JP7110811B2 - 車両制御装置および車両制御方法 - Google Patents

車両制御装置および車両制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両制御装置および車両制御方法に関し、特に操舵アシスト技術に関する。
自動車等の車両には、事故未然防止技術の一種として、車両が車線中央をキープして走行するようにアシストするセンターキープアシストや、車両が車線外へと逸脱するのを防止するようにアシストする車線逸脱防止アシストなどの、操舵アシスト技術が適用されたものがある。
特許文献1には、自車両の車速と自車両が走行する車線の幅とに基づいて、車線逸脱アシストだけを実行する場合と、車線逸脱防止アシストとセンターキープアシストとを組み合わせて実行する場合、とを設定する技術が開示されている。具体的には、車線幅が所定値よりも広く、且つ、自車両の車速が所定値よりも高い場合に、車線逸脱防止アシストとセンターキープアシストとを組み合わせて実行し、それ以外の場合には、車線逸脱防止アシストだけを実行することとしている。
特開2015-69341号公報
運転時における運転者の負担軽減という観点からは、センターキープアシスト機能は効果的なものであり、車線逸脱防止アシストだけでなくセンターキープアシストを併用することは望ましい。
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術では、運転者が煩わしさや違和感を覚えることが考えられる。即ち、高速道路を走行しているような状況下においては、運転者は頻繁な操舵アシストの介入を求めないのが通常であるが、高速道路などでセンターキープアシストが介入することとしている上記特許文献1に開示の技術では、当該状況下で頻繁な操舵アシスト(センターキープアシスト)が介入することが予想され、運転者が煩わしさや違和感を覚えることが考えられる。
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、車線逸脱を防ぐことで高い安全性を確保しながら、運転時における運転者に煩わしさや違和感を覚えさせ難く、ストレスを与え難い車両制御装置および車両制御方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る車両制御装置は、走行状況に応じて、車両のステアリングホイールに対して操舵力を付与する車両制御装置であって、前記車両への前記操舵力を生成する操舵力生成部と、前記車両が走行する車線を検出する車線検出部と、前記車両の車速を検出する車速検出部と、前記車線検出部および前記車速検出部からの各検出結果を逐次取得し、当該取得した前記検出結果に基づき前記操舵力生成部に対して前記ステアリングホイールへの前記操舵力の付与を指令する車両制御部と、を備え、前記車両制御部は、前記車両が前記車線の中央を走行するように、第1操舵特性に基づく前記操舵力である第1操舵力を付与するように前記操舵力生成部に指令する第1操舵力付与部と、前記車両が前記車線から逸脱するのを抑制するように、前記第1操舵特性とは異なる第2操舵特性に基づく前記操舵力である第2操舵力を付与するように前記操舵力生成部に指令する第2操舵力付与部と、を有し、横軸に前記車線の幅方向での位置をとり、縦軸に付与される前記操舵力の値をとった特性図において、前記第1操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第1操舵力上昇部を有し、前記第2操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第2操舵力上昇部を有し、前記第1操舵特性における前記第1操舵力上昇部は、前記車速が高いほど前記車線の幅方向外側に設定され、前記第2操舵力上昇部における前記車線の幅方向の任意箇所では、前記車速が高いほど前記第2操舵力の値が大きく設定される。
上記態様に係る車両制御装置では、車速が高いほど第1操舵力上昇部が車線の幅方向外側に設定されるので、高速での走行時などに、車線中央領域におけるセンターキープのための操舵制御の介入を抑制することができる。よって、上記態様に係る車両制御装置では、高速での走行時などで、運転中の運転者が煩わしさや違和感を覚えるのを抑えることができる。
また、上記態様に係る車両制御装置では、車速が高いほど第2操舵力上昇部における上記任意箇所での第2操舵力の値が大きく設定されるので、より確実に車線逸脱の抑制が図られる。よって、上記態様に係る車両制御装置では、高速での走行時などでも車線逸脱を防ぐことで高い安全性を確保することができる。
従って、上記態様に係る車両制御装置では、車線逸脱を防ぐことで高い安全性を確保しながら、運転時における運転者に煩わしさや違和感を覚えさせ難く、ストレスを与え難い。
上記態様に係る車両制御装置において、前記第2操舵特性において、前記車線の幅方向における前記第2操舵力の付与が開始される箇所は、前記車速が高いほど前記車線の幅方向内側に設定される、とすることもできる。
上記の車両制御装置では、第2操舵特性における第2操舵力の付与開始箇所が、車速が高いほど車線の幅方向内側に設定されるので、高速での走行時などにおいてより車線中央側から第2操舵力が付与される。よって、上記のような車両制御装置では、より高い安全性を確保するのに優位である。
上記態様に係る車両制御装置において、前記第2操舵力上昇部における傾き(前記第2操舵力の値の増減に係る傾き)は、前記車速が高いほど緩やかに設定される、とすることもできる。
上記の車両制御装置では、車速が高いほど車線中央側から高い第2操舵力が、より緩やかな傾きを以って上昇するように付与されるので、高速での走行時などでより高い安全性を確保することができる。また、上記の車両制御装置では、車速が高いほど第2操舵力付与開始箇所がより車線中央側に設定され、且つ、緩やかな傾きを以って上昇するように第2操舵力が付与されるので、高速での走行時などでより高い安全性を確保することができる。
上記態様に係る車両制御装置において、車両の横速度を検出する横速度検出部をさらに備え、前記車両制御部は、前記車線検出部および前記車速検出部からの各検出結果に加えて、前記横速度検出部からの検出結果も逐次取得し、前記第2操舵力上昇部における前記車線の幅方向の任意箇所では、前記横速度が高いほど前記第2操舵力の値が大きく設定される、とすることもできる。
上記の車両制御装置では、横速度の検出結果も採用して第2操舵力の値の大きさを規定することとしているので、より確実に安全性の確保が可能であるとともに、横速度が低い場合などに運転者が煩わしさや違和感を覚えるのを抑制することができる。
本発明の一態様に係る車両制御方法は、走行状況に応じて、車両のステアリングホイールに対して操舵力を付与する車両制御装置であって、前記車両への前記操舵力を生成する操舵力生成部と、前記車両が走行する車線を検出する車線検出部と、前記車両の車速を検出する車速検出部と、車両の横速度を検出する横速度検出部と、前記車線検出部、前記車速検出部、および前記横速度検出部からの各検出結果を逐次取得し、当該取得した前記検出結果に基づき前記操舵力生成部に対して前記ステアリングホイールへの前記操舵力の付与を指令する車両制御部と、を備え、前記車両制御部は、前記車両が前記車線の中央を走行するように、第1操舵特性に基づく前記操舵力である第1操舵力を付与するように前記操舵力生成部に指令する第1操舵力付与部と、前記車両が前記車線から逸脱するのを抑制するように、前記第1操舵特性とは異なる第2操舵特性に基づく前記操舵力である第2操舵力を付与するように前記操舵力生成部に指令する第2操舵力付与部と、を有し、横軸に前記車線の幅方向での位置をとり、縦軸に付与される前記操舵力の値をとった特性図において、前記第1操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第1操舵力上昇部を有し、前記第2操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第2操舵力上昇部を有し、前記第1操舵特性における前記第1操舵力上昇部は、前記車速が高いほど前記車線の幅方向外側に設定され、前記第2操舵力上昇部における前記車線の幅方向の任意箇所では、前記横速度が高いほど前記第2操舵力の値が大きく設定される。
上記態様に係る車両制御装置では、車速が高いほど第1操舵力上昇部が車線の幅方向外側に設定されるので、高速での走行時などにおけるセンターキープのための操舵制御の介入を抑制することができる。よって、上記態様に係る車両制御装置では、高速での走行時などで、運転中の運転者が煩わしさや違和感を覚えるのを抑えることができる。
また、上記態様に係る車両制御装置では、横速度が高いほど第2操舵力上昇部の上記任意箇所における第2操舵力の値が大きく設定されるので、より確実に車線逸脱の抑制が図られる。よって、上記態様に係る車両制御装置では、横速度が高い状況下でも車線逸脱を防ぐことで高い安全性を確保することができる。
従って、上記態様に係る車両制御装置では、車線逸脱を防ぐことで高い安全性を確保しながら、運転時における運転者に煩わしさや違和感を覚えさせ難く、ストレスを与え難い。
上記態様に係る車両制御装置において、前記第2操舵特性における、前記車線の幅方向における前記第2操舵力の付与が開始される箇所は、前記横速度が高いほど前記車線の幅方向内側に設定される、とすることもできる。
上記の車両制御装置では、第2操舵特性における第2操舵力の付与開始箇所が、横速度が高いほど車線の幅方向内側に設定されるので、高い横速度がかかる状況下において、より車線中央側から第2操舵力が付与される。よって、上記のような車両制御装置では、より高い安全性を確保するのに優位である。
上記態様に係る車両制御装置において、前記第2操舵力上昇部における傾き(第2操舵力の値の増減に係る傾き)は、前記横速度が高いほど緩やかに設定される、とすることもできる。
上記の車両制御装置では、第2操舵力上昇部の傾きが、横速度が高いほど緩やかに設定される。即ち、上記の車両制御装置では、横速度が高いほど車線中央側から高い第2操舵力が、より緩やかな傾きを以って上昇するように付与されるので、高い横速度がかかるような状況下でもより高い安全性を確保することができる。また、上記の車両制御装置では、横速度が高いほど第2操舵力付与開始箇所がより車線中央側に設定され、且つ、緩やかな傾きを以って上昇するように第2操舵力が付与されるので、高い横速度がかかるような状況下でもより高い安全性を確保することができる。
上記態様に係る車両制御装置において、前記横速度検出部は、操舵角を検出する操舵角センサと、ヨーレートを検出するヨーレートセンサと、を有し、前記横速度検出部は、前記車速が低いほど前記操舵角センサの検出結果を基に前記横速度を設定し、前記車速が高いほど前記ヨーレートセンサの検出結果を基に前記横速度を設定する、とすることもできる。
上記の車両制御装置では、横速度に検出を、車速が低い場合には操舵角センサの検出結果を基に、車速が高い場合にはヨーレートセンサの検出結果を基に行うこととしているので、車速の高低にかかわらず正確な横速度の検出が可能である。
なお、上記の車両制御装置では、操舵角センサの検出結果だけを用いて横速度を検出する速度域と、ヨーレートセンサの検出結果だけを用いて横速度を検出する速度域、との間の速度域において、操舵角センサの検出結果とヨーレートセンサの検出結果とを併用することもできる。この場合には、車速に応じて、操舵角センサの検出結果とヨーレートセンサの検出結果とに重みづけを行うことが望ましい。
本発明の一態様に係る車両制御方法は、走行状況に応じて、車両のステアリングホイールに対して操舵力を付与する車両制御方法であって、前記車両が走行する車線を検出する車線検出ステップと、前記車両の車速を検出する車速検出ステップと、前記車線検出ステップおよび前記車速検出ステップで検出された各検出結果に基づいて、前記ステアリングホイールに前記操舵力を付与する操舵力付与ステップと、を備え、前記操舵力付与ステップは、前記車両が前記車線の中央を走行するように、第1操舵特性に基づく前記操舵力である第1操舵力を付与する第1操舵力付与サブステップと、前記車両が前記車線から逸脱するのを抑制するように、前記第1操舵特性とは異なる第2操舵特性に基づく前記操舵力である第2操舵力を付与する第2操舵力付与サブステップと、を有し、横軸に前記車線の幅方向での位置をとり、縦軸に付与される前記操舵力の値をとった特性図において、前記第1操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第1操舵力上昇部を有し、前記第2操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第2操舵力上昇部を有し、前記第1操舵特性における前記第1操舵力上昇部は、前記車速が高いほど前記車線の幅方向外側に設定され、前記第2操舵力上昇部における前記車線の幅方向の任意箇所では、前記車速が高いほど前記第2操舵力の値が大きく設定される。
上記態様に係る車両制御方法では、車速が高いほど第1操舵力上昇部が車線の幅方向外側に設定されるので、高速での走行時などに、車線中央領域におけるセンターキープのための操舵制御の介入を抑制することができる。よって、上記態様に係る車両制御方法では、高速での走行時などで、運転中の運転者が煩わしさや違和感を覚えるのを抑えることができる。
また、上記態様に係る車両制御方法では、車速が高いほど第2操舵力上昇部の上記任意箇所における第2操舵力の値が大きく設定されるので、より確実に車線逸脱の抑制が図られる。よって、上記態様に係る車両制御方法では、高速での走行時などでも車線逸脱を防ぐことで高い安全性を確保することができる。
従って、上記態様に係る車両制御方法では、車線逸脱を防ぐことで高い安全性を確保しながら、運転時における運転者に煩わしさや違和感を覚えさせ難く、ストレスを与え難い。
上記態様に係る車両制御方法において、車両の横速度を検出する横速度検出ステップをさらに備え、前記操舵力付与ステップでは、前記車線検出ステップおよび前記車速検出ステップで検出された各検出結果に加えて、前記横速度検出ステップで検出された検出結果も加味して前記操舵力の付与を行い、前記第2操舵力上昇部における前記車線の幅方向の任意箇所では、前記横速度が高いほど前記第2操舵力の値が大きく設定される、とすることもできる。
上記の車両制御方法では、横速度の検出結果も採用して第2操舵力の値の大きさを規定することとしているので、より確実に安全性の確保が可能であるとともに、横速度が低い場合などに運転者が煩わしさや違和感を覚えるのを抑制することができる。
本発明の一態様に係る車両制御方法は、走行状況に応じて、車両のステアリングホイールに対して操舵力を付与する車両制御方法であって、前記車両が走行する車線を検出する車線検出ステップと、前記車両の車速を検出する車速検出ステップと、車両の横速度を検出する横速度検出ステップと、前記車線検出ステップ、前記車速検出ステップ、および前記横速度検出ステップで検出された各検出結果に基づいて、前記ステアリングホイールに前記操舵力を付与する操舵力付与ステップと、を備え、前記操舵力付与ステップは、前記車両が前記車線の中央を走行するように、第1操舵特性に基づく前記操舵力である第1操舵力を付与する第1操舵力付与サブステップと、前記車両が前記車線から逸脱するのを抑制するように、前記第1操舵特性とは異なる第2操舵特性に基づく前記操舵力である第2操舵力を付与する第2操舵力付与サブステップと、を有し、横軸に前記車線の幅方向での位置をとり、縦軸に付与される前記操舵力の値をとった特性図において、前記第1操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第1操舵力上昇部を有し、前記第2操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第2操舵力上昇部を有し、前記第1操舵特性における前記第1操舵力上昇部は、前記車速が高いほど前記車線の幅方向外側に設定され、前記第2操舵力上昇部における前記車線の幅方向の任意箇所では、前記横速度が高いほど前記第2操舵力の値が大きく設定される。
上記態様Jに係る車両制御方法では、車速が高いほど第1操舵力上昇部が車線の幅方向外側に設定されるので、高速での走行時などにおけるセンターキープのための操舵制御の介入を抑制することができる。よって、上記態様に係る車両制御方法では、高速での走行時などで、運転中の運転者が煩わしさや違和感を覚えるのを抑えることができる。
また、上記態様に係る車両制御方法では、横速度が高いほど第2操舵力上昇部の上記任意箇所における第2操舵力の値が大きく設定されるので、より確実に車線逸脱の抑制が図られる。よって、上記態様に係る車両制御方法では、横速度が高い状況下でも車線逸脱を防ぐことで高い安全性を確保することができる。
従って、上記態様に係る車両制御方法では、車線逸脱を防ぐことで高い安全性を確保しながら、運転時における運転者に煩わしさや違和感を覚えさせ難く、ストレスを与え難い。
上記の各態様では、車線逸脱を防ぐことで高い安全性を確保しながら、運転時における運転者に煩わしさや違和感を覚えさせ難く、ストレスを与え難い。
実施形態に係る車両の概略構成を示す模式図である。 車両の制御構成を示すブロック図である。 車室外カメラによる車線の検出を説明するための模式図である。 車線における車両の幅方向での位置を示す模式背面図である。 コントロールユニットが実行する操舵特性の設定方法を示すフローチャートである。 車線における幅方向での位置と、第1操舵特性および第2操舵特性と、の関係の一例を示す模式図である。 (a)は、車両が右側に寄った場合を示す模式平面図であり、(b)は、車両がさらに右側に寄った場合を示す模式平面図である。 車両の車速と設定される第1操舵特性との関係を示す模式図である。 車線幅との関係で設定される第2操舵特性を示す模式図である。 車両の車速および横速度の少なくとも一方と設定される第2操舵特性との関係を示す模式図である。 横速度の検出における操舵角とヨーレートとの割合を示す模式図である。
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
なお、以下の説明で用いる図において、「Fr」は自車両の前方(進行方向)、「Re」は自車両の後方、「Le」は自車両の左方、「Ri」は自車両の右方を示す。
[実施形態]
1.車両1の概略構成
本実施形態に係る車両1の概略構成について、図1および図2を用いて説明する。
図1に示すように、車両1は、動力源としてのエンジン2を備える。本実施形態に係る車両1では、エンジン2の一例として、多気筒のガソリンエンジンを採用している。
エンジン2には変速機3が接続されており、変速機3には、デファレンシャルギヤ4が接続されている。デファレンシャルギヤ4からは、左右方向に向けてドライブシャフト5が延びている。ドライブシャフト5の端部には、左右の前輪6l,6rが取り付けられている。
ドライブシャフト5には、左前輪6lに近い部分に左前ブレーキ7lが設けられ、右前輪6rに近い部分に右前ブレーキ7rが設けられている。
車両1の後方には、左右の後輪8l,8rが配置されている。左右の後輪8l,8rのそれぞれは、図示を省略するリヤアームに取り付けられている。そして、左後輪8lを軸支するシャフト(図示を省略)には左後ブレーキ9lが設けられ、右後輪8rを軸支するシャフト(図示を省略)には右後ブレーキ9rが設けられている。
図1に示すように、車両1の車室内における運転席の前方部分には、ステアリングホイール10が配置されている。ステアリングホイール10は、ステアリングシャフト11の先端部分に取り付けられている。ステアリングシャフト11の他端は、ステアリングギヤ12に接続されている。また、ステアリングシャフト11には、ステアリングアクチュエータ14が接続されており、ステアリングシャフト11を介してステアリングホイール10に対して操舵トルク(操舵力)を付与可能となっている。即ち、車両1では、ステアリングアクチュエータ14が操舵力を生成する操舵力生成部として機能する。
また、ステアリングシャフト11には、操舵角を検出するための操舵角センサ15が取り付けられている。車両1では、操舵角センサ15は、横速度検出部として機能する。
さらに、ステアリングギヤ12には、タイロッド13が接続されている。タイロッド13の左右への移動に伴い、前輪6l,6rの向きが変更される。
図1に示すように、車両1には、3つのレーダ16,17,18と車室外カメラ19とが設けられている。3つのレーダ16,17,18の内、レーダ16は、車両1の前方部分に配置され、残りの2つのレーダ17,18は、車両1の側部に配置されている。これらレーダ16,17,18は、自車両(車両1)の周囲の車両の検出や、車両1と周囲の車両との相対速度および相対距離を検出する機能を有する。
車室外カメラ19については、車両1が走行する車線(レーン)の両側の区画線を検出し、これにより、車両1が走行する車線を検出する。即ち、本実施形態に係る車両1において、車室外カメラ19は、車線検出部として機能する。
また、車両1には、ヨーレートセンサ20が設けられている。ヨーレートセンサ20は、車両1において、横速度検出部として機能する。
さらに、車両1には、地図情報格納部21が設けられている。地図情報格納部21は、車両1が走行する道路に関する情報などが格納されている。地図情報格納部21に格納された地図情報には、道路における車線情報も含まれている。
なお、地図情報格納部21は、外部に設けられたサーバと通信を行う機能を備えていてもよく、逐次にサーバとの間での通信を行い道路情報などに関する情報を取得することができるように構成することも可能である。
また、車両1には、乗車する乗員に警報の発報が可能な警報機22が設けられている。
また、車両1の変速機3のアウトプットシャフト(図示を省略)に対しては、当該車両1の車速を検出するための車速センサ23が接続されている。即ち、車両1において、車速センサ23は、車速検出部として機能する。
また、車両1には、コントロールユニット24も設けられている。コントロールユニット24は、CPU、ROM、RAMなどから構成されたマイクロプロセッサを有して構成されているとともに、図1および図2に示すように、操舵角センサ15、レーダ16,17,18、車室外カメラ19、ヨーレートセンサ20、地図情報格納部21、および車速センサ23などと接続されており、各種情報を逐次受け付ける構成となっている。
また、コントロールユニット24は、受け付けた情報を基に、エンジン2、ステアリングアクチュエータ14、警報機22、およびブレーキ7l,7r,9l,9rに対して指令することができるようになっている。
さらに、図2に示すように、コントロールユニット24は、第1操舵トルク付与部(第1操舵力付与部)241、第2操舵トルク付与部(第2操舵力付与部)242、車線幅算出部243、第1操舵トルク付与開始箇所設定部244.および第2操舵トルク付与開始箇所設定部245を有する。これらについては、後述する。
本実施形態では、コントロールユニット24は、車両制御部として機能する。
2.車室外カメラ19による車線LNの検出
車室外カメラ19による車線LNの検出について、図3を用いて説明する。図3は、車室外カメラ19による車線LNの検出を説明するための模式図である。
図3に示すように、車両1のフロントウインドシールドの車室内側に設けられた車室外カメラ19は、車両1の前方側の範囲θ19の検出が可能となっている。
ここで、本実施形態では、車線LNの左側に、左側区画線(車道外側線)DLが設けられ、車線LNの右側に、右側区画線(車道中央線)DLが設けられている。
車室外カメラ19は、左側区画線DLおよび右側区画線DLを少なくとも検出できる。なお、車室外カメラ19での左側区画線DLおよび右側区画線DLの検出では、各区画線DL,DLの内端EDLL,EDLRも検出可能となっている。
車室外カメラ19では、左側区画線DLと右側区画線DLとの検出により、その間の車線LNの検出を実行する。
なお、本実施形態に係る車線LNでは、左側区画線DLの内端EDLLと右側区画線DLの内端EDLRとの間の中点を通り、左側区画線DLの内端EDLLと右側区画線DLの内端EDLRとの双方に平行な仮想線が、車線中央CLNと規定される。
3.車両1の走行状況
次に、一例として仮定する、車両1の走行状況について、図4を用いて説明する。図4は、車両1を後方から見た状態で、車両1と区画線DL,DLとの位置を示す模式図である。
図4に示すように、車室外カメラ19による撮像結果に基づき、コントロールユニット24の車線幅算出部243は、左側区画線DLの内端EDLLと右側区画線DLの内端EDLRとの間の幅Wを算出する。そして、車線幅算出部243は、車線LNの幅Wから左右の半幅W2L,W2Rも算出する。
また、コントロールユニット24は、車室外カメラ19による撮像結果を基に、車線LNの車線中央CLNに対する車両1の車両中央CVCのズレ量Gを算出する。そして、この算出結果および車両1の車幅WVCより、車両左側端EVCLと左側区画線DLの内端EDLLとの間の間隔W3Lと、車両右側端EVCRと右側区画線DLの内端EDLRとの間の間隔W3Rと、も算出される。
ここで、車線LNの車線中央CLNと車両1の車両中央CVCとが合致している状態では、間隔W3Lと間隔W3Rとは、次の関係を満たす。
3L=W3R ・・(数1)
また、本実施形態においては、車両左側端EVCLと左側区画線DLの内端EDLLとが合致する状態、および、車両右側端EVCRと右側区画線DLの内端EDLRとが合致する状態でのズレ量(許容ズレ量)GMAXを次のように規定する。
MAX=(W-WVC)/2 ・・(数2)
上記のように算出したズレ量Gや間隔W3L,W3Rと車両1の車速Vを基に、コントロールユニット24の第1操舵トルク付与部241および第2操舵トルク付与部242がステアリングアクチュエータ14に対して操舵トルクの付与を指令することとなる。
4.コントロールユニット24による第1操舵特性CH1および第2操舵特性CH2の設定
コントロールユニット24による第1操舵特性CH1および第2操舵特性CH2の設定について、図5および図6を用いて説明する。図5は、コントロールユニット24による操舵特性の設定の方法を示すフローチャートであり、図6は、車線LNにおける幅方向での位置と、第1操舵特性CH1および第2操舵特性CH2と、の関係の一例を示す模式図である。
なお、図6において、「EGR」で示す位置は、車線LNの車線中央CLNから右側に向けて許容ズレ量GMAXだけ離れた位置であり、以下の説明では、「許容右端箇所EGR」と記載する。
図5に示すように、コントロールユニット24は、車線逸脱防止機能およびセンターキープ機能が作動中であるか否かを判定する(ステップS1、ステップS2)。これは、詳細な説明を省略したが、車線逸脱防止機能およびセンターキープ機能の何れか一方、または両方の機能を、運転者の選択により作動停止とすることができることを考慮したものである。
コントロールユニット24は、車線逸脱防止機能およびセンターキープ機能の少なくとも一方の機能の作動について、停止指令がなされている場合には(ステップS1:No、ステップS2:No)、制御をリターンする。
一方、コントロールユニット24は、車線逸脱防止機能およびセンターキープ機能の両機能が作動中であると判定した場合には、車室外カメラ19および車速センサ23からの情報(検出結果)を取得する(ステップS3)。
上述のように、コントロールユニット24の車線幅算出部243は、車室外カメラ19による検出結果に基づいて、車線LNの幅Wや上記(数2)の許容ズレ量GMAXなどを算出する。
次に、コントロールユニット24の第1操舵トルク付与部241は、車速センサ23による検出結果(車両1の車速V)に基づいて、第1操舵特性CH1を設定する(ステップS4)。第1操舵特性CH1は、センターキープのために車両1のステアリングホイール10に付与する操舵トルクを規定する特性であり、図6に一例として示すように、第1トルク値TO1から第2トルク値TO2までの間のトルク値が幅方向における位置ごとに設定されている。
具体的に、図6に一例として示す第1操舵特性CH1では、第1操舵トルク付与開始箇所設定部244により車線LNの車線中央CLN上に第1操舵トルク付与開始箇所P0が設定され、車両中央CVCが車線LNの幅方向外側の箇所P1までの間にある場合には第1トルク値TO1が付与されるように特性が設定されている。
図6に一例として示す第1操舵特性CH1において、車両中央CVCが車線LNの幅方向における中間の箇所P1と箇所P2との間にある場合には、操舵トルク値が第1トルク値TO1から第2トルク値TO2までの間を漸次変化する。即ち、箇所P1と箇所P2の間には、トルク上昇部(第1操舵力上昇部)L1が設定されている。そして、車両中央CVCが箇所P2と許容右端箇所EGRとの間にある場合には、第2トルク値TO2が維持される。即ち、箇所P2と許容右端箇所EGRとの間には、トルク維持部L2が設定されている。
なお、図6に示すように、第1操舵特性CH1においては、箇所P1よりも外側の一部および箇所P2よりも内側の一部が、一次関数的に操舵トルク値が変化するのではなく、二次関数的または指数関数的または対数関数的に操舵トルク値が変化するように特性が設定されている。
図5に戻って、コントロールユニット24の第2操舵トルク付与部242は、車線幅算出部243により算出された車線幅Wに基づいて、第2操舵特性CH2を設定する(ステップS5)。第2操舵特性CH2は、車線逸脱防止のために車両1のステアリングホイール10に付与する操舵トルクを規定する特性であり、図6に一例として示すように、第3トルク値TO3を上限として幅方向における位置ごとにトルク値が設定されている。
具体的に、図6に一例として示す第2操舵特性CH2では、第2操舵トルク付与開始箇所設定部245により車線LNの幅方向における中間の箇所に第2操舵トルク付与開始箇所P3が設定される。そして、図6に一例として示す第2操舵特性CH2において、車両中央CVCが第2操舵トルク付与開始箇所P3とそれよりも外側の箇所P4との間にある場合には、操舵トルク値が“0”から第3トルク値TO3までの間を漸次変化する。即ち、箇所P3と箇所P4との間には、トルク上昇部(第2操舵力上昇部)L3が設定されている。そして、車両中央CVCが箇所P4と許容右端箇所EGRとの間にある場合には、第3トルク値TO3が維持される。即ち、箇所P4と許容右端箇所EGRとの間には、トルク維持部L4が設定されている。トルク維持部L4は、許容右端箇所EGRを基準に、その内側の幅WL4の領域に設定されている。本実施形態において、幅WL4は、30~50cmの範囲内の値(一例として、40cm)である。
なお、図6に示すように、第2操舵特性CH2においても、第2操舵トルク付与開始箇所P3よりも外側の一部および箇所P4よりも内側の一部が、一次関数的に操舵トルク値が変化するのではなく、二次関数的または指数関数的または対数関数的に操舵トルク値が変化するように特性が設定されている。
ここで、図6では、車両中央CVCが車線LNの車線中央CLNから許容右端箇所EGRまでの間の領域にある場合に設定される第1操舵特性CH1および第2操舵特性CH2の一例を示したが、車両中央CVCが車線LNの車線中央CLNから許容左端箇所までの間の領域にある場合については、図6に示すのとは線対称の関係を以って第1操舵特性CH1および第2操舵特性CH2が設定される。
上記における「許容左端箇所」は、車線中央CLNを挟んで許容右端箇所EGRとは線対称の関係を以って規定される箇所であって、車線中央CLNから左側に向けて許容ズレ量GMAXだけ離れた位置である。
5.車両1のステアリングホイール10に付与される操舵トルクST1,ST2
車線LNにおける車両1の幅方向位置と、車両1のステアリングホイール10に付与される操舵トルクST1,ST2との関係について、図6および図7を用いて説明する。図7(a)は、車両1が車線LNにおける車線中央CLNから右側に寄った場合を示す模式平面図であり、図7(b)は、車両1がさらに右側に寄った場合を示す模式平面図である。
先ず、図7(a)に示すように、車速Vで走行している車両1の車両中央CVCが、車線LNの車線中央CLNから右側(矢印A)に向けてG1だけ寄った状態を想定する。車両中央CVCのズレ量G1は、図6における車線中央CLNから第1操舵特性CH1と第2操舵特性CH2との交点(特性切換箇所P5)までの間のズレ量である。
図7(a)に示す状況では、車両1のステアリングホイール10に対して第1操舵特性CH1に基づく操舵トルク(第1操舵力)ST1が付与される。これにより、車両1の車両中央CVCが車線LNの車線中央CLNへと戻るように作用する。
次に、図7(b)に示すように、車両1の車両中央CVCが、車線LNの車線中央CLNからさらに右側(矢印B)に向けてG2だけ寄った状態を想定する。車両中央CVCのズレ量G2は、図6における特性切換箇所P5から許容右端箇所EGRまでのズレ量である。
図7(b)に示す状況では、車両1のステアリングホイール10に対して第2操舵特性CH2に基づく操舵トルク(第2操舵力)ST2が付与される。これにより、車両右側端EVCRが右側区画線DLから外側に逸脱するのを抑制することができる。
6.車両1の車速Vと第1操舵特性CH1との関係
車両1の車速Vと設定される第1操舵特性CH1との関係について、図8を用いて説明する。図8は、車両1の車速Vと設定される第1操舵特性CH1との関係を示す模式図である。
図8に示すように、本実施形態に係る車両1では、車両1の車速Vに応じて、設定される第1操舵特性CH1が、CH1A~CH1Jのように変化する(矢印C)。なお、図8では、車速Vに応じて変化する第1操舵特性CH1のうち、CH1A~CH1Jを抽出して描いているが、隣り合う特性同士の間やCH1Aよりも低速側あるいはCH1Jよりも高速側にも第1操舵特性CH1が設定される。
具体的には、第1操舵特性CH1におけるトルク上昇部L1が、車速Vが高くなるほど車線LNの幅方向外側に設定される。換言すると、車線LNの幅方向における任意箇所での操舵トルク値は、車速Vが高くなるほど低く設定される。
図8に示すように、車速Vが比較的低速域にある場合には、第1操舵トルク付与開始箇所P0がP0A~P0Dで示すように車線中央CLN上に規定された第1操舵特性CH1A~CH1Dが設定される。
車速Vが比較的低速域にある場合に設定される第1操舵特性CH1A~CH1Dは、車速Vが低速域の内でも低速から高速へと変化するのに従って、CH1A→CH1B→CH1C→CH1Dのように漸次変更される。
ここで、図8に示すように、車速Vが低速域の内でも低速から高速へと変化するのに従って、矢印Dで示すように、第1操舵トルク値TO1もTO1A→TO1B→TO1C→TO1Dのように漸次変更される。
車速Vが比較的高速域にある場合には、第1操舵トルク付与開始箇所P0がP0E~P0Jで示すように車線LNの幅方向に漸次変化するように規定される第1操舵特性CH1E~CH1Jが設定される。
車速Vが比較的高速域にある場合に設定される第1操舵特性CH1E~CH1Jは、車速Vが高速域の内でも低速から高速へと変化するのに従って、CH1E→CH1F→CH1G→CH1H→CH1I→CH1Jのように漸次変更される。
なお、本実施形態では、一例として、車速Vが36km/h、43km/h、50km/h、57km/h、64km/h、71km/h、78km/h、85km/h、92km/h、99km/hのそれぞれの場合に、第1操舵特性としてCH1A、CH1B、CH1C、CH1D、CH1E、CH1F、CH1G、CH1H、CH1I、CH1Jが設定される。
また、上述のように、図8に示した各特性線の各間および内外にも、車速Vに応じて第1操舵特性CH1が設定される。
また、図8では、車両中央CVCが車線中央CLNよりも右側にある場合だけを示したが、車両中央CVCが車線中央CLNよりも左側にある場合においても、図8に示すのとは線対称の関係を以って車速Vに応じた第1操舵特性CH1が設定される。
7.車線LNの幅Wと第2操舵特性CH2との関係
車線LNの幅Wと設定される第2操舵特性CH2との関係について、図9を用いて説明する。図9は、車線LNの幅Wと車両1の幅WVCとから規定される許容右端箇所EGRとの関係で設定される第2操舵特性CH2を示す模式図である。
図9に示すように、第2操舵特性CH2の設定時における基準となる許容右端箇所EGRは、車線LNの幅Wの広狭に伴って車線LNの幅方向に変化する。そして、この許容右端箇所EGRの幅方向への変化に伴って、CH2A~CH2Gで示すように、トルク上昇部L3が車線LNの幅方向にスライドするように変化する(矢印E)。なお、図9では、許容右端箇所EGRの幅方向位置に応じて変化する第2操舵特性CH2のうち、CH2A~CH2Gを抽出して描いているが、隣り合う特性同士の間や幅方向の内外にも第2操舵特性CH2が設定される。
具体的に説明すると、図9に示すように、本実施形態に係る車両1では、許容右端箇所EGRを基準として、その内側に幅WL4のトルク維持部L4を有する第2操舵特性CH2(CH2A~CH2G)が設定される。本実施形態においては、上述のように、トルク維持部L4の幅WL4は一定の幅(例えば、30~50cm)である。このような規定により、第2操舵特性CH2は、許容右端箇所EGRの位置に応じて、車線LNの幅方向にスライドした状態で第2操舵特性CH2A~CH2Gが設定される。
そして、各第2操舵特性CH2A~CH2Gの第2操舵トルク付与開始箇所P3A~P3Gは、それぞれの特性を設定する際の基準である許容右端箇所EGRに応じて、車線LNの幅方向の所定位置に設定される。
なお、図9では、車両中央CVCが車線中央CLNよりも右側にある場合だけを示したが、車両中央CVCが車線中央CLNよりも左側にある場合においても、図9に示すのとは線対称の関係を以って許容左端箇所を基準とする第2操舵特性CH2が設定される。
8.車両1の車速Vおよび横速度と第2操舵特性CH2との関係
車両1の車速Vおよび横速度と設定される第2操舵特性CH2との関係について、図10を用いて説明する。図10は、車両1の車速Vおよび横速度の少なくとも一方と設定される第2操舵特性CH2との関係を示す模式図である。
本実施形態に係る車両1では、上述のように、許容右端箇所EGRに応じて第2操舵特性CH2が設定されるのに加えて、車両1の車速Vおよび横速度の少なくとも一方により第2操舵特性CH2のトルク上昇部L3が設定される。なお、車両1の横速度は、操舵角センサ15およびヨーレートセンサ20の少なくとも一方の検出結果を基に算出される。
図10に示すように、第2操舵特性CH2は、車速Vおよび横速度の少なくとも一方が高くなるほど、CH2H~CH2Mで示すようにトルク上昇部(第2操舵力上昇部)L3が漸次変化するように設定される(矢印F)。具体的には、トルク上昇部L3における車線LNの幅方向の任意箇所では、車速Vおよび横速度の少なくとも一方が高くなるほど、CH2H→CH2I→CH2J→CH2K→CH2L→CH2Mのように、操舵トルク値が大きくなるように設定される。
また、図10に示すように、車速Vおよび横速度の少なくとも一方が高くなるほど、P3H→P3I→P3J→P3K→P3L→P3Mのように、第2操舵特性CH2における第2操舵トルク付与開始箇所(第2操舵力付与開始箇所)が車線LNの幅方向内側に設定される。第2操舵トルク付与開始箇所P3H~P3Mの設定も、上述のように、第2操舵トルク付与開始箇所設定部245により行われる。
なお、図10に示す特性図(横軸に車線LNの幅方向をとり、縦軸に付与する操舵トルク値をとった特性図)のように、車速Vおよび横速度の少なくとも一方が高くなるほど、P3H→P3I→P3J→P3K→P3L→P3Mのように、第2操舵特性CH2のトルク上昇部L3における傾きが緩やかになるように変更される。より具体的には、第2操舵特性CH2のトルク上昇部L3は、下向き凸の曲線を描いて規定された部分を有するが、車速Vおよび横速度の少なくとも一方が高くなるほど、下向きに凸の度合いが小さくなり、緩やかな曲線を描くように変更される。
なお、図10に示すように、本実施形態に係る第2操舵特性CH2においては、車速Vおよび横速度の変化によっても、トルク維持部L4の幅WL4は不変である。
9.車両1における横速度
車両1の横速度の検出における操舵角とヨーレートとの割合について、図11を用いて説明する。図11は、車速Vごとの、横速度の検出における操舵角とヨーレートとの割合を示す模式図である。
図11に示すように、本実施形態に係る車両1では、横速度の検出について、操舵角センサ15の検出結果とヨーレートセンサ20の検出結果とを用いる。そして、コントロールユニット24は、横速度の検出に際して、車速Vに応じて操舵角センサ15の検出結果とヨーレートセンサ20の検出結果との重みづけを行うこととしている。
具体的には、車速Vが比較的低速の車速Vまでの範囲では、操舵角センサ15の検出結果だけをベースに横速度を規定する。
一方、車速Vが比較的高速の車速V以上の範囲では、ヨーレートセンサ20の検出結果だけをベースに横速度を規定する。そして、車速Vが車速Vから車速Vまでの範囲では、操舵角センサ15の検出結果とヨーレートセンサ20の検出結果とを併せて横速度を規定する。
ここで、車速Vが車速Vから車速Vまでの範囲では、車速Vが低いほど操舵角センサ15の検出結果に重みづけがなされ、車速Vが高いほどヨーレートセンサ20の検出結果に重みづけがなされる。
10.効果
本実施形態に係る車両1では、車速Vが高いほど第1操舵特性CH1のトルク上昇部L1が図8のCH1A~CH1Jのように車線LNの幅方向外側に設定されるので、高速での走行時などに、車線LNの中央領域におけるセンターキープのための操舵制御の介入を抑制することができる。よって、本実施形態に係る車両1では、高速での走行時などで、運転中の運転者が煩わしさや違和感を覚えるのを抑えることができる。
また、本実施形態に係る車両1では、車速Vおよび横速度の少なくとも一方が高いほど第2操舵特性CH2のトルク上昇部L3における任意箇所(車線LNの幅方向の任意箇所)が図10のCH2H~CH2Mのように操舵トルク値が大きく設定されるので、より確実に車線逸脱の抑制が図られる。よって、本実施形態に係る車両1では、高速・高横速度での走行時などでも車線逸脱を防ぐことで高い安全性を確保することができる。
また、本実施形態に係る車両1では、第2操舵特性CH2における第2操舵トルク付与開始箇所P3が、図10のP3H~P3Mのように車速Vおよび横速度の少なくとも一方が高いほど車線LNの幅方向内側に設定されるので、高速・高横速度での走行時などにおいてより車線中央CLN側から操舵トルクST2が付与されるようになる。よって、本実施形態に係る車両1では、より高い安全性を確保するのに優位である。
また、本実施形態に係る車両1では、第2操舵特性CH2におけるトルク上昇部L3の傾きが、図10に示すように車速Vおよび横速度の少なくとも一方が高いほど緩やかに設定される。即ち、本実施形態に係る車両1では、車速Vが高いほど、横速度が高いほど車線中央CLN側から高い操舵トルクST2が、より緩やかな傾きを以って上昇するように付与されるので、高速・高横速度での走行時などでより高い安全性を確保することができる。また、本実施形態に係る車両1では、車速Vが高いほど、横速度が高いほど第2操舵トルク付与開始箇所P3がより車線中央CLN側に設定され、且つ、緩やかな傾きを以って上昇するように操舵トルクST2が付与されるので、高速・高横速度での走行時などでより高い安全性を確保することができる。
また、本実施形態に係る車両1では、横速度の検出結果も採用して第2操舵特性に基づく操舵トルク値の大きさを規定することとしているので、より確実に安全性の確保が可能であるとともに、横速度が低い場合などに運転者が煩わしさや違和感を覚えるのを抑制することができる。
[変形例]
上記実施形態では、車両1の車速Vが比較的低速である場合に設定される第1操舵特性CH1(CH1A~CH1D)が図8に示したように一定のトルク値が維持されるトルク維持部を有することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、車速Vが比較的高速である場合に設定される第1操舵特性CH1E~CH1Jと同様に、トルク上昇部L1と操舵トルク値TO2で維持されるトルク維持部L2とから構成される特性とすることもできる。
上記実施形態では、第2操舵特性CH2において、許容右側箇所EGRまたは許容左側箇所を基準として一定の幅WL4(一例として、30~50cm)を以ってトルク維持部L4が設定されることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、車線LNの幅Wや車速Vに応じて幅WL4を漸次変化させることとしてもよい。
上記実施形態では、警報機22が果たす役割については言及しなかったが、例えば、車両1の車両中央CVCが許容右側箇所EGRや許容左側箇所に近接する状況となった場合に、警報機22により警報を発することとすることもできる。より具体的には、車両1の車両中央CVCが箇所P4よりも幅方向外側に位置することとなった場合に、警報機22から運転者に向けて警報を発することとしてもよい。
また、車両1の車両中央CVCが許容右側箇所EGRや許容左側箇所に近接する状況となった場合には、エンジン2やブレーキ7l,7r,9l,9rへの指令により、車速Vを減速することとしてもよい。
上記実施形態では、車両1の動力源としてエンジン2を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、電動モータを駆動源とすることも可能である。
1 車両
10 ステアリングホイール
14 ステアリングアクチュエータ(操舵力生成部)
15 操舵角センサ(横速度検出部)
19 車室外カメラ
20 ヨーレートセンサ(横速度検出部)
23 車速センサ(車速検出部)
24 コントロールユニット(車両制御部)
241 第1操舵トルク付与部(第1操舵力付与部)
242 第2操舵トルク付与部(第2操舵力付与部)
243 車線幅算出部
CH1,CH1A~CH1J 第1操舵特性
CH2,CH2A~CH2M 第2操舵特性
LN 車線中央
VC 車両中央
DL,DL 区画線
L1 トルク上昇部(第1操舵力上昇部)
L3 トルク上昇部(第2操舵力上昇部)

Claims (11)

  1. 走行状況に応じて、車両のステアリングホイールに対して操舵力を付与する車両制御装置であって、
    前記車両への前記操舵力を生成する操舵力生成部と、
    前記車両が走行する車線を検出する車線検出部と、
    前記車両の車速を検出する車速検出部と、
    前記車線検出部および前記車速検出部からの各検出結果を逐次取得し、当該取得した前記検出結果に基づき前記操舵力生成部に対して前記ステアリングホイールへの前記操舵力の付与を指令する車両制御部と、
    を備え、
    前記車両制御部は、
    前記車両が前記車線の中央を走行するように、第1操舵特性に基づく前記操舵力である第1操舵力を付与するように前記操舵力生成部に指令する第1操舵力付与部と、
    前記車両が前記車線から逸脱するのを抑制するように、前記第1操舵特性とは異なる第2操舵特性に基づく前記操舵力である第2操舵力を付与するように前記操舵力生成部に指令する第2操舵力付与部と、
    を有し、
    横軸に前記車線の幅方向での位置をとり、縦軸に付与される前記操舵力の値をとった特性図において、前記第1操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第1操舵力上昇部を有し、前記第2操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第2操舵力上昇部を有し、
    前記第1操舵特性における前記第1操舵力上昇部は、前記車速が高いほど前記車線の幅方向外側に設定され、
    前記第2操舵力上昇部における前記車線の幅方向の任意箇所では、前記車速が高いほど前記第2操舵力の値が大きく設定される、
    車両制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両制御装置において、
    前記第2操舵特性において、前記車線の幅方向における前記第2操舵力の付与が開始される箇所は、前記車速が高いほど前記車線の幅方向内側に設定される、
    車両制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両制御装置において、
    前記第2操舵力上昇部における傾きは、前記車速が高いほど緩やかに設定される、
    車両制御装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れかに記載の車両制御装置において、
    車両の横速度を検出する横速度検出部をさらに備え、
    前記車両制御部は、前記車線検出部および前記車速検出部からの各検出結果に加えて、前記横速度検出部からの検出結果も逐次取得し、
    前記第2操舵力上昇部における前記車線の幅方向の任意箇所では、前記横速度が高いほど前記第2操舵力の値が大きく設定される、
    車両制御装置。
  5. 走行状況に応じて、車両のステアリングホイールに対して操舵力を付与する車両制御装置であって、
    前記車両への前記操舵力を生成する操舵力生成部と、
    前記車両が走行する車線を検出する車線検出部と、
    前記車両の車速を検出する車速検出部と、
    車両の横速度を検出する横速度検出部と、
    前記車線検出部、前記車速検出部、および前記横速度検出部からの各検出結果を逐次取得し、当該取得した前記検出結果に基づき前記操舵力生成部に対して前記ステアリングホイールへの前記操舵力の付与を指令する車両制御部と、
    を備え、
    前記車両制御部は、
    前記車両が前記車線の中央を走行するように、第1操舵特性に基づく前記操舵力である第1操舵力を付与するように前記操舵力生成部に指令する第1操舵力付与部と、
    前記車両が前記車線から逸脱するのを抑制するように、前記第1操舵特性とは異なる第2操舵特性に基づく前記操舵力である第2操舵力を付与するように前記操舵力生成部に指令する第2操舵力付与部と、
    を有し、
    横軸に前記車線の幅方向での位置をとり、縦軸に付与される前記操舵力の値をとった特性図において、前記第1操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第1操舵力上昇部を有し、前記第2操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第2操舵力上昇部を有し、
    前記第1操舵特性における前記第1操舵力上昇部は、前記車速が高いほど前記車線の幅方向外側に設定され、
    前記第2操舵力上昇部における前記車線の幅方向の任意箇所では、前記横速度が高いほど前記第2操舵力の値が大きく設定される、
    車両制御装置。
  6. 請求項5に記載の車両制御装置において、
    前記第2操舵特性において、前記車線の幅方向における前記第2操舵力の付与が開始される箇所は、前記横速度が高いほど前記車線の幅方向内側に設定される、
    車両制御装置。
  7. 請求項5または請求項6に記載の車両制御装置において、
    前記第2操舵力上昇部における傾きは、前記横速度が高いほど緩やかに設定される、
    車両制御装置。
  8. 請求項4から請求項7の何れかに記載の車両制御装置において、
    前記横速度検出部は、操舵角を検出する操舵角センサと、ヨーレートを検出するヨーレートセンサと、を有し、
    前記横速度検出部は、前記車速が低いほど前記操舵角センサの検出結果を基に前記横速度を設定し、前記車速が高いほど前記ヨーレートセンサの検出結果を基に前記横速度を設定する、
    車両制御装置。
  9. 走行状況に応じて、車両のステアリングホイールに対して操舵力を付与する車両制御方法であって、
    前記車両が走行する車線を検出する車線検出ステップと、
    前記車両の車速を検出する車速検出ステップと、
    前記車線検出ステップおよび前記車速検出ステップで検出された各検出結果に基づいて、前記ステアリングホイールに前記操舵力を付与する操舵力付与ステップと、
    を備え、
    前記操舵力付与ステップは、
    前記車両が前記車線の中央を走行するように、第1操舵特性に基づく前記操舵力である第1操舵力を付与する第1操舵力付与サブステップと、
    前記車両が前記車線から逸脱するのを抑制するように、前記第1操舵特性とは異なる第2操舵特性に基づく前記操舵力である第2操舵力を付与する第2操舵力付与サブステップと、
    を有し、
    横軸に前記車線の幅方向での位置をとり、縦軸に付与される前記操舵力の値をとった特性図において、前記第1操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第1操舵力上昇部を有し、前記第2操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第2操舵力上昇部を有し、
    前記第1操舵特性における前記第1操舵力上昇部は、前記車速が高いほど前記車線の幅方向外側に設定され、
    前記第2操舵力上昇部における前記車線の幅方向の任意箇所では、前記車速が高いほど前記第2操舵力の値が大きく設定される、
    車両制御方法。
  10. 請求項9に記載の車両制御方法において、
    車両の横速度を検出する横速度検出ステップをさらに備え、
    前記操舵力付与ステップでは、前記車線検出ステップおよび前記車速検出ステップで検出された各検出結果に加えて、前記横速度検出ステップで検出された検出結果も加味して前記操舵力の付与を行い、
    前記第2操舵力上昇部における前記車線の幅方向の任意箇所では、前記横速度が高いほど前記第2操舵力の値が大きく設定される、
    車両制御方法。
  11. 走行状況に応じて、車両のステアリングホイールに対して操舵力を付与する車両制御方法であって、
    前記車両が走行する車線を検出する車線検出ステップと、
    前記車両の車速を検出する車速検出ステップと、
    車両の横速度を検出する横速度検出ステップと、
    前記車線検出ステップ、前記車速検出ステップ、および前記横速度検出ステップで検出された各検出結果に基づいて、前記ステアリングホイールに前記操舵力を付与する操舵力付与ステップと、
    を備え、
    前記操舵力付与ステップは、
    前記車両が前記車線の中央を走行するように、第1操舵特性に基づく前記操舵力である第1操舵力を付与する第1操舵力付与サブステップと、
    前記車両が前記車線から逸脱するのを抑制するように、前記第1操舵特性とは異なる第2操舵特性に基づく前記操舵力である第2操舵力を付与する第2操舵力付与サブステップと、
    を有し、
    横軸に前記車線の幅方向での位置をとり、縦軸に付与される前記操舵力の値をとった特性図において、前記第1操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第1操舵力上昇部を有し、前記第2操舵特性は、前記車線の幅方向における内側から外側に向けて前記操舵力が漸増する第2操舵力上昇部を有し、
    前記第1操舵特性における前記第1操舵力上昇部は、前記車速が高いほど前記車線の幅方向外側に設定され、
    前記第2操舵力上昇部における前記車線の幅方向の任意箇所では、前記横速度が高いほど前記第2操舵力の値が大きく設定される、
    車両制御方法。
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