JP3202458B2 - 2サイクルエンジンの排気装置 - Google Patents

2サイクルエンジンの排気装置

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JP3202458B2 JP31920393A JP31920393A JP3202458B2 JP 3202458 B2 JP3202458 B2 JP 3202458B2 JP 31920393 A JP31920393 A JP 31920393A JP 31920393 A JP31920393 A JP 31920393A JP 3202458 B2 JP3202458 B2 JP 3202458B2
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  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Characterised By The Charging Evacuation (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2サイクルエンジンの
排気装置に関し、特に、大きな出力低下を招くことなく
排気中の炭化水素を減少させるための排気装置に関す
る。
【0002】
【従来技術】2サイクルエンジンにおいては、出力を向
上させるために、排気脈動を利用することが行われてお
り、ピストンが下死点を過ぎて上昇し、先ず掃気ポート
を、次いで排気ポートを閉じる時に、排気脈動による正
圧が排気ポートに生じて新気の吹抜けを防止するように
なされている。
【0003】しかし、このような排気脈動とピストン行
程との整合は、エンジン高回転時において得られるよう
に設計されているので、低回転時にはかかる整合性が失
われ、掃、排気ポートが閉じる時期に負圧が排気ポート
に生じ、新気の吹抜けをむしろ助長することとなり易
い。特にスロットル弁開度が低い場合には、新気のもと
もとの吸入量も少ないので、失火を生じて不整燃焼とな
り易く、この結果、燃料消費量が増大するとともに、排
気中に未燃の炭化水素(以下HCと称する)が多く含ま
れることとなる。
【0004】このような問題に対処するために、実開昭
60−72925号公報記載のエンジンの出力調節装置
においては、エンジンの排気孔に連結する排気管の途中
にチャンバーを設け該チャンバー内の周りに隙間を設け
た蝶弁を回動自在に軸着し、該蝶弁をスロットル弁と連
動させて開閉するようにしてある。
【0005】
【解決しようとする課題】しかし上記蝶弁のように排気
管中に設けた絞り弁によって排気の抜けを悪くしてや
り、これによって排気中へのHC排出量を減らし排気を
浄化するには、単にスロットル弁に連動する絞り弁を排
気管中に設けるだけでは充分でない。つまりエンジンの
排気量毎に排気管の形状が異なる上に、排気の質量も違
ってくるためである。
【0006】また、絞り弁により排気抵抗が増すこと
と、前記チャンバーが膨張室として作用し排気管内にこ
こから反射波が発生すること等により、エンジンの出力
が低下する。
【0007】そこで本発明は、排気管中における絞り弁
の位置を最適に選定するとともに、チャンバーすなわち
絞り弁室の形状を最適に構成することにより、大きな出
力低下を招くことなく充分な排気浄化効果が得られるよ
うにしようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】本願発明は、
前述した充分な排気浄化効果を得ることができる2サイ
クルエンジンの排気装置の改良に係り、排気通路中に拡
径した弁室を設け、スロットル弁開度が低い時に排気通
過面積を絞る絞り弁を該弁室内に設けた2サイクルエン
ジンの排気装置において、前記弁室の断面積を、該弁室
から上流側の排気通路の断面積よりも大きく、かつ該弁
室の断面積の前記上流側排気通路の断面積に対する比K
aが1.1≦Ka≦1.35なる関係を満たすように選
定し、前記弁室から下流側の排気通路の断面積が下流側
に向って増大するように、排気通路中の排気通路断面積
増大部の直前に前記弁室を形成したことを特徴とするも
のである。
【0009】本願発明では、前述したように、絞り弁を
設けた弁室の断面積を、該弁室から上流側の排気通路の
断面積より大きく選定し、前記弁室から下流側の排気通
路の断面積が下流側に向って増大する形状に、前記下流
側排気通路を形成したため、排気を円滑に流してエンジ
ン出力の低下を阻止でき、また、脈動の高水準に維持し
て吹き抜けを防止でき、炭化水素の排出量を削減でき
る。そして、弁室の断面積を、該断面積の前記弁室から
上流側の排気通路の断面積に対する比Kaが1.1≦K
a≦1.35なる関係を満たすように選定したため、こ
の面からも、出力低下を有効に防ぐことができる。
【0010】
【実 施 例】図1は本発明による排気装置を備えたス
クータ型自動二輪車の側面図である。車体前部1と車体
後部2とが低いフロアー部3を介して連結されており、
車体の骨格をなす車体フレーム4は、車体前部1を下降
した後、フロアー部3の下方を後方へ延び、次いで車体
後部2を上方かつ後方へ延長している。車体後部2の上
部にシート5が設けられ、その前方車体前部1の上部に
ハンドル6を備えたステアリングヘッド7が設けられて
いる。
【0011】車体前部1にはフロントフォーク8を介し
て前輪9が懸架され、ハンドル6によって操向される。
また、車体フレーム4の下部後方にブラケット10が溶着
されて後方へ突出しており、該ブラケット10にリンク11
を介してスイングユニット12が上下に揺動自在に枢支さ
れ、該スイングユニット12の後端部に後輪13が車軸14に
より軸支されている。スイングユニット12の後部と車体
フレーム4の後方上部との間にはリヤクッション15が介
装されている。
【0012】スイングユニット12の前部にエンジン16が
一体に設けられており、スイングユニット12内に設けら
れた動力伝達機構を介して後輪13が該エンジン16により
駆動される。燃料タンク17はフロアー部3の下部に車体
フレーム4に固定されて搭載されている。
【0013】エンジン16は2サイクルエンジンで、混合
気は気化器18から吸気管19を経て該エンジンのクランク
室に供給される。20は気化器18に導入される空気を浄化
するエアクリーナである。エンジン16の排気口21に接続
された排気管22は、スイングユニット12の前方を下方か
つ右側後方へ向って迂回し、車体右側に配設されたマフ
ラ23に接続されている。
【0014】排気管22の長さは、エンジン16の高速回転
時に排気脈動を利用して新気吹抜けを防止できるように
選定されている。すなわち掃気行程の終期において排気
脈動による正圧が排気口21に出現し、これによって新気
の吹抜けが阻止されるようになされている。しかしエン
ジン回転数が低下すると、上記のような掃気行程と排気
脈動との整合性ががくずれるので、掃気行程の終期に排
気口21に負圧が出現するようになり、この結果新気の吹
抜けはむしろ助長され、排気中に未燃のHCが排出され
ることとなる。
【0015】その上、スロットル弁開度が低い場合に
は、新気のもともとの吸入量も少ないので、失火を生じ
て不整燃焼となり易く、このため排気中へのHC排出量
はますます増加する。
【0016】そこで、排気管22の後端部に絞り弁24を設
け、スロットル弁開度が低い時にはこの絞り弁24を作動
させて排気通過面積を絞り、排気の流動に抵抗を与える
ようにしてある。このようにすれば排気の圧力が全般的
に高まるので、掃気行程の終期に排気口21に生ずる負圧
が正圧に転じ、新気の吹抜けを阻止する。
【0017】絞り弁24は、図2に示すように、排気管22
の後端部に拡径して設けられた弁室41内に設けられてお
り、排気管22は該弁室41を介してマフラ23前端の拡開部
23aに連接している。なお、図中の点線はかかる弁室41
を有しない通常の排気管の拡開部23aへの接続状態を示
す。
【0018】図3は弁室41の外観側面図、図4は図3の
IV−IV線に沿う断面図である。絞り弁24は弁室41を横通
するスピンドル25に固定された蝶弁である。スピンドル
25の一端は弁室41の管壁を貫通して外側に突出し、該突
出端にプーリ26が固定されている。プーリ26は半径方向
外方へ突出する突片27を備えている。一方、弁室41の外
面には前記突片27に係合するストッパ28,29が、スピン
ドル25に関し約90°の挟角をなして植設されており、突
片27はこれらのストッパ28,29間に位置している。従っ
てプーリ26,スピンドル25および絞り弁24は、突片27が
ストッパ28に係合する位置から、突片27がストッパ29に
係合する位置までの、約90°の角度範囲において回動可
能となっている。
【0019】プーリ26と弁室41との間には捩りスプリン
グ30が介装されており、プーリ26はこのスプリング30に
より前記突片27がストッパ28に係合する位置(図3)へ
向って付勢されている。この位置においては絞り弁24は
図4に示すように、排気管22および弁室41の軸線に対し
てほぼ直角になる。ただし絞り弁24の外径は弁室41の内
径よりも小さいので、弁室41が絞り弁24により完全に閉
鎖されることはなく、弁室41と絞り弁24との間に排気通
過部32が残される。
【0020】プーリ26の外周面にはケーブル31が巻か
れ、その先端31aはプーリ26に係止されている。従って
ケーブル31を図3に矢印aで示すように、プーリ26から
巻戻す方向に引張ると、プーリ26はストッパ29に係合す
るまで約90°回転し、絞り弁24は排気管22の軸線方向に
指向して、排気管22を全開状態にする。
【0021】図5は上述したエンジン近傍の構成を簡略
化して示した略図である。エンジン16から排気管22に排
出された排気は、マフラ23の膨張室33で膨張した後、消
音器34を経て車体後方に排出される。前記ケーブル31
は、固設の案内管35(図3)を摺動自在に通過した後、
車体の適当な場所に固設されたケーブルジャンクション
36に向って延び、これに連結されている。
【0022】ケーブルジャンクション36は、一体となっ
て回転するプーリ37a,37bからなり、ケーブル31は連
結点31bにおいてプーリ37aに連結されている。プーリ
37bには、ハンドル6に設けられた図示していないスロ
ットルグリップに連動するスロットルケーブル38aの他
端が連結点38cにおいて連結されている。スロットルケ
ーブル38aの該他端部には第2のスロットルケーブル38
bの一端が連結点38dにおいて連結されており、該スロ
ットルケーブル38bの他端は前記気化器18のスロットル
弁39に連結されている。
【0023】スロットルグリップを操作してスロットル
ケーブル38aを矢印a方向に引付けると、スロットルケ
ーブル38bもa方向へ引付けられ、スロットル弁39を図
に実線で示すように高開度とするので、エンジン16は高
速回転する。スロットルケーブル38aの上記引付けによ
りプーリ37aはプーリ37bと一体に図において反時計方
向に回動し、この結果ケーブル31も矢印a方向(これは
図3の矢印aと同方向である)に引付けられるので、プ
ーリ26は突片27がストッパ29に係合する位置に回動し、
絞り弁24は図5に実線で示すように全開位置を占め、か
くして排気脈動が設計通り、有効に利用されて出力向上
に寄与する。
【0024】この状態からスロットルグリップを戻す
と、スロットルケーブル38a,38bおよびケーブル31
は、適宜設けられたリターンスプリングの作用により、
矢印aとは反対方向に摺動し、スロットル弁39を低開度
位置に設定するとともに、絞り弁24を絞り位置に設定す
る。図5にはこれらの位置を点線で示してある。このよ
うにして絞り弁24はスロットル弁39に連動してスロット
ル弁開度が低い時に排気通路面積を絞る。
【0025】上述したようなケーブルジャンクション36
を使用する代りに、スロットル弁開度を検出するスロッ
トルセンサを設け、該センサの検出値に応じて、サーボ
モータを介し絞り弁24を駆動するようにしてもよい。
【0026】本発明者等は、上記のような絞り弁24によ
る、低回転、低スロットル弁開度におけるHC排出量低
減効果は、以下に述べる数値Kv によって大きく左右さ
れることを見出した。
【0027】図6は排気管22と、これが接続されている
エンジン16のシリンダ40と、排気管22(本図においては
弁室41を省略してある)に設けられた絞り弁24とを示す
概略図であるが、同図にそれぞれ斜線で示してあるよう
に、シリンダ40の排気量(排気管22が複数のシリンダに
接続されている時にはその総排気量)をCとし、シリン
ダ面すなわち前記排気口21から絞り弁24までの排気管内
容積をDとした時に、DのCに対する比をKv とする。
すなわちKv =D/Cである。
【0028】図7は、排気量の異なる3種類のエンジン
について、それぞれ排気管22における絞り弁24の位置す
なわちKv を種々に変えてアイドル運転を行い、測定さ
れた排気中のHC量からHC低減率(浄化率)すなわち
絞り弁24により低減したHC量の、絞り弁24を設けない
場合のHC量に対する百分率を求めた結果を、横軸にK
v 、縦軸に上記HC低減率をとって示したグラフであ
り、各エンジンについての結果をそれぞれE,F,Gで
示してある。なお、曲線Eに対応するエンジンの排気量
が最も大きく、曲線Gに対応するエンジンの排気量が最
も小さい。
【0029】図7から分かるように、HC低減率はKv
の値に大きく依存し、20%以上の良好なHC低減率を得
るには、Kv の値は1から5までの値でなければならな
い。
【0030】他方、排気管22に前述のような絞り弁24を
設けると、排気流が絞り弁24によって絞られることによ
り排気抵抗が増し、また排気管22の弁室41内に開口する
部分が該排気管22の開端部となり、排気の圧力波がここ
からも反射するようになるので、これらの理由によりエ
ンジン出力が低下することとなる。
【0031】これに関し、本発明者等は、上記出力低下
の度合いは下記の数値Ka によって大きく左右されるこ
とを見出した。
【0032】Ka は、弁室41の断面積Bの排気管22の断
面積Aに対する比で(図2参照)、次式によって表わさ
れる。 Ka =B/A
【0033】図8は、前記と同様に3種類のエンジンに
ついて、それぞれKa を種々に変えて運転を行い、各運
転において得られた最高出力を、絞り弁24を設けない場
合に得られる最高出力に対する百分率(最高出力比)と
して示したグラフである。
【0034】図8から、Ka を1.1 ないし1.35の範囲に
選定すれば、どのエンジンについても、出力低下率5%
以内の良好な結果が得られることが分かる。
【0035】従って本発明においては、前述のようにK
v を1ないし5の範囲に選定するだけでなく、さらにK
a を1.1 ないし1.35の範囲に選定するものである。
【0036】上実施例においては、図10(a)に示すよ
うに、排気管22の中心線C1 と弁室41の中心線C2 を一
致させてあるが、この場合と、図10(b)に示すように
弁室41をeだけ下方へ偏心させた場合および図10(c)
に示すように上方へ偏心させた場合について、得られる
最高出力を比較した結果を図9に示してある。
【0037】図9において横座標は偏心量であり、中央
の0点が中心線C1 2 が一致した時であり、その左側
に下方への偏心量eを負(−)値で示し、右側に上方へ
の偏心量を正(+)値で示してある。
【0038】図9から分かるように、弁室41の中心線C
2 が排気管22の中心線C1 に対して偏心すると最高出力
は低下する傾向がある。従って、両中心線C1 2 は一
致させるのが望ましい。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による排気装置を備えたスクータ型自動
二輪車の側面図である。
【図2】排気管の絞り弁部分の略断面図である。
【図3】絞り弁部分の外観側面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】エンジン近傍の構成を簡略化して示した略図で
ある。
【図6】比Kv を説明するための説明図である。
【図7】Kv とHC低減率との関係を示すグラフであ
る。
【図8】比Ka と最高出力比との関係を示すグラフであ
る。
【図9】排気管に対する弁室の偏心量と最高出力比との
関係を示すグラフである。
【図10】排気管に対する弁室の偏心の各態様を示す略
図である。
【符号の説明】
1…車体前部、2…車体後部、3…フロアー部、4…車
体フレーム、5…シート、6…ハンドル、7…ステアリ
ングヘッド、8…フロントフォーク、9…前輪、10…ブ
ラケット、11…リンク、12…スイングユニット、13…後
輪、14…車軸、15…リヤクッション、16…エンジン、17
…燃料タンク、18…気化器、19…吸気管、20…エアクリ
ーナ、21…排気口、22…排気管、23…マフラ、24…絞り
弁、25…スピンドル、26…プーリ、27…突片、28,29…
ストッパ、30…スプリング、31…ケーブル、32…排気通
過部、33…膨張室、34…消音器、35…案内管、36…ケー
ブルジャンクション、37…プーリ、38…スロットルケー
ブル、39…スロットル弁、40…シリンダ、41…弁室。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭47−23708(JP,A) 特開 昭49−50318(JP,A) 特開 昭60−72925(JP,A) 実開 昭51−163314(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 9/00 - 11/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】排気通路中に拡径した弁室を設け、スロッ
    トル弁開度が低い時に排気通過面積を絞る絞り弁を該弁
    室内に設けた2サイクルエンジンの排気装置において、前記弁室 の断面積を、該弁室から上流側の排気通路の断
    面積よりも大きく、かつ該弁室の断面積の前記上流側
    気通路の断面積に対する比Kaが1.1≦Ka≦1.3
    5なる関係を満たすように選定し、前記弁室から下流側
    の排気通路の断面積が下流側に向って増大するように、
    排気通路中の排気通路断面積増大部の直前に前記弁室を
    形成したことを特徴とする2サイクルエンジンの排気装
    置。
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