へ14
Vの電圧を印加した。この電圧印加によって、放出電子
量を調整することにより蛍光体(42)を任意に発光さ
せ画像を表示させた。その結果、画像には素子欠陥が無
く、良好な画像品位であった。また、電子放出素子と蛍
光体の位置ズレによって生じる蛍光輝点のクロストーク
は無かった。
【0058】なお、本実施例の製造方法では、印刷配線
の印刷・焼成前に素子電極を形成しており、その際、素
子電極は印刷・焼成工程を一度経ているため、後の焼成
工程による熱ダメージは発生しなかった。また、下層印
刷配線と接続電極は基板上の同一形成層であり、素子電
極は段差のない基板上で形成されるため、素子電極が、
下層印刷配線及び接続電極とのそれぞれの接触領域にお
いて断線することは無かった。
【0059】実施例2 素子電極を形成した基板の洗浄を、純水の流水中での超
音波洗浄を10分間、次いで80℃の純水による流水洗
浄を10分間行い、これらを3回繰り返した以外は実施
例1と同様にして画像形成装置を形成した。
【0060】実施例1と同様にして画像を表示させたと
ころ、画像には素子欠陥が無く、良好な画像品位であっ
た。
【0061】実施例3 素子電極を形成した基板の洗浄を、純水の中での煮沸洗
浄を20分間行い、これらを3回繰り返した以外は実施
例1と同様にして画像形成装置を形成した。
【0062】実施例1と同様にして画像を表示させたと
ころ、画像には素子欠陥が無く、良好な画像品位であっ
た。
【0063】実施例4 素子電極の形成をスクリーン印刷で行った以外は実施例
1と同様にして画像形成装置を作製した。スクリーン印
刷の条件は、印圧を200kPa、スキージ速度を20
mm/sとした。
【0064】実施例1と同様にして画像を表示させたと
ころ、画像には素子欠陥が無く、良好な画像品位であっ
た。
【0065】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、表面伝導型電子放出素子の素子電極を印刷法で
形成して電子源基板を作製する際、素子電極の印刷・焼
成後に洗浄を行うことで、素子電極と後に形成する導電
性薄膜との電気的接触の不安定さが無くなる。その結
果、このような電子源基板を備えた画像形成装置による
画像には素子欠陥が無く、高品位な画像が得られる。ま
た、低価格のインキを用いるため、低コストで画像形成
装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面伝導型電子放出素子の作製工程の
説明図である。
【図2】本発明のマトリクス型電子源基板の平面図であ
る。
【図3】本発明のマトリクス型電子源基板の作製工程の
説明図である。
【図4】本発明のマトリクス型電子源基板の上部にフェ
ースプレートが設置された構成を示す説明図である。図
面中、図(a)はフェースプレートの断面図であり、図
(b)は電子源基板の図2におけるA−A線断面図であ
る。
【図5】従来の表面伝導型電子放出素子の平面図であ
る。
【図6】本出願人が開示した表面伝導型電子放出素子の
説明図である。図面中、図(a)は表面伝導型電子放出
素子の平面図であり、図(b)は図(a)におけるB−
B線断面図である。
【符号の説明】
1、41、51、61 基板 2a、2b、62 素子電極 3、53、63 導電性薄膜 4、54、64 電子放出部 5 接続電極 6 下層印刷配線 7 絶縁帯 8 コンタクトホール 9 上層印刷配線 42 蛍光体 43 メタルバック
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/02 H01J 1/30 H01J 31/12 H01J 31/15

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリガラスからなる基板上に表面伝
    導型電子放出素子が多数配置された電子源基板を備えた
    画像形成装置の製造方法において、前記電子放出素子の
    素子電極を、硫黄及び有機金属を含有するペーストを用
    いて印刷法によって基板上に形成し、次いでこの基板を
    焼成した後であって電子放出部形成用の導電性薄膜を形
    成する前に、この基板を洗浄して硫黄とナトリウムを含
    む化合物を除去することを特徴とする画像形成装置の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 基板の洗浄が、超音波洗浄、流水洗浄、
    温水洗浄および煮沸洗浄の中から選ばれる少なくとも一
    つ以上の方法により行われる請求項1記載の画像形成装
    置の製造方法。
  3. 【請求項3】 印刷法がオフセット印刷である請求項1
    または2記載の画像形成装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 印刷法がスクリーン印刷である請求項1
    または2記載の画像形成装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方
    法で製造された画像形成装置。
  6. 【請求項6】 前記電子源基板と、前記表面伝導型電子
    放出素子から放出された電子により画像が形成される画
    像形成部材が形成された基板とを支持枠を介して対向配
    置して外囲器を構成し、該外囲器内を排気してなる外囲
    器を有することを特徴とする請求項5記載の画像形成装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の画像形成装置を有する電
    子写真記録装置。
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