JP5010401B2 - 感光体及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、感光層を有する感光体に関するものであり、その感光体を具備する画像形成装置に関する。
近年、電子写真技術は、高品質な画像が即時に得られることなどから複写機の分野に留まらず各種プリンタの分野でも広く応用されている。現在、電子写真技術の中核となる感光体については、その光導電材料として、無公害で成膜や製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が一般的である。
その中でも、有機系感光体としては、電荷発生層及び電荷輸送層を積層した機能分離型の感光体が広く普及している(例えば、特許文献1参照)。機能分離型感光体は、それぞれの効率の高い電荷発生物質及び電荷輸送物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料の選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また塗布の生産性が高く比較的コスト面でも有利なこと等から、感光体の主流となっている。
機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電させた後に光照射すると、光が電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質に吸収される。電荷発生物質は光を吸収することによって電荷を発生させる。この発生した電荷は、電荷発生層と電荷輸送層との界面で電荷輸送層に注入される。さらに、電荷は、電界によって電荷輸送層中を感光体の最表面に向かって移動し、感光体の表面電荷を中和する。このようなメカニズムによって感光体表面に静電潜像が形成される。
電子写真プロセスにおいて形成する画像の高品質化の要求がいっそう強まっている。その実現のために、トナーの材料面での改良が行われている。例えば、耐電性の制御、流動性の付与、転写効率の向上を達成する必要性から、トナーにシリカなどの外添剤が含まれるようになった。それに伴い、電子写真プロセスにおいて用いられる感光体の感光層表面にトナーの外添剤であるシリカが付着し、堆積するというフィルミングが発生するという問題が表面化してくるようになった。そこで、フィルミングの問題を、例えば感光層の硬度を制御することで解決した装置が開発されており、今日では一般的となっている。
特開2002−318459号公報
感光層の表面には付着したトナーを掻き取るクリーニングブレードが当接されており、そのクリーニングブレードの外的ストレスによって微少なキズが感光体表面に発生する。発生したキズにはトナーの外添剤や放電による生成物が付着する。そして、その付着物が核となり、さらにトナー外添剤に含まれるシリカが付着堆積してフィルミングが発生してしまう。上述した特許文献1は、感光層の硬度を制御することで、感光層表面にキズを発生しにくくするものであり、一定のフィルミングの発生を防止する効果がある。しかしながら、近年、電子写真プロセスの高速化がよりいっそう進むことで、感光層表面に発生するキズの発生は急激に増加する傾向にあり、感光層表面の硬度を制御しても、キズの発生は避けられないものとなっている。
そこで、本発明は、感光層の表面にフィルミングが発生しない高品質な画像が得られる感光体を提供することを目的とし、その感光体を具備することで、高品質な画像を得ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に形成され、露光されることで表面に潜像画像が生じる感光層とを有し、前記感光層は、電荷発生物質と、電荷輸送物質と、下記化学式1
(前記化学式1中、R1及びR2は炭素数2以上のアルキル基であり、R3及びR4はメチル基であり、前記化学式1の水素の一部がフッ素に置換されている)で示される繰り返し構造を有するバインダー樹脂とを含有し、前記感光層の表面のビッカース硬度と前記導電性支持体の回転軸と長手方向が平行となるように前記感光層の表面に当接されるウレタンブレードの前記感光層への線圧力を0.21N/cm、当接部の長さを23.8cm、前記感光層及び前記ウレタンブレードの当接点の接線と前記ウレタンブレードとの角度を20°、並びに、前記導電性支持体の回転速度を50rpmという条件で測定したときの摩擦力との関係が、前記ビッカース硬度をHv、前記摩擦力をFoとした場合、Fo≦0.0461×Hv−0.896を満たすことを特徴とする。

また、本発明の感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に形成され、露光されることで表面に潜像画像が生じる感光層とを有し、前記感光層は、電荷発生物質と、電荷輸送物質と、上記化学式1(前記化学式1中、R1及びR3は炭素数2以上のアルキル基であり、R2及びR4はメチル基であり、前記化学式1の水素の一部がフッ素に置換されている)で示される繰り返し構造を有するバインダー樹脂とを含有し、前記感光層の表面のビッカース硬度と摩擦力との関係が、ビッカース硬度をHv、摩擦力をFoとした場合、Fo≦0.0454×Hv−0.815を満たすことを特徴とする。
さらに、本発明の感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に形成され、露光されることで表面に潜像画像が生じる感光層とを有し、前記感光層は、電荷発生物質と、電荷輸送物質と、上記化学式1(前記化学式1中、R3及びR4は炭素数2以上のアルキル基であり、R1及びR2はメチル基であり、前記化学式1の水素の一部がフッ素に置換されている)で示される繰り返し構造を有するバインダー樹脂とを含有し、前記感光層の表面のビッカース硬度と摩擦力との関係が、ビッカース硬度をHv、摩擦力をFoとした場合、Fo≦0.0428×Hv−0.717を満たすことを特徴とする。
これら本発明の感光体によれば、感光層に上記化学式1に示されるバインダーを使用し、感光層のビッカース硬度と摩擦力が上記式に示されるような関係を満たすことで、フィルミングの発生を抑制することができる。これにより、フィルミングの発生により生じる画質の低下を防止することができ、高品質な画像を得ることができる感光体を提供できる。
本発明の画像形成装置は、上述の感光体、前記感光体を所定の電位に帯電する帯電部と、前記感光体に現像剤を供給して現像する現像部と、画像情報に基づいて前記感光体の表面を露光して静電画像を形成する露光部と、前記現像部による現像により前記静電潜像に基づいて形成される現像剤像を媒体に転写する転写部と、転写された前記現像剤像を前記媒体に定着させる定着部とを備えることを特徴とする。本発明の画像形成装置は、上述したフィルミングの発生を抑制することができる感光体を具備することで、高品質な画像を提供することができる画像形成装置となる。
本発明は、感光層に上記化合物1に示されるバインダーを使用し、感光層のビッカース硬度及び摩擦力が所定の関係となることで、フィルミングの発生を抑制することができる。これにより、フィルミングの発生により生じる画質の低下を防止することができ、高品質な画像を得ることができる感光体を提供できる。また、この感光体を具備する本発明の画像形成装置は、高品質な画像を提供することができる画像形成装置となる。
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体としての感光体(以下、単に「感光体ドラム」)を備える現像機構及び転写部を用いて用紙上に転写し、この転写した現像剤画像を定着部を用いて用紙上に定着し、所定のスタッカに排出するものである。このとき、現像機構内部に設けられた感光体ドラムは、後述する構造を備えるものである。
まず、画像形成装置1の構成及び印刷時の動作について詳細な説明をする。
画像形成装置1は、図1に示すように、画像情報に基づく現像剤画像を現像する現像機構10と、用紙Pを現像機構10に繰り出す給紙部11と、給紙部11から繰り出された用紙Pを所定の用紙搬送経路に沿って搬送する搬送部12と、用紙P上に現像剤画像を用紙P上に転写する転写部13と、転写部13において用紙P上に転写された現像剤画像を用紙P上に定着させる定着部14と、定着部14において現像剤画像が定着した用紙Pを画像形成装置1外部に排出する排出部15と、後述する現像機構10の感光体ドラム20表面に画像情報に基づく潜像画像を露光する露光部16とによって構成されている。
給紙部11は、用紙Pを堆積させる給紙スタッカ11aと、給紙スタッカ11a上に形成され、バネ11bからの付勢より用紙Pを上方に移動させる給紙ステージ11cと、給紙ステージ11cによって上方に移動された用紙Pを1枚ずつ画像形成装置1内部に繰り出す給紙ローラ11dとによって構成される。
このような給紙部11においては、ユーザが給紙スタッカ11a上に用紙Pを堆積させ、画像形成装置1に情報処理装置から画像情報が送信されると、図示しない印刷制御部によって給紙ステージ11cは上方に移動される。給紙ステージ11cが上方に移動することにより用紙Pは給紙ローラ11dに接触し、給紙ローラ11dが回転することにより用紙Pは画像形成装置1内部に繰り出される。画像形成装置1内部に繰り出された用紙Pは、所定の搬送経路上を搬送部12によって現像機構10まで搬送される。
現像機構10は、画像形成装置1より着脱自在に形成されており、情報処理装置等の上位装置から送信された画像情報に基づく潜像画像を現像する部材である。また、現像機構10は、内部を空洞としたカートリッジケース10aにより一体的に形成されており、カートリッジケース10a内部には、表面に画像情報に基づく潜像画像が露光される感光体ドラム20と、感光体ドラム20に所定のバイアス電圧を印加する帯電部としての帯電ローラ10bと、感光体ドラム20表面に残存した現像剤を除去するクリーニングブレード10cと、感光体ドラム20に現像剤を供給して感光体ドラム20表面の潜像画像上に現像剤画像を現像する現像部としての現像ローラ10dと、現像ローラ10dに現像剤を供給する供給ローラ10eと、カートリッジケース10aに供給する現像剤を収容する現像剤カートリッジ10fと、現像ローラ10dの表面に付着した現像剤を一様化する現像ブレード10gと、クリーニングブレード10cによって除去された現像剤を現像剤カートリッジ10fまで搬送するスパイラルスクリュー10hと、カートリッジケース10a内部の現像剤を攪拌する攪拌部10iとが形成されている。
このような現像機構10においては、情報処理装置から画像情報が送信されると、この画像情報は図示しない印刷制御部によって所定形式の信号に変換され、露光部16に供給される。露光部16は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子を複数個配列して構成されるものであり、図示しない印刷制御部から供給された信号に基づいて発光素子を発光させることで1ライン分の潜像画像を露光し、これらの動作を感光体ドラム20の回転と同期させて行う。このとき感光体ドラム20は、帯電ローラ10bによって表面にバイアス電圧が印加されており、詳細は後述するが、露光部16によって露光された箇所のバイアス電圧は中和することとなる。その後、この露光された箇所が、現像ローラ10dと接触することで、この露光された箇所に現像剤が付着し、感光体ドラム20表面に画像情報に基づく現像剤画像が現像されることとなる。その後、現像機構10は、図示しない電圧電源により表面が印加された転写部13と共に、用紙Pを挟持搬送することで感光体ドラム20表面に現像された現像剤画像を用紙P上に転写する。現像剤画像が表面に転写された用紙Pは、さらに搬送部12によって定着部14まで搬送される。
定着部14は、用紙P上に付着した現像剤画像を、熱を用いて用紙P上に定着させる部材である。定着部14は、内部に図示しない熱源を備える定着ローラ14aと、定着ローラ14aと共に用紙Pを挟持搬送する加圧ローラ14bとによって構成される。このような定着部14に用紙Pが搬送されると、予め図示しない熱源によって加熱された定着ローラ14a及び加圧ローラ14bによって用紙Pを挟持搬送し、定着ローラ14aの熱及び定着ローラ14aと加圧ローラ14bとの圧力によって用紙P上の現像剤を溶解し、定着させる。その後、表面に現像剤が定着した用紙Pは、排出機構15に搬送され、排出機構15によって画像形成装置1外部に排出され、ユーザに提供されることとなる。
次に、感光体ドラム20の構造について詳細な説明をする。
感光体ドラム20は、現像機構10に対して着脱自在であり、図2に示すように、カートリッジケース10aに両端が回動支持されたシャフト202を軸として回転する部材である。具体的には、感光体ドラム20は、後述する材料を円筒状に形成したドラム体201と、導電体からなる金属製のシャフト202と、ドラム体201の一端を閉塞するフランジ203と、ドラム体201の他端を閉塞する支持部材204と、シャフト202を駆動するギア205と、ギア205に駆動力を伝達する駆動ギア206と、図示しない駆動源からの駆動力を駆動ギア206に伝達する固定軸207と、フランジ203とカートリッジケース10aとの間に配設されたカラー208とによって構成される。さらにこのような感光体ドラム20は、現像機構10を画像形成装置1内部に装着する際に、現像機構10を装着する為のフレーム209に装着される。フレーム209には、長穴210a、210bが形成されており、現像機構10をフレーム209に装着する場合はシャフト202の両端を長穴210a、210bに係止する。なお、フレーム209は、画像形成装置1の内部に配設される。
シャフト202は、感光体ドラム20の回転軸となる部材であり、感光体ドラム20とともに現像機構10から着脱可能に形成される。さらに、シャフト202は、ギア205の中心部に形成された穴に挿通され、固定される。さらに、シャフト202の一端近傍は、カートリッジケース10aに形成された軸受け穴211bに挿通され、さらに長穴210b内部に収められる。一方、シャフト202の他端近傍は、カートリッジケース10aに形成された軸受け穴211aに挿通され、さらに長穴210a内部に収められる。さらにシャフト202の他端は、カートリッジケース10aに固定されたバネ部材212と接触している。
フランジ203は、ドラム体201の一端近傍に圧入された部材であり、非導電性の接着剤を用いてドラム体201の内部に固定される。また、フランジ203の中心部近傍にはシャフト202が挿通されており、フランジ203はシャフト202に対して回動可能に取り付けられている。このようなフランジ203の材料としては、例えばポリアミド、ポリカーボネート、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、ポリアセタール等の合成樹脂が用いられ、これらの材料に金属粉、カーボンブラック、グラファイト等の導電性粉末を配合することでフランジ203は導電化される。
支持部材204は、ドラム体201の他端近傍に圧入された部材であり、フランジ203と同様に、シャフト202に対して回動可能に取り付けられ、ドラム体201の内部に固着されている。また、支持部材204におけるドラム体201の外部に露出する面にはギア205が固着されている。このような支持部材204は、ギア205と同期して回転することにより、感光体ドラム20全体を回転させる部材である。具体的には、ギア205がシャフト202を軸として回転することにより、支持部材204はギア205と同期して回転し、さらに支持部材204が回転することによりドラム体201が回転することとなる。
ギア205、及び駆動ギア206は、図3に示すように、所謂はすば歯車によって形成され、歯のねじり角が互いに逆方向に設定されている。このようなギア205及び駆動ギア206は、駆動ギア206が固定軸207を軸として図3中矢印A方向に回転することにより、ギア205がシャフト202を軸として矢印B方向に回転する。ギア205は、矢印B方向に回転することにより、シャフト202の他端はバネ部材212に押圧する方向に付勢される。シャフト202がバネ部材212を押圧することで、シャフト202の他端とバネ部材212との接触を良好にしている。
カラー208は、フランジ203とカートリッジケース10aの間に配設された、導電性を備える部材である。また、カラー208は、略円筒状に形成され、内部にはシャフト202が挿通され、シャフト202に対して回転可能に、且つ、シャフト202の軸方向にスライド可能に取り付けられている。
フレーム209は、シャフト202を支持する部材であり、フレーム209の外側にはバネ部材212がピン213により固定されている。バネ部材212はアースに接続されており、内側方向に付勢力を有する。カートリッジケース10aが装着されていない場合、バネ部材212は図2に示す位置よりやや内側に位置しているが、バネ部材212の上端を外側に傾斜することで、上方からのカートリッジケース10aの装着が可能である。装着状態ではバネ部材212は、シャフト202に圧接している。
ドラム体201は、露光装置16によって表面に静電画像が露光される部材であり、図4に示すように他の部材のベースとなる導電性支持体50と、下引層51と、電荷発生層72及び電荷輸送層73からなる感光層52とによって構成されている。
導電性支持体50としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料、表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化錫、酸化インジウムなどの導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙等の絶縁性支持体が使用される。
導電性支持体50と感光層52との間には、ハレーション防止用の下引層51が形成される。下引層51としては、無機層や有機層が適用可能である。無機層としては、例えば、アルミニウム陽極酸化被膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。有機層としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が挙げられる。尚、下引層51は、必要に応じて配設すれば良く、導電性支持体50の上に、直接感光層52を配設してドラム体201を形成するものであっても良い。
導電性支持体上の感光層の基本的な構成例としては、積層型感光体と、逆二層型感光体と、分散型感光体とが挙げられる。積層型感光体は、導電性支持体50上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層72と、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とした電荷輸送層73とを順次積層させたものである。逆二層型感光体は、導電性支持体50上に電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とした電荷輸送層73と、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層72とを順次積層させたものである。分散型感光体は、導電性支持体50上に電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生物質を分散させたものである。本発明では、感光層52として、上述したいずれの構成であっても適用可能であるが、以下、積層型感光体を一例として説明する。
電荷発生層72に用いられる電荷発生物質としては、セレン及びその合金、セレン化ヒ素化合物、硫化カドニウム、酸化亜鉛等のその他の無機光導電物質、フタロシアニン、アゾ色素、キナクリドン、多環キノン、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、インジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピラントロン、シアニン等の各種有機顔料、染料が使用できる。中でも、錫、亜鉛、バナジウム、オキシチタニウム、銅塩化インジウム、塩化ガリウムといった金属、金属酸化物、若しくは、金属塩化物が配位したフタロシアニン類、無金属フタロシアニン、又は、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類といったアゾ顔料を用いることが好ましい。
また、電荷発生層72はこれらの物質の微粒子を、例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、又はセルロースエーテル等の各種バインダー樹脂で結着した形の分散層で使用してもよい。この場合の使用比率はバインダー樹脂100重量部に対して30から500重量部の範囲で使用し、その膜厚は0.1〜2μmであることが好ましい。電荷発生層には必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤、酸化防止剤、又は増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。また電荷発生層は上記電荷発生物質の蒸着膜であってもよい。
電荷輸送層73に使用される電荷輸送物質としては、例えばカルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、又は、スチルベン誘導体、若しくはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖を有する重合体等の電子供与性物質を使用することが好ましい。
さらに、電荷輸送層73に使用されるバインダー樹脂としては、上記化学式1で示される繰り返し構造を有するポリカーボネートを使用することが好適である。なお、上記化学式1中、R1、R2、R3、R4のうち、2つはメチル基であり、残り2つは炭素数2以上のアルキル基であり、前記化学式1の水素の一部がフッ素に置換されているものである。
より具体的には、上記化学式1で示される繰り返し構造において、R1及びR2を炭素数2〜6のアルキル基、R3及びR4をメチル基とし、上記化学式1中2〜8の水素がフッ素によって置換されているポリカーボネート、R1及びR3を炭素数2〜6のアルキル基、R2及びR4をメチル基とし、上記化学式1中2〜8の水素がフッ素によって置換されているポリカーボネート、又は、R3及びR4を炭素数2〜6のアルキル基、R1及びR2をメチル基とし、上記化学式1中2〜8の水素がフッ素によって置換されているポリカーボネートを使用することが好ましい。
この電荷輸送層73には、必要に応じて酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいても良い。さらに電荷輸送層73の膜厚は、5〜30μmであることが好ましい。
また、感光層52が逆二層型感光体である場合も、電荷発生層72と電荷輸送層73に好適なバインダー樹脂を除いて積層型感光体の場合と同様である。逆二層型感光体における電荷発生層72で好適なバインダー樹脂としては、上記化学式1で示される繰り返し構造を有するポリカーボネートが挙げられる。逆二層型感光体における電荷輸送層73で好適なバインダー樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、又はセルロースエーテル等が挙げられる。
すなわち、感光層52が積層型感光体であっても、逆二層型感光体であっても、感光層52の最表面の層のバインダー樹脂を上記化学式1に示された繰り返し構造を有するポリカーボネートとすることが好ましい。
感光層52が分散型感光層である場合には、上記化学式1に示された繰り返し構造を有するポリカーボネートと電荷輸送物質との組み合わせで上述の配合比の電荷輸送媒体中に、上述した電荷発生物質が分散される。その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり1μm以下で使用することが好ましい。感光層52内に分散される電荷発生物質の量が少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、又は感度の低下等の弊害があり、0.5〜50重量%の範囲で使用することが好ましい。感光層52の膜厚は、5〜30μmで使用することが好ましい。またこの場合にも成膜性、可とう性、及び機械的強度等を改良するために公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のために分散補助剤、塗布性を改善する為にレベリング剤、界面活性剤、又は、シリコーンオイルやフッ素系オイルといったその他の添加剤が添加されていることが好ましい。
各層の形成方法としては、各層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散して得られた塗布液を、順次塗布するなどの公知の方法が適用することができる。
以下、ビッカース硬度と摩擦力とを測定し、フィルミング発生率の小さい、高品質な画像を得ることができる感光体ドラム20について検討した。
[実施例1]
まず、フィルミング発生が抑制された高品質な画像を得るために、感光体ドラム20の感光層52のビッカース硬度、摩擦力とに注目し、感光体ドラム20の性能試験を行った。以下、この感光体ドラム20の性能試験の方法及び結果について詳細に説明する。
この性能試験に使用される感光体ドラム20は、上述した積層型感光体からなる感光層52を使用した。この感光層52の電荷発生層72は、ビスアゾ化合物を電荷発生物質として使用し、バインダー樹脂のポリビニルブチラールで結着した形の分散層を形成したものである。そして、この電荷発生層72の膜厚は0.5μmで、バインダー樹脂に対する電荷発生物質の量は50重量%である。
また、この感光層52の電荷輸送層73は、ヒドラゾン化合物を電荷輸送物質として使用し、バインダー樹脂として、上記化学式1中、R3及びR4をメチル基とし、R1及びR2を炭素数2〜6のアルキル基とし、上記化学式1中の水素を置換したフッ素の数を可変させたサンプル101〜サンプル117と、R1及びR2の炭素数を8としてフッ素が置換していないサンプル118との18種類のポリカーボネートを使用した。R1及びR2の炭素数、フッ素の数は、下記表1に示す。
ここで使用される複数のポリカーボネートは、テトラヒドロフランを溶剤とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)HLC8020(東ソー株式会社製)を使用して分子量を測定した。このバインダー樹脂の分子量は、ポリスチレン換算の重合平均分子量で、何れのポリカーボネートも約30000であった。また、この電荷輸送層73の初期膜厚は18μmで、バインダー樹脂に対する電荷輸送物質の量は50重量%である。
サンプル101〜サンプル118のビッカース硬度を測定した。まず、感光体ドラム20の感光層52のビッカース硬度の測定方法について説明する。このビッカース硬度は材料の塑性の指標であり、JIS(日本工業規格)Z2244に準じて求められる。図5は、ビッカース硬度の測定に使用されるビッカース圧子とその圧痕を示す。ビッカース圧子の形状は、稜間角θが136°の正四角錐である。このビッカース圧子を感光層52の表面に荷重F[N]で押し込む。そして、荷重を取り去った後に感光層52の表面に形成される塑性変形窪みの対角線長さd[mm]から表面積S[mm]を算出し、荷重Fを算出した表面積Sで割ったF/Sをビッカース硬度Hvとする。すなわち、ビッカース硬度Hvは、Hv=F/S=2Fsin(θ/2)/dにより算出できる。本実験では、ビッカース硬度計としてMVK−E(明石製作所製)を使用し、荷重Fを10gfとし、角サンプルのビッカース硬度を測定し、上記表1のような結果となった。
また、サンプル101〜サンプル118の摩擦力を測定した。次に、感光体ドラム20の感光層52の摩擦力の測定方法について説明する。図6は、クリーニングブレードが感光層52に接触することにより発生する動摩擦トルクを測定する概略図で、図7は、図6に示したトルク測定の装置における感光体ドラム部分の断面図である。
感光体ドラム20は、図6のように、その両端を支持体76によって支持され、支持体76の一方には、フレキシブルカップリング77を介して、モータを内蔵する負荷トルク計78が連結されている。すなわち、負荷トルク計78は、内蔵するモータによって、フレキシブルカップリング77を介して、感光体ドラム20を回転させる。このとき、負荷トルク計78は、感光体ドラム20を回転させながらトルク測定が可能となる。
感光体ドラム20には、図7のように、感光層52に対して、ウレタンブレード79が圧接可能なように当接されている。感光層52の動摩擦トルクは、この装置を用いて、ウレタンブレード79が感光層52に圧接した場合の回転トルクから、ウレタンブレード79が感光層52に当接していない場合の回転トルクを差し引くことで測定できる。すなわち、感光体ドラム20の感光層52にクリーニングブレードが接触することによる動摩擦トルクが測定できる。
また、この装置は、感光層52へのウレタンブレード79の圧接により、感光層52が受ける圧力を測定することができる。この装置では、ウレタンブレード79の感光層52への当接部が感光体ドラム20の回転軸に対して平行であり、感光体ドラム20の制止時におけるウレタンブレード79が受ける圧力の方向、すなわち、感光層52とウレタンブレード79の当接点Pにおける法線方向が実質上の圧力を検知する方向となる。
したがって、この装置は、ウレタンブレード79が受ける圧力を測定しながら、ウレタンブレード79と感光体ドラム20との相対的な位置を調節することにより、常に同じ条件で感光体ドラム20の感光層52にウレタンブレード79を圧接させることが可能である。ウレタンブレード79が受ける圧力の測定には、フォースゲージ等が用いられ、中でも、応答性の速い歪ゲージ、ロードセル等が好ましい。
この装置で測定される動摩擦トルクの値は、感光体ドラム20に圧接させるブレードの材質や、ブレードの感光体ドラム20への圧接させる条件、感光体ドラム20の回転速度により変化する。そこで、本測定は、図7のように、ウレタンブレード79の感光層52への押しつけ力Fを5Nとした。また、感光体ドラム20の外径は30mmで、感光体ドラム20の感光層52とウレタンブレード79との当接部の長さは23.8cmとした。感光体ドラム20の外径と、ウレタンブレード79の長さは可変であるため、ウレタンブレード79の感光層52への線圧力を本測定の条件とすると、その線圧力は、0.21N/cmである。さらに、ウレタンブレード79と感光層52との当接点Pの接線とウレタンブレード79との角度θを20度、感光体ドラム20の回転速度を50rpmという条件で動摩擦トルクを測定した。この装置で測定した動摩擦トルク値は、感光体ドラム20の外径が異なる場合の評価も考慮して、摩擦力として扱うことにする。
また、動摩擦トルクは、なるべく実際の使用条件に合わせるため、感光体ドラム20上に少量のトナーを載せて測定を行った。例えば、十分にほぐした書道用の筆等といった柔らかい毛を有するものにトナーを含ませ、感光体ドラム20上に載せ、動摩擦トルクの測定を行った。このとき、トナーは、感光層52の表面を覆う程度に感光体ドラム20上に載せてあればよい。なお、この試験においては、トナーとして粉砕トナーを用いた。
このように測定したサンプル101〜サンプル118までの感光体ドラム20の感光体52の摩擦力は、それぞれのサンプル毎に少なくとも5回以上繰り返し行い、その平均値を測定値とし、上述の表1に示したような結果となった。
そして、サンプル101〜サンプル118のフィルミング発生率を測定した。このフィルミング測定量の測定には、画像形成装置としてのプリンタ(C5900;株式会社沖データ製)を使用し、温度10℃、湿度20%の環境下で、2000枚の間欠印刷を行った。その後、印刷した画像中にフィルミングが原因となる白抜けの発生面積の割合を測定し、この白抜けの発生面積の割合をフィルミング発生率[%]として表1に示した。また、このフィルミング発生率は0.5%単位で示すこととし、フィルミング発生率が1%より大きい場合にフィルミングが発生したと判断した。表1では、1%より大きいフィルミング発生率である場合に×とし、1%以下のフィルミング発生率である場合に○とした。なお、温度10℃、湿度20%の環境下でフィルミングの評価を行ったのは、温度10℃、湿度20%のような低温低湿の環境下の方が、フィルミングが発生しやすいためである。これは、低温低湿の環境下でウレタンゴムで形成されるクリーニングブレードが常温の環境下よりもわずかに収縮するため、クリーニングブレードの感光体ドラムの表面への押し圧が弱くなり、感光体ドラムの表面に付着したフィルミングがクリーニングブレードをすり抜けて堆積するものと考えられる。
図8は、感光層のビッカース硬度及び摩擦力とフィルミング発生率との関係を示す図であり、フィルミング発生率が1%より大きいサンプルは◆、1%以下の場合を○として示した。サンプル101〜サンプル118は、図8のように、ビッカース硬度をHv、前記摩擦力をFoとした場合、Fo=0.0461×Hv−0.896示される直線を境として、フィルミング発生率が1%以下となっていることが分かる。すなわち、感光層52に上記バインダー樹脂を使用し、ビッカース硬度と摩擦力との関係がFo≦0.0461×Hv−0.896(関係式1)を満たすことでフィルミングが発生しないことが分かった。また、感光層52で使用するバインダー樹脂は、上記化学式1におけるR1及びR2が8より大きい炭素数になると、安定して合成することができない。したがって、ビッカース硬度の上限値は、表1のように、37.5となる。
フィルミングの発生の原因としては、感光層の表面にできるキズが起点となり、そのキズにトナー外添剤に含まれるシリカ等が付着するためであると考えられる。従って、キズができにくいするようにするために、硬度の高い材料を使用することが有効である。しかしながら、硬度を高くしすぎると、クリーニングブレード等の感光体ドラムに接触する部材を傷つけてしまう可能性がある。また、高速化した電子写真プロセスでは、感光層表面のキズはもはや避けられない。したがって、感光層表面のすべり性を良好とすることで、感光層表面に付着するフィルミングをクリーニングブレードで除去しやすくすることが有効である。
すなわち、フィルミングの発生を抑制するためには、感光層の表面のビッカース硬度と、摩擦力の両方を考慮する必要がある。実施例1では、上記化学式1に示されるバインダー樹脂を使用し、ビッカース硬度Hvと摩擦力Foとの関係が上記関係式1を満たすようにすることで、フィルミングの発生を抑制することができる。すなわち、実施例1によれば、感光体ドラム20のビッカース硬度と摩擦力の両方の値を測定することによって、フィルミングの発生を抑制し、高品質な画像が得られる感光体及び画像形成装置を提供することができる。
また、一般に例えば積層型感光体の電子写真感光体におけるフィルミングの発生を抑制する場合、最表面の電荷輸送層の下層にある下引層や電荷発生層に使用される材料や、電子写真プロセスにおける感光層の帯電にかかる電気的特性などの各種要因が考慮される。すなわち、フィルミングの発生を抑制するために、下引層、電荷輸送層、電荷発生層に使用される材料を種々変更してサンプルを作成し、それぞれのサンプルを評価する必要があった。一方、本発明であれば、感光層52、特に、最表面に形成される層の硬度とすべり性の指標となる摩擦力に着目し、この両者を上記関係式1を満たすようにすることで、フィルミングの発生が抑制できる。すなわち、例えば積層型感光体における電荷輸送層のように、最表面に形成される層のバインダー樹脂のみを代えて、上記関係式1を満たすようにすればフィルミングの発生を抑制できる感光体ドラム20を開発することができ、開発コストの削減も期待できる。
[実施例2]
実施例2では、実施例1で示したバインダー樹脂に代えて、上記化学式1中、R2及びR4をメチルとし、R1及びR3を炭素数2〜6のアルキル基とし、上記化学式1中の水素を置換したフッ素の数を可変させたサンプル201〜サンプル217と、R1及びR3の炭素数を8としてフッ素が置換していないサンプル218との18種類のポリカーボネートを使用した。なお、この実施例2は、使用するバインダー樹脂が異なる以外は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
表2は、各サンプルのバインダー樹脂のR1及びR3の炭素数、フッ素の数と、それぞれのサンプルのビッカース硬度、摩擦力及びフィルミング発生率とを示すものである。この表2の判定においては、1%より大きいフィルミング発生率である場合に×とし、1%以下のフィルミング発生率である場合に○とした。
図9は、感光層のビッカース硬度及び摩擦力とフィルミング発生率との関係を示す図であり、フィルミング発生率が1%より大きいサンプルは◆、1%以下の場合を○として示した。サンプル201〜サンプル218は、図9のように、ビッカース硬度をHv、前記摩擦力をFoとした場合、Fo=0.0454×Hv−0.815示される直線を境として、フィルミング発生率が1%以下となっていることが分かる。すなわち、感光層52に上記バインダー樹脂を使用し、ビッカース硬度と摩擦力との関係がFo≦0.0454×Hv−0.815(関係式2)を満たすことでフィルミングが発生しないことが分かった。また、感光層52で使用するバインダー樹脂は、上記化学式1におけるR1及びR3が8より大きい炭素数になると、安定して合成することができない。したがって、ビッカース硬度の上限値は、表2のように、38.5となる。
また、実施例2では、ビッカース硬度と摩擦力との関係において、実施例1よりもフィルミングが発生しない領域が広くなっていることが分かった。例えば、実施例1のサンプル104と実施例2のサンプル204のように、同じ炭素原子数、同じフッ素原子数、同じ分子量のポリカーボネートをバインダー樹脂として使用しても、アルキル基の位置の位置によって、フィルミングの発生が抑制できることが分かった。すなわち、バインダー樹脂であるポリカーボネートの側鎖の位置を工夫することで、効果的にフィルミングを抑制することができる。
以上のように、実施例2では、上記化学式1に示されるバインダー樹脂を使用し、ビッカース硬度Hvと摩擦力Foとの関係が上記関係式2を満たすようにすることで、フィルミングの発生を抑制することができる。したがって、高解像度の画像が得られる感光体及び画像形成装置を提供することができる。
[実施例3]
実施例3では、実施例1で示したバインダー樹脂に代えて、上記化学式1中、R1及びR2をメチルとし、R3及びR4を炭素数2〜6のアルキル基とし、上記化学式1中の水素を置換したフッ素の数を可変させたサンプル301〜サンプル317と、R3及びR4の炭素数を8としてフッ素が置換していないサンプル318との18種類のポリカーボネートを使用した。なお、この実施例3は、使用するバインダー樹脂が異なる以外は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
表3は、各サンプルのバインダー樹脂のR3及びR4の炭素数、フッ素の数と、それぞれのサンプルのビッカース硬度、摩擦力及びフィルミング発生率とを示すものである。この表3の判定においては、1%より大きいフィルミング発生率である場合に×とし、1%以下のフィルミング発生率である場合に○とした。
次に、本実施例3及び上記実施例1で判定を○としたフィルミング発生率が1%以下のサンプルに対して、耐刷試験を行った。この耐刷試験は、感光体ドラムの外径が30mm、感光体ドラム20の周速度が10cm/sec、印刷の平均パターン密度0.3%という条件で、プリンタ(C5900;株式会社沖データ製)を使用して行った。印刷媒体はA4サイズの用紙を縦方向送り(4辺のうち短い2辺が用紙搬送方向の先端と後端)で使用し、印刷枚数は20000枚であった。その印刷媒体の累計距離は、約6kmである。この耐刷試験後の感光層の膜削れ量を測定し、その結果を表4に示す。
図10は、感光層のビッカース硬度及び摩擦力とフィルミング発生率との関係を示す図であり、フィルミング発生率が1%より大きいサンプルは◆、1%以下の場合を○として示した。サンプル301〜サンプル318は、図10のように、ビッカース硬度をHv、前記摩擦力をFoとした場合、Fo=0.0428×Hv−0.717示される直線を境として、フィルミング発生率が1%以下となっていることが分かる。すなわち、感光層52に上記バインダー樹脂を使用し、ビッカース硬度と摩擦力との関係がFo≦0.0428×Hv−0.717(関係式3)を満たすことでフィルミングが発生しないことが分かった。また、感光層52で使用するバインダー樹脂は、上記化学式1におけるR3及びR4が8より大きい炭素数になると、安定して合成することができない。したがって、ビッカース硬度の上限値は、表3のように、39.5となる。また、表4のように、実施例3のポリカーボネートは、実施例1のポリカーボネートよりも膜削れ量が2.0μm以上少なくなることが分かった。
また、実施例3では、ビッカース硬度と摩擦力との関係において、実施例1及び実施例2よりもフィルミングが発生しない領域が広くなっていることが分かった。すなわち、同じ炭素原子数、同じフッ素原子数、同じ分子量のポリカーボネートをバインダー樹脂として使用しても、アルキル基の位置の位置によって、フィルミングの発生が抑制できることが分かった。このことから、ベンゼン環に側鎖を有するポリカーボネートをバインダー樹脂に使用することで、効果的にフィルミングの発生を抑制することできる。
以上のように、実施例3では、上記化学式1に示されるバインダー樹脂を使用し、ビッカース硬度Hvと摩擦力Foとの関係が上記関係式3を満たすようにすることで、フィルミングの発生を抑制することができる。また、実施例3のポリカーボネートをバインダー樹脂として使用することで、感光層の膜削れ量を2.0μm以上少なくすることができる。したがって、感光層52の膜厚を薄膜化することが可能となり、高解像度の画像が得られる感光体及び画像形成装置を提供することができる。
上述のように、電子写真感光体を使用する画像形成装置としてプリンタを一例に挙げたが、本発明はこれに限定するものではなく、複写機・ファックス等といった電子写真感光体を用いる画像形成装置全てに適用することが可能である。
本発明の画像形成装置の構成を示す断面図である。 本発明の現像機構の要部断面図である。 本発明の感光体の端部に固定されたギアの斜視図である。 本発明の感光体の構成を示す積層方向断面図である。 本発明の実施例で測定するビッカース硬度を説明する図である。 本発明の感光体の動摩擦トルク値を測定する装置の構成を示す図である。 図6に示したトルク測定の装置における感光体ドラム部分の断面図である。 実施例1におけるビッカース硬度及び摩擦力と、フィルミング発生率との関係を示すグラフである。 実施例2におけるビッカース硬度及び摩擦力と、フィルミング発生率との関係を示すグラフである。 実施例3におけるビッカース硬度及び摩擦力と、フィルミング発生率との関係を示すグラフである。
符号の説明
50 導電性支持体
51 下引層
52 感光層
72 電荷発生層
73 電荷輸送層

Claims (5)

  1. 導電性支持体と、
    前記導電性支持体上に形成され、露光されることで表面に潜像画像が生じる感光層とを有し、
    前記感光層は、電荷発生層と、電荷輸送物質と、下記化学式1
    (前記化学式1中、R1及びR2は炭素数2以上のアルキル基であり、R3及びR4はメチル基であり、前記化学式1の水素の一部がフッ素に置換されている)で示される繰り返し構造を有するバインダー樹脂とを含有し、
    前記感光層の表面のビッカース硬度と前記導電性支持体の回転軸と長手方向が平行となるように前記感光層の表面に当接されるウレタンブレードの前記感光層への線圧力を0.21N/cm、当接部の長さを23.8cm、前記感光層及び前記ウレタンブレードの当接点の接線と前記ウレタンブレードとの角度を20°、並びに、前記導電性支持体の回転速度を50rpmという条件で測定したときの摩擦力との関係が、前記ビッカース硬度をHv、前記摩擦力をFoとした場合、Fo≦0.0461×Hv−0.896を満たすことを特徴とする感光体。
  2. 導電性支持体と、
    前記導電性支持体上に形成され、露光されることで表面に潜像画像が生じる感光層とを有し、
    前記感光層は、電荷発生層と、電荷輸送物質と、下記化学式1
    (前記化学式1中、R1及びR3は炭素数2以上のアルキル基であり、R2及びR4はメチル基であり、前記化学式1の水素の一部がフッ素に置換されている)で示される繰り返し構造を有するバインダー樹脂とを含有し、
    前記感光層の表面のビッカース硬度と前記導電性支持体の回転軸と長手方向が平行となるように前記感光層の表面に当接されるウレタンブレードの前記感光層への線圧力を0.21N/cm、当接部の長さを23.8cm、前記感光層及び前記ウレタンブレードの当接点の接線と前記ウレタンブレードとの角度を20°、並びに、前記導電性支持体の回転速度を50rpmという条件で測定したときの摩擦力との関係が、前記ビッカース硬度をHv、前記摩擦力をFoとした場合、Fo≦0.0454×Hv−0.815を満たすことを特徴とする感光体。
  3. 導電性支持体と、
    前記導電性支持体上に形成され、露光されることで表面に潜像画像が生じる感光層とを有し、
    前記感光層は、電荷発生層と、電荷輸送物質と、下記化学式1
    (前記化学式1中、R3及びR4は炭素数2以上のアルキル基であり、R1及びR2はメチル基であり、前記化学式1の水素の一部がフッ素に置換されている)で示される繰り返し構造を有するバインダー樹脂とを含有し、
    前記感光層の表面のビッカース硬度と前記導電性支持体の回転軸と長手方向が平行となるように前記感光層の表面に当接されるウレタンブレードの前記感光層への線圧力を0.21N/cm、当接部の長さを23.8cm、前記感光層及び前記ウレタンブレードの当接点の接線と前記ウレタンブレードとの角度を20°、並びに、前記導電性支持体の回転速度を50rpmという条件で測定したときの摩擦力との関係が、前記ビッカース硬度をHv、前記摩擦力をFoとした場合、Fo≦0.0428×Hv−0.717を満たすことを特徴とする感光体。
  4. 前記ビッカース硬度は、稜間角136°のビッカース正四角錘ダイアモンド圧子を、前記感光層の表面に対して荷重10gfで押し込む際に形成される塑性変形窪みの対角線の長さから、前記対角線の長さをd[μm]、前記荷重をF[gf]、前記稜間角をθ[°]とした場合、Hv=2Fsin(θ/2)/dにより算出されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の感光体。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の感光体と、
    前記感光体を所定の電位に帯電する帯電部と、
    前記感光体に現像剤を供給して現像する現像部と、
    画像情報に基づいて前記感光体の表面を露光して静電画像を形成する露光部と、
    前記現像部による現像により前記静電潜像に基づいて形成される現像剤像を媒体に転写する転写部と、
    転写された前記現像剤像を前記媒体に定着させる定着部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
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