JP3212706B2 - 飲食物 - Google Patents

飲食物

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JP3212706B2
JP3212706B2 JP23127392A JP23127392A JP3212706B2 JP 3212706 B2 JP3212706 B2 JP 3212706B2 JP 23127392 A JP23127392 A JP 23127392A JP 23127392 A JP23127392 A JP 23127392A JP 3212706 B2 JP3212706 B2 JP 3212706B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はルチンをシクロデキスト
リンに包接した包接化合物を添加した飲食物に関するも
のである。
【0002】〔発明の背景〕ルチンはフラボノール配糖
体の一つであり、マメ科のエンジュの花蕾やタデ科のソ
バ等に含まれており、主な生理活性は毛細血管の脆弱性
および異常な透過性を回復させる作用であり、脳出血、
放射線障害、出血性諸病の予防に効果がある。更にルチ
ンには酸化防止作用があることから食品の酸化防止剤と
して、また鮮やかな黄色を呈することから食品用天然色
素として極めて有用なものである。
【0003】ルチンのような黄色色素は紫外線領域の波
長を有する光線を吸収するために、その補色として黄色
が視覚的に強調されるのであるが、紫外線は可視光線よ
りも短い波長を有しエネルギーも可視光線や赤外線より
も高く、したがってルチンのような黄色天然色素は紫外
線を吸収することによって、可視光線や赤外線を吸収す
る他の色素よりも分子内にはるかに大きな損傷を受け易
い。
【0004】したがってルチンのような黄色天然色素を
使用した飲食物は、日光や蛍光灯の光の下で短時間で褪
色してしまうために、遮光容器に入れるかあるいは透明
容器に入れた場合は冷暗所に保存することが必要であ
り、食品工場での取扱い、あるいは食品店での陳列、展
示等にも支障を来すことになる。
【0005】更にルチンは水に対する溶解性が低いため
にその鮮やかな黄色を生かして食品を着色するに充分な
量の使用が困難であった。
【0006】
【従来の技術】上記ルチンの欠点を補うために従来、ル
チンをシクロデキストリンによって包接することが提案
されている(例えば特開昭59−137499号)。こ
の方法によればルチンは化学的変化を受けることなくシ
クロデキストリンと包接化合物を形成しているので、ル
チンの有する抗酸化性等の性質を維持したまゝでルチン
をシクロデキストリンによって紫外線に対して安定化せ
しめられ、またシクロデキストリンは高い水溶性を示す
のでルチンの水溶性を大巾に向上させることが出来る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記包接
化合物は低温または酸性において水溶性が低下し、例え
ば上記包接化合物の飽和水溶液は10℃以下で上記包接
化合物の沈澱が生成し、またpH6以下でも同様な沈澱
が生成する。
【0008】したがって上記包接化合物を例えば清涼飲
料水、アイスクリーム、ゼリー等の酸性または低温の飲
食物に使用した場合、飲料では上記沈澱による濁りが発
生し、固形食品では上記沈澱により舌にざらついた不快
な食感を与える。このような沈澱の生成を防止するに
は、上記包接化合物の添加量を減らせばよいが、添加量
を減らせば当然のことながら充分な着色は望めない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の課題
を解決するための手段として、ルチンをシクロデキスト
リンにアルカリ性の条件下において包接した包接化合物
を添加した飲食物を提供するものであり、上記シクロデ
キストリンとして特に望ましいシクロデキストリンは分
枝シクロデキストリンであり、更に望ましい分枝シクロ
デキストリンはオリゴ糖がシクロデキストリン1分子に
対して1個以上結合している分枝β−シクロデキストリ
ンおよび/または分枝γ−シクロデキストリンである。
更に包接時の望ましいpHは7〜10である。
【0010】本発明を以下に詳細に説明する。 〔ルチン〕本発明のルチンとは前記したように下記の構
造式
【化1】 を有するフラボノール配糖体であり、通常マメ科のエン
ジュの花蕾やタデ科のソバ、タバコの葉、トマト等の植
物から熱水またはアルコール等の溶媒によって抽出さ
れ、該抽出液から濃縮、精製等の手段によって無水物ま
たは3水和結晶体として単離される。しかし本発明にお
いてはルチンを単離することなく抽出液のまゝで使用す
ることも出来、また上記植物に含まれる他の成分と混合
状態において使用することも出来る。また更にルチンの
ルチノース部分にグルコース、マルトース、マルトトリ
オース等のオリゴ糖を結合させたものであってもよい。
【0011】〔シクロデキストリン〕本発明に使用され
るシクロデキストリンは6〜12個のD−グルコースが
α1→4結合で環状構造を形成したものであり、澱粉に
Bacillus macerans等のシクロデキストリン生成酵素を
作用させることによって製造される。
【0012】上記シクロデキストリンとしては通常重合
度6のα−シクロデキストリン、重合度7のβ−シクロ
デキストリン、および重合度8のγ−シクロデキストリ
ンが工業的に安価に使用出来るが、本発明はこれに限定
されるものではない。
【0013】更に望ましいシクロデキストリンとしては
β−またはγ−シクロデキストリンから得られる分枝シ
クロデキストリンがある。上記分枝シクロデキストリン
とはβ−またはγ−シクロデキストリン1モルに対して
グルコース等の単糖またはマルトース、マルトトリオー
ス等のオリゴ糖が該シクロデキストリンにα1→6結合
で結合したシクロデキストリンである。上記分枝シクロ
デキストリンはシクロデキストリンよりも更に高い水溶
性を示す。
【0014】上記分枝シクロデキストリンは通常上記し
たように澱粉にBacillus maceransのアミラーゼを作用
させて得られたシクロデキストリンを含む澱粉分解物に
α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ等
のシクロデキストリンを分解しないかまたは分解し難い
酵素を添加して、上記澱粉分解物に残存する非環状デキ
ストリンを分解してオリゴ糖を生成させて得た高濃度の
澱粉分解物に、更にプルラナーゼやイソアミラーゼ等の
枝切り酵素を作用させて、上記生成したオリゴ糖をシク
ロデキストリンに結合することによって製造される。ま
たはこれらのシクロデキストリン類を含有する澱粉分解
物から各種方法を用いて得た純粋なシクロデキストリン
に、別々に調製したマルトースやマルトトリオースを混
合した高濃度溶液に前記枝切り酵素を作用させることに
よっても得られる。更には澱粉にシクロデキストリン生
成酵素を作用させて得られる母液中にも分枝シクロデキ
ストリンが含まれているので、これらを利用することも
出来る。
【0015】本発明では上記シクロデキストリンおよび
/または分枝β−またはγ−シクロデキストリンは二種
以上混合して使用してもよい。シクロデキストリンと分
枝β−またはγ−シクロデキストリンとを併用すると、
ルチン/シクロデキストリンの包接化合物の飽和点およ
び包接モル比が向上してシクロデキストリン単独使用の
場合よりもルチンの水溶性が向上する。
【0016】本発明においては上記シクロデキストリン
または分枝β−またはγ−シクロデキストリンは単離精
製物を使用することも出来るが、また上記シクロデキス
トリンおよび/または分枝β−またはγ−シクロデキス
トリンを含む澱粉分解物のまゝで使用することも出来
る。
【0017】〔包接化合物の製造〕包接化合物はルチン
あるいはルチン抽出液等のルチン含有物と、シクロデキ
ストリンあるいは澱粉分解物等のシクロデキストリン含
有物とを混合することによって形成されるが、ルチンの
シクロデキストリンへの包接速度よりルチンの結晶析出
速度が早いため、その結晶化速度を緩和するためにアル
カリ性の条件下において行なう。
【0018】上記アルカリ性の条件下におくためには、
通常水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナト
リウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化
カリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム、水酸化カル
シウム、炭酸カルシウム、かんすい等の食品添加物とし
て用いられるアルカリの一種または二種以上の混合物を
使用する。望ましいアルカリ性条件としてはpH7〜1
0、更に望ましくはpH7〜8である。
【0019】ルチン固形物を用いる場合、包接をより迅
速に行なうために溶液状にして添加することが望まし
い。このとき溶媒としてエタノール、グリセロール、プ
ロピレングリコール等の食品添加物として用いられる有
機溶媒あるいは上記アルカリ金属塩水溶液あるいはそれ
らの混合液を使用してもよい。
【0020】包接化合物の製造にあたってルチンとシク
ロデキストリンとの混合比率は通常使用されるシクロデ
キストリンの総モル数に対して0.1〜0.5倍モルと
する。通常包接化合物製造においては上記シクロデキス
トリンあるいはシクロデキストリン含有物の1〜3重量
部を水5〜10重量部に分散させ、60〜80℃に加熱
攪拌して完全に溶解させ、この溶液に上記アルカリを通
常0.5〜5重量%程度添加する。上記溶液を60〜8
0℃に維持してゆるやかに攪拌しつゝ上記に計画された
量のルチンあるいはルチン抽出液あるいはルチン含有溶
液を添加し、pHを望ましくは7〜10、更に望ましく
は7〜8に調節し、0.5〜2時間攪拌する。このよう
にしてルチン−シクロデキストリン包接化合物が製造さ
れるが、上記包接化合物は溶液のまゝ、あるいは凍結乾
燥、スプレー乾燥、ドラム乾燥等によって乾燥して粉末
化してもよい。
【0021】〔飲食物〕上記本発明の包接化合物は種々
の飲食物に添加される。本発明の包接化合物が添加され
る飲食物の例としては、清涼飲料水(サイダー、ラムネ
等)、粉末ジュース、乳製品(牛乳、ヨーグルト、アイ
スクリーム、バター、マーガリン、チーズ、ホイップク
リーム等)、氷菓、菓子類(あんこ、羊羹、饅頭、チョ
コレート、ガム、ゼリー、寒天、杏仁豆腐、ケーキ、カ
ステラ、クッキー、煎餅、スナック菓子等)、パン、
餅、水産煉製品(蒲鉾、ちくわ等)、畜肉加工品(ソー
セージ、ハム等)、果実加工品(ジャム、マーマレー
ド、果実ソース等)、調味料(ドレッシング、マヨネー
ズ、味噌等)、麺類(うどん、そば等)、漬物、および
蓄肉、魚肉、果実の瓶詰、缶詰類等が挙げられる。
【0022】本発明の包接化合物を上記飲食物に添加す
るには特別な工程を必要とせず、上記飲食物の製造工程
の初期において原料と共に添加するか、製造工程中に添
加するか、あるいは製造工程の終期に添加する。添加方
式は混和、混練、溶解、浸漬、散布、噴霧、塗布等通常
の方法を飲食物の種類、性状に応じて選択する。上記飲
食物において、本発明の包接化合物とともにレシチン、
グリシン等を共存させるとルチンの酸化防止作用が相乗
的に増加する。
【0023】
【作用】本発明ではルチンを良好な水溶性を示すシクロ
デキストリンによって包接するから、ルチンの酸化防止
作用はそのまゝ維持されつゝルチンの紫外線に対する安
定性および水溶性が向上する。このような水溶性改善効
果は分枝βまたはγ−シクロデキストリンを用いると更
に向上する。更に本発明では上記包接をアルカリ性の条
件下において行なうので、ルチンの溶解度が向上してル
チンの包接量が増大する。本発明の包接化合物を含有す
る食品は、従来のルチン単独を用いた食品と比較する
と、褪色の原因ともなる紫外線への耐性が飛躍的に高ま
り、したがって特殊な保存手段を必要とせず、しかも食
品安全性の面でも問題を生じない。
【0024】
【実施例】本発明をより詳細に説明するために実施例を
挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定されるもの
ではない。 〔実施例1〕マルトシル−β−シクロデキストリン10
gに対し、水50gを添加し、炭酸ナトリウム0.1g
を加え、pH8.5に調製した後70℃に加熱保温し完
全に溶解させた。しかる後ルチン25体積%を含むエタ
ノール溶液を6ml添加し、緩やかに1時間攪拌しながら
40℃まで冷却し、ルチン−シクロデキストリン包接化
合物溶液を得た。〔試料〕として、上記包接化合物10
gに、更に水を77.2gを加え、グラニュー糖15
g、クエン酸0.3g、クエン酸ナトリウム0.15g
を加え、沸騰させないように加熱し、最後にゼラチン2
gを加え、完全に溶解したら2枚の直径12cmのシャー
レーに移し、4℃に冷却固化させ、ルチン入りゼリーを
調製した。〔対照1〕としてルチンを300mg含有する
0.2%炭酸ナトリウム水溶液5gを、〔対照2〕とし
てβ−シクロデキストリン10gに蒸留水10mlおよび
ルチン0.6gを添加し、自動乳鉢を用いて室温にて3
時間混練して得た包接化合物5gを、〔対照3〕として
マルトシル−β−シクロデキストリン10gに蒸留水1
0mlおよびルチン0.6gを添加し、自動乳鉢を用いて
室温にて3時間混練して得た包接化合物5gを、蒸留水
82.2gに分散溶解した水溶液を用意し、夫々にグラ
ニュー糖15g、クエン酸0.3g、クエン酸ナトリウ
ム0.15gを加え、沸騰させないように加熱し、最後
にゼラチン2gを加え、完全に溶解したら2枚の直径1
2cmのシャーレーに移し、4 ℃に冷却固化させルチン入
りゼリーを調製した。
【0025】〔試料〕、〔対照1〕、〔対照2〕および
〔対照3〕の夫々2枚のゼリーの内、1枚は4℃の冷蔵
庫に、もう一枚は殺菌用紫外線ランプ下40cmの位置に
6時間放置した。しかる後、ゼリーから3gを50mlメ
スフラスコに分取し、40ml程度の蒸留水を加え、沸騰
水中にて保温しながらゼリーを完全に溶解させた後、室
温まで冷却し蒸留水にて定容した。夫々の溶液を濾過
し、その濾液を分光光度計を用い、200〜500nmの
範囲の吸光度を測定した。測定値の評価は、冷蔵庫に保
存した溶液の吸収極大波長(λmax a)における吸光度
測定値にて、その吸収極大を示す波長における、殺菌用
紫外線ランプにさらした溶液の吸光度測定値を除算した
百分率を100から減算した値を褪色率として示した。
また殺菌用紫外線ランプにさらした溶液の300〜40
0nmの範囲の吸収極大波長(λmaxb)を冷蔵庫に保存
した溶液の吸収極大波長(λmax a)から減算したもの
を変色度(Δλ)として示した。
【0026】6時間後、〔対照1〕、〔対照2〕および
〔対照3〕は淡黄色に濁ったが〔試料〕は透明なまゝで
あった。吸光度測定結果を表1に示す。
【表1】
【0027】表1に示したようにシクロデキストリンで
包接されていないルチンである〔対照1〕、アルカリ条
件下で包接されていない〔対照2〕および〔対照3〕に
おいては、吸収極大を示す波長が変動すると云う変色、
および褪色が観察されたが、アルカリ条件下で包接した
ルチン−シクロデキストリン包接化合物水溶液を用いた
〔試料〕は、色調に変化は観察されず、褪色の度合いも
変化が観察されなかった。
【0028】〔実施例2〕50%マルトシル−γ−シク
ロデキストリン含有混合糖質20gに対し、水50gを
添加し、炭酸ナトリウム0.5gを加え、pH8に調製
した後70℃に加熱保温し完全に溶解させた。しかる後
ルチン25体積%を含むエタノール溶液を6ml添加し、
緩やかに1時間攪拌しながら40℃まで冷却し、スプレ
ードライヤーにて乾燥し、ルチン−シクロデキストリン
包接化合物溶液を得た。〔試料〕として、上記包接化合
物1gおよびグレープフルーツ果汁10g、クエン酸
0.2g、ビタミンC0.02g、グラニュー糖12
g、オレンジエッセンス0.03gに水を加え100ml
に定容し、ジュースを調製した。これを密閉出来る透明
試験管に20ml封入したものを2本用意し、1本は冷暗
所に、もう1本は屋外にて直射日光を5日間照射した。
〔対照1〕としてルチンを150mg含有する0.2%炭
酸ナトリウム水溶液2.5gを、および〔対照2〕とし
てβ−シクロデキストリン10gに蒸留水10mlおよび
ルチン150mgを添加し、自動乳鉢を用いて室温にて3
時間混練して得た包接化合物1gを用意し、夫々にグレ
ープフルーツ果汁10g、クエン酸0.2g、ビタミン
C0.02g、グラニュー糖12g、オレンジエッセン
ス0.03gに水を加え100mlに定容し、ジュースを
調製した。〔試料〕と同様に夫々20mlづつ密閉出来る
透明試験管2本に封入し、1本は冷暗所に、もう1本は
屋外にて直射日光を5日間照射した。
【0029】5日後、夫々の溶液を濾過し、その濾液を
分光光度計を用い、300〜400nmの範囲の吸光度を
測定した。測定値の評価は、冷暗所に保存した溶液の吸
収極大波長(λmax a)における吸光度測定値にて、そ
の吸収極大を示す波長における、直射日光にさらした溶
液の吸光度測定値を除算した百分率を100から減算
し、その値を褪色率として示した。また直射日光にさら
した溶液の300〜400nmの範囲の吸収極大波長(λ
max b)を冷暗所に保存した溶液の吸収極大波長(λma
x a)から減算したものを変色度(Δλ)として示し
た。
【0030】5日後、〔対照1〕および〔対照2〕の冷
暗所および直射日光にさらした溶液には、淡黄色の綿状
沈澱が観察されたが、〔試料〕には何ら沈澱は観察され
なかった。吸光度測定結果を表2に示す。
【表2】
【0031】表2に示したようにシクロデキストリンで
包接されていないルチンである〔対照1〕およびアルカ
リ条件下で包接されていない〔対照2〕においては、吸
収極大を示す波長が変動すると云う変色、および褪色が
観察されたが、アルカリ条件下で包接したルチン−シク
ロデキストリン包接化合物を用いた〔試料〕は、色調の
変化および褪色の度合いもほとんど変化が観察されなか
った。
【0032】〔実施例3〕マルトシル−β−シクロデキ
ストリン10gに対し、水50gを添加し、炭酸ナトリ
ウム0.5gを加え、70℃に加熱保温し完全に溶解さ
せた。しかる後ルチン25体積%を含むエタノール溶液
を6ml添加し、緩やかに1時間攪拌しながら40℃まで
冷却し、スプレードライヤーにて乾燥しルチン−シクロ
デキストリン包接化合物粉末を得た。〔試料〕として、
上白糖171g、バター332g、卵20g、食塩3
g、中力小麦粉474gをミキサーで混練しクッキー生
地を調製した。この生地30gに上記包接化合物0.5
と、レシチン0.5gとの混合物を加え充分に混練し
た。この調製したクッキー生地を展延、成形し220℃
のオーブンにて焼きあげた。〔対照1〕としてルチンを
150mgを、〔対照2〕としてβ−シクロデキストリン
10gに蒸留水10mlおよびルチン1.5gを添加し、
自動乳鉢を用いて室温にて3時間混練、乾燥して得た包
接化合物1gを、夫々上記クッキー生地30gに加え充
分に混練した。これらの調製したクッキー生地を展延、
成形し220℃のオーブンにて焼きあげた。〔対照3〕
は何も添加しない上記クッキー生地30gを展延、成形
し220℃のオーブンにて焼きあげた。
【0033】その結果、〔試料〕は何も加えなかった
〔対照3〕と同様、なめらかな食感を有していた。更に
包接されていないルチンの〔対照1〕およびアルカリ条
件下で包接されていない〔対照2〕の色と比較し、〔試
料〕は鮮やかな黄色を呈し、経時的に観察した時顕著な
褪色は観察されなかった。
【0034】〔実施例4〕ミツカン酢(株式会社中埜酢
店製)50g、日食コーンサラダ油(日本食品化工株式
会社製)100g、上白糖40g、食塩10g、白コシ
ョウ2g、味の素(株式会社AGF製)3g、水30
g、ガーリックパウダー2gとを配合し、ホモジナイザ
ーにて30秒間攪拌してフレンチドレッシングを調製し
た。〔試料〕として、実施例2で作成した包接化合物
0.1gとレシチン0.1gを、〔対照1〕としてルチ
ンを15mgを含む0.2%炭酸ナトリウム溶液2.5g
を、〔対照2〕としてβ−シクロデキストリン10gに
蒸留水10mlおよびルチン1.5gを添加し、自動乳鉢
を用いて室温にて3時間混練、乾燥して得た包接化合物
0.1gを、〔対照3〕として実施例2で作成した包接
化合物0.1gのみを、〔対照4〕としてレシチン0.
1gを、〔対照5〕としてマルトシルβ−シクロデキス
トリン0.1gを、夫々上記フレンチドレッシング25
gに添加したものを用意した。
【0035】得られた〔試料〕および〔対照1〕〜〔対
照5〕を密閉出来る100ml容ガラス製容器に入れ、4
0℃に保温した恒温器に静置保存した。1日に1回、1
分間の激しい振盪を加えながら5日間および30日間保
存した後、恒温器より取り出し、目視により比較したと
ころ〔対照1〕および〔対照2〕にはルチンの淡黄色沈
澱が発生し発色も低下していたが、〔試料〕および〔対
照3〕は調製直後と比較して何ら変化が観察されなかっ
た。更に各試料に遠心分離(10,000rpm /60分
間)を施し、上層のサラダ油層を回収し、ヨードメトリ
ーにより過酸化物価(PV)を測定した。結果を表3に
示した。
【表3】
【0036】表3に示すように、過酸化物価(PV)は
〔試料〕において最小を示した。〔対照1〕〜〔対照
3〕の結果が示すようにルチンの抗酸化性能は包接によ
る阻害は観察されなかた。また〔試料〕の値から評価さ
れる抗酸化性能は、レシチンの単独を用いた場合では抗
酸化性能がほとんど観察されないことから、ルチン−レ
シチンの相乗効果によるものと判断される。
【0037】
【発明の効果】したがって本発明においては酸性および
/または低温の飲食物にあっても抗酸化剤および天然黄
色色素としてのルチンの充分な量が析出沈澱を生ずるこ
となく使用出来、また上記飲食物は紫外線に曝露されて
も殆ど褪色しない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野田 秀司 愛知県一宮市北方町北方字狐塚郷71番地 (56)参考文献 特開 昭63−43959(JP,A) 特開 平4−271745(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/27 - 1/30 C08B 37/16 JICSTファイル(JOIS) JAFICファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ルチンをシクロデキストリンにアルカリ性
    の条件下において包接した包接化合物を添加した飲食物
  2. 【請求項2】上記シクロデキストリンは分枝シクロデキ
    ストリンである請求項1に記載の飲食物
  3. 【請求項3】上記分枝シクロデキストリンは単糖または
    オリゴ糖がシクロデキストリン1分子に対して1個以上
    結合している分枝β−シクロデキストリンおよび/また
    は分枝γ−シクロデキストリンである請求項2に記載の
    飲食物
  4. 【請求項4】上記包接化合物はルチンをシクロデキスト
    リンにpH7〜10のアルカリ性の条件下において包接
    することによって得られる請求項1または請求項2に記
    載の飲食物
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