JP3287665B2 - 電子写真感光体、該電子写真感光体を有する電子写真装置及び装置ユニット - Google Patents

電子写真感光体、該電子写真感光体を有する電子写真装置及び装置ユニット

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関し、
詳しくは特定の構造を有する樹脂を含有する表面層を有
する電子写真感光体に関する。また、本発明は前記電子
写真感光体を有する電子写真装置及び装置ユニットに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体に用いられる光導
電材料としては、セレン、硫化カドミウム及び酸化亜鉛
などの無機材料が知られていた。有機材料であるポリビ
ニルカルバゾール、フタロシアニン及びアゾ顔料などは
高生産性や無公害性などの利点が注目され、無機材料に
比較して光導電特性や耐久性などの点で劣る傾向にある
ものの、広く用いられるようになってきた。近年それら
の欠点も改善された新規材料が検討されており、特に光
導電特性は無機材料系のものをしのぎつつある。
【0003】一方、電子写真感光体は複写機やレーザー
ビームプリターなどの電子写真プロセスにおいて、帯
電、露光、現像、転写、クリーニング及び除電などの作
用を反復して受けるため、物理的、化学的及び電気的と
いった様々な外力に対する耐久性を要求される。特に耐
摩耗性や耐傷性などの機械的強度は電子写真感光体の耐
久寿命を決定する重要な要素のひとつである。有機光導
電材料は、単独では成膜性を有さないため、感光層を形
成する際には結着樹脂などとともに成膜されるのが一般
的であるので、機械的強度に対して大きな影響を与える
要因としては、結着樹脂の特性が挙げられる。そこで、
結着樹脂の高分子量化、硬化性樹脂の使用、更にはテフ
ロンなどの潤滑剤の使用などが試みられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高分子
量結着樹脂の使用は、層形成用塗料の増粘を引き起こし
てしまうという問題を有している。また、硬化性樹脂の
使用は、硬化時の有機光導電材料の劣化や、未反応官能
基や重合開始剤などの不純物の存在に起因する電子写真
特性の劣化をまねくことがある。更に、潤滑剤の使用は
成膜性や相溶性の点で十二分に満足できるものではな
い。
【0005】近年の更なる高画質化及び更なる高耐久化
に伴い、より優れた画像を長期にわたり安定して供給し
得る電子写真感光体が検討されている。
【0006】本発明の目的は、優れた耐久性を有し、繰
り返し使用しても優れた画像を得ることのできる電子写
真感光体を提供することにある。
【0007】また、本発明の目的は、上記のような電子
写真感光体を有する電子写真装置及び装置ユニットを提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、導電性
支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該
電子写真感光体の表面層が下記式(1)
【0009】
【外2】 (式中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、置換もしく
は無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール
基、置換もしくは無置換の鎖状のフッ化アルキル基、及
び該アルキル基、該アリール基及び該フッ化アルキル基
を結合することにより形成される基を示し、R1及びR2
の少なくとも一方は4個以上16個以下の炭素原子を有
する鎖状のパーフルオロアルキル基または4個以上16
個以下の炭素原子を有する鎖状のパーフルオロアルキル
基を有する直鎖アルキル基を有する直鎖アルキル基を示
。) で示されるモノマー単位のポリカーボネート樹脂である
ことを特徴とする電子写真感光体である。
【0010】また、本発明は上記電子写真感光体を有す
る電子写真装置及び装置ユニットである。
【0011】本発明に用いられるポリカーボネート樹脂
は、機械的強度の点から芳香族ポリカーボネート樹脂で
あることが好ましい。
【0012】また、本発明における鎖状のフッ化アルキ
ル基が有する炭素原子は4個であるが、8個以上である
ことがより好ましい。炭素原子が4個に満たないと、感
光体の表面潤滑性を十分に得られないことがある。斯か
るフッ化アルキル基は、ポリカーボネート樹脂のモノマ
ー単位中の側鎖として存在してもよいし、ポリマーの末
端の基として存在してもよく、また、側鎖と末端の両方
に存在してもよい。
【0013】以下に、鎖状のフッ化アルキル基を含むR
1及びR2の好ましい具体的を示すが、これらに限られる
ものではない。また、式中のpは1以上の整数を示し、
qは3以上の整数を示す。
【0014】
【外3】
【0015】次に、鎖状のフッ化アルキル基を含まない
1及びR2の好ましい具体例を示すが、これらに限られ
るものではない。 −H、−CH3、−CH2−CH3、−CH2−CH2−C
3、 −CH(CH3)−CH3 、−CH2−CH2−CH2−C
3、 −CH2−CH(CH3)−CH3、−C(CH33、 −CH2−CH2−CH2−CH2−CH3、 −CH2−CH2−CH2−CH2−CH3
【0016】
【外4】 −CF2−CF3、−CF2−CF2−CF3
【0017】
【外5】
【0018】式(1)で示されるモノマー単位のうち特
に好ましいものとしては下記式で示されるモノマー単位
が挙げられる。
【0019】
【外6】
【0020】本発明に用いられるポリカーボネート樹脂
はホモポリマーでもコポリマーでもよく、また、重量平
均分子量は1,000〜100,000であることが好
ましく、特には10,000〜80,000であること
が好ましい。
【0021】モノマー単位の側鎖に鎖状のフッ化アルキ
ル基を有する本発明のポリカーボネート樹脂は、例えば
前記R1及びR2を有するケトン、R1 COR2と過剰量
のフェノールに、塩酸や硫酸などの強酸縮合剤と塩化第
二鉄、塩化カルシウム、ホウ酸及び硫化水素などの触媒
とを加え縮合させて、フッ化アルキル側鎖を有するビス
フェノールを得、次いで、このビスフェノールを水酸化
ナトリウム及びアンモニウム化合物と共にメチレンクロ
ライド中に混合し、ホスゲンを通じることにより合成す
ることができる。
【0022】本発明の電子写真感光体が有する感光層
は、単層構造及び積層構造のいずれでもよい。単層型感
光層は、電荷発生材料及び電荷輸送材料を含有し、キャ
リアの生成及び輸送を同一層中で行う。積層型感光層
は、電荷発生材料を含有し、キャリアを生成する電荷発
生層と、電荷輸送材料を含有し、キャリアを輸送する電
荷輸送層とを有し、これらの層はどちらが上層であって
もよいが、電荷輸送層が上層であることが好ましい。い
ずれの層構成であっても、本発明のポリカーボネート樹
脂は、少なくとも電子写真感光体の表面層に含有され
る。
【0023】単層型感光層の膜厚は5〜100μmであ
ることが好ましく、特には10〜60μmであることが
好ましい。電荷発生材料や電荷輸送材料の含有量は感光
層全重量に対し20〜80重量%であることが好まし
く、特には30〜70重量%であることが好ましい。
【0024】積層型感光体の電荷発生層の膜厚は0.0
01〜6μmであることが好ましく、特には0.01〜
2μmであることが好ましい。電荷発生材料の含有量は
電荷発生層全重量に対し、10〜100重量%であるこ
とが好ましく、特には40〜100重量%であることが
好ましい。電荷輸送層の膜厚は5〜100μmであるこ
とが好ましく、特には10〜60μmであることが好ま
しい。電荷輸送材料の含有量は20〜80重量%である
ことが好ましく、特には30〜70重量%である。
【0025】本発明に用いられる電荷発生材料として
は、フタロシアニン顔料、多環キノン顔料、アゾ顔料、
ペリレン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、キナ
クリドン顔料、アズレニウム塩染料、スクアリリウム染
料、シアニン染料、ピリリウム染料、チアピリリウム染
料、キサンテン色素、キノンイミン色素、トリフェニル
メタン色素、スチリル色素、セレン、セレン−テルル、
アモルファスシリコン及び硫化カドミウムなどが挙げら
れる。また、本発明に用いられる電荷輸送材料として
は、ピレン化合物、カルバゾール化合物、ヒドラゾン化
合物、N,N−ジアルキルアニリン化合物、ジフェニル
アミン化合物、トリフェニルアミン化合物、トリフェニ
ルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物及
びスチルベン化合物などが挙げられる。
【0026】これらの材料は、本発明のポリカーボネー
ト樹脂、あるいは他の樹脂に分散あるいは溶解すること
により用いられるが、かかる他の樹脂としては、ポリエ
ステル、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリエチレ
ン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネー
ト、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリア
ミドイミド、ポリサルホン、ポリアリルエーテル、ポリ
アセタール、ナイロン、フェノール樹脂、アクリル樹
脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、アリル
樹脂、アルキッド樹脂及びブチラール樹脂などが挙げら
れる。これらの中でも、ポリカーボネート、ポリアリレ
ート、ポリアリルエーテル及びポリスチレンが特に好ま
しい。また、これらの樹脂に反応性のエポキシや(メ
タ)アクリルのモノマーあるいはオリゴマーを混合後硬
化して用いることも好ましい。
【0027】本発明においては、電子写真感光体の表面
層が本発明のポリカーボネート樹脂を含有するが、機械
的強度のコントロールなどの目的で上記他の樹脂を混合
して用いてもよい。その場合、本発明のポリカーボネー
トの含有量は樹脂全重量に対し0.1重量%以上である
ことが好ましく、特には10重量%以上であることが好
ましい。また、表面層以外の層は、本発明のポリカーボ
ネート樹脂を含有してもよいが、上記他の樹脂のみを単
独で、あるいは混合して用いてもよい。
【0028】また、本発明においては、電子写真感光体
が感光層上に保護層を有してもよい。この場合、表面層
は保護層であるので、保護層が少なくとも本発明のポリ
カーボネート樹脂を含有する。他の樹脂に関しては感光
層と同様である。また、保護層の膜厚は0.01〜20
μmであることが好ましく、特には0.1〜10μmで
あることが好ましい。
【0029】また、本発明においては、耐摩耗性をより
向上させるために、表面層が更にフッ素原子含有化合物
を含有することが好ましい。かかるフッ素原子含有化合
物としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロ
プロピレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオ
ロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パーフ
ルオロアルキルビニルエーテルなどの重合体及びそれら
の共重合体、更には、フッ素原子置換された黒鉛構造の
フッ化炭素及びフッ素原子置換されたオイル類などの無
機のフッ化物などが挙げられる。
【0030】これらの中では、テトラフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキル
ビニルエーテル及びフッ化炭素が特に好ましい。上記フ
ッ素原子含有化合物の粒径は、重量平均粒径で0.00
5〜2.5μmであることが好ましく、特には0.01
〜0.7μmであることが好ましく、更には0.01〜
0.35μmであることが好ましい。また、上記フッ素
原子含有化合物の分子量は、重量平均分子量で3,00
0〜10,000,000であることが好ましい。
【0031】また、フッ素原子含有化合物の含有量は、
フッ素原子含有化合物を含有する層全重量の5〜75重
量%が好ましい。
【0032】本発明のポリカーボネート樹脂はフッ化ア
ルキル基を有するためフッ素原子含有化合物との親和性
に優れ、フッ素原子化合物を微粒子のまま非常に均一か
つ安定に分散することができるのである。分散手段とし
ては、サンドミル、ボールミル、ロールミル、ホモジナ
イザー、ナノマイザー、ペイントシェイカー及び超音波
などが挙げられ、分散時には、補助的にフッ素系の界面
活性剤、グラフトポリマー及びカップリング剤などを用
いてもよい。
【0033】本発明においては、導電性支持体と感光層
との間に下引き層を設けてもよい。下引き層は主に樹脂
からなるが、後述の導電性支持体に用いられるような導
電性材料やアクセプターを含有してもよい。用いること
のできる樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、
ポリアリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブ
タジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピ
レン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリサルホン、
ポリアリルエーテル、ポリアセタール、ナイロン、フェ
ノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ
樹脂、尿素樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂及びブチ
ラール樹脂などが挙げられる。
【0034】これら各種層は、蒸着や塗布などの方法に
より導電性支持体上に形成される。塗布方法としては、
バーコーティング法、ナイフコーティング法、ロールコ
ーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティ
ング法、静電コーティング法及び粉体コーティング法な
どの方法が挙げられる。
【0035】本発明に用いられる導電性支持体として
は、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン、スズ、
アンチモン、インジウム、鉛、亜鉛、金及び銀などの金
属や合金あるいはそれらの酸化物やカーボン、導電性樹
脂、更にはこれらの導電性材料を分散した樹脂などが挙
げられる。形状は円筒状、シート状及びベルト状のいず
れでもよいが、適用される電子写真装置に対して最も適
当な形状である。また、前記導電性材料は、成型加工さ
れる場合もあるが、塗料として塗布したり、蒸着しても
よい。
【0036】本発明の電子写真感光体は電子写真複写機
に利用するのみならず、ファクシミリ、レーザービーム
プリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液
晶プリンター及びレーザー製版などの電子写真応用分野
にも広く用いることができる。
【0037】図1に本発明の電子写真感光体を用いた電
子写真装置の概略構成を示した。
【0038】図において、1は像担持体としての本発明
の電子写真感光体であり軸1aを中心に矢印方向に所定
の周速度で回転駆動される。該感光体1は、その回転過
程で帯電手段2によりその周面に正または負の所定電位
の均一帯電を受け、次いで露光部3にて不図示の像露光
手段により光像露光L(スリット露光・レーザービーム
走査露光など)を受ける。これにより感光体周面に露光
像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0039】その静電潜像は次いで現像手段4でトナー
現像され、このトナー現像像は、不図示の給紙部から感
光体1と転写手段5との間に感光体1の回転と同期取り
されて給送された転写材Pに転写手段5により順次転写
されていく。
【0040】像転写を受けた転写材Pは感光体面から分
離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けて複写
物(コピー)として機外へプリントアウトとされる。
【0041】像転写後の感光体1の表面はクリーニング
手段6にて転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され
て、さらに、前露光手段7により除電処理されて繰り返
して像形成に使用される。
【0042】感光体1の均一帯電手段2としてはコロナ
帯電装置が一般に広く使用されている。また転写装置5
もコロナ転写手段が一般に広く使用されている。本発明
においては、上述の感光体、現像手段及びクリーニング
手段などの構成要素のうち、複数のものを装置ユニット
として一体に結合して構成し、このユニットを装置本体
に対して着脱自在に構成しても良い。例えば、帯電手
段、現像手段及びクリーニング手段の少なくとも1つを
感光体と共に一体に支持してユニットを形成し、装置本
体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールな
どの案内手段を用いて着脱自在の構成にしても良い。
【0043】光像露光Lは、電子写真装置を複写機やプ
リンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や
透過光を感光体に照射すること、あるいは、センサーで
原稿を読取り、信号化し、この信号に従ってレーザービ
ームの走査、LEDアレイの駆動、または液晶シャッタ
ーアレイの駆動などを行い感光体に光を照射することな
どにより行われる。
【0044】また、ファクシミリのプリンターとして使
用する場合には、光像露光Lは受信データをプリントす
るための露光になる。図2はこの場合の一例をブロック
図で示したものである。
【0045】コントローラ11は画像読取部10とプリ
ンター19を制御する。コントローラ11の全体はCP
U17により制御されている。画像読取部からの読取デ
ータは、送信回路13を通して相手局に送信される。相
手局から受けたデータは受信回路12を通してプリンタ
ー19に送られる。画像メモリには所定の画像データが
記憶される。プリンタコントローラ18はプリンター1
9を制御している。14は電話である。
【0046】回線15から受信された画像(回線を介し
て接続されたリモート端末からの画像情報)は、受信回
路12で復調された後、CPU17は画像情報の複号処
理を行ない順次画像メモリ16に格納される。そして、
少なくとも1ページの画像がメモリ16に格納される
と、そのページの画像記録を行なう。CPU17は、メ
モリ16より1ページの画像情報を読み出しプリンタコ
ントローラ18に複号化された1ページの画像情報を送
出する。プリンタコントローラ18は、CPU17から
の1ページの画像情報を受け取るとそのページの画像情
報記録を行うべく、プリンタ19を制御する。
【0047】尚、CPU17は、プリンタ19による記
録中に、次のページの受信を行なっている。
【0048】以上のようにして、画像の受信と記録が行
なわれる。
【0049】
【実施例】(実施例1) 酸化スズと酸化アンチモンで被覆された導電性酸化チタ
ン(重量平均粒径0.4μm)5部(重量部、以下同
様)、アルミナで被覆した高抵抗酸化チタン(重量平均
粒径0.4μm)5部、フェノール樹脂前駆体(レゾー
ル型)10部、メタノール10部及びブタノール10部
をサンドミルで分散した分散液を、外径80mm、長さ
360mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布法に
より塗工し、加熱硬化することによって、体積抵抗5×
109Ωcm、厚さ20μmの導電層を形成した。
【0050】次に、下記式で示されるメトキシメチル化
ナイロン(重量平均分子量30,000、メトキシメチ
ル化度約30%)3部、
【0051】
【外7】 (b及びcは共重合比を示す。) 6/66/610/12四元共重合ナイロン9部及びイ
ソプロパノール150部を混合溶解した溶液を、前記導
電層上に浸漬塗布法により塗工し、乾燥することによっ
て、厚さ1μmの下引き層を形成した。
【0052】次に、下記式で示されるジスアゾ顔料10
部、
【0053】
【外8】 下記式で示されるビニルアセテート−ビニルアルコール
−ビニルベンザール共重合体(重量平均分子量80,0
00)5部、
【0054】
【外9】 及びシクロヘキサノン700部をサンドミルで分散した
分散液を、前記下引き層上に浸漬塗布法により塗工し、
乾燥することによって、厚さ0.05μmの電荷発生層
を形成した。
【0055】次に、下記式で示されるトリフェニルアミ
ン化合物10部、
【0056】
【外10】 下記式で示されるポリカーボネート樹脂(ビスフェノー
ルZ型、重量平均分子量25,000)5部、
【0057】
【外11】 下記式で示されるポリカーボネート樹脂(重量平均分子
量30,000)5部、
【0058】
【外12】 ポリテトラフルオロエチレン微粉(乳化重合品、重量平
均分子量35,000、重量平均粒径0.23μm)3
部、モノクロロベンゼン50部及びジクロロメタン25
部をサンドミルで分散及び溶解した溶液を、前記電荷発
生層上に浸漬塗布法により塗工し、熱風乾燥することに
よって、厚さが20μmの電荷輸送層を形成した。こう
して電子写真感光体を作成した。
【0059】(比較例1) 実施例1における電荷輸送層用塗料の調製において、ト
リフェニルアミン化合物を10部、ビスフェノールZ型
ポリカーボネート樹脂を10部、モノクロロベンゼン5
0部及びジクロロメタン25部をサンドミルで溶解し、
電荷輸送層用溶液とした他は、実施例1と同様にして電
子写真感光体を作成した。
【0060】実施例1の電子写真感光体と比較例1の電
子写真感光体について下記の方法で評価した。結果を表
1に示す。
【0061】接触角 滴下式の接触角計(協和界面科学(株)製)により、実
施例1の感光体及び比較例1の感光体のそれぞれの感光
体表面の純水に対する接触角を比較した。その結果、実
施例1の感光体の接触角は109°と大きく、低表面エ
ネルギーが得られたのに対し、比較例1の感光体の接触
角は80°と小さく、低表面エネルギーは得られなかっ
た。
【0062】実機評価 複写機(CLC−500、キヤノン(株)製)に実施例
1の感光体及び比較例1の感光体をそれぞれ装着し、2
0,000枚の画像出し耐久試験を行った。比較例1の
感光体の場合は、13,000枚で白地画像カブリが著
しくなり使用不能となったが、実施例1の感光体の場合
は、20,000枚後も良好な画像であった。また、耐
久後の感光体削れ量も実施例1の感光体は比較例1の感
光体に比べ、著しく少なかった。
【0063】更に、同条件で1,000枚後の転写効率
と転写不良について検討した。転写効率はマゼンタ単色
の反射濃度0.8のハーフトーン画像を出力した際、転
写材に転写された現像剤の反射濃度と感光体に残留した
現像剤の反射濃度との比率から算出した。比較例1の感
光体は75%の転写効率であるに対し、実施例1の感光
体は91%と高い転写効率を維持した。
【0064】転写不良については、1,000枚後の四
色フルカラーの反射濃度0.6のハーフトーン画像にて
評価した。比較例1の感光体は、転写不良によりボソボ
ソの不均一画像となったが、実施例1の感光体は、均一
な高品位のハーフトーン画像であった。
【0065】(実施例2) 実施例1で用いたトリフェニルアミン化合物を30部、
下記式で示されるポリカーボネート樹脂(重量平均分子
量20,000)50部、
【0066】
【外13】 実施例1で用いたビスフェノールZ型ポリカーボネート
樹脂(重量平均分子量90,000)20部、ポリテト
ラフルオロエチレン微粉(乳化重合品、重量平均分子量
35,000、重量平均粒径0.23μm)30部、モ
ノクロロベンゼン1050部及びジクロロメタン425
部をサンドミルで分散及び溶解した溶液を比較例1の感
光体の上にスプレー塗布法により塗工し、熱風乾燥する
ことによって、厚さ6μmの保護層を形成した。得られ
た電子写真感光体を実施例1と同様にして評価した。評
価結果を表1に示す。この感光体表面は110°と高い
接触角を示した。実機での耐久評価は、20,000枚
後の感光体の削れは著しく少なく、白地カブリや黒すじ
なども発生しなかった。1,000枚後の転写効率は9
3%と高く、転写不良も発生しなかった。
【0067】(実施例3) 実施例1で用いたトリフェニルアミン化合物を30部、
下記式で示されるポリカーボネート樹脂(重量平均分子
量25,000)を30部、
【0068】
【外14】 実施例1で用いたビスフェノールZ型ポリカーボネート
樹脂(重量平均分子量90,000)20部、ポリテト
ラフルオロエチレン微粉(乳化重合品、重量平均分子量
35,000、重量平均粒径0.23μm)35部、モ
ノクロロベンゼン1,050部及びジクロロメタン42
5部をサンドミルで分散及び溶解した溶液を比較例1の
感光体の上にスプレー塗布法により塗工し、熱風乾燥す
ることによって、厚さ6μmの保護層を形成した。得ら
れた電子写真感光体を実施例1と同様にして評価した。
評価結果を表1に示す。この感光体表面は110°と高
い接触角を示した。実機での耐久評価は、20,000
枚後の感光体の削れは著しく少なく、白地カブリや黒す
じなども発生しなかった。1,000枚後の転写効率は
94%と高く、転写不良も発生しなかった。
【0069】(実施例4) 実施例1で用いたトリフェニルアミン化合物を30部、
下記式で示されるポリカーボネート樹脂(重量平均分子
量15,000)を30部、
【0070】
【外15】 実施例1で用いたビスフェノールZ型ポリカーボネート
樹脂(重量平均分子量90,000)20部、ポリテト
ラフルオロエチレン微粉(乳化重合品、重量平均分子量
35,000、重量平均粒径0.23μm)40部、モ
ノクロロベンゼン1,050部及びジクロロメタン42
5部をサンドミルで分散及び溶解した溶液を比較例1の
感光体の上にスプレー塗布法により塗工し、熱風乾燥す
ることによって、厚さ6μmの保護層を形成した。得ら
れた電子写真感光体を実施例1と同様にして評価した。
評価結果を表1に示す。この感光体表面は113°と高
い接触角を示した。実機での耐久評価は、20,000
枚後の感光体の削れは著しく少なく、白地カブリや黒す
じなども発生しなかった。1,000枚後の転写効率は
92%と高く、転写不良も発生しなかった。
【0071】(実施例5) 実施例1で用いたトリフェニルアミン化合物を30部、
下記式で示されるポリカーボネート樹脂(重量平均分子
量20,000)を30部、
【0072】
【外16】 実施例1で用いたビスフェノールZ型ポリカーボネート
樹脂(重量平均分子量90,000)20部、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体微
粉(乳化重合品、重量平均分子量35,000、重量平
均粒径0.23μm)40部、モノクロロベンゼン1,
050部及びジクロロメタン425部をサンドミルで分
散及び溶解した溶液を比較例1の感光体の上にスプレー
塗布法により塗工し、熱風乾燥することによって、厚さ
6μmの保護層を形成した。得られた電子写真感光体を
実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示
す。この感光体表面は112°と高い接触角を示した。
実機での耐久評価は、20,000枚後の感光体の削れ
は著しく少なく、白地カブリや黒すじなども発生しなか
った。1,000枚後の転写効率は93%と高く、転写
不良も発生しなかった。
【0073】
【表1】
【0074】(実施例6) 実施例1で用いたメトキシメチル化ナイロン10重量部
及びイソプロパノール150重量部を混合溶解した液
を、外径80mm、長さ360mmのアルミニウムシリ
ンダー上に浸漬塗布法により塗工し、乾燥することによ
って厚さ1μmの下引き層を形成した。
【0075】次に実施例1で用いたジスアゾ顔料10
部、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールA型、重量
平均分子量30,000)5部及びシクロヘキサノン7
00部をサンドミルで分散した分散液を、前記下引き層
上に浸漬塗布法により塗工し、乾燥することによって厚
さ0.05μmの電荷発生層を形成した。
【0076】次に、下記式で示されるトリフェニルアミ
ン化合物10部、
【0077】
【外17】 下記式で示されるポリカーボネート樹脂(重量平均分子
量20,000)7部、
【0078】
【外18】 下記式で示されるポリカーボネート樹脂(ビスフェノー
ルZ型、重量平均分子量25,000)3部、
【0079】
【外19】 モノクロロベンゼン150部及びジクロロメタン100
部を混合溶解した液を前記電荷発生層上に浸漬塗布法に
よって塗工し、乾燥することによって厚さ20μmの電
荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作成した。
【0080】アルミニウムシリンダーのかわりに厚さ5
0μmのアルミニウムシートを用いて、上記と同様にし
て電子写真感光体を作成した。
【0081】(比較例2) 実施例6において、ビスフェノールZ型ポリカーボネー
ト樹脂のみを電荷輸送層の結着樹脂として用いた他は、
同様にして比較のための電子写真感光体を作成した。
【0082】実施例6と比較例2の電子写真感光体を下
記の方法で評価した。
【0083】耐摩耗性試験 テーバー式摩耗試験機により、前記アルミニウムシート
を用いた感光体について加重500g(2個)、5,0
00サイクルの摩耗性試験を行った。摩耗による重量減
少は、実施例6の感光体が比較例2の感光体に比較して
約25%少なく、本発明において用いる特定のポリカー
ボネート樹脂の効果が認められた。
【0084】接触角 滴下式の接触角計により、前記アルミニウムシートを用
いた感光体について水に対する接触角を比較した。その
結果、実施例6の感光体の接触角は109°と大きかっ
たのに対し、比較例2の感光体は81°と小さかった。
【0085】実機評価 複写機(CLC−500、キヤノン(株)製)に実施例
1及び比較例2の各感光体を装着し、20,000枚の
画像出し耐久試験を行った。比較例2の感光体は13,
000枚で白地カブリが著しくなり使用不能となった
が、実施例6の感光体は20,000枚後も良好な画像
であった。また、耐久後の感光体削れ量も実施例6の感
光体は比較例2の感光体に比べ25%ほど少なかった。
表2に結果を示す。
【0086】(実施例7) 実施例6で用いたトリフェニルアミン化合物30部、下
記式で示されるポリカーボネート樹脂(重量平均分子量
15,000)50部、
【0087】
【外20】 下記式で示されるポリカーボネート樹脂(ビスフェノー
ルZ型、重量平均分子量70,000)20部、
【0088】
【外21】 モノクロロベンゼン1,000部及びジクロロメタン5
00部を混合溶解した液を比較例2の感光体上にスプレ
ー塗布法により塗工し、熱風乾燥することによって、厚
さ6μmの保護層を形成した。得られた電子写真感光体
を(実施例6と同様にして評価)した。結果を表2に示
すが、優れた耐摩耗性と離型性を有する。
【0089】(実施例8) 実施例6で用いたトリフェニルアミン化合物30部、下
記式で示されるポリカーボネート樹脂(重量平均分子量
10,000)30部、
【0090】
【外22】 下記式で示されるポリカーボネート樹脂(ビスフェノー
ルZ型、重量平均分子量70,000)30部、
【0091】
【外23】 モノクロロベンゼン1,000部及びジクロロメタン5
00部を混合溶解した液を比較例2の感光体上にスプレ
ー塗布法により塗工し、熱風乾燥することによって、厚
さ6μmの保護層を形成した。得られた電子写真感光体
を実施例6と同様にして評価した。結果を表2に示す
が、優れた耐摩耗性と離型性を有する。
【0092】(実施例9) 実施例6で用いたトリフェニルアミン化合物30部、下
記式で示されるポリカーボネート樹脂(重量平均分子量
25,000)30部、
【0093】
【外24】 下記式で示されるポリカーボネート樹脂(ビスフェノー
ルZ型、重量平均分子量70,000)20部、
【0094】
【外25】 モノクロロベンゼン1,000部及びジクロロメタン5
00部を混合溶解した液を比較例2の感光体上にスプレ
ー塗布法により塗工し、熱風乾燥することによって、厚
さ6μmの保護層を形成した。得られた電子写真感光体
を実施例6と同様にして評価した。結果を表2に示す
が、優れた耐摩耗性と離型性を有する。
【0095】(実施例10) 実施例6で用いたトリフェニルアミン化合物30部、下
記式で示されるポリカーボネート樹脂(重量平均分子量
20,000)30部、
【0096】
【外26】 下記式で示されるポリカーボネート樹脂(ビスフェノー
ルZ型、重量平均分子量70,000)20部、
【0097】
【外27】 モノクロロベンゼン1,000部及びジクロロメタン5
00部を混合溶解した液を比較例2の感光体上にスプレ
ー塗布法により塗工し、熱風乾燥することによって、厚
さ6μmの保護層を形成した。得られた電子写真感光体
を実施例6と同様にして評価した。結果を表2に示す
が、優れた耐摩耗性と離型性を有する。
【0098】
【表2】
【0099】(比較例) 本発明のポリカーボネート樹脂の代わりに下記式で示さ
れるポリカーボネート樹脂を用いる以外は実施例1と同
様にして電子写真感光体を作成し、評価した。
【0100】
【外28】
【0101】
【表3】
【0102】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、優れた耐
久性を有し、繰り返し使用しても優れた画像が得られる
電子写真感光体、該電子写真感光体を有する電子写真装
置及び装置ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有する電子写真装置
の構成の概略の例を示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体を有するファクシミリ
のブロック図の例を示す図である。
【符号の説明】
1 本発明の電子写真感光体 2 帯電手段 3 露光部 4 現像手段 5 転写手段 6 クリーニング手段 7 前露光手段 8 像定着手段 L 光像露光 P 転写材 10 画像読取部 11 コントローラ 12 受信回路 13 送信回路 14 電話 15 回線 16 画像メモリ 17 CPU 18 プリンタコントローラ 19 プリンター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G03G 5/147 502 G03G 5/147 502 H04N 1/29 H04N 1/29 D (72)発明者 雨宮 昇司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−65451(JP,A) 特開 平2−22660(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/05 101

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に感光層を有する電子写
    真感光体において、該電子写真感光体の表面層が下記式
    (1) 【外1】 (式中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、置換もしく
    は無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール
    基、置換もしくは無置換の鎖状のフッ化アルキル基、及
    び該アルキル基、該アリール基及び該フッ化アルキル基
    を結合することにより形成される基を示し、R1及びR2
    の少なくとも一方は4個以上16個以下の炭素原子を有
    する鎖状のパーフルオロアルキル基または4個以上16
    個以下の炭素原子を有する鎖状のパーフルオロアルキル
    基を有する直鎖アルキル基を示す。) で示されるモノマー単位のポリカーボネート樹脂である
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 4個以上16個以下の炭素原子を有する
    鎖状のパーフルオロアルキル基を有する直鎖アルキル基
    が4個以上16個以下の炭素原子を有する鎖状のパーフ
    ルオロアルキル基を有するメチル基または4個以上16
    個以下の炭素原子を有する鎖状のパーフルオロアルキル
    基を有するエチル基である請求項1記載の電子写真感光
    体。
  3. 【請求項3】 表面層が感光層である請求項1または2
    記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 表面層が保護層である請求項1または2
    記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の電子
    写真感光体、静電潜像を形成する手段、形成した静電潜
    像を現像する手段及び現像した像を転写材に転写する手
    段を有することを特徴とする電子写真装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれかに記載の電子
    写真感光体及び帯電手段、現像手段及びクリーニング手
    段からなる群より選ばれる少なくともひとつの手段を一
    体に支持し、かつ装置本体に着脱自在であることを特徴
    とする装置ユニット。
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