JP3233750B2 - 電子写真感光体及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体及び電子写真装置

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JP3233750B2
JP3233750B2 JP25533793A JP25533793A JP3233750B2 JP 3233750 B2 JP3233750 B2 JP 3233750B2 JP 25533793 A JP25533793 A JP 25533793A JP 25533793 A JP25533793 A JP 25533793A JP 3233750 B2 JP3233750 B2 JP 3233750B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体及び電子
写真装置に関し、特に表面エネルギーが低く現像剤、ク
リーニングブレード、付着物、汚染物等と感光体表面と
の接触エネルギーを低減させ、かつ高画質を実現する電
子写真感光体及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体に用いられる光導
電材料としては、酸化亜鉛、セレン、硫化カドミウム等
の無機材料が知られていた。有機系のポリビニルカルバ
ゾール、フタロシアニン、アゾ顔料等は、高生産性、無
公害性等の利点が注目され、光導電特性、耐久性等には
劣る欠点はあるものの広く用いられるようになってき
た。最近ではそれらの欠点も改善された新規材料が考案
されつつあり、特に光導電特性は無機系をしのぎつつあ
る。
【0003】電子写真感光体は複写機、レーザービーム
プリンター等における電子写真プロセスにおいて、帯
電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等の作用を
反復して受けるため物理的、機械的、化学的、電気的等
さまざまな耐久性及び安定性を要求される。また、現像
剤、転写材、コロナ生成物、クリーニングブレード等の
接触物と感光体表面との相互作用に関しては、感光体の
表面エネルギーも重要な要素となる。
【0004】一方、前記の有機光導電材料は、単独では
成膜性を有さないためバインダー樹脂とともに成膜され
るのが一般的である。従って、表面エネルギー等の物性
は、このバインダー樹脂の選択によりほとんど限定され
るといっても過言ではない。しかし、光導電特性と機械
的強度とを満足するバインダー樹脂はかなり限定されて
おり、十分な低表面エネルギー表面は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】感光体の表面物性に最
も関与する電子写真プロセスは、クリーニングと転写で
ある。近年、現像剤の微粒化等に伴い、クリーニングは
ますます高精度を要求されている。また、装置の省スペ
ース化に伴い、より簡略な装置構成を実現するために
も、ブレードクリーニングを採用するのが有利である。
ブレードクリーニングは、板状のポリウレタン等の弾性
部材を感光体上母線方向に突き当てただけの簡単な構成
をとる。しかし、このような場合、感光体とブレードと
の間に大きな接触エネルギーが生じ、感光体の摩耗を促
進し耐久性の低下を起こしてしまう。
【0006】これに対処するためには、感光体の機械的
強度向上と、感光体表面エネルギーの低下による接触エ
ネルギーの低下とが有効である。前者は一般的にはバイ
ンダー樹脂の高分子量化、硬化性バインダー樹脂の使用
等が考えられる。しかしながら、高分子量バインダー樹
脂は有機感光体の主たる製造法であるコーティング工程
において、コーティング塗料の増粘を引き起こすため、
高分子化には限界がある。また、硬化性バインダー樹脂
については、硬化時の有機光導電材料の反応劣化、未反
応官能基や重合開始剤副生成物等による不純物凖位の形
成等により光導電特性劣化等の弊害があり、充分な実用
域に達していないのが実状である。
【0007】後者の方法としてはフッ素系、シリコン系
等の低表面エネルギー化合物の使用が考えられたが、単
独では成膜性や相溶性を満足する材料はなかった。そこ
で、前記フッ素系、シリコン系の化合物を感光層中に分
散させる手段が試みられたが、微粒子あるいは相分離し
たこれらの化合物は感光層に入射する光を散乱したり反
射してしまい忠実な潜像形成の妨げとなる場合があっ
た。特に、近年頻繁に用いられるようになってきている
デジタル信号により制御されたレーザー、LED、液晶
シャッター等のドット状微小潜像を用いるプロセスで
は、この影響が大きく画像の均一性低下等を引き起こ
す。
【0008】一方、転写については、現像剤の小粒径化
に伴い高効率の転写がしにくくなっており、より転写効
率の高い感光体表面が望まれていたが、従来の材料では
その実現は困難であった。その結果、転写不良による画
像品位の乱れ等が引き起こされていた。
【0009】本発明の目的は、電子写真特性を劣化させ
ることなく表面エネルギー等の表面物性を向上させ、耐
久性及び安定性に優れた電子写真感光体及び電子写真装
置を得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
ット状の静電潜像が形成される電子写真感光体であっ
て、導電性支持体上に感光層及び保護層を有する電子写
真感光体において、該保護層が0.1〜10μmの膜厚
を有する表面層であり、かつテトラフルオロエチレン、
ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、ク
ロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化
ビニル、パーフルオロアルキルビニルエーテルの重合体
及びこれらの共重合体からなる群より選択されるフッ素
原子含有化合物粉体、及び該フッ素原子含有化合物粉体
との屈折率の差が0.2以下の樹脂を含有することを特
徴とする電子写真感光体である。
【0011】また、本発明は、導電性支持体上に感光層
及び保護層を有する電子写真感光体及び該電子写真感光
上にドット状の静電潜像を形成する露光手段を有する
電子写真装置において、該保護層が0.1〜10μmの
膜厚を有する表面層であり、かつテトラフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレ
ン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、
フッ化ビニル、パーフルオロアルキルビニルエーテルの
重合体及びこれらの共重合体からなる群より選択される
フッ素原子含有化合物粉体、及び該フッ素原子含有化合
粉体との屈折率の差が0.2以下の樹脂を含有するこ
とを特徴とする電子写真装置である。
【0012】前記フッ素原子含有化合物は、主に炭素−
フッ素結合を含有し、フッ素原子の重量比率は化合物を
構成する原子の30〜80%を占めることが好ましい。
フッ素原子は水素原子に次いでファンデルワールス半径
が小さいばかりでなく、最も電気陰性度が高い原子であ
り、更に最外殻電子と原子核との相互作用が強く分極率
が小さい等の特徴を有する。そのため、炭素−フッ素結
合はその原子間距離が短い、結合エネルギーが高い、分
極率の小さな共有結合を生成する等の特徴を有する。そ
の結果フッ素原子含有化合物は、熱的、化学的及び電気
的に安定かつ、分子間凝集力が小さいため表面エネルギ
ーが低いほか、光の屈折率が小さい傾向にある。
【0013】フッ素原子含有化合物を均一分散させた感
光層は、フッ素原子含有化合物の小さな分子間凝集力を
反映し著しく低エネルギーの表面を与える。そのため、
感光体表面とその表面に接触する現像剤、クリーニング
ブレード等との接触エネルギーを著しく低減することが
可能となり、クリーニング負荷による感光体の削れが抑
制される。更に、本発明で得られる低エネルギー表面の
感光体は、現像剤の転写効率を著しく高め、転写不良等
のない高品位の複写画像を可能にする。
【0014】ただし、前述したようにフッ素原子含有化
合物は分子間凝集力が著しく小さく、感光層を構成する
感光材料や樹脂との相溶性に乏しいので、相分離もしく
は分散した状態で感光層に含有される。そのような場
合、分離した2相間の屈折率差が大きいと、感光層に入
射した光像が散乱され、忠実な潜像形成の妨げになる場
合がある。特に、近年頻繁に用いられるようになってき
ているデジタル信号により抑制されたレーザー、LE
D、液晶シャッター等のドット状微小潜像を用いるプロ
セスでは、この影響が大きく画像の均一性低下等を引き
起こす。
【0015】そこで、屈折率の異なる樹脂を種々検討し
たところ、本発明の感光層においてフッ素原子含有化合
物を含有する層の樹脂としては、フッ素原子含有化合物
との屈折率差が0.2以下の樹脂を用いることが有効で
あると判明した。
【0016】フッ素原子含有化合物粉体としては、テト
ラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリ
フルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ
化ビニリデン、フッ化ビニル、パーフルオロアルキルビ
ニルエーテルの重合体及びそれらの共重合体からなる群
より選択される化合物が用いられる。フッ素原子含有化
合物粉体は、その粒径は0.005〜2.5μmの範囲
で使用可能であり、その分子量は重合体の場合3,00
0〜10,000,000の範囲で使用可能である。粒
径のより好ましい範囲は、0.01〜0.7μmの範囲
である。フッ素原子含有化合物粉体は、樹脂と共に表面
層組成物として分散される。分散の方法としては、サン
ドミル、ボールミル、ロールミル、ホモジナイザー、ナ
ノマイザー、ペイントシェイカー、超音波等が使用され
る。分散時には、補助的にフッ素系の界面活性剤、グラ
フトポリマー、カップリング剤等を用いてもさしつかえ
ない。フッ素原子含有化合物粉体の含有量としては、含
有させる層の5〜75重量%が望ましい。
【0017】フッ素原子含有化合物と共に用いられる樹
脂としては、フッ素原子化合物の屈折率にもよるが、ポ
リエステル、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリエチ
レン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネー
ト、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリア
ミドイミド、ポリサルホン、ポリアリルエーテル、ポリ
アセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリシロキサン、ポリメ
チルメタクリレート、フェノキシ樹脂、フッ素樹脂、ナ
イロン、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹
脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、アルキッ
ド樹脂、ブチラール樹脂等やこれらから選ばれる2種以
上の樹脂の共重合体や混合物が使用可能である。
【0018】本発明の感光層は、単層または積層構造を
有する。単層構造の場合、光キャリアの生成及び移動は
同一層中で行われる。積層構造の場合、光キャリアを生
成する電荷発生層と、キャリアが移動する電荷輸送層と
が積層される。単層感光層は5〜100μmの厚さが可
能であり、より好ましくは10〜60μmである。電荷
発生材料や電荷輸送材料は20〜80重量%含有し、よ
り好ましくは30〜70重量%である。積層感光体にお
いては、電荷発生層の膜厚は0.001〜6μm、より
好ましくは0.0l〜2μmである。電荷発生材料の量
は10〜100重量%、より好ましくは40〜100重
量%である。電荷輸送層の膜厚は5〜100μm、より
好ましくは10〜60μmである。電荷輸送材料の量は
20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%で
ある。
【0019】本発明に用いられる電荷発生材料として
は、フタロシアニン顔料、多環キノン顔料、アゾ顔料、
ペリレン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、アズ
レニウム塩染料、スクアリリウム染料、シアニン染料、
ピリリウム染料、チオピリリウム染料、キサンテン色
素、キノンイミン色素、トリフェニルメタン色素、スチ
リル色素、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリ
コン、硫化カドミウム等が挙げられる。
【0020】本発明に用いられる電荷輸送材料として
は、ピレン化合物、カルバゾール化合物、ヒドラゾン化
合物、N,N−ジアルキルアニリン化合物、ジフェニル
アミン化合物、トリフェニルアミン化合物、トリフェニ
ルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、
スチルベン化合物等が挙げられる。
【0021】本発明の電子写真感光体は、感光層の上に
保護層を積層している。保護層の膜厚は0.1〜10μ
mである。保護層には前述した電荷発生材料または電荷
輸送材料や、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタ
ン、スズ、アンチモン、インジウム、鉛、亜鉛、金、銀
等の金属及びその酸化物、窒化物、塩、合金、更にはカ
ーボン等の導電材料等を含有してもよい。
【0022】本発明の電子写真感光体に用いられる導電
性支持体は、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタ
ン、スズ、アンチモン、インジウム、鉛、亜鉛、金、銀
等の金属や合金、あるいはそれらの酸化物やカーボン、
導電性樹脂などが使用可能である。形状は円筒形、ベル
ト状やシート状のものがある。また前記導電性材料は、
成形加工される場合もあるが、塗料として塗布したり、
蒸着してもよい。
【0023】導電性支持体と感光層との間に、下引層を
設けてもよい。下引層は主にバインダー樹脂からなる
が、前記導電性材料やアクセプターを含有してもよい。
下引層を形成するバインダー樹脂としては、ポリエステ
ル、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリエチレン、ポ
リスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリ
アミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリサルホン、ポリアリルエーテル、ポリアセター
ル、ナイロン、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコ
ーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、ア
ルキッド樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。
【0024】本発明の電子写真感光体の製造法は、蒸
着、塗布等の方法が用いられる。塗布にはバータータ
ー、ナイフコーター、ロールコーター、アトライター、
スプレー、浸漬塗布、静電塗布、粉体塗布等が用いられ
る。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 [実施例1]導電性酸化チタン(酸化スズ、酸化アンチ
モンコート、平均一次粒径0.4μm)5重量部、高抵
抗酸化チタン(アルミナコート、平均一次粒径0.4μ
m)5重量部、フェノール樹脂前駆体(レゾール型)1
0重量部、メタノール10重量部、及びブタノール10
重量部をサンドミル分散した後に、外径80mm、長さ
360mmのアルミニウムシリンダーに浸漬塗布、加熱
硬化し体積抵抗5×109 Ωcm、厚さ20μmの導電
層を設けた。
【0026】次に、下記化合物1で示されるメトキシメ
チル化ナイロン(メトキシメチル化度約30%)3重量
部、(化合物1)
【0027】
【化1】 6/66/610/12四元共重合ナイロン9重量部、
及びイソプロパノール150重量部を混合溶解した後
に、前記導電層上に浸漬塗布し、1μmの下引層を設け
た。次に、下記化合物2のアゾ顔料10重量部、(化合
物2)
【0028】
【化2】 下記化合物3のポリ(ビニルアセテート−ビニルアルコ
ール−ビニルベンザール)共重合体(分子量80,00
0)5重量部、(化合物3)
【0029】
【化3】 及びシクロヘキサノン700重量部をサンドミルにて分
散し、この分散液を前記下引層上に浸漬塗布した後、
0.05μmの電荷発生層を得た。
【0030】下記化合物4のトリフェニルアミン化合物
10重量部、(化合物4)
【0031】
【化4】 化合物5のポリカーボネート樹脂(ヒスフェノールZ、
分子量Mw25,000)10重量部(化合物5)
【0032】
【化5】 モノクロロベンゼン50重量部、及びジクロロメタン2
5重量部をサンドミル分散し、前記電荷発生層上に浸漬
塗布、熱風乾燥し20μmの電荷輸送層を設けた。
【0033】ポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均
一次粒径0.32μm、分子量Mw400,000、乳
化重合品)3重量部、下記化合物6のポリトリフルオロ
メチルスチレン(分子量Mw45,000)7重量部、
(化合物6)
【0034】
【化6】 モノクロロベンゼン150重量部、ジクロロメタン50
重量部をサンドミル分散し、前記電荷輸送層上にスプレ
ー塗布後熱風乾燥し1.5μmの保護層を設けた。
【0035】[比較例1]実施例1において、保護層樹
脂として下記化合物7のポリスチレン(分子量50,0
00)を用いた以外同様の感光体を得た。(化合物7)
【0036】
【化7】
【0037】[比較例2]実施例1において、保護層を
設けない感光体を比較例2の感光体とした。
【0038】(屈折率)化合物6及び7の樹脂20重量
部をモノクロロベンゼン80重量部に溶解し、アルミカ
ップに流し込んだ後加熱乾燥し、約50μm厚のフィル
ムを得た。このフィルムをアッペ屈折計(ATAGO
1T)により屈折率測定したところ、化合物7は1.5
92と高いのに対し、化合物6は1.509と低かっ
た。ポリテトラフルオロエチレン微粒子の屈折率は文献
値より1.35とし、化合物6及び7の樹脂との屈折率
差を求めると、化合物6は0.159で0.2以下なの
に対し、化合物7は0.242で0.2を越えていた。
【0039】(レーザースポットの散乱像)実施例1及
び比較例1の保護層をスライドガラス上に同様に形成
し、表面から半導体レーザー(波長670nm、スポッ
ト径35×65μm)を保護層とガラス界面から20μ
m後方に焦点を合わせて照射し、裏面より対物レンズを
用い保護層とガラス界面から20μm後方のレーザース
ポット像を観察した。スポット像は対物レンズにCCD
カメラを接続し、ビデオ出力した。図1に示したよう
に、実施例1の保護層は空中像とほぼ同等のスポット像
を再現した(図1(a))が、比較例1の保護層はポリ
テトラフルオロエチレン微粒子と樹脂の屈折率差による
散乱のため粒状性の乱れたスポット像となっており(図
1(b))、実画像への影響もあるものと推測された。
画像の評価は後述する。
【0040】(接触角)滴下式の接触角計(協和界面科
学製)により、前記感光体表面の純水に対する接触角を
比較した。その結果、実施例1及び比較例1の感光体の
接触角は108度と大きく低エネルギー表面が得られた
のに対し、比較例2は79度と小さく低エネルギー表面
は得られなかった。
【0041】(画像)図2に示した電子写真装置を用い
て画像評価を行った。この電子写真装置は、複写機、プ
リンター、ファクシミリ等の出力装置として使用可能で
ある。
【0042】画像形成の工程は、帯電、露光、現像、転
写、クリーニング、及び除電の順で行うことを基本とす
る。まず、コロトロン、スコロトロン等の一次帯電器3
にて感光体1の表面に電荷を与えた後、CCD等の読み
取り装置、またはコンピューター等の情報処理、記憶媒
体4から送られてくるデジタル画像信号により制御され
たレーザー、LED、液晶シャッター等の光源5からド
ット状の微小光像が感光体上に照射される。前記光像は
感光体中に電荷のキャリアを発生させ、感光体の表面電
荷を消去することによりドット状の微小な静電潜像を形
成する。前記静電潜像が形成された後、現像機6にて現
像される。
【0043】現像剤により現像された像は、転写工程で
転写紙等の転写材に転写される。現像剤を感光体から転
写材上に転写するには、主には現像剤と反対極性の静電
気力により、コロトロン、スコロトロン、導電ブラシ、
導電ローラー等が用いられる。同時に、加圧による転写
効果を付与するために、加圧部材が併用されることもあ
る。転写後の残現像剤は、クリーニングにより除かれ
る。クリーニング方式としては、装置の省スペース化に
ともない、より簡略な装置構成を実現するためにも、ブ
レードクリーニングを採用するのが望ましい。ブレード
クリーニングは、板状のポリウレタン等の弾性部材を感
光体上母線方向に突き当てただけの簡単な構成をとる。
ブレードクリーニングのつき当て方向は、感光体の回転
方向にブレード先端が向いた順方向、感光体の回転方向
と逆方向にブレード先端が向いたカウンター方向、及び
感光体とブレードとが垂直な場合等がある。また、ブレ
ードは単独ばかりではなく、複数を併用することもでき
る。また、補助的にクリーニング、ウェブ、磁気ブラシ
等を併用してもよい。
【0044】前記電子写真装置にスポット径35×65
μm、波長670nmの半導体レーザーを搭載し画像を
評価した。半導体レーザーは400dpiのドット状出
力として、パルス幅変調により出力制御し、反射式のマ
クベス濃度計で0.3のハーフトーンべた画像を出力し
た。実施例1及び比較例2の感光体では、均一で滑らか
なハーフトーン画像が得られたが、比較例1の感光体で
は、がさがさの不均一画像となり、散乱によるレーザー
スポットの乱れが影響していると思われた。
【0045】(転写効率)図2の電子写真装置を用い
て、各感光体の転写効率を測定した。測定は、転写材上
の転写後現像剤と、感光体上の転写残現像剤をそれぞれ
反射式マクベス濃度計にて反射濃度として測定し算出し
た。実施例1及び比較例1の感光体は低エネルギー表面
の効果でそれぞれ94%及び95%と高い転写効率を示
したが、比較例2の感光体は、転写効率83%と低かっ
た。
【0046】(負荷トルク)図2の電子写真装置を用い
て、各感光体の駆動時の負荷トルクを測定した。測定は
装置駆動時の感光体ドラムモーターの電流をモニターす
ることにより行い、それをトルクに換算した。実施例1
及び比較例1の感光体は、低エネルギー表面の効果によ
り負荷トルクは小さかったが、比較例2の感光体は負荷
トルクが大きかった。
【0047】(実機耐久)図2の電子写真装置を用い
て、各感光体の耐久を行った。2万枚の耐久を行ったと
ころ、比較例2の感光体は、1.3万枚で白地画像カブ
リが著しくなり使用不能となったが、実施例1及び比較
例1の感光体は2万枚後も良好な画像であった。また、
耐久後の感光体削れ量も実施例1のサンプルは比較例1
に比べ著しく少なかった。
【0048】更に、同条件で千枚後の転写不良について
検討した。千枚後の反射濃度0.6のハーフトーン画像
にて評価したところ、比較例2の感光体は転写不良によ
りボソボソの不均一画像となったが、実施例1の感光体
は、均一な高品位のハーフトーン画像であった。比較例
1の感光体も転写不良は発生しなかったが、散乱による
がさつきは依然として見られた。
【0049】[実施例2]実施例1において、保護層樹
脂として下記化合物8のポリカーボネート樹脂(分子量
Mw45,000)を用いた以外は同様に感光体を作成
した。(化合物8)
【0050】
【化8】 化合物8の屈折率は1.53であり、ポリテトラフルオ
ロエチレン微粒子との差は0.18であり、レーザース
ポットの散乱もほとんど見られなかった。接触角の測定
より低エネルギー表面を実現しており、良好な転写効率
と低い負荷トルクを示した。画質は均一で滑らかなハー
フトーン画像が得られ、耐久においてもカブリや転写不
良を起こさず良好な画像を維持した。
【0051】[実施例3]実施例1において、保護層樹
脂として下記化合物9のポリカーボネート樹脂(分子量
Mw50,000)を用いた以外は同様に感光体を作成
した。(化合物9)
【0052】
【化9】 化合物9の屈折率は1.50であり、ポリテトラフルオ
ロエチレン微粒子との差は0.15であり、レーザース
ポットの散乱もほとんど見られなかった。接触角の測定
より低エネルギー表面を実現しており、良好な転写効率
と低い負荷トルクを示した。画質は均一で滑らかなハー
フトーン画像が得られ、耐久においてもカブリや転写不
良を起こさず良好な画像を維持した。
【0053】[実施例4]実施例1において、保護層樹
脂として下記化合物10のポリ酢酸ビニル樹脂(分子量
Mw125,000)を用いた以外は同様に感光体を作
成した。(化合物10)
【0054】
【化10】 化合物10の屈折率は1.46であり、ポリテトラフル
オロエチレン微粒子との差は0.11であり、レーザー
スポットの散乱もほとんど見られなかった。接触角の測
定より低エネルギー表面を実現しており、良好な転写効
率と低い負荷トルクを示した。画質は均一で滑らかなハ
ーフトーン画像が得られ、耐久においてもカブリや転写
不良を起こさず良好な画像を維持した。
【0055】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体及び電子写真装
置は、フッ素原子含有化合物と樹脂を含有する表面層を
有し、前記フッ素原子含有化合物と樹脂との屈折率差を
0.2以下にすることにより2相間の光散乱を防止し、
忠実な潜像再現と均一な画像再現を実現した。さらに低
エネルギー表面を与えるために、高い転写効率を示し耐
久後も転写不良のない良好な均一画像を維持することを
可能にした。更に、駆動負荷トルクを低減し、耐久かぶ
りのない電子写真感光体及び電子写真装置を実現した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1のレーザースポット像を
示す図である。
【図2】本発明の電子写真装置の1例の概略構成図であ
る。
【符合の説明】
1 感光体 2 転写帯電器 3 一次帯電器 4 読み取り装置、記憶媒体 5 光源 6 現像器 7 給紙 8 定着器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒匂 春海 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−158250(JP,A) 特開 平2−236560(JP,A) 特開 平1−131573(JP,A) 特開 昭63−221355(JP,A) 特開 昭63−113459(JP,A) 特開 昭62−272282(JP,A) 特開 平3−197953(JP,A) 特開 平2−144551(JP,A) 特開 昭61−163345(JP,A) 特開 昭52−63336(JP,A) 特開 平1−129260(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドット状の静電潜像が形成される電子写
    真感光体であって、導電性支持体上に感光層及び保護層
    を有する電子写真感光体において、該保護層が0.1〜
    10μmの膜厚を有する表面層であり、かつテトラフル
    オロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオ
    ロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニ
    リデン、フッ化ビニル、パーフルオロアルキルビニルエ
    ーテルの重合体及びこれらの共重合体からなる群より選
    択されるフッ素原子含有化合物粉体、及び該フッ素原子
    含有化合物粉体との屈折率の差が0.2以下の樹脂を含
    有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 前記フッ素原子含有化合物粉体のフッ素
    原子重量比率が、30〜80%である請求項1記載の電
    子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記フッ素原子含有化合物粉体の平均粒
    子径が、0.003〜2.5μmである請求項1または
    記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 導電性支持体上に感光層及び保護層を有
    する電子写真感光体及び該電子写真感光体上にドット状
    の静電潜像を形成する露光手段を有する電子写真装置に
    おいて、該保護層が0.1〜10μmの膜厚を有する
    面層であり、かつテトラフルオロエチレン、ヘキサフル
    オロプロピレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフ
    ルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パ
    ーフルオロアルキルビニルエーテルの重合体及びこれら
    の共重合体からなる群より選択されるフッ素原子含有化
    合物粉体、及び該フッ素原子含有化合物粉体との屈折率
    の差が0.2以下の樹脂を含有することを特徴とする電
    子写真装置。
  5. 【請求項5】 前記フッ素原子含有化合物粉体のフッ素
    原子重量比率が、30〜80%である請求項4記載の電
    子写真装置。
  6. 【請求項6】 前記フッ素原子含有化合物粉体の平均粒
    子径が、0.003〜2.5μmである請求項4または
    5記載の電子写真装置。
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