JP5679320B2 - 自動操舵制御装置及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、本発明は、車両に搭載される自動操舵制御装置及びこれをコンピュータ(CPU)で実現するためのプログラムに関する。
近年、自動操舵制御に対する様々な技術が提案され、実用化されている。従来の設計として乗用車用電動パワーステア制御方法が主流である。
一方、大型車用電子制御油圧パワーステアアクチュエータ制御が注目されている。たとえば、特開2007−168674号公報には、油圧によって操舵軸にトルクを付与する操舵軸駆動部を有し、操舵軸駆動部に供給する油圧を電磁弁によって制御して操舵軸にトルクを付与するパワーステアリング装置が記載されている。
特開2007−168674号公報 特開2010−23682号公報 特開2010−254184号公報
しかし、従来の技術では、油圧システム制御の一番大きな弱点である不感帯に対する対策が不十分であった。不感帯とは、入力信号に対して対象が応答しない範囲のことを言う。この範囲においては、自動操舵しようとしても、実際に制御を行うことは困難である。
そこで、本発明は、補償処理を行うことにより不感帯による影響を軽減することのできる自動操舵制御装置を提供することを目的とする。
この発明は、車両の運転状態に関する情報を取得し、これに基づき生成した制御信号を前記車両の操舵を行うアクチュエータに対して与える自動操舵制御装置であって、
前記アクチュエータには、入力信号に対して応答しない範囲である不感帯(この下限と上限をそれぞれDZ、DZとする)が存在し、
前記自動操舵制御装置は、前記車両の運転状態に関する情報に基づき生成した制御信号idを、前記不感帯による影響を軽減するように補償した補償後制御信号iに変換する補償部を含み、前記自動操舵制御装置は、前記補償後制御信号iを前記アクチュエータに与えるものであり、
制御信号idと補償後制御信号iを座標軸とする直交座標系を定義し、
(id,i)=(0,DZr)を起点とし、所定の傾きで正側へ延びる半直線L2と、
(id,i)=(0,DZl)を起点とし、所定の傾きで負側へ延びる半直線L2Nと、
予め定められたスムース幅をsmwとしたとき、id=smwと半直線L2の交点をsmw'とし、id=−smwと半直線L2Nの交点を−smw'として、smw'と−smw'を結ぶ線分L0と、
所定のa,b(ただし、a<smw<b)について、id=aと線分L0の交点をa’とし、id=bと半直線L2の交点をb’とし、a’とb’を結ぶ線分L1と、
a’を起点とする線分L1aと、b’を終点とする線分L1bであって、id=smwにおいてそれらの他端同士が繋がり、かつ、線分L0,L1と半直線L2に囲まれた範囲内に位置する2つの線分L1a及びL1bと、
id=−aと線分L0の交点を−a’とし、id=−bと半直線L2の交点を−b’とし、−a’と−b’を結ぶ線分L1Nと、
−a’を起点とする線分L1aNと、−b’を終点とする線分L1bNであって、id=−smwにおいてそれらの他端同士が繋がり、かつ、線分L0,L1Nと半直線L2Nに囲まれた範囲内に位置する2つの線分L1aN及びL1bNと、が定められ、
前記補償部は、
id≧bにおいて、前記半直線L2に基づきidをiに変換し、
id≦−bにおいて、前記半直線L2Nに基づきidをiに変換し、
−a<id<aにおいて、前記線分L0に基づきidをiに変換し、
a≦id<smwにおいて、線分L1aに基づきidをiに変換し、
smw≦id<bにおいて、線分L1bに基づきidをiに変換し、
−smw<id≦−aにおいて、線分L1aNに基づきidをiに変換し、
−b<id≦−smwにおいて、線分L1bNに基づきidをiに変換するものである。
前記補償の滑らかさを調整するパラメータとして定められた設定定数Kに基づき、線分L1aと線分L1bの接続点とsmw'との距離を変化させるようにしてもよい。
上記線分と半直線の傾きについて、(線分L0の傾き)>(線分L1aの傾き)>(線分L1bの傾き)>(半直線L2の傾き)の関係、及び、(線分L0の傾き)>(線分L1aNの傾き)>(線分L1bNの傾き)>(L2Nの傾き)の関係がある。
前記所定のa,bを、後述の式(2)のように定めてもよい。
この発明は、上記自動操舵制御装置をコンピュータで構成するためのプログラムである。
この発明に係るプログラムは、例えば、記録媒体に記録される。
媒体には、例えば、EPROMデバイス、フラッシュメモリデバイス、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、CD(CD−ROM、Video−CDを含む)、DVD(DVD−Video、DVD−ROM、DVD−RAMを含む)、ROMカートリッジ、バッテリバックアップ付きのRAMメモリカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジ等を含む。
媒体とは、何等かの物理的手段により情報(主にデジタルデータ、プログラム)が記録されているものであって、コンピュータ、専用プロセッサ等の処理装置に所定の機能を行わせることができるものである。
この発明によれば、制御信号を補償する補償部を備えたので、油圧式の自動操舵装置の不感帯を有効に低減することができる。
発明の実施の形態に係るパワーステアリング装置のシステム構成図である。 装置本体の軸方向断面図である。 右方向アシスト時における装置本体の軸方向断面図である。 右回転方向トルク生成用入力軸駆動部の径方向断面図である。 左回転方向トルク生成用入力軸駆動部の径方向断面図である。 発明の実施の形態に係る自動操舵制御システムのブロック図である。 発明の実施の形態に係る補償部の動作説明図(入力−出力特性図)である。 発明の実施の形態に係る自動操舵制御装置の設定処理のフローチャートである。 発明の実施の形態に係る自動操舵制御装置の補償処理のフローチャートである。 発明の実施の形態に係る自動操舵制御装置の設定処理における設定定数Kの説明図(入力−出力特性の拡大図)である。 発明の実施の形態に係る自動操舵制御装置の設定処理における設定定数Kの説明図(入力−出力特性の拡大図)である。 発明の実施の形態に係る自動操舵制御装置の設定処理における設定定数Kの説明図(入力−出力特性の拡大図)である。 入力電流信号iに対するアクチュエータの応答特性θを示すグラフである。 比較例1の補償処理の説明図である。 補償後のアクチュエータの応答特性θを示すグラフである。 比較例2の補償処理の説明図である。 発明の実施の形態に係る補償処理の説明図(入力−出力特性図)である。 図17の入力−出力特性の拡大図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[パワーステアリング装置のシステム構成]
図1は、本実施形態のパワーステアリング装置のシステム構成図である。
図1に示すように、パワーステアリング装置1は、装置本体2と、操舵軸3と、液圧制御部(液圧制御手段)4と、センサ類(情報取得手段)52〜54とを備える。
装置本体2には、ロータリーバルブ5と、セクターシャフト7と、油圧パワーシリンダ8と、左回転方向トルク生成用入力軸駆動部(操舵軸駆動手段)30と、右回転方向トルク生成用入力軸駆動部(操舵軸駆動手段)40とが設けられている。油圧パワーシリンダ8は、右操舵用シリンダ室(左操舵用の液圧室)13と左操舵用シリンダ室(右操舵用の液圧室)14とピストン6とを有する。なお、液圧制御部4の一部の構成(例えば、後述する左回転方向トルク生成用コントロールバルブ16及び右回転方向トルク生成用コントロールバルブ17)は、装置本体2に設けられている。
操舵軸3は、入力軸10と出力軸11とトーションバー12(図2参照)とを有する。入力軸10は、ステアリングホイールSWに連結されて・ステアリングホイールSWと共回りする。トーションバー12は、入力軸10と出力軸11とを連結する。
ステアリングホイールSWが操舵され、入力軸10が出力軸11に対して回転すると、ロータリーバルブ5は、右操舵用シリンダ室13及び左操舵用シリンダ室14のうち、人力軸10の回転方向に対応した一方のシリンダ室13,14に、ポンプPから吐出された作動油を供給する。一方のシリンダ室13,14への作動油の供給により、両シリンダ室13,14間に液圧差が発生してピストン6が駆動する。ピストン6はセクターシャフト7と噛合い、セクターシャフト7は、ピストン6の往復運動に伴って回転して転舵輪(図示外の前輪)を操舵する。このように、ロータリーバルブ5は、出力軸11に対する入力軸10の捻れ方向(回転方向)に応じて作動油の供給経路を切り替えて、出力軸11に付与するアシスト力の方向(アシスト方向)を切り替える。また、ロータリーバルブ5は、出力軸11に対する入力軸10の捻れ量に応じて、作動油の供給量を変更し、捻れ量に応じた強さのアシスト力を出力軸11に付与する。なお、作動油の余剰分はリザーバ15に排出される。
左回転方向トルク生成用入力軸駆動部30は、供給される作動油の液圧に応じた強さのトルクを入力軸10に対して左回転方向に付与するアクチュエータであり、右回転方向トルク生成用入力軸駆動部40は、供給される作動油の液圧に応じた強さのトルクを入力軸10に対して右回転方向に付与するアクチュエータである。
液圧制御部4は、コントロールユニット(ECU : Electric Control Unit)50と左回転方向トルク生成用コントロールバルブ16と右回転方向トルク生成用コントロールバルブ17とを備える。ECU50は、バッテリEからの電力供給を受けて作動し、センサ等52〜56から受信する信号(情報)に基づき、左回転方向トルク生成用コントロールバルブ16又は右回転方向トルク生成用コントロールバルブ17を駆動制御する。各コントロールバルブ16,17は、それぞれ油路18,19を介してロータリーバルブ5と連通し、入力軸10と出力軸11との相対回転位置とは無関係にロータリーバルブ5から作動油の供給(ポンプPの吐出圧の供給)を受ける。各コントロールバルブ16,17は、作動油の流通路を、ECU50からの制御信号に応じた開度に設定する。ロータリーバルブ5からの作動油は、各コントロールバルブ16,17の開度に応じた液圧で、後述する油路20,21(図2参照)を介してトルク生成室D1,D2(図3参照)にそれぞれ供給され、入力軸10にトルクを付与する。なお、ECU50は、コントロールバルブ16を駆動制御してトルク生成室D1に作動油を供給しているときは、コントロールバルブ17からトルク生成室D2への作動油の供給を停止し、反対にコントロールバルブ17を駆動制御してトルク生成室D2に作動油を供給しているときは、コントロールバルブ16からトルク生成室D1への作動油の供給を停止する。
左回転方向トルク生成用コントロールバルブ16は、左回転方向トルク生成ソレノイドSOL1及び左回転方向トルク生成スプール22を備え、右回転方向トルク生成用コントロールバルブ17は、右回転方向トルク生成ソレノイドSOL2及び右回転方向トルク生成スプール23を備える。各ソレノイドSOL1,SOL2は、ECU50からの制御信号(指令電流)に応じて各スプール22,23を駆動する。各スプール22,23の駆動に応じて作動油の流通路(供給路)の開口面積(開度)が増減し、各入力軸駆動部30,40への油圧の供給が制御される。
入力軸駆動部30,40は、それぞれ入力軸10の周面上に設けられる。左回転方向トルク生成用入力軸駆動部30は、左回転方向トルク生成用コントロールバルブ16から供給される油圧により、入力軸10に対して左回転方向のトルクを付与する。また、右回転方向トルク生成用入力軸駆動部40は、右回転方向トルク生成用コントロールバルブ17から供給される油圧により、入力軸10に対して右回転方向のトルクを付与する。
なお、図1では、便宜上、操舵軸3及びリザーバ15をそれぞれ複数記載している(操舵軸3は2つ、リザーバ15は3つ)が、本実施形態の操舵軸3及びリザーバ15はそれぞれ1つずつである。また、リザーバ15に排出された作動油は、戻り管(図示省略)を介してポンプPに循環供給される。
[装置本体の説明]
図2は装置本体の軸方向断面図、図3は右方向アシスト時における装置本体の軸方向断面図である。なお、以下の説明において、入力軸10及び出力軸11の軸方向をy軸とし、入力軸10側をy軸の正方向とし、y軸周りの極座標における径方向をr軸とし、y軸正方向を向いた状態でのy軸を中心とした左周りの回転を正回転とする。
図2に示すように、装置本体2は、ロータリーバルブ5を収容する第1ハウジング24Aと、ピストン6及びセクターシャフト7を収容する第2ハウジング24Bとを備える。セクターシャフト7は、第2ハウジング24B内のセクターシャフト格納部25内に配置される。
各ハウジング24A,24Bはともに略カップ状部材であり、互いの軸方向開口部において接続される。第1ハウジング24Aの軸方向底部には、ステアリングホイールSWから延びる入力軸10が挿入され、ピストン6は、入力軸10の回転に応じて、油圧により第2ハウジング24B内をy軸方向に摺動する。
第2ハウジング24B(ピストン6)とセクターシャフト7とは、互いに軸方向直角に配置され、ピストン6に設けられた歯とセクターシャフト7に設けられた歯が噛合い、ピストン6の摺動によってセクターシャフト7が回転して操舵アシストが行われる。
第2ハウジング24Bには、ピストン6が軸方向移動可能に収容される。ピストン6によって、第2ハウジング24Bの内部は、入力軸側の右操舵用シリンダ室13とカップ形状底部側の左操舵用シリンダ室14とに液密を保って隔成される。
トーションバー12の一端部と他端部とは、入力軸10と出力軸11とにそれぞれ固定される。入力軸10と出力軸11との間にトーションバー12を設けることによって、各入力軸駆動部30,40から入力軸10に付与されたトルクがトーションバー12の弾性力により吸収され、転舵輪SWに与える影響を小さくする。
ロータリーバルブ5のy軸負方向側であって入力軸10と出力軸11との重複部分には、入力軸セレーション溝26と、出力軸セレーション溝27(ともに図4参照)とが形成されるとともに、左回転方向トルク生成用入力軸駆動部30と右回転方向トルク生成用入力軸駆動部40とが配置されている。入力軸セレーション溝26の凸状頂部26aが出力軸セレーション溝27の凹部に係止することによって(図4参照)、入出力軸10,11間の最大相対回転量は所定の許容回転量に規制され、トーションバー12が必要以上に振れることが回避される。
2つの入力軸駆動部30,40は、ロータリーバルブ5のy軸負方向側に並んで配置されている。各入力軸駆動部30,40は、出力軸11に形成されたr軸方向の径方向孔31,41を含む。各拡径方向孔31,41は、左右の回転方向トルク生成ピストン32,42をそれぞれ収容する。
左回転方向トルク生成用ピストン32のr軸方向外径側には左回転方向トルク生成室D1が形成され、右回転方向トルク生成用ピストン42のr軸方向外径側には右回転方向トルク生成室D2が形成される。左回転方向トルク生成室D1には、油路20、左回転方向トルク生成用コントロールバルブ16、油路18及びロータリーバルブ5を介してポンプPからの作動油が供給される。右回転方向トルク生成室D2には、油路21、右回転方向トルク生成用コントロールバルブ17、油路19及びロータリーバルブ5を介してポンプPから作動油が供給される。
出力軸11は、ピストン6の内径部へ軸方向に沿って挿入され、ボールねじ機構28によってピストン6と噛合する。ピストン6の外周には、周方向に刻まれたピストン歯部29が設けられ、ピストン6は、ピストン歯部29においてセクターシャフト7と噛合う。
第2ハウジング24Bは、セクターシャフト7と互いの軸が直交するように配置され、第2ハウジング24Bの径方向の一部には、セクターシャフト7の一部を格納するセクターシャフト格納部25が設けられている。セクターシャフト格納部25は、右操舵用シリンダ室13と連通し、右操舵用シリンダ室13からの作動油の供給を受ける。供給された作動油は、セクターシャフト7とピストン歯部29との噛合い部分を潤滑する。
右操舵用シリンダ室13は、第1ハウジング24Aに設けられた右操舵用シリンダ室連通路70を介してロータリーバルブ5と連通する。左操舵用シリンダ室14は、第2ハウジング24Bと第1ハウジング24Aとに跨って設けられた左操舵用シリンダ室連通路71を介してロータリーバルブ5と連通する。
ロータリーバルブ5は、出力軸11に対する入力軸10の回転に応じてINポート又はOUTポートから右操舵用シリンダ室13又は左操舵用シリンダ室14へのオイルの導入又は排出を行うバルブ機構として機能する。入力軸10が出力軸11に対して右側に相対回転すると、ポンプPと右操舵用シリンダ室13とが両軸10,11の相対回転量に応じた開口面積で連通し、右操舵用シリンダ室13に油圧が供給され、右操舵用シリンダ室13の液圧が上昇し、両シリンダ室13,14間に発生する液圧差によってピストン6がy軸負方向へ移動する(図3参照)。同様に、入力軸10が出力軸11に対して左側に相対回転すると、ポンプPと左操舵用シリンダ室14とが両軸10,11の相対回転量に応じた開口面積で連通し、左操舵用シリンダ室14に油圧が供給され、,左操舵用シリンダ室14の液圧が上昇し、両シリンダ室13,14間に発生する液圧差によってピストン6がy軸正方向へ移動する。
[入力軸駆動部の説明]
図4は右回転方向トルク生成用入力軸駆動部の径方向断面図、図5は左回転方向トルク生成用入力軸駆動部の径方向断面図である。
図4及び図5に示すように、各入力軸駆動部30,40では、出力軸11に対し等間隔に4つ設けられたr軸方向の径方向孔31,41に、左回転方向トルク生成ピストン32及び右回転方向トルク生成ピストン42がそれぞれ収容される。各ピストン32,42のr軸方向外径側には、左回転方向トルク生成室D1及び右回転方向トルク生成室D2がそれぞれ形成される。
各ピストン32,42のr軸方向内径側端部には、略球状の当接部33,43がそれぞれ設けられている。各トルク生成室D1,D2の液圧により各ピストン32,42がr軸方向内径側に移動すると、各当接部33,43は入力軸10側のセレーション溝26を押圧する。
左右回転方向トルク生成用入力軸駆動部30と右回転方向トルク生成用入力軸駆動部40とは、入力軸10周りの回転位置が互いにずれるように配置されている。すなわち、左回転方向トルク生成用入力軸駆動部30の径方向孔31の軸線であるA1−A1線、A2−A2線と、右回転方向トルク生成用入力軸駆動部40の径方向孔41の軸線であるB1−B1線、B2−B2線とは、互いに所定角度θオフセットされている。
このオフセットにより、各径方向孔31,41のA1−A1線、A2−A2線は、入力軸セレーション溝26の凹部の軸線であるC1−C1線、C2−C2線に対して、反時計回りにθ/2ずれて配置される。同様に、B1−B1線、B2−B2線は、C1−C1線、C2−C2線に対して、時計回りに角度θ/2ずれて配置される。
従って、右回転方向トルク生成用当接部43は、C1−C1線、C2−C2線に対しB1−B1線、B2−B2線側の左回転方向トルク生成用凸部傾斜面72において入力軸10を押圧し、入力軸10に右回転方向のトルクを付与する。一方、左回転方向トルク生成用当接部33は、C1−C1線、C2−C2線に対しA1−A1線、A2−A2線側の左回転方向トルク生成用凸部傾斜面73において入力軸10を押圧し、入力軸10に左回転方向のトルクを付与する。
入力軸10は出力軸11に対して所定の許容回転量まで回転可能であるため、右回転方向トルク生成用凸部傾斜面72がr軸内径側に押圧され、入力軸10に右回転方向のトルクが作用すると、入力軸10は許容回転量の範囲内で右方向へ回転する。また、左回転方向トルク生成用凸部傾斜面73がr軸内径側に押圧され、入力軸10に左回転方向のトルクが作用すると、入力軸10は左方向へ回転する。すなわち、左回転方向トルク生成用当接部33は左回転方向に、右回転方向トルク生成用当接部43は右回転方向にそれぞれ入力軸10を押圧し、セレーション溝26,27の許容回転範囲内で入力軸10を回転させる。
入力軸駆動部30,40が出力軸11に対して入力軸10を回転させると、ロータリーバルブ5の開度が変化し、作動油がロータリーバルブ5から右操舵側シリンダ室13又は左操舵側シリンダ室14に供給され、右操舵側シリンダ室13又は左操舵側シリンダ室14の液圧が上昇して、2つのシリンダ室13,14間に液圧差が発生し、この液圧差によってピストン6が移動し、セクターシャフト7が回転して転舵輪が操舵される。
また、当接部33,43が略球状であるので、トルク生成ピストン32,42と入力軸10のセレーション溝26とが滑らかに接触し、トルク生成ピストン32,42の軸方向運動が入力軸10の回転運動にスムースに変換される。
また、走行車線からの車両の逸脱を防止するために操舵を制御する必要があるような場合において、アシスト制御処理が実行される。このアシスト制御処理において、ECU50は、コントロールバルブ16,17の一方を閉止状態に維持したまま他方を制御して、コントロールバルブ16,17の他方の作動油の流通路を所望の開度に設定し、対応するトルク生成室D1,D2にポンプPからの作動油を供給する。これにより、対応するトルク生成用ピストン32,42が駆動され、入力軸10が出力軸11に対して回転し、作動油がロータリーバルブ5から右操舵側シリンダ室13又は左操舵側シリンダ室14に供給され、ピストン6が移動し、セクターシャフト7が回転して転舵輪が操舵される。
例えば、車両が走行車線から左側へ逸脱しようとしている場合、ECU50は、右回転方向トルク生成用コントロールバルブ17を駆動して入力軸10に右回転方向のトルクを付与し、出力軸11に対して入力軸10を回転させる。これにより、ロータリーバルブ5の開度が変化し、作動油がロータリーバルブ5から右操舵側シリンダ室13に供給され、右操舵側シリンダ室13の液圧が上昇し、右操舵方向へのアシストカが発生して車両か石方向へ旋回し、車両の走行車線からの逸脱が回避される。同様に、車両が走行車線から右側へ逸脱しようとしている場合には、ECU50は、左回転方向トルク生成用コントロールバルブ16を駆動する。これにより、車両が右方向へ旋回し、車両の走行車線からの逸脱が回避される。
一方、運転者が適正な操舵を行っており、走行車線からの車両の逸脱を防止するために操舵を制御する必要がない通常操舵時では、ECU50は、コントロールバルブ16,17の双方を閉止状態に維持し、入力軸駆動部30,40は機能しない。すなわち、ステアリングホイールSWが右方向操舵されると、ロータリーバルブ5によりポンプ圧が右操舵用シリンダ室13へ導入され、シリンダ室13,14間に液圧差が発生し、この液圧差によってピストン6がy軸負方向へ移動し、セクターシャフト7が反時計回りに回転して右方向操舵アシストが行われる。反対に、ステアリングホイールSWが左方向操舵されると、ロータリーバルブ5によりポンプ圧が左操舵用シリンダ室14へ導入され、シリンダ室13,14間に液圧差が発生し、この液圧差によってピストン6がy軸正方向へ移動し、セクターシャフト7が時計回りに回転して左方向操舵アシストが行われる。
[コントロールユニットの説明]
図6は、コントロールユニット(ECU)の機能構成を示すブロック図である。
ECU50は、実際には、CPU(Central Processing Unit)57、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリ(記憶部)58、I/O(入出力部)59などを備える。CPUは、メモリに格納されたプログラムを読み出して所定の処理を実行することにより、アクチュエータ30,40を制御するとともに、これらの制御信号idについて補償処理を行い、補償された制御信号iを生成する補償部COMPENとして機能する。補償部COMPENについては、後に詳しく説明する。
ECU50には、車速センサ52からの車速情報と、舵角センサ53からの舵角情報と、ウィンカスイッチ54からのウィンカ情報と、クラッチセンサ55からのクラッチ情報とが、車両の運転状態に関する情報として、それぞれ所定時間毎に逐次入力される。
車速センサ52は、車両の走行速度を検出する。舵角センサ53は、ステアリングホイールSWの操舵角を検出する、ウィンカスイッチ54は、左右のウィンカ(図示省略)の操作状態(ON/OFF)をそれぞれ検出する。クラッチセンサ55は、クラッチ(図示省略)の操作状態(ON/OFF)を検出する。なお、ECU50には、アクセル踏み込み量又はアクセル開度を検出するアクセル開度センサや、ブレーキペダルのオンオフを検出するブレーキセンサや、変速機の変速段(シフト位置)を検出するセンサなどからの検出情報も、車両情報として入力される。
ECU50は、車両の運転状態に関する情報及び車両情報に基づき、アクチュエータ30,40を制御する制御信号(指示電流)idを出力する。アクチュエータ30,40は制御信号(指示電流)の正負に応じてステアリングホイール(ハンドル)を右あるいは左いずれかの方向に駆動するように制御するものであるが、油圧式のアクチュエータ30,40の場合、入力信号に対して応答しない範囲である不感帯が存在する(詳しくは後述)。そこで、補償部COMPENにより、ECU50で生成した制御信号idを、不感帯による影響を軽減するように補償した補償後制御信号iに変換する。
補償部COMPENは、実際にはCPU57がメモリ58に予め記憶された所定の補償プログラムを実行する(図9のフローチャート参照)ことで実現される。この実行の際には、メモリ58に予め記憶された関数あるいはテーブルが使用される(その設定手順は図8のフローチャート参照)。
[補償関数の説明]
補償部COMPENは、制御信号idを補償後制御信号iに変換するために予め定められた所定の関数(図7の太線)に基づき補償処理を行う。当該関数はそれぞれ傾きの異なる複数の直線からなるものである。
すなわち、補償部COMPENが補償処理を行う関数は、図7の半直線L2,L2N、線分L0、L1a,L1b,L1aN,L1bNからなり、これらは互いに接続され、結合している。これにより、任意のidに対応するiが常に存在する。
その傾きの関係は次のようになっている。
(L0の傾き)>(L1aの傾き)>(L1bの傾き)>(L2の傾き)
(L0の傾き)>(L1aNの傾き)>(L1bNの傾き)>(L2Nの傾き)
図7の関数は、予め求められ、それを再現するために必要な情報(端点の座標、傾きなど)はメモリ58に予め記憶されている。その一部、例えば図8のS4のsmw、S6のa,b、S9のKなどは可変とし、補償部COMPENが実際に処理を行う際に、車両の運転状態に関する情報及び車両情報に応じて適宜変更することもできる。
次に、図7の関数を設定する手順を、図7及び図8を参照して説明を加える。なお、符号の具体的な値(式)については、図17及びその説明も参照されたい。
S1:制御信号idと補償後制御信号iを座標軸とする直交座標系を定義する。
以下の処理は、当該直交座標系を前提として行う。
記載を簡単にするために、以下、制御信号id、補償後制御信号iを、単にid、iと表示する(他の符号についても同様)。
S2:アクチュエータ30、40の不感帯について、この中心を原点とし、その下限と上限をそれぞれDZ、DZとする。
S3:(id,i)=(0,DZr)を起点とし、所定の傾き(1/mr)で正側へ延びる半直線L2と、(id,i)=(0,DZl)を起点とし、所定の傾き(1/ml)で負側へ延びる半直線L2Nと、を定義する。
半直線L2,L2Nが関数を構成する。半直線L2,L2Nは最も基本の補償直線である。なお、図9の処理からも明らかなように、半直線L2,L2Nのうち、−b<id<bの範囲は、補償処理の際に使用されない(線分L0についても一部使用されない部分がある)。
S4:予め定められたスムース幅smwを定める。
スムース幅smwとは、原点付近の半直線L2,L2Nの不連続性(傾き=無限大)による不具合を軽減するために設けられる範囲であり、−smw<id<smwの範囲で半直線L2とL2Nを連結することにより、その間の傾きを小さくし、これにより操舵角度のふらつきを抑制するものである。一般的に、smwの値を小さく設定しないと不感帯を小さくできないが、smwの値を小さく設定しすぎると、−smw<id<smwの範囲での変化(傾き)が激しくなり、操舵角度のふらつきを抑制できない。このように、スムース幅smwだけでは、二律背反となり、不感帯の影響を軽減し、操舵角度のふらつきを抑制するという2つの目的を同時に達成することができない。
S5:id=smwとL2の交点をsmw'とし、id=−smwとL2Nの交点を−smw'として、smw'と−smw'を結ぶ線分L0を定義する。
S6:所定のa,bを定める(ただし、a<smw<b)。
a,bは、操舵角度のふらつきが生じやすいsmwの近傍の範囲を指定するパラメータである。a<id<bにおいて、さらにスムース処理を行うことでふらつきを軽減することができる。線分L0の傾きはa、b間のスムース処理によって変化しないから、不感帯の影響の軽減という効果は維持される。
S7:id=aとL0の交点をa’とし、id=bとL2の交点をb’とし、a’とb’を結ぶ線分L1を定義する。
線分L1は、a<id<bにおけるスムース処理を定義するための補助線であり、線分L1がidをiに変換する際に使用されることはない。
S8:a’を起点とする線分L1aと、b’を終点とする線分L1bであって、id=smwにおいて他端同士が接続し、かつ、前記線分L0,L1と半直線L2に囲まれた範囲内に位置する2つの線分L1a及びL1bを定義する。
連結された2つの線分L1aとL1bは、図7のa’とb’を端点とし、かつ、三角形a’smw'b’の内部に位置するものである。これらの条件を満たすのであれば、2つの線分L1aとL1bは任意の位置に配置し得る。2つの線分L1aとL1bはid=smwで連結され、その傾きが変化する(傾きの関係は前述した)。
S9:設定係数Kを定める(ただし、0<K<1)。
S10:設定係数Kに基づき、smw'から線分L1aとL1bの接続点までの距離uを設定する。
設定定数Kは、2つの線分L1aとL1bを特定の位置に配置するためのパラメータである。設定係数Kの意味について、図10〜図12を参照して説明を加える。
図10は、仮にK=1としたときの2つの線分L1aとL1bを示す。これらはL0,L2と重なっている。つまり、a<id<bにおけるスムース処理は行われないことになり、ふらつきを軽減することができない。
図11は、仮にK=0としたときの2つの線分L1aとL1bを示す。これらは補助線であるL1と重なっている。これは、補助線L1で規定されるスムース処理の限界内において最大限のスムース処理が行われていることを意味する。
図12は、0<K<1、例えばK=0.6としたときの2つの線分L1aとL1bを示す。これらは、図10と図12の場合の中間のケースであり、補助線L1で規定されるスムース処理の程度について、両者の中間にある。設定係数Kは、例えば、id=smwにおける、2つの線分L1aとL1bの接続点とsmw'の距離uを変化させるパラメータである。設定係数Kにより補助線L1で規定されるスムース処理の程度を任意に調整することができる。
例えば、予想されるふらつきの範囲の最大幅に基づきa,bを定めておく(a<id<bの範囲において発生するふらつきの抑制を目的とする)。そして、設定係数Kを調整することでふらつきを完全に抑えることも、ある程度許容して不感帯の影響をより軽減することも、任意に選択することができる。
要するに、smw及び設定係数Kという2つのパラメータにより、ふらつきの抑制と不感帯の影響の軽減という2つの目的を同時にほぼ満足するように追求することができるのである。
S11:id=−aとL0の交点を−a’とし、id=−bとL2の交点を−b’とし、−a’と−b’を結ぶ線分L1Nを定義する。
上記S7と同様である。
S12:−a’を起点とする線分L1aNと、−b’を終点とする線分L1bNであって、id=−smwにおいて他端同士が接続し、かつ、前記線分L0,L1Nと半直線L2Nに囲まれた範囲内に位置する2つの線分L1aN及びL1bNを定義する。
上記S8と同様である。
S13:設定係数Kに基づき、−smw'から線分L1aNとL1bNの接続点までの距離を設定する。
上記S10と同様である。
[補償処理の説明]
次に、図9のフローチャートを参照して、補償部COMPENの動作について説明する。図8の設定処理が予め行われているものとする。
S20:idを受ける。
所定間隔でidが生成され、補償部COMPENに入力される。
S21:id≧bかどうか判断する。
S22:S21でYESのとき、半直線L2に基づきidをiに変換する。
S23:id≦−bかどうか判断する。
S24:S23でYESのとき、半直線L2Nに基づきidをiに変換する。
S25:−a<id<aかどうか判断する。
S26:S25でYESのとき、線分L0に基づきidをiに変換する。
S27:a≦id<smwかどうか判断する。
S28:S27でYESのとき、線分L1aに基づきidをiに変換する。
S29: smw≦id<bかどうか判断する。
S30:S29でYESのとき、線分L1bに基づきidをiに変換する。
S31:−smw<id≦−aかどうか判断する。
S32:S31でYESのとき、線分L1aNに基づきidをiに変換する。
S33:上記で全てNOであれば、当然−b<id≦−smwであるから、線分L1bNに基づきidをiに変換する。
S34:変換したiをアクチュエータ30,40へ出力する。
そして、以上の処理を繰り返す。
図9の処理により、図7に示した太字の関数に基づく補償処理を行うことができる。
この発明の実施の形態によれば、スムース幅smwに加えて設定係数Kというパラメータを導入することにより、ふらつきの抑制と不感帯の影響の軽減という2つの目的を同時にほぼ満足することを追求することができるようになる。
[発明の実施の形態についての理解を容易にするための追加説明]
以上の説明で発明の実施の形態に係る装置の構成及び動作は明らかであるが、その理解を容易にするために若干の補足説明を行う。
[アクチュエータの不感帯]
図13は、制御信号(入力電流信号)iに対するアクチュエータの応答特性を示すグラフである。iが十分に大きければ、制御信号iに対してアクチュエータは線形に反応する。その傾きは正側でmr、負側でmlである。しかし、DZl<i<DZrの範囲ではアクチュエータは反応しない。つまり、iが変化してもアクチュエータによるステアリングホイール(ハンドル)SWの回転角度θは変化しない(ハンドルSWが動かない)。この範囲が「不感帯」である。図13の特性に基づき、車両の直進時に自動操舵を行うと、制御信号iはゼロに近く、同図の不感帯領域に入るため、制御を行うことは困難になる。
[比較例1]
そこで、ECU50で計算した指示電流idを図14のように補償してから、アクチュエータ30,40に入力することが考えられた。図14は、上述の半直線L2,L2Nに基づいて指示電流idを補償後電流iに変換するものである。図14によれば、id=0(原点)においてiが不連続に変化する。すなわち、idが変化して負側からに零点に近づくと、DZlからDZrにiがジャンプする。逆に正側から零点に近づくと、DZrにからDZlへジャンプする。つまり、補償後の電流iは不感帯である(DZl、DZr)の範囲の値をとらない。この結果、id−θの特性は図15のように原点を通る直線となり、不感帯は除去される。
しかし、不連続な変化(ジャンプ)が存在するためにふらつきが生じる。センサ等の信号の変動やノイズなどによりidがゼロ付近で変動すること、例えば、[−Δid、Δid]の間を行ったり来たりすることがある。このような場合、図14の補償によればDZlからDZrへのジャンプ、あるいはその逆のジャンプが頻繁に生じることになる。idの変化自体はわずかであるから、θは変化しないか変化量はごく少ないものであるべきであるところ、ジャンプの繰り返しのためにアクチュエータ30,40は激しくオンオフを繰り返し、このためステアリングホイールSWが左右にぶるぶると震えるようになる。
このように、図14の不連続な激しい補償は不感帯を除去できるものの、ふらつきという問題が生じる。この原因は、ゼロ付近でのidの激しい変化にある。
[比較例2]
ふらつきを軽減するために考えられたのが、図16の補償曲線である。すなわち、スムース幅smwを設定し、この範囲においてidとiの関係が線形(比例)になるようにしたのである。図16におけるidとiの関係を、DZr、DZl、mr,ml及びsmwで表わすと、次式(1)となる。
比較例2によれば、不感帯の補償と補償後の動作をスムースに行うことの両方をある程度実現できる。
Figure 0005679320
しかし、図16の方法では、スムースに補償できるようにするためスムース幅smwを増加する必要がある。このため、不感帯の補償程度と補償後スムースに変化する程度の両立問題を十分に解決できていない。例えば、スムース幅smwの値を小さく設定しないと補償効果が悪くなるが、かといって、小さく設定しすぎると、[−smw、smw]の範囲での変化が激しくなり、図14と同様に操舵角度のふらつきが発生する。したがって、最適な補償を得るのは困難である。
[発明の実施の形態]
そこで、図7及び図17に示すように、スムース幅smwにより変化する補償後電流iと計算した指示電流idの傾き変化を2段階にした(その詳細は前述した)。補償性能を劣化しない目標としてスムース幅smwを調整し、その後、理想的なスムース程度を得るためにスムース関数を追加し(図7の線分L1a、L1b、L1aN、L1bN)、設定定数Kによりスムースの程度を調整する。このようにすれば、スムース幅smwを調整しなくでも、スムースの程度を調整できる。したがって、スムース幅smwを調整することによる不感帯補償性能の劣化を避け、補償程度と補償後スムースに変化する程度の両立問題を解決でき、ふらつき現象により発生する違和感を低減できる。
図17及び図18に示すように、本発明の実施の形態は、a’とb’点の間に傾きαの線分L1を追加し、補償値の軌跡L1a,L1bを、i軸値a'smw'、smw'b'及びa'b'までの長さで決めるようにした。なお、図16によるスムース程度は線分L0の角度βの大きさで決まる。
図7、図17及び図18におけるidとiの関係を具体的に表わすと、次式(2)になる。
Figure 0005679320
なお、上式(2)のaを与える式及び図17からわかるように、図17の例ではid=aと線分L0の交点は、(a、DZr)である。
発明の実施の形態によれば、設定定数Kの変化により、三角形a'smw'b'の中の軌跡L1a,L1bの形が変化する。これにより、スムース幅smwを変化させなくても、不感帯の補償スムースの程度を調整することができるようになる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
1:パワーステアリング装置
3:操舵軸
4:液圧制御部(液圧制御手段)
5:ロータリーバルブ
10:入力軸
11:出力軸
12:トーションバー
13:右操舵用シリンダ室(左操舵用の液圧室)
14:左操舵用シリンダ室(右操舵用の液圧室)
15:リザーバ
16:左回転方向トルク生成用コントロールバルブ
17:右回転方向トルク生成用コントロールバルブ
30:左回転方向トルク生成用入力軸駆動部(アクチュエータ)
40:右回転方向トルク生成用入力軸駆動部(アクチュエータ)
50:コントロールユニット(ECU)
52:車速センサ(情報取得手段)
53:舵角センサ(情報取得手段)
54:ウィンカスイッチ(情報取得手段)
55:クラッチセンサ(情報取得手段)
56:油温センサ(情報取得手段)
57:CPU
58:記憶部
59:入出力部
COMPEN:補償部
D1:左回転方向トルク生成室
D2:右回転方向トルク生成室
E:バッテリ
P:ポンプ
SL1:左回転方向トルク生成ソレノイド
SL2:右回転方向トルク生成ソレノイド
SW:ステアリングホイール

Claims (5)

  1. 車両の運転状態に関する情報を取得し、これに基づき生成した制御信号を前記車両の操舵を行うアクチュエータに対して与える自動操舵制御装置であって、
    前記アクチュエータには、入力信号に対して応答しない範囲である不感帯(この下限と上限をそれぞれDZ、DZとする)が存在し、
    前記自動操舵制御装置は、前記車両の運転状態に関する情報に基づき生成した制御信号idを、前記不感帯による影響を軽減するように補償した補償後制御信号iに変換する補償部を含み、前記自動操舵制御装置は、前記補償後制御信号iを前記アクチュエータに与えるものであり、
    制御信号idと補償後制御信号iを座標軸とする直交座標系を定義し、
    (id,i)=(0,DZr)を起点とし、所定の傾きで正側へ延びる半直線L2と、
    (id,i)=(0,DZl)を起点とし、所定の傾きで負側へ延びる半直線L2Nと、
    予め定められたスムース幅をsmwとしたとき、id=smwと半直線L2の交点をsmw'とし、id=−smwと半直線L2Nの交点を−smw'として、smw'と−smw'を結ぶ線分L0と、
    所定のa,b(ただし、a<smw<b)について、id=aと線分L0の交点をa’とし、id=bと半直線L2の交点をb’とし、a’とb’を結ぶ線分L1と、
    a’を起点とする線分L1aと、b’を終点とする線分L1bであって、id=smwにおいてそれらの他端同士が繋がり、かつ、線分L0,L1と半直線L2に囲まれた範囲内に位置する2つの線分L1a及びL1bと、
    id=−aと線分L0の交点を−a’とし、id=−bと半直線L2の交点を−b’とし、−a’と−b’を結ぶ線分L1Nと、
    −a’を起点とする線分L1aNと、−b’を終点とする線分L1bNであって、id=−smwにおいてそれらの他端同士が繋がり、かつ、線分L0,L1Nと半直線L2Nに囲まれた範囲内に位置する2つの線分L1aN及びL1bNと、
    が定められ、
    前記補償部は、
    id≧bにおいて、前記半直線L2に基づきidをiに変換し、
    id≦−bにおいて、前記半直線L2Nに基づきidをiに変換し、
    −a<id<aにおいて、前記線分L0に基づきidをiに変換し、
    a≦id<smwにおいて、線分L1aに基づきidをiに変換し、
    smw≦id<bにおいて、線分L1bに基づきidをiに変換し、
    −smw<id≦−aにおいて、線分L1aNに基づきidをiに変換し、
    −b<id≦−smwにおいて、線分L1bNに基づきidをiに変換する、
    ことを特徴とする自動操舵制御装置。
  2. 請求項1に記載の自動操舵制御装置であって、
    前記補償の滑らかさを調整するパラメータとして定められた設定定数Kに基づき、線分L1aと線分L1bの接続点とsmw'との距離を変化させる
    ことを特徴とする自動操舵制御装置。
  3. 請求項1に記載の自動操舵制御装置であって、
    上記線分と半直線の傾きについて、
    (線分L0の傾き)>(線分L1aの傾き)>(線分L1bの傾き)>(半直線L2の傾き)の関係、及び、(線分L0の傾き)>(線分L1aNの傾き)>(線分L1bNの傾き)>(L2Nの傾き)の関係がある
    ことを特徴とする自動操舵制御装置。
  4. 請求項1に記載の自動操舵制御装置であって、
    前記所定のa,bとは、1/mr)を半直線L2の傾きとして、次式によって規定される
    Figure 0005679320
    ことを特徴とする請求項1記載の自動操舵制御装置。
  5. 車両の運転状態に関する情報を取得し、これに基づき生成した制御信号を前記車両の操舵を行うアクチュエータに対して与える自動操舵制御装置をコンピュータで構成するためのプログラムであって、
    前記アクチュエータには、入力信号に対して応答しない範囲である不感帯(この下限と上限をそれぞれDZ、DZとする)が存在し、
    前記自動操舵制御装置は、前記車両の運転状態に関する情報に基づき生成した制御信号idを、前記不感帯による影響を軽減するように補償した補償後制御信号iに変換する補償部を含み、前記自動操舵制御装置は、前記補償後制御信号iを前記アクチュエータに与えるものであり、
    制御信号idと補償後制御信号iを座標軸とする直交座標系を定義し、
    (id,i)=(0,DZr)を起点とし、所定の傾きで正側へ延びる半直線L2と、
    (id,i)=(0,DZl)を起点とし、所定の傾きで負側へ延びる半直線L2Nと、
    予め定められたスムース幅をsmwとしたとき、id=smwと半直線L2の交点をsmw'とし、id=−smwと半直線L2Nの交点を−smw'として、smw'と−smw'を結ぶ線分L0と、
    所定のa,b(ただし、a<smw<b)について、id=aと線分L0の交点をa’とし、id=bと半直線L2の交点をb’とし、a’とb’を結ぶ線分L1と、
    a’を起点とする線分L1aと、b’を終点とする線分L1bであって、id=smwにおいてそれらの他端同士が繋がり、かつ、線分L0,L1と半直線L2に囲まれた範囲内に位置する2つの線分L1a及びL1bと、
    id=−aと線分L0の交点を−a’とし、id=−bと半直線L2の交点を−b’とし、−a’と−b’を結ぶ線分L1Nと、
    −a’を起点とする線分L1aNと、−b’を終点とする線分L1bNであって、id=−smwにおいてそれらの他端同士が繋がり、かつ、線分L0,L1Nと半直線L2Nに囲まれた範囲内に位置する2つの線分L1aN及びL1bNと、
    が定められ、
    前記補償部は、
    id≧bにおいて、前記半直線L2に基づきidをiに変換し、
    id≦−bにおいて、前記半直線L2Nに基づきidをiに変換し、
    −a<id<aにおいて、前記線分L0に基づきidをiに変換し、
    a≦id<smwにおいて、線分L1aに基づきidをiに変換し、
    smw≦id<bにおいて、線分L1bに基づきidをiに変換し、
    −smw<id≦−aにおいて、線分L1aNに基づきidをiに変換し、
    −b<id≦−smwにおいて、線分L1bNに基づきidをiに変換する自動操舵制御装置を構成するためのプログラム。
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