JP3454704B2 - 柔軟ポリエチレン系樹脂組成物及び被覆電線 - Google Patents
柔軟ポリエチレン系樹脂組成物及び被覆電線Info
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Description
に用いられる被覆電線の絶縁層として特に適した柔軟ポ
リエチレン系樹脂組成物、及び該樹脂組成物を架橋させ
て形成された絶縁層を有する被覆電線に関する。
る被覆電線として、600Vビニル絶縁ビニルシースケ
ーブルが広く用いられている。このケーブルは、導体が
塩化ビニル樹脂絶縁体で被覆され、その外側が塩化ビニ
ル樹脂シースで被覆されたケーブルであるが、その塩化
ビニル樹脂絶縁体は柔軟性に優れていて施工の際の取り
扱いが容易なものである。ところが、近年、使用電力の
増加に伴なって電線には大電流に対応できることが要求
されるようになってきているが、上記ビニル絶縁ビニル
シースケーブルでは、その塩化ビニル樹脂の耐熱温度が
60℃程度であることから、大電流通電時に生じる発熱
に十分対応できない。
使用が試みられている。架橋ポリエチレンは、その耐熱
温度が90℃付近であり、塩化ビニル樹脂の絶縁体の
1.5倍程度の大電流の通電に対応できることが予測さ
れる。しかしながら、この架橋ポリエチレンの絶縁体
は、塩化ビニル樹脂の絶縁体に比べて柔軟性に劣り、そ
のため施工の際に取り扱い難いという問題を抱えてい
る。これは、従来の架橋ポリエチレンがエチレンとα−
オレフィンとをチーグラー型触媒を用いて重合された低
密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンをベース
として用いていることによる。このため、従来の架橋ポ
リエチレンを絶縁体とする被覆電線は、大電流通電に適
するものの、取り扱い性の悪さから普及が遅れている。
の状況に鑑み、架橋ポリエチレン系絶縁体が有する大電
流通電対応性を損なうことなく、十分に優れた柔軟性を
付与して施工の際の取り扱い性を改善させた、特に被覆
電線用として好適な樹脂組成物を提供し、更には係る樹
脂組成物の架橋物で形成された絶縁層を有する被覆電線
を提供することにある。
を達成すべく鋭意研究した結果、チーグラー型触媒に代
えてメタロセン型触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポ
リエチレンを用いることにより、大電流通電対応性とと
もに柔軟性にも優れた絶縁材料が得られることを見い出
し、本発明を完成した。
に係る柔軟ポリエチレン系樹脂組成物は、メタロセン型
触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンと、
低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンから
選ばれる少なくとも一種と、エチレンアクリル酸エチル
共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンプロ
ピレン共重合体及びエチレンブテン共重合体から選ばれ
る少なくとも一種とからなる樹脂成分と、シラン架橋剤
とを含み、更にジクミルパーオキサイド、2,5−ジメ
チルー2,5−(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピ
ル)ベンゼンから選ばれる架橋助剤を前記樹脂成分10
0重量部に対して0.05〜0.1重量部含むことを特
徴とする。また、同様の目的を達成するために、本発明
に係る被覆電線は、上記の柔軟ポリエチレン系樹脂組成
物を架橋させて形成された絶縁層を有することを特徴と
する。
系樹脂組成物並びに被覆電線に関して詳細に説明する。
本発明において樹脂成分となるのは、メタロセン型触媒
を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレン(以下
「m−LLDPE」と略称する)と、低密度ポリエチレ
ン(以下「LDPE」と略称する)及び直鎖状低密度ポ
リエチレン(以下「LLDPE」と略称する)から選ば
れた少なくとも一種と、エチレン系共重合体とをブレン
ドしたものである。
を用いてエチレンとα−オレフィンとを共重合させて得
られ、その比重が0.930以下、0.87程度までの
ポリエチレン系樹脂である。コモノマーのα−オレフィ
ンとしては、炭素数が4〜16のα−オレフィンが適当
であり、エチレンとα−オレフィンとの割合は、エチレ
ン100重量部当たりα−オレフィンが約3〜20重量
部が適当であり、好ましくは5〜10重量部である。こ
のm−LLDPEは、市販されているm−LLDPEを
適宜選択して用いることができる。
れるものではないが、例えば1〜2個のシクロペンタジ
エニル基あるいはその誘導体を配位子として有するチタ
ン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、クロム等
の化合物を例示することができる。配位子の具体例とし
ては、シクロペンタジエニル基の他、その1〜5個の水
素が炭素数1〜10の炭化水素で置換されたもの、ある
いはインデニル基、フルオレニル基あるいはその水素化
物、あるいはさらに2個のシクロペンタジエニル基が炭
素、珪素、ゲルマニウム等の元素で相互に結合したもの
等が例示できる。更に、その他の配位子としてハロゲン
原子、あるいは炭素数1〜10のアルコキシ化合物も例
示できる。このメタロセン型触媒はシングルサイト触媒
と呼ばれるものの一種であり、活性点が均一であるとい
う特性を有する。また、トリメチルアルミニウムと水と
の化合物であるメチルアルモキサンを助触媒として用い
ることもできる。
型等の触媒を用いてエチレンとα−オレフィンとを共重
合させたもので、何れもその比重が0.910〜0.9
30程度のものである。
リル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン酢酸ビニル
共重合体(EVA)、エチレンプロピレン共重合体(E
PM)、エチレンブテン共重合体(EBM)であり、そ
れぞれ単独で、もしくは複数種を併用することができ
る。
ン系共重合体をm−LLDPEに配合する場合、m−L
LDPEの配合量を樹脂組成物の樹脂成分全量の15重
量%以上、好ましくは20重量%以上となるようにする
ことが適当である。m−LLDPEの配合量が15重量
%未満では、柔軟性の改善が期待できない。尚、LDP
E及びLLDPEと、エチレン系共重合体とは、何れか
一方をm−LLDPEに配合してもよいし(即ち2元
系)、両方をm−LLDPEに配合してもよい(即ち3
元系)。
成分にシラン架橋剤が添加される。用いられるシラン架
橋剤としては、従来からポリエチレン系樹脂組成物に用
いられているアルコキシシランが好ましく用いられる。
その例として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニ
ルフェニルジメトキシシラン等が挙げられ、中でも、ビ
ニルトリメトキシシランが一層好ましく用いられる。こ
れらのシラン架橋剤は、必要に応じて、一種用いてもよ
いし、複数種併用することもできる。また、シラン架橋
剤の配合量は、上記樹脂成分100重量部に対して1〜
3重量部が好ましい。シラン架橋剤が1重量部未満の場
合は、架橋が不十分となり、耐熱温度の低下を来して大
電流通電に対応しきれなくなる。また、シラン架橋剤が
3重量部を超えて多量である場合は、架橋度が高くなり
過ぎて、架橋後の樹脂組成物の柔軟性に悪影響を及ぼ
す。
橋助剤、架橋触媒及び老化防止剤等を配合してもよい。
架橋助剤としては、ジクミルパーオキサイド、2,5−
ジメチルー2,5−(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン
−3、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピ
ル)ベンゼン等の過酸化物を用いることができ、中で
も、ジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。架
橋助剤の配合量は、上記樹脂成分100重量部に対して
0.05〜0.1重量部が適当である。架橋触媒として
は、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、
ジブチル錫メチルカプチド等を用いることができ、中で
も、ジブチル錫ジラウレートが好ましく用いられる。架
橋触媒の配合量は、上記樹脂成分100重量部に対して
0.05〜0.2重量部が適当である。老化防止剤とし
ては、ヒンダートフェノール系あるいはチオビスフェノ
ール系等の一般に知られた老化防止剤を用いることがで
きる。老化防止剤の配合量は、上記樹脂成分100重量
部に対して0.01〜0.2重量部が適当である。
要に応じて、滑剤、着色剤、難燃助剤等の添加剤を適量
配合することもできる。
E、及び必要に応じてチーグラー型などの触媒により製
造されたLDPEやLLDPE、及びエチレン系共重合
体を配合してなる樹脂成分に、シラン架橋剤、架橋助
剤、架橋触媒、老化防止剤等を所定量添加し、これをヘ
ンシェルミキサー、オープンロールミキサー、バンバリ
ーミキサー等の公知の混合手段を用いて、常温ないし1
00℃以下程度に加熱しながら混合して得ることができ
る。この時、例えば、各樹脂成分、シラン架橋剤および
架橋助剤を混合した後、架橋触媒、老化防止剤等を加え
て混合したり、あるいは、シラン架橋剤、架橋助剤、架
橋触媒、老化防止剤等を混合してマスターバッチとし、
このマスターバッチと別途混合された樹脂成分混合物と
を混合する等、樹脂組成物成分の混合を複数段階で行う
こともできる。
用樹脂組成物と同様に通常の押出成形法により導体上に
被覆層を形成して、被覆電線を作製することができる。
即ち、軟銅撚線等からなる導体上に本発明の樹脂組成物
からなる被覆層を形成し、この被覆層を架橋させて絶縁
層を形成することにより、被覆電線が得られる。被覆層
の架橋は、該被覆層を温水ないし熱水に浸漬する架橋処
理、あるいは、加熱水蒸気と接触させる架橋処理等によ
って行うことができる。本発明の樹脂組成物を架橋させ
てなる絶縁層を備える被覆電線は、ポリエチレン系絶縁
層が備える大電流通電対応性ととに、柔軟性が付与され
て施工に際しての取り扱い性が改善されたものとなる。
を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定さ
れるものではない。 (実施例1〜2、比較例1〜3) 表1に示した如く各樹脂成分並びに添加剤を配合し、ヘ
ンシェルミキサーにより常温から90℃まで約15分間
混練して樹脂組成物を得た。そして、この樹脂組成物か
らなる絶縁層を有する600Vビニルシースケーブル平
型(サイズ2×1.6mm)を押出成形機を用いて作成
した。この時、前記ケーブルを90℃の熱水に4時間浸
漬して、その絶縁層を構成する樹脂組成物を架橋せし
め、目的の被覆電線を得た。尚、表1に示した比較例1
〜3は従来の絶縁体用シラン架橋ポリエチレン系樹脂組
成物の例である。
度、ゲル分率および加熱変形率を評価した。その結果を
表1に示した。上記各評価項目の評価法は次のとおりで
ある。 硬度…JIS Aによる24℃の硬度。 ゲル分率…架橋後の樹脂をキシレン処理して未架橋部を
溶出させ、処理前後の重量比から求めた。 加熱変形率…120℃での10Nの力を加えたときの変
形率。
2における絶縁層は、比較例1〜3における絶縁層と比
べて、硬度が低く、加熱変形率は一般的に問題のないレ
ベルとなっており、柔軟性に優れていることを示してい
る。また、実施例1〜2における樹脂組成物は、架橋助
剤の添加量が比較例1〜3における樹脂組成物に比べて
低いのにも係わらず、ゲル分率が高くなっており、架橋
効率が高い。これは、m−LLDPEを用いたことによ
る効果である。これにより、高価な架橋助剤の使用量を
抑えることができ、製造コストの面でも有利である。
架橋ポリエチレン系絶縁体が有する大電流通電対応性を
損なうことなく、十分に優れた柔軟性を付与して施工の
際の取り扱い性を改善させた、特に被覆電線用として好
適な樹脂組成物、並び施工の際の取り扱いが容易な被覆
電線が安価に提供できる。
Claims (2)
- 【請求項1】 メタロセン型触媒を用いて重合された直
鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレン及び直
鎖状低密度ポリエチレンから選ばれる少なくとも一種
と、エチレンアクリル酸エチル共重合体、エチレン酢酸
ビニル共重合体、エチレンプロピレン共重合体及びエチ
レンブテン共重合体から選ばれる少なくとも一種とから
なる樹脂成分と、シラン架橋剤とを含み、更にジクミル
パーオキサイド、2,5−ジメチルー2,5−(第三ブ
チルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(第三ブ
チルペルオキシイソプロピル)ベンゼンから選ばれる架
橋助剤を前記樹脂成分100重量部に対して0.05〜
0.1重量部含むことを特徴とする柔軟ポリエチレン系
樹脂組成物。 - 【請求項2】 請求項1記載の柔軟ポリエチレン系樹脂
組成物を架橋させて形成された絶縁層を有することを特
徴とする被覆電線。
Priority Applications (1)
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JPH11255977A JPH11255977A (ja) | 1999-09-21 |
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