JPH10239886A - 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカ−トリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカ−トリッジ及び電子写真装置Info
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- JPH10239886A JPH10239886A JP6017297A JP6017297A JPH10239886A JP H10239886 A JPH10239886 A JP H10239886A JP 6017297 A JP6017297 A JP 6017297A JP 6017297 A JP6017297 A JP 6017297A JP H10239886 A JPH10239886 A JP H10239886A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】均一に画像を再現でき、転写効率が高く耐久不
良の生じない、駆動負荷トルクが低く耐久後もカブリの
生じない電子写真感光体を提供することである。 【解決手段】導電性支持体上に感光層を有する電子写真
感光体において、少なくとも最表面層が側鎖にフッ素原
子及び/またはシリコ−ンを含有するポリカ−ボネ−ト
系グラフト共重合体を含有することを特徴とする電子写
真感光体。
良の生じない、駆動負荷トルクが低く耐久後もカブリの
生じない電子写真感光体を提供することである。 【解決手段】導電性支持体上に感光層を有する電子写真
感光体において、少なくとも最表面層が側鎖にフッ素原
子及び/またはシリコ−ンを含有するポリカ−ボネ−ト
系グラフト共重合体を含有することを特徴とする電子写
真感光体。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真感光体並び
に該電子写真感光体を備えたプロセスカ−トリッジ及び
電子写真装置に関する。 【0002】 【従来の技術】電子写真感光体に用いられる光導電材料
としては、酸化亜鉛、セレン、硫化カドミウム等の無機
光導電材料が知られているが、有機光導電材料としては
ポリビニルカルバゾ−ル、フタロシアニン、アゾ顔料等
が高生産性、無公害性等の利点が注目され、光導電性、
耐久性等では劣る欠点はあるものの広く用いられるよう
になってきた。最近では、上記欠点も改善された新規材
料が提案され、特に光導電特性は前記無機光導電材料を
しのぎつつある。 【0003】電子写真感光体は複写機、レ−ザ−ビ−ム
プリンタ−等における電子写真プロセスにおいて、帯
電、露光、現像、転写、クリ−ニング、除電等の作用を
反復して受けるため、物理的、機械的、化学的、電気的
等様々な耐久性、安定性を要求される。また、現像剤、
転写材、コロナ生成物、クリ−ニングブレ−ド等の接触
物と感光体表面との相互作用に関しては、感光体の表面
エネルギ−も重要な要素とある。 【0004】一方、前記の有機光導電材料は、単独では
成膜性を有しないためバインダ−樹脂と共に成膜される
のが一般的である。従って、表面エネルギ−等の物性
は、このバインダ−樹脂の選択によりほとんど決定され
るといっても過言ではない。しかし、光導電特性と機械
的強度とを満足するバインダ−樹脂はかなり限定されて
おり、十分な低表面エネルギ−表面は得られていない。 【0005】感光体の表面物性に最も関与する電子写真
プロセスはクリ−ニングと転写である。近年、現像剤の
微粒化等に伴い、クリ−ニングはますます高精度を要求
されている。また、装置の省スペ−ス化に伴い、より簡
単な装置構成を実現するためにも、ブレ−ドクリ−ニン
グを採用するのが有利である。ブレ−ドクリ−ニングは
板状のポリウレタン等の弾性部材を感光体上母線方向に
突き当てただけの簡単な構成を採る。しかし、この場
合、感光体とブレ−ドとの間に大きな接触エネルギ−が
生じ、感光体の摩耗を促進し、耐久性の低下を引き起こ
してしまう。 【0006】これに対処するためには、感光体の機械的
強度向上と、感光体表面エネルギ−の低下による接触エ
ネルギ−の低下とが有効である。前者は、一般的にはバ
インダ−樹脂の高分子量化、硬化性バインダ−樹脂の使
用等が考えられる。しかしながら、高分子量バインダ−
樹脂は有機感光体の主たる製造工程であるコ−ティング
工程において、コ−ティング塗料の増粘を引き起こすた
め、高分子量化には限界がある。また、硬化性バインダ
−樹脂については硬化時の有機光導電材料の反応劣化、
未反応官能基や重合開始剤副生物等による不純物準位の
形成等により光導電特性劣化等の弊害があり、十分な実
用域に達していないのが実情である。 【0007】後者の方法としては、フッ素系、シリコ−
ン系等の低表面エネルギ−化合物の使用が考えられた
が、単独では成膜性や相溶性を満足する材料はなかっ
た。そこで、前記フッ素系やシリコ−ン系の化合物を感
光層中に分散させる手段が試みられたが、微粒子あるい
は相分離したこれ等の化合物は感光層に入射する光を散
乱、反射してしまい、忠実な潜像形成の妨げとなる場合
があった。特に、近年頻繁に用いられるようになってき
ているデジタル信号により制御されたレ−ザ−、LE
D、液晶シャッタ−等のドット状微小潜像を用いるプロ
セスでは、この影響が大きく画像の均一性低下等を引き
起こす。 【0008】また、シリコ−ン系グラフトポリマ−(例
えば特開昭61−189559号公報)を用いる試みが
なされているが、この場合、主鎖の骨格は重合性の容易
さからスチレン系、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル等のモノマ−を重合化したものが用いられてい
た。しかし、このようなポリマ−においても、感光層に
用いているバインダ−樹脂との相溶性は十分とは言えず
感光層内に添加できる量にも制限があった。また、グラ
フトポリマ−自体の機械的強度が高くないために、これ
等のグラフトポリマ−のみを感光層のバインダ−樹脂と
して使用することは不可能であった。 【0009】一方、転写については、現像剤の小粒径化
に伴い、高能率の転写がしにくくなっており、より転写
効率の高い感光体表面が望まれていたが、従来の材料で
はその実現は困難であった。その結果、転写不良による
画像品位の乱れなどが引き起こされていた。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、均一
に画像を再現でき、転写効率が高く耐久不良の生じな
い、駆動負荷トルクが低く耐久後もカブリの生じない電
子写真感光体を提供することである。また該電子写真感
光体を有するプロセスカ−トリッジ並びに電子写真装置
を提供することである。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明は、導電性支持体
上に感光層を有する電子写真感光体において、少なくと
も最表面層が側鎖にフッ素原子を含有するポリカ−ボネ
−ト系グラフト共重合体を含有することを特徴とする電
子写真感光体から構成される。 【0012】また、前記フッ素原子含有ポリカ−ボネ−
ト系グラフト共重合体として、下記一般式(1)で示さ
れる共重合体が挙げられる。 一般式(1) 【化5】 式中、Xは水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基ま
たはハロゲン原子を表わし、a及びbは0〜4の整数を
表わし、Yは単結合、エ−テル結合、炭素数1〜5のア
ルキレン基及びアルキリデン基、炭素数5〜15のシク
ロアルキレン基及びシクロアルキリデン基、並びに、−
S−結合、−SO−結合及び−SO2−結合を表わし、
Zは単結合、−COO−結合及び−NH−結合を表わ
し、R1は水素原子またはメチル基を表わし、nは2〜
40、好ましくは3〜20の整数、lは30〜41の整
数、mは10〜500の整数、kは1〜10の整数であ
る。また、R2はフッ素原子含有側鎖である。 【0013】また、本発明の電子写真感光体は最表面層
にフッ素原子含有化合物を含有することができ、該化合
物は、黒鉛構造にフッ素原子置換した化合物及び炭化水
素にフッ素原子置換した化合物からなる群から選ばれる
1種または2種以上の混合物として用いられる。該化合
物のフッ素原子重量比率は30〜80wt%の範囲、平
均粒径は0.003〜2.5μmの微粒子である。 【0014】また、本発明は、導電性支持体上に感光層
を有する電子写真感光体において、少なくとも最表面層
が側鎖にシリコ−ンを含有するポリカ−ボネ−ト系グラ
フト共重合体を含有することを特徴とする電子写真感光
体から構成される。 【0015】また、前記シリコ−ン含有ポリカ−ボネ−
ト系グラフト共重合体として、下記一般式(2)で示さ
れる共重合体が挙げられる。 一般式(2) 【化6】 式中、Xは水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基ま
たはハロゲン原子を表わし、a及びbは0〜4の整数を
表わし、Yは単結合、エ−テル結合、炭素数1〜5のア
ルキレン基及びアルキリデン基、炭素数5〜15のシク
ロアルキレン基及びシクロアルキリデン基、並びに、−
S−結合、−SO−結合及び−SO2−結合を表わし、
Zは単結合、−COO−結合及び−NH−結合を表わ
し、R1は水素原子またはメチル基を表わし、nは2〜
40、好ましくは3〜20の整数、pは30〜41の整
数、mは10〜500の整数、kは1〜10の整数であ
る。また、R3はシリコ−ン系側鎖である。 【0016】また、前記一般式(2)中のR3のシリコ
−ン系側鎖として下記一般式(3)あるいは(4)で示
される変性シリコ−ンが挙げられる。 一般式(3) 【化7】 一般式(4) 【化8】 式中、Wはアルキレン基またはアリ−レン基を表わし、
R4、R5、R6、R7及びR8は水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、アリ−ル基またはアルコキシ基を表わ
し、p及びqは0〜5の整数である。 【0017】また、前記シリコ−ン含有ポリカ−ボネ−
ト系グラフト共重合体の含有量は添加する層の全固形分
重量に対して0.05〜100%である。 【0018】また、本発明は、前記本発明の電子写真感
光体、及び帯電手段、現像手段及びクリ−ニング手段か
らなる群より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支
持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴と
するプロセスカ−トリッジから構成される。 【0019】また、本発明は、前記本発明の電子写真感
光体、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を
有することを特徴とする電子写真装置から構成される。 【0020】 【発明の実施の形態】本発明においては、前記フッ素原
子含有化合物は、主に炭素−フッ素結合を含有し、フッ
素原子の重量比率は化合物を構成する原子の30〜80
%を占める。フッ素原子は水素原子に次いでファンデル
ワ−ルス半径が小さいばかりでなく、最も電気陰性度が
高い原子であり、更に最外殻電子と原子核との相互作用
が強く分極率が小さい等の特徴を有する。そのため、炭
素−フッ素結合はその原子間距離が短い、結合エネルギ
−が高い、分極率の小さな共有結合を生成する等の特徴
を有する。その結果、フッ素原子含有化合物は熱的、化
学的、電気的に安定、かつ、分子間凝集力が小さいため
表面エネルギ−が低いほか、光の屈折率が小さい傾向に
ある。 【0021】フッ素原子含有化合物を均一分散させた感
光層は、フッ素原子含有化合物の小さな分子間凝集力を
反映し、著しく低エネルギ−の表面を与える。そのた
め、感光体表面とその表面に接触する現像剤、クリ−ニ
ングブレ−ド等との接触エネルギ−を著しく低減するこ
とが可能となり、クリ−ニング負荷による感光体の削れ
が抑制される。更に本発明で得られる低エネルギ−表面
の感光体は、現像剤の転写効率を著しく高め、転写不良
等のない高品位の複写画像を可能にする。 【0022】ただし、前述のようにフッ素原子含有化合
物は分子間凝集力が著しく小さく、感光層を形成する感
光材料や樹脂との相溶性に乏しいので、相分離もしくは
分散した状態で感光層に含有される。このような場合、
分離した2相間の屈折率差が大きいと、感光層に入射し
た光像が散乱され、忠実な潜像形成の妨げになる場合が
ある。特に、近年頻繁に用いられるようになってきてい
るデジタル信号により制御されたレ−ザ−、LED、液
晶シャッタ−等のドット状微小潜像を用いるプロセスで
は、この影響が大きく画像の均一性低下等を引き起こ
す。 【0023】また、感光体の表面層は、クリ−ニング部
材、帯電部材との接触にも十分耐え得るような機械的強
度を有していなくてはならない。そこで、屈折率及び機
械的強度の異なる樹脂を種々検討したところ、本発明に
おいてフッ素原子含有化合物を含有する樹脂としては、
前記一般式(1)で示される側鎖にフッ素原子を含有し
たポリカ−ボネ−トグラフト共重合体が有効であること
が判明した。 【0024】一般式(1)で示されるフッ素原子含有ポ
リカ−ボネ−トグラフト共重合体はフッ素原子を側鎖に
有し、下記一般式(5)で示されるアクリル樹脂マクロ
モノマ−と下記一般式(6)で示されるポリカ−ボネ−
トオリゴマ−とを重縮合して得られるプレポリマ−と、
下記一般式(7)で示される芳香族ジオキサン化合物と
を重縮合させることにより得られる。 一般式(5) 【化9】 式中、Z、R1、R2及びmは一般式(1)におけると
同義) 一般式(6) 【化10】 式中、Xa及びXbは一般式(1)におけると同義であ
り、tは2〜15の整数である) 一般式(7) 【化11】式中、Xa及びXbは一般式(1)におけると同義) 【0025】一般式(1)中、R2について、表1に具
体的な化合物(化合物例1〜10)を挙げるが、本発明
はこれらの例に限定されるものではない。 【表1】 【0026】前記一般式(6)で示されるポリカ−ボネ
−トオリゴマ−はビス−2−(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(別名ビスフェノ−ルA)等の、一般式
(7)で示される芳香族ジオキサン化合物から得ること
ができる。この芳香族ジオキサン化合物の具体例(化合
物例11〜16)を表2に挙げるが、本発明はこれ等の
例に限定されるものではない。 【表2】【0027】フッ素原子含有化合物の具体例としては、
テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、
トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、
フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パ−フルオロアルキ
ルビニルエ−テル等の重合体、及びそれらの共重合体が
挙げられる。また、フッ素原子置換された黒鉛構造フラ
−レンのフッ化炭素、フッ素原子置換されたオイル類等
が挙げられる。また、無機のフッ化物等も挙げられる。 【0028】フッ素原子含有化合物が固体状微粉の場
合、その粒径は0.005〜2.5μmの範囲で使用可
能であり、その分子量は重合体の場合3千〜1千万の範
囲で使用可能である。粒径のより好ましい範囲は、0.
01〜0.7μmの範囲である。固体状微粉のフッ素原
子含有化合物の場合は、前記構造のポリカ−ボネ−ト樹
脂と共に感光層組成物として分散される。分散の方法と
しては、サンドミル、ボ−ルミル、ロ−ルミル、ホモジ
ナイザ−、ナノマイザ−、ペイントシェイカ−、超音波
等が使用される。分散時には、補助的にフッ素系の界面
活性剤、グラフトポリマ−、カップリング剤等を用いて
もよい。フッ素原子含有化合物の含有量としては、含有
させる層の1.0〜50wt%が望ましい。 【0029】また、一般式(2)で示されるシリコ−ン
含有ポリカ−ボネ−トグラフト共重合体はフッ素原子を
側鎖に有し、下記一般式(8)で示されるアクリル樹脂
マクロモノマ−と前記一般式(6)で示されるポリカ−
ボネ−トオリゴマ−とを重縮合して得られるプレポリマ
−と、前記一般式(7)で示される芳香族ジオキサン化
合物とを重縮合させることにより得られる。 一般式(8) 【化12】 式中、Z、R1 、R3 及びmは一般式(2)におけ
ると同義) 【0030】一般式(2)中、R3について、表3及び
4に具体的な化合物(化合物例17〜26)を挙げる
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。 【表3】【表4】【0031】本発明の電子写真感光体の感光層は、単層
または積層構造を有する。単層構造の場合は光キャリア
の生成及び移動は同一層中で行われる。積層構造の場合
は光キャリアを生成する電荷発生層とキャリアが移動す
る電荷輸送層とが積層される。表面層を形成するのは、
電荷発生層または電荷輸送層のいずれの場合もある。単
層感光層の膜厚は5〜100μm、好ましくは10〜6
0μmである。電荷発生材料や電荷輸送材料は20〜8
0%、好ましくは30〜70%含有する。積層感光体で
は、電荷発生層の膜厚は0.001〜6μm、好ましく
は0.01〜2μmである。電荷発生材料の量は10〜
100%、好ましくは40〜100%である。電荷輸送
層の膜厚は5〜100μm、好ましくは10〜60μm
である。電荷輸送材料の量は20〜80%、好ましくは
30〜70%である。 【0032】電荷発生材料としては、フタロシアニン顔
料、多環キノン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、インジ
ゴ顔料、キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、スク
アリリウム染料、シアニン染料、ピリリウム染料、チオ
ピリリウム染料、キサンテン色素、キノンイミン色素、
トリフェニルメタン色素、スチリル色素、セレン、テル
ル、アモルファスシリコン、硫化カドミウム等が挙げら
れる。 【0033】電荷輸送材料としては、ピレン化合物、カ
ルバゾ−ル化合物、ヒドラゾン化合物、N,N−ジアル
キルアニリン化合物、ジフェニルアミン化合物、トリフ
ェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラ
ゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物等が
挙げられる。 【0034】本発明の電子写真感光体に用いられる導電
性支持体としては、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、
チタン、スズ、アンチモン、インジウム、鉛、亜鉛、
金、銀等の金属や合金、あるいはそれらの酸化物やカ−
ボン、導電性樹脂等が挙げられ、形状は円筒形、ベルト
状やシ−ト状のものがある。前述の導電性材料は、成型
加工される場合もあるが、塗料として塗布したり、蒸着
してもよい。 【0035】導電性支持体と感光層との間に下引き層を
設けてもよい。下引き層は主にバインダ−樹脂からなる
が、前記導電性材料やアクセプタ−を含有してもよい。
下引き層を形成するバインダ−樹脂としては、ポリエス
テル、ポリウレタン、ポリアリレ−ト、ポリエチレン、
ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカ−ボネ−ト、ポ
リアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドイ
ミド、ポリサルホン、ポリアリルエ−テル、ポリアセタ
−ル、ナイロン、フェノ−ル樹脂、アクリル樹脂、シリ
コ−ン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、
アルキッド樹脂、ブチラ−ル樹脂等が挙げられる。 【0036】本発明の電子写真感光体の作成には蒸着、
塗布等の方法が用いられる。塗布にはバ−コ−タ−、ナ
イフコ−タ−、ロ−ルコ−タ−、アトライタ−、スプレ
−、浸漬塗布、静電塗布、粉体塗布等の手段が用いられ
る。 【0037】次に、本発明のプロセスカ−トリッジ並び
に電子写真装置について説明する。図1に本発明の電子
写真感光体を有するプロセスカ−トリッジを有する電子
写真装置の概略構成を示す。図において、1はドラム状
の本発明の電子写真感光体であり、じく2を中心に矢印
方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は回転
過程において、一次帯電手段3によりその周面に正また
は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露
光やレ−ザ−ビ−ム走査露光等の像露光手段(不図示)
からの画像露光光4を受ける。こうして感光体1の周面
に静電潜像が順次形成されていく。 【0038】形成された静電潜像は、次いで現像手段5
によりトナ−現像され、現像されたトナ−現像像は、不
図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体
1の回転と同期取りされて給送された転写材7に、転写
手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写
材7は感光体面から分離されて像定着手段8へ導入され
て像定着を受けることにより複写物(コピ−)として装
置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体1の表
面は、クリ−ニング手段9によって転写残りトナ−の除
去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)か
らの前露光光10により除電処理がされた後、繰り返し
画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ロ
−ラ−等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は
必ずしも必要ではない。 【0039】本発明においては、上述の感光体1、一次
帯電手段3、現像手段5及びクリ−ニング手段9等の構
成要素のうち、複数のものをプロセスカ−トリッジとし
て一体に結合して構成し、このプロセスカ−トリッジを
複写機やレ−ザ−ビ−ムプリンタ−等の電子写真装置本
体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば一次帯電
手段3、現像手段5及びクリ−ニング手段9の少なくと
も1つを感光体1と共に一体に支持してカ−トリッジ化
し、装置本体のレ−ル12等の案内手段を用いて装置本
体に着脱可能なプロセスカ−トリッジ11とすることが
できる。また、画像露光光4は、電子写真装置が複写機
やプリンタ−である場合には、原稿からの反射光や透過
光を用いる、あるいは、センサ−で原稿を読み取り、信
号化し、この信号に従って行われるレ−ザ−ビ−ムの走
査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッタ−アレイの駆
動等により照射される光である。 【0040】(1)含フッ素アクリレ−トマクロモノマ
−の合成 テトラヒドロフラン250ミリリットル中に下記構造式
を有する含フッ素メタクリレ−ト520g、 【化13】 アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)1.0g、
チオリンゴ酸(連鎖移動剤)6.4gを溶解し、60℃
で3時間反応させた。反応生成物を石油エ−テル2リッ
トル中に撹拌しながら注ぎ、ポリマ−を沈殿、ろ別、乾
燥した。次いで、得られたポリマ−を塩化メチレンに溶
解し、水洗後、塩化メチレンを蒸発除去して精製した重
合度135〜140の含フッ素メタクリレ−トマクロモ
ノマ−を得た。 【0041】(2)ポリカ−ボネ−トオリゴマ−の合成 400リットルの5%苛性ソ−ダ水溶液に60kgのビ
スフェノ−ルAを溶解し、ビスフェノ−ルAの苛性ソ−
ダ水溶液を調製する。次いで、室温に保持したビスフェ
ノ−ルAの苛性ソ−ダ水溶液及びメチレンクロライドを
それぞれ138リットル/時間、69リットル/時間の
流量で、内径10mm、管長10mの管型反応器にオリ
フィス板を通じて導入し、これにホスゲンを併流して1
0.7kg/時間の流量で吹き込み、3時間連続的に反
応させる。ここで用いた管型反応器は二重管となってお
り、ジャケット部には冷却水を通して反応液の排出温度
を25℃に保つ。また、排出液のpHは10〜11を示
すようにする。この結果得られた反応液を静置すること
により水相を分離除去し、メチレンクロライド相(22
0リットル)を採取し、これに、更にメチレンクロライ
ド342リットルを加え、十分にかき混ぜたものをポリ
カ−ボネ−トオリゴマ−(濃度220g/リットル)と
した。ここに得られたオリゴマ−の重合度は3〜4であ
った。 【0042】(3)ポリカ−ボネ−ト系グラフト共重合
体の製造 上記(1)で得られたアクリル樹脂マクロモノマ−69
gと上記(2)で得られたポリカ−ボネ−トオリゴマ−
28gとを塩化メチレン200ミリリットル中に溶解
し、トリエチルアミン2.1ミリリットルを加え、撹拌
しながら1時間反応させた後、塩酸で洗浄し、有機相を
分離してプレポリマ−溶液を得た。得られたプレポリマ
−溶液に塩化メチレンを加えて400ミリリットルに
し、p−t−ブチルフェノ−ル(分子量調節剤)1.0
gを加えて有機溶媒溶液とした。一方、ビスフェノ−ル
A10.7g、水酸化ナトリウム6.5g及びトリエチ
ルアミン0.07ミリリットルを水に溶解して水溶液と
した。この水溶液110ミリリットルと前記の有機溶媒
溶液を撹拌しながら界面重合し、洗浄、分離してポリカ
−ボネ−ト系グラフト共重合体を得た。 【0043】前記一般式(1)中のR2を変化させた含
フッ素アクリレ−トモノマ−(R1は常にメチル基で統
一した)及びXa、Xb、Yを変化させたポリカ−ボネ
−トオリゴマ−を用い、前記ポリカ−ボネ−トグラフト
共重合体と同様にして種々のポリカ−ボネ−トグラフト
共重合体を得た。結果を表5及び6に示す。 【表5】 【表6】【0044】 (4)含ケイ素アクリレ−トモノマ−の合成テトラヒド
ロフラン250ミリリットル中に下記構造式を有する含
ケイ素メタクリレ−ト520g、 【化14】 アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)1.0g、
チオリンゴ酸(連鎖移動剤)6.4gを溶解し、60℃
で3時間反応させた。反応生成物を石油エ−テル2リッ
トル中に撹拌しながら注ぎ、ポリマ−を沈殿、ろ別、乾
燥した。次いで、得られたポリマ−を塩化メチレンに溶
解し、水洗後、塩化メチレンを蒸発除去して精製した重
合度135〜140の含ケイ素メタクリレ−トマクロモ
ノマ−を得た。 【0045】(5)ポリカ−ボネ−ト系グラフト共重合
体の製造 上記(4)で得られたアクリル樹脂マクロモノマ−を用
いた他は、上記(3)のポリカ−ボネ−ト系グラフト共
重合体の製造と同様にして、相当するポリカ−ボネ−ト
系グラフト共重合体を得た。 【0046】前記一般式(2)中のR3を変化させた含
ケイ素アクリレ−トモノマ−(R1は常にメチル基で統
一した)及びXa、Xb、Yを変化させたポリカ−ボネ
−トオリゴマ−を用い、前記ポリカ−ボネ−トグラフト
共重合体と同様にして種々のポリカ−ボネ−トグラフト
共重合体を得た。結果を表7及び8に示す。 【表7】【表8】【0047】 【実施例】 実施例1 導電性酸化チタン(酸化スズ、酸化アンチモンコ−ト、
平均一次粒径0.4μm)5重量部、高抵抗酸化チタン
(アルミナコ−ト、平均一次粒径0.4μm)5重量
部、フェノ−ル樹脂前駆体(レゾ−ル型)10重量部、
メタノ−ル10重量部、及びブタノ−ル10重量部をサ
ンドミル分散した後に、該分散液を外径80mm、長さ
360mmのアルミニウムシリンダ−に浸漬塗布、加熱
硬化して体積抵抗5×109Ωcm、膜厚20μmの導
電層を形成した。 【0048】次に、下記化合物1のメトキシメチル化ナ
イロン(メトキシメチル化度約30%)3重量部、 【化15】 6/66/610/12四元共重合ナイロン9重量部及
びイソプロパノ−ル150重量部を混合溶解した後、該
溶解液を前記導電層上に浸漬塗布し、膜厚1μmの下引
き層を形成した。 【0049】次に、下記化合物2のジスアゾ顔料10重
量部、 【化16】 下記化合物3のポリ(ビニルアセテ−ト−ビニルアルコ
−ル−ビニルベンザ−ル)共重合体(分子量80,00
0)5重量部、 【化17】 及びシクロヘキサノン700重量部をサンドミルにて分
散し、この分散液を前記下引き層上に浸漬塗布して、膜
厚0.05μmの電荷発生層を形成した。 【0050】次に、下記化合物4のトリフェニルアミン
化合物10重量部、 【化18】 及び前記表5中のグラフト共重合体化合物(B)を10
重量部、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均一次
粒径0.25μm、分子量400,000、乳化重合
品)2重量部、クロロベンゼン50重量部及びジクロロ
メタン30重量部を混合しサンドミル分散し、分散液を
前記電荷発生層上に浸漬塗布、熱風乾燥し、膜厚25μ
mの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作成した。 【0051】実施例2 実施例1において、電荷輸送層樹脂として表中のグラフ
ト共重合体化合物(E)を用いた他は、実施例1と同様
にして電子写真感光体を作成した。 【0052】実施例3 実施例1において、電荷輸送層樹脂として表6中のグラ
フト共重合体化合物(H)を用いた他は、実施例1と同
様にして電子写真感光体を作成した。 【0053】比較例1 実施例1において、電荷輸送層樹脂として下記化合物5
のポリカ−ボネ−ト(ポリカ−ボネ−トZ、分子量2
0,000)を用いた他は、実施例1と同様にして電子
写真感光体を作成した。 【化19】 【0054】比較例2 実施例1において、電荷輸送層にポリテトラフルオロエ
チレンを含まない他は、実施例1と同様にして電子写真
感光体を作成した。 【0055】フッ素原子含有化合物の分散性 実施例1〜3及び比較例1で作成したそれぞれの電子写
真感光体の保護層の表面状態を電子顕微鏡を用いて観察
した。実施例1〜3においてはポリテトラフルオロエチ
レン粒子が均一の分散されている様子が観察されるが、
比較例1においてはポリテトラフルオロエチレン粒子が
凝集し、見掛けの粒径が実施例1〜3に比べかなり大き
くなっている様子が観察される。 【0056】レ−ザ−スポットの散乱像 実施例1〜3及び比較例1の電子写真感光体の保護層を
スライドガラス上に同様にして形成し、表面から半導体
レ−ザ−(波長672nm,スポット径35×65μ
m)を保護層とガラス界面から20μm後方に焦点を合
わせて照射し、裏面より対物レンズを用いて保護層とガ
ラス界面から20μm後方のレ−ザ−スポット像を観察
した。スポット像は対物レンズにCCDカメラを接続
し、ビデオ出力した。実施例1〜3の保護層は空中像と
ほぼ同等のスポット像を再現したが、比較例1の保護層
はポリテトラフルオロエチレン微粒子の凝集によるレ−
ザ−光の散乱のため粒状性の乱れたスポット像となって
おり、実画像への影響もあるものと推測された。画像の
評価は後述する。 【0057】接触角 滴下式の接触角計(協和界面科学(株)製)により、前
記電子写真感光体表面の純水に対する接触角を比較し
た。その結果、実施例1〜3の電子写真感光体の接触角
はそれぞれ115度、110度及び108度と大きく低
エネルギ−表面が得られたのに対し、比較例2は89度
と小さく、低エネルギ−表面は得られなかった。 【0058】画像 図2に示した電子写真装置を用いて画像評価を行った。
この電子写真装置は、複写機、プリンタ−、ファクシミ
リ等の出力装置として使用可能である。画像形成の工程
は帯電、露光、現像、転写、クリ−ニング及び除電の順
で行うことを基本とする。図中、13は電子写真感光
体、14は転写帯電、15は一次帯電器、16は記憶媒
体、読み取り装置、17は光源、18は現像器、19は
給紙、20は定着、21はブレ−ドクリ−ニングであ
る。まず、コロトロン、スコロトロン等の帯電器15に
て電子写真感光体13の表面に電荷を与えた後、CCD
等の読み取り装置またはコンピュ−タ−等の情報処理、
記憶媒体16から送られてくるデジタル画像信号により
制御されたレ−ザ−、LED、液晶シャッタ−等の光源
17からドット状の微小光像が感光体上に照射される。
前記光像は感光体中に電荷のキャリアを発生させ、感光
体の表面電荷を消去することによりドット状の微小な静
電潜像を形成する。前記静電潜像が形成された後、現像
器18にて現像される。現像剤により現像された像は、
転写工程で転写紙等の転写材に転写される。現像剤を感
光体から転写材上に転写するには、主に現像剤と反対極
性の静電気力により、コロトロン、スコロトロン、帯電
ブラシ、導電ロ−ラ−等が用いられる。同時に、加圧に
よる転写効果を付与するために、加圧部材が併用される
こともある。転写後の残現像剤は、クリ−ニングにより
除かれる。クリ−ニング方式としては、装置の省スペ−
ス化に伴い、より簡略な装置構成を実現するためにも、
ブレ−ドクリ−ニング21を採用するのが望ましい。ブ
レ−ドクリ−ニングは、板状のポリウレタン等の弾性部
材を感光体上母線方向に突き当てただけの簡単な構成で
ある。ブレ−ドクリ−ニングの突き当て方向は、感光体
の回転方向にブレ−ド先端が向いた順方向、感光体の回
転方向と逆方向にブレ−ド先端が向いたカウンタ−方向
及び感光体とブレ−ドとが垂直な場合等がある。また、
ブレ−ドは単独ばかりではなく、複数を併用することも
できる。また、補助的にクリ−ニングブラシ、ウェブ、
磁気ブラシ等を併用してもよい。 【0059】前記電子写真装置にスポット径35×65
μm、波長672nmの半導体レ−ザ−を搭載し、画像
を評価した。半導体レ−ザ−は400dpiのドット状
出力として、パルス幅変調により出力制御し、反射式の
マクベス濃度計で0.3のハ−フト−ンべた画像を出力
した。実施例1〜3の感光体では、均一で滑らかなハ−
フト−ン画像が得られたが、比較例1の感光体では、が
さがさの不均一画像となり、散乱によるレ−ザ−スポッ
トの乱れが影響していると考えられた。 【0060】転写効率 図2の電子写真装置を用いて、各感光体の転写効率を測
定した。測定は、転写材上の転写後現像剤と、感光体上
の転写残現像剤をそれぞれ反射式マクベス濃度計にて反
射濃度として測定し算出した。実施例1〜3の感光体は
低エネルギ−表面の効果でそれぞれ94%、93%及び
95%と高い転写効率を示したが、比較例2の感光体は
転写効率83%と低かった。 【0061】負荷トルク 図2の電子写真装置を用いて、各感光体の駆動時の負荷
トルクを測定した。測定は、装置駆動時の感光体ドラム
モ−タ−の電流をモニタ−することにより行い、それを
トルクに換算した。実施例1〜3の感光体は、低エネル
ギ−表面の効果により負荷トルクは小さかったが、比較
例2の感光体は負荷トルクが大きかった。 【0062】実機耐久 図2の電子写真装置を用いて、各感光体の耐久を行っ
た。2万枚の耐久を行ったところ、比較例2の感光体
は、1万3千枚で白地画像カブリが著しくなり、使用不
能となったが、実施例1〜3の感光体は2万枚後も良好
な画像であった。また、耐久後の感光体削れ量も実施例
1〜3では比較例1に比べ著しく少なかった。更に同条
件で1千枚後の転写不良について検討した。1千枚後の
反射濃度0.6のハ−フト−ン画像にて評価したとこ
ろ、比較例2の感光体は転写不良によりぼそぼその不均
一画像となったが、実施例1〜3の感光体は、均一な高
品位のハ−フト−ン画像であった。比較例1の感光体も
転写不良は発生しなかったが、散乱によるがさつきは依
然として見られた。 【0063】実施例4 実施例1と同様にして電荷発生層までを形成した。 【0064】次に、前記化合物4のトリフェニルアミン
化合物10重量部、及び前記表7中のグラフト共重合体
化合物(K)を10重量部、クロロベンゼン50重量部
及びジクロロメタン30重量部を混合溶解し、調製液を
前記電荷発生層上に浸漬塗布、熱風乾燥し、膜厚25μ
mの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作成した。 【0065】実施例5 実施例4において、電荷輸送層樹脂として表7中のグラ
フト共重合体化合物(N)を用いた他は、実施例4と同
様にして電子写真感光体を作成した。 【0066】実施例6 実施例4において、電荷輸送層樹脂として表8中のグラ
フト共重合体化合物(Q)を用いた他は、実施例4と同
様にして電子写真感光体を作成した。 【0067】比較例3 実施例4において、電荷輸送層樹脂として前記化合物5
のポリカ−ボネ−ト(ポリカ−ボネ−トZ、分子量2
0,000)を用いた他は、実施例4と同様にして電子
写真感光体を作成した。 【0068】比較例4 実施例4と同様にして、電荷発生層までを形成した。次
に、前記化合物4のトリフェニルアミン化合物10重量
部、前記化合物1のポリカ−ボネ−ト樹脂、下記化合物
6のケイ素樹脂3重量部、 【化20】 クロロベンゼン50重量部及びジクロロメタン30重量
部を混合溶解し、この調製液を前記電荷発生層上に浸漬
塗布、熱風乾燥して、膜厚25μmの電荷輸送層を形成
し、電子写真感光体を作成した。 【0069】画像 実施例1と同様にして実施例4〜6及び比較例3及び4
の感光体を評価した。実施例4〜6及び比較例3の感光
体では、均一で滑らかなハ−フト−ン画像が得られた
が、比較例4の感光体では、がさがさの不均一画像とな
ったが、電荷輸送層に添加したケイ素樹脂とポリカ−ボ
ネ−ト樹脂との相溶性が悪く、白化したことによる、散
乱によるレ−ザ−スポットの乱れが影響していると考え
られた。 【0070】転写効率 実施例1と同様にして実施例4〜6及び比較例3の感光
体の転写効率を測定した。実施例4〜6の感光体は低エ
ネルギ−表面の効果でそれぞれ94%、95%及び95
%と高い転写効率を示したが、比較例3の感光体は転写
効率83%と低かった。 【0071】負荷トルク 実施例1と同様にして実施例4〜6及び比較例3の感光
体の負荷トルクを測定した。実施例4〜6の感光体は、
低エネルギ−表面の効果により負荷トルクは小さかった
が、比較例3の感光体は負荷トルクが大きかった。 【0072】実機耐久 実施例1と同様にして実施例4〜6及び比較例3の感光
体の耐久を行った。比較例3の感光体は、1万3千枚で
白地画像カブリが著しくなり、使用不能となったが、実
施例4〜6の感光体は2万枚後も良好な画像であった。
また、耐久後の感光体削れ量も実施例4〜6では比較例
3に比べ著しく少なかった。更に同条件で1千枚後の転
写不良について検討した。1千枚後の反射濃度0.6の
ハ−フト−ン画像にて評価したところ、比較例3の感光
体は転写不良によりぼそぼその不均一画像となったが、
実施例4〜6の感光体は、均一な高品位のハ−フト−ン
画像であった。比較例4の感光体も転写不良は発生しな
かったが、散乱によるがさつきは依然として見られた。 【0073】 【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、均一に画像
を再現でき、転写効率が高く耐久不良の生じない、駆動
負荷トルクが低く耐久後もカブリを生じないという顕著
な効果を奏する。また、該電子写真感光体を有するプロ
セスカ−トリッジ並びに電子写真装置において同様の効
果を奏する。
に該電子写真感光体を備えたプロセスカ−トリッジ及び
電子写真装置に関する。 【0002】 【従来の技術】電子写真感光体に用いられる光導電材料
としては、酸化亜鉛、セレン、硫化カドミウム等の無機
光導電材料が知られているが、有機光導電材料としては
ポリビニルカルバゾ−ル、フタロシアニン、アゾ顔料等
が高生産性、無公害性等の利点が注目され、光導電性、
耐久性等では劣る欠点はあるものの広く用いられるよう
になってきた。最近では、上記欠点も改善された新規材
料が提案され、特に光導電特性は前記無機光導電材料を
しのぎつつある。 【0003】電子写真感光体は複写機、レ−ザ−ビ−ム
プリンタ−等における電子写真プロセスにおいて、帯
電、露光、現像、転写、クリ−ニング、除電等の作用を
反復して受けるため、物理的、機械的、化学的、電気的
等様々な耐久性、安定性を要求される。また、現像剤、
転写材、コロナ生成物、クリ−ニングブレ−ド等の接触
物と感光体表面との相互作用に関しては、感光体の表面
エネルギ−も重要な要素とある。 【0004】一方、前記の有機光導電材料は、単独では
成膜性を有しないためバインダ−樹脂と共に成膜される
のが一般的である。従って、表面エネルギ−等の物性
は、このバインダ−樹脂の選択によりほとんど決定され
るといっても過言ではない。しかし、光導電特性と機械
的強度とを満足するバインダ−樹脂はかなり限定されて
おり、十分な低表面エネルギ−表面は得られていない。 【0005】感光体の表面物性に最も関与する電子写真
プロセスはクリ−ニングと転写である。近年、現像剤の
微粒化等に伴い、クリ−ニングはますます高精度を要求
されている。また、装置の省スペ−ス化に伴い、より簡
単な装置構成を実現するためにも、ブレ−ドクリ−ニン
グを採用するのが有利である。ブレ−ドクリ−ニングは
板状のポリウレタン等の弾性部材を感光体上母線方向に
突き当てただけの簡単な構成を採る。しかし、この場
合、感光体とブレ−ドとの間に大きな接触エネルギ−が
生じ、感光体の摩耗を促進し、耐久性の低下を引き起こ
してしまう。 【0006】これに対処するためには、感光体の機械的
強度向上と、感光体表面エネルギ−の低下による接触エ
ネルギ−の低下とが有効である。前者は、一般的にはバ
インダ−樹脂の高分子量化、硬化性バインダ−樹脂の使
用等が考えられる。しかしながら、高分子量バインダ−
樹脂は有機感光体の主たる製造工程であるコ−ティング
工程において、コ−ティング塗料の増粘を引き起こすた
め、高分子量化には限界がある。また、硬化性バインダ
−樹脂については硬化時の有機光導電材料の反応劣化、
未反応官能基や重合開始剤副生物等による不純物準位の
形成等により光導電特性劣化等の弊害があり、十分な実
用域に達していないのが実情である。 【0007】後者の方法としては、フッ素系、シリコ−
ン系等の低表面エネルギ−化合物の使用が考えられた
が、単独では成膜性や相溶性を満足する材料はなかっ
た。そこで、前記フッ素系やシリコ−ン系の化合物を感
光層中に分散させる手段が試みられたが、微粒子あるい
は相分離したこれ等の化合物は感光層に入射する光を散
乱、反射してしまい、忠実な潜像形成の妨げとなる場合
があった。特に、近年頻繁に用いられるようになってき
ているデジタル信号により制御されたレ−ザ−、LE
D、液晶シャッタ−等のドット状微小潜像を用いるプロ
セスでは、この影響が大きく画像の均一性低下等を引き
起こす。 【0008】また、シリコ−ン系グラフトポリマ−(例
えば特開昭61−189559号公報)を用いる試みが
なされているが、この場合、主鎖の骨格は重合性の容易
さからスチレン系、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル等のモノマ−を重合化したものが用いられてい
た。しかし、このようなポリマ−においても、感光層に
用いているバインダ−樹脂との相溶性は十分とは言えず
感光層内に添加できる量にも制限があった。また、グラ
フトポリマ−自体の機械的強度が高くないために、これ
等のグラフトポリマ−のみを感光層のバインダ−樹脂と
して使用することは不可能であった。 【0009】一方、転写については、現像剤の小粒径化
に伴い、高能率の転写がしにくくなっており、より転写
効率の高い感光体表面が望まれていたが、従来の材料で
はその実現は困難であった。その結果、転写不良による
画像品位の乱れなどが引き起こされていた。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、均一
に画像を再現でき、転写効率が高く耐久不良の生じな
い、駆動負荷トルクが低く耐久後もカブリの生じない電
子写真感光体を提供することである。また該電子写真感
光体を有するプロセスカ−トリッジ並びに電子写真装置
を提供することである。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明は、導電性支持体
上に感光層を有する電子写真感光体において、少なくと
も最表面層が側鎖にフッ素原子を含有するポリカ−ボネ
−ト系グラフト共重合体を含有することを特徴とする電
子写真感光体から構成される。 【0012】また、前記フッ素原子含有ポリカ−ボネ−
ト系グラフト共重合体として、下記一般式(1)で示さ
れる共重合体が挙げられる。 一般式(1) 【化5】 式中、Xは水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基ま
たはハロゲン原子を表わし、a及びbは0〜4の整数を
表わし、Yは単結合、エ−テル結合、炭素数1〜5のア
ルキレン基及びアルキリデン基、炭素数5〜15のシク
ロアルキレン基及びシクロアルキリデン基、並びに、−
S−結合、−SO−結合及び−SO2−結合を表わし、
Zは単結合、−COO−結合及び−NH−結合を表わ
し、R1は水素原子またはメチル基を表わし、nは2〜
40、好ましくは3〜20の整数、lは30〜41の整
数、mは10〜500の整数、kは1〜10の整数であ
る。また、R2はフッ素原子含有側鎖である。 【0013】また、本発明の電子写真感光体は最表面層
にフッ素原子含有化合物を含有することができ、該化合
物は、黒鉛構造にフッ素原子置換した化合物及び炭化水
素にフッ素原子置換した化合物からなる群から選ばれる
1種または2種以上の混合物として用いられる。該化合
物のフッ素原子重量比率は30〜80wt%の範囲、平
均粒径は0.003〜2.5μmの微粒子である。 【0014】また、本発明は、導電性支持体上に感光層
を有する電子写真感光体において、少なくとも最表面層
が側鎖にシリコ−ンを含有するポリカ−ボネ−ト系グラ
フト共重合体を含有することを特徴とする電子写真感光
体から構成される。 【0015】また、前記シリコ−ン含有ポリカ−ボネ−
ト系グラフト共重合体として、下記一般式(2)で示さ
れる共重合体が挙げられる。 一般式(2) 【化6】 式中、Xは水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基ま
たはハロゲン原子を表わし、a及びbは0〜4の整数を
表わし、Yは単結合、エ−テル結合、炭素数1〜5のア
ルキレン基及びアルキリデン基、炭素数5〜15のシク
ロアルキレン基及びシクロアルキリデン基、並びに、−
S−結合、−SO−結合及び−SO2−結合を表わし、
Zは単結合、−COO−結合及び−NH−結合を表わ
し、R1は水素原子またはメチル基を表わし、nは2〜
40、好ましくは3〜20の整数、pは30〜41の整
数、mは10〜500の整数、kは1〜10の整数であ
る。また、R3はシリコ−ン系側鎖である。 【0016】また、前記一般式(2)中のR3のシリコ
−ン系側鎖として下記一般式(3)あるいは(4)で示
される変性シリコ−ンが挙げられる。 一般式(3) 【化7】 一般式(4) 【化8】 式中、Wはアルキレン基またはアリ−レン基を表わし、
R4、R5、R6、R7及びR8は水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、アリ−ル基またはアルコキシ基を表わ
し、p及びqは0〜5の整数である。 【0017】また、前記シリコ−ン含有ポリカ−ボネ−
ト系グラフト共重合体の含有量は添加する層の全固形分
重量に対して0.05〜100%である。 【0018】また、本発明は、前記本発明の電子写真感
光体、及び帯電手段、現像手段及びクリ−ニング手段か
らなる群より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支
持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴と
するプロセスカ−トリッジから構成される。 【0019】また、本発明は、前記本発明の電子写真感
光体、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を
有することを特徴とする電子写真装置から構成される。 【0020】 【発明の実施の形態】本発明においては、前記フッ素原
子含有化合物は、主に炭素−フッ素結合を含有し、フッ
素原子の重量比率は化合物を構成する原子の30〜80
%を占める。フッ素原子は水素原子に次いでファンデル
ワ−ルス半径が小さいばかりでなく、最も電気陰性度が
高い原子であり、更に最外殻電子と原子核との相互作用
が強く分極率が小さい等の特徴を有する。そのため、炭
素−フッ素結合はその原子間距離が短い、結合エネルギ
−が高い、分極率の小さな共有結合を生成する等の特徴
を有する。その結果、フッ素原子含有化合物は熱的、化
学的、電気的に安定、かつ、分子間凝集力が小さいため
表面エネルギ−が低いほか、光の屈折率が小さい傾向に
ある。 【0021】フッ素原子含有化合物を均一分散させた感
光層は、フッ素原子含有化合物の小さな分子間凝集力を
反映し、著しく低エネルギ−の表面を与える。そのた
め、感光体表面とその表面に接触する現像剤、クリ−ニ
ングブレ−ド等との接触エネルギ−を著しく低減するこ
とが可能となり、クリ−ニング負荷による感光体の削れ
が抑制される。更に本発明で得られる低エネルギ−表面
の感光体は、現像剤の転写効率を著しく高め、転写不良
等のない高品位の複写画像を可能にする。 【0022】ただし、前述のようにフッ素原子含有化合
物は分子間凝集力が著しく小さく、感光層を形成する感
光材料や樹脂との相溶性に乏しいので、相分離もしくは
分散した状態で感光層に含有される。このような場合、
分離した2相間の屈折率差が大きいと、感光層に入射し
た光像が散乱され、忠実な潜像形成の妨げになる場合が
ある。特に、近年頻繁に用いられるようになってきてい
るデジタル信号により制御されたレ−ザ−、LED、液
晶シャッタ−等のドット状微小潜像を用いるプロセスで
は、この影響が大きく画像の均一性低下等を引き起こ
す。 【0023】また、感光体の表面層は、クリ−ニング部
材、帯電部材との接触にも十分耐え得るような機械的強
度を有していなくてはならない。そこで、屈折率及び機
械的強度の異なる樹脂を種々検討したところ、本発明に
おいてフッ素原子含有化合物を含有する樹脂としては、
前記一般式(1)で示される側鎖にフッ素原子を含有し
たポリカ−ボネ−トグラフト共重合体が有効であること
が判明した。 【0024】一般式(1)で示されるフッ素原子含有ポ
リカ−ボネ−トグラフト共重合体はフッ素原子を側鎖に
有し、下記一般式(5)で示されるアクリル樹脂マクロ
モノマ−と下記一般式(6)で示されるポリカ−ボネ−
トオリゴマ−とを重縮合して得られるプレポリマ−と、
下記一般式(7)で示される芳香族ジオキサン化合物と
を重縮合させることにより得られる。 一般式(5) 【化9】 式中、Z、R1、R2及びmは一般式(1)におけると
同義) 一般式(6) 【化10】 式中、Xa及びXbは一般式(1)におけると同義であ
り、tは2〜15の整数である) 一般式(7) 【化11】式中、Xa及びXbは一般式(1)におけると同義) 【0025】一般式(1)中、R2について、表1に具
体的な化合物(化合物例1〜10)を挙げるが、本発明
はこれらの例に限定されるものではない。 【表1】 【0026】前記一般式(6)で示されるポリカ−ボネ
−トオリゴマ−はビス−2−(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(別名ビスフェノ−ルA)等の、一般式
(7)で示される芳香族ジオキサン化合物から得ること
ができる。この芳香族ジオキサン化合物の具体例(化合
物例11〜16)を表2に挙げるが、本発明はこれ等の
例に限定されるものではない。 【表2】【0027】フッ素原子含有化合物の具体例としては、
テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、
トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、
フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パ−フルオロアルキ
ルビニルエ−テル等の重合体、及びそれらの共重合体が
挙げられる。また、フッ素原子置換された黒鉛構造フラ
−レンのフッ化炭素、フッ素原子置換されたオイル類等
が挙げられる。また、無機のフッ化物等も挙げられる。 【0028】フッ素原子含有化合物が固体状微粉の場
合、その粒径は0.005〜2.5μmの範囲で使用可
能であり、その分子量は重合体の場合3千〜1千万の範
囲で使用可能である。粒径のより好ましい範囲は、0.
01〜0.7μmの範囲である。固体状微粉のフッ素原
子含有化合物の場合は、前記構造のポリカ−ボネ−ト樹
脂と共に感光層組成物として分散される。分散の方法と
しては、サンドミル、ボ−ルミル、ロ−ルミル、ホモジ
ナイザ−、ナノマイザ−、ペイントシェイカ−、超音波
等が使用される。分散時には、補助的にフッ素系の界面
活性剤、グラフトポリマ−、カップリング剤等を用いて
もよい。フッ素原子含有化合物の含有量としては、含有
させる層の1.0〜50wt%が望ましい。 【0029】また、一般式(2)で示されるシリコ−ン
含有ポリカ−ボネ−トグラフト共重合体はフッ素原子を
側鎖に有し、下記一般式(8)で示されるアクリル樹脂
マクロモノマ−と前記一般式(6)で示されるポリカ−
ボネ−トオリゴマ−とを重縮合して得られるプレポリマ
−と、前記一般式(7)で示される芳香族ジオキサン化
合物とを重縮合させることにより得られる。 一般式(8) 【化12】 式中、Z、R1 、R3 及びmは一般式(2)におけ
ると同義) 【0030】一般式(2)中、R3について、表3及び
4に具体的な化合物(化合物例17〜26)を挙げる
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。 【表3】【表4】【0031】本発明の電子写真感光体の感光層は、単層
または積層構造を有する。単層構造の場合は光キャリア
の生成及び移動は同一層中で行われる。積層構造の場合
は光キャリアを生成する電荷発生層とキャリアが移動す
る電荷輸送層とが積層される。表面層を形成するのは、
電荷発生層または電荷輸送層のいずれの場合もある。単
層感光層の膜厚は5〜100μm、好ましくは10〜6
0μmである。電荷発生材料や電荷輸送材料は20〜8
0%、好ましくは30〜70%含有する。積層感光体で
は、電荷発生層の膜厚は0.001〜6μm、好ましく
は0.01〜2μmである。電荷発生材料の量は10〜
100%、好ましくは40〜100%である。電荷輸送
層の膜厚は5〜100μm、好ましくは10〜60μm
である。電荷輸送材料の量は20〜80%、好ましくは
30〜70%である。 【0032】電荷発生材料としては、フタロシアニン顔
料、多環キノン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、インジ
ゴ顔料、キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、スク
アリリウム染料、シアニン染料、ピリリウム染料、チオ
ピリリウム染料、キサンテン色素、キノンイミン色素、
トリフェニルメタン色素、スチリル色素、セレン、テル
ル、アモルファスシリコン、硫化カドミウム等が挙げら
れる。 【0033】電荷輸送材料としては、ピレン化合物、カ
ルバゾ−ル化合物、ヒドラゾン化合物、N,N−ジアル
キルアニリン化合物、ジフェニルアミン化合物、トリフ
ェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラ
ゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物等が
挙げられる。 【0034】本発明の電子写真感光体に用いられる導電
性支持体としては、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、
チタン、スズ、アンチモン、インジウム、鉛、亜鉛、
金、銀等の金属や合金、あるいはそれらの酸化物やカ−
ボン、導電性樹脂等が挙げられ、形状は円筒形、ベルト
状やシ−ト状のものがある。前述の導電性材料は、成型
加工される場合もあるが、塗料として塗布したり、蒸着
してもよい。 【0035】導電性支持体と感光層との間に下引き層を
設けてもよい。下引き層は主にバインダ−樹脂からなる
が、前記導電性材料やアクセプタ−を含有してもよい。
下引き層を形成するバインダ−樹脂としては、ポリエス
テル、ポリウレタン、ポリアリレ−ト、ポリエチレン、
ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカ−ボネ−ト、ポ
リアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドイ
ミド、ポリサルホン、ポリアリルエ−テル、ポリアセタ
−ル、ナイロン、フェノ−ル樹脂、アクリル樹脂、シリ
コ−ン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、
アルキッド樹脂、ブチラ−ル樹脂等が挙げられる。 【0036】本発明の電子写真感光体の作成には蒸着、
塗布等の方法が用いられる。塗布にはバ−コ−タ−、ナ
イフコ−タ−、ロ−ルコ−タ−、アトライタ−、スプレ
−、浸漬塗布、静電塗布、粉体塗布等の手段が用いられ
る。 【0037】次に、本発明のプロセスカ−トリッジ並び
に電子写真装置について説明する。図1に本発明の電子
写真感光体を有するプロセスカ−トリッジを有する電子
写真装置の概略構成を示す。図において、1はドラム状
の本発明の電子写真感光体であり、じく2を中心に矢印
方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は回転
過程において、一次帯電手段3によりその周面に正また
は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露
光やレ−ザ−ビ−ム走査露光等の像露光手段(不図示)
からの画像露光光4を受ける。こうして感光体1の周面
に静電潜像が順次形成されていく。 【0038】形成された静電潜像は、次いで現像手段5
によりトナ−現像され、現像されたトナ−現像像は、不
図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体
1の回転と同期取りされて給送された転写材7に、転写
手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写
材7は感光体面から分離されて像定着手段8へ導入され
て像定着を受けることにより複写物(コピ−)として装
置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体1の表
面は、クリ−ニング手段9によって転写残りトナ−の除
去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)か
らの前露光光10により除電処理がされた後、繰り返し
画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ロ
−ラ−等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は
必ずしも必要ではない。 【0039】本発明においては、上述の感光体1、一次
帯電手段3、現像手段5及びクリ−ニング手段9等の構
成要素のうち、複数のものをプロセスカ−トリッジとし
て一体に結合して構成し、このプロセスカ−トリッジを
複写機やレ−ザ−ビ−ムプリンタ−等の電子写真装置本
体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば一次帯電
手段3、現像手段5及びクリ−ニング手段9の少なくと
も1つを感光体1と共に一体に支持してカ−トリッジ化
し、装置本体のレ−ル12等の案内手段を用いて装置本
体に着脱可能なプロセスカ−トリッジ11とすることが
できる。また、画像露光光4は、電子写真装置が複写機
やプリンタ−である場合には、原稿からの反射光や透過
光を用いる、あるいは、センサ−で原稿を読み取り、信
号化し、この信号に従って行われるレ−ザ−ビ−ムの走
査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッタ−アレイの駆
動等により照射される光である。 【0040】(1)含フッ素アクリレ−トマクロモノマ
−の合成 テトラヒドロフラン250ミリリットル中に下記構造式
を有する含フッ素メタクリレ−ト520g、 【化13】 アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)1.0g、
チオリンゴ酸(連鎖移動剤)6.4gを溶解し、60℃
で3時間反応させた。反応生成物を石油エ−テル2リッ
トル中に撹拌しながら注ぎ、ポリマ−を沈殿、ろ別、乾
燥した。次いで、得られたポリマ−を塩化メチレンに溶
解し、水洗後、塩化メチレンを蒸発除去して精製した重
合度135〜140の含フッ素メタクリレ−トマクロモ
ノマ−を得た。 【0041】(2)ポリカ−ボネ−トオリゴマ−の合成 400リットルの5%苛性ソ−ダ水溶液に60kgのビ
スフェノ−ルAを溶解し、ビスフェノ−ルAの苛性ソ−
ダ水溶液を調製する。次いで、室温に保持したビスフェ
ノ−ルAの苛性ソ−ダ水溶液及びメチレンクロライドを
それぞれ138リットル/時間、69リットル/時間の
流量で、内径10mm、管長10mの管型反応器にオリ
フィス板を通じて導入し、これにホスゲンを併流して1
0.7kg/時間の流量で吹き込み、3時間連続的に反
応させる。ここで用いた管型反応器は二重管となってお
り、ジャケット部には冷却水を通して反応液の排出温度
を25℃に保つ。また、排出液のpHは10〜11を示
すようにする。この結果得られた反応液を静置すること
により水相を分離除去し、メチレンクロライド相(22
0リットル)を採取し、これに、更にメチレンクロライ
ド342リットルを加え、十分にかき混ぜたものをポリ
カ−ボネ−トオリゴマ−(濃度220g/リットル)と
した。ここに得られたオリゴマ−の重合度は3〜4であ
った。 【0042】(3)ポリカ−ボネ−ト系グラフト共重合
体の製造 上記(1)で得られたアクリル樹脂マクロモノマ−69
gと上記(2)で得られたポリカ−ボネ−トオリゴマ−
28gとを塩化メチレン200ミリリットル中に溶解
し、トリエチルアミン2.1ミリリットルを加え、撹拌
しながら1時間反応させた後、塩酸で洗浄し、有機相を
分離してプレポリマ−溶液を得た。得られたプレポリマ
−溶液に塩化メチレンを加えて400ミリリットルに
し、p−t−ブチルフェノ−ル(分子量調節剤)1.0
gを加えて有機溶媒溶液とした。一方、ビスフェノ−ル
A10.7g、水酸化ナトリウム6.5g及びトリエチ
ルアミン0.07ミリリットルを水に溶解して水溶液と
した。この水溶液110ミリリットルと前記の有機溶媒
溶液を撹拌しながら界面重合し、洗浄、分離してポリカ
−ボネ−ト系グラフト共重合体を得た。 【0043】前記一般式(1)中のR2を変化させた含
フッ素アクリレ−トモノマ−(R1は常にメチル基で統
一した)及びXa、Xb、Yを変化させたポリカ−ボネ
−トオリゴマ−を用い、前記ポリカ−ボネ−トグラフト
共重合体と同様にして種々のポリカ−ボネ−トグラフト
共重合体を得た。結果を表5及び6に示す。 【表5】 【表6】【0044】 (4)含ケイ素アクリレ−トモノマ−の合成テトラヒド
ロフラン250ミリリットル中に下記構造式を有する含
ケイ素メタクリレ−ト520g、 【化14】 アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)1.0g、
チオリンゴ酸(連鎖移動剤)6.4gを溶解し、60℃
で3時間反応させた。反応生成物を石油エ−テル2リッ
トル中に撹拌しながら注ぎ、ポリマ−を沈殿、ろ別、乾
燥した。次いで、得られたポリマ−を塩化メチレンに溶
解し、水洗後、塩化メチレンを蒸発除去して精製した重
合度135〜140の含ケイ素メタクリレ−トマクロモ
ノマ−を得た。 【0045】(5)ポリカ−ボネ−ト系グラフト共重合
体の製造 上記(4)で得られたアクリル樹脂マクロモノマ−を用
いた他は、上記(3)のポリカ−ボネ−ト系グラフト共
重合体の製造と同様にして、相当するポリカ−ボネ−ト
系グラフト共重合体を得た。 【0046】前記一般式(2)中のR3を変化させた含
ケイ素アクリレ−トモノマ−(R1は常にメチル基で統
一した)及びXa、Xb、Yを変化させたポリカ−ボネ
−トオリゴマ−を用い、前記ポリカ−ボネ−トグラフト
共重合体と同様にして種々のポリカ−ボネ−トグラフト
共重合体を得た。結果を表7及び8に示す。 【表7】【表8】【0047】 【実施例】 実施例1 導電性酸化チタン(酸化スズ、酸化アンチモンコ−ト、
平均一次粒径0.4μm)5重量部、高抵抗酸化チタン
(アルミナコ−ト、平均一次粒径0.4μm)5重量
部、フェノ−ル樹脂前駆体(レゾ−ル型)10重量部、
メタノ−ル10重量部、及びブタノ−ル10重量部をサ
ンドミル分散した後に、該分散液を外径80mm、長さ
360mmのアルミニウムシリンダ−に浸漬塗布、加熱
硬化して体積抵抗5×109Ωcm、膜厚20μmの導
電層を形成した。 【0048】次に、下記化合物1のメトキシメチル化ナ
イロン(メトキシメチル化度約30%)3重量部、 【化15】 6/66/610/12四元共重合ナイロン9重量部及
びイソプロパノ−ル150重量部を混合溶解した後、該
溶解液を前記導電層上に浸漬塗布し、膜厚1μmの下引
き層を形成した。 【0049】次に、下記化合物2のジスアゾ顔料10重
量部、 【化16】 下記化合物3のポリ(ビニルアセテ−ト−ビニルアルコ
−ル−ビニルベンザ−ル)共重合体(分子量80,00
0)5重量部、 【化17】 及びシクロヘキサノン700重量部をサンドミルにて分
散し、この分散液を前記下引き層上に浸漬塗布して、膜
厚0.05μmの電荷発生層を形成した。 【0050】次に、下記化合物4のトリフェニルアミン
化合物10重量部、 【化18】 及び前記表5中のグラフト共重合体化合物(B)を10
重量部、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均一次
粒径0.25μm、分子量400,000、乳化重合
品)2重量部、クロロベンゼン50重量部及びジクロロ
メタン30重量部を混合しサンドミル分散し、分散液を
前記電荷発生層上に浸漬塗布、熱風乾燥し、膜厚25μ
mの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作成した。 【0051】実施例2 実施例1において、電荷輸送層樹脂として表中のグラフ
ト共重合体化合物(E)を用いた他は、実施例1と同様
にして電子写真感光体を作成した。 【0052】実施例3 実施例1において、電荷輸送層樹脂として表6中のグラ
フト共重合体化合物(H)を用いた他は、実施例1と同
様にして電子写真感光体を作成した。 【0053】比較例1 実施例1において、電荷輸送層樹脂として下記化合物5
のポリカ−ボネ−ト(ポリカ−ボネ−トZ、分子量2
0,000)を用いた他は、実施例1と同様にして電子
写真感光体を作成した。 【化19】 【0054】比較例2 実施例1において、電荷輸送層にポリテトラフルオロエ
チレンを含まない他は、実施例1と同様にして電子写真
感光体を作成した。 【0055】フッ素原子含有化合物の分散性 実施例1〜3及び比較例1で作成したそれぞれの電子写
真感光体の保護層の表面状態を電子顕微鏡を用いて観察
した。実施例1〜3においてはポリテトラフルオロエチ
レン粒子が均一の分散されている様子が観察されるが、
比較例1においてはポリテトラフルオロエチレン粒子が
凝集し、見掛けの粒径が実施例1〜3に比べかなり大き
くなっている様子が観察される。 【0056】レ−ザ−スポットの散乱像 実施例1〜3及び比較例1の電子写真感光体の保護層を
スライドガラス上に同様にして形成し、表面から半導体
レ−ザ−(波長672nm,スポット径35×65μ
m)を保護層とガラス界面から20μm後方に焦点を合
わせて照射し、裏面より対物レンズを用いて保護層とガ
ラス界面から20μm後方のレ−ザ−スポット像を観察
した。スポット像は対物レンズにCCDカメラを接続
し、ビデオ出力した。実施例1〜3の保護層は空中像と
ほぼ同等のスポット像を再現したが、比較例1の保護層
はポリテトラフルオロエチレン微粒子の凝集によるレ−
ザ−光の散乱のため粒状性の乱れたスポット像となって
おり、実画像への影響もあるものと推測された。画像の
評価は後述する。 【0057】接触角 滴下式の接触角計(協和界面科学(株)製)により、前
記電子写真感光体表面の純水に対する接触角を比較し
た。その結果、実施例1〜3の電子写真感光体の接触角
はそれぞれ115度、110度及び108度と大きく低
エネルギ−表面が得られたのに対し、比較例2は89度
と小さく、低エネルギ−表面は得られなかった。 【0058】画像 図2に示した電子写真装置を用いて画像評価を行った。
この電子写真装置は、複写機、プリンタ−、ファクシミ
リ等の出力装置として使用可能である。画像形成の工程
は帯電、露光、現像、転写、クリ−ニング及び除電の順
で行うことを基本とする。図中、13は電子写真感光
体、14は転写帯電、15は一次帯電器、16は記憶媒
体、読み取り装置、17は光源、18は現像器、19は
給紙、20は定着、21はブレ−ドクリ−ニングであ
る。まず、コロトロン、スコロトロン等の帯電器15に
て電子写真感光体13の表面に電荷を与えた後、CCD
等の読み取り装置またはコンピュ−タ−等の情報処理、
記憶媒体16から送られてくるデジタル画像信号により
制御されたレ−ザ−、LED、液晶シャッタ−等の光源
17からドット状の微小光像が感光体上に照射される。
前記光像は感光体中に電荷のキャリアを発生させ、感光
体の表面電荷を消去することによりドット状の微小な静
電潜像を形成する。前記静電潜像が形成された後、現像
器18にて現像される。現像剤により現像された像は、
転写工程で転写紙等の転写材に転写される。現像剤を感
光体から転写材上に転写するには、主に現像剤と反対極
性の静電気力により、コロトロン、スコロトロン、帯電
ブラシ、導電ロ−ラ−等が用いられる。同時に、加圧に
よる転写効果を付与するために、加圧部材が併用される
こともある。転写後の残現像剤は、クリ−ニングにより
除かれる。クリ−ニング方式としては、装置の省スペ−
ス化に伴い、より簡略な装置構成を実現するためにも、
ブレ−ドクリ−ニング21を採用するのが望ましい。ブ
レ−ドクリ−ニングは、板状のポリウレタン等の弾性部
材を感光体上母線方向に突き当てただけの簡単な構成で
ある。ブレ−ドクリ−ニングの突き当て方向は、感光体
の回転方向にブレ−ド先端が向いた順方向、感光体の回
転方向と逆方向にブレ−ド先端が向いたカウンタ−方向
及び感光体とブレ−ドとが垂直な場合等がある。また、
ブレ−ドは単独ばかりではなく、複数を併用することも
できる。また、補助的にクリ−ニングブラシ、ウェブ、
磁気ブラシ等を併用してもよい。 【0059】前記電子写真装置にスポット径35×65
μm、波長672nmの半導体レ−ザ−を搭載し、画像
を評価した。半導体レ−ザ−は400dpiのドット状
出力として、パルス幅変調により出力制御し、反射式の
マクベス濃度計で0.3のハ−フト−ンべた画像を出力
した。実施例1〜3の感光体では、均一で滑らかなハ−
フト−ン画像が得られたが、比較例1の感光体では、が
さがさの不均一画像となり、散乱によるレ−ザ−スポッ
トの乱れが影響していると考えられた。 【0060】転写効率 図2の電子写真装置を用いて、各感光体の転写効率を測
定した。測定は、転写材上の転写後現像剤と、感光体上
の転写残現像剤をそれぞれ反射式マクベス濃度計にて反
射濃度として測定し算出した。実施例1〜3の感光体は
低エネルギ−表面の効果でそれぞれ94%、93%及び
95%と高い転写効率を示したが、比較例2の感光体は
転写効率83%と低かった。 【0061】負荷トルク 図2の電子写真装置を用いて、各感光体の駆動時の負荷
トルクを測定した。測定は、装置駆動時の感光体ドラム
モ−タ−の電流をモニタ−することにより行い、それを
トルクに換算した。実施例1〜3の感光体は、低エネル
ギ−表面の効果により負荷トルクは小さかったが、比較
例2の感光体は負荷トルクが大きかった。 【0062】実機耐久 図2の電子写真装置を用いて、各感光体の耐久を行っ
た。2万枚の耐久を行ったところ、比較例2の感光体
は、1万3千枚で白地画像カブリが著しくなり、使用不
能となったが、実施例1〜3の感光体は2万枚後も良好
な画像であった。また、耐久後の感光体削れ量も実施例
1〜3では比較例1に比べ著しく少なかった。更に同条
件で1千枚後の転写不良について検討した。1千枚後の
反射濃度0.6のハ−フト−ン画像にて評価したとこ
ろ、比較例2の感光体は転写不良によりぼそぼその不均
一画像となったが、実施例1〜3の感光体は、均一な高
品位のハ−フト−ン画像であった。比較例1の感光体も
転写不良は発生しなかったが、散乱によるがさつきは依
然として見られた。 【0063】実施例4 実施例1と同様にして電荷発生層までを形成した。 【0064】次に、前記化合物4のトリフェニルアミン
化合物10重量部、及び前記表7中のグラフト共重合体
化合物(K)を10重量部、クロロベンゼン50重量部
及びジクロロメタン30重量部を混合溶解し、調製液を
前記電荷発生層上に浸漬塗布、熱風乾燥し、膜厚25μ
mの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作成した。 【0065】実施例5 実施例4において、電荷輸送層樹脂として表7中のグラ
フト共重合体化合物(N)を用いた他は、実施例4と同
様にして電子写真感光体を作成した。 【0066】実施例6 実施例4において、電荷輸送層樹脂として表8中のグラ
フト共重合体化合物(Q)を用いた他は、実施例4と同
様にして電子写真感光体を作成した。 【0067】比較例3 実施例4において、電荷輸送層樹脂として前記化合物5
のポリカ−ボネ−ト(ポリカ−ボネ−トZ、分子量2
0,000)を用いた他は、実施例4と同様にして電子
写真感光体を作成した。 【0068】比較例4 実施例4と同様にして、電荷発生層までを形成した。次
に、前記化合物4のトリフェニルアミン化合物10重量
部、前記化合物1のポリカ−ボネ−ト樹脂、下記化合物
6のケイ素樹脂3重量部、 【化20】 クロロベンゼン50重量部及びジクロロメタン30重量
部を混合溶解し、この調製液を前記電荷発生層上に浸漬
塗布、熱風乾燥して、膜厚25μmの電荷輸送層を形成
し、電子写真感光体を作成した。 【0069】画像 実施例1と同様にして実施例4〜6及び比較例3及び4
の感光体を評価した。実施例4〜6及び比較例3の感光
体では、均一で滑らかなハ−フト−ン画像が得られた
が、比較例4の感光体では、がさがさの不均一画像とな
ったが、電荷輸送層に添加したケイ素樹脂とポリカ−ボ
ネ−ト樹脂との相溶性が悪く、白化したことによる、散
乱によるレ−ザ−スポットの乱れが影響していると考え
られた。 【0070】転写効率 実施例1と同様にして実施例4〜6及び比較例3の感光
体の転写効率を測定した。実施例4〜6の感光体は低エ
ネルギ−表面の効果でそれぞれ94%、95%及び95
%と高い転写効率を示したが、比較例3の感光体は転写
効率83%と低かった。 【0071】負荷トルク 実施例1と同様にして実施例4〜6及び比較例3の感光
体の負荷トルクを測定した。実施例4〜6の感光体は、
低エネルギ−表面の効果により負荷トルクは小さかった
が、比較例3の感光体は負荷トルクが大きかった。 【0072】実機耐久 実施例1と同様にして実施例4〜6及び比較例3の感光
体の耐久を行った。比較例3の感光体は、1万3千枚で
白地画像カブリが著しくなり、使用不能となったが、実
施例4〜6の感光体は2万枚後も良好な画像であった。
また、耐久後の感光体削れ量も実施例4〜6では比較例
3に比べ著しく少なかった。更に同条件で1千枚後の転
写不良について検討した。1千枚後の反射濃度0.6の
ハ−フト−ン画像にて評価したところ、比較例3の感光
体は転写不良によりぼそぼその不均一画像となったが、
実施例4〜6の感光体は、均一な高品位のハ−フト−ン
画像であった。比較例4の感光体も転写不良は発生しな
かったが、散乱によるがさつきは依然として見られた。 【0073】 【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、均一に画像
を再現でき、転写効率が高く耐久不良の生じない、駆動
負荷トルクが低く耐久後もカブリを生じないという顕著
な効果を奏する。また、該電子写真感光体を有するプロ
セスカ−トリッジ並びに電子写真装置において同様の効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカ−
トリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す図であ
る。 【図2】本発明の電子写真感光体の評価において使用し
た電子写真装置の概略構成を示す図である。 【符号の説明】 1 本発明の電子写真感光体 2 軸 3 一次帯電手段 4 画像露光光 5 現像手段 6 転写手段 7 転写材 8 像定着手段 9 クリ−ニング手段 10 前露光光 11 プロセスカ−トリッジ 12 レ−ル 13 電子写真感光体 14 転写帯電 15 一次帯電器 16 記憶媒体、読み取り装置 17 光源 18 現像器 19 給紙 20 定着 21 ブレ−ドクリ−ニング
トリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す図であ
る。 【図2】本発明の電子写真感光体の評価において使用し
た電子写真装置の概略構成を示す図である。 【符号の説明】 1 本発明の電子写真感光体 2 軸 3 一次帯電手段 4 画像露光光 5 現像手段 6 転写手段 7 転写材 8 像定着手段 9 クリ−ニング手段 10 前露光光 11 プロセスカ−トリッジ 12 レ−ル 13 電子写真感光体 14 転写帯電 15 一次帯電器 16 記憶媒体、読み取り装置 17 光源 18 現像器 19 給紙 20 定着 21 ブレ−ドクリ−ニング
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 導電性支持体上に感光層を有する電子写
真感光体において、少なくとも最表面層が側鎖にフッ素
原子を含有するポリカ−ボネ−ト系グラフト共重合体を
含有することを特徴とする電子写真感光体。 【請求項2】 前記フッ素原子含有ポリカ−ボネ−ト系
グラフト共重合体が下記一般式(1)で示される共重合
体である請求項1記載の電子写真感光体。 一般式(1) 【化1】 式中、Xは水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基ま
たはハロゲン原子を表わし、a及びbは0〜4の整数を
表わし、Yは単結合、エ−テル結合、炭素数1〜5のア
ルキレン基及びアルキリデン基、炭素数5〜15のシク
ロアルキレン基及びシクロアルキリデン基、並びに、−
S−結合、−SO−結合及び−SO2−結合を表わし、
Zは単結合、−COO−結合及び−NH−結合を表わ
し、R1は水素原子またはメチル基を表わし、nは2〜
40の整数、lは30〜41の整数、mは10〜500
の整数、kは1〜10の整数である。また、R2はフッ
素原子含有側鎖である。 【請求項3】 前記一般式(1)で示されるフッ素原子
含有ポリカ−ボネ−ト系グラフト共重合体において、式
中、nが3〜20の整数である請求項2記載の電子写真
感光体。 【請求項4】 前記最表面層にフッ素原子含有化合物を
含有する請求項1記載の電子写真感光体。 【請求項5】 前記フッ素原子含有化合物が黒鉛構造に
フッ素原子置換した化合物及び炭化水素にフッ素原子置
換した化合物からなる群から選ばれる1種または2種以
上の混合物からなる請求項3記載の電子写真感光体。 【請求項6】 前記フッ素原子含有化合物のフッ素原子
重量比率が30〜80wt%である請求項3または4記
載の電子写真感光体。 【請求項7】 前記フッ素原子含有化合物の平均粒径が
0.003〜2.5μmの微粒子である請求項3、4ま
たは5記載の電子写真感光体。 【請求項8】 導電性支持体上に感光層を有する電子写
真感光体において、少なくとも最表面層が側鎖にシリコ
−ンを含有するポリカ−ボネ−ト系グラフト共重合体を
含有することを特徴とする電子写真感光体。 【請求項9】 前記シリコ−ン含有ポリカ−ボネ−ト系
グラフト共重合体が下記一般式(2)で示される共重合
体である請求項1記載の電子写真感光体。 一般式(2) 【化2】 式中、Xは水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基ま
たはハロゲン原子を表わし、a及びbは0〜4の整数を
表わし、Yは単結合、エ−テル結合、炭素数1〜5のア
ルキレン基及びアルキリデン基、炭素数5〜15のシク
ロアルキレン基及びシクロアルキリデン基、並びに、−
S−結合、−SO−結合及び−SO2−結合を表わし、
Zは単結合、−COO−結合及び−NH−結合を表わ
し、R1は水素原子またはメチル基を表わし、nは2〜
40の整数、pは30〜41の整数、mは10〜500
の整数、kは1〜10の整数である。また、R3はシリ
コ−ン系側鎖である。 【請求項11】 前記一般式(2)中のR3のシリコ−
ン系側鎖が下記一般式(3)で示される変性シリコ−ン
である請求項8記載の電子写真感光体。 一般式(3) 【化3】 【請求項12】 前記一般式(2)中のR3のシリコ−
ン系側鎖が下記一般式(4)で示される変性シリコ−ン
である請求項8記載の電子写真感光体。 一般式(4) 【化4】 式中、Wはアルキレン基またはアリ−レン基を表わし、
R4、R5、R6、R7及びR8は水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、アリ−ル基またはアルコキシ基を表わ
し、p及びqは0〜5の整数である。 【請求項13】 前記シリコ−ン含有ポリカ−ボネ−ト
系グラフト共重合体の含有量が添加する層の全固形分重
量に対して0.05〜100%である請求項8記載の電
子写真感光体。 【請求項14】 請求項1記載の電子写真感光体、及び
帯電手段、現像手段及びびクリ−ニング手段からなる群
より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、電
子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロ
セスカ−トリッジ。 【請求項15】 請求項8記載の電子写真感光体、及び
帯電手段、現像手段及びびクリ−ニング手段からなる群
より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、電
子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロ
セスカ−トリッジ。 【請求項16】 請求項1記載の電子写真感光体、帯電
手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有すること
を特徴とする電子写真装置。 【請求項17】 請求項8記載の電子写真感光体、帯電
手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有すること
を特徴とする電子写真装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6017297A JPH10239886A (ja) | 1997-02-28 | 1997-02-28 | 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカ−トリッジ及び電子写真装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6017297A JPH10239886A (ja) | 1997-02-28 | 1997-02-28 | 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカ−トリッジ及び電子写真装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10239886A true JPH10239886A (ja) | 1998-09-11 |
Family
ID=13134484
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6017297A Withdrawn JPH10239886A (ja) | 1997-02-28 | 1997-02-28 | 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカ−トリッジ及び電子写真装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10239886A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10495992B2 (en) | 2016-03-29 | 2019-12-03 | Mitsubishi Chemical Corporation | Electrophotographic photoreceptor, electrophotographic photoreceptor cartridge, image forming apparatus, and dispersant for fluororesin |
US11188002B2 (en) | 2017-10-04 | 2021-11-30 | Mitsubishi Chemical Corporation | Electrophotographic photoreceptor, electrophotographic photoreceptor cartridge and image forming apparatus |
-
1997
- 1997-02-28 JP JP6017297A patent/JPH10239886A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10495992B2 (en) | 2016-03-29 | 2019-12-03 | Mitsubishi Chemical Corporation | Electrophotographic photoreceptor, electrophotographic photoreceptor cartridge, image forming apparatus, and dispersant for fluororesin |
US11188002B2 (en) | 2017-10-04 | 2021-11-30 | Mitsubishi Chemical Corporation | Electrophotographic photoreceptor, electrophotographic photoreceptor cartridge and image forming apparatus |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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