JP4250544B2 - 作業車の走行変速構造 - Google Patents
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Description
特許文献1の構造では、例えば運転者の人為的な操作により、変速指令手段から変速指令が出されると、変速指令手段の変速指令により(特許文献1の図4のS9,S10)、油圧クラッチが遮断側に操作されて(特許文献1の図4のS12及び図5のA2)、走行用の変速装置が操作され(特許文献1の図4のS13及び図5のA1,A3)、油圧クラッチが伝動側に操作されるように構成されている(特許文献1の図4のS14及び図5のA2)。以上のようにして、一回の変速操作が行われる。
この場合、油圧クラッチ(特許文献1の図1の26,27)に圧力センサーを備えて、前述のように油圧クラッチが遮断側に操作されて、走行用の変速装置が操作され、油圧クラッチが伝動側に操作された際に、油圧クラッチが伝動状態に達すると(油圧クラッチの作動圧が伝動状態の作動圧(特許文献1の図5のP2及び段落番号[0038])に達すると)、変速指令手段の変速指令による変速操作が終了したと判断するように構成することが考えられる。
(構成)
本発明の第1特徴は作業車の走行変速構造において次のように構成することにある。
走行用の変速装置と油圧クラッチとを直列に配置し、手動操作による変速指令を出す変速指令手段を備える。変速指令手段の変速指令により、油圧クラッチを遮断側に操作し、走行用の変速装置を操作して、油圧クラッチを伝動側に操作する変速制御手段を備える。伝達される動力の回転数を検出する回転数センサーを、油圧クラッチの上手側及び下手側に備える。変速指令手段の変速指令に基づいて、変速制御手段により油圧クラッチが遮断側に操作されて、走行用の変速装置が操作され、油圧クラッチが伝動側に操作され動力が伝達されて、上手側及び下手側の回転数センサーの検出値に基づき同調が判定されると、変速指令手段の次の変速指令による変速制御手段の作動を許容する許容手段を備える。
走行用の変速装置と油圧クラッチとを直列に配置した場合、変速指令手段の変速指令により、油圧クラッチが遮断側に操作されて、走行用の変速装置が操作され、油圧クラッチが伝動側に操作された際に、エンジンに掛かる負荷によっては(例えばエンジンに掛かる負荷が小さい状態)、油圧クラッチが伝動状態に達しなくても(油圧クラッチの作動圧が伝動状態の作動圧に達しなくても)、油圧クラッチにより充分な動力が伝達される状態になることがある。
本発明の第1特徴によると、作業車の走行伝動構造において、変速指令手段の変速指令により、油圧クラッチが遮断側に操作されて、走行用の変速装置が操作され、油圧クラッチが伝動側に操作されて動力が伝達されるように構成した場合、油圧クラッチの上手側及び下手側の回転数センサーの検出値に基づき同調が判定されると、変速指令手段の次の変速指令による変速制御手段の作動が可能になるように構成することにより、変速指令手段の次の変速指令による変速制御手段の作動を早めることが可能になって、作業車の変速性能を向上させることができた。
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の作業車の走行変速構造において次のように構成することにある。
変速指令手段の変速指令に基づいて、変速制御手段により油圧クラッチが遮断側に操作されて、走行用の変速装置が操作され、油圧クラッチが伝動側に操作され動力が伝達されて、上手側及び下手側の回転数センサーの検出値に基づき同調が判定されなくても、油圧クラッチの作動圧が伝動状態の作動圧に達すると、変速指令手段の次の変速指令による変速制御手段の作動を許容するように、許容手段を構成する。
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[I]に記載のように走行用の変速装置と油圧クラッチとを直列に配置した場合、変速指令手段の変速指令により、油圧クラッチが遮断側に操作されて、走行用の変速装置が操作され、油圧クラッチが伝動側に操作されて動力が伝達される際に、エンジンに掛かる負荷によっては(例えばエンジンに掛かる負荷が大きい状態)、油圧クラッチにより充分な動力が伝達される状態に達するの時間を要することがある(油圧クラッチが滑り続けるような状態)。これによって、前項[I]に記載のように、上手側及び下手側の回転数センサーの検出値に基づき同調が判定されると、変速指令手段の次の変速指令による変速制御手段の作動を許容するように構成すれば、上手側及び下手側の回転数センサーの検出値に基づき同調が判定されるのに比較的時間を要して、変速指令手段の次の変速指令による変速操作の開始が遅れることが考えられる。
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、上手側及び下手側の回転数センサーの検出値に基づき同調が判定されなくても、油圧クラッチの作動圧が伝動状態の作動圧に達すると、変速指令手段の次の変速指令による変速制御手段の作動が可能になるように構成することによって、変速指令手段の次の変速指令による変速制御手段の作動が遅れる状態を防止することができて、作業車の変速性能を向上させることができた。
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1又は第2特徴の作業車の走行変速構造において次のように構成することにある。
変速制御手段の作動により油圧クラッチが遮断側に操作された際の油圧クラッチの作動圧を変更する作動圧制御手段と、エンジンに掛かる負荷を検出する負荷検出手段とを備える。変速指令手段から変速指令が出されると、変速指令手段の変速指令の前の変速指令による変速制御手段の作動により、上手側及び下手側の回転数センサーの検出値に基づき同調が判定された時点前の負荷検出手段の検出値に基づいて、作動圧制御手段が作動するように構成する。
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[I][II]に記載の変速制御手段を備える場合、変速制御手段の作動により油圧クラッチが遮断側に操作された際の油圧クラッチの作動圧を、エンジンに掛かる負荷に基づいて変更するように構成することが、変速指令手段の変速指令による変速操作がショック少なく滑らかに行われるようにすると言う面で、好ましいものとなっている。
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、変速制御手段の作動により油圧クラッチが遮断側に操作された際の油圧クラッチの作動圧を、エンジンに掛かる負荷に基づいて変更するように構成する場合、変速制御手段の作動により油圧クラッチが遮断側に操作された際の油圧クラッチの作動圧が、適正な作動圧に設定されるようにすることができ、変速指令手段の変速指令による変速操作がショック少なく滑らかに行われるようにすることができて、作業車の変速性能を向上させることができた。
図1は作業車の一例である四輪駆動型の農用トラクタのミッションケース8を示しており、エンジン1の動力が前進クラッチ5又は後進クラッチ6、円筒軸7、第1主変速装置10(走行用の変速装置に相当)、第2主変速装置11、副変速装置12及び後輪デフ装置13を介して後輪14に伝達される。後輪デフ装置13の直前から分岐した動力が伝動軸15、油圧クラッチ型式の前輪変速装置16、前輪伝動軸17及び前輪デフ装置18を介して前輪19に伝達される。エンジン1の動力が伝動軸2、油圧多板式のPTOクラッチ3及びPTO変速装置9を介してPTO軸4に伝達される。
次に、前進及び後進クラッチ5,6、第1及び第2主変速装置10,11に対する油圧回路について説明する。
図3に示すように、ポンプ29からの油路30に、前進及び後進クラッチ5,6に対する電磁比例弁35及びパイロット操作式の切換弁36a,37a、1速〜4速クラッチ21〜24に対するパイロット操作式の切換弁31a,32a,33a,34a、低速及び高速クラッチ26,27に対する電磁比例弁38,39が接続されている。
次に、前進及び後進クラッチ5,6、第1及び第2主変速装置10,11の操作部の構造について説明する。
図2及び図3に示すように、切換弁36a,37aの操作部からパイロット圧を排油可能な開閉弁51が備えられ、開閉弁51がバネで閉側に付勢されており、開閉弁51を開側に操作するクラッチペダル52が備えられている。前輪19の操縦ハンドル58の基部に、前進位置F、後進位置R及び中立位置Nに操作自在な前後進レバー59が備えられている。
次に、前後進レバー59の操作について、図2,3,4に基づいて説明する。
前後進レバー59が前進位置Fに操作されると(ステップS1)、電磁操作弁36bに操作電流が供給され切換弁36aが供給側に操作されて、前進クラッチ5が伝動側に操作され(ステップS2)、前進ランプ65が点灯する(ステップS3)。前後進レバー59が後進位置Rに操作されると(ステップS1)、電磁操作弁37bに操作電流が供給され切換弁37aが供給側に操作されて、後進クラッチ6が伝動側に操作され(ステップS4)、後進ランプ66が点灯し(ステップS5)、ブザー71が間欠的に作動する(ステップS6)。
次に、変速レバー28を低速位置L及び高速位置Hに操作している状態において、シフトアップボタン61及びシフトダウンボタン62の押し操作による変速操作ついて、図5に基づいて説明する。
図1に示すように、第1主変速装置10が4段に変速可能であり、第2主変速装置11が2段に変速可能なので、第1及び第2主変速装置10,11により8段に変速可能である。低速クラッチ26が伝動側に操作されている状態で、1速〜4速クラッチ21〜24が1速〜4速の変速位置に対応し、高速クラッチ27が伝動側に操作されている状態で、1速〜4速クラッチ21〜24が5速〜8速の変速位置に対応する。
次に、変速レバー28を中立位置Nに操作している状態において、シフトアップボタン61及びシフトダウンボタン62の押し操作による変速操作について、図5に基づいて説明する。
変速レバー28を中立位置Nに操作していると、副変速装置12(シフト部材53)(図1参照)が中立位置に操作されるので、機体は停止している。変速レバー28を中立位置Nに操作した状態において、シフトアップボタン61又はシフトダウンボタン62を押し操作すると(ステップS11,S12)、前項[5]と同様に第1及び第2主変速装置10,11(1速〜4速クラッチ21〜24、低速及び高速クラッチ26,27)が、1段高速側又は1段低速側に操作され(ステップS13,S14,S17)、変速操作後の変速位置が変速表示部64に表示されて(ステップS22)、ブザー71が1回だけ作動する(ステップS23)。
次に、変速レバー28による副変速装置12の変速操作について説明する。
変速レバー28を中立位置Nに操作すると、副変速装置12(シフト部材53)が中立位置に操作され、変速レバー28を低速位置Lに操作すると、副変速装置12(シフト部材53)が低速位置に操作され、変速レバー28を高速位置Hに操作すると、副変速装置12(シフト部材53)が高速位置に操作される。
次に、前項[5]及び図6の実線A2に示すように、低速又は高速クラッチ26,27の作動圧が所定低圧P3に操作される際において、所定低圧P3の設定について、図7,8,9に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、エンジン1のアクセル開度を人為的に任意の位置に設定可能なハンドアクセルレバー73が備えられて、ハンドアクセルレバー73の操作位置を検出するポテンショメータ型式の開度センサー75が備えられており、実際のエンジン1の回転数N2を検出する回転数センサー72が備えられている。
この場合、回転数差N3が大きいほど、エンジン1に掛かる負荷Tが大きいと判断されて、所定低圧P3が高いもの(伝動状態の作動圧P2に近い側)に設定されるのであり、逆に回転数差N3が小さいほどエンジン1に掛かる負荷Tが小さいと判断されて、所定低圧P3が低いもの(零側)に設定される。図8に示すように、変速位置(1速〜16速)が低速側(1速側)であるほど、エンジン1に掛かる負荷Tが大きいと判断されて、所定低圧P3が高いもの(伝動状態の作動圧P2に近い側)に設定される。
前述の[発明の実施の形態]において、図1に示す回転数センサー68を前進及び後進クラッチ5,6の上手側に備えたり、第1及び第2主変速装置10,11の間に備えてもよい。
第1及び第2主変速装置10,11が10段や6段に変速可能に構成された作業車にも本発明は適用でき、副変速装置12が高速位置、中速位置及び低速位置の3段に変速可能に構成された作業車にも本発明は適用できる。
10 走行用の変速装置
26,27 油圧クラッチ
61,62 変速指令手段
68,69 回転数センサー
P2,P3 作動圧
Claims (3)
- 走行用の変速装置と油圧クラッチとを直列に配置して、手動操作による変速指令を出す変速指令手段を備え、
前記変速指令手段の変速指令により、前記油圧クラッチを遮断側に操作し、前記走行用の変速装置を操作して、前記油圧クラッチを伝動側に操作する変速制御手段を備えると共に、
伝達される動力の回転数を検出する回転数センサーを、前記油圧クラッチの上手側及び下手側に備えて、
前記変速指令手段の変速指令に基づいて、前記変速制御手段により前記油圧クラッチが遮断側に操作されて、前記走行用の変速装置が操作され、前記油圧クラッチが伝動側に操作され動力が伝達されて、前記上手側及び下手側の回転数センサーの検出値に基づき同調が判定されると、前記変速指令手段の次の変速指令による変速制御手段の作動を許容する許容手段を備えてある作業車の走行変速構造。 - 前記変速指令手段の変速指令に基づいて、前記変速制御手段により前記油圧クラッチが遮断側に操作されて、前記走行用の変速装置が操作され、前記油圧クラッチが伝動側に操作され動力が伝達されて、前記上手側及び下手側の回転数センサーの検出値に基づき同調が判定されなくても、油圧クラッチの作動圧が伝動状態の作動圧に達すると、前記変速指令手段の次の変速指令による変速制御手段の作動を許容するように、前記許容手段を構成してある請求項1に記載の作業車の走行変速構造。
- 前記変速制御手段の作動により油圧クラッチが遮断側に操作された際の油圧クラッチの作動圧を変更する作動圧制御手段と、エンジンに掛かる負荷を検出する負荷検出手段とを備えて、
前記変速指令手段から変速指令が出されると、前記変速指令手段の変速指令の前の変速指令による変速制御手段の作動により、前記上手側及び下手側の回転数センサーの検出値に基づき同調が判定された時点前の負荷検出手段の検出値に基づいて、前記作動圧制御手段が作動するように構成してある請求項1又は2に記載の作業車の走行変速構造。
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