JP3232760B2 - ポリエステルフイルムを基材とするラベル - Google Patents

ポリエステルフイルムを基材とするラベル

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JP3232760B2
JP3232760B2 JP07775393A JP7775393A JP3232760B2 JP 3232760 B2 JP3232760 B2 JP 3232760B2 JP 07775393 A JP07775393 A JP 07775393A JP 7775393 A JP7775393 A JP 7775393A JP 3232760 B2 JP3232760 B2 JP 3232760B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステルフイルム
を基材とするラベルに関し、特に吸水性、機械的特性、
接着性に優れたポリエステルフイルムを基材とするラベ
ルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ラベルの基本構成としては表面基材に粘
着剤層を設け、粘着剤層を剥離シートで保護したものが
その便利さから多用されている(「接着」第28巻10
号453〜458頁、1984年)。またラベルの表面
基材には印刷を施して表示機能を付与している。
【0003】一方、アルコール飲料や醤油、食用油など
の容器としてガラス瓶が使用されているが、このビール
瓶や一升瓶といったガラス瓶はリターナブルボトルと呼
ばれており、使用後は回収され、洗浄して何度も使用さ
れる。その際ガラス瓶に貼られているラベルは剥す必要
がある。ボトルを運搬したり店先に陳列したり、あるい
は実際に消費者が使用したり保管したりするときには、
このラベルはとれにくいことが求められるが、ボトルを
回収した時には容易にしかも接着剤ごとガラス瓶から剥
がれることが望ましい。
【0004】従来、ラベルは紙に接着剤を塗布したもの
が一般的であった。この紙を基材としたラベルがボトル
からとれにくく、かつ剥しやすくするために、例えばア
クリル系の特殊な接着剤を使用し、ボトルを回収した時
に薄いカセイソーダ温水のシャワーを行ないブラシでこ
するといった手法がとられていた。
【0005】ところが、基材として紙が使用されている
ため、ラベルが破れやすくまた耐水性に劣るといった問
題があり、熱可塑性ポリマーを用いたフイルムが用いら
れることもあった。
【0006】ラベル用熱可塑性ポリマーとしては、ポリ
エステル、特にポリエチレンテレフタレート(特開昭6
2−97890号公報)、ポリプロピレン(特開昭60
−21244号公報)などを用いたものが提案されてい
る。これらのポリマーは、いずれも機械的強度に優れ、
また疎水性であるために紙の問題点を克服でき、ラベル
としての用途は広がってきている。ところが、このリタ
ーナブルボトル用のラベルとして使用した時、回収時の
洗浄液がこの熱可塑性ポリマー層で遮断され透過できず
粘着剤まで届かないため、従来の紙基材ラベルと同様の
処理ではラベルを容易に剥すことができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の熱可塑性ポリマーを用いたラベルにおける問題点
に着目し、十分な機械的特性、耐水性を有し、ボトル等
に貼りつけた時にとれにくく、かつ剥しやすいラベルを
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するたの手段】この目的に沿う本発明のラ
ベルは、吸水率が0.5%以上のポリエステルフイルム
を基材とするラベルからなる。
【0009】本発明でいう吸水率とは、40℃の水中に
30分間、フイルムを浸漬した時に吸収される水の量で
あり、フイルムを24℃50%RH下48時間放置して
調湿した時のフイルムの重量と水浸漬直後のフイルムの
重量との差から求める。この吸水率は0.5%以上であ
り、好ましくは0.8%以上、更には1.0%以上が好
ましく、特には1.5%以上が好ましい。吸水率が0.
5%未満であるとラベルとして使用した時に洗浄液がラ
ベルの接着剤層まで浸透しないためにラベルを容易に剥
すことができない。吸水率に特に上限はないが、著しく
吸水性が高いために室温や冷水中でも容易に吸水してラ
ベルが剥がれてしまうようでは使用できない。
【0010】本発明でいうポリエステルとは、芳香族二
塩基酸とグリコールを主要な構成成分とするポリエステ
ルであり、二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル
スルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチ
オエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン
酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることが
できる。また、グリコールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−
ヒドロキシジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホン、ジエチレングリコール、
ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキ
サンジオールなどを挙げることができる。これらの成分
からなるポリエステルの中でも耐熱性、機械的強度、寸
法安定性等の点から、ポリエチレンテレフタレート、シ
クロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレートが好ましい。
【0011】本発明のポリエステルフイルムに吸水性を
付与するためには、金属スルホネートを有する芳香族ジ
カルボン酸成分やポリエーテル、脂肪族ポリエステル等
を共重合することが好ましい。
【0012】前記金属スルホネートを有する芳香族ジカ
ルボン酸としては、具体的には、5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、4
−ナトリウムスルホフタル酸、4−ナトリウムスルホ−
2,6−ナフタレンジカルボン酸およびこれらのナトリ
ウムを他の金属、例えばカリウム、リチウムなどで置換
した化合物を挙げることができる。更には、アンモニウ
ム塩、ホスホニウム塩等で置換してもよい。
【0013】ポリエーテル成分としては、ポリアルキレ
ングリコールやポリエーテルジカルボン酸がある。ポリ
アルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレング
リコール共重合体等が挙げられる。また、ポリエーテル
ジカルボン酸は、次式(a)で示され、 R1OOCCH2-(O−R2)n -OCH2COOR3 (a) (R1 、R3 :Hまたは炭素数1〜8のアルキル基、R
2 :炭素数2〜8のアルキレン基、n:正の整数) ポリエチレンオキシジカルボン酸、ポリテトラメチレン
オキシジカルボン酸が好ましい。ポリエーテル成分とし
ては、ポリエステルの重合反応性やフイルムの寸法安定
性の点で、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレ
ングリコールあるいは次式(b)式で示されるポリエチ
レンオキシジカルボン酸が好ましい。 R1OOCCH2-(O-CH2CH2)n -OCH2COOR2 (b) (R1 、R2 :Hまたは炭素数1〜8のアルキル基、
n:正の整数)
【0014】このポリエーテル成分の平均分子量は、6
00〜20000が好ましく、更には1000〜150
00、特には2000〜10000の範囲にあるものが
好ましい。平均分子量が600以下の場合吸水性が不十
分となり、巻き癖回復性を十分に得ることができない。
TACフイルム並の巻き癖回復性を得るには、ポリエー
テル鎖長が長い方が良いが、20000以上の分子量で
は逆にフイルムの透明性や剛性が低下するため好ましく
ない。
【0015】また、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ
ε−カプロラクトン、ポリ(メチル−ε−カプロラクト
ン)、ポリβ−プロピオラクトンなどがあり、その分子
量は約800〜40000が好ましく、更には2000
〜20000の範囲が好ましい。
【0016】これら吸水成分あるいはガラス転移温度低
下成分は、1成分のみで共重合してもよいが、2種ある
いはそれ以上の成分を組み合わせて共重合してもよく、
その共重合割合としては、反応生成物のポリエステルに
対してそれぞれ0〜20重量%が好ましく、更に好まし
くは3〜15重量%、特に好ましくは3〜10重量%で
ある。
【0017】本発明のポリエステルフイルムは、多層構
造であってもよい。本発明のポリエステルフイルムは、
A/Bの2層構造でもよく、B/A/Bの3層構造でも
良い。またA、B以外のポリエステル層をC層とする
と,B/A/Cといった構造でも良く、更にはC/B/
A/B/Cといった多層構造でもよい。A層とB層の吸
水率は同レベルのものでもよいが、例えばA/Bの2層
構造においてB層の吸水率をA層より高くし、B層側に
粘着剤を塗布すれば、耐湿性と回収性に優れたフイルム
を得ることができる。また、B層のポリエステルは吸水
性成分を共重合することによって低重合物が熱履歴によ
ってフイルム表面に析出しやすくなっている。そこで、
フイルム積層構成がA/B構造の場合、フイルムの片面
に特に低分子量物の析出を防止するのに有効である。
【0018】また、B/A/B構造にすると寸法安定性
や強度を維持し、かつ吸水性の良好なフイルムが得られ
る。C層に印刷性を付与するとB/A/Cとすることで
例えばB層側に粘着剤を塗布し、C層側に印刷を施すこ
とができ、更にC層に易接着性を付与するとC/B/A
/B/Cといった構成にしてもよい。
【0019】なお、本発明のポリエステルフイルムの吸
水速度を向上させるために、A層およびB層のポリエス
テルに、透明性、機械的特性を阻害しない範囲の小割合
であれば、例えば片末端封鎖型ポリエーテル化合物等の
吸水性促進剤を添加してもよい。片末端封鎖型ポリエー
テル化合物は、例えば下記式で示される。 HOOCCH2 O(CH2 CH2 O)n 4 HO(CH2 CH2 O)n 4 HO(CH3 CHCH2 O)n 4 (ただし、式中R4 は炭素数1〜5のアルキル基であ
り、nは30〜500である。)好ましい分子量は、6
00〜20000である。また、これら吸水性促進剤の
添加量はポリエステル成分に対して0〜15重量%が好
ましい。
【0020】本発明のポリエステルフイルムのガラス転
移温度は0〜130℃の範囲であり、ラベルの使用され
る条件によって対応するのがよい。ポリマーのガラス転
移温度は共重合成分や共重合量で調整するのがよい。ポ
リマーのガラス転移温度を下げる場合には、例えば二官
能性脂肪族を共重合するのがよい。二官能性脂肪族とし
ては、炭素数4〜60のアルキレン基を有するジカルボ
ン酸では、アジピン酸、セバチン酸、エイコ酸、ドデカ
ンジオン酸、ダイマー酸が好ましく、グリコール成分と
しては、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレング
リコールなどが好ましい。また、ポリマーのガラス転移
温度を上げる場合には、例えばジカルボン酸ではナフタ
レンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、
シクロヘキサンジカルボン酸、フェニルインダンジカル
ボン酸などを挙げることができ、グリコールとしては、
シクロヘキサンジメタノール、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホン、ハイドロキノン、シクロヘキサンジ
オールなどが挙げられる。
【0021】本発明によるポリエステルフイルムには、
用途に応じて易滑性を付与することも可能であり、易滑
性付与手段としては特に限定を加えるところではない
が、不活性無機化合物、有機系架橋粒子の練り込み、あ
るいは界面活性剤の塗布等が一般的手法として用いられ
る。
【0022】かかる不活性無機粒子としては、Si
2 、TiO2 、BaSO4 、CaCO2 、タルク、カ
オリン等が例示される。また、上記のポリエステル合成
反応系に不活性な粒子を添加する外部粒子系による易滑
性付与以外にポリエステルの重合反応時に添加する触媒
等を析出させる内部粒子系による易滑性付与方法も採用
可能である。
【0023】これら易滑性付与手段には特に限定を加え
るものではないが、透明性が重要な要件となる用途にお
いては、上記易滑性付与方法では外部粒子系としてはポ
リエステルフイルムと比較的近い屈折率をもつSi
2 、あるいは析出する粒子径を比較的小さくすること
が可能な内部粒子系を選択することが望ましい。また、
これらの粒子系は、本発明のポリエステルフイルムが積
層構成の場合、いずれの層に添加してもよいが表層に添
加するのがより好ましい。
【0024】本発明に用いるポリエステルフイルムは、
フイルム内部に微細な気泡を含有させて、該気泡で光を
散乱させることにより白色化させているものを用いるこ
ともできる。この微細な気泡の形成は、フイルム母材、
例えばポリエステル中に、非相溶ポリマー、例えばポリ
−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−
1、ポリプロピレン、ポリビニル−t−ブタン、1,4
−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、セル
ローストリアセテート、セルローストリプロピオネー
ト、ポリクロロトリフルオロエチレン等を細かく分散さ
せ、それを一軸または二軸に延伸することにより形成さ
れる。延伸に際して非相溶ポリマー粒子の周りにボイド
(気泡)が形成され、これが光の散乱作用を発揮するた
め白色化される。また微細気泡を有するため比重が低く
なり、クッション性も有する。
【0025】さらに本発明においては、前述の不活性無
機粒子や有機系架橋粒子などの添加によって、フイルム
を白色化してもよく、これら粒子の併用あるいは、前述
の微細な気泡の形成手法との併用でもよい。
【0026】本発明のポリエステルフイルムの水蒸気透
過率は8g/m2 ・24hr/0.1mm以上であり、
好ましくは10g/m2 ・24hr/0.1mm以上で
あり、更に好ましくは12g/m2 ・24hr/0.1
mm以上である。瓶などを回収する時に接触した水が速
やかに粘着剤層に浸透することでラベル部分の剥離が容
易になり、フイルムの水蒸気透過率が8g/m2 ・24
hr/0.1mm未満である場合には、水の浸透が遅く
なりラベルの剥離に要する時間が長くなってしまい回収
工程の効率が落ちてしまう。
【0026】また、本発明のポリエステルフィルムの破
断強度は、8kg/mm2 以上が好ましく、より好まし
くは13kg/mm2 以上である。さらに引張りヤング
率は、好ましくは300kg/mm2 以上であり、より
好ましくは350kg/mm2 以上である。また、ポリ
エステルフィルムを24℃の蒸留水中に30分間浸漬し
た時の引張りヤング率は、好ましくは260kg/mm
2 以上であり、より好ましくは280kg/mm2 以上
である。機械的強度が低下すると、フイルムを例えば瓶
用ラベルとして使用する場合、水中での冷却時や結露時
に瓶同士の接触などでラベル部分が破損するといったお
それがあるわけである。
【0027】本発明の共重合ポリエステルフイルムの原
料ポリマーの合成法は従来公知のポリエステルの製造方
法にしたがって製造できる。例えば酸性分をグリコール
成分と直接エステル化反応するか、または酸性分として
ジアルキルエステルを用いる場合はグリコール成分とで
エステル交換反応し、これを減圧下に加熱して余剰のグ
リコール成分を除去することにより、共重合ポリエステ
ルを得ることができる。この際必要に応じてエステル交
換反応触媒あるいは重合反応触媒を用い、あるいは耐熱
安定剤を添加することができる。もちろん実用上、着色
防止剤、酸化防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブ
ロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、消泡
剤、透明化剤、帯電防止剤などを添加させてもよい。
【0028】上記にて得られた共重合ポリエステルは一
般に粒状に成型し、乾燥後溶融し、Tダイより押出し
て、未延伸フイルムとする。多層積層を行なう場合、そ
の手段としては具体的には複数の押出機ならびにフィー
ドブロック、あるいはマルチマニフォールドダイによる
共押出法が例示される。溶融ポリエステルフイルムを冷
却ロールに接触させる際は、静電印加冷却法を適応する
ことが好ましい。
【0029】フイルムに機械的強度を付与するには、T
ダイより押し出した未延伸フイルムをさらに二軸延伸す
るのがよい。二軸延伸の場合、逐次二軸延伸法または同
時二軸延伸法を用いることができるが、最初に長手方
向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸法が好まし
い。延伸温度は、ガラス転移温度〜冷結晶化温度の範囲
で行なうのがよいが、本発明においては長手方向の場合
60〜140℃、幅方向の延伸の場合70〜150℃で
あることが望ましい。延伸倍率は通常2.0〜5.0倍
が適当である。フイルムの強度を高めるためには、製膜
性が低下しない範囲内で延伸倍率を高くした方がよく、
好ましくは3.5倍以上、より好ましくは4.0倍以上
にである。吸水時の引張りヤング率を大きくするには、
縦延伸時にまず高温で延伸し、更にやや低温で延伸する
といういわゆる多段階の縦延伸法を行なってもよい。ま
た、縦、横延伸後、縦、横のいずれかに再延伸してもか
まわない。
【0030】更に、延伸したフイルムに熱処理を施して
もよい。この場合の熱処理条件としては、定長下、弛緩
状態、微延伸状態のいずれでもよく、本発明のポリエス
テルフイルムの場合、150〜230℃、好ましくは1
70〜220℃の範囲で0.5〜60秒間が好適であ
る。特に、本発明の場合、製膜性が低下しない範囲内で
熱処理温度は高い方がよい。具体的にはポリエステルを
示差走査型熱量計で測定した時に、結晶融解に伴って現
われる吸熱ピークにおいて、ベースラインから偏奇し始
める温度近傍で熱処理するのが好ましい。この熱処理状
態を確認は、得られたポリエステルフイルムを示差走査
型熱量計で測定することにより、本来ポリエステルの結
晶融解ピークの肩部分あるいは、別のピークとして観測
される。この熱処理ピークを高くすることにより、ポリ
エステルの非晶部配向が緩和され、高温時の熱収縮率、
例えば150℃の熱収縮率が低下し、更には吸水性、例
えば水蒸気透過性や吸水速度が増大する。特に本発明の
ポリエステルフイルムの場合、高倍率で延伸を行なった
後、高温で熱処理することにより、引張りヤング率、破
断強度及び引裂伝播抵抗をバランスよく高めることがで
き、しかも低熱収縮性、吸水速度が大きくなるわけであ
る。
【0031】本発明のポリエステルフイルムの厚さとし
ては特に限定しないが、延伸フイルムの場合、3〜36
0μm、無延伸フイルムの場合、50〜2000μmの
ものが好ましい。ラベルの用途分野の場合、25〜25
0μmが好ましく採用される。
【0032】本発明のポリエステルフイルムの表面の濡
れ張力は、50dyne/cm以上が好ましく、より好
ましくは54dyne/cm以上である。また、接着性
向上およびコーティング液の濡れ特性を向上させるた
め、フイルムにコロナ放電処理、薬液処理、火炎処理、
紫外線処理、プラズマ処理などの各種表面処理を必要に
応じて施すことができる。本発明ではコロナ放電処理が
好ましい。
【0033】本発明における粘着層は、天然ゴム、合成
ゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルアルキルエーテ
ル、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の溶剤型、天然
ゴムラテックス、合成ゴムラテックス、アクリル樹脂エ
マルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョンなどの水性
型からなる塗剤を塗工乾燥した塗膜からなり、これらの
塗剤にはイソシアネート、メラミン、エポキシなどの架
橋剤を併用してもよい。
【0034】ラベルとして使用される場合フイルム表面
に表示機能として印刷が施されるが、それらは公知の手
法で行なってよい。例えば印刷の数量に対応してスクリ
ーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷などが使い分
けてよい。印刷インキもこの印刷方式に対応したインキ
が用いてよく、溶剤型や無溶剤型のいずれでもよい。無
溶剤型のインキ層の乾燥には、酸化重合(空気硬化)、
紫外線硬化、電子線硬化が利用されている。ラベルの印
刷は、多品種少量のものが多く、中小の印刷所で実施さ
れることが多く、公害対策上もあって無溶剤型インキ、
特に空気硬化型や紫外線硬化型インキが好ましく使用さ
れる。
【0035】〔物性の測定方法ならびに効果の評価方
法〕本発明の特性値は次の測定方法、評価基準による。 (1)ガラス転移温度 ポリエステルフイルムあるいはポリエステル10mg
を、示差走査型熱量計にセットし、窒素気流下で20℃
/minの速度で昇温していき、ベースラインが偏奇し
始める温度と、新たなベースラインに戻る温度との平均
値をガラス転移温度とした。
【0036】(2)破断強度、引張りヤング率 JIS−Z1702−1976に準じて、幅10mm、
長さ100mmの短冊片で、引張り速度は破断強度の測
定の際には300mm/分、引張りヤング率は20mm
/分で測定した。吸水時の引張りヤング率については、
短冊片のまま24℃の蒸留水中に30分間浸漬し、ただ
ちに測定した。
【0037】(3)固有粘度 o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
【0038】(4)吸水率 サンプルフイルムを25℃、50%RHの雰囲気中に4
8時間放置しその重量を測定し、40℃の蒸留水に30
分間浸漬した時の重量との差から吸水率を求めた。
【0039】(5)水蒸気透過率 JIS−Z0208に準じて測定した。
【0040】(6)ラベル接着性 ラベルを貼付けたガラス瓶を10℃の水中に1時間浸漬
した時のラベルの接着性を評価した。 ○:強固に接着しており剥がれない。 △:剥すことは可能だが、実用上は問題ない。 ×:容易に剥がれ、実用上問題あり。
【0041】(7)ラベル回収性 ラベルを貼付けたガラス瓶を50℃の水中に30分間浸
漬した時のラベルの引剥し性を評価した。 ○:容易に引剥すことができる。 △:引剥すことは可能だが、ブラシでこする必要があっ
たり、粘着剤が一部残存する。実用上は問題ない。 ×:引剥すことが困難。
【0042】
【実施例】次に本発明を実施例によってさらに詳細に説
明する。 実施例1 テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコー
ル70重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメ
チル6重量部、平均分子量4000のポリエチレングリ
コール10重量部に酢酸カルシウム0.1重量部および
三酸化アンチモン0.03重量部を添加し、常法により
エステル交換反応を行なった。得られた生成物にリン酸
トリメチルエステル0.05重量部を添加し、徐々に昇
温、減圧し、最終的に280℃、1mmHg以下で重合
を行ない固有粘度IV=0.85の共重合ポリエステル
を作成した。
【0043】ポリエステルを常法で乾燥した後、押出機
を用いて280℃で溶融し口金から押出して未延伸シー
トを作成した。次いで、80℃で縦方向に3.5倍、9
0℃で横方向に3.5倍逐次延伸した後、205℃で5
秒間熱固定して厚さ50μmの2軸延伸フイルムを得
た。
【0044】得られたフイルムの片側に粘着層としてア
クリル酸エステル系粘着剤(日本カーバイト(株)製
“ニッセツ”kp1405/硬膜剤CK102=100
/2)を乾燥後の塗布量が30g/m2 になるように塗
工して粘着シートを得た。得られたフイルム(シート)
の特性とラベル特性を表1に示す。
【0045】実施例2 テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコー
ル70重量部、5ーナトリウムスルホイソフタル酸ジメ
チル3重量部を用いて実施例1と同様に重合を行ない固
有粘度IV=0.65の共重合ポリエステルAを作成し
た。テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリ
コール70重量部、5ーナトリウムスルホイソフタル酸
ジメチル8重量部、平均分子量4000のポリエチレン
オキシジグリコール酸10重量部を用い、ポリエステル
Aと同様にして固有粘度IV=0.85の共重合ポリエ
ステルを得た。さらにベント式二軸押出機を用いてこの
共重合ポリエステルに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤である2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾールを3重量%添加してポリエス
テルBを得た。
【0046】上記ポリエステルを常法で乾燥した後、2
基の押出機と2層溶融共押出が可能な口金を備えた二軸
延伸製膜機を用い、一方の押出機にポリエステルAを、
他方の押出機にポリエステルBを供して、280℃で溶
融し、B/A/Bの3層の共押出を行ない、未延伸シー
トを作成した。次いで、85℃で縦方向に3.5倍、9
0℃で横方向に3.5倍逐次延伸した後、215℃で5
秒間熱固定して厚さ50μmの2軸延伸フイルムを得
た。B/A/Bの厚み比は、10/30/10となっ
た。このフイルムに実施例1と同様に粘着剤を塗布し
た。得られたフイルム(シート)の特性とラベル特性を
表1に示す。
【0047】実施例3 ポリエステルAとして実施例1のポリエステルを用い、
ポリエステルBとして固有粘度IV=0.65のポリエ
チレンテレフタレートを用いた。ポリエステルを常法で
乾燥した後、2基の押出機と2層溶融共押出が可能な口
金を備えた二軸延伸製膜機を用い、一方の押出機にポリ
エステルAを、他方の押出機にポリエステルBを供し
て、280℃で溶融し、B/A 2層の共押出を行な
い、未延伸シートを作成した。次いで、85℃で縦方向
に3.5倍、90℃で横方向に3.5倍逐次延伸した
後、208℃で5秒間熱固定して厚さ50μmの2軸延
伸フイルムを得た。B/Aの厚み比は、5/45となっ
た。このフイルムのポリエステルA層側表面に実施例1
と同様に粘着剤を塗布した。得られたフイルム(シー
ト)の特性とラベル特性を表1に示す。
【0048】実施例4 テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコー
ル70重量部、5ーナトリウムスルホイソフタル酸ジメ
チル3重量部、平均分子量4000のポリエチレンオキ
シジグリコール酸3重量部を用い、固有粘度IV=0.
70のポリエステルAを得た。ポリエステルBとして、
実施例1と同様のポリエステルを用いたが、重合時に平
均粒径0.8μmの炭酸カルシウムを生成ポリエステル
に対して10重量%添加した。実施例2と同様にB/A
/Bの3層で共押出し、厚さ50μm、厚み比3/44
/3の二軸延伸フイルムを得、実施例1と同様に粘着剤
を塗布した。得られたフイルム(シート)の特性とラベ
ル特性を表1に示す。
【0049】実施例5 実施例1と同様のポリエステルを用い、更にベント式二
軸押出機を用いて、平均粒径0.6μmの酸化チタンを
ポリエステル100部に対し15部を添加した。得られ
たポリマーを実施例1と同様に製膜し、厚さ50μmの
二軸延伸フイルムを得、実施例1と同様に粘着剤を塗布
した。得られたフイルム(シート)の特性とラベル特性
を表1に示す。
【0050】比較例1 実施例3と同様のポリエチレンテレフタレートを用い
て、溶融押出し、次いで93℃で縦方向に3.3倍、9
5℃で横方向に3.5倍逐次延伸した後、220℃で5
秒間熱固定して厚さ50μmの二軸延伸フイルムを得
た。更に、実施例1と同様に粘着剤を塗布した。
【0051】この比較例1においては、温水中での剥離
が難しく、ラベルの回収性に問題があった。実施例1〜
3は透明フイルムであるが、通常の使用時には剥がれに
くいものの、温水中では容易に剥がれ、ラベルとして適
していた。紫外線吸収剤を添加した実施例2は耐候性に
も優れていた。2層構成の実施例3では耐湿性に優れる
とともに温水中でフイルムが変形して容易に引剥すこと
ができた。実施例4および5は白色フイルムであり、各
種印刷も可能であり、ラベルとして有効であった。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、耐湿性、吸水性、機械
的特性、接着性に優れており、食品用ボトルなどのラベ
ルとして使用した時に、とれにくく剥しやすいラベルが
得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G09F 3/10 G09F 3/10 J (56)参考文献 実開 昭55−71369(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G09F 3/00 - 3/10 B32B 27/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸水率が0.5%以上のポリエステルフ
    イルムを基材とすることを特徴とするラベル。
  2. 【請求項2】 ポリエステルフイルムの水蒸気透過率が
    8g/m2 ・24hr/0.1mm以上であることを特
    徴とする請求項1に記載のラベル。
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