JP3763442B2 - 難燃性被覆ケーブル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭用、住宅用組電線等として好適に用いることができる低圧用難燃性被覆ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、家庭用、住宅用組電線等に広く使われている600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平型は、代表的な低圧用電力ケーブルである。このケーブルは、導体が塩化ビニル樹脂の絶縁体で被覆され、その外側が塩化ビニル樹脂のシースで被覆されたケーブルであるが、絶縁体およびシースが共に塩化ビニル樹脂であるから、絶縁体およびシースが共に可撓性および皮むき性に優れており、施工性に優れたものである。また、このビニル絶縁ビニルシースケーブル平型は、上記のとおり絶縁体およびシースが共に塩化ビニル樹脂であるから、燃焼時に多量の塩化水素ガスを発生することにより優れた難燃性を示す。
【0003】
ところが、近年、使用電力の増加に伴ない大電流に対応できることが要求されるようになった。しかし、広く使われていた上記ビニル絶縁ビニルシースケーブルでは、その塩化ビニル樹脂の絶縁体の耐熱温度が60℃程度であるため、大電流通電時に生じる発熱に対応できず、上記要求を満たすことができなくなった。そこで、絶縁体として架橋ポリエチレンが用いられるようになった。架橋ポリエチレンの絶縁体は、耐熱温度が90℃付近であり、塩化ビニル樹脂の絶縁体の1.6倍程度の大電流の通電に対応できる。しかしながら、この架橋ポリエチレンの絶縁体は、塩化ビニル樹脂の絶縁体に比べて、可撓性および皮むき性が劣り、そのため施工しにくいという問題がある。
【0004】
また、近年、上記従来のビニル絶縁ビニルシースケーブル平型は、上記したとおり燃焼時に多量の塩化水素ガスを発生することにより優れた難燃性を示すとはいえ、その多量に発生した塩化水素ガスが、機器等を腐食するばかりでなく、人体にとって有害であることが問題となるようになった。そこで、ケーブルの難燃性被覆材として、ポリエチレン等のような骨格中に塩素等のハロゲンを含まないポリマーに水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の金属水和物を難燃剤として配合した、所謂ノンハロゲン難燃性樹脂組成物がの主流となるようになった。しかし、このノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、実用に耐え得る程度の難燃性を得るために多量に金属水和物が配合されるので当該樹脂組成物自体が固くなり、当該樹脂組成物においても、可撓性および皮むき性が劣り、そのため施工しにくいという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、上記従来の状況に鑑み、十分な耐熱温度を有していて大電流通電に対応し得て、かつ可撓性および皮むき性に優れてた絶縁体を備えると共に、燃焼時に塩化水素ガス等のハロゲン化水素ガスを発生することなく優れた難燃性を示し、かつ可撓性および皮むき性に優れたシースを備えており、大電流通電への対応性および施工性に優れた難燃性被覆ケーブルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る難燃性被覆ケーブルは、絶縁体が、90以上の硬度(JISA)と、5.7MPa以下の5%荷重時の弾性を有するシラン架橋したポリオレフィン系樹脂組成物からなり、シースが、90未満の硬度(JISA)を有するノンハロゲン難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物からなり、上記シラン架橋したポリオレフィン系樹脂組成物の樹脂成分が、該樹脂成分を100重量部としたとき、90重量部以下が低密度ポリエチレンであり、残部がエチレン系コポリマーである組成を有し、上記ノンハロゲン難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物の樹脂成分が、該樹脂成分を100重量部としたとき、90重量部以下がエチレンアクリル酸エチルコポリマーであり、残部が低密度ポリエチレンおよび/またはエチレンアクリル酸エチルコポリマー以外のエチレン系コポリマーである組成を有することを特徴とする。
本発明の難燃性被覆ケーブルは、本発明者らが上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、絶縁体として上記特定の物性、樹脂成分を有するシラン架橋したポリオレフィン系樹脂組成物を用い、シースとして上記特定の物性、樹脂成分を有するノンハロゲン難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を用いれば、大電流通電に十分対応し得ると共に難燃性であって、かつ従来のビニル絶縁ビニルシースケーブル平型と同等に優れた可撓性および皮むき性を有していて施工が容易である被覆ケーブルが得られ、上記目的を達成できることを見い出してはじめて完成されたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の難燃性被覆ケーブルのシラン架橋したポリオレフィン系樹脂組成物からなる絶縁体の形成に用いる樹脂組成物には、当該樹脂組成物の樹脂成分を100重量部としたとき、90重量部以下、好ましくは90〜40重量部の低密度ポリエチレンと、残部としてエチレン系コポリマーから選ばれた少なくとも一種とを組み合わせた樹脂成分が用いられる。
低密度ポリエチレンとしは、一般に密度が0.91〜0.93程度の従来から知られ、市販されている種々の低密度ポリエチレンを適宜選択して用いることができる。この低密度ポリエチレンは、必要に応じて、一種用いても、複数種併用しても差し支えない。
また、エチレン系コポリマーとしても、従来から知られ、市販されている種々のエチレン系コポリマーを適宜選択して用いることができる。その例として、エチレンアクリル酸エチルコポリマー(EEA)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンプロピレンコポリマー(EPM)、メタロセンポリマー等が挙げられる。ここで、メタロセンポリマーとは、メタロセン触媒を用いてエチレンとα−オレフィンを共重合させたコポリマーであって、共重合成分のα−オレフィンとしては、一般に炭素数6〜10のα−オレフィンが適当である。かかるメタロセンポリマーの中でもエチレンオクテンコポリマーが好ましく用いられる。これらのエチレン系コポリマーも、必要に応じて、一種用いても、複数種併用しても差し支えない。
【0008】
この絶縁体形成用樹脂組成物には、上記樹脂成分に加えて、シラン架橋剤が配合され、さらに通常、架橋助剤、錫系安定剤、老化防止剤等が配合される。
シラン架橋剤としては、アルコキシシランが好ましく用いられる。その例として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメトキシシラン等が挙げられ、中でも、ビニルトリメトキシシランが一層好ましく用いられる。これらのシラン架橋剤は、必要に応じて、一種用いても、複数種用いても差し支えない。シラン架橋剤の配合量は、上記樹脂成分100重量部に対して1〜3重量部が好ましい。
架橋助剤としては、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチルー2,5−(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等の過酸化物を用いることができ、中でも、ジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。架橋助剤の配合量は、上記樹脂成分100重量部に対して0.05〜0.15重量部が好ましい。
錫系安定剤としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫メチルカプチド等を用いることができ、中でも、ジブチル錫ジラウレートが好ましく用いられる。錫系安定剤の配合量は、上記樹脂成分100重量部に対して0.05〜0.2重量部が好ましい。
老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系あるいはチオビスフェノール系等の一般に知られた老化防止剤を用いることができる。老化防止剤の配合量は、上記樹脂成分100重量部に対して0.01〜0.2重量部が好ましい。
上記の架橋助剤、錫系安定剤および老化防止剤は、必要に応じて、一種用いても、複数種用いても差し支えない。また、必要に応じて、着色剤、滑剤等の一般に絶縁体用樹脂組成物に添加される公知の添加剤を適量添加することができる。
【0009】
この絶縁体形成用樹脂組成物の調製は、上記の低密度ポリエチレンおよびエチレン系コポリマーから選ばれた少なくとも一種の樹脂成分、シラン架橋等の樹脂組成物の全成分を、ヘンシェルミキサー、オープンロールミキサー、バンバリー混合機等の公知の混合手段を用いて、常温ないし100℃以下程度に加熱して適宜混合して行うことができる。調製された絶縁体形成用樹脂組成物は、通常の押出成型法により導体上に被覆層を形成することができる。しかして、導体上に形成された絶縁体形成用樹脂組成物の被覆層を架橋処理することにより、本発明の難燃性被覆ケーブルのシラン架橋したポリオレフィン系樹脂組成物からなる絶縁体が形成される。この架橋処理としては、温水ないし熱水に浸漬する、あるいは加熱蒸気で潤す等公知のシラン架橋処理を適宜採用することができる。この絶縁体を形成するシラン架橋したポリオレフィン系樹脂組成物は、本発明の目的を達成する上で、90以上の硬度(JISA)と、5.7MPa以下の5%荷重時の弾性を有することが肝要である。硬度が90未満では、シース材より柔らかくなり、ハサミ等によりシース皮ムキ時、絶縁体にキズが付き易くなるからである。また、5%荷重時の弾性が5.7MPaを越えて大きいと、可撓性および皮むき性が悪くなる。
【0010】
本発明の難燃性被覆ケーブルのノンハロゲン難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物からなるシースの形成に用いる樹脂組成物には、当該樹脂組成物の樹脂成分を100重量部としたとき、90重量部以下、好ましくは90〜40重量部のエチレンアクリル酸エチルコポリマー(EEA)と、残部として低密度ポリエチレンおよびEEA以外のエチレン系コポリマーから選ばれた少なくとも一種とを組み合わせた樹脂成分が用いられる。
低密度ポリエチレンとしは、上記の絶縁体形成用樹脂組成物の場合と同様に、一般に密度が0.91〜0.93程度の従来から知られ、市販されている種々の低密度ポリエチレンを適宜選択して用いることができる。この低密度ポリエチレンは、必要に応じて、一種用いても、複数種併用しても差し支えない。
EEA以外のエチレン系コポリマーとしては、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンプロピレンコポリマー(EPM)、メタロセンポリマー等が挙げられる。メタロセンポリマーとしては、上記の絶縁体形成用樹脂組成物の場合と同様に、メタロセン触媒を用いてエチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンを共重合させたコポリマーが適当である。これらのエチレン系コポリマーも、必要に応じて、一種用いても、複数種併用しても差し支えない。
【0011】
このシース形成用樹脂組成物には、上記樹脂成分に加えて、難燃剤として金属水和物が配合される。この金属水和物としては、従来から難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に使用されている公知のものを適宜選択して用いることができる。例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウムなどを挙げることができる。中でも水酸化マグネシウムが好ましく用いられる。これらの金属水和物は、必要に応じて、一種用いても、複数種併用しても差し支えない。また、金属水和物の配合量は、上記樹脂成分100重量部に対して30〜120重量部が好ましい。
【0012】
また、このシース形成用樹脂組成物には、さらに、通常老化防止剤が配合され、必要に応じて改質剤等も配合される。
老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系あるいはチオビスフェノール系等の一般に知られた老化防止剤を用いることができる。老化防止剤の配合量は、上記樹脂成分100重量部に対して0.5〜5重量部が好ましい。
上記の老化防止剤等は、必要に応じて、一種用いても、複数種用いても差し支えない。また、必要に応じて、着色剤、滑剤、紫外線吸収剤等の一般に難燃性樹脂組成物に添加される公知の添加剤を適量添加することができる。
【0013】
このシース形成用樹脂組成物の調製は、上記のエチレンアクリル酸エチルコポリマーおよび、低密度ポリエチレンおよびEEA以外のエチレン系コポリマーから選ばれた少なくとも一種の樹脂成分、金属水和物等の樹脂組成物の全成分を、加圧ニーダー、2軸混練機等の公知の混練手段を用いて適宜混合して行うことができる。調製されたシース形成用樹脂組成物は、通常の押出成型法により絶縁体上に被覆層を形成することができる。かくして、本発明の難燃性被覆ケーブルのノンハロゲン難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物からなるシースが形成される。このシースを形成するノンハロゲン難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物は、本発明の目的を達成する上で、90未満の硬度(JISA)を有することが肝要である。硬度が90以上では、硬くなり、更には絶縁体より硬くなるためシース皮ムキ時、ハサミ等の刃が絶縁体にまで達してしまう。
【0014】
【実施例】
以下、実施例および比較例によりさらに具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(絶縁体用樹脂組成物の合成)
絶縁体形成用樹脂組成物として、表1に示した各成分を表1に示した重量比にて、ヘンシェルミキサーにより常温から90℃まで約15分間混練して樹脂組成物を得た。
得られたケーブル用絶縁体について、5%弾性、硬度、加熱変形率、可撓性および皮むき性を評価した。その結果を表1に示した。
【0015】
【表1】
Figure 0003763442
【0016】
*1:三菱化学(株)製 ZF33(MI;1.1、d;0.92)
*2:日本合成ゴム(株)製 EP02P
*3:エチレン・オクテン共重合体、ダウ・ケミカル・カンパニー製 EG8100(MI;1.0、d;0.870)
*4:軟質ポリ塩化ビニル(平均重合度1300)100重量部、DINP50重量部、炭酸カルシウム80重量部を混合したもの
*5:日本ユニカー(株)製 NUCV9253
*6:東レダウコーニング(株)製 SZ6300
*7:チバガイギー社製 イルガノックス1010
【0017】
上記絶縁体に関する各評価項目の評価法は次のとおりである。
5%弾性…得られたケーブルから採取した絶縁層のサンプルの、引張速度200mm/minで引張試験を行った時の荷重−歪み曲線から求めた5%荷重時の弾性
硬度…得られたケーブルから採取した絶縁層のサンプルの、JISAによる硬度
加熱変形性…得られたケーブルから採取した絶縁層のサンプルの、120℃で10Nの力を加えたときの変形率
【0018】
可撓性…得られたケーブルを手で屈曲させたときの感触を、後記比較例1の軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁層を有するケーブルでの該感触と比較して、次の4段階で評価した。
○:比較例1での感触と同等に良好な感触のもの
□:比較例1での感触より若干劣るがほぼこれに準ずる感触のもの
△:比較例1での感触より劣った感触のもの
×:比較例1での感触よりかなり劣った感触のもの
皮むき性…得られたケーブルのケーブル端部から30mmの絶縁層をはさみを用いて皮むきしたときの感触を、後記比較例1の軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁層を有するケーブルでの該感触と比較して、次の4段階で評価した。
○:比較例1での感触と同等に良好な感触のもの
□:比較例1での感触より若干劣るがほぼこれに準ずる感触のもの△:比較例1での感触より劣った感触のもの
×:比較例1での感触よりかなり劣った感触のもの
【0019】
(シース形成用樹脂組成物の合成)
また、シース形成用樹脂組成物として、表2に示した各成分を表2に示した重量比にて、加圧ニーダーにより常温から90℃まで約15分間混練して樹脂組成物を得た。
得られたケーブル用シースについて、硬度、Ts(引張破壊強さ)、E(引張破壊伸び)、加熱変形率、可撓性および皮むき性を評価した。その結果を表2を示した。
【0020】
【表2】
Figure 0003763442
【0021】
*1:日本ポリオレフィン(株)製 A1150(MI;0.75、EACont.;15%)
*2:日本合成ゴム(株)製 EP02P
*3:宇部興産(株)製 0540F(MI;4.0、d;0.904)
*4:軟質ポリ塩化ビニル(平均重合度1300)100重量部、DINP50重量部、炭酸カルシウム80重量部を混合したもの
*5:東レダウコーニング(株)製 SZ6300
*6:三井化学(株)製 アドマーNF428
*7:協和化学(株)製 キスマ5A
*8:チバガイギー社製 イルガノックス1010
硬度…得られたケーブルから採取したシースのサンプルの、JISAによる硬度
Ts,E…JIS C 3005による(引張速度200mm/min)
加熱変形性…得られたケーブルから採取したシースのサンプルの、75℃で10Nの力を加えたときの変形率
【0022】
(実施例1〜1
表1に記載の本発明の絶縁体形成用樹脂組成物1又は2及び表2に記載の本発明のシース形成用樹脂組成物1〜1を用いて、600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平型(サイズ2×1.6mm)と同サイズのケーブルを押出成形機を用いて作成した。このケーブルを90℃の熱水に4時間浸漬して、その絶縁層を構成する絶縁体形成用樹脂組成物を架橋せしめ、目的のケーブルを得た。
得られたケーブルについて、可撓性、皮むき性、難燃性を下記の評価法により評価した。結果を表3に示す。
なお、本発明の絶縁体形成用樹脂組成物試料番号1又は試料番号2を用いた場合、ケーブル評価は同様な結果を示した。
【0023】
(比較例1〜
絶縁体形成用樹脂組成物として、表1に示した比較用の軟質塩化ビニル樹脂組成物(比較用試料番号1)又は比較用の架橋ポリエチレン(比較用試料番号2)、およびシース形成用樹脂組成物として、表2に示した比較用の軟質塩化ビニル樹脂組成物(比較用試料番号1)または比較用の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物(比較用試料番号2)をそれぞれ用い、実施例1と同様に、600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平型(サイズ2×1.6mm)と同サイズのケーブルを押出成形機を用いて作成した。また、絶縁体形成用樹脂組成物として表1に示した本発明の絶縁体形成用樹脂組成物、シース形成用樹脂組成物として表2に示した比較用の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物(比較用試料番号3)を用いて、同様にケーブルを作成した。
得られたケーブルについて、実施例1〜1と同様の評価項目について評価した。結果を表3に示す。
可撓性および皮むき性の評価に関しては、比較例1で得られたケーブルの絶縁層およびシースは共に可撓性および皮むき性が優れているので、比較例1で得られたケーブルの絶縁層およびシースの可撓性および皮むき性の評価を「○」とし、これを基準とした。
【0024】
【表3】
Figure 0003763442
【0025】
*1:可撓性…得られたケーブルを手で屈曲させたときの感触を、後記比較例1の軟質塩化ビニル樹脂組成物からなるシースを有するケーブルでの該感触と比較して、上記絶縁層の場合と同様に4段階で評価した。
*2:皮むき性…得られたケーブルのケーブル端部から30mmのシースをはさみを用いて皮むきしたときの感触を、後記比較例1の軟質塩化ビニル樹脂組成物からなるシースを有するケーブルでの該感触と比較して、上記絶縁層の場合と同様に4段階で評価した。
*3:難燃性…得られたケーブルから採取したシースのサンプルについて、JIS C 3005の60度傾斜法により評価した。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、十分な耐熱温度を有していて大電流通電に対応し得て、かつ可撓性および皮むき性に優れてた絶縁体を備えると共に、燃焼時に塩化水素ガス等のハロゲン化水素ガスを発生することなく優れた難燃性を示し、かつ可撓性および皮むき性に優れたシースを備えた、大電流通電への対応性に優れ、かつ従来のビニル絶縁ビニルシースケーブル平型と同等に優れた施工性を有する難燃性被覆ケーブルが提供される。

Claims (2)

  1. 絶縁体が、90以上の硬度(JISA)と、5.7MPa以下の5%荷重時の弾性を有するシラン架橋したポリオレフィン系樹脂組成物からなり、シースが、90未満の硬度(JISA)を有するノンハロゲン難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物からなり、上記シラン架橋したポリオレフィン系樹脂組成物の樹脂成分が、該樹脂成分を100重量部としたとき、90重量部以下が低密度ポリエチレンであり、残部がエチレン系コポリマーである組成を有し、上記ノンハロゲン難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物の樹脂成分が、該樹脂成分を100重量部としたとき、90重量部以下がエチレンアクリル酸エチルコポリマーであり、残部が低密度ポリエチレンおよび/またはエチレンアクリル酸エチルコポリマー以外のエチレン系コポリマーである組成を有することを特徴とする難燃性被覆ケーブル。
  2. 絶縁体のシラン架橋したポリオレフィン系樹脂組成物が、その樹脂成分を100重量部としたとき、40〜90重量部が低密度ポリエチレンであり、残部がエチレン系コポリマーである組成の樹脂成分、および該樹脂成分100重量部に対して1〜3重量部のシラン架橋剤を含有する樹脂組成物の架橋化物であり、シースのノンハロゲン難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物が、その樹脂成分を100重量部としたとき、40〜90重量部がエチレンアクリル酸エチルコポリマーであり、残部が低密度ポリエチレンおよび/またはエチレンアクリル酸エチルコポリマー以外のエチレン系コポリマーである組成の樹脂成分、および該樹脂成分100重量部に対して30〜120重量部の金属水和物を含有する樹脂組成物である請求項1記載の難燃性被覆ケーブル。
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