JP5200605B2 - エチレン系樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、シラン架橋の度合いが高い成形品、およびシランによる架橋の度合いが高い成形品を与えるエチレン系樹脂組成物を提供することにある。
(a1)メルトフローレート(MFR)が0.05〜20g/10分
(a2)密度が905〜935kg/m3
(a3)流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol以上
(a4)分子量分布(Mw/Mn)が6〜25
さらに本発明は、前記エチレン系樹脂組成物を溶融混練した後、成形して得られる成形品である。
(a1)メルトフローレート(MFR)が0.05〜20g/10分
(a2)密度が905〜935kg/m3
(a3)流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol以上
(a4)分子量分布(Mw/Mn)が6〜25
前記エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンを共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等があげられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。また、上記の炭素原子数3〜20のα−オレフィンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ln(aT) = m(1/(T+273.16))+n (I)
Ea = |0.008314×m| (II)
aT :シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T :温度(単位:℃)
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
なお、シフトファクター(aT)は、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量であり、該重ね合わせでは、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、角周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。
また、130℃、150℃、170℃、190℃、210℃の中から190℃を含む4つの温度でのシフトファクターと温度から得られる一次近似式(I)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
|2−y−2z|≦1
上記の式におけるyとして、好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数である。
<キシレン不溶分の割合の測定方法>
成形品を100メッシュのステンレス製のメッシュで作製したカゴに入れ、冷却管をつけたセパラブルフラスコ中で、沸騰キシレン下で6時間還流を行い、キシレン可溶分を抽出する。抽出に使用するキシレン量は、成形品1gに対して400mLとし、キシレンには、0.1重量部のBHTを添加し試験に用いた。
キシレン不溶分の割合は、以下の式から求めた。
キシレン不溶分の割合=(キシレン可溶分を抽出した後のサンプルの入ったカゴの重量)/(測定に用いた成形品の重量+カゴ重量)×100(%)
実施例および比較例での物性は、次の方法に従って測定した。
JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定を行った。
JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、測定試料片は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行い測定に用いた。
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定し、次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、活性化エネルギー(Ea)を求めた。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.2〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素下
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(8)により分子量分布曲線を測定した。次に、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)とポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)をもとめ、それらより分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
(1)装置:Water製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH−HT
(3)測定温度:145℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン
(東ソー製TSK STANDARD POLYSTYRNE)
赤外吸収分光光度計を用いて、以下の条件により赤外吸収スペクトルを測定した。
(1)装置:日本分光製FT/IR−480
(2)測定:透過
(3)分解能:4cm-1
(4)積算回数:64回
(5)試料厚み:150℃の熱プレスで作製した厚さ100μmのシート
得られた赤外吸収スペクトルについて、1000cm-1と600cm-1でベースラインを引き、908cm-1のビニル結合による吸収のベースラインからの吸光度A908を、720cm-1のメチレンによる吸収のベースラインからの吸光度A720を求めた。ビニル結合度(A908/A720)はA908をA720で除することにより得た。
成形品を100メッシュのステンレス製のメッシュで作製したカゴに入れ、冷却管をつけたセパラブルフラスコ中で、沸騰キシレン下で6時間還流を行い、可溶分の抽出した。抽出に使用するキシレン量は、成形品1gに対して400mLとした。キシレンには、0.1重量部のBHTを添加し試験に用いた。
キシレン不溶分の割合は、以下の式から求めた。
キシレン不溶分の割合=(キシレン可溶分を抽出後のサンプルの入ったカゴの重量)/(測定に用いた成形品の重量+カゴ重量)×100(%)
(1)助触媒成分の調製
特開2003−171415号公報の実施例10(1)および(2)の成分(A)と同様な方法で、固体生成物(以下、固体生成物(a−1)と記す。)を得た。
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付き反応器に、常温の条件下でブタン80リットルを投入した。次に、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド89mmolを投入した。その後、槽内温度を30℃に調整し、エチレンを0.1kg投入し、次に、固体生成物(a−1)を0.70kg投入した。系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム263mmolを投入して重合を開始した。重合開始後、槽内の重合温度を35℃で0.5時間運転を行い、その後30分かけて50℃まで昇温して、その後は50℃で重合を行った。最初の0.5時間は、エチレンを0.7kg/時間で供給し、重合開始後0.5時間からは、エチレン4.5kg/時間、水素を常温常圧として13.5リットル/時間の速度で供給し、合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、反応器内圧力を0.5MPaGまでパージし、スラリー状の予備重合触媒を乾燥器に移送して、窒素流通乾燥を実施して予備重合触媒を得た。該予備重合触媒中のエチレン重合体の予備重合量は、固体生成物(a−1)1g当り28.3gであった。
上記の予備重合触媒を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテンと1−ヘキセンの共重合を実施した。重合条件は、温度80℃、全圧2MPa、ガス線速度0.4m/s、エチレンに対する水素モル比は1.2%、エチレンに対する1−ブテンのモル比は1.9%、エチレンに対する1−ヘキセンのモル比は0.8%で、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。さらに、流動床の総パウダー重量を80kgに維持し、平均重合時間3.7hrとなるように、上記予備重合触媒と、トリイソブチルアルミニウムとを一定の割合で連続的に供給した。重合により、21.4kg/hrの生産効率でエチレン―1ブテン―1−ヘキセン共重合体(以下、PE−1と記す。)のパウダーを得た。
上記で得たPE−1のパウダーを、神戸製鋼所社製LCM50押出機を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することにより、PE−1のペレットを得た。PE−1のペレットの物性測定結果を表1に示す。
PE−1ペレット 100重量部と、二重結合を有するアルコキシシラン化合物としてビニルトリメトキシシラン(東京化成製)1重量部と、酸化防止剤として6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10テトラ−tert−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェビン(商品名Sumilizer GP、住友化学社製)0.05重量部と、有機過酸化物としてジクミルパーオキサイド(商品名 三井DCP 化薬アクゾ社製)0.1重量部と、アルコキシシラン化合物同士の縮合反応を促進するための化合物としてジブチルすずラウレート(東京化成社製)0.05重量部とを、バッチ式の混練装置(東洋精機社製ラボプラストミル)を用いて、180℃にて、回転数60rpmで、6分間混連を行い、エチレン系樹脂組成物を得た。
得られたエチレン系樹脂組成物を、190℃、4MPaにてプレスし、厚み2mmで一辺が65mmの平板状の成形品を得た。
得られた成形品を、80℃の温水中に24時間浸漬し、水架橋促進を行った。
得られた成形品におけるキシレン不溶分の割合は、42.0%であった。
酸化防止剤を、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名Irganox1076、チバスペシャルティケミカルズ社製)に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
得られた成形品におけるキシレン不溶分の割合は、35.8%であった。
エチレン系樹脂組成物を混練する時間を10分に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
得られた成形品におけるキシレン不溶分の割合は、50.1%であった。
水架橋を促進する操作を行わなかった以外は、実施例3と同様に行った。
得られた成形品におけるキシレン不溶分の割合は、47.7%であった。
(1)予備重合触媒の調製
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付き反応器に、常温の条件下でブタン80リットルを投入した。次に、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド66mmolを投入した。その後、槽内温度を35℃に調整し、エチレンを0.1kg投入し、次に、実施例1記載の固体生成物(a−1)を0.49kg投入した。系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム190mmolを投入して重合を開始した。重合開始後、槽内の重合温度を35℃で0.5時間運転を行い、その後30分かけて50℃まで昇温して、その後は50℃で重合を行った。最初の0.5時間は、エチレンを0.4kg/時間で供給し、重合開始後0.5時間からは、エチレン3.6kg/時間、水素を常温常圧として10.9リットル/時間の速度で供給し、合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、反応器内圧力を0.5MPaGまでパージし、スラリー状の予備重合触媒を乾燥器に移送して、窒素流通乾燥を実施して予備重合触媒を得た。該予備重合触媒中のエチレン重合体の予備重合量は、固体生成物(a−1)1g当り35.2gであった。
上記の予備重合触媒を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテンと1−ヘキセンの共重合を実施した。重合条件は、温度85℃、全圧2MPa、ガス線速度0.31m/s、エチレンに対する水素モル比は1.4%、エチレンに対する1−ブテンのモル比は2.4%、エチレンに対する1−ヘキセンのモル比は0.7%で、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。さらに、流動床の総パウダー重量を80kgに維持し、平均重合時間3.2hrとなるように、上記予備重合触媒と、トリイソブチルアルミニウムとを一定の割合で連続的に供給した。重合により、25.2kg/hrの生産効率でエチレン―1ブテン―1−ヘキセン共重合体(以下、PE−2と記す。)のパウダーを得た。
上記で得たPE−2のパウダーを、神戸製鋼所社製LCM50押出機を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することにより、PE−2のペレットを得た。PE−2のペレットの物性測定結果を表1に示す。
酸化防止剤を、添加しなかった以外は、実施例1と同様に行った。
得られた成形品におけるキシレン不溶分の割合は、31.0%であった。
二重結合を有するアルコシキシラン化合物、酸化防止剤およびアルコキシシラン化合物同士の縮合反応を促進するための化合物を添加しなかった以外は、実施例1と同様に行った。
得られた成形品におけるキシレン不溶分の割合は、2.8%であった。
エチレン−α−オレフィン共重合体として、PE−1の代わりにプライムポリマー製エボリュー SP2030(製造法:メタロセン触媒・気相重合法、以下SP2030と記す)を使用した以外は、実施例3と同様に行った。SP2030の物性を表1に示した。
得られた成形品におけるキシレン不溶分の割合は、32.7%であった。
Claims (3)
- 以下の要件(a1)〜(a4)の全てを充足するエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部と、該エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対し、二重結合を有するアルコキシシラン化合物の含有量が0.1〜4重量部であり、酸化防止剤の含有量が0.01〜2重量部であり、かつ有機過酸化物の含有量が0.01〜4重量部であるエチレン系樹脂組成物。
(a1)メルトフローレート(MFR)が0.05〜20g/10分
(a2)密度が905〜935kg/m3
(a3)流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol以上
(a4)分子量分布(Mw/Mn)が6〜25 - 前記酸化防止剤が、フェノール構造とリン酸構造とを併せ持つ酸化防止剤である請求項1に記載のエチレン系樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載のエチレン系樹脂組成物を溶融混練した後、成形して得られる成形品。
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