JP3170778B2 - ポリウレタン樹脂組成物及び電線 - Google Patents

ポリウレタン樹脂組成物及び電線

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JP3170778B2 JP05489694A JP5489694A JP3170778B2 JP 3170778 B2 JP3170778 B2 JP 3170778B2 JP 05489694 A JP05489694 A JP 05489694A JP 5489694 A JP5489694 A JP 5489694A JP 3170778 B2 JP3170778 B2 JP 3170778B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性にすぐれ、特に電
線、ケーブルの絶縁材料やシース材料として好適なポリ
ウレタン樹脂組成物と、該組成物を用いた電線に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリウ
レタン樹脂はそのすぐれた機械的強度、耐摩耗性を生か
してホース、ベルト、電線被覆、パイプ、靴底、各種成
型品等の種々の分野に用いられている。ところが、ポリ
ウレタン樹脂の耐熱性はそれ程高くない。ポリウレタン
樹脂の耐熱性を高めるために、例えば特公平 1-26604号
公報に示されるように、ポリウレタン樹脂に適当な架橋
助剤を添加して架橋する方法がある。しかしながら、こ
の方法を用いても耐熱レベルはUL規格の 105℃程度で
あった。
【0003】一般にポリマーの耐熱性を向上させる方法
としては、ポリオレフィン系の樹脂では酸化防止剤を添
加する方法があるが、ポリウレタン樹脂の場合酸化防止
剤を添加しても殆んど耐熱性は向上しない。又特公平 5
-15010号公報に示されるように、ポリカーボネート系ポ
リウレタンを使用すれば耐熱性の高いポリウレタン樹脂
が得られるが、ポリカーボネート系ウレタンはエステル
系ウレタンに比べて価格が高いという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の問題点を
解消し、ポリウレタン樹脂の機械的強度、耐摩耗性を生
かしながら耐熱性を改善したポリウレタン樹脂組成物と
該組成物を用いた電線、ケーブルを提供するもので、そ
の特徴は、熱可塑性ポリウレタン樹脂とエチレン重量が
95〜50%であり、 190℃、2.16kg荷重で測定したメルト
インデックスが0.5〜10の範囲にあるエチレン酢酸ビニ
ル共重合体又はエチレンアクリル酸アルキル共重合体等
とを混合比率95:5〜50:50の割合で混合し、ゲル分率
40%以上に架橋したポリウレタン樹脂組成物と該組成物
の被覆層を具えている電線にある。
【0005】
【作用】ポリウレタン樹脂とエチレン酢酸ビニル共重合
体等との混合比率において、ポリウレタン樹脂が95%を
越えると耐熱性の向上がみられなくなり、50%より小さ
くなると機械的強度や耐摩耗性の低下が著しくなる。又
ゲル分率が40%より低いものは、温度を上げたときにポ
リマーが溶融してしまい耐熱性に劣る。熱可塑性ポリウ
レタン樹脂としてはエーテル系ウレタン、エステル系ウ
レタン、アジペート系ウレタン、カプロラクトン系ウレ
タン、ポリカーボネート系ウレタンのいずれを用いても
よい。又ウレタンと混合する樹脂としては、エチレン酢
酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸アルキル共重合
体、エレチンアクリル酸エチル共重合体、エチレンアク
リル酸メチル共重合体、ビニルアセテートグラフトエチ
レン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0006】耐熱性を上げるためには、エチレン酢酸ビ
ニル共重合体等の樹脂中のエチレンの重量%は95〜50%
であることが好ましく、エチレン酢酸ビニル共重合体等
のメルトインデックス( 190℃、2.16kg)は 0.5〜10の
範囲にあることが好ましい。エチレン酢酸ビニル共重合
体等の樹脂中のエチレンの共重合比率が95%より大きく
なるとポリウレタン樹脂との相溶性が悪くなり、ポリウ
レタン樹脂とエチレン酢酸ビニル共重合体等との混合が
不可能になる。又エチレンの共重合比率が50%より小さ
くなると耐熱性の向上がみられなくなる。メルトインデ
ックスが 0.5より小さいエチレン酢酸ビニル共重合体等
の樹脂を用いた場合にも、ポリウレタン樹脂との相溶性
が悪くなり、混合が困難で、電線等押出した場合の外観
が悪化する。又メルトインデックスが10より大きいと、
耐熱性の向上がみられなくなる。
【0007】熱可塑性ポリウレタン樹脂をゲル分率40%
以上に架橋するためには、電離放射線の照射により架橋
する方法が最も好ましい。熱可塑性ポリウレタン 100重
量部に対してトリメチロールプロパントリアクリレー
ト、トリメチロールプロパントリメタクリレート又はト
ルアクリルホルマール等の多官能モノマーを 0.5〜10重
量部添加して電離放射線を照射するとより効率的に架橋
が進む。多官能モノマーが 0.5重量部より少ないと、多
官能モノマーの添加効果が不十分で、放射線を照射して
も架橋が効率的に進まない。又添加量が10重量部を越え
ると機械的強度の低下が著しくなる上、熱老化試験を行
った場合の耐熱性も低下する。
【0008】熱可塑性樹脂の架橋方法には放射線架橋以
外にも、有機ペルオキシドによる化学架橋、反応性シラ
ンによる水架橋等がある。しかしながら、ポリウレタン
樹脂の場合、成形加工温度が 180℃以上であり、有機ペ
ルオキシドの分解温度以上であるので、成形加工中に架
橋が進んでしまい化学架橋が困難である。又水架橋の場
合にも反応性シランのコントロールが難しい。このた
め、ポリウレタン樹脂の架橋には放射線架橋が最も好ま
しい。
【0009】
【実施例】
実施例1:エーテル系の熱可塑性樹脂(ミラクトランE
390PNAT:日本ミラクトラン社商品名)80重量部
に対し、エチレンの共重合比率75%(酢酸ビニル25
%)、MI=2のエチレン酢酸ビニル共重合体を20重量
部加えて 180℃の熱ロールにより混合し、 180℃の熱プ
レスにて10分間加圧して1mm厚のシート状試験試料を作
成した。この後2MeV の電子線を100KGy照射した。
【0010】ゲル分率はテトラヒドロフランに試料を室
温で8時間浸漬した後、不溶部分をさらにキシレンに 1
20℃、8時間浸漬し、次式により算出した。 ゲル分率=(キシレン浸漬後の不溶部分重量/初期重
量)× 100 耐熱老化性を評価するために、試料をJIS3号ダンベ
ルに打抜き、 160℃のギヤオーブンに 168時間放置し
た。この試料をインストロン引張り試験機により引張り
速度 500mm/分で引張り、抗張力と伸びを測定した。
【0011】又耐摩耗性を評価するために、同一の配合
で混合して作成したコンパウンドを180℃で 0.8mmφの
単線導体上に 0.3mm厚で押出成形し、熱可塑性ポリウレ
タン被覆電線を作成した。これに100KGyの電子線を照射
し、スクレイプアブレージョン試験を行った。スプレイ
プアブレージョン試験は図1に示すように、電線上に先
端半径 0.125mmの刃を置き、この上に荷重1350gをかけ
て刃先を50mm動かし、刃先が導体に達するまで何回往復
したかを測定する試験である。
【0012】実施例2〜8:表1に示した配合で実施例
1と同様にシート及び電線試料を作成し、耐熱老化性及
び耐摩耗性を評価した。
【0013】
【表1】
【0014】上記1〜8のいずれの実施例においても、
熱老化試験後の伸びは 200%以上を保っており、良好な
耐熱性を示している。又耐摩耗性も熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂単独よりも若干悪くなっているものの、摩耗回数
は 200回以上であり、良好な耐摩耗性を維持している。
【0015】比較例1〜4:表2の配合で実施例と同様
にしてシートと電線を作成した。比較例3は電子線照射
を行わなかった場合であり、この場合は熱老化試験を行
った結果、試験片は溶けてしまって引張り試験ができな
かった。又比較例4はエチレン酢酸ビニル共重合体の代
りにポリエチレンを使用した場合であり、この場合は相
分離してしまい、熱ロールでシートを作成することがで
きなかった。
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ポリウレタン樹脂のすぐれた機械的強度、耐摩耗性を生
かしながら、耐熱性にすぐれたポリウレタン樹脂組成物
が得られる。従って、このような組成物を電線、ケーブ
ルの被覆材として利用するとき、きわめて効果的であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクレイプアブレージョン試験方法の説明図で
ある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 75:04 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 75/00 - 75/16 H01B 3/18 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリウレタン樹脂とエチレン重
    量が95〜50%であり、190℃、2.16kg荷重で測定したメ
    ルトインデックスが0.5〜10の範囲にあるエチレン酢酸
    ビニル共重合体エチレンアクリル酸アルキル共重合体
    又はビニルアセテートグラフトエチレン酢酸ビニル共重
    合体とを混合比率95:5〜50:50の割合で混合し、熱可
    塑性ポリウレタン樹脂100重量部に対して、トリメチロ
    ールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロ
    パントリアクリレート又はトリアクリルホルマールより
    選ばれた一種又はそれ以上を0.5〜10重量部添加し、
    ル分率40%以上に電離放射線により架橋したことを特徴
    とするポリウレタン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1のポリウレタン樹脂組成物の被
    覆層を具えていることを特徴とする電線。
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