JP2006211987A - α−1,4−グルカンを味質改善剤として含有する食品用添加剤及び飲食品 - Google Patents

α−1,4−グルカンを味質改善剤として含有する食品用添加剤及び飲食品 Download PDF

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浩荘 白石
Noboru Fujishima
昇 藤嶋
Michihiro Sunago
道弘 砂子
Junichi Takahara
純一 高原
Akitomo Terada
彰友 寺田
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Abstract

【課題】
食品中含まれる苦味、酸味、渋み、青臭み、えぐみなどの好まれない風味成分の風味改善を行うことを目的とする。
【解決手段】
グルカンホスホリラーゼにより酵素的に合成されたα−1,4−グルカンを風味改善剤として用いるが、飲食用組成物または食品添加物用組成物製造工程中のいかなる段階に添加しても効果を発揮することができる。添加濃度は飲食用組成物中の苦み、酸味、渋味などの味質や匂いなどの原因物質の濃度にも関係するが、通常0.1から5%の範囲が適当である。

Description

本発明は、食品の風味および風味の持続性を改善する方法および改善された飲食品に関するものである。
食品中には食品原料由来や加工工程で生じる苦味、酸味、渋み、青臭み、えぐみなどの好まれない風味成分が含まれているものがあり、これらにより飲食が制限される場合がある。また、好まれない風味の食品であっても高い栄養価や健康機能をもつものが多く存在していることから、風味改善を行うことは人々の健康増進にも役立つものである。
したがって、当業者により食品の嫌味として感じられる苦味や酸味などを低減しようとする試みはこれまでにも数多く行われてきている。
ガラクトオリゴ糖を呈味改善剤として用いたものとして、ガラクトオリゴ糖含有食品による飲食品の風味改善剤およびこれが添加された食品ならびに飲食品の風味改善方法 (特開2003−250486)が報告されている。これはα−結合ガラクトオリゴ糖により、果汁飲料などの酸味や苦味などを低減するものであるが、ガラクトオリゴ糖自体にも甘味が存在することから、添加量によってはこの甘味による味が発現してしまう。
アスパルテームを呈味改善剤として用いたものとして、苦味や酸味などを低減する方法(特開昭58−162260号)が報告されているが、この場合もアスパルテーム自体に苦味や後味等の異味があることが知られている。
シクロデキストリンと包接させることで薬用植物の実質や風味を改善する方法(特開2004−305116)が報告されているが、その効果の強さはデキストリン添加品もしくはシクロデキストリン無添加品との違いを認識できる程度のものであり、効果が強いものではなかった。
また、シクロデキストリンのうち、最もよく食品に利用されているα-シクロデキストリンとβ-シクロデキストリンは体内で分解されず、特にβ-シクロデキストリンは経口摂取における毒性が指摘されており、JECFAは一日摂取量に上限を定めている。アミロースは、包接能力を有する唯一の高分子物質であり、かつ、体内で容易に分解され、安全性に問題がなく、シクロデキストリンよりも食品に使用しやすい。
特開2003−250486公報 特開昭58−162260号公報 特開2004−305116号公報
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、食品に添加したときに異味異臭がなく、無色または淡色透明であり、安全性が高く、汎用性のある風味改善剤を提供することを目的とする。
本発明者らは風味改善剤を鋭意検討してきたが、グルカンホスホリラーゼにより酵素的に合成されたα−1,4−グルカンが風味改善剤としての優れた効果を持つことを見出し、本発明を完成した。
本発明に用いるα−1,4−グルカンは、グルカンホスホリラーゼにより酵素的に合成されたα−1,4−グルカンを有効成分とする。
一つの実施形態では、前記α−1,4−グルカンの重合度が100以上37000未満であり得る。
一つの実施形態では、前記α−1,4−グルカンの重合度が100以上600未満であり得る。
一つの実施形態では、前記α−1,4−グルカンの重合度が600以上1800未満であり得る。
一つの実施形態では、前記α−1,4−グルカンの重合度が1800以上37000未満であり得る。
一つの実施形態では、前記α−1,4−グルカンの分散度が1.25以下であり得る。
一つの実施形態では、前記α−1,4−グルカンが修飾物を含有するものであり、その修飾が、エステル化、エーテル化、および架橋からなる群より選択される化学修飾であり得る。
グルカンホスホリラーゼにより酵素的に合成されたα−1,4−グルカンを食品に微量添加することによって食品が従来持っていた苦味、酸味、渋味、青臭み、雑味などを軽減することができる。その結果、食品のもつ栄養面および嗜好性の向上により用途の拡大や国民の栄養学的向上がはかられる。本願記載の風味改善効果は、飲食品にも、シロップ状の医薬品、口中で舐めて溶かす医薬用ドロップ、医薬部外品のトローチなどにも応用が可能である。
(用語の定義)
(分散度Mw/Mn)
高分子化合物は、タンパク質のような特別の場合を除き、その由来が天然または非天然のいずれかであるかに関わらず、その分子量は単一ではなく、ある程度の幅を持っている。そのため、高分子化合物の分子量の分散程度を示すために、高分子化学の分野では通常、分子量分布Mw/Mnが用いられている。分子量分布Mw/Mnは、重量平均分子量Mwに対する数平均分子量Mnの比(すなわち、Mw÷Mn)で表わされる。分子量分布は、その高分子化合物の分子量分布の幅広さの指標である。分子量が完全に単一な高分子化合物であればMw/Mnは1であり、分子量の分布が広がるにつれてMw/Mnは1よりも大きな値になる。なお、この「分子量分布」は「分散度」と言われることもあり、これら「分子量分布」「分散度」は、本明細書においては同義語である。本明細書中で「分子量」という用語は、特に断りのない限り重量平均分子量を指す。
(α−1,4−グルカン)
用語「α−1,4−グルカン」とは、D−グルコースを構成単位とする糖であって、α−1,4−グルコシド結合のみによって連結された糖単位を少なくとも2糖単位以上有する糖をいう。ただし、本明細書において、α−1,4−グルカンは、グルカンホスホリラーゼ(EC 2.4.1.1)により酵素的に合成された、α−1,4−グルカンを意味し、植物デンプン中に存在するアミロースやデンプンを酵素的に分解して製造されるα−1,4−グルカンは含まない。α−1,4−グルカンは、直鎖状の分子である。α−1,4−グルカンは、直鎖状グルカンとも呼ばれる。1分子のα−1,4−グルカンに含まれる糖単位の数を、重合度という。本明細書中で「重合度」という用語は、特に断りのない限り重量平均重合度を指す。α−1,4−グルカンの場合、重量平均重合度は、重量平均分子量をグルコース単位の分子量162で割ることによって算出される。
本発明者らは上記の問題点に鑑み、食品に添加した時に風味が感じられず、無色または淡色透明であり、安全性が高く、汎用性のある風味改善剤を鋭意検討してきたが、α−1,4−グルカンが風味改善剤としての優れた効果を持つことを見出し、本発明を完成した。
α−1,4−グルカンは、当該分野で公知の方法によって作製することができる。酵素合成法の例としては、グルカンホスホリラーゼ(α−glucan phosphorylase、EC 2.4.1.1;通常、ホスホリラーゼという)を用いる方法が挙げられる。ホスホリラーゼは、加リン酸分解反応を触媒する酵素である。
ホスホリラーゼを用いた酵素合成法の一例は、ホスホリラーゼを作用させて、基質であるグルコース−1−リン酸(以降、G−1−Pという)のグルコシル基を、プライマーとして用いられる例えばマルトヘプタオースに転移する方法(以降、GP法という)である。GP法は、原料であるG−1−Pが高価であるため、α−1,4−グルカンを工業的に生産するのにはコストがかかるが、糖単位をα−1,4−グルコシド結合のみで逐次結合させることにより100%直鎖のα−1,4−グルカンが得られるという顕著な利点がある。GP法は、当該分野で公知である。
ホスホリラーゼを用いた酵素合成法の別の例は、スクロ−スを基質とし、例えば、マルトオリゴ糖をプライマーとして用い、これらに無機リン酸の存在下でスクロースホスホリラーゼ(sucrose phosphorylase、EC 2.4.1.7)とグルカンホスホリラーゼとを同時に作用させることによってα−1,4−グルカンを酵素合成する方法(以降、SP−GP法という)である。SP−GP法は、GP法と同様100%直鎖のα−1,4−グルカンの分子量を自由に制御して製造できることに加え、安価なスクロ−スを原料とすることで、製造コストをより低くできるという利点を有する。SP−GP法は当該分野で公知である。SP−GP法の効率的な生産方法は、例えば、国際公開第WO02/097107号パンフレットに記載される。本発明で用いられる高分子量のα−1,4−グルカンは、このパンフレットに記載される方法に従って製造され得る。
なお「プライマー」とは、グルカン合成の出発材料として機能する物質をいう。このようなプライマーとしてオリゴ糖を用いることができる。プライマーとして、マルトオリゴ糖、例えばマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、またはアミロース(α−1,4−グルカン)などを用いるのが好ましい。プライマーとして、単一化合物を用いてもよく、2種以上の化合物の混合物を用いてもよい。
上記GP法および/またはSP−GP法を採用して酵素合成されたα−1,4−グルカンは次のような特徴を有する:
(1)分子量分布が狭い(Mw/Mnが1.1以下);
(2)製造条件を適切に制御することによって任意の重合度(約60〜約37000)のものが得られる;
(3)完全に直鎖であり、天然澱粉から分画したアミロ−スに認められるわずかな分岐構造がない;
(4)天然澱粉と同様にグルコース残基のみで構成されており、α−1,4−グルカンも、その分解中間体も、そして最終分解物に至るまで生体に対して毒性がない;および
(5)必要に応じて澱粉と同様の化学修飾が可能である。
GP法および/またはSP−GP法により酵素合成された高分子量α−1,4−グルカンは、上記特徴により、本発明において好ましく用いられる。
これらのα−1,4−グルカンは、修飾物であってもよく、非修飾物であってもよい。ここで「修飾物」とは、対象物に対して化学的に修飾を施すことによって得られるものをいう。このような修飾の例としては、エステル化、エーテル化および架橋が挙げられる。
エステル化は、例えば、α−1,4−グルカンを各種溶媒中でまたは無溶媒で、エステル化試薬(例えば、酸無水物、有機酸、酸塩化物、ケテンまたは他のエステル化試薬)と反応させることによって行われ得る。このようなエステル化によって、例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステルなどのアシル化エステルが得られる。
エーテル化は、例えば、α−1,4−グルカンを、アルカリ存在下でエーテル化剤(例えば、ハロゲン化アルキル、硫酸ジアルキルなど)と反応させることによって行われ得る。このようなエ−テル化によって、例えば、カルボキシメチルエーテル、ヒドロキシプロピルエーテル、ヒドロキシメチルエーテル、メチルエーテル、エチルエーテルが得られる。
架橋は、例えば、α−1,4−グルカンを、架橋剤(ホルマリン、エピクロロヒドリン、グルタルアルデヒド、各種ジグリシジルエーテル、各種エステルなど)と反応させることによって行われ得る。
このような化学修飾を単独であるいは組み合わせて施すことにより、α−1,4−グルカンの親水性、疎水性、水に対する溶解性、粘度などを変化させることができる。風味改善を行う食品の特性に応じてこれらの化学修飾したα−1,4−グルカンを選択することができる。
本発明で用いるα−1,4−グルカン類の平均重合度は、100以上37000未満であることが好ましい。平均重合度が100以下では、通常の澱粉や高アミロース含有澱粉と同程度の風味改善効果しか見られない。また、平均重合度が37000以上のα−1,4−グルカン類は、酵素合成が困難であり、実現の可能性に乏しい。
本発明に用いるα−1,4−グルカン類は、とりわけ前記GP法および/またはSP−GP法を採用して酵素合成される、平均重合度100以上で37,000以下、およびMw/Mn1.25以下であることが好ましい。分散度が1.25より大きいと、特徴の異なるα−1,4−グルカン類が混在してしまい、各分子量のα−1,4−グルカン類の有する特徴が打ち消されてしまうので、好ましくない。分散度はより好ましくは1.0〜1.2、さらに好ましくは1.0〜1.15である。
本発明に用いる酵素合成アミロースは、分散度が小さいため、分子量の違いによる性質や機能の違いを発揮させることが出来る。平均重合度100以上600未満の比較的低分子量の酵素合成アミロースは、結晶化しやすい性質を有しており、溶液中では速やかに結晶性の沈殿を形成し、食品中では澱粉の老化を促進させる性質を有している。平均重合度600以上1800未満の中分子量以上の酵素合成アミロースは、水への溶解性は改善されており、沈殿は形成しないが、ゲル化しやすい特徴を有している。さらに、平均重合度1800以上37000未満の高分子量以上の酵素合成アミロースは安定した水溶性を示し、乾燥させると強度の高い皮膜を形成する。風味改善効果は、いずれの重合度の酵素合成アミロースも保持している。
本発明においては、その食品添加剤や食品に期待される食感や物性を与えるように、任意の重合度・分散度を有する酵素合成アミロースを使用する。さらに、異なる重合度のα−1,4−グルカン類を混合することが望ましい結果となる場合には、2種以上のα−1,4−グルカン類を添加することも可能である。
本発明に用いるα−1,4−グルカンは、ほとんど全ての飲食用組成物または食品添加物用組成物に使用することが可能である。この飲食用組成物とは、ヒトの食品、動物あるいは養魚用の飼料、ペットフードを総称するものである。すなわち、コーヒー、紅茶、日本茶、ウーロン茶、ジュース、加工乳、生乳、牛乳、豆乳、ニアウォーター、スポーツドリンク、野菜ジュース、青汁、栄養ドリンク、薬酒などの液体および粉末の飲料類、パン、クッキー、クラッカー、ビスケット、ケーキ、ピザ、パイ等のベーカリー類、スパゲティー、マカロニ等のパスタ類、うどん、そば、ラーメン等の麺類、キャラメル、ガム、チョコレート等の菓子類、おかき、ポテトチップス、スナック等のスナック菓子類、アイスクリーム、シャーベット等の冷菓類、クリーム、チーズ、粉乳、練乳、乳飲料等の乳製品、ゼリー、プリン、ムース、ヨーグルト等の洋菓子類、饅頭、ういろ、もち、おはぎ等の和菓子類、醤油、たれ、麺類のつゆ、ソース、だしの素、シチューの素、スープの素、複合調味料、カレーの素、マヨネーズ、ケチャップ等の調味料類、カレー、シチュー、スープ、どんぶり等のレトルトもしくはいわしの煮付け、さばの煮付け、シーチキン、焼き肉等の缶詰食品、ハム、ハンバーグ、ミートボール、コロッケ、餃子、ピラフ、おにぎり等の冷凍食品および冷蔵食品、ちくわ、蒲鉾などの水産加工食品、納豆、漬物、味噌等の醗酵食品、弁当のご飯、寿司等の米飯類、生薬、漢方薬にも効果的に利用できる。さらに、乳児用ミルク、離乳食、ベビーフード、ペットフード、動物用飼料、スポーツ食品、栄養補助食品、健康食品、高齢者用食品等にも使用し得る。
α−1,4−グルカンによる味質改善効果について以下に説明する。α−1,4−グルカンを添加し、味質改善を行う際には、飲食用組成物または食品添加物用組成物製造工程中のいかなる段階に添加しても効果を発揮することができる。さらに添加濃度は飲食用組成物または食品添加物用組成物中の苦み、酸味、渋味、いがらっぽさ、焦げ臭さ、青臭みなどの味質や匂いなどの原因物質の濃度にも関係するが、通常0.1から5%の範囲が適当である。また、本発明を利用することで、従来、苦み、酸味、渋味、いがらっぽさ、焦げ臭さ、青臭みなどが原因で飲食品や生薬、漢方薬等で添加量が制限されてきた栄養成分、機能性素材、口腔用組成物、医薬品及び医薬部外品の添加量を増加させることも可能である。以下にα−1,4−グルカンを添加した飲食用組成物または食品添加物用組成物または医薬品組成物の味質改善についての実施例を示す。
(クエン酸溶液への添加)
0.08%のクエン酸溶液に分子量1000kDa(重合度6170、分散度1.05)のα−1,4−グルカンを1%添加し、10名の官能評価パネラーにより、味質、匂いを評価した。その結果は、クエン酸の酸味がまろやかに感じられ、飲みやすくなったと判定した。対象として、高度分岐環状デキストリン、商品名「クラスターデキストリン」(日本食品化工(株)製)を1%添加したものを試験したが、1000kDaのα−1,4−グルカンの酸味をまろやかにする効果が強いと評価された。また、分子量1000kDa(重合度6170、分散度1.05)のα−1,4−グルカンを0.02%添加したものも同様に評価したが、無添加の場合と差がないと判定した。
(黒酢溶液への添加)
10%の黒酢溶液に分子量1000kDa(重合度6170、分散度1.05)のα−1,4−グルカンを1%添加し、10名の官能評価パネラーにより、味質、匂いを判定した。官能評価結果は酢の強い酸味がまろやかになり、アミノ酸やペプチドの持つ不快な風味が弱く感じられ、黒酢溶液が飲みやすいものと評価された。対象として、高度分岐環状デキストリンを試験したが、α−1,4−グルカンの酸味をまろやかにする効果が強いと評価された。
(塩酸キニーネ溶液への添加)
0.003%の塩酸キニーネ溶液に分子量1000kDa(重合度6170、分散度1.05)のα−1,4−グルカンを1%添加し、10名の官能評価パネラーにより、味質を判定した。官能評価結果は塩酸キニーネ溶液の強い苦味が大幅に弱く感じられたと評価された。対象として、高度分岐環状デキストリンを試験したが、α−1,4−グルカンの効果が強かった。
(カテキン溶液への添加)
0.1%のカテキン溶液に分子量1000kDa(重合度6170、分散度1.05)のα−1,4−グルカンを1%添加し、10名の官能評価パネラーにより、味質を判定した。官能評価結果はカテキン溶液の渋みと苦味が大幅に弱く感じられた。対象として、高度分岐環状デキストリンを試験したが、渋みと苦味がマイルドになったもののα−1,4−グルカンの渋みと苦味をまろやかにする効果のほうが強いと評価された。
(食塩水への添加)
1%の食塩水に分子量1000kDa(重合度6170、分散度1.05)のα−1,4−グルカンを1%添加し、10名の官能評価パネラーにより、味質を判定した。官能評価結果は塩味の角が取れて、まろやかになったと評価された。対象として、高度分岐環状デキストリンを試験したが、高度分岐環状デキストリン無添加のものと差がないと評価された。
(人工甘味料への影響)
0.02%のスクラロース、0.02%ステビアまたは、0.02%酵素処理ステビアを含むそれぞれの溶液に、分子量1000kDa(重合度6170、分散度1.05)のα−1,4−グルカンを1%添加し、味質についての変化を熟練した10人の官能評価パネルラーによって判定した。α−1,4−グルカンを添加した試料は、コントロールに比べいずれもすっきりした甘みとなり、甘みのあとひき、後味も改善された。
(人工甘味料への影響)
10%のエリスリトールを含む溶液に、分子量1000kDa(重合度6170、分散度1.05)のα−1,4−グルカンを1%添加し、味質についての変化を熟練した10人の官能評価パネラーによって判定した。α−1,4−グルカンを添加した試料は、コントロールに比べえぐみが消え、すっきりした甘みとなった。
(青汁の調製)
モロヘイヤ30部、ほうれん草10部、セロリ3部、香辛料0.5部、果糖ブドウ糖液糖15部、水41.5部をミキサーで液状にし、いわゆる青汁を調製した。分子量1000kDa(重合度6170、分散度1.05)のα−1,4−グルカンを1.0%添加し、その味質の変化を熟練した10人の官能評価パネルによって判定した。その結果、無添加の青汁に比較して、青臭みと苦味が軽減されており、青臭み、苦味ともに許容範囲であると評価された。
(豆乳の調製)
市販品の調整豆乳(紀文フードケミファ製)に分子量1000kDa(重合度6170、分散度1.05)のα−1,4−グルカンを1.0%添加し、味質、匂いについての変化を熟練した10人の官能評価パネラーによって判定した。その結果、無添加の豆乳に比較して、青臭み、えぐみ、雑味が軽減し、飲みやすい豆乳となっていると評価した。
(医薬品の調製)
市販品の薬用養命酒(養命酒製造株式会社製)に分子量1000kDa(重合度6170、分散度1.05)のα−1,4−グルカンを1.0%添加し、味質、匂いについての変化を熟練した10人の官能評価パネラーによって判定した。その結果、無添加の養命酒に比較して、チョウジをはじめとした薬用成分の臭み、えぐみ、苦味、雑味が軽減されていると評価した。対象として、高度分岐環状デキストリンとβ−シクロデキストリンを1.0%添加したものも試験したが、風味改善効果が認められないと評価された。
(天婦羅の衣の調整)
分子量40kDa(重合度246、分散度1.05)のα−1,4−グルカン3部、小麦粉(薄力粉)27部、生卵15部、水45部を混合した天婦羅用の衣を作成した。3mm程度に輪切りにしたサツマイモを水に20分間浸漬しあく抜きを行った上でこの衣を付着させ、170℃の植物油脂中で3分間揚げ、試食評価した。対象品として、α−1,4−グルカンを小麦粉(薄力粉)に置き換えたものも作り、味質、匂いについての変化を熟練した10人の官能評価パネラーによって比較判定した。α−1,4−グルカンを使用したものの衣は、こげ色が薄く、パリパリした食感となり、異味や雑味がなく、風味上良好であると評価された。さらにサツマイモの風味も味と香りの点で向上していると評価された。
本発明では、α−1,4−グルカンを食品に微量添加することで食品が持っていた渋味、酸味、苦味、青臭み、雑味などを軽減する効果を見出した。α−1,4−グルカンは食品に添加したときに風味が感じられず、無色または淡色透明であり、安全性が高いことから、幅広い食品の風味改善剤として利用されうるものである。

Claims (9)

  1. グルカンホスホリラーゼにより酵素的に合成されたα−1,4−グルカンを含有する食品用添加剤及び飲食品
  2. 前記α−1,4−グルカンの重合度が100以上37000未満である請求項1に記載の食品用添加剤及び飲食品
  3. 前記α−1,4−グルカンの重合度が100以上600未満である請求項1に記載の食品用添加剤及び飲食品
  4. 前記α−1,4−グルカンの重合度が600以上1800未満である請求項1に記載の食品用添加剤及び飲食品
  5. 前記α−1,4−グルカンの重合度が1800以上37000未満である請求項1に記載の食品用添加剤及び飲食品
  6. 前記α−1,4−グルカンの分散度が1.25以下である請求項1に記載の食品用添加剤及び飲食品
  7. 前記α−1,4−グルカンが修飾物を含有するものであり、その修飾が、エステル化、エーテル化、および架橋からなる群より選択される化学修飾である請求項1に記載の食品用添加剤及び飲食品
  8. 風味改善が、酸味、苦味、青臭み、雑味、渋味、えぐみ、甘味の後引きなどの低減である請求項1に記載の食品用添加剤及び飲食品
  9. 前記α−1,4−グルカンを飲食品に、0.1%以上5%未満含有する請求項1に記載の飲食品
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