JP3205164B2 - プラスチックレンズ用組成物およびレンズ、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

プラスチックレンズ用組成物およびレンズ、並びにそれらの製造方法

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JP3205164B2
JP3205164B2 JP04554194A JP4554194A JP3205164B2 JP 3205164 B2 JP3205164 B2 JP 3205164B2 JP 04554194 A JP04554194 A JP 04554194A JP 4554194 A JP4554194 A JP 4554194A JP 3205164 B2 JP3205164 B2 JP 3205164B2
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光樹 岡崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、眼鏡用レンズ等の各種
光学用レンズなどに用いられる良好な光学物性をもち、
比重が小さく、耐衝撃性と染色性に優れたプラスチック
レンズ、及び該レンズを製造するためのレンズ用組成
物、さらにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズは、無機レンズに比
べ軽量で割れ難く、染色が可能なため近年、眼鏡レン
ズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきてい
る。現在、これらの目的に広く用いられる樹脂として
は、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)
(以下、D.A.C と称す)をラジカル重合させたも
のがある。この樹脂は、耐衝撃性に優れていること、軽
量であること、染色性に優れていること、切削性および
研磨性等の加工性が良好であること等、種々の特徴を有
している。
【0003】しかしながら、この樹脂は、屈折率が無機
レンズ(nd=1.52 )に比べ、nd= 1.50
と小さく、ガラスレンズと同等の光学特性を得るために
は、レンズの中心厚、コバ厚、および曲率を大きくする
必要があり、全体的に肉厚になることが避けられない。
このため、より屈折率の高いレンズ用樹脂が望まれてい
た。
【0004】D.A.C 樹脂よりも屈折率が高いレン
ズとして、ウレタン系プラスチックレンズが知られてい
る。本発明者らは、このウレタン系プラスチックレンズ
として、例えば、特開昭63−46213号公報におい
て、キシリレンジイソシアナート化合物とポリチオール
化合物との重合物からなるウレタン系プラスチックレン
ズを提案した。
【0005】しかしながら、このウレタン系プラスチッ
クレンズはガラスに比べると、確かに比重が小さくなっ
てはいるものの、1.3以上の比重を有しており、まだ
充分に比重が小さいとは言えない。
【0006】一方、本出願人は、特開平2−27085
9号公報中に、1,2−ビス(2−メルカプトメチルチ
オ)−3−メルカプトプロパン(以下、GSTと略す)
とイソホロンジイソアナート(以下、IPDiと略
す)の組み合わせからなるウレタン樹脂系プラスチック
レンズを開示している。この樹脂の比重は1.23で充
分に軽く、なおかつ高屈折率低分散で透明性に優れてい
るため、プラスチックレンズ用樹脂として極めて有用な
樹脂である。
【0007】ところが、このGSTとIPDiからなる
樹脂及びプラスチックレンズは、耐衝撃性がガラスや一
般のプラスチックレンズよりは優れているものの、他の
ウレタン系プラスチックレンズよりはやや劣る傾向にあ
るため、ハードコートや反射防止コートを施した場合に
は、耐衝撃性の点で不十分になっていた。更に、染色性
もやや劣り、一般的な染色条件(分散染料−水混合液,
90〜95℃)では、染まりにくいという問題点があっ
た。
【0008】その為、高屈折率低分散で、比重が小さ
く、上記のようなコートをかけてレンズにした場合で
も、充分な耐衝撃性を有し、なおかつ、一般的な染色条
件でも容易に染色できるプラスチックレンズの開発が強
く求められていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、GS
TとIPDiからなる樹脂と同等に優れた光学物性と小
さい比重を有し、なおかつ耐衝撃性と染色性に優れたプ
ラスチックレンズを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく、鋭意検討した結果、驚くべきことに、式
(1)(化2)で表されるイソアナート化合物と、
【0011】
【化2】
【0012】(式中、R及びR’は、水素又はメチル基
を示す。) GSTからなるウレタン系樹脂が、IPDi−GST樹
脂と同等に優れた光学物性と小さい比重を有しながら、
その樹脂よりも、はるかに優れた耐衝撃性を有する事を
見出し、更にこの樹脂に特定の第3成分を加える事によ
り、それらの優れた物性を損なうことなく、染色性を改
良出来る事を見出し、本発明に到達した。
【0013】即ち、本発明は、式(1)(化3)で表さ
れるイソアナート化合物と
【0014】
【化3】
【0015】(式中、R及びR’は、水素又はメチル基
を示す。)1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)
−3−メルカプトプロパンと、第3成分を必須成分とし
て、該第3成分が、ヘキサメチレンジイソアナート、
トリメチルヘキサメチレンジイソアナート、シクロヘ
キシルイソアナート、α,α,α’,α’−テトラメ
チルキシリレンジイソアナート、ビス(2−メルカプ
トエチル)スルフィド及び3,6−ジチアオクタン−
1,8−ジメルカプタンである化合物群から選ばれた1
種又は2種以上の化合物からなるウレタン樹脂系プラス
チックレンズ用組成物、及びそれらを重合して得られる
ウレタン樹脂系プラスチックレンズ、並びにそのレンズ
の製造方法に関するものである。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
レンズ用組成物は、少なくとも式(1)で表されるイソ
シアナート化合物とGSTと上記第3成分の1種又は2
種以上を含むものである。
【0017】式(1)で表されるイソアナート化合物
としては、2つのイソアナート基の置換位置によりいく
つかの異性体が存在するが、入手の容易さの点から、
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソアナート
(以下、HMDiと略す)、4,4’−イソプロピリデ
ンビス(シクロヘキシルイソアナート)(以下、IP
Ciと略す)などが好ましく用いられる。
【0018】GSTは、特開平2−270859号公報
に記載の方法、即ち、エピハロヒドリンと2−メルカプ
トエタノールを反応させ、ついでチオ尿素を反応させる
方法により、容易に製造される。
【0019】本発明において、式(1)で表されるイソ
アナート化合物とGSTの混合物に配合する第3成分
は、ヘキサメチレンジイソアナート(HDi)、トリ
メチルヘキサメチレンジイソアナート(TMDi)、
シクロヘキシルイソアナート(CHi)、α,α,
α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソアナート
(TMXDi)であるイソアナート化合物、ビス(2
−メルカプトエチル)スルフィド(MES)及び3,6
−ジチアオクタン−1,8−ジメルカプタン(DTM)
であるポリチオール化合物から選ばれた、1種又は2種
以上である。
【0020】式(1)のイソアナート化合物とGST
と第3成分の1種又は2種以上からなる組成物の組成比
は、使用する化合物の種類、組み合わせ、必要とされる
物性これらの第三成分の化合物は市販品として容易に入
手できる。値、或いは作業性等により適宜決められる
が、一般的には、式(1)のイソアナート化合物とG
STの組成比は、重量比で、式(1)のイソアナート
化合物/GST=40〜90/60〜10で、その合計
使用量に対して第3成分は100重量%以下、好ましく
は90重量%〜3重量%、特に好ましくは80重量%〜
5重量%の範囲である。100重量%を越えると、樹脂
の耐熱性が損なわれる事があり、好ましくない結果を与
える事がある。
【0021】本発明のレンズ用組成物において、式
(1)のイソアナート化合物とGSTと第3成分の官
能基比による使用割合は、NCO/SHの官能基モル比
が、通常、0.5〜3.0の範囲内、好ましくは0.5
〜1.5の範囲内である。0.5未満及び3.0を越え
ると、上記同様に樹脂の耐熱性が損なわれる事があり、
好ましくない結果を与える事がある。
【0022】本発明のプラスチックレンズはウレタン系
樹脂を素材とするものであるが、目的によっては、それ
以外にアロハナート結合、ウレア結合、チオウレア結
合、ビュウレット結合を含有しても勿論差し支えない
【0023】例えば、ウレタン結合に更にイソアナー
ト基を反応させたりする事は、好ましい結果を与える事
が多い。この場合には、反応温度を少なくとも100℃
以上に高くして、イソアナート成分を多く使用する。
或いは又、アミン等を一部併用して、ウレア結合、ビュ
ウレット結合を利用する事も出来る。このようにイソ
アナート成分と反応するGST及び第3成分中のポリチ
オール化合物以外の活性水素化合物を使用する場合に
は、特に着色の点に注意する必要がある。
【0024】その他に、樹脂の改質を目的として、オレ
フィン化合物及びエポキシ化合物等を配合しても一向に
差し支えない。
【0025】オレフィン化合物としては、例えば、メタ
クリル酸メチル、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニル
シクロヘキセン、5−ビニルシクロ〔2,2,1〕ヘプ
ト−2−エン、ジエチレングリコールビス(アリルカー
ボネート)、ジシクロペンタジエン、ジアリルフタレー
ト、トリアリルイソシアヌレート、アリルメタクリレー
ト、グリセロールジアリルエーテル、ビスフェノールA
ビス(メタクリロキシエチル)、グリセリンジメタクリ
レート、ブタジエン、イソプレン、3−イソプロペニル
−α,α−ジメチルベンジルイソアナート等が挙げられ
る。
【0026】エポキシ化合物としては、例えば、ビニル
シクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシ
シクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)
シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−エポキシ
−p−ビニルシクロヘキセン、3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカル
ボキシレート、トリグリシジルイソシアヌレート、ビス
フェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノー
ルAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシ
ジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエー
テル、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノ
ジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシ
ジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ
グリシジルジアミノジシクロヘキシルメタン、N,N,
N’,N’−テトラグリシジルイソホロンジアミン、
N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル
シクロヘキシルアミン、トリメチロールプロパントリグ
リシジルエーテル、ジグリシジルフタレート、ジグリシ
ジルヘキサヒドロフタレート等が挙げられる。
【0027】更にこれら改質剤は、塩素置換体、臭素置
換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ
置換体、ニトロ置換体、プレポリマー型変性等もまた使
用できる。
【0028】また、目的に応じて公知の成形法における
と同様に、内部離型剤、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、
紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶染料、充填剤などの種
々の物質を添加してもよい。
【0029】本発明のレンズは、式(1)で表されるイ
アナート化合物とGSTと前記第3成分を必須成分
とした組成物を加熱硬化させて製造される。この際、重
合速度を、所望の反応速度に調節するために、公知のウ
レタン反応触媒、ラジカル重合触媒、エポキシ硬化触
媒、エポキシ硬化剤等を適宜添加することもできる。
【0030】本発明のウレタン樹脂系プラスチックレン
ズは、通常、注型重合により得られる。具体的には、式
(1)で表されるイソアナート化合物とGSTと前記
第3成分の1種又は2種とを含む組成物を混合し、この
混合液を、必要に応じ、適当な方法で脱泡を行なったの
ち、モールド中に注入して、通常、0〜50℃の低温か
ら100〜180℃程度の高温へ徐々に昇温しながら重
合させる。
【0031】このようにして得られる本発明のウレタン
樹脂系プラスチックレンズは、高屈折率で低分散であ
り、特に軽量で耐衝撃性と染色性に優れた特徴を有して
おり、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子として好
適である。
【0032】また、本発明のウレタン樹脂系プラスチッ
クレンズは、必要に応じ反射防止、高硬度付与、耐摩耗
性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、あるいはファッシ
ョン性付与等の改良を行うため、表面研磨、帯電防止処
理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理、
調光処理等の物理的あるいは化学的処理を施すことがで
きる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により具体
的に説明する。尚、得られたプラスチックレンズの性能
試験のうち、屈折率、アッベ数、耐衝撃性、染色性、外
観は以下の試験法により評価した。 ・屈折率、アッベ数:プルフリッヒ屈折計を用い20℃
で測定した。 ・耐衝撃性:高さ127cm(50インチ)の位置か
ら、中心厚1.5mmのレンズの中心部に16g,32
g,64g,112g,225gの5種類の重量の違う
鉄球を落下させ、レンズが割れるか試験した。評価は、
10枚のレンズについて試験を行った結果、平均何gま
でレンズが割れなかったかで比較した。 ・染色性:三井東圧染料株製 分散染料(MLP Bl
ue−2)の0.5重量%水分散液を用い、90℃で1
0分間染色を行った。結果、染色されたものを〇、され
なったものを×とした。 ・外 観:目視により観察した。
【0034】実施例1 HMDi100.0部(0.381モル)、GST9
2.0部(0.353モル)、第3成分としてHDi2
5.0部(0.149モル)の混合液に、ジブチルチン
ジクロライド0.20重量%(混合物全体に対して)を
混合して均一液とし、十分に脱泡した後、離型処理を施
したガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に
注入した。ついで、30℃から140℃まで徐々に昇温
しながら、24時間かけて加熱硬化させた。重合終了
後、レンズをモールドより取り出した。こうして得られ
たレンズの物性を表1に示す。
【0035】実施例2〜15、比較例1〜3 組成物の比率を変えて実施例1と同様に試験を行った。
結果を表1、表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【発明の効果】本発明のウレタン樹脂からなるレンズ
は、実施例及び比較例からも明らかなように、良好な光
学物性をもち、比重が小さく、耐衝撃性と染色性に優れ
ている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 18/00 - 18/87 G02B 1/04 G02C 7/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(1)(化1)で表されるイソアナー
    ト化合物と 【化1】 (式中、R及びR’は、水素又はメチル基を示す。)
    1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メル
    カプトプロパンと、ヘキサメチレンジイソアナート、
    トリメチルヘキサメチレンジイソアナート、シクロヘ
    キシルイソアナート、α,α,α’,α’−テトラメ
    チルキシリレンジイソアナート、ビス(2−メルカプ
    トエチル)スルフィド及び3,6−ジチアオクタン−
    1,8−ジメルカプタンからなる化合物群から選ばれた
    1種又は2種以上の化合物を第三成分としてなるウレタ
    ン樹脂系プラスチックレンズ用組成物。
  2. 【請求項2】 NCO基/SH基のモル比が、0.5〜
    3.0である請求項1に記載のウレタン樹脂系プラスチ
    ックレンズ用組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のウレタン樹脂
    系レンズ用組成物を重合して得られるウレタン樹脂系プ
    ラスチックレンズ。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載のウレタン樹脂
    系レンズ用組成物を、注型重合させることを特徴とする
    ウレタン樹脂系プラスチックレンズの製造方法。
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