JP2006169659A - 情報化核酸含有繊維及び繊維製品 - Google Patents

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雅彦 山中
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恒彦 樋口
Shigeki Hirabayashi
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Abstract

【課題】取り除くことができない個別認証情報を備え、これを解読することによって、自身及びそれを用いた製品の出所・経歴などを特定することができる情報化核酸含有繊維及び繊維製品を提供する。
【解決手段】DNAに代表される核酸の配列を個別認証情報として利用し、任意且つ既知の塩基配列を有する部位を備えた情報化核酸を望ましくは繊維100gに対して0.5〜500μgの範囲で繊維や繊維製品中に含有させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維及び繊維製品に係わり、さらに詳しくは、出所・経歴情報などの個別認証に用いることができる情報化核酸を含有する情報化核酸含有繊維及び繊維製品に関するものである。
これまでの個別認証には、ナンバープレート、紙幣などの透かし印刷、ICチップ、クレジットカードの写真などが利用されている。
しかし、これらの個別認証手段は、剥離、切断、消去などによって製品から除去することができるという欠点があった。このため、製品から取り除くことができない、即ち消失しない認証情報の開発が期待されている。
一方、DNAは、元来全ての生物が保有し、それぞれの生物において全ての遺伝情報を含む情報生体分子であり、その多くは多数の蛋白質のアミノ酸配列に対応するものである。即ち、DNAは、デオキシアデノシン(dA)、デオキシグアノシン(dG)、デオキシシトシン(dC)、及びデオキシチミン(dT)がリン酸エステル結合を介して一定の方向性をもって結合しており、その塩基数をn個とすると、その長さのDNAは4種類存在することになる。従って、例えばわずか16種類の塩基数でもそれぞれ区別可能な約43億種類のDNAが存在し得ることになる。
現在では、数十の塩基配列を有するDNAであれば、どのような配列のものでも任意に合成することができ、しかも、ある程度以上の量があれば、自動配列読み取り装置(シーケンサー)を用いて自動的にその配列を決定することができる。
このようなDNAの適用技術としては、水不溶性媒体にDNAを含ませた偽造防止ラベルを製品に用いることによって、該DNAの存在・不存在を手掛りにして、その製品の真偽を明らかにすることが提案されている(特許文献1参照)。
特開2004−159502号公報
しかし、上記特許文献1に記載の技術は、基本的にはDNAと水不溶性媒体の混合方法に係るものであり、当該特許文献1には、製品の真偽確認方法として、PCR法によるリボ核酸の増幅の有無を確認することによってリボ核酸入りの対象製品を同定することが示唆されているに過ぎない。
また、DNAの存在・不存在を検定指標とする真偽確認データはもとより、DNAの配列を検定指標とし、同種製品における個々の製品ごとの認証を可能にする個別認証に関するデータについては全く開示されていない。
一方、織物や編物などの繊維製品に、その出所・履歴に係わる情報をその全体に広範囲に盛り込んでおき、必要に応じてそれを認証できるようにする技術が確立できれば、これらの繊維製品を用いた衣類や各種工業製品の出所・履歴を個別認証することができるようになり、例えば事故や災害時における着衣からの被害者の身元確認、犯罪時における遺留品からの犯人特定、車体番号が削り取られた盗難車のシートやカーテンからの所有者の特定、ブランド商品や芸術作品の真贋判定などに広く利用することができ、このような技術手段を確立することの要請がある。
本発明は、従来技術におけるこのような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、取り除くことができない個別認証情報を備え、これを解読することによって、自身及びそれを用いた製品の出所・経歴を特定することができる情報化核酸含有繊維及び繊維製品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、DNAに代表される核酸の配列を個別認証情報として利用し、当該核酸を繊維や繊維製品中に含有させておき、必要に応じてその配列を読み取るようにすることによって、上記課題の解決が可能であることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の情報化核酸含有繊維は、任意且つ既知の塩基配列を有する部位を備えた情報化核酸を当該繊維中に含んでいることを特徴とし、本発明の情報化核酸担持繊維製品は、同様に任意且つ既知の塩基配列を有する部位を備えた情報化核酸を当該繊維製品中に含んでいることを特徴としている。
本発明によれば、繊維や繊維製品中に情報化核酸を含ませたことから、調査対象の繊維や繊維製品から情報化核酸を取り出し、その塩基配列を決定することによって、塩基配列を検出指標とする製品情報、例えば出所・経歴データの個別認証が可能になるという極めて優れた効果がもたらされる。また、このような情報化核酸は、視認することができず、しかも繊維や繊維製品全体に広範囲に分布させることができることから、除去することは事実上不可能であり、優れた個別認証手段となる。
以下、本発明の情報化核酸含有繊維及び繊維製品についてさらに詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示すものとする。
本発明の情報化核酸含有繊維及び繊維製品は、任意且つ既知の塩基配列を有する部位を備えた情報化核酸を含有するものである。
本発明において、繊維とは、綿や麻、絹、羊毛などの天然繊維と共に、ポリアミドやアクリル、ポリエステルなどの合成繊維、人造繊維などを意味する。また、繊維製品とは、上記のような各種繊維から成る糸、紐、綱、織物、編物、不織布、フエルト、さらにはこれらを用いた衣類、ハンカチ、スカーフ、帽子、バッグ類、ベルト、寝具、風呂敷、カーテンや壁布などといった建築用あるいは自動車用の内装材等を言う。
これら繊維や繊維製品に情報化核酸を含ませるには、合成繊維の場合には、原料樹脂中に情報化核酸を配合することによって繊維内部に含ませることができるが、繊維の段階で、あるいは糸や織物などの繊維製品とした段階で、情報化核酸を含む溶液を含浸させることによって情報化核酸を繊維表面や繊維間に固着させたり、情報化核酸を含む層を繊維表面にコーティングしたりすることも可能である。
ここで、情報化核酸とは、任意且つ既知の塩基配列を有する部位を備えたものであって、上記したように、塩基配列の異なる情報化核酸を製品にあらかじめ仕込んでおくことによって、塩基配列を検出指標とする種々の製品情報、例えば出所・経歴データなどの個別認証を可能とし、しかも製品から除去することが実質的に不可能な個別認証手段となるものである。
そして、この情報化核酸とは、DNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)及びこれらの誘導体を言い、天然型でも人工型でもよいが、使用環境が厳しい製品中に添加することを考慮すると、構造的に安定な人工型を使用することが好ましい。人工型においては天然型には存在しない結合様式の(例えば、ヌクレオシド同士の結合がリン酸エステル結合だけでなく、チオリン酸エステル結合のような非天然型を含むなどの)配列を形成することができる。
なお、当該情報化核酸において、塩基配列部位が任意であるとは、検出可能な塩基配列である限り無作為に選択され得るものであることを意味し、塩基配列部位が既知であるとは、個別認証に用いられる塩基配列が予め把握されているものであることを意味する。
上記情報化核酸の大きさとしては、当該核酸全体における塩基数が200以下であることが好ましい。すなわち、塩基数が200を超えると合成の段階でごく僅かずつ未反応部位が生成し、塩基がかけたものの含有量が増大し易い。なお、100塩基程度であることがより好ましい。
また、チミンがダイマー化するのを抑制する観点から、上記塩基配列においてチミン同士が隣接しないことが好ましい。
さらに、上記情報化核酸としては、OH基と反応する化合物と併用する場合や、厳しい環境下で使用される場合の安定性を向上させる観点から、保護基により誘導化されていることが好ましく、具体的には、5´位、3´位のいずれか一方又は双方にある水酸基をリン酸エステル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ベンジル基、置換ベンジル基、アリル基などを用いて誘導化することができる。
図1(A)に天然型DNA、図1(B)に5´位を誘導化したDNAを示す。
また、単離や精製の利便性を高める観点から、5´位の水酸基をビオチン又は蛍光分子により誘導化することが好ましい。具体的には、ビチオンを用いるとアビジンという蛋白質を結合したカラムに選択的に吸着され易くなる。一方、フルオレセインなどの蛍光分子を用いると核酸自体が蛍光をもつようになるため、感度よく検出でき、精製等が容易になる。このように、単離や精製の利便性を高めることにより、個別認証が極めて容易なものとなる。
さらに、例えば5´位を硫黄に置換した場合には、水で抽出したものをさらに金(Au)をコーティングした担体のカラムに通すことによって容易に分離することができる。
なお、情報化核酸としてRNAを用いるときは、安定性を向上させる観点から2´位の水酸基を上記保護基により誘導化することもできる。
また、情報化核酸を抽出して個別認証をする場合において、少ない含有量でも効率良く検出されるようにする観点から、上記塩基配列部位が該情報化核酸の増幅に用いられる部位であることが好ましい。このような情報化核酸の増幅方法としては、相乗的に増幅させることのできるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を適宜採用することができる。
上記PCR法では、情報化核酸が極微量であっても極度に増幅することができ、例えば、DNAの末端数十塩基と相補的な塩基(プライマー)の存在下に温度制御を行いつつ、耐熱性のDNAポリメラーゼを作用させると、元のDNAを倍増させることができる。例えば、これを30回繰り返せば、数億倍に増幅させることができる。
このような増幅によって微量のサンプルからでもその配列を決定するのに十分な量のDNAを得ることができるようになり、延いては配列に対応する情報からそれが含まれていた製品の「身元」が判明することになる。
また、このとき、上記増幅に用いられる部位として、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に必要なプライマー対応部位を両端に有することが好ましい。すなわち、情報化核酸としては、プライマーを備えていないものを使用することもできるが、プライマーを備えることによってより短時間で識別できるようになることによる。
このようなプライマー対応部位について、塩基数の下限値は5であることが好ましい。より好ましくは10以上であることが良い。塩基数が5未満では、区別できる核酸の数が減少し、多くの製品の識別に時間がかかるようになる。一方、塩基数の上限値としては、100であることが好ましい。これは、塩基数が100を超えると、いずれかの位置の塩基を欠いた副生成物の比率が高くなり、精製に手間が掛かり、場合によっては困難となる傾向があることによる。
なお、情報化核酸としてRNAを用いるときは、逆転写酵素を用いて配列の相補的なDNAを得、このDNAを用いてPCR法を行うことができる。
また、上記情報化核酸としては、上記塩基配列部位の他に更に認証情報部位を有することが好ましく、これによって、より詳細な情報設定により個別認証を実行できる。
例えば、図2に示すように、両端にプライマー対応部位を備えた情報化DNAであれば、中央にm個の塩基数の配列を置き(B〜B)、この部分の配列情報を認証情報に対応させる。その両端には、それぞれl(エル)個、n個のプライマーに相補的な配列(X〜X,P〜P)を連結する。この部分が存在することにより初めてPCR法の採用が可能となる。
情報化DNAはこの1本鎖のもの又はそれと相補的な配列のDNAと複合体を形成した2本鎖のものを情報素子として用いることができる。このプライマー対応部位の配列は、できるだけ相補的配列の結合が安定になり且つPCR法による増幅が円滑に進行するように工夫することができる。
なお、図2において、X〜X、B〜B、P〜P のそれぞれは、デオキシアデノシン(dA)、デオキシグアノシン(dG)、デオキシシトシン(dC)及びデオキシチミン(dT)のいずれかより構成される。
そして、情報化核酸の塩基配列を検出指標とする製品の個別認証において、PCR法によって情報化核酸を増幅させるに際しては、抽出された情報化核酸の溶液、PCR緩衝液、滅菌蒸留水、少なくとも1種のプライマー、2,3−ジデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及びポリメラーザを混合し、
(1)92〜95℃で2〜5分間加熱し、次いで
(2)a:92〜95℃で30〜60秒間、
b:20〜50℃で30〜60秒間、
c:70〜80℃で30〜120秒間
の加熱サイクルを20〜50回繰返し、しかる後
(3)70〜80℃で1〜10分間加熱処理することが好ましい。
なお、このとき、情報化核酸の塩基性配列の任意性を高めるという観点からは、2種のプライマーを用いることが望ましい。
そして、(1)の条件範囲については、92℃×2分よりも低温度短時間ではDNAの2本鎖への分離が困難になり、95℃×5分よりも高温度長時間では酵素が失活することによるが、94℃で5分間加熱することが特に好ましい。なお、繊維や繊維製品に含まれる情報化核酸が1本鎖である場合には、この(1)工程は不要である。
また、(2)−aにおける条件範囲は、92℃×30秒よりも低温度短時間では増幅率が低下し、95℃×60秒よりも高温度長時間では酵素が失活することによるが、94℃で30秒間加熱することが特に好ましい。
さらに、(2)−bの条件範囲については、20℃×30秒よりも低温度短時間ではプライマーとDNAの結合が困難になり、50℃×60秒よりも高温度長時間では酵素が失活することによるが、40℃で30秒間加熱することが特に好ましい。
また、(2)−cの条件範囲は、70℃×30秒よりも低温度短時間では伸長が不十分となり、80℃×120秒よりも高温度長時間では酵素が失活することによるが、72℃で30秒間加熱することが特に好ましい。。
そして、(3)においては、72℃で7分間加熱することが特に好ましい。すなわち、70℃×1分よりも低温度短時間では伸長が不十分となり、80℃×10分よりも高温度長時間では時間の無駄となることによる。
さらに、上記(2)におけるa〜cの加熱サイクルの繰返し数については、20回よりも少ないと増幅率が低下し、50回より多いと時間の無駄となるからであるが、30回が特に好ましい。
図3は、上記した情報化核酸による製品の個別認証手順の一実施形態を示す工程図であって、図に示すように、先ずS1において、繊維や繊維製品から情報化DNAを抽出する。
次いで、S2において、凍結乾燥によって抽出溶液を濃縮したのち、S3において、2種類のプライマーとポリメラーゼを加える。
次に、S4において、PCRを繰り返すことによってDNAを増幅し、S5において、残った余分なプライマーを一本鎖DNA開裂酵素による分解する。
そして、S6において、二本鎖である情報化DNAをゲル濾過によって精製し、さらにS7において、シーケンサーによって情報化DNAの配列を決定する。
上記S1においては、繊維を粉末にして、少量の水と混ぜればよいが、情報化DNAを微粒子に担持させる際に、化学的結合させた場合には、例えば加水分解することによって効率良く抽出することができるようになる。また、S2においては、例えば遠心エバポレーターを用いて濃縮しても良い。さらに、S5においては、一本鎖DNA切断酵素として、例えばTaq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Tf1 DNAポリメラーゼ、Ventポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、Bca BESTポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼなどを使用することができる。また、S6とS7との間に、さらにS3及び4と同様の操作を繰り返して、目的のDNAを増幅させることもできる。また、S7においては、質量分析装置によって配列決定を行なってもよく、シーケンサーによる配裂決定と組み合わせても良い。
また、塩基配列の決定にあたり、製品から抽出される情報化核酸のデータと、少なくとも上記情報化核酸のデータを含む情報化核酸データベースとを比較することが望ましい。あらかじめ把握された情報化核酸のデータベースと比較することによって、製品認証にかかる時間を大幅に減らすことが可能になる。
このようなデータベースに蓄えられるデータとしては、例えば電気泳動時間やゲル濾過した際の移動距離(これは、情報化核酸自体をコントロールレーンに流すだけでも良い)などを挙げることができる。
本発明の情報化核酸含有繊維及び繊維製品における上記情報化核酸の含有量としては、繊維100gに対して0.5〜500μgであることが好ましく、さらには50〜100μgの範囲とすることがより好ましい。
情報化核酸含有量が0.5μgより少ない場合には、繊維から情報化核酸を検出して塩基配列を決定できない可能性があり、500μgを超えた場合には、繊維中に水分が浸透したときに繊維表面の粒子による凹凸で光が乱反射し易くなり、透明性が低下して外観状態が変化する傾向がある。
また、上記情報化核酸は、繊維や繊維製品中に、そのまま単体の状態で含有されているよりも、シリカや酸化亜鉛、酸化チタンや酸化モリブデン、酸化タングステン、チタン酸バリウムなどの微粒子に担持された状態で添加されていることが好ましく、これによって当該情報化核酸を繊維や繊維製品中に確実、安定に添加し、分散させることができるようになると共に、繊維や繊維製品中に長期間安定に保持することができ、このような情報化核酸の塩基配列を検出指標とする製品の出所・経歴の個別認証が長期にわたって可能なものとなる。
ここで、「担持」とは、情報化核酸が上記微粒子の表面に乗せられた状態で微粒子と共に移動できる程度に密着していることを意味し、情報化核酸が上記微粒子の表面に強固に固着していても、微粒子表面やその凹部内に使用に耐える程度の強度で付着していてもよい。
上記のような微粒子に、情報化核酸を担持するに際しては、上記微粒子を滅菌蒸留水中に分散させて懸濁液となし、この懸濁液に上記情報化核酸をそのまま、あるいは当該情報化核酸を滅菌蒸留水に溶解させた情報化核酸水溶液を加え、乾燥することによって製造することができる。このとき、情報化核酸については、一部を水溶液とすることなくそのままの状態で加え、残部を水溶液の状態で加えるようにしても何ら差し支えない。
また、このとき、上記懸濁液には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールなど)、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピルなど)、ケトン(例えば、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなど)及び芳香族溶剤(トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、キシレンなど)の溶媒をさらに添加することも望ましく、これによって上記微粒子の懸濁液中における分散性が向上すると共に、情報化核酸が添加された後の水分及び溶剤分の揮発が促進されることになる。
なお、これら溶媒は1種のみに限定されず、2種以上の溶媒を併用することも可能である。また、これら溶媒は、情報化核酸と同時、あるいは情報化核酸を加えた後に添加しても、特に差し支えはない。
上記溶媒の添加量としては、アルコールの場合には、滅菌蒸留水/アルコールの容量比を1〜99の範囲とすることが好ましく、アルコール以外の溶媒の場合、即ちエステル、ケトン、芳香族溶剤の場合には、滅菌蒸留水/溶媒の容量比を1〜75の範囲とすることが好ましい。
これは、溶媒の添加量が少な過ぎると、溶媒添加による上記効果が十分に得られず、逆に多過ぎても、水との相溶性低下によって水が揮発せずに残り易くなり、上記効果が十分に得られないようになる傾向があることによる。
また、上記微粒子のサイズとしては、平均粒径が0.01〜1μmの範囲、好ましくは0.02〜0.1μmの範囲のものとすることが望ましい。すなわち、微粒子の平均粒径が0.01μmに満たないと情報化核酸の検出精度が低下し、1μmを超えると、透明性が低下する可能性が高くなる傾向がある。
上記微粒子における情報化核酸の担持量としては、微粒子100gに対して、0.5〜10,000μg、より好ましくは1.0〜1000μgの範囲とすることが望ましい。上記情報化核酸の担持量が微粒子100g当たり0.5μgに満たない場合は、情報化核酸を製品中に安定に添加することができなくなって検出精度が低下する一方、10,000μgを超えた場合には、情報化核酸を微粒子に安定に担持することができなくなって、フリーの情報化核酸が生じ、分散しにくくなる傾向があることによる。
本発明の情報化核酸含有繊維及び繊維製品において、上記微粒子の添加量としては、繊維100gに対して、0.5〜10g、さらには0.5〜2gの範囲とすることが望ましい。微粒子添加量が繊維100g当たり0.5gに満たないと情報化核酸の検出精度が低下し、10gを超えると、透明性が低下する可能性が高くなる。
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔1〕情報化核酸担持微粒子の作製
〔1−1〕情報化DNAの合成
ホスホアミダイト法にてヌクレオシドを逐次結合させることによって、GGGATTAATTGGAGGの配列を有する認証情報部位の両端に、TGCACGCACCGTGTACTC及びAGTGGACACGTTGGTCGGの配列を有するプライマー対応部位をそれぞれ結合し、情報化核酸としての情報化DNA(5´‐TGCACGCACCGTGTACTC‐GGGATTAATTGGAGG‐AGTGGACACGTTGGTCGG‐3´)を合成した。
〔1−2〕懸濁液の調整
担体用の微粒子として、シリカコートを施した平均粒径0.02μmの酸化亜鉛(昭和電工(株)製ZS−032)、平均粒径1μmのシリカ(鈴木油脂工業(株)製E−2C)及び平均粒径4μmのシリカ(鈴木油脂工業(株)製E−16C)の3種を使用し、これら微粒子4gに、それぞれ容量比で30%のエタノールを含有する滅菌蒸留水15mLを加えて撹拌し、各微粒子の懸濁液を得た。
〔1−3〕情報化DNAの添加
上記〔1−1〕により得られた情報化DNA10nmol(164μg)を滅菌蒸留水15mLに溶解し、得られた情報化DNA水溶液を上記各懸濁液に加えて良く撹拌し、さらに4mLのエタノールを加えて撹拌した。
〔1−4〕自然乾燥
情報化DNAを加えた上記懸濁液をそれぞれプラスチック製の円形皿に注ぎ、その上部を通気性の良い紙あるいは布で覆った状態で、2日間自然乾燥した。
〔1−5〕減圧乾燥
上記〔1−4〕によってほぼ乾燥したものをデシケータに入れ、40℃の加熱下で減圧乾燥し、十分に乾燥させた。
〔1−6〕粉砕
上記〔1−5〕により、十分に乾燥され、塊状の微粉末をそれぞれ乳鉢に入れて砕き、もとの微粉末状として、情報化核酸担持微粒子を得た。
〔2〕情報化DNA含有繊維の調整
ポリエステル繊維(東洋紡製イントラム)から成る原料繊維1000gに、上記で作成した粒径及び情報化DNA担持量の異なる各種の情報化核酸担持微粒子を水に溶解させた溶液をスプレーにて吹き付けた後、80℃の温風で10分間乾燥することによって、表1に示すように、情報化DNA含有量、微粒子添加量、添加微粒子径がそれぞれ異なる22種類の繊維(繊維径:200μm)を得た。
〔3〕DNAの検出
〔3−1〕繊維裁断
上記各実施例の繊維を50℃に保持した温水中に1000時間浸漬したのち、温水から取り出し、カッターによってそれぞれ約10mmの長さに裁断した。
〔3−2〕DNA抽出
得られた各短繊維片に滅菌蒸留水5mLをそれぞれ加え、マグネチックスターラーによって撹拌し、これらに含まれる情報化DNAを水層に抽出した。
〔3−3〕水溶液濃縮
遠心分離機を用いて、短繊維片と水層を分離し、水層を遠心エバポレータを用いてそれぞれ濃縮した。
〔3−4〕処理液調整
溶出回収した各DNA溶液(5μL)に、それぞれPCR buffer(5μL)、Taq polymerase(0.25μL)、滅菌蒸留水(24.75μL)、5μMの第1プライマー(5´−TGCACGCACCGTGTACTC−3´:5μL)、5μMの第2プライマー(5´−CCGACCAACGTGTCCACT−3´:5μL)、及び2mMの2,3−ジデオキシヌクレオシド三リン酸(5μL)を混合した。
〔3−5〕熱サイクル
上記各混合液を94℃で5分間加熱後、94℃で30秒加熱→40℃で30秒加熱→72℃で30秒加熱のサイクルをそれぞれ30回繰り返した。
〔3−6〕保存
上記加熱サイクルを加えた各混合液に、それぞれ72℃で7分間の加熱処理を施した後、4℃で保存した。
〔3−7〕精製
1本鎖DNA開裂酵素S1ヌクレアーゼ(一本鎖DNAに特異的に反応)を用いて、余分なプライマーを分解し、目的の2本鎖情報化DNAをゲル濾過によって精製した。
〔3−8〕dNTP添加
精製した情報化DNAに一種類のプライマー5´−TGCACGCACCGTGTACTC−3´及び蛍光標識した2,3−ジデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)を混合した。
〔3−9〕熱サイクル
上記工程〔3−5〕と同様の操作を行った。
〔3−10〕配列決定
ゲル濾過精製後、自動シーケンサーに供し、配列決定を行った。
〔3−11〕検出結果
上記工程による情報化DNAの識別結果を表1に併せて示す。なお、表中「○」は上記した方法によって繊維に含まれる情報化DNAの配列が容易に識別できたもの、「△」は上記PCRによる増幅回数を増やすことが必要であるものの、情報化DNAの配列の識別が可能であったものを示す。
〔4〕透明性の評価
得られた各実施例の繊維を50℃、相対湿度95%の雰囲気に500時間放置した後、繊維の変色度合いを目視評価した。この結果を表1に併せて示す。
なお、表中「○」はほとんど透明なもの、「△」は若干白濁したもの、「×」は白濁したものを示す。
Figure 2006169659
表1に示した結果から明らかなように、本発明の情報化核酸含有繊維においては、情報化核酸の識別が可能であることがわかる。また、実施例1〜12及び実施例18〜22の情報化核酸含有繊維は、実施例13〜17の情報化核酸含有繊維と比較して、より少ないPCR増幅回数で情報化核酸の識別が可能となることがわかる。さらに、実施例1〜15及び実施例17の情報化核酸含有繊維は、実施例16及び実施例18〜22の情報化核酸含有繊維と比較して、透明性に優れることがわかる。
DNAの一例として、天然型DNA(A)及び5´位を誘導化したDNA(B)を示す構造式である。 本発明に用いる情報化核酸の一例として、認証情報部位の両端にプライマー対応部位を備えたDNAの構造を示す概略図である。 本発明の繊維に含まれる情報化核酸の検出手順の一例を示す流れ概略図である。

Claims (7)

  1. 任意且つ既知の塩基配列を有する部位を備えた情報化核酸を含んでいることを特徴とする情報化核酸含有繊維。
  2. 上記情報化核酸の含有量が繊維100gに対して、0.5〜500μgであることを特徴とする請求項1に記載の情報化核酸含有繊維。
  3. 上記情報化核酸が微粒子に担持された状態で添加されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報化核酸含有繊維。
  4. 上記微粒子の平均粒径が0.01〜1μmであることを特徴とする請求項3に記載の情報化核酸含有繊維。
  5. 上記微粒子の添加量が繊維100gに対して、0.5〜10gであることを特徴とする請求項3又は4に記載の情報化核酸含有繊維。
  6. 任意且つ既知の塩基配列を有する部位を備えた情報化核酸を含んでいることを特徴とする情報化核酸含有繊維製品。
  7. 上記情報化核酸が微粒子に担持された状態で添加されていることを特徴とする請求項6に記載の情報化核酸含有繊維製品。
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