JP3467921B2 - ポリオレフィン系樹脂組成物とそれを用いた絶縁電線および熱収縮チューブ - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂組成物とそれを用いた絶縁電線および熱収縮チューブ

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JP3467921B2 JP21379795A JP21379795A JP3467921B2 JP 3467921 B2 JP3467921 B2 JP 3467921B2 JP 21379795 A JP21379795 A JP 21379795A JP 21379795 A JP21379795 A JP 21379795A JP 3467921 B2 JP3467921 B2 JP 3467921B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ポリオレフィン
系樹脂組成物と、それを用いた絶縁電線および熱収縮チ
ューブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】絶縁電線は、合成樹脂を、押出成形等に
よって導体表面に被覆して絶縁被覆を形成することで製
造される。また上記絶縁被覆は、加熱下で外力を受けた
際に変形して絶縁性が低下したり、あるいは導体の短絡
が発生したりするのを防止すべく、その耐熱変形性を向
上するために、導体表面への被覆後に、電子線の照射に
よって架橋処理される。
【0003】一方、電線接続部等の被覆に用いられる熱
収縮チューブは、押出成形等によって製造した合成樹脂
製のチューブを、熱収縮性(ヒートセット性)を付与す
るために電子線の照射によって架橋処理した後、加熱下
で径方向に拡大させ、次いでこの拡大状態を維持しつつ
急冷することで製造される。また上記架橋処理には、熱
収縮して電線接続部等を被覆した状態での、チューブの
耐熱変形性を向上する目的もある。
【0004】上記絶縁被覆や熱収縮チューブの材料であ
る合成樹脂としては種々のものが使用可能であるが、と
くに耐油性、耐薬品性、低温特性等が要求される絶縁被
覆や熱収縮チューブの材料としては、ポリオレフィン系
樹脂が好適に使用される。上記ポリオレフィン系樹脂と
しては、たとえば低密度ポリエチレン(LDPE)、線
状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、超低密度ポリ
エチレン(VLDPE)等の他、樹脂に柔軟性を付与す
べくα−オレフィン以外の他のモノマーを導入した、エ
チレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、エ
チレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチ
レン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の共重合体も好適
に使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のポリオレフ
ィン系樹脂はいずれも、前記の各特性にすぐれるため、
汎用の絶縁電線や熱収縮チューブには広く使用される
が、汎用よりも一段上の、より高い耐熱変形性が要求さ
れる用途の絶縁被覆や熱収縮チューブには使用できない
という問題があった。
【0006】一般に樹脂は、電子線の照射線量を増加さ
せると架橋密度が高くなって、耐熱変形性が向上するこ
とが知られている。ポリオレフィン系樹脂もその例外で
はないが、前述した従来のポリオレフィン系樹脂の多く
は、本質的に、電子線の照射線量に対応する架橋密度が
低いため、電子線の照射線量を通常レベルよりも増加さ
せることによる耐熱変形性向上の効果に限界があり、そ
のため、かかる従来のポリオレフィン系樹脂からなる絶
縁被覆や熱収縮チューブは、より高度な耐熱変形性が要
求される用途には使用できないのである。
【0007】また、従来のポリオレフィン系樹脂のうち
LDPE、L−LDPE等は、電子線の照射線量を通常
レベルより増加させても、上記のように耐熱変形性があ
まり向上しないだけでなく、かえって柔軟性が低下する
ため、たとえば絶縁電線の場合は狭い場所への配線作業
等が容易でなくなって、いわゆる電線のとり回し性が低
下し、また熱収縮チューブの場合は狭い場所での被覆作
業等が容易でなくなったり、あるいは電線等に対する追
従性が低下したりするという問題があった。この問題
は、樹脂に柔軟性を付与すべく他のモノマーを導入した
共重合体のうち、上記他のモノマーの割合が少ないもの
に、通常レベルより多量の電子線を照射した場合にも同
様に発生する。
【0008】さらに上記共重合体のうちEMA、EE
A、EVA等の、分子中に極性基を有するものは、当該
極性基の作用によって誘電率が上昇するため、これを絶
縁被覆や熱収縮チューブに用いた場合には、もれ電流が
発生するおそれもあった。なお従来のポリオレフィン系
樹脂のうち、上記のように分子中に極性基を有するもの
は、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等の多官
能のモノマーを架橋剤として配合すれば、電子線照射時
の架橋密度を向上できることが知られているが、架橋剤
は誘電率の低下には関与しないため、上記極性基の作用
による誘電率の上昇と、それにともなうもれ電流発生の
おそれは、依然として解決されないままであった。また
架橋剤の配合によって、上記のように架橋密度は向上す
るものの、それにともなって樹脂の柔軟性が大きく低下
するおそれもあった。
【0009】また上記TAIC等の架橋剤はEPDMの
架橋にも寄与するが、EPDM自体の架橋密度が本来的
に低いため、架橋剤を通常のレベルで配合しても、耐熱
変形性向上の効果には依然として限界があった。また架
橋剤を通常のレベルより多量に配合した場合には、当該
架橋剤がブリートするという問題もあった。この発明の
目的は、従来のポリオレフィン系樹脂ではえられない高
い耐熱変形性を有し、かつ架橋後の柔軟性にすぐれると
ともに、もれ電流が発生するおそれもないポリオレフィ
ン系樹脂組成物と、それを用いた、より高い耐熱変形性
が要求される用途に使用できる絶縁電線および熱収縮チ
ューブを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、この発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、電子線
の照射によって架橋されたものであって、ゲル分率が7
6%以上、セカントモジュラス値が10kg/mm2
下で、かつ誘電率が2.4以下であることを特徴として
いる。
【0011】かかるこの発明のポリオレフィン系樹脂組
成物は、架橋密度の指標であるゲル分率が76%以上と
なるように高度に架橋されているため、たとえば136
℃で500gの荷重が加えられた際の加熱変形残率(加
熱変形後の寸法の、加熱変形前の寸法に対する百分率)
が45%以上という高い耐熱変形性を示す。また上記ポ
リオレフィン系樹脂組成物は、上記のように高度に架橋
した状態でも、柔軟性の指標であるセカントモジュラス
値が10kg/mm2 以下という柔軟なレベルを維持す
る。
【0012】さらに上記ポリオレフィン系樹脂組成物
は、その誘電率が2.4以下であるため、もれ電流が発
生するおそれがない。よってこの発明のポリオレフィン
系樹脂組成物を絶縁被覆に用いた絶縁電線や、あるいは
この発明のポリオレフィン系樹脂組成物により形成した
熱収縮チューブは、高い耐熱変形性と柔軟性とをあわせ
持ち、しかももれ電流が発生するおそれのないものであ
り、より高い耐熱変形性が要求される用途において好適
に使用することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、この発明のポリオレフィン
系樹脂組成物について説明する。この発明のポリオレフ
ィン系樹脂組成物は、前述したように、電子線の照射に
よって架橋されたもので、そのゲル分率が76%以上、
セカントモジュラス値が10kg/mm2 以下で、かつ
誘電率が2.4以下に限定される。
【0014】電子線の照射によって架橋されたポリオレ
フィン系樹脂組成物の、架橋密度を示すゲル分率が76
%以上に限定されるのは、当該ゲル分率が76%未満で
は、ポリオレフィン系樹脂組成物の架橋密度が充分でな
く、前述したように、136℃で500gの荷重が加え
られた際の加熱変形残率が45%未満となって、耐熱変
形性が不十分となり、加熱下で外力を受けた際に変形し
やすくなるためである。
【0015】なお上記加熱変形残率は、絶縁被覆や熱収
縮チューブの耐熱変形性を考慮すると、上記45%以上
の範囲内でもとくに50%以上であるのが好ましく、そ
れを達成するために、ポリオレフィン系樹脂組成物のゲ
ル分率は、上記範囲内でもとくに80%以上であるのが
好ましく、85%以上であるのがさらに好ましい。ま
た、電子線の照射によって架橋されたポリオレフィン系
樹脂組成物のセカントモジュラス値が10kg/mm2
以下に限定されるのは、上記セカントモジュラス値が1
0kg/mm2 を超えた場合、当該ポリオレフィン系樹
脂組成物から形成される絶縁被覆や熱収縮チューブの柔
軟性が低下して、たとえば絶縁電線の場合はとり回し性
が低下し、熱収縮チューブの場合は狭い場所での被覆作
業等が容易でなくなったり、あるいは電線等に対する追
従性が低下したりするためである。
【0016】なおセカントモジュラス値は、上記絶縁被
覆や熱収縮チューブのより一層の柔軟性を考慮すると、
上記範囲内でもとくに5kg/mm2 以下であるのが好
ましい。さらに、電子線の照射によって架橋されたポリ
オレフィン系樹脂組成物の誘電率が2.4以下に限定さ
れるのは、当該誘電率が2.4を超えると、ポリオレフ
ィン系樹脂により形成される絶縁被覆や熱収縮チューブ
にもれ電流が発生するためである。
【0017】なお誘電率は、もれ電流発生の防止効果を
考慮すると、上記範囲内でもとくに2.2以下であるの
が好ましい。電子線の照射による架橋によって、上記の
各特性を満足するポリオレフィン系樹脂組成物を構成し
うるポリオレフィン系樹脂としては、これに限定されな
いがたとえば、特開平6−306121号公報、特表平
7−500622号公報に開示された、弾性でかつ実質
的に線状であるポリオレフィン系樹脂が好適に使用され
る。
【0018】かかる弾性でかつ実質的に線状であるポリ
オレフィン系樹脂は、たとえばエチレンや炭素数3〜2
0程度のα−オレフィンをいずれか1種単独で、あるい
はエチレンと、炭素数3〜20程度のα−オレフィンと
を2種以上併用して、メタロセン等の金属配位錯体と活
性化共触媒とを含む触媒組成物の存在下で重合させるこ
とにより製造されるもので、その主鎖を構成する炭素原
子1000個当り0.01〜3個、好ましくは0.01
〜1個、より好ましくは0.5〜1個の割合で、炭素数
6以上の長分岐鎖を有するものである。
【0019】上記のポリオレフィン系樹脂は、高分岐低
密度ポリエチレン(通常のLDPE)に似た加工性を有
するとともに、エチレンとα−オレフィンとをチーグラ
ー触媒によって重合させた不均一線状重合体(たとえば
L−LDPE等)と同程度の強度と靱性を備えており、
しかも前記のように、LDPEやL−LDPE、あるい
は上記L−LDPEと同様に、エチレンとα−オレフィ
ンとをチーグラー触媒によって重合させたVLDPE等
とは全く違った構造を有している。
【0020】上記の、弾性でかつ実質的に線状であるポ
リオレフィン系樹脂の具体例としては、これに限定され
ないがたとえば、米国ダウケミカル社(the Dow
Chemical Co.)製の商品名「AFFIN
ITY(アフィニティー)」シリーズ、および商品名
「ENGAGE(エンゲージ)」シリーズがあげられ
る。上記両シリーズはともに、エチレンと1−オクテン
との共重合体であり、それぞれ、オクテン分の割合の違
い等によって種々のグレードのものが提供されている。
【0021】そのうち、この発明にとくに好適に使用さ
れるものとしては、たとえば商品名AFFINITY
PF1140〔オクテン分14.5重量%、メルトイン
デックス(MI)値1.6、密度0.895〕、AFF
INITY PL1880〔オクテン分12重量%、メ
ルトインデックス(MI)値1、密度0.902〕、E
NGAGE CL8001〔オクテン分25重量%、メ
ルトインデックス(MI)値0.5、密度0.86
8〕、ENGAGE CL8002〔オクテン分24重
量%、MI値1、密度0.870〕、ENGAGE C
L8003〔オクテン分18重量%、MI値1、密度
0.885〕等があげられる。これらのポリオレフィン
系樹脂はMI値が低く加工性にすぐれるため、絶縁電線
や熱収縮チューブの製造が容易である。またこれらのポ
リオレフィン系樹脂は、比較的低密度であるため絶縁電
線や熱収縮チューブを軽量化できるという利点もある。
【0022】上記の、弾性でかつ実質的に線状であるポ
リオレフィン系樹脂は、前記のようにエチレンおよびα
−オレフィンを原料としており、分子中に極性基を有し
ないため、誘電率が2.4以下という低誘電率を示す。
また上記ポリオレフィン系樹脂は、後述する実施例の記
載からも明らかなように、電子線の照射線量を、通常レ
ベルである100kGyの2倍の200kGy以上とす
ることで、前述したゲル分率76%以上の高い架橋密度
に架橋させ、かつその際の加熱変形残率を45%以上と
することが可能である。しかも上記ポリオレフィン樹脂
は、上記のような高架橋状態でも、セカントモジュラス
値が10kg/mm2 以下であって、柔軟性にすぐれて
いる。
【0023】つぎに、この発明の絶縁電線について説明
する。この発明の絶縁電線は、導体の表面に、上記この
発明のポリオレフィン系樹脂組成物からなるか、または
上記ポリオレフィン系樹脂組成物を含み、かつ難燃性が
付与された絶縁被覆が形成されたものである。ここでい
うポリオレフィン系樹脂組成物を含み、かつ難燃性が付
与された絶縁被覆とは、この発明のポリオレフィン系樹
脂組成物をベースポリマーとし、従来公知の種々の添加
剤が配合されて難燃性が付与された絶縁被覆を指す。
【0024】導体としては、銅、軟銅、銀、ニッケルめ
っき軟銅、すずめっき軟銅等の、従来公知の導体材料か
らなるものが、いずれも使用可能である。絶縁被覆に難
燃性を付与すべく配合される添加剤としては、これに限
定されないがたとえば酸化防止剤、難燃剤、充てん剤等
があげられる。これら添加剤の配合量は、従来と同程度
でよい。
【0025】こられの添加剤を配合すると絶縁被覆は、
誘電率が若干上昇し、かつ柔軟性がわずかに低下する傾
向を示すが、従来のポリオレフィン系樹脂において同じ
配合を実施した場合よりも誘電率は低く、柔軟性は良好
である。上記絶縁電線は、従来と同様にして製造するこ
とができる。すなわち電子線を照射して架橋する前のポ
リオレフィン系樹脂を含む成形材料を、押出成形等によ
って導体の表面に被覆した後、電子線を照射して上記ポ
リオレフィン系樹脂を架橋させればよい。
【0026】絶縁電線における、絶縁被覆の厚みや導体
の径等はとくに限定されず、いずれも絶縁電線の規格等
に適合させた寸法とすればよい。上記この発明の絶縁電
線は、この発明のポリオレフィン系樹脂組成物により構
成された絶縁被覆を有するため、高い耐熱変形性を有す
るとともに、柔軟でとり回し性がよく、しかも誘電率が
低くもれ電流が発生しないという、すぐれた特性を有し
ている。
【0027】つぎに、この発明の熱収縮チューブについ
て説明する。この発明の熱収縮チューブは、前記この発
明のポリオレフィン系樹脂組成物からなるか、または上
記ポリオレフィン系樹脂組成物を含み、かつ難燃性が付
与されたものである。ここでいう、ポリオレフィン系樹
脂組成物を含み、かつ難燃性が付与された熱収縮チュー
ブは、この発明のポリオレフィン系樹脂組成物をベース
ポリマーとし、従来公知の種々の添加剤が配合されて難
燃性が付与されたものである。
【0028】チューブに難燃性を付与すべく配合される
添加剤としては、先の絶縁電線において例示したのと同
様の添加剤があげられる。これら添加剤の配合量は、従
来と同程度でよい。こられの添加剤を配合すると熱収縮
チューブは、誘電率が若干上昇し、かつ柔軟性がわずか
に低下する傾向を示すが、従来のポリオレフィン系樹脂
において同じ配合を実施した場合よりも誘電率は低く、
柔軟性は良好である。
【0029】上記熱収縮チューブは、従来と同様にして
製造することができる。すなわち電子線を照射して架橋
する前のポリオレフィン系樹脂を含む成形材料を、押出
成形等によってチューブ状に成形した後、このチューブ
に電子線を照射してポリオレフィン系樹脂を架橋させ
る。つぎに上記チューブを、ポリオレフィン系樹脂の融
点以上の温度で加熱しつつ、その内部に圧縮空気を送り
込む等してチューブを所定の径に膨らませた後、速やか
に冷却すると熱収縮チューブが製造される。
【0030】上記熱収縮チューブは、この発明のポリオ
レフィン系樹脂組成物により構成されるため柔軟であ
り、狭い場所での被覆作業等が容易であるとともに、電
線等に対する追従性がよい。また上記熱収縮チューブ
は、前述したように架橋密度が高いので、ポリオレフィ
ン系樹脂の融点以上に加熱して熱収縮させる際の収縮応
力が高く、したがって電線接続部等に、従来の熱収縮チ
ューブよりも高い締めつけ力で密着することができる。
しかも熱収縮後のチューブは、高い耐熱変形性を有する
とともに、誘電率が低くもれ電流が発生しないという、
すぐれた特性を有している。
【0031】
【実施例】以下にこの発明を、実施例、比較例に基づい
て説明する。 実施例1 押出成形機(30mmφ)を用いて、外径0.81mm
φの導体の表面に、エチレン−1−オクテン共重合体
(EO、前出の商品名「ENGAGE CL800
3」、オクテン分18重量%)からなる、厚み0.4m
mの絶縁被覆を形成した。
【0032】そして上記絶縁被覆に、電子線加速器を用
いて、加速電圧1.5MVの条件で電子線を照射して架
橋させて、電子線の照射線量が200kGy、300k
Gyおよび400kGyである3種の絶縁電線を製造し
た。 実施例2 絶縁被覆の材料として、オクテン分が12重量%である
エチレン−1−オクテン共重合体(EO、前出の商品
名「AFFINITY PL1880」)を使用したこ
と以外は、実施例1と同様にして3種の絶縁電線を製造
した。 実施例3 絶縁被覆の材料として、オクテン分が14.5重量%で
あるエチレン−1−オクテン共重合体(EO、前出の
商品名「AFFINITY PF1140」)を使用し
たこと以外は、実施例1と同様にして3種の絶縁電線を
製造した。 比較例1〜10 絶縁被覆の材料として下記のポリオレフィン系樹脂を使
用したこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ3
種ずつの絶縁電線を製造した。
【0033】 比較例1:EEA(エチルアクリレート分7重量%) 比較例2:EEA(エチルアクリレート分18重量
%) 比較例3:EVA(酢酸ビニル分5重量%) 比較例4:EVA(酢酸ビニル分18重量%) 比較例5:EMA(メチルアクリレート分10重量
%) 比較例6:EMA(メチルアクリレート分18重量
%) 比較例7:LDPE(密度0.918) 比較例8:L−LDPE(密度0.92) 比較例9:VLDPE(密度0.89) 比較例10:EPDM(エチレン分70重量%) 比較例11 絶縁被覆の材料として、前記比較例2で使用したのと同
じEEA90重量部に、多官能モノマーであるTAI
C10重量部を配合したものを使用したこと以外は、実
施例1と同様にして3種の絶縁電線を製造した。 比較例12 絶縁被覆の材料として、前記比較例10で使用したのと
同じEPDM90重量部に、多官能モノマーであるTA
IC10重量部を配合したものを使用したこと以外は、
実施例1と同様にして3種の絶縁電線を製造した。
【0034】上記各実施例、比較例で製造した絶縁電線
について、以下の各試験を行い、その特性を評価した。 ゲル分率測定 実施例、比較例で製造したそれぞれ3種の絶縁電線から
絶縁被覆をはく離して長さ100mmの試験片を作製
し、その重量を抽出前重量(g)として秤量した。つぎ
にこの試験片を、液温を130℃に保持した、上記抽出
前重量の約50倍量のキシレンに24時間、浸漬した
後、上記液をろ過し、ろ紙上に残ったゲル分を80℃で
24時間乾燥してキシレンを除去した。そして上記ゲル
分の乾燥後の重量を抽出乾燥後重量(g)として秤量し
て、この抽出乾燥後重量(g)と前記抽出前重量(g)
とから下記式によりゲル分率(%)を求め、絶縁被覆の
架橋密度を評価した。
【0035】
【数1】
【0036】誘電率測定 実施例、比較例で製造したそれぞれ3種の絶縁電線のう
ち、電子線の照射線量が400kGyのものについて、
絶縁被覆の外周に幅5cmのすず箔を巻きつけた。そし
てこのすず箔と電線の導体との間の誘電率(ε)を、イ
ンピーダンスアナライザ(横河ヒューレットパッカード
社製の4262A LCR METER)を用いて、1
kHz、500Vの条件で測定して、絶縁被覆の電気特
性を評価した。 セカントモジュラス値測定 実施例、比較例で製造したそれぞれ3種の絶縁電線のう
ち、電子線の照射線量が400kGyのものから絶縁被
覆をはく離して長さ100mmの試験片を作製した。そ
してこの試験片を、インストロン引張試験機を用いて引
張速度50mm/分の速度で長さ方向に引っ張った際の
2%伸長時の抗張力を測定し、それを50倍してセカン
トモジュラス値(kg/mm2 )を求めて、絶縁被覆の
柔軟性を評価した。 耐熱変形性試験 実施例、比較例で製造したそれぞれ3種の絶縁電線の外
径を加熱変形前外径(mm)として測定した後、136
℃で60分間、加熱した。次に、上記加熱直後の絶縁電
線を平盤上に載置し、その上に直径9.5mmφの金属
棒を直交するように重ねて、荷重500gで60分間、
加圧した後、絶縁電線の、金属棒と平盤とで挟まれて変
形した部分の短径方向の寸法を加熱変形後外径(mm)
として測定した。そして、上記加熱変形前外径(mm)
および加熱変形後外径(mm)と、導体の外径(mm)
とから、下記式により絶縁電線の加熱変形残率(%)を
求めて、絶縁被覆の耐熱変形性を評価した。
【0037】
【数2】
【0038】以上の結果を、実施例、比較例で使用した
架橋前の樹脂の、加熱温度190℃、荷重2.16kg
におけるメルトインデックス値(MI値、g/10
分)、および密度の測定結果とともに、表1〜表4に示
す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】上記各表に示した実施例、比較例のうち、
ポリオレフィン系樹脂としてEEA、EVA、E
MAを使用した比較例1,2,4〜6の絶縁電線は
いずれも、電子線の照射線量を400kGyまで増加さ
せてもゲル分率が76%に達せず、また加熱変形残率も
低いことから、耐熱変形性が不十分であることがわかっ
た。また上記各比較例の絶縁電線はいずれも、分子中の
極性基の影響によって誘電率が高く、もれ電流が発生す
るおそれが高いものであることもわかった。さらに各比
較例のうち、極性基を有するモノマーの割合が少ないE
EA、EMAを使用した比較例1,5の絶縁電線
は、セカントモジュラス値が10kg/mm2 を超えて
おり、柔軟性が不十分であることもわかった。
【0044】また、ポリオレフィン系樹脂としてEVA
を使用した比較例3の絶縁電線は、電子線の照射線量
を300kGyまで増加させると加熱変形残率が45%
に達し、さらに400kGyまで増加させるとゲル分率
が76%を超えることから、耐熱変形性については、電
子線の照射線量を増加することで十分に改善できるが、
セカントモジュラス値が10kg/mm2 を超えること
から、柔軟性の点で不十分であり、しかも誘電率が高い
ことから、もれ電流が発生するおそれが高いものである
ことがわかった。
【0045】ポリオレフィン系樹脂としてLDPE、L
−LDPE、VLDPE、EPDMを使用した比較例7
〜10の絶縁電線はいずれも、分子中に極性基を有しな
いため誘電率が低く、もれ電流が発生するおそれはなか
ったが、いずれも、電子線の照射線量を400kGyま
で増加させてもゲル分率が76%に達せず、また加熱変
形残率も低いことから、耐熱変形性が不十分であること
がわかった。また上記各比較例のうちLDPE、L−L
DPEを使用した比較例7,8の絶縁電線はいずれも、
セカントモジュラス値が10kg/mm2 を超えてお
り、柔軟性が不十分であることもわかった。
【0046】ポリオレフィン樹脂として比較例2で使用
したのと同じEEAを使用し、かつ架橋剤としてのT
AICを配合した比較例11の絶縁電線は、電子線の照
射線量が200kGyの段階ですでにゲル分率が76%
を超え、さらに400kGyまで増加させると加熱変形
残率が45%を超えることから、耐熱変形性について
は、電子線の照射線量を増加することで十分に改善でき
るが、誘電率が高いことから、もれ電流が発生するおそ
れが高いものであることがわかった。また上記比較例1
1と先の比較例2とを比べると、ゲル分率の増加量に比
してセカントモジュラス値が著しく増加しており、TA
ICの配合によって柔軟性が大きく低下することがわか
った。
【0047】また上記TAICを、比較例10で使用し
たのと同じEPDMに配合した比較例12の絶縁電線
は、柔軟性および誘電率については問題ないが、電子線
の照射線量を400kGyまで増加させてもゲル分率が
76%に達せず、また加熱変形残率も低いことから、耐
熱変形性が不十分であることがわかった。これに対し、
実施例1〜3の絶縁電線はいずれも、電子線の照射線量
が200kGyの段階ですでにゲル分率が76%を超え
ているとともに、加熱変形残率が45%を超えているこ
とから、耐熱変形性にすぐれることが確認された。また
上記各実施例の絶縁電線はいずれも、セカントモジュラ
ス値が10kg/mm2 以下であることから、高い柔軟
性を有しており、とり回し性が良好であることも確認さ
れた。さらに上記各実施例の絶縁電線はいずれも誘電率
が低いことから、もれ電流が発生するおそれのないもの
であることも確認された。
【0048】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、従来のポリオレフィン系樹脂ではえられない高い耐
熱変形性を有し、かつ架橋後の柔軟性にすぐれるととも
に、もれ電流が発生するおそれもないポリオレフィン系
樹脂組成物と、それを用いた、上記各特性にすぐれるた
め、より高い耐熱変形性が要求される用途に使用できる
絶縁電線および熱収縮チューブがえられる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子線の照射によって架橋されたポリオレ
    フィン系樹脂組成物であって、ゲル分率が76%以上、
    セカントモジュラス値が10kg/mm2 以下で、かつ
    誘電率が2.4以下であることを特徴とするポリオレフ
    ィン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】導体表面に、請求項1記載のポリオレフィ
    ン系樹脂組成物からなる絶縁被覆が形成されていること
    を特徴とする絶縁電線。
  3. 【請求項3】導体表面に、請求項1記載のポリオレフィ
    ン系樹脂組成物を含み、かつ難燃性が付与された絶縁被
    覆が形成されていることを特徴とする絶縁電線。
  4. 【請求項4】請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成
    物からなることを特徴とする熱収縮チューブ。
  5. 【請求項5】請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成
    物を含み、かつ難燃性が付与されていることを特徴とす
    る熱収縮チューブ。
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