JP3217286B2 - Dna固定化複合体 - Google Patents

Dna固定化複合体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、DNA
(デオキシリボ核酸)固定化複合体に関するものであ
る。さらに詳しくは、この出願の発明は、細胞増殖抑制
剤、DDS(ドラッグデリバリーシステム)、クロマト
グラフィー担体等として有用な、DNA分解酵素の活性
抑性、DNA除放性、DNA立体特異性の維持等の優れ
た特徴のあるDNA固定化複合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、DNA(デオキシ
リボ核酸)は生体内で遺伝情報を担う役割を果してお
り、生命現象にとって最も重要な物質の一つであり、ま
た、他の物質と高度に特異的、選択的な相互作用を示す
働きがあることから機能性材料への展開が大いに期待さ
れているものでもある。
【0003】しかしながら、DNAは水溶性のためにそ
の構造を安定に保つことが難しく、そのため今までその
利用もあまり進展しておらず、DNAを対象とした研究
ももっぱら遺伝子としての生化学や分子生物学的側面か
らのものに限られていた。このような状況において、こ
の出願の発明者らは、DNAの新しい応用を拓げるため
に、DNAを不溶化することを鋭意検討し、その結果と
して、DNAをアルギン酸とともに不溶化することがで
きることをすでに見出している。
【0004】しかしながら、DNAの構造をより安定に
保ち、しかも汎用的な利用態様とするためにはこれまで
の検討では充分でないのが実情であった。そこで、この
出願の発明は、DNAを不溶化して固定化することによ
り期待される各種の機能性材料の創製を可能とするため
の、新しいDNA固定化複合体を提供することを目的と
している。
【0005】この出願の発明は、上記の課題を解決する
ものとして、DNA及びアルギン酸からなる複合体を、
ハイドロキシアパタイトに固定したことを特徴とするD
NA固定化複合体を提供する。
【0006】
【0007】
【発明の実施の形態】この出願の発明は以上のとおりの
特徴を有するものであるが、さらに詳しく説明すると、
固定化担体としてのハイドロキシアパタイトはその形状
において粉体、バルク、フィルム状、板状、管状、繊維
状体、それらの集合体、それからなる多孔体等の適宜な
ものであってよく、その組成についても、適宜なもので
よい。たとえばその組成については、ハイドロキシアパ
タイト等のリン酸塩やカルシウム塩等々であってよい。
【0008】この発明の無機質固体には、無機質物質と
有物質との複合体の包含される。それらは混合物、錯化
合物、多久号化合物等の任意であってよい。固定化担体
としては有機質の固体、たとえば粉体、バルク、フィル
ム、板、管状体や不織等でもよい。いずれの場合にも、
この出願の発明の固定化複合体にはDNAとアルギン酸
との複合体が必須であり、必要に応じて多糖類またはそ
の誘導体、あるいはコラーゲン等の蛋白質を含むことも
できる。
【0009】DNA固定化複合体には、カルシウム化合
物またはカルシウムイオンが含まれることが有効でもあ
る。固定化による安定化が促進される。カルシウムは、
前記無機質担体としてのハイドロキシアパタイトのよう
に、担体そのものに含有されていてもよい。DNAのア
ルカリ金属塩とアルギン酸のアルカリ金属塩との混合物
は2価の金属化合物の存在、たとえばカルシウムイオン
の存在によってよりすみやかにゲル化することがこの発
明の発明者らにより見出されているが、このゲル体では
実用的にもDNAの安定固定は不充分である。これに対
してこの出願の発明によって、固定化安定性に優れ、取
扱い性にも優れたDNA複合体が提供されることにな
る。
【0010】この出願の発明により提供されるDNA固
定化複合体には各種のDNA(デオキシリボ核酸)がそ
の対象とされ、DNA分解酵素の活性抑性、DNA除放
性、DNA立体特異性の維持等の優れた特徴が発現され
ることになる。このため、細胞増殖抑制剤、DDS(ド
ラッグデリバリーシステム)、クロマトグラフィー担体
等として有用なものとなる。たとえば具体的にも、変異
原物質の除去にも有効に利用されることになる。
【0011】そこで以下実施例を示し、さらに詳しくこ
の発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実
施例中の説明並びに図面において用いている略符号は、
各々、次のものを示している。 DNA:デオキシリボ核酸 AL:アルギン酸 HA:ハイドロキシアパタイト S:シリカゲル CA:カルシウム abs:吸収 D.W.:脱イオン水 また、実施例においては、「ひも状DNA:ユーキファ
インズ株式会社」:サケ白子由来高分子量二本鎖DNA
を使用している。このものは、分子量数千〜数千万(5
00万前後が多い)であることを電気泳動により確認し
ている。
【0012】もちろん、この発明が対象とするDNAは
このものに限られることは全くない。
【0013】
【実施例】実施例1 固体のDNAとAL(アルギン酸)粉末を残基比1:4
の割合で混合し、全体で0.5(w/v)%になるよう
に脱イオン水(D.W.)に溶解した。組織培養用Di
shにこの残基比1:4のDNA−AL溶液をそれぞれ
2mlずつ分注し、さらに滅菌したHA(ハイドロキシ
アパタイト)(株式会社サンギ製:FKI)粉末を10
mgずつ添加し懸濁させた。これらをそれぞれ1時間、
24時間および48時間静置した後で2mlの1%Ca
Cl2 水溶液を添加し1時間ゲル化させた。DNAの定
量を、ゲル化後の上澄について、培地およびD.W.を
添加し1時間後の上澄について、培地およびD.W.を
交換し24時間後の上澄について、再度交換し24時間
後の上澄および最終的に1mM EDTA/ Phosphate
−Buffred Saline Ca2+,Mg2+ free(以下PBS
(−)と略記)溶液を用いてゲルを溶解した後に5回行
なった。これらの残基比1:4のDNA−ALゲルおよ
びHAを含んだゲルから培地およびD.W.へ溶出した
DNAを測定した。
【0014】なお、培地は市販のα−MEM粉末より定
法に従って調製し、それに5%になるようにNEWBORN CA
LF SERUM(以下NCSと略記)を添加して血清培地とし
た。図1は、溶出したDNA量を示したものであり、図
中の表示は次の場合を示している。 DNA−AL−:DNAとALの溶液をゲル化させた場
合。
【0015】DNA−AL−HA:DNAとALの溶液
にHA粉末を添加し、1時間静置した後にゲル化させた
場合。 DNA−AL−HA(24):DNAとALの溶液にH
A粉末を添加し、24時間静置した後にゲル化させた場
合。 DNA−AL−HA(48):DNAとALの溶液にH
A粉末を添加し、48時間静置した後にゲル化させた場
合。
【0016】検出された総DNA量はゲル化前のDNA
量に比べてHAを加えたものについては少なかったこと
から、ALゲル中に固定化されるDNA量がHA添加に
よる複合体において増加したものと推察される。このこ
とはDNA−AL溶液にHAを長時間懸濁させた複合体
試料ほど検出量が少ないことからも確認される。さらに
120時間後の固定化複合体としてのゲルをEDTA溶
液を用いて溶解し、その溶液についてのDNA濃度も測
定した。それより求めたゲル中およびHAに吸着したD
NA量について図2および図3に示したように、ゲル中
にHAが存在した場合、HA自体に吸着するのみではな
くゲル中に存在するDNA量も増加することが判明し
た。以上の結果から、DNA−ALゲルにHAを添加す
ることによりゲル中に固定化されたDNAがより安定に
存在することがわかる。これらの原因として、HA中の
Caイオンおよびリン酸基がALゲル中に存在するDN
Aの保持に効果を与え、またゲル中に存在するDNAに
対するDNaseの活性が抑制されたことが考えられ
る。
【0017】以上のことから、DNAの放出量はALの
量とCaイオン量さらに共存させるHAによりコントロ
ールされることが示された。そして、このゲル中に固定
化したDNAは培地の添加により徐々に培地中に放出さ
れることから、DNAを薬効成分とするドラッグデリバ
リーシステムが成立すると考えられる。なお、以下に実
施例2〜7として参考例を説明する。 実施例2 DNA(50mg)およびDNA−アルギン酸(50m
g,66mg;残基比約1:2)をそれぞれ10mlの
脱イオン水に溶解し、一晩冷所に放置し安定化した。
これらの水溶液に4.00gのシリカゲル(Wakogel C-3
00、カラムクロマト用)を混入し攪拌する。一晩冷所
に放置後、減圧したデシケーター内で風乾させた。これ
ら風乾させたDNA固化複合体をそれぞれ、DNA−S
およびDNA−AL−S試料とした。またこれとは別に
同様の方法で各試料を作成し、それぞれ10%(w/
w)CaCl2水溶液を10mlずつ加えて風乾させた
DNA固化複合体をそれぞれDAN−Ca−SおよびD
NA−AL−Ca−S試料とした。
【0018】DNA−S,DNA−AL−S,DNA−
CA−SおよびDNA−AL−CA−Sをそれぞれ20
mgずつとり、10mlの脱イオン水に懸濁させた。1
時間放置後それぞれの上澄をとりUVスペクトル分析器
を用い、200nmから340nmまでの紫外部吸光ス
ペクトルを測定し、DNAの溶出の程度を比較した。ま
た、DNA−CA−SおよびDNA−AL−CA−Sの
一部に脱イオン水を加え攪拌静置し、上澄をデカンテー
ションにて捨て、再度脱イオン水を加えた。この操作を
数回繰返し上澄についてもUVスペクトルを測定し、2
60nm付近にピークが見られなくなるまで続けた。そ
の後風乾し、20mgをとって10mlの脱イオン水に
懸濁した。これらを80℃で20分間加熱した。放冷後
の各試料の上澄を同様に紫外部の吸光度を測定した。
【0019】さらに、DNA−CA−SおよびDNA−
AL−CA−Sを水洗しDNAの溶出の見られなくなっ
たものとシリカゲルだけのものをそれぞれ100mgず
つとり、10mlの脱イオン水にそれぞれ混入した。こ
れらの懸濁液にエチジウムブロミド(EB)をそれぞれ
10mgずつ添加し攪拌して溶解させ放置した。DNA
−S,DNA−AL−S,DNA−CA−SおよびDN
A−AL−CA−SのUVスペクトル測定結果を図4お
よび図5にそれぞれ示した。図5のように、カルシウム
イオンが存在した場合、図4の、カルシウムイオンが存
在しない場合よりもDNAが相対的にかなり吸着される
ことがわかる。これは、DNA及びシリカゲルの負の極
性を持つ部位がカルシウムイオンによって何らかの形で
架橋を形成したものと推定することができる。しかしな
がら、これとは別に、物理的な作用によってDNAがシ
リカゲル表面に吸着されたことも十分に考えられる。こ
こで興味深いことにDNA−SとDNA−AL−Sとで
は明かに後者のものからより多くのDNAの溶出が認め
られるのに対し、DNA−CA−SおよびDNA−AL
−CA−Sではわずかながらに前者のものからの溶出の
程度が大きいことが判明した。これは、DNAとDNA
アルギン酸の複合体では、DNAだけのものがシリカゲ
ルへの物理化学的な吸着が強い一方で、これらの系にカ
ルシウムイオンが存在すると吸着の強さも強固になり、
その程度もDNA−CA−SおよびDNA−AL−CA
−Sで逆転するところから、吸着の様式も変化するもの
と考えられる。
【0020】なお、水洗したDNA−CA−SおよびD
NA−AL−CA−S水溶液の加熱処理のUVスペクト
ルの測定結果を図6に示した。いちどDNAの溶出が見
られなくなった試料について加熱処理を行うことで再び
DNAの溶出が確認されたことから、熱変性DNAの溶
出であるにせよ、そのことからシリカゲルにDNAが吸
着結合していたことが確認される。
【0021】また、DNA−CA−SおよびDNA−A
L−CA−S試料懸濁液およびシリカゲル懸濁液につい
てEBの吸着を観察したところ、DNA−AL−CAS
>>DNA−CA−S>Sであった。DNA−AL−C
A−SとDNA−CA−Sとの間にはかなりの色の変化
の差があることから、DNA−CA−SにはDNAが二
重らせん構造をとらずに吸着し、DNA−AL−CA−
Sには立体構造を保持したままで吸着したものと考える
ことができる。
【0022】以上のことから、DNA吸着シリカゲルを
各種クロマトグラフィーの担体として使用し、DNAの
立体特異性を生かした各方面での画期的な分離精製が期
待できる。実施例3 DNA−Na(54.5mg)とアルギン酸−Na(6
6.3mg)を混合し、5,10,15,20,40m
lの脱イオン水で1日−2日冷蔵庫で溶解させたのち、
それぞれシリカゲル(クロマト用)を4,7,10,1
5g加え攪拌、一日冷蔵庫で放置したのちデシケータ中
で乾燥し10%CaCl2 溶液中で凝固させた。そのの
ち脱イオン水でDNAが溶出してこなくなるまで洗浄
し、デシケータ中で乾燥し、DNA固定化複合体を調製
した(48mesh以下を集める)。
【0023】シリカゲルに吸着されたDNAの量は、
0.1N−NaOH溶液中でDNAを溶解させてDNA
の260nmの吸収を測定して判定した。その結果、前
記複合体における吸着DNA量は、次の表1のとおりで
あった。
【0024】
【表1】
【0025】続いて、表1に示したDNA吸着量1.0
00mg/1g−シリカゲルの複合体を試料に用いてD
NAの溶出試験を行った。溶出は、試料1g(シリカゲ
ルDNA−アルギン酸複合体)/20ml(溶液)の条
件において行った。図7は、pHと塩濃度の、DNAシ
リカゲル複合体からのDNA溶出割合(%)との関係を
示したものであり、図8は、塩濃度を変化させた場合の
溶出割合(%)を示したものである。
【0026】これらの結果は、pH条件や塩濃度によっ
て複合体からのDNA溶出量が制御されることを示して
いる。図中の符号は次のものを示している。 A:0.03M酢酸バッファー pH5.0,500mM NaCl B:10mM Tris−HCl pH7.5,500mM NaCl C:0.03M酢酸バッファー pH5.0,100mM HCl D:10mM Tris−HCl pH7.4,100mM NaCl E:水 F:500mM NaCl(5mM Tris−HCl,p
H7.4) G:100mM NaCl(同上) H:0mM NaCl(同上)実施例4 DNA−Na 135.5mgを脱イオン水 50ml
と混合し、DNA−Na溶液を調製した。このものをD
NA−Na濃度1の溶液と規定し、同様にして、DNA
−Na濃度が1/10、1/5、2/5、3/5、4/
5の溶液も各々調製した。
【0027】ガラスフィルター(Filter Paper:Advant
ec TOYO, GA100,SIZE 25mm)を、これら各
々の濃度のDNA−Na溶液に浸し、風乾した後に、2
60nmのUV吸収スペクトルを測定して吸収が見られ
なくなるまで水洗いし、次いで風乾した。得られたDN
A固定化複合体について、そのDNA含有量を、各々の
試料を10ml脱イオン水に浸し、80〜90℃の湯に
30分間浸し、その後UV吸収スペクトルを測定するこ
とで判定した。
【0028】DNA 1μg/ml、260nmでab
sが約0.02を基準にしてDNA含有量を求めた。そ
の結果を次の表2に示した。
【0029】
【表2】
【0030】一方、前記のガラスフィルターを、DNA
−Na溶液に浸した後にCaCl2水溶液に2〜3分浸
し、風乾し、260nmのUV吸収スペクトルの測定で
吸収が見られなくなるまで水洗いし、その後風乾するこ
とにより得たDNA固定化複合体についても前記と同様
にしてDNA含有量を判定した。その結果を表3に示し
た。
【0031】
【表3】
【0032】なお、温度差によるDNA固定化含有量の
変化を見るため、前記のDNA濃度4/5の複合体を1
0mlの脱イオン水に浸し、各種温度で攪拌し、時間毎
にUV吸収スペクトルを判定した。その結果を(260
nm−320nm)のabsの差として示したものが表
4である。この表4からは、一般に温度が上昇するとa
bsが上昇、つまりDNAの離脱が多くなり、また、3
0℃をピークに温度が上昇するとabsが減少している
ことがわかる。
【0033】
【表4】
【0034】実施例5 DNA−Na 272.7mg、アルギン酸Na 33
0.9mgおよび脱イオン水 100mlとを混合し、
DNAアルギン酸溶液を調製した。このものを濃度1の
溶液とし、同様にして、濃度1/10、1/5、2/
5、3/5、4/5の溶液も各々調製した。
【0035】実施例4で用いたガラスフィルターを、こ
れら各々の濃度の溶液に浸し、CaCl2 水溶液に浸
し、風乾し、実施例4と同様に水洗いの後に風乾してD
NA固定化複合体を得た。これらの複合体を2%(2g
/100ml)のEDTA溶液10mlに浸し、1日放
置した後にUV吸収スペクトルを測定して実施例4と同
様にして複合体におけるDNA含有量を判定した。その
結果を表5に示した。
【0036】
【表5】
【0037】実施例6 目付(1m2 当りの重量)60g/m2 のエジプト綿か
らなるセルロース不織布(2×2cm)を用い、実施例
4および5と同様の方法によって、濃度が、1、1/1
0、2/5、3/5、4/5の、DNA溶液、DNA+
CaCl2 およびDNAアルギン酸からのDNA固定化
複合体を調製した。
【0038】そして、実施例4および5と同様にして、
これら複合体におけるDNA含有量(μg/10ml)
を測定した。その結果を示したものが表6である。
【0039】
【表6】
【0040】不織布の場合、製作が容易であって、通気
性もあり、たとえばDDS等に利用する場合には、傷口
に貼る際において、貼り心地がよいとか、化膿によるよ
けいな体液を浸出させることが可能である等の応用面で
の効果も大きい。実施例7 実施例5と同様にして調製したDNA・アルギン酸−ガ
ラスフィルター固定化複合体の濃度3/20のものを用
い、エチジウムブロミドの吸着について評価した。
【0041】エチジウムブロミド20μMの場合、可視
光線吸収スペクトル480nmで吸収(abs)0.1
11のレベルにあるが、このエチジウムブロミド水溶液
5mlを吸引濾過した後の吸収スペクトルをみると、ほ
とんどのエチジウムブロミドが複合体に吸着されている
ことが確認された。また、実施例6により調製した濃度
1/5のDNAセルロース複合体を用いて、アクリジン
オレンジ水溶液(50μM、可視光線スペクトル49
1.0nm、吸収1.542abs)の吸着についても
評価したところ、ほとんどのアクリジンオレンジが前記
複合体に吸着されることが確認された。一方、濃度1の
場合の複合体ではあまり吸着しないことも確認された。
【0042】以上のことからは、DNA固定化複合体に
おいては、その構成と、DNA濃度とによって、各種の
変異原物質の吸着をコントロールすることができ、この
点でクロマトグラフィー担体としての有効性が確認され
た。
【0043】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、この出願の
発明のDNA固定化複合体によって、DNAのより安定
した固定が可能とされ、各種の機能材料、たとえば徐放
性DNA、DNA立体特異性の維持等の特徴を生かして
のDDSやクロマトグラフィー担体、細胞増殖抑制剤等
の新しい創製が可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のDNA固定化複合体としてハイドロ
キシアパタイトを用いた場合の安定したDNA固定化能
の評価として、培地へのDNA溶出の割合を示した図で
ある。
【図2】図1の複合体についてゲル中に吸着保持された
DNA量の割合を、EDTA溶液による溶解の結果とし
て示した図である。
【図3】図2に対応して、ハイドロキシアパタイトに吸
着保持されたDNA量の割合を示した図である。
【図4】(a)(b)は、各々、DNA−シリカゲル、
およびDNA−アルギン酸−シリカゲル複合体における
DNAの吸着保持性能を示したUV吸収スペクトル図で
ある。
【図5】(a)(b)は、各々、DNA−カルシウム−
シリカゲルおよびDNA−アルギン酸−カルシウム−シ
リカゲル複合体におけるDNA吸着保持性能を示したU
V吸収スペクトル図である。
【図6】(a)(b)は、各々、DNA−カルシウム−
シリカゲル、DNA−アルギン酸−カルシウム−シリカ
ゲル複合体の水洗加熱処理後のDNA吸着保持性能を示
したUV吸収スペクトル図である。
【図7】pHおよび塩濃度と、DNA溶出割合(%)と
の関係を示した図である。
【図8】塩濃度と溶出割合(%)との関係を示した図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−27031(JP,A) 特開 昭64−40418(JP,A) 特開 平6−329557(JP,A) 特開 平1−304886(JP,A) 特開 平7−41494(JP,A) 特開 昭63−135861(JP,A) 特開 平8−239397(JP,A) 特開 平9−124490(JP,A) 特表 平4−500671(JP,A) 有機合成化学、第42巻第5号(1984) 第429−436頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 21/00 - 21/04 A61K 47/00 - 47/48

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 DNA及びアルギン酸からなる複合体
    を、ハイドロキシアパタイトに固定したことを特徴とす
    るDNA固定化複合体。
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