JP3235527B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents

車線逸脱防止装置

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JP3235527B2
JP3235527B2 JP23308897A JP23308897A JP3235527B2 JP 3235527 B2 JP3235527 B2 JP 3235527B2 JP 23308897 A JP23308897 A JP 23308897A JP 23308897 A JP23308897 A JP 23308897A JP 3235527 B2 JP3235527 B2 JP 3235527B2
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lateral
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善紀 見市
吉英 中根
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自車両が走行車線
から逸脱しそうになるとこれを防止する方向にドライバ
の操舵力とは別にドライバが容易に打ち勝てる程度の操
舵用制御トルクを加えて車両の車線逸脱の防止を案内す
る、車線逸脱防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、走行中の道路に対する車両の位置
や姿勢の把握を行ない、これに基づいて自動車の自動走
行制御を行なったり、ドライバの運転を案内したりする
技術(運転案内装置)が開発されている。自動走行制御
の場合、ドライバに何ら頼ることなく自動車を運転する
ことが必要であり、道路をはじめとした基本的施設(イ
ンフラ)を整備するなど、その実用化には様々な条件整
備が前提となる。
【0003】一方、運転案内装置の場合、自動車を運転
するのはあくまでもドライバであり、運転案内装置はド
ライバの運転操作のミスをドライバに知らせたりミスを
解消する方向へ運転を補助したりするものである。した
がって、運転案内装置は、現在の道路環境においても実
現可能な技術が多く、より実用性の高い運転案内装置の
開発が望まれている。
【0004】こうした運転案内装置の一つに車線逸脱防
止装置がある。この車線逸脱防止装置としては、自動車
が不注意で走行車線から逸脱しそうになると運転に警
告を発する技術(特開昭63−214900号公報)が
ある。しかし、単に警告を発するだけでは居眠りをして
いるドライバには有効でない場合があるため、さらに積
極的に、自動車が走行車線内の一定位置(例えば中央位
置)を走行するように操舵制御を行なう技術(特開平2
−270005号公報)も提案されている。
【0005】さらに、このように自動車が走行車線内の
一定位置を維持するように制御する場合、ドライバの不
用意な操舵など一時的な操舵異常により自動車が走行車
線内からはみ出そうとした際にこの制御がはたらくと他
車両との緩衝を招くことがある。このため、こうした場
合には自動車を走行車線内の一定位置まで戻すのではな
く、走行車線内であっても車両がはみ出そうとした側に
偏った位置を保持するように操舵制御を行なう技術(特
開平5−297939号公報)も提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な運転案内装置の一つである車線逸脱防止装置の場合、
自動車が走行車線から逸脱しないようにするためにドラ
イバの操舵力とは別に操舵用アクチュエータを通じて操
舵用制御トルクを加えることが必要になるが、この場合
に加える操舵用制御トルクは、小さ過ぎては効果を期待
することができず、逆に、大きすぎてはドライバ自身に
よる操舵操作の妨げとなってしまう。
【0007】つまり、このような運転案内としての車線
逸脱防止のための操舵用制御トルクは、ドライバの操舵
操作を案内したりドライバの操舵上のミスを解消する方
向へ操舵を補助したりするものであり、操舵する主体は
あくまでもドライバである。従って、この場合の操舵用
制御トルクの付与は、自動車が走行車線を逸脱しそうに
なっていることをドライバに知らせることが主目的であ
り、実際に車両を車線内に保持するための操舵トルクは
ドライバ自身により加えらるようにしたい。
【0008】特に、自動車がドライバの意に反して走行
車線から逸脱しそうになっているか否かの判断を的確に
行なうのは困難である。例えば単純に自動車が走行車線
内の基準位置(例えば車線内の幅方向中央)から外れそ
うになったら自動車が意に反して走行車線から逸脱しそ
うな状態であると判断することができるが、これでは、
車線変更などドライバの意思で走行車線から脱しようと
するときにも意に反した走行車線逸脱と判定してしまう
ことになる。
【0009】このような判定に基づいて操舵用アクチュ
エータにより制御トルクを発生させると、ドライバの意
思で走行車線から脱しようと操舵操作するときに、この
ドライバの操舵操作に対抗する方向に操舵用制御トル
が発生することになり、操舵用制御トルクが大き過ぎる
とドライバの意思による車線変更等の操舵操作に支承を
来すことになり、この点からも、操舵用制御トルクが過
剰にならないようにしたい。
【0010】また、自動車が走行車線から逸脱しそうに
なっているか否かの判定を常に走行車線内の基準位置
(例えば車線内の幅方向中央)に基づいて行なうと、カ
ーブ路では、ドライバによっては違和感や抵抗感を感じ
ることがある。つまり、直線路では、例えば車線内の幅
方向中央をはじめとした走行車線内の基準位置に自動車
を案内してもドライバによって違和感や抵抗感はあまり
ないと思われるが、カーブ路では、ドライバによって
は、車線幅方向中央よりも旋回内側に車両を偏倚させた
状態で走行する習慣があったり、逆に、旋回該側に車両
を偏倚させた状態で走行する習慣があったりして、ドラ
イバによって車線内の走行位置の趣向が異なる。
【0011】したがって、カーブ路でも直線路と同様に
自動車が走行車線内の基準位置(例えば車線内の幅方向
中央)を走行するように案内しようとすると、ドライバ
によっては違和感や抵抗感を感じてしまい好ましくな
い。そこでこの点を考慮して操舵用制御トルクの大きさ
や方向を設定するようにしたい。
【0012】本発明は、上述の課題に鑑み創案されたも
ので、ドライバの意思による操舵操作を妨げることなく
且つカーブ路においても走行位置の趣向の異なる各ドラ
イバにとってそれぞれ違和感を与えないように操舵用制
御トルクを付与しながら車線逸脱の回避をドライバに的
確に案内できるようにした、車線逸脱防止装置を提供す
ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の車線逸脱防止装置では、横ずれ量算出手段
が、走行車線の基準位置からの自車両の走行位置の横ず
れ量を算出し、制御トルク算出手段が、横ずれ量算出手
段で算出された横ずれ量に基づいて操舵用制御トルクを
算出する。
【0014】このとき、制御トルク算出手段では、横ず
れ量に基づくと共にドライバが容易に打ち勝てる程度の
大きさの操舵用制御トルクを設定するが、制御トルク算
出手段の不感帯設定手段では、カーブ状況算出手段で算
出されたカーブ状況に基づいて、該自車両がカーブ路を
走行している時には該横ずれ量が発生しても該制御トル
クを0とする不感帯を設定する。
【0015】制御手段は、このように制御トルク算出手
段で設定された制御トルクが横ずれ量を減らす方向に発
生するように車両の操舵アクチュエータを制御する。こ
れにより、該制御トルクが0となる不感帯を除いて、自
車両が走行車線から逸脱しそうになるとこれを防止する
方向にドライバの操舵力とは別にドライバが容易に打ち
勝てる程度で且つ車両の横ずれ量に応じた操舵用制御ト
ルクが操舵アクチュエータにより付与されて車両の車線
からの逸脱防止が案内される。また、該不感帯は該車両
がカーブ路を走行している時に設定されるので、カーブ
路走行中には、車両に多少の横ずれが生じても操舵用制
御トルクは付与されず、カーブ路走行中にドライバの位
置取りの趣向を許容しながら逸脱防止の案内が行なわれ
る。
【0016】請求項2記載の本発明の車線逸脱防止装置
では、該カーブ状況算出手段で算出されたカーブ状況に
対応して該不感帯の幅が設定されるので、カーブ路走行
中には、カーブ状況に応じて自車両の横ずれが許容され
ることになり、カーブ状況に応じてドライバの位置取り
趣向を許容しながら逸脱防止の案内が行なわれる。請求
項3記載の本発明の車線逸脱防止装置では、制御トルク
調整手段を通じて、該制御トルク算出手段で算出される
制御トルクの大きさを好みの状態に調整することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の実施
の形態について説明すると、図1〜図12は本発明の一
実施形態としての車線逸脱防止装置を示すものである。
本車線逸脱防止装置(レーンガイダンスシステムとも言
う)は、自動車において自車両が走行車線から逸脱しそ
うになるとこれを防止するためのものであり、走行車線
に対する自車両の位置を認識して、車線逸脱のおそれが
生じると、図1に示すように、車両にそなえられた操舵
アクチュエータ21によりドライバの加える操舵トルク
とは別の操舵トルク(この操舵トルクは、ドライバの加
える操舵トルクと区別するために操舵用制御トルクと呼
ぶ)を与えて、操舵中のドライバにステアリングホイー
ル(以下、ハンドルともいう)20を通じて車線逸脱を
警告するものである。
【0018】もちろん、この操舵用制御トルク自体も、
車両の挙動を修正する作用があるが、この操舵用制御ト
ルクは、あくまでも操舵系を通じてドライバに警告する
ことが主目的であり、車線を逸脱しそうな車両の位置を
修正するのは、この操舵用制御トルクが加えられたこと
で車線を逸脱しそうなことを認識したドライバの操舵操
作によって行なうべきものとしている。
【0019】したがって、本車線逸脱防止装置は、図1
に示すように、走行車線に対する自車両の位置を認識す
るために、車両1の前方前方の道路状態を撮像する撮像
手段としてのカメラ2と、カメラ2からの画像情報から
画像情報を適宜処理して前方道路上の左右の白線位置を
認識する画像情報処理手段3と、この画像情報処理手段
3による白線位置画像情報から車両の走行レーン(走行
車線)の基準位置に対する横ずれ量ΔYを算出する横ず
れ量算出手段4Aとをそなえている。
【0020】なお、この横ずれ量ΔYは、車両1が車線
を逸脱しそうな度合いに関する判定パラメータに相当す
る。また、横ずれ量算出手段4Aは、自車両に対する走
行車線(走行レーン)の相対位置を推定する走行レーン
推定手段4内の機能要素としてそなえられている。さら
に、本車線逸脱防止装置は、この横ずれ量算出手段4A
により算出された横ずれ量(横偏差)ΔY、即ち、車線
を逸脱しそうな度合いに基づいて、操舵用制御トルクT
cを算出する制御トルク算出手段5と、ドライバの加え
る操舵トルクとは別に操舵用制御トルクを操舵系に付与
しうる操舵アクチュエータ21と、この制御トルク算出
手段5で算出された操舵用制御トルクTcが横ずれ量Δ
Yを減らす方向に発生するように操舵アクチュエータ2
1を制御する制御手段(コントローラ)6とをそなえて
いる。
【0021】また、本車線逸脱防止装置の作動の選択及
び操舵用制御トルクレベルを調整する制御トルク調整手
段としてのスイッチ(SW)23がそなえられている。
したがって、本装置を作動させたければスイッチ23を
オンに、本装置を作動させたくなければスイッチ23を
オフに、ドライバの好みに応じて選択でき、さらに、ス
イッチ23をオンにした場合、本装置による車線逸脱防
止制御を強めたり弱めたり、即ち、操舵アクチュエータ
21で与えられる操舵用制御トルクTcのレベルを強め
たり弱めたり設定できるようになっている。
【0022】さらに、例えばインパネ(インストルメン
トパネル)内には、スイッチ23がオンの場合、又は、
車線逸脱防止のための制御トルクが加えられている場合
に、これを表示する作動表示部24が設けられている。
なお、画像情報処理手段3,走行レーン推定手段4(横
ずれ量算出手段4A),制御トルク算出手段5,コント
ローラ6等は、CPU,入出力インタフェース,RO
M,RAM等をそなえてなる電子制御ユニットとして構
成される。
【0023】まず、走行車線に対する自車両の位置認
識、即ち、自車両の横ずれ量ΔYの算出について説明す
る。画像情報処理手段3では、まず、図2に示すよう
に、カメラ2からの原画像23を取り込み、この原画像
41から道路白線を抽出して、抽出した道路白線の画像
を、鉛直上方から見たような平面視画像42に変換す
る。
【0024】次に、白線12L,12Rの認識について
図3を参照しながら説明する。なお、ここでは、走行レ
ーン左端の路側線としての白線12Lの認識について説
明するが、走行レーン右端の白線12Rを基準とする場
合についても同様であるため、左端の白線12Lについ
ては単に白線12と称することにする。次に、画像情報
認識手段3では、図3(a)に示すように、車両1にそ
なえられたカメラ2により平地において車両前方の範囲
(例えば5m〜30m)の白黒画像情報を取り込み、こ
の画像情報から画面上で縦方向の画像を一部省略する。
そして、この画面上で等間隔になるような複数の水平線
11を設定する。
【0025】この白黒画像情報の取り込みは、微小な制
御周期毎に更新されるようになっており、図3(b)に
示すように、それぞれの水平線11上において前回の画
面での白線位置の左右の所要の範囲(ここでは、左右5
0画素〔dot〕)を白線探査エリア(処理対象領域)
10として設定する。また、初回の画面は、直線路にお
ける白線位置を前回の画面データとして利用する。
【0026】そして、図3(c)に示すように、各水平
線の明度をそれぞれ左から横方向に微分する。また、図
中の符号14はガードレールである。ところで、通常の
路面は輝度が低く、輝度変化も小さい。これに対して、
白線12は通常の路面に比較して輝度が非常に高いの
で、このように道路の明度を微分すると、通常の路面か
ら白線12への境界点で輝度変化がプラス、白線12か
ら通常の路面への境界点で輝度変化がマイナスとなるよ
うな微分データが得られる。このような微分データの一
例を図3(d)に示す。
【0027】そして、各水平線11のデータそれぞれに
ついて、微分値のピークが左からプラス,マイナスの順
に並んで現れ、且つそれぞれのピークの間隔が白線12
として妥当と思われる程度(プラスのピークからマイナ
スのピークまでの間隔が例えば30dot以内)に納ま
っている組み合わせを白線候補として抽出し、通常は、
図3(e)に示すように、その中点Mを白線候補点15
として保存する。
【0028】そして、これらの白線候補点15のうち、
画面中心に最も近いもののみを最終候補点として残す。
これは、例えば車両1が左側通行の場合、探索エリア1
0の中の右側が通常輝度変化の少ない道路面であり、こ
の通常の道路面に最も近い白線候補点15が白線12と
判断できる。したがって白線12よりもさらに左側に、
ノイズの原因となる物体(例えばガードレール14等)
が存在する場合であっても、カメラ2により撮像された
画像情報から白線12を確実に認識することができる。
【0029】そして、図3(f)に示すように、最後に
各水平線データにおける白線候補点15の上下方向の連
続性を画面の下方から順次検証していく。まず、事前に
前画面での白線12の上下端間の傾きを計算しておく。
そして、最下点15Aを白線12とすると、一本だけ上
の水平線11上の候補点15Bが、前回の白線12の傾
き分±50dotの範囲内に入っているかを検証する。
【0030】候補点15Bがこの範囲内に入っていれば
これを白線とし、入っていないときは候補点15Bは却
下されて、上述の傾きから補間計算した座標が白線位置
としてみなされる。そして、この検出を各水平線につい
て同様の作業を行なうことにより、連続した白線12を
認識することができるのである。このような白線認識の
作業は、所要の周期で継続して行なわれ、その都度白線
12の認識が更新されるようになっている。
【0031】走行レーン右端の路側線としての白線12
Rの認識についも、これと同様に行なわれる。推定手段
4では、このように各認識周期で認識された原画像41
上の白線12R,12Lを平面視画像42に変換して、
走行レーン左端の白線12Lから推定しうる道路中心線
LCL と走行レーン右端の白線12Rから推定しうる道
路中心線LCR とに基づいて、道路中心線LCの推定を
行なって、この道路中心線LCに基づいて横ずれ量ΔY
及び偏角βを算出する。
【0032】なお、偏角βとは、図4に示すように、屈
曲した道路中心線LCの接線と車両中心線方向とがなす
角であり、車両から所定距離だけ離れた第1検出点(図
中には近地点と示す)における基準線位置情報と、この
近地点よりもさらに車両1から所定量だけ離れた第2検
出点(図中には遠地点と示す)における基準線位置情報
とから算出することができる。
【0033】つまり、偏角βは、これらの第1検出点と
第2検出点とを結んだ直線と、車両1の中心線とがなす
角として算出するようになっている。このようにして算
出される偏角は、第1検出点と第2検出点との中間地点
(図中×印)における偏角であり、少なくとも車両1か
ら一定以上前方の地点の偏角である。そして、この例で
は、カメラ2による画像情報に基づく道路中心線LCの
うち車両に最も近い地点を第1検出点としており、この
第1検出点における自車両中心線と道路中心線LCとの
横方向距離(道路幅方向,カメラ画像の横方向距離)を
横ずれ量(横偏差)ΔYとして算出する。また、算出さ
れた偏角βに基づいてカーブ半径Rを推定するようにな
っている。
【0034】制御トルク算出手段5では、このようにし
て算出される走行車線の基準位置(道路幅中央位置)に
対する車両の横ずれ量に基づいて操舵用制御トルクTc
を設定するが、本装置では、この操舵用制御トルクTc
の設定に特徴がある。つまり、この操舵用制御トルクT
cは、自動操舵に用いる操舵トルクとは異なり、ドライ
バに警告することが主目的であって、車両の位置を修正
するのはドライバの操舵操作によるため、操舵用制御ト
ルクTcは、ドライバの操舵操作を妨げない程度の大き
さに、つまり、ドライバが容易に打ち勝てる程度の大き
さに制限されている。
【0035】したがって、車線を逸脱しそうなときにこ
の逸脱を回避する方向に操舵用制御トルクTcを加えた
場合にも、ドライバが車線を逸脱する方向に操舵操作を
行なおうとすれば、十分にこれを行なえるようになって
いる。これにより、車両を走行車線外に退避させるため
の緊急操舵も容易に行なえ、また、レーンチェンジの際
に操舵用制御トルクTcが働いたとしても、レーンチェ
ンジの妨げにはならないようになっている。
【0036】また、操舵用制御トルクTcは、車両の横
ずれ量ΔYに応じた大きさに設定されるが、走行車線が
カーブの場合には、そのカーブ状況に応じて横ずれ量Δ
Yの小さい領域に操舵用制御トルクTcを0とする不感
帯が設けられる。このため、制御トルク算出手段5に
は、カーブ状況に対応して不感帯の幅を設定する不感帯
設定手段5Bが設けられている。そして、この不感帯設
定手段5Bにカーブ状況を入力するためにカーブ状況算
出手段8が設けられている。
【0037】また、この操舵用制御トルクTcはスイッ
チ23を通じたドライバの設定に応じてレベル調整され
るようになっている。さらに、制御トルク算出手段5
は、走行車線の路面の横傾斜、即ち、カント情報に基づ
いて、横ずれ量ΔYから算出した操舵用制御トルクTc
を補正する制御トルク補正手段5Aをそなえている。こ
の制御トルク補正手段5Aにカント情報を入力するため
にカント情報検出手段7が設けられている。
【0038】したがって、制御トルク算出手段5では、
図6に示すように、横ずれ量ΔYの小さい領域では、不
感帯設定手段5Bで設定された不感帯(操舵用制御トル
クTcを0とする領域)が設けられ、横ずれ量ΔYがこ
れよりも大きい領域では、横ずれ量ΔYに比例するよう
に操舵用制御トルクTcを設定するようになっている。
この不感帯の幅は、不感帯設定手段5Bでカーブ状況算
出手段8で算出されたカーブ状況(カーブ度合い)に基
づいて設定される。
【0039】ところで、このように不感帯を設けている
のは、以下の理由による。つまり、カーブ路では、ある
ドライバは車線幅方向中央よりも旋回内側に車両を偏倚
させた状態で走行する習慣があったり、逆に、他のドラ
イバは旋回側に車両を偏倚させた状態で走行する習慣
があったりして、ドライバによって車線内の走行位置の
趣向が異なる。
【0040】このため、車両が車線内の基準位置(ここ
では、道路中心線CL)から少しだけ横ずれしたからと
いって操舵用制御トルクを加えると、ドライバによって
は常にこの操舵用制御トルクに抗するようにハンドル2
0を通じて操舵トルクを加えながら自分の好みの位置を
キープしようとすることになり、車線逸脱のおそれがな
いのに操舵用制御トルクを加え続けることになり、ドラ
イバの違和感や抵抗感を招いてしまい好ましくな
【0041】そこで、カーブ路では、横ずれ量ΔYが発
生しても操舵用制御トルクを与えない不感帯を設けるよ
うにしているのである。また、一般に、ドライバによっ
て車線内の走行位置の趣向が異なる度合いは、カーブ状
況(カーブ度合い)に応じるものと考えられる。つま
り、緩やかなカーブであれば、各ドライバとも車両を車
線内の基準位置(道路中心線CL)に保持するのに違和
感は少ないが、カーブが急になるほど、各ドライバによ
る車線内の走行位置の趣向が顕著に現れ、車両を車線内
の基準位置(道路中心線CL)に保持するのに違和感
感じるドライバが増加し、カーブが急になるほど、車両
を車線内の基準位置から離れた位置に保持しようとする
ドライバが増加する。
【0042】そこで、不感帯設定手段5Bでは、カーブ
状況算出手段8で算出されたカーブ状況(カーブ度合
い)に基づい不感帯幅を設定するようにしているので
ある。カーブ状況算出手段8では、横加速度センサ(横
Gセンサ)31で検出された車両の横加速度(横G)に
基づいてカーブ状況(カーブ度合い)を算出するように
なっている。これは、カーブ走行時には、道路曲率に応
じて車両に横Gが生じるためであるが、逆に、横Gには
道路(走行車線)のカーブ度(曲率)の他に車速Vにも
対応するため、横Gに基づいたカーブ状況(カーブ度合
い)とは、単に道路の曲率だけでなく車速も加味したも
のになる。
【0043】実際、ドライバによって車線内の走行位置
の趣向が異なる度合いは、道路の曲率に加えて車速Vに
も左右され、車速Vが大きいほど、車両を車線内の基準
位置から離れた位置に保持しようとするドライバが増加
するものと考えられる。したがって、横Gに基づいたカ
ーブ状況(カーブ度合い)をパラメータにすると、単に
道路の曲率だけでなく車速も加味してドライバの趣向の
バラツキを推定できることになり、より適切に不感帯幅
の設定を行なえるようになる。
【0044】そして、不感帯設定手段5Bでは、カーブ
度合いに対して図5に実線で示すように不感帯幅を設定
する。つまり、カーブ度合いが大きいほど、即ち、横G
が大きいほど、不感帯の幅が大きく設定されるようにな
っており、ここでは、カーブ度合いが0(即ち、横Gが
0)の場合には、不感帯幅は0とされ、カーブ度合いが
所定レベルを越えたら不感帯幅は最大値(一定値)とな
る。
【0045】したがって、カーブ度合いが0(横Gが
0)の直線路の場合には、図7に示すように、不感帯が
無くなったマップ(横ずれ量ΔY−制御トルクTcマッ
プ)から、制御トルクTcを算出し、カーブ度合いが所
定レベルを越えた曲率の大きい(カーブの急な)カーブ
路の場合には、図8に示すように、不感帯が最大値だけ
取られたマップ(横ずれ量ΔY−制御トルクTcマッ
プ)から、制御トルクTcを算出することになる。
【0046】また、スイッチ23を通じたドライバの設
定によって、制御トルクTcのレベルが抑制側へ調整さ
れれば、図6に鎖線で示すように、横ずれ量ΔY−制御
トルクTcマップの制御トルクTcのレベルが低下され
る。なお、図6では、実線が制御トルクTcの最大レベ
ルを示している。また、カント情報検出手段7では、横
加速度センサ(横Gセンサ)31,車速センサ32,操
舵角センサ33からの検出情報〔即ち、実横加速度(実
横G),車速V,操舵角θth〕に基づいて、カントに対
応する値として、計算横加速度(計算横G)と実横加速
度(実横G)との偏差である横加速度偏差(横G偏差)
ΔGyを算出し、この横G偏差ΔGyをカント情報とし
て出力するようになっている。なお、実横Gは横Gセン
サ31の検出情報を用いることができ、横G偏差ΔGy
及び計算横Gは、次式で算出される。
【0047】 ΔGy=計算横G−実横G ・・・・・・(1) Gyc=〔θth/(r・g)〕×〔(V2 /HB)/(1+SF×V2 )〕 ・・・・・・(2) なお、Gyc:計算横G,θth:操舵角,r:ステアリン
グギヤ比,g:重力加速度,V:車速,HB:車両のホ
イールベース,SF:スタビリティファクタである。
【0048】このように横G偏差ΔGyをカント情報と
しているのは、以下の理由による。つまり、車両が旋回
していると車両には横G(実横G)が生じる。この実横
Gは、タイヤが通常範囲以上の横滑りを生じないで路面
が平坦(カントが0)であれば、操舵角θthと車速Vと
から式(2)により求められる計算横Gは、この実横G
とほぼ等しくなる。しかし、路面にカントが設けられて
いると、同一曲率のカーブ路においても比較的小さな操
舵角で旋回を行なうことができる。したがって、カント
が設けられているとその分だけ計算横Gは小さくなり、
これに応じて横G偏差ΔGyが小さく(負の値)にな
る。
【0049】また、ここでは、横G偏差ΔGy,計算横
G,実横Gについては、いずれも旋回外方を正、旋回内
方を負としている(正負の設定はこれと逆でもよい)。
上述のように、カントのあるカーブを旋回しているとき
には、計算横Gの大きさは実横Gの大きさよりも小さい
ため、横G偏差ΔGyは負となる。また、一般の道路に
はほとんど有り得ないが、カントが逆に設けられていれ
ば横G偏差ΔGyは正となる。
【0050】制御トルク補正手段5Aでは、このように
算出された横G偏差ΔGyに対して、図9に示すような
特性C1,C2で、カント補正係数Kcを設定して、横
ずれ量ΔYから算出した操舵用制御トルクTcにこのカ
ント補正係数Kcを乗じることで、操舵用制御トルクT
cをカント補正するようになっている。なお、図9にお
いて、横軸は横G偏差ΔGyを示し、縦軸はカント補正
係数Kcを示しており、実線で示す特性C1は車両が道
路中心線LCに対して旋回外側に横ずれしている場合の
ものであり、破線で示す特性C2は車両が道路中心線L
Cに対して旋回内側に横ずれしている場合のものであ
る。
【0051】一般に、カントのあるカーブを走行してい
るときには、カントに応じて車両に作用する重力が旋回
を助ける方向に働くので、旋回内側への操舵用制御トル
クは小さくなり、旋回外側への操舵用制御トルクは大き
くなるように補正を行なっている。つまり、カントのあ
るカーブを走行しているときには、横G偏差ΔGyは負
になるので、このとき、車両が道路中心線LCに対して
旋回外側に横ずれしていて車両の横方向位置を旋回内側
に調整しようとする場合、カント補正係数Kcは、特性
C1で示すように横G偏差ΔGyの大きさに応じて1よ
りも小さい値に設定される。これにより、カント補正係
数Kcを乗じられる操舵用制御トルクTcは減少補正さ
れる。
【0052】また、カントのあるカーブを走行している
ときに、車両が道路中心線LCに対して旋回内側に横ず
れしていて車両の横方向位置を旋回外側に調整しようと
する場合、カント補正係数Kcは、特性C2で示すよう
に横G偏差ΔGyの大きさに応じて1よりも大きい値に
設定される。これにより、カント補正係数Kcを乗じら
れる操舵用制御トルクTcは増加補正される。
【0053】ところで、横G偏差ΔGyはカントのみな
らず、車両に加わる他の操舵影響要素も含んでいるた
め、ここで、カント補正と称している横G偏差ΔGyに
基づいた制御トルク補正は、車両に作用する種々の操舵
影響要素に対して補正することになる。このような観点
からは横G偏差ΔGyが負になる場合もある。また、操
舵アクチュエータ21は、詳細には図示しないが、ステ
アリングシャフトにトルクを加えうるアクチュエータで
あればよく、例えばステアリングシャフトのトーション
バーよりも下方(パワーステアリング側)に設置した小
型電動トルクモータにより構成してもよい。
【0054】なお、制御トルク算出手段5とコントロー
ラ6との間には、実際に操舵アクチュエータ21で発揮
される制御トルクが急変することなく滑らかに連続する
ように制御トルク算出情報の出力に対して平滑化処理す
るローパスフィルタ25が介装されている。本発明の一
実施形態としての車線逸脱防止装置は、上述のように構
成されているので、車線逸脱防止の処理は、例えば図1
1に示すように行なわれる。
【0055】つまり、制御スイッチ23がオンか否かが
判定され(ステップS10)、制御スイッチ23がオン
でなければ車線逸脱防止の処理は行なわないが、制御ス
イッチ23がオンであれば、ステップS20以降の処理
を行なう。即ち、まず、カーブ状況算出手段8でカーブ
状況を算出する(ステップS20)。次いで、不感帯設
定手段5Bを通じてカーブ状況算出手段8で算出された
カーブ状況から不感帯を設定する(ステップS30)。
さらに、制御スイッチ23の設定レベルに応じて制御ト
ルクTcのレベルを調整した上で(ステップS40)、
制御トルク算出手段5により、横ずれ量ΔYに応じた制
御トルクTcを算出する(ステップS50)。そして、
制御トルク補正手段5Aでこの制御トルクにカント補正
を施し(ステップS60)、コントローラ6を通じて、
このカント補正を施された制御トルクに応じた制御量で
操舵アクチュエータ21を作動させるとともに、作動表
示部24に表示信号を出力する(ステップS70)。
【0056】このような処理を図12のブロック図を用
いて説明すれば、走行車線に対して、ドライバ側ではこ
れを視覚により認知しながら適宜判断を行なって、操舵
操作を行なう。また、ドライバ側では、予め、制御スイ
ッチ23を通じて、制御トルクTcのレベルを設定す
る。一方、本車線逸脱防止装置(レーンガイダンスシス
テム)では、まずカメラ2を通じた画像認識により走行
車線に対するレーン認識を行なって、車両の車線の基準
位置(ここでは、道路中心線LC)からの横ずれ量ΔY
を算出して、さらに、不感帯を設定したマップに基づい
て、横ずれ量ΔYから操舵用制御トルクTcを算出す
る。さらに、この操舵用制御トルクTcをカント補正し
て、この補正した操舵用制御トルクに基づいて操舵アク
チュエータ21を作動させる。
【0057】これにより、ドライバの操舵トルクと操舵
アクチュエータ21による操舵用制御トルクとが加算さ
れた状態となって、パワーステアリング装置を経て操舵
輪22側へ伝達され、操舵輪22を転舵するのである。
このような各処理について更に詳述すれば、制御トルク
を算出するにあたり、まず、車両が走行車線からどの程
度逸脱しているかの指標である、横ずれ量ΔYを算出す
る必要がある。本装置では、走行レーン推定手段4によ
り、自車両に対する走行車線(走行レーン)の相対位置
を推定し、これに基づいて横ずれ量ΔYを算出する。こ
こでは、カメラ2による画像情報に基づく道路中心線L
Cのうち車両に最も近い地点(第1検出点)における自
車両中心線と道路中心線LCとの横方向距離(道路幅方
向,カメラ画像の横方向距離)を横ずれ量(横偏差)Δ
Yとして算出する。
【0058】つまり、本装置では、走行レーン左端の白
線12Lと、走行レーン右端の白線12Rとに関して白
線認識を行ない、この白線認識から、車両の走行してい
る走行レーンが車両に対してどのような位置にあるか
(逆に言えば、車両が走行レーンに対してどのような位
置にあるか)を推定するが、まず、各白線12L、12
Rの認識について、左側の白線12Lを例に説明する。
【0059】まず、図3(a)に示すように、カメラ2
により平地において車両前方の範囲(例えば5m〜30
m)の白黒画像情報を微小な制御周期毎に取り込み、各
周期毎に、この画面上で等間隔になるような複数の水平
線11を設定する。そして、図3(b)に示すように、
それぞれの水平線11上において前回の画面での白線位
置の左右の所要の範囲(例えば左右50画素〔do
t〕)を白線探査エリア(処理対象領域)10として設
定する。なお、初期画面では、直線路における白線位置
を前回の画面データとして利用する。
【0060】このような画像情報から、図3(c)に示
すように、各水平線の明度をそれぞれ左から横方向に微
分して、このような各水平線の微分データ〔図3(d)
参照〕から、微分値のピークが左からプラス,マイナス
の順に並んで現れ、且つそれぞれのピークの間隔が白線
12として妥当と思われる程度(プラスのピークからマ
イナスのピークまでの間隔が例えば30dot以内)に
納まっている組み合わせを白線候補として抽出し、その
中点を白線候補点15として保存する〔図3(e)参
照〕。
【0061】そして、これらの白線候補点15のうち、
画面中心に最も近いもののみを最終候補点として残す。
このように白線候補点15を画面中心に最も近いものに
限定することにより、白線12よりもさらに外側に、ノ
イズの原因となる物体(例えばガードレール14や他の
走行レーンの車両等)が存在する場合であっても、カメ
ラ2による画像情報から白線12を確実に認識すること
ができる。
【0062】最後に、図3(f)に示すように、各水平
線データにおける白線候補点15の上下方向の連続性を
画面の下方から順次検証していく。まず、事前に前画面
での白線12の上下端間の傾きを計算しておく。そし
て、最下点15Aを白線12とすると、一本上の水平線
11上の候補点15Bが、前回の白線12の傾き分±5
0dotの範囲内に入っているかを比較して、候補点1
5Bがこの範囲内に入っていればこれを白線とし、入っ
ていないときは候補点15Bは却下されて、上述の傾き
から補間計算した座標を白線位置とみなす。
【0063】このような作業を各水平線について行なう
ことにより、連続した白線12を認識することができ
る。このような白線認識の作業は、所要の周期で継続し
て行なわれ、その都度白線12の認識を更新していく。
こうして、周期的に走行レーンの左右の白線12L,1
2Rの認識を行なうが、これと同様に行なわれる。
【0064】そして、推定手段4では、各道路中心線L
L ,LCR を平均して道路中心線LC(=LCL +L
R )を算出する。こうして推定された道路中心線LC
に基づいて、横ずれ量(横偏差)ΔY及び偏角βの算出
や走行レーンの曲率(道路曲率)の算出が行なわれる。
制御トルク算出手段5による操舵用制御トルクTcの算
出は、図6に示すようなマップやテーブル又は演算式を
用いて行なうが、これに先立って、不感帯設定手段5B
による不感帯の設定やスイッチ23の設定に基づいて制
御トルクTcのレベル設定を行なう。
【0065】つまり、カーブ状況算出手段8で、横加速
度センサ(横Gセンサ)31で検出された車両の横加速
度(横G)に基づいてカーブ状況(カーブ度合い)を算
出し、不感帯設定手段5Bでは、この道路の曲率だけで
なく車速も加味した、横Gに基づくカーブ状況(カーブ
度合い)に対して、図5に実線で示すように不感帯幅を
設定する。この結果、カーブ度合いが大きいほど、即
ち、カーブが急なほど又車速が大きいほど、不感帯の幅
が大きく設定される。
【0066】また、スイッチ23を通じてドライバが制
御トルクTcのレベルを抑制すれば、図6に鎖線で示す
ように、横ずれ量ΔY−制御トルクTcマップの制御ト
ルクTcのレベルが低下される。このようにして、修正
されたマップに基づいて、操舵用制御トルクTcでは、
横ずれ量ΔYに応じて制御トルクTcを設定する。この
制御トルクTcは、図6に示すように、不感帯を除い
て、車両が道路中心線から右側へずれれば、この横ずれ
量ΔYに応じて車両を車線左側へ導く左操舵の制御トル
クTcを設定し、車両が道路中心線から左側へずれれ
ば、この横ずれ量ΔYに応じて車両を車線右側へ導く右
操舵の制御トルクTcを設定するが、いずれも、制御ト
ルクTcの大きさは一定値Tcmで制限される。
【0067】このように制御トルクTcを制限すること
で、制御トルクTcが課題になることはなく、制御トル
クTcの大きさはドライバが容易に打ち勝てる程度に保
たれることになる。したがって、この操舵用制御トルク
Tcを付与されることで、ドライバは車線逸脱(道路中
心線からの外れ)とその修正方向をハンドル20の保舵
感等から感じ取り、車両位置の修正が、ドライバの操舵
操作によって速やかに行なわれるようになる。この操舵
用制御トルクTc自体もドライバへの警告の意味だけで
なく車両位置の修正のためにも有効となる。また、操舵
用制御トルクTcによる警告は、例えば脇見運転のドラ
イバに対しても有効であり、この場合、車線からの逸脱
を未然に防ぎながら、ドライバへ脇見運転の防止を促す
ことにもなる。
【0068】しかも、カーブ状況に応じた大きさの不感
帯が設けられており、カーブ路ではカーブ状況に応じ
て、横ずれ量ΔYが発生しても操舵用制御トルクTcが
加えられなくなるので、カーブ路において車線内の走行
位置に関するドライバの趣向を許容しながら、車線逸脱
防止を案内することができるようになる。特に、本実施
形態では、カーブ状況の指標として車両の横加速度を採
用しているため、カーブ度合い(一般には、カーブの曲
率)のみならずカーブ走行時の車速も加味して不感帯を
設けることになり、カーブ路において車速にも影響しな
がら発揮される車線内の走行位置に関するドライバの趣
向を許容することができ、ドライバの違和感や抵抗感を
可能な限り与えないようにしながら車線逸脱防止を案内
することができる利点がある。
【0069】さらに、制御トルク算出手段5では、制御
トルク補正手段5Aにより、横G偏差ΔGyに基づいて
図9に示すような特性C1,C2で、カント補正係数K
cを設定してカント補正を施す。つまり、一般に、カン
トのあるカーブを走行しているときには、カントに応じ
て車両に作用する重力が旋回を助ける方向に働くので、
旋回内側への操舵用制御トルクは小さくして、旋回外側
への操舵用制御トルクは大きくするように補正を行なう
のである。これにより、道路のカント影響により操舵用
制御トルクTcが大きくなったり小さくなったりしてド
ライバに違和感を与えるような事態も解消される。
【0070】また、ローパスフィルタ25により、操舵
用制御トルクTcがが平滑化処理されて出力されるの
で、操舵アクチュエータ21で発生する操舵用制御トル
クが急変することなく滑らかに連続するようになり、車
線逸脱防止の制御を安定させることができる利点もあ
る。なお、制御トルク算出手段5による操舵用制御トル
クTcの算出は、横ずれ量ΔYに対して図6に示すよう
な特性に限定されない。
【0071】つまり、操舵用制御トルクTcは、横ずれ
量ΔYが大きくなればこれを小さくするように作用する
ものであればよく、特に、横ずれ量ΔYが小さい領域で
は操舵用制御トルクTcを0として、この領域(不感
帯)よりも横ずれ量ΔYの大きさが大きくなれば、操舵
用制御トルクTcを横ずれ量ΔYに応じて設定するよう
にしてもよい。この場合、操舵用制御トルクTcを横ず
れ量ΔYに対して線型に増加させてもよく、また、ステ
ップ状に増加させてもよい。
【0072】さらに、不感帯領域よりも横ずれ量ΔYの
大きさが大きくなれば、横ずれ量ΔYが減少する方向に
一定の大きさの操舵用制御トルクTcを設定するように
してもよい。また、不感帯の設定も図5に実線で示す特
性に限定されない。例えば、図5に鎖線で示すように、
カーブ度合いが0の直線路に限定せずにカーブの度合い
が小さい一定の範囲に不感帯を設けるようにしてもよ
い。
【0073】さらに、制御トルク補正手段5Aによるカ
ント補正係数Kcの算出も、横ずれ量ΔYに対して図8
に示すような特性に限定されない。つまり、カント補正
係数Kcも、カント度合い(ここでは、横G偏差ΔG
y)が大きいほどこの影響を解消するような傾向のもの
であればよく、例えば、図10に示すように、カント度
合いが小さい領域ではカント補正係数Kcを1として、
この領域(不感帯)よりもカント度合いが大きくなれ
ば、カント補正係数Kcをカント度合いに応じて設定す
るようにしてもよい。なお、図10における実線及び破
線は図8の実線及び破線にそれぞれ対応している。
【0074】また、本実施形態では、車両に生じる横加
速度に着目して、横G偏差ΔGyとして、カーブ状況や
カント状態を含んだ車両に加わる操舵影響要素を推定し
ているが、例えば道路側に路面のカーブ状況やカント情
報を発する情報発信手段をそなえ、車両側にこのカーブ
状況やカント情報を受信する情報受信手段をそなえるよ
うにして、路車間通信によりカーブ状況やカント情報を
得て、カーブ状況に対応した不感帯設定やカント補正を
行なうようにしてもよい。
【0075】この場合の情報の伝達は、電波によるもの
でもよいが、道路側の白線にカーブ状況やカント情報を
含ませておき、車両1側のカメラ2でとらえた画像情報
の処理過程で画像情報からこのカーブ状況やカント情報
を抽出しこうして得たカーブ状況やカント情報に基づい
てカント補正を行なうようにしてもよい。さらに、道路
側に磁気ネイルを備える場合には、この磁気ネイルにカ
ーブ状況やカント情報を含ませておき、車両側の磁気セ
ンサでとらえた磁気情報の処理過程で磁気情報からこの
カーブ状況やカント情報を抽出してカーブ状況に対応し
た不感帯設定やカント補正を行なうようにしてもよい。
【0076】また、予め道路位置情報を記憶手段に記憶
しておき、GPSや自律航法により車両の位置情報を検
出するようにして、検出した車両の位置情報と記憶され
た道路位置情報とから自車両に対する走行車線の情報を
得るようにしてもよい。なお、カント補正については省
略してもよい。
【0077】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の車線逸脱防止装置によれば、自車両が走行車線か
ら逸脱しそうになるとこれを防止する方向にドライバの
操舵力とは別にドライバが容易に打ち勝てる程度の操舵
用制御トルクが操舵アクチュエータにより付与されるた
め、ドライバの意思による操舵操作を妨げることなく、
操舵用制御トルクを付与による車線逸脱防止の案内を行
なうことができ、しかも、制御トルク算出手段の不感帯
設定手段で、自車両がカーブ路を走行している時には横
ずれ量が発生しても該制御トルクを0とする不感帯を設
定するので、カーブ路走行中には、自車両に多少の横ず
れが生じても操舵用制御トルクは付与されず、カーブ路
走行中にドライバの位置取りの趣向を許容しながら、カ
ーブ路走行中にドライバに違和感や抵抗感を与えること
なく、逸脱防止の案内を行なうことができるようにな
る。
【0078】請求項2記載の本発明の車線逸脱防止装置
によれば、カーブ状況に対応して該不感帯の幅が設定さ
れるので、カーブ路走行中にカーブ状況に応じてドライ
バの位置取り趣向の許容と車両の逸脱防止の案内とをバ
ランスさせることができるようになる。請求項3記載の
本発明の車線逸脱防止装置によれば、ドライバの好みに
応じて制御トルクの大きさを調整することができ、各ド
ライバの趣向に対応して、違和感や抵抗感を与えること
なく、車両の逸脱防止の案内を行なうことができるよう
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての車線逸脱防止装置
の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる走行レーン認識の
ための画像処理を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる走行レーン認識を
(a)〜(f)の順で説明する模式図である。
【図4】走行レーン認識を説明する模式的な平面図であ
る。
【図5】本発明の一実施形態としての車線逸脱防止装置
にかかる不感帯の設定マップの一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態としての車線逸脱防止装置
にかかる操舵用制御トルクの設定マップの一例を示す図
である。
【図7】本発明の一実施形態としての車線逸脱防止装置
にかかる操舵用制御トルクの設定マップの他の例を示す
図である。
【図8】本発明の一実施形態としての車線逸脱防止装置
にかかる操舵用制御トルクの設定マップのさらに他の例
を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態としての車線逸脱防止装置
にかかる操舵用制御トルクのカント補正マップの一例を
示す図である。
【図10】本発明の一実施形態としての車線逸脱防止装
置にかかる操舵用制御トルクのカント補正マップの他の
例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態としての車線逸脱防止装
置の動作を説明するフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態としての車線逸脱防止装
置の作用を説明するブロック図である。
【符号の説明】
1 車両 2 カメラ 3 画像情報処理手段 4 走行レーン推定手段 4A 横ずれ量算出手段 5 制御トルク算出手段 5A 制御トルク補正手段 5B 不感帯設定手段 6 制御手段(コントローラ) 7 カント情報検出手段 8 カーブ状況算出手段 20 ステアリングホイール(ハンドル) 21 操舵アクチュエータ 22 操舵輪 23 スイッチ 24 作動表示部 25 ローパスフィルタ 31 横加速度センサ(横Gセンサ) 32 車速センサ 33 操舵角センサ LC 道路中心線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−81603(JP,A) 特開 平9−207800(JP,A) 特開 平7−156818(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G08G 1/09 G05D 1/02 G08G 1/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自車両が走行車線から逸脱しそうになる
    とこれを防止する方向にドライバの操舵力とは別にドラ
    イバが容易に打ち勝てる程度の操舵用制御トルクを該自
    車両の操舵アクチュエータにより付与させて該車両の車
    線逸脱の防止を案内する車線逸脱防止装置であって、 該走行車線の基準位置からの該自車両の走行位置の横ず
    れ量を算出する横ずれ量算出手段と、 該横ずれ量算出手段で算出された該横ずれ量に基づいて
    制御トルクを算出する制御トルク算出手段と、 該制御トルク算出手段で算出された該制御トルクが該横
    ずれ量を減らす方向に発生するように該操舵アクチュエ
    ータを制御する制御手段と、 該走行車線の該自車両が走行中の部分のカーブ状況を算
    出するカーブ状況算出手段とをそなえ、 該制御トルク算出手段に、該カーブ状況算出手段で算出
    された該カーブ状況に基づいて、該車両がカーブ路を走
    行している時には該横ずれ量が発生しても該制御トルク
    を0とする不感帯を設定する不感帯設定手段が設けられ
    ていることを特徴とする、車線逸脱防止装置。
  2. 【請求項2】 該不感帯の幅は、該カーブ状況算出手段
    で算出された該カーブ状況に対応して設定されることを
    特徴とする、請求項1記載の車線逸脱防止装置。
  3. 【請求項3】 該制御トルク算出手段で算出される制御
    トルクの大きさを調整しうる制御トルク調整手段が設け
    られていることを特徴とする、請求項1又は2記載の車
    線逸脱防止装置。
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