JP3223268B2 - 冷媒分流機構及び冷媒分流機構を備えた熱交換器 - Google Patents

冷媒分流機構及び冷媒分流機構を備えた熱交換器

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pipe
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、空気調和機等の
冷媒流通路中に設けられる冷媒分流機構及び冷媒分流機
構を備えた熱交換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えばセパレート形空気調和機の室内機
においては、室内空気の吸込口をケーシングの前面と上
面とに設けると共に、内部に、側面視で逆V字状に形成
したクロスフィンチューブ形の室内熱交換器を配置する
ことによって、形状の小形化等が図られている(例えば
特開平10−132372号公報等参照)。このような
室内熱交換器では、例えば図7に示すように、室内機の
前面側(図において左側)に位置する前側の熱交換器3
1における上部側を除く領域と、この前側熱交換器31
の上部側から後側熱交換器32に至る領域とに、ほぼ同
一流路長の互いに独立した冷媒流通路が形成され、各冷
媒流通路の入口管に、液管33に接続された分流器34
から延びる液支管35・35が各々接続され、また、上
記各冷媒流通路の出口管に、ガス管36の先端から分岐
したガス支管37・37がそれぞれ接続される。
【0003】この室内熱交換器が蒸発器として機能する
冷房運転時には、図示しない室外機内の室外熱交換器で
凝縮し、減圧機構で減圧されて気液混合状態となった冷
媒が、液管33から各液支管35・35を通して上記し
た各冷媒流通路に流入して流れ、この際に蒸発して各ガ
ス支管37・37からガス管36を通して室外機に返流
される。
【0004】ところで、上記のような気液混合冷媒は、
重力の影響を受けて、液管33における水平部分を流れ
る際に、管内における下部側の液密度が上部側よりも大
きくなるような偏流状態を生じ易い。このため上記で
は、このような偏流状態を解消して室内熱交換器の各冷
媒流通路に冷媒を均等に分流させるために、液管33と
室内熱交換器との間に特殊構造の分流器34が介設され
ている。この分流器34は内部に攪拌室を設けて形成さ
れ、液管33側から流入する冷媒を攪拌室の壁面に衝突
させてこの攪拌室内で攪拌させ、これによって、液密度
の偏在が解消した冷媒を前記液支管35・35を通して
供給するようにしたものである。
【0005】しかしながら、上記のような分流器34を
用いた構成では、これによって製作費が高くなり、ま
た、形状も大きいために、各配管の引き回し等が困難に
なって全体的なコンパクト化を充分には図れないという
不具合を有している。
【0006】そこで、このような分流器34に代えて、
例えば本発明の説明図である図2に示すように、第1分
岐管14と第2分岐管15とを有する二股状の分流管1
2を、液管7とほぼ同等の管材を用いて作製し、これに
液管7の先端側を接続して構成することが考えられる。
このような構成の冷媒分流機構に代えることで、製作費
をより安価に、また、全体的な形状もよりコンパクトに
することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように、液管とほぼ同等の管材を用いて二股状に作製し
た分流管を液管の先端側に接続しただけの構成では、液
管を流れる際の前記した気液混合冷媒の偏流状態によっ
て各分岐管への分流冷媒量に差が生じ、これにより、室
内熱交換器の熱交換能力が低下するという問題が生じる
ことになる。
【0008】特に、図2に示されているように、液管7
がガス支管8・8との干渉を避けるように下側に凸とな
るように湾曲形成されている場合には、重力の作用に加
え、この部分を流通する冷媒に遠心力が加わるために、
上記液管7内では冷媒の液密度がその下側においてさら
に大きくなるような傾向が現れる。
【0009】このような液管から上方の分岐管に流入す
る冷媒の液密度は、下方の分岐管に流入する冷媒の液密
度よりも小さくなり、この結果、前側熱交換器よりも後
側熱交換器を流れる冷媒量が少なくなって熱交換能力が
低下する。この場合に、前側熱交換器に対して後側熱交
換器を通過する室内空気の冷却が充分でなくなると、こ
れら前側熱交換器と後側熱交換器との下流側に配置され
ている室内ファンのファンロータ(図示せず)で結露が
生じるという問題も生じてしまう。
【0010】この発明は、上記した問題点を解決するた
めになされたものであって、その目的は、より簡素な構
成でもって、例えば上述したような偏流状態の冷媒に対
してこれをほぼ均等に分流して熱交換器の複数の冷媒流
通路に供給することが可能であり、これによって、製作
費をより安価になし得ると共に熱交換器での熱交換能力
の向上等を図ることが可能な冷媒分流機構及び冷媒分流
機構を備えた熱交換器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで請求項1の冷媒分
流機構は、冷媒が流通する冷媒流通管7と、この冷媒流
通管7の先端側に連通する第1分岐管14と第2分岐管
15との少なくとも2つの分岐管とを備え、冷媒流通管
7の先端側から各分岐管14・15へと冷媒を分流させ
る冷媒分流機構であって、各分岐管14・15が相互に
接続された接続領域に上記冷媒流通管7の先端側を挿入
して、この冷媒流通管7を各分岐管14・15の接続領
域に接合すると共に、接続領域内に位置する冷媒流通管
7の先端側に、この先端側から第1分岐管14に至る流
れ抵抗と第2分岐管15に至る流れ抵抗とを相互に相違
させるべく開口した分流比補正開口17を形成し、また
上記分流比補正開口17を、冷媒流通管7の先端側を軸
心に対して斜めに切断した形状とすることによって軸心
を挟んで一方の側の周壁に斜めに開口した形状に形成す
ると共に、この分流比補正開口17が上記各分岐管14
・15の中で流れ抵抗を小さくする側の分岐管14に臨
むように、上記冷媒流通管7を各分岐管14・15の接
続領域に接合し、さらに各分岐管14・15の接続領域
を囲う囲壁の内面に、この接続領域に挿入される冷媒流
通管7の挿入深さが所定の深さに達したときにこの冷媒
流通管7に当接するストッパ面16を形成していること
を特徴としている。
【0012】このような構成によれば、上記のような分
流比補正開口17を有する冷媒流通管7の先端側から
は、各分岐管14・15の流れ抵抗の差に応じた流量比
で冷媒が各々供給される。したがって、例えば、前記の
ように冷媒流通管7内でその下側ほど液密度が大きいよ
うな偏流状態が生じている場合には、上方の第1分岐管
14に至る流れ抵抗が小さく、下方の第2分岐管15に
至る流れ抵抗が大きくなるように分流比補正開口17を
形成することで、第1分岐管14への分流冷媒量(体積
流量)は第2分岐管15への分流冷媒量よりも大きくな
り、これによって、各分岐管14・15への冷媒量(重
量流量)がほぼ均等になるようにすることができる。さ
らに、例えば第1分岐管14側に第2分岐管15側より
も多くの冷媒が流れるような分流状態を得ようとする場
合でも、これを、単に上記の分流比補正開口17をより
大きな形状とすること等によって行うことが可能であ
る。
【0013】このように請求項1の冷媒分流機構では、
第1分岐管14と第2分岐管15との接続領域に、分流
比補正開口17を有する冷媒流通管7の先端側を挿入す
るという簡単な構成で、冷媒流通管7での偏流状態を補
償してほぼ均等に分流することや、任意の分流比での分
流状態を得ることが可能である。この結果、前述した攪
拌室を内部に備える特殊な分流器を設けて構成する場合
等に比べ、製作費をより安価にすることが可能であり、
また、全体的なコンパクト化を図ることができると共
に、熱交換器における熱交換能力等を向上させることが
可能となる。
【0014】また請求項1の冷媒分流機構によれば、冷
媒流通管7の先端側を斜めに切断するという簡単な加工
によって分流比補正開口17を形成することができ、こ
れによっても、製作費をより安価なものとすることがで
きる。しかも、この場合には、軸心に対する傾斜角を変
えることで分流比補正開口17の開口形状を大きくした
り、或いは、冷媒流通管7の先端面とこれに対面する囲
壁との間の流路幅が変わるように、この接続領域への冷
媒流通管7の先端側の挿入深さを変えること等で、各分
岐管14・15への分流比が所望の比率となるようにす
ることができる。すなわち、簡単な変更で、所望の比率
により正確に合致するように設定することができ、これ
によって、例えば熱交換器の熱交換能力をさらに向上さ
せることができる。
【0015】さらに請求項1の冷媒分流機構では、分岐
管14・15の接続領域への冷媒流通管7先端側の挿入
深さは、特に軸心を挟んで分流比補正開口17とは反対
側の壁面の先端と、接続領域における上記先端面に対面
する囲壁との間の隙間によって定まる流れ抵抗に大きく
影響する。そこで、挿入深さが所定の深さとなる位置に
上記のようにストッパ面16が形成されていることで、
所望の分流比が得られように冷媒分流機構を組立てる際
の組立作業が容易になるので、これによっても、全体の
製作費をより安価なものとすることができる。
【0016】請求項の冷媒分流機構は、上記冷媒流通
管7の先端側の外周をその基端側よりも径小に形成し、
これら先端側と基端側との間に、先端側に外嵌させた略
リング状のろう材19の基端側への移動を阻止する段差
面7bを設けていることを特徴としている。
【0017】このような構成によれば、例えば冷媒流通
管7の先端側を上方に向けて各分岐管14・15の接続
領域に挿入して組立てる際、略リング状のろう材19
は、これを保持する保持治具を格別設けずとも段差面7
bに係止されて保持されるので、これを溶融させてろう
付けする際の作業が簡単になり、これによっても、全体
の製作費がより安価なものとなる。
【0018】請求項の冷媒分流機構を備えた熱交換器
は、複数の冷媒流通路を有するクロスフィンチューブ型
の熱交換器であって、各冷媒流通路に、上記請求項1
は請求項2の冷媒分流機構における各分岐管14・15
をそれぞれ接続して、この冷媒分流機構を通して各冷媒
流通路に冷媒を供給するように形成していることを特徴
としている。
【0019】この熱交換器においては、例えば前記のよ
うな偏流状態を生じ易い気液混合冷媒を供給する液管に
上記のような冷媒分流機構が介設されていることで、こ
の液管内で偏流状態が生じていても、各冷媒流通路には
ほぼ均等、或いは所望の分流比で冷媒を供給することが
できる。これによって、熱交換器能力が向上すると共
に、全体をよりコンパクトに、また、より安価に構成す
ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、この発明の一実施形態につ
いて図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】図2は、セパレート形空気調和機における
室内機1に内装されたクロスフィンチューブ型室内熱交
換器2の側面図である。この室内熱交換器2は、室内機
1の前面側(図において左側)に位置する前側熱交換器
3と、背面側に位置する後側熱交換器4とを逆V字状に
配置した折れ熱交として構成されている。これら熱交換
器3・4には、紙面手前側と奥側とでそれぞれU字管5
…によって順次接続された冷媒流通管(図示せず)がそ
れぞれ設けられており、前側熱交換器3の上端側に設定
された区画線LS を境にして、この区画線LS よりも前
下側と、後側とに、上記冷媒流通管を通して流路長がほ
ぼ同一の連続した冷媒流通路がそれぞれ形成されてい
る。
【0022】室内機1内の背面側(図において右側)に
は、下方から上方に向かう形状でガス管6・液管7が配
設され、これらガス管6・液管7は、上部側で室内機1
の前面側に向かうように湾曲形成されている。そして、
ガス管6の先端部には一対のガス支管8・8が接続さ
れ、これらガス支管8・8の各先端が、区間線LS を挟
んで両側に位置する上記各冷媒流通路の各出口管にそれ
ぞれ接続されている。
【0023】一方、冷媒流通管としての上記液管7の先
端側は、上記ガス支管8・8等との干渉を避けるため
に、下側に凸となるような湾曲部を設けて、両ガス支管
8・8の間を通して斜め上方に延びる形状に形成されて
いる。そして、その先端に後述する冷媒分流機構11が
設けられ、この冷媒分流機構11における分流管12に
設けられた一対の分岐管14・15が、区間線LS を挟
んで両側に位置する前記各冷媒流通路の入口管にそれぞ
れ接続されている。なお、上記ガス管6・液管7には断
熱被覆9が巻装されており、これらガス管6・液管7が
図示しない室外機に接続されて冷媒循環回路が形成され
ている。
【0024】冷媒分流機構11は、上記分流管12に液
管7の先端側を挿入して構成され、分流管12には、図
3に示すように、正面視で全体が略T字状になるよう
に、分流管12の中央に、分流管12に直交する方向に
延びる挿入案内管13が接続されている。上記分流管1
2における挿入案内管13の接続部位から図において右
斜め上方に延びる管部が第1分岐管14、左斜め下方に
延びる管部が第2分岐管15としてそれぞれ形成されて
いる。なお、これら分流管12と挿入案内管13とは、
内外径がほぼ同一の円形管を用いて作製されているが、
異径管を用いて作製しても良い。
【0025】上記分流管12は、図4に示すように、全
体が略U字状に形成され、挿入案内管13の接続部位よ
りも上方の第1分岐管14と下方の第2分岐管15との
各先端側(図において左端側)が、前記した室内熱交換
器2における端板2aから突出する各冷媒流通路の入口
管2b・2bに内嵌させてろう付けされる。
【0026】なお、図5には図2におけるY−Y線矢視
拡大断面図を示している。同図のように、分流管12に
おける中央部には、挿入案内管13の先端側を覆う断面
円形の壁面に、例えば、挿入案内管13を通してこの内
径と同一径の回転切削工具を、分流管12の中心位置を
越えて所定寸法δだけ奥まで挿入して切削することによ
り、上記壁面に段差状のストッパ面16が形成されてい
る。これにより、後述するように、挿入案内管13を通
して前記液管7の先端側を挿入するとき、この液管7の
先端面が上記ストッパ面16に当接するまで挿入するこ
とで、この液管7先端側の挿入深さを精度良く定めるこ
とができるようになっている。
【0027】図6には、前記液管7の先端側の形状を示
している。図のように、液管7の先端部は、その上半分
が軸心に対して所定の傾斜角θ、例えば45度で斜めに
切断した形状に形成され、これによって、この液管7の
先端部における軸心より上側には、開口面が軸心に対し
て傾斜する周面開口17が分流比補正開口として形成さ
れている。なお、軸心より下側には、端面において開口
する端面開口18が設けられている。
【0028】上記形状の液管7の先端側は、その外径が
前記挿入案内管13の内径とほぼ同一となるように、基
端側よりも幾分径小に形成されている(以下、この径小
領域を液管挿入領域7aという)。この液管挿入領域7
aは、前記ストッパ面16から液管挿入案内管13の端
面までの寸法よりやや長い範囲にわたって設けられ、こ
の液管挿入領域7aとその基端側との間に段差面7bが
形成されている。これにより、液管挿入領域7aにリン
グ状のろう材19を外嵌させたときに、液管7の先端側
を図のように上方に向けても、ろう材19は上記段差面
7bで基端側への移動が阻止されて、液管挿入領域7a
の端部位置で保持されるようになっている。
【0029】上記液管7は、上記のように液管挿入領域
7aにろう材19を外嵌させて、図1に示すように、先
端面が前記ストッパ面16に当接するまで挿入案内管1
3を通して挿入される。そして、前記周面開口17が第
1分流管14側に臨むように周方向の位置を定めた状態
で、上記ろう材19を溶融させ、この液管7の先端側が
挿入案内管13の端面にろう付けされ、これによって、
液管7が分流管12を介して前記室内熱交換器2に接続
されている。
【0030】上記のように構成された空気調和機におい
ては、次のような冷媒サイクルによって冷房運転が行わ
れる。すなわち、図示しない室外機内で冷媒が圧縮機に
より圧縮され、この圧縮冷媒は室外熱交換器に供給され
て凝縮した後、キャピラリーチューブ等の減圧機構(図
示せず)で減圧されて気液混合冷媒となる。この気液混
合冷媒が、上記液管7・分流管12を通して室内熱交換
器2の前記各冷媒流通路に流入する。そして、この室内
熱交換器2通過時に蒸発し、この蒸発冷媒は前記ガス支
管8・8とガス管6とを順次通して圧縮機に返流され
る。
【0031】このような冷媒サイクルにおいて、液管7
を通して室内熱交換器2に供給される気液混合冷媒は、
前述したように、この液管7通過時に、前記した室内機
1の背面側から略水平方向に沿って前方に向かう領域
で、重力により、管内における下側の液密度の方が上側
の液密度よりも大きくる。さらに、液管7は、上記領域
で下側に凸となるように湾曲形成されているので、この
湾曲部分を通過する際の遠心力によっても、冷媒の液密
度は、管内における下側の方が上側よりもさらに大きく
なる。このように液管7内で上記のような偏流状態が生
じていても、前記構成の冷媒分流機構11によって、室
内熱交換器2の各冷媒流通路には、冷媒がほぼ均等に分
配されて供給される。
【0032】すなわち、図1に示すように、液管7の先
端側に形成されている前記周面開口17は第1分岐管1
4側に臨んでおり、このため、上記周面開口17とは軸
心を挟んで反対側の周壁7cが、液管7側と第2分岐管
15側との間に、いわゆる「堰」として位置するものと
なっている。これによって、液管7内から第2分岐管1
5側に至る図中実線矢印で示す流れ経路に沿っては、液
管7や第2分岐管15の流路断面積に対し、上記周壁7
cの箇所での流路断面積が、この周壁7cの端面と、分
流管12の内面との間の狭い隙間に制限され、したがっ
て、この箇所で大きな流れ抵抗が生じるものとなってい
る。
【0033】一方、液管7内から第1分岐管14側に至
る図中破線矢印で示す流れ経路については、上記周壁7
cに対応する箇所が周面開口17を設けることで切欠か
れていることから、上記のような流路断面積の大きな低
下箇所は無く、このため、この流れ経路における流れ抵
抗は比較的小さなものとなる。
【0034】これにより、液管7内を流れる気液混合冷
媒に、その下側で液密度が大きくなるような偏流が生じ
ていても、この液管7の先端側から、上方の第1分岐管
14に向かう冷媒の体積流量は、下方の第2分岐管15
に向かう冷媒よりも上記流れ抵抗の差に応じて多くな
る。この結果、各分岐管14・15に分流した冷媒の重
量流量は互いに均等なものに近くなり、これによって、
前記室内熱交換器2の各冷媒流通路にほぼ均等な量の冷
媒が流れることになって、室内熱交換器2内での冷媒の
偏流による熱交換能力の低下という従来の問題が解消さ
れる。また、上記偏流の度合いが強いときに生じるファ
ンロータの結露も回避される。しかも、前記した従来例
で説明した攪拌部を内部に有する分流器などの特殊構造
とする必要がないので、製作費をより安価なものとする
ことができ、また、全体をよりコンパクトに構成するこ
とが可能となっている。
【0035】また上記では、液管7内を通してその先端
面に向かって流れる冷媒の多くは、その先端面に達する
前に周面開口17を通して第1分岐管14側に流出し、
したがって、液管7の軸心方向に直進して分流管12の
内面に衝突した後に流れ方向を変える冷媒量は少なくな
るので、このような衝突に伴って発生する冷媒流通音も
小さなものとなって、静かな運転状態を維持することが
可能となっている。
【0036】以上にこの発明の具体的な実施の形態につ
いて説明したが、この発明は上記形態に限定されるもの
ではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施するこ
とが可能である。例えば上記では、室内熱交換器2にお
ける2つの冷媒流通路がほぼ同一の流路長で形成され、
したがって、これらへの冷媒の分流比をほぼ均等にする
例を挙げたが、例えば前記した前側熱交換器3と後側熱
交換器4とが、それらの熱交換容量を相違させて構成さ
れている場合には、各熱交換容量の比に応じた所望の分
流比に第1分岐管14側と第2分岐管15側とに分流さ
せて、各冷媒流通路に供給するように構成することも可
能である。
【0037】この場合、例えば液管7の先端側に形成す
る周面開口17の軸心に対する前記傾斜角θを代えて開
口面積を変えることや、第2分岐管15に至る流れ経路
の流路面積が変化するように、液管7先端側の分流管1
2への挿入深さを変えることによって、所望の分流比が
得られるように構成することができる。さらに、周面開
口17が臨む方向を第1分岐管14側から周方向に幾分
ずらすことによっても、第1分岐管14側に至る流路の
流れ抵抗と、第2分岐管15側に至る流路の流れ抵抗と
の比が相違することになり、したがって、液管7先端側
を周方向に回転させることによっても、所望の分流比が
得られるように調整して取付位置を設定することが可能
である。このように、簡単な変更で所望の比率により正
確に合致するように設定することができるので、より性
能に優れたた熱交換器を構成することができる。
【0038】さらに上記では、2個の分岐管14・15
を有する分流管12を設けて構成したが、これは、さら
に多くの分岐管を有する構成としても良い。また上記で
は、空気調和機の室内機に内装された室内熱交換器2に
用いた例を挙げたが、その他、例えば空気調和機の室外
機や他の冷凍装置等、冷媒流通路を備えた種々の機器に
用いることが可能である。
【0039】
【発明の効果】以上の説明のように、この発明の請求項
1の冷媒分流機構においては、第1・第2分岐管の接続
領域に、分流比補正開口を先端側に有する冷媒流通管を
挿入するという簡単な構成で、冷媒流通管での偏流状態
を補償してほぼ均等に分流することや、任意の分流比で
の分流状態を得ることができるので、全体的なコンパク
ト化を図ることができ、また、製作費をより安価にする
ことが可能であると共に、熱交換器における熱交換能力
等を向上させることが可能となる。
【0040】また上記冷媒分流機構においては、冷媒流
通管の先端側を斜めに切断するという簡単な加工によっ
て分流比補正開口を形成することができるので、これに
よっても、製作費をより安価なものとすることが可能で
あり、また、この場合には、軸心に対する傾斜角を変え
て分流比補正開口の開口形状を大きくしたり、或いは、
冷媒流通管の先端側の挿入深さを変えること等の簡単な
変更で、所望の比率により正確に合致するように設定す
ることができるので、これによって、例えば熱交換器の
熱交換能力をさらに向上させることができる。
【0041】しかも、上記冷媒分流機構においては、冷
媒流通管の挿入深さが所定の深さに達したときにこの冷
媒流通管に当接するストッパ面が設けられているので、
所望の分流比が得られように組立てる際の組立作業が容
易になり、これによっても、全体の製作費がより安価な
ものとなる。
【0042】請求項の冷媒分流機構においては、冷媒
流通管の先端側が径小に形成されて、基端側との間に段
差面が設けられているので、例えばこの冷媒流通管の先
端側を上方に向けて各分岐管の接続領域に挿入して組立
てる際にも、略リング状のろう材は上記段差面に係止さ
れて保持される。したがって、これを溶融させてろう付
けする際の作業が簡単になり、これによっても、全体の
製作費がより安価なものとなる。
【0043】請求項の冷媒分流機構を備えた熱交換器
においては、複数の冷媒流通路に、請求項1又は請求項
2の冷媒分流機構における各分岐管をそれぞれ接続して
形成されているので、例えば偏流状態を生じ易い気液混
合冷媒に対しても、上記のような冷媒分流機構によっ
て、各冷媒流通路にはほぼ均等、或いは所望の分流比で
冷媒を供給することができる。これによって、熱交換器
能力が向上すると共に、全体をよりコンパクトに、ま
た、より安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態における冷媒分流機構を
示す断面図である。
【図2】上記冷媒分流機構を備える室内熱交換器の側面
図である。
【図3】上記冷媒分流機構における分流管の一部切欠断
面図である。
【図4】図3におけるX−X線矢視断面図である。
【図5】図3におけるY−Y線矢視拡大断面図である。
【図6】上記分流管に挿入される液管先端側の断面図で
ある。
【図7】従来の空気調和機における室内熱交換器の側面
図である。
【符号の説明】
2 室内熱交換器 2a 端板 2b 入口管 7 液管(冷媒流通管) 7b 段差面 11 冷媒分流機構 12 分流管 14 第1分岐管 15 第2分岐管 16 ストッパ面 17 周面開口(分流比補正開口) 19 ろう材
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−254374(JP,A) 特開 平9−72632(JP,A) 特開 平8−61809(JP,A) 特開 平8−68574(JP,A) 特開 平1−234764(JP,A) 特開 平4−309411(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 41/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷媒が流通する冷媒流通管(7)と、こ
    の冷媒流通管(7)の先端側に連通する第1分岐管(1
    4)と第2分岐管(15)との少なくとも2つの分岐管
    とを備え、冷媒流通管(7)の先端側から各分岐管(1
    4)(15)へと冷媒を分流させる冷媒分流機構であっ
    て、各分岐管(14)(15)が相互に接続された接続
    領域に上記冷媒流通管(7)の先端側を挿入して、この
    冷媒流通管(7)を各分岐管(14)(15)の接続領
    域に接合すると共に、接続領域内に位置する冷媒流通管
    (7)の先端側に、この先端側から第1分岐管(14)
    に至る流れ抵抗と第2分岐管(15)に至る流れ抵抗と
    を相互に相違させるべく開口した分流比補正開口(1
    7)を形成し、また上記分流比補正開口(17)を、冷
    媒流通管(7)の先端側を軸心に対して斜めに切断した
    形状とすることによって軸心を挟んで一方の側の周壁に
    斜めに開口した形状に形成すると共に、この分流比補正
    開口(17)が上記各分岐管(14)(15)の中で流
    れ抵抗を小さくする側の分岐管(14)に臨むように、
    上記冷媒流通管(7)を各分岐管(14)(15)の接
    続領域に接合し、さらに各分岐管(14)(15)の接
    続領域を囲う囲壁の内面に、この接続領域に挿入される
    冷媒流通管(7)の挿入深さが所定の深さに達したとき
    にこの冷媒流通管(7)に当接するストッパ面(16)
    を形成していることを特徴とする冷媒分流機構。
  2. 【請求項2】 上記冷媒流通管(7)の先端側の外周を
    その基端側よりも径小に形成し、これら先端側と基端側
    との間に、先端側に外嵌させた略リング状のろう材(1
    9)の基端側への移動を阻止する段差面(7b)を設け
    ていることを特徴とする請求項1の冷媒分流機構。
  3. 【請求項3】 複数の冷媒流通路を有するクロスフィン
    チューブ型の熱交換器であって、各冷媒流通路に、上記
    請求項1又は請求項2の冷媒分流機構における各分岐管
    (14)(15)をそれぞれ接続して、この冷媒分流機
    構を通して各冷媒流通路に冷媒を供給するように形成し
    ていることを特徴とする冷媒分流機構を備えた熱交換
    器。
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