JP3164734B2 - 作業車の走行変速構造 - Google Patents

作業車の走行変速構造

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JP3164734B2 JP15769494A JP15769494A JP3164734B2 JP 3164734 B2 JP3164734 B2 JP 3164734B2 JP 15769494 A JP15769494 A JP 15769494A JP 15769494 A JP15769494 A JP 15769494A JP 3164734 B2 JP3164734 B2 JP 3164734B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、作業車の走行変速構造
に関する。
【0002】
【従来の技術】作業車においては走行用の変速装置を、
複数個の多板式の油圧クラッチを並列的に配置し、複数
の油圧クラッチのうちの一つに作動油を供給して伝動側
に操作することにより変速操作する油圧クラッチ型式に
構成したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、走行用
の変速装置の各変速位置に対応して油圧クラッチを設け
ると、この変速装置を変速操作する場合に変速指令前の
油圧クラッチを伝動遮断側に操作すると同時に、変速指
令に対応する油圧クラッチの作動圧を漸次的に上昇操作
してこの油圧クラッチを伝動側に操作することにより、
ショック少ない滑らかな変速操作が行える。このような
走行用の変速装置を持つ作業車において、さらに変速段
数を増やしながら、さらにショック少ない滑らかな変速
操作が行えるようにする言う点で改善の余地がある。本
発明は油圧クラッチ式の走行用の変速装置を備えた作業
車の走行変速構造において、さらに変速段数を増やしな
がらさらにショック少ない滑らかな変速操作が行えるよ
うな構成を得ることを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は以上のよ
うな作業車の走行変速構造において、次のように構成す
ることにある。つまり、エンジンからの動力を主クラッ
チ、主変速装置及び副変速装置にこの順序で伝達し変速
操作して、下手側の走行装置に伝達するように構成し、
主変速装置及び副変速装置を、複数個の多板式の油圧ク
ラッチを並列的に配置し、複数の油圧クラッチのうちの
一つに作動油を供給して伝動側に操作することにより変
速操作する油圧クラッチ型式に構成すると共に、主及び
副変速装置の各油圧クラッチに作動油の給排操作を行う
制御弁と、人為的な操作に基づいて主変速装置用の変速
指令を発信する変速操作具とを備え、変速操作具からの
変速指令に基づいて、変速指令の発信前から作動油の供
給側に操作されている主変速装置の制御弁を排油側に操
作し、変速指令に対応する主変速装置の制御弁を作動油
の供給側に操作する第1制御手段と、変速操作具からの
変速指令に基づいて、副変速装置における作動油の供給
側に操作されている制御弁を、作動油の排油側に操作し
再び作動油の供給側に漸次的に操作して、前記主変速装
置の油圧クラッチにおける作動油の給排終了後に副変速
装置の油圧クラッチに対する作動油の供給が終了するよ
うに制御する第2制御手段とを備えてある。
【0005】
【作用】本発明のように構成すると例えば図1に示すよ
うに、油圧クラッチ型式の主変速装置10の下手側に、
油圧クラッチ型式の副変速装置11が配置される。これ
により、主変速装置10と副変速装置11とを合わせた
場合に変速段数は、主変速装置10の変速段数に副変速
装置11の変速段数を乗じた値となり、多数の変速位置
が設定される。
【0006】例えば図7に示すように変速操作具から変
速指令が発信されると、主変速装置10において、伝動
側に操作されている油圧クラッチの制御弁が排油側に操
作され、この油圧クラッチが伝動遮断側に操作される
(一点鎖線A3参照)。これと同時に、変速指令に対応
する油圧クラッチの制御弁が作動油の供給側に操作され
て、この油圧クラッチが伝動側に操作される(実線A1
参照)。そして、前述のような主変速装置10の変速操
作と同時に副変速装置11の油圧クラッチの制御弁が排
油側に操作され、この副変速装置11の油圧クラッチが
伝動遮断側に操作されて、この副変速装置11の油圧ク
ラッチの制御弁が漸次的に作動油の供給側に操作され
(作動圧が漸次的に上昇操作されて)、副変速装置11
の油圧クラッチが伝動側に操作されていく(実線A2の
時点B3から時点B4参照)。
【0007】この場合、図1に示すように主変速装置1
0に比べて副変速装置11の方が走行装置(車輪等)に
近い側に配置されているので、主クラッチ5,6側から
主変速装置10に伝達されてくる動力よりも、主変速装
置10側から副変速装置11に伝達されてくる動力の方
が、低回転高トルクの動力となる。従って、図7の実線
A2の時点B3から時点B4に示すように、副変速装置
11の油圧クラッチの作動圧を漸次的に上昇操作してい
く際に、副変速装置11において小さなトルク変動が生
じても、副変速装置11の油圧クラッチが容易に滑っ
て、この小さなトルク変動が伝動ショックとして現れる
ことなく的確に吸収される。
【0008】
【発明の効果】以上のように、油圧クラッチ型式の主変
速装置の下手側に油圧クラッチ型式の副変速装置を配置
して、主変速装置の変速操作を行う場合に副変速装置の
油圧クラッチを漸次的に伝動側に操作するように構成す
ることにより、小さなトルク変動でも的確に吸収できる
ようになって、変速操作時のショックを少なく抑えるこ
とができるようになり、作業車の変速性能を向上させる
ことができた。又、主変速装置に対して副変速装置を直
列に配置しているので、多数の変速位置が得られる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。 (1)図1は作業車の一例である四輪駆動型の農用トラ
クタのミッションケース8内を示しており、エンジン1
からの動力が伝動軸2及び油圧多板式のPTOクラッチ
3を介して、PTO軸4に伝達される。エンジン1から
の動力が、前進クラッチ5(主クラッチに相当)又は後
進クラッチ6(主クラッチに相当)、円筒軸7、主変速
装置10、第1副変速装置11(副変速装置に相当)、
第2副変速装置12、及び後輪デフ装置13を介して左
右の後輪14(走行装置に相当)に伝達される。後輪デ
フ装置13の直前から分岐した動力が、伝動軸15、油
圧クラッチ型式の前輪変速装置16、前輪伝動軸17及
び前輪デフ装置18を介して左右の前輪19(走行装置
に相当)に伝達される。
【0010】前進クラッチ5及び後進クラッチ6は、摩
擦板(図示せず)とピストン(図示せず)とを組み合わ
せた油圧多板式で、作動油を供給することにより伝動側
に操作される。前進クラッチ5を伝動側に操作すると、
エンジン1の動力が前進クラッチ5から円筒軸7に直接
流れて機体は前進する。後進クラッチ6を伝動側に操作
すると、エンジン1の動力が後進クラッチ6及び伝動軸
20を介して、逆転状態で円筒軸7に伝達されて機体は
後進する。主変速装置10は4個の油圧多板式の1速ク
ラッチ21(油圧クラッチに相当)、2速クラッチ22
(油圧クラッチに相当)、3速クラッチ23(油圧クラ
ッチに相当)、及び4速クラッチ24(油圧クラッチに
相当)を並列的に配置した油圧クラッチ型式に構成され
て4段に変速可能であり、1速〜4速クラッチ21〜2
4のうちの一つを伝動側に操作することにより、エンジ
ン1側の円筒軸7からの動力が4段に変速操作されて下
手側の伝動軸25に伝達される。
【0011】第1副変速装置11も2個の油圧多板式の
低速クラッチ26(油圧クラッチに相当)、及び高速ク
ラッチ27(油圧クラッチに相当)を並列的に配置した
油圧クラッチ型式に構成されて2段に変速可能であり、
低速及び高速クラッチ26,27の一方を伝動側に操作
することにより、主変速装置11側の伝動軸25からの
動力が2段に変速操作されて下手側の第2副変速装置1
2に伝達される。第2副変速装置12はシフト部材53
をスライド操作するシンクロメッシュ型式に構成されて
2段に変速可能であり、後述する変速レバー28によっ
て機械的に変速操作される。
【0012】(2)次に前進及び後進クラッチ5,6、
主変速装置10等用の油圧回路について説明する。図3
に示すようにポンプ29からの油路30に、前進及び後
進クラッチ5,6に対する電磁比例弁35及びパイロッ
ト操作式の切換弁36a,37a、主変速装置10の1
速〜4速クラッチ21〜24に対するパイロット操作式
の切換弁31a,32a,33a,34a、第1副変速
装置11の低速及び高速クラッチ26,27に対する電
磁比例弁38,39(制御弁に相当)が並列的に接続さ
れている。
【0013】油路30から分岐した油路40に、前輪デ
フ装置18におけるデフロック操作用の油圧クラッチ4
1に対するパイロット操作式の切換弁42a、後輪デフ
装置13におけるデフロック操作用の油圧クラッチ43
に対するパイロット操作式の切換弁44a、前輪変速装
置16の標準クラッチ45及び増速クラッチ46(図1
参照)に対するパイロット操作式の切換弁47a,48
aが並列的に接続されている。各切換弁31a〜34
a,36a,37a,42a,44a,47a,48a
は、バネで排油側(伝動遮断側)に付勢されており、後
述するようにパイロット作動油が供給されることで、供
給側(伝動側)に操作される。
【0014】油路30から減圧弁49を介してパイロッ
ト油路50が分岐して、このパイロット油路50が切換
弁31a〜34a,36a,37a,42a,44a,
47a,48aの操作部に接続されており、各操作部に
電磁操作弁31b(制御弁に相当),32b(制御弁に
相当),33b(制御弁に相当),34b(制御弁に相
当),36b,37b,42b,44b,47b,48
bが接続されている。各電磁操作弁31b〜34b,3
6b,37b,42b,44b,47b,48bは、バ
ネで排油側(伝動遮断側)に付勢されており、これらを
電気的に供給側に操作すると、パイロット作動油が切換
弁31a〜34a,36a,37a,42a,44a,
47a,48aの操作部に供給されて、これらが供給側
(伝動側)に操作される。
【0015】(3)次に、前進及び後進クラッチ5,
6、主変速装置10等の操作部の構成について説明す
る。図2及び図3に示すように、前進及び後進クラッチ
5,6の切換弁36a,37aの操作部からパイロット
作動油を排油可能な開閉弁51が備えられて、開閉弁5
1がバネで閉側に付勢されている。開閉弁51を機械的
に開側に操作するクラッチペダル52を備えており、ク
ラッチペダル52の操作位置を検出する位置センサー6
8を備えている。前輪19用の操縦ハンドル58の基部
に、電気的な前進信号及び後進信号を発信する前後進レ
バー59を備えている。エンジン1のアクセル位置を人
為的に変更操作するアクセルペダル69を備えており、
アクセルペダル69の操作位置を検出する位置センサー
70を備えている。
【0016】図2に示すように、機体の操縦部の横軸芯
周りに変速レバー28が揺動操作自在に支持されて、第
2副変速装置12(図1参照)のシフト部材53をスラ
イド操作するシフトフォーク54と変速レバー28と
が、連係機構55により機械的に連動連結されており、
変速レバー28を中立停止位置N、低速位置L及び高速
位置Hの3位置に操作して第2副変速装置12を変速操
作する。変速レバー28は操縦部の操縦席(図示せず)
に対して右前側に配置されて、機体左右方向に対し変速
レバー28の横軸芯が機体前後方向に傾斜している。こ
れにより、変速レバー28を右斜め前方に揺動操作して
低速位置Lに操作し、変速レバー28を左斜め後方(機
体中央側)に揺動操作して高速位置Hに操作すると言う
状態となる。
【0017】変速レバー28の横側部に出退操作自在な
ロックピン56が備えられて、ロックピン56を出退操
作する操作ピン57が変速レバー28の上部に備えられ
ている。ロックピン56はバネ(図示せず)により紙面
右方の固定位置に突出するように付勢されており(操作
ピン57も紙面左方の突出側に付勢されている)、固定
側のガイド板60にロックピン56を係合させることに
よって、変速レバー28を中立停止位置N、低速位置L
及び高速位置Hの各々で固定する。そして、操作ピン5
7を押し込み操作するとロックピン56が紙面左方の固
定解除位置に退入操作されて、変速レバー28を中立停
止位置N、低速位置L及び高速位置Hに操作できる。変
速レバー28の基部に、変速レバー28の操作位置を検
出する位置センサー63が備えられている。
【0018】変速レバー28の左横側面にシフトアップ
ボタン61(変速操作具に相当)、及びシフトダウンボ
タン62(変速操作具に相当)が上下に配置されてお
り、後述するようにシフトアップボタン61及びシフト
ダウンボタン62を一度押し操作すると、一つのシフト
アップ信号(変速指令に相当)及びシフトダウン信号
(変速指令に相当)が発信されて、図1の主及び第1副
変速装置10,11の変速操作が行われる。
【0019】図2に示すように、主及び第1副変速装置
10,11の変速位置(1速〜8速)を表示する7セグ
メントの変速表示部64、前後進レバー59により前進
及び後進クラッチ5,6のどちらが伝動側に操作されて
いるかを表示する前進ランプ65及び後進ランプ66、
変速レバー28が中立停止位置Nに操作されていること
を示す中立停止ランプ67が操縦部に備えられている。
図3に示すように、前進及び後進クラッチ5,6の作動
圧が伝動状態側の所定圧に達しているか否かを検出する
圧力センサー74が備えられており、この圧力センサー
74の検出により前進及び後進ランプ65,66を点灯
させる。
【0020】(4)次に、変速レバー28のシフトアッ
プボタン61及びシフトダウンボタン62による変速操
作、及び変速操作での異常検出について説明する。図4
に示すように、先ず図3の前進及び後進クラッチ5,6
用の電磁比例弁35において異常の有無が検出され(ス
テップS1)、異常がないと電磁比例弁35に操作電流
が送られる(ステップS2)。次に、前後進レバー59
が前進位置Fに操作されていると(ステップS3)、図
3の電磁操作弁36bに操作電流が送られ(ステップS
5)、切換弁36aが供給側に操作されて前進クラッチ
5が伝動側に操作され、前進ランプ65が点灯する(ス
テップ6)。逆に、前後進レバー59が後進位置Rに操
作されていると(ステップS3)、図3の電磁操作弁3
7bに操作電流が送られ(ステップS8)、切換弁37
aが供給側に操作されて後進クラッチ6が伝動側に操作
され、後進ランプ66が点灯し(ステップS9)、図2
のブザー71が間欠的に作動する(ステップS10)。
【0021】以上の状態のステップS1,S4,S7に
おいて、前進及び後進クラッチ5,6用の電磁比例弁3
5及び電磁操作弁36b,37bに、操作電流のショー
ト等の異常が検出されると、図2の変速表示部64の下
半分のセグメントで小文字の「c」が表示されて点滅し
(ステップS11)、ブザー71が連続的に作動する
(ステップS12)。これにより、作業者が前進及び後
進クラッチ5,6の操作系に異常が発生していることを
認識する。
【0022】図1に示すように主変速装置10が4段に
変速可能で、第1副変速装置11が2段に変速可能であ
るから、主変速装置及び第1副変速装置10,11によ
り8段の変速が可能である。この場合、第1副変速装置
11の低速クラッチ26が伝動側に操作されている状態
で、主変速装置10の1速〜4速クラッチ21〜24が
1速〜4速の変速位置に対応するのであり、第1副変速
装置11の高速クラッチ27が伝動側に操作されている
状態で、主変速装置10の1速〜4速クラッチ21〜2
4が5速〜8速の変速位置に対応する。
【0023】図3に示すように主変速装置10の1速〜
4速クラッチ21〜24、第1副変速装置11の低速及
び高速クラッチ26,27の各々に、これらの作動圧が
伝動状態側の所定圧に達しているか否かを検出する圧力
センサー74を設けており、各圧力センサー74の検出
により現在の主及び第1副変速装置10,11の変速位
置(1速〜8速)が検出されて、この検出された変速位
置が変速表示部64に表示される(ステップS13)。
【0024】次に、図2の変速レバー28が低速位置L
又は高速位置Hに操作されている状態において(ステッ
プS14)、変速レバー28のシフトアップボタン61
又はシフトダウンボタン62を一度押し操作する(ステ
ップS15,S16)。図5に示すようにシフトアップ
ボタン61を押し操作した場合には、現在の変速位置よ
りも1段高速側の変速位置における主変速装置10用の
電磁操作弁31b〜34bの異常の有無が検出され、4
速の変速位置から5速の変速位置への変速操作時には、
第1副変速装置11における高速クラッチ27用の電磁
比例弁39の異常の有無も同時に検出される。逆にシフ
トダウンボタン62を押し操作した場合には、現在の変
速位置よりも1段低速側の変速位置における主変速装置
10用の電磁操作弁31b〜34bの異常の有無が検出
され、5速の変速位置から4速の変速位置への変速操作
時には、第1副変速装置11における低速クラッチ26
用の電磁比例弁38の異常の有無も同時に検出される
(ステップS17)。
【0025】前述の状態で異常が検出されなければ(ス
テップS18)、図7に示すように第1副変速装置11
において、伝動側に操作されている低速又は高速クラッ
チ26,27の所定低圧P3が後述するように求められ
る(ステップS19)。そして、図7の実線A1(時点
B1)に示すように、シフトアップボタン61を押し操
作した場合には、現在の変速位置よりも1段高速側の変
速位置における主変速装置10用の電磁操作弁31b〜
34bに対して操作電流が供給され始め、逆にシフトダ
ウンボタン62を押し操作した場合には、現在の変速位
置よりも1段低速側の変速位置における主変速装置10
用の電磁操作弁31b〜34bに対して操作電流が供給
され始める(ステップS20)(第1制御手段に相
当)。
【0026】これと同時に図7の実線A2(時点B1)
に示すように、第1副変速装置11において伝動側に操
作されている低速又は高速クラッチ26,27の電磁比
例弁38,39により、伝動側に操作されている低速又
は高速クラッチ26,27の作動圧が伝動状態の作動圧
P2から、前述の所定低圧P3にまで減圧操作される
(ステップS21)。この場合、4速の変速位置から5
速の変速位置への変速操作時には第1副変速装置11の
低速クラッチ26の作動圧が零にまで落とされ、高速ク
ラッチ27の作動圧が零から所定低圧P3にまで上昇操
作される。逆に5速の変速位置から4速の変速位置への
変速操作時には、第1副変速装置11の高速クラッチ2
7の作動圧が零にまで落とされ、低速クラッチ26の作
動圧が零から所定低圧P3にまで上昇操作される(第2
制御手段に相当)。
【0027】そして、図7の実線A1(時点B2から時
点B3)に示すように主変速装置10における1段高速
側又は1段低速側の1速〜4速クラッチ21〜24の作
動圧が、電磁操作弁31b〜34bにより伝動状態の作
動圧P1にまで上昇操作される。これと同時に図7の一
点鎖線A3(時点B2から時点B3)に示すように、主
変速装置10におけるシフトアップボタン61又はシフ
トダウンボタン62の押し操作前の1速〜4速クラッチ
21〜24の作動圧が、電磁操作弁31b〜34bによ
り伝動状態の作動圧P1から零にまで下降操作される
(ステップS22)(第1制御手段に相当)。
【0028】次に、所定低圧P3に維持されていた第1
副変速装置11の低速又は高速クラッチ26,27の作
動圧が、図7の実線A2(時点B3から時点B4)に示
すように電磁比例弁38,39により漸次的に上昇操作
されていき、低速又は高速クラッチ26,27の作動圧
が、伝動状態の作動圧P2に達する(ステップS2
3)。この場合、図7の実線A2の時点B3から時点B
4において、低速又は高速クラッチ26,27の作動圧
の上昇特性が各変速位置に対して設定されており、低速
側(1速側)の変速位置ほど、時点B3から時点B4の
作動圧が短時間で且つ急上昇操作される(第2制御手段
に相当)。
【0029】以上のようにして、シフトアップボタン6
1又はシフトダウンボタン62の押し操作による1回の
変速操作を終了するのであり、変速操作が終了すると変
速操作後の変速位置が変速表示部64に表示され(ステ
ップS24)、ブザー71が一回だけ作動して変速操作
の終了が作業者に報知される(ステップS25)。以上
のような変速操作は、シフトアップボタン61又はシフ
トダウンボタン62を押し続けていても連続的に行われ
ることはなく、シフトアップボタン61又はシフトダウ
ンボタン62を一度戻し操作して再び押し操作しない
と、次の一回の変速操作は行われない。
【0030】前述のような通常の変速操作に対し図5の
ステップS18において、主変速装置10及び第1副変
速装置11における変速予定(操作電流の供給予定)の
電磁操作弁31b〜34b、電磁比例弁38,39に操
作電流のショート等の異常が発見されると、異常のある
変速位置が変速表示部64に表示されて、この表示が所
定時間(例えば10秒程度)の間だけ点滅する(ステッ
プS26)。そして、異常のある変速予定(操作電流の
供給予定)の電磁操作弁31b〜34b、電磁比例弁3
8,39に操作電流は供給されず、シフトアップボタン
61又はシフトダウンボタン62の押し操作前の変速段
の状態に残されて、この押し操作前の変速位置が変速表
示部64に表示される(ステップS27)。
【0031】(5)図5のステップS18において異常
が発見されると、変速レバー28を低速位置L又は高速
位置Hに操作している場合、異常のある変速位置を越え
ての変速操作は行えなくなるが、変速レバー28を中立
停止位置Nに戻し操作すると、異常のある変速位置を越
えての変速操作が行えるのであり、次にこの変速操作に
ついて説明する。図5のステップS18において異常が
発見されると、作業者は後述するように変速レバー28
を低速位置L又は高速位置Hから中立停止位置Nに操作
する(図4のステップS14)。これにより、図2の中
立停止ランプ67が点灯し(図6のステップS28)、
この状態でシフトアップボタン61又はシフトダウンボ
タン62を押し操作すれば(ステップS29,S3
0)、押し操作前に供給側に操作されている電磁操作弁
31b〜34bへの操作電流が遮断され(ステップS3
1)、現在の変速位置よりも1段高速側又は1段低速側
の電磁操作弁31b〜34bに対して操作電流が供給さ
れる(ステップS32,S33)。
【0032】この場合、変速操作後の電磁操作弁31b
〜34bに異常がなければ、この電磁操作弁31b〜3
4bに対応する現在の変速位置が変速表示部64に表示
されて(ステップS34,S35)、ブザー71が一回
だけ作動する(ステップS37)。逆に、変速操作後の
電磁操作弁31b〜34bに異常があれば、この電磁操
作弁31b〜34bに対応する現在の変速位置が変速表
示部64に表示されてこの表示が点滅し(ステップS3
4,S36)、ブザー71が一回だけ作動する(ステッ
プS37)。
【0033】そして、さらにシフトアップボタン61又
はシフトダウンボタン62を押し操作すれば、ステップ
S37からステップS14(図4参照),S28,S2
9に戻り、前述のような変速操作が行われる。これによ
り、異常のある変速位置を越えての変速操作が行える。
このように変速レバー28を中立停止位置Nに操作して
いる状態では、シフトアップボタン61又はシフトダウ
ンボタン62を押し続けていれば、前述のような変速操
作が連続的に行われていく。そして、この状態では図1
の第2副変速装置12が中立停止位置に操作されている
ので、4速の変速位置と5速の変速位置との間の変速操
作以外は、図7の実線A2に示すような第1副変速装置
11側の操作は行われない。
【0034】(6)前項(4)及び(5)の状態をさら
に具体的に説明すると、例えば2速の変速位置から3速
の変速位置に変速操作する際に3速の変速位置に異常が
あれば、シフトアップボタン61を押し操作すると、変
速表示部64が2速の変速位置の表示から3速の変速位
置の表示に変わり、この3速の変速位置の表示が点滅す
る。これにより、作業者は3速の変速位置に異常がある
ことを認識することができ、次に変速表示部64が2速
の変速位置の表示に戻るのであり、実際の変速位置も2
速の変速位置に残っている。
【0035】逆に例えば4速の変速位置から3速の変速
位置に変速操作する際に3速の変速位置に異常があれ
ば、シフトダウンボタン62を押し操作すると、変速表
示部64が4速の変速位置の表示から3速の変速位置の
表示に変わり、この3速の変速位置の表示が点滅する。
これにより、作業者は3速の変速位置に異常があること
を認識することができ、次に変速表示部64が4速の変
速位置の表示に戻るのであり、実際の変速位置も4速の
変速位置に残っている。
【0036】次に、前述の状態で変速レバー28を低速
位置L又は高速位置Hから中立停止位置Nに操作する。
このように操作すればシフトアップボタン61を押し操
作すると、変速表示部64が2速の変速位置の表示から
3速の変速位置の表示に代わり、この3速の変速位置の
表示が点滅する。さらに、シフトアップボタン61を押
し操作すれば、変速表示部64が4速の変速位置の表示
となるのであり、実際の変速位置も4速の変速位置に変
速操作される。逆に、シフトダウンボタン62を押し操
作すると、変速表示部64が4速の変速位置の表示から
3速の変速位置の表示に変わり、この3速の変速位置の
表示が点滅する。さらに、シフトダウンボタン62を押
し操作すれば、変速表示部64が2速の変速位置の表示
となるのであり、実際の変速位置も2速の変速位置に変
速操作される。
【0037】(7)次に、図5のステップS19におけ
る第1副変速装置11の低速又は高速クラッチ26,2
7用の所定低圧P3の設定について説明する。図8に示
すように、現在のアクセルペダル69の操作位置が位置
センサー70によって検出され(ステップS42)、現
在のアクセルペダル69の操作位置(エンジン1のアク
セル位置)に対応したエンジン1の無負荷時の回転数N
1が、図9に基づいて推定されて、この回転数N1が記
憶更新される(ステップS43)。
【0038】次に、エンジン1の現在の回転数N2が図
1及び図2に示す回転数センサー72により検出されて
(ステップS44)、無負荷時の回転数N1と現在の回
転数N2との差N3が算出され(ステップS45)、主
変速装置10、第1及び第2副変速装置11,12の現
在の変速位置(1速〜16速)(シフトアップボタン6
1及びシフトダウンボタン62の押し操作前)が検出さ
れる(ステップS46)。これにより、回転数N1,N
2の差N3及び現在の変速位置(1速〜16速)に基づ
いて、図10によりエンジン1に掛かっている負荷Tが
算出され(ステップS47)、この負荷Tに基づいて図
5のステップS19及び図7の実線A2の所定低圧P3
が設定される(ステップS48)。
【0039】この場合、図10に示すように無負荷時の
回転数N1と現在の回転数N2との差N3が大きいほ
ど、エンジン1に掛かる負荷が大きいと判断されて、図
7の実線A2の所定低圧P3が高いもの(伝動状態の作
動圧P2に近い側)に設定されるのであり、逆に差N3
が小さいほどエンジン1に掛かる負荷が小さいと判断さ
れて、図7の実線A2の所定低圧P3が低いもの(零
側)に設定される。図10に示すように、現在の変速位
置が低速側(1速側)であるほど、エンジン1に掛かる
負荷が大きいと判断されて、図7の実線A2の所定低圧
P3が高いもの(伝動状態の作動圧P2に近い側)に設
定される。以上のようにして、所定低圧P3が繰り返し
て設定され更新されていくのであり、図5のステップS
19に達した際に、記憶されている最新の所定低圧P3
が取り込まれていく。
【0040】アクセルペダル69が操作されると、これ
に少し遅れてエンジン1の回転数が変化する。従って、
図8に示すようにアクセルペダル69が操作されると
(ステップS41)、前回に算出された回転数N1,N
2との差N3がそのまま継続されて使用され(ステップ
S49)、現在の変速位置(1速〜16速)が検出され
て(ステップS50)、エンジン1に掛かっている負荷
Tの算出及び所定低圧P3の設定が行われる(ステップ
S51,52)。アクセルペダル69の操作後におい
て、エンジン1の回転数の変化率が所定値D以下とな
り、エンジン1の回転数の変化が安定したと判断される
と(ステップS53)、ステップS41からステップS
42に戻る。
【0041】(8)次に、図2に示す変速レバー28の
中立停止位置N、低速位置L及び高速位置Hへの変速操
作について説明する。前項(3)で説明したように、ロ
ックピン56により変速レバー28は中立停止位置N、
低速位置L及び高速位置Hのいづれかで固定されてお
り、変速レバー28を他の位置に操作する場合には、変
速レバー28の操作ピン57を押し操作して、ロックピ
ン56による固定を外す必要がある。
【0042】この場合、図11に示すように変速レバー
28を例えば低速位置Lに操作している状態において、
操作ピン57を押し操作すると(ON)(時点B1
1)、ロックピン56がガイド板60から外し操作され
る。これと同時に、操作ピン57からの操作信号によ
り、図3の電磁操作弁36b,37bにより前進又は後
進クラッチ5,6が伝動遮断側に操作され、電磁比例弁
38,39により第1副変速装置11の低速又は高速ク
ラッチ26,27が伝動遮断側に操作される。これによ
り、操作ピン57を押し操作した状態で変速レバー28
を低速位置Lから中立停止位置Nに操作する。この場
合、図1に示すように変速レバー28で変速操作される
第2副変速装置12のすぐ上手側の第1副変速装置11
が、伝動遮断状態に操作されているので、変速レバー2
8による中立停止位置Nへの変速操作が容易に行える。
【0043】変速レバー28を中立停止位置Nに操作し
た後、操作ピン57から手を離してこれを戻し操作する
と(OFF)(時点B12)、ロックピン56により変
速レバー28が中立停止位置Nに固定されると同時に、
図3の電磁操作弁36b,37b及び電磁比例弁35に
より前進又は後進クラッチ5,6が直ちに伝動側に操作
され、電磁比例弁38,39により第1副変速装置11
の低速又は高速クラッチ26,27が直ちに伝動側に操
作される。
【0044】次に、変速レバー28を中立停止位置Nに
操作している状態において、操作ピン57を押し操作す
ると(ON)(時点B13)、前述と同様にロックピン
56がガイド板60から外し操作され、前進又は後進ク
ラッチ5,6、第1副変速装置11の低速又は高速クラ
ッチ26,27が伝動遮断側に操作される。これによ
り、例えば操作ピン57を押し操作した状態で変速レバ
ー28を中立停止位置Nから高速位置Hに操作する場
合、前述と同様に第2副変速装置12のすぐ上手側の第
1副変速装置11が伝動遮断状態に操作されているの
で、変速レバー28による高速位置Hへの変速操作が容
易に行える。
【0045】変速レバー28を高速位置Hに操作した
後、操作ピン57から手を離してこれを戻し操作すると
(OFF)(時点B14)、ロックピン56により変速
レバー28が高速位置Hに固定されると同時に、電磁比
例弁38,39により第1副変速装置11の低速又は高
速クラッチ26,27が直ちに伝動側に操作される。こ
れに対し、前進又は後進クラッチ5,6は以下の説明の
ように漸次的に伝動側に操作されていく。図1に示すよ
うに、前進及び後進クラッチ5,6と主変速装置10と
の間の円筒軸7の回転数を検出する回転数センサー73
を設けており、操作ピン57が戻し操作された時点B1
4から、回転数センサー73の検出値の上昇率が設定値
を越えないように、図3の電磁比例弁35により前進又
は後進クラッチ5,6の作動圧が上昇操作されていき、
伝動側に操作されていく(時点B15)。
【0046】図2及び図3に示すクラッチペダル52を
踏み操作して、開閉弁51により前進又は後進クラッチ
5,6を半クラッチ状態に操作したとする。この場合、
図1に示すように前進及び後進クラッチ5,6の下手側
及び上手側に回転数センサー72,73を配置している
ので、両回転数センサー72,73の検出値の差により
前進又は後進クラッチ5,6で吸収されるエンジン1の
動力が算出され、吸収される動力の積算値が設定値に達
すると、前進又は後進クラッチ5,6に焼き付きが発生
すると判断されて、ブザー71が短い間隔で間欠的に作
動し作業者に報知するように構成している。
【0047】〔別実施例〕図2の実施例ではシフトアッ
プボタン61とシフトダウンボタン62とを別々に備え
たが、一つの変速スイッチ(図示せず)をシフトアップ
側及びシフトダウン側に操作することにより、シフトア
ップ信号及びシフトダウン信号が発信されるように構成
してもよい。
【0048】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】ミッションケース内の伝動系を示す概略図
【図2】変速レバーと第2副変速装置との連係状態、変
速表示部及び各部の連係状態を示す図
【図3】主変速装置及び第1副変速装置等の油圧回路図
【図4】変速レバーを低速位置又は高速位置に操作して
いる状態でのシフトアップボタン及びシフトダウンボタ
ンによる変速操作及び異常検出の制御の前半の流れを示
す図
【図5】変速レバーを低速位置又は高速位置に操作して
いる状態でのシフトアップボタン及びシフトダウンボタ
ンによる変速操作及び異常検出の制御の後半の流れを示
す図
【図6】変速レバーを中立停止位置に操作している状態
でのシフトアップボタン及びシフトダウンボタンによる
変速操作及び異常検出の制御の流れを示す図
【図7】変速レバーを低速位置又は高速位置に操作して
いる状態でのシフトアップボタン及びシフトダウンボタ
ンによる変速操作時において、主及び第1副変速装置側
の状態を示す図
【図8】図7における第1副変速装置側の所定低圧(P
3)の設定の流れを示す図
【図9】図7における第1副変速装置側の所定低圧(P
3)の設定時において、エンジンのアクセル位置とエン
ジンの無負荷時の回転数との関係を示す図
【図10】図7における第1副変速装置側の所定低圧
(P3)の設定時において、エンジンの無負荷時の回転
数及び現在の回転数の差と、エンジンに掛かる負荷との
関係を示す図
【図11】変速レバー及び操作ピンにより第2副変速装
置を変速操作する場合の前進又は後進クラッチ、及び第
1副変速装置側の状態を示す図
【符号の説明】 1 エンジ
ン 5,6 主クラ
ッチ 10 主変速
装置 11 副変速
装置 14,19 走行装
置 21,22,23,24,26,27 油圧ク
ラッチ 31b,32b,33b,34b,38,39 制御弁 61,62 変速操
作具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−142968(JP,A) 特開 平3−66975(JP,A) 特開 昭62−52255(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 61/00 - 61/36

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン(1)からの動力を主クラッチ
    (5),(6)、主変速装置(10)及び副変速装置
    (11)にこの順序で伝達し変速操作して、下手側の走
    行装置(14),(19)に伝達するように構成し、 前記主変速装置(10)及び副変速装置(11)を、複
    数個の多板式の油圧クラッチ(21),(22),(2
    3),(24),(26),(27)を並列的に配置
    し、前記複数の油圧クラッチ(21),(22),(2
    3),(24),(26),(27)のうちの一つに作
    動油を供給して伝動側に操作することにより変速操作す
    る油圧クラッチ型式に構成すると共に、 前記主及び副変速装置(10),(11)の各油圧クラ
    ッチ(21),(22),(23),(24),(2
    6),(27)に作動油の給排操作を行う制御弁(31
    b),(32b),(33b),(34b),(3
    8),(39)と、人為的な操作に基づいて前記主変速
    装置(10)用の変速指令を発信する変速操作具(6
    1),(62)とを備え、 前記変速操作具(61),(62)からの変速指令に基
    づいて、前記変速指令の発信前から作動油の供給側に操
    作されている主変速装置(10)の制御弁(31b),
    (32b),(33b),(34b)を排油側に操作
    し、前記変速指令に対応する主変速装置(10)の制御
    弁(31b),(32b),(33b),(34b)を
    作動油の供給側に操作する第1制御手段と、 前記変速操作具(61),(62)からの変速指令に基
    づいて、前記副変速装置(11)における作動油の供給
    側に操作されている制御弁(38),(39)を、作動
    油の排油側に操作し、再び作動油の供給側に漸次的に
    作して、前記主変速装置(10)の油圧クラッチ(2
    1),(22),(23),(24)における作動油の
    給排終了後に副変速装置(11)の油圧クラッチ(2
    6),(27)に対する作動油の供給が終了するように
    制御する第2制御手段とを備えてある作業車の走行変速
    構造。
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