JP4971903B2 - 作業車の走行変速構造 - Google Patents
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Description
前述のように、油圧クラッチの作動圧を所定低圧に減圧操作し、油圧クラッチを半伝動状態とすることにより、変速時にエンジンの動力が走行装置(車輪等)にある程度伝達されるようにして、走行負荷による変速中の機体の走行速度の低下を抑えているのであり、その後に油圧クラッチの作動圧が昇圧操作された際(特許文献1の図7のP2)の変速ショックを抑えるようにしている。
従って、空調装置やフロントローダ装置等の負荷装置を駆動せずに走行すれば、エンジンの動力の略全てが走行に使用されるので、無負荷状態でのエンジンの回転数と実際のエンジンの回転数との回転数差が走行負荷と判断できるのであり、走行負荷だけがエンジンに掛かる負荷と判断できる。しかし、負荷装置を駆動しながら走行すれば、エンジンには走行負荷と負荷装置の負荷とが掛かることになるので、前述の回転数差をそのまま走行負荷と判断することはできない。
(構成)
本発明の第1特徴は作業車の走行変速構造において次のように構成することにある。
エンジンの下手側に、複数の変速位置を備えた走行用の変速装置と走行用の油圧クラッチとを直列に配置する。
変速指令に基づいて、伝動状態に操作されている変速装置の変速位置を遮断状態に操作し、変速指令に対応する変速装置の変速位置を伝動状態に操作する第1制御手段と、変速指令に基づいて、油圧クラッチの作動圧を所定低圧に減圧操作し、油圧クラッチの作動圧を昇圧操作する第2制御手段とを備える。
無負荷状態でのエンジンの回転数と実際のエンジンの回転数との回転数差を検出する検出手段を備え、検出手段で検出される回転数差が大きくなるほど、所定低圧を高圧側に設定する第3制御手段を備える。
機体に備えられた負荷装置又は機体に接続された負荷装置の作動及び停止状態を検出する作動検出手段を備え、作動検出手段による負荷装置の作動状態の検出に基づいて、負荷装置を駆動するのに必要なエンジンの動力に相当する分だけ、第3制御手段により設定される所定低圧を低圧側に変更する第4制御手段を備える。
本発明の第1特徴によると、第1制御手段、第2制御手段、検出手段及び第3制御手段を備えた場合、機体に備えられた負荷装置又は機体に接続された負荷装置の作動及び停止状態を検出する作動検出手段を備えており、作動検出手段による負荷装置の作動状態の検出に基づいて、負荷装置を駆動するのに必要なエンジンの動力に相当する分だけ、第3制御手段により設定される所定低圧を低圧側に変更する第4制御手段を備えている。
これにより、本発明の第1特徴によると、負荷装置の作動及び停止に関係なく、走行負荷だけに基づく回転数差に基づいて所定低圧が設定される状態が得られることになり、負荷装置の作動及び停止に関係なく、所定低圧が適切に設定されるようになる。
これ以外に例えば、無負荷状態でのエンジンの回転数と実際のエンジンの回転数との回転数差に基づいて所定低圧を設定した後、この所定低圧から設定圧(負荷装置を駆動するのに必要なエンジンの回転数(動力)に相当)を引いて(補正して)、所定低圧を設定する手段がある。
本発明の第1特徴によると、複数の変速位置を備えた走行用の変速装置と走行用の油圧クラッチとを直列に配置した作業車の走行変速構造において、機体に負荷装置を備えたり機体に負荷装置を接続した場合、負荷装置の作動及び停止に関係なく所定低圧が適切に設定され、変速ショックが抑えられるようになって、作業車の走行性能を向上させることができた。
図1は作業車の一例である四輪駆動型の農用トラクタのミッションケース8を示しており、エンジン1の動力が前進クラッチ5又は後進クラッチ6、円筒軸7、第1主変速装置10(走行用の変速装置に相当)、第2主変速装置11、副変速装置12及び後輪デフ装置13を介して後輪14に伝達される。後輪デフ装置13の直前から分岐した動力が伝動軸15、油圧クラッチ型式の前輪変速装置16、前輪伝動軸17及び前輪デフ装置18を介して前輪19に伝達される。エンジン1の動力が伝動軸2、油圧多板式のPTOクラッチ3及びPTO変速装置9を介してPTO軸4に伝達される。
副変速装置12は、シフト部材53をスライド操作するシンクロメッシュ型式に構成されて2段に変速可能であり、図2に示す変速レバー28によって機械的に操作される。
次に、前進及び後進クラッチ5,6、第1及び第2主変速装置10,11に対する油圧回路について説明する。
図3に示すように、ポンプ29からの油路30に、前進及び後進クラッチ5,6に対する電磁比例弁35及びパイロット操作式の切換弁36a,37a、1速〜4速クラッチ21〜24に対するパイロット操作式の切換弁31a,32a,33a,34a、低速及び高速クラッチ26,27に対する電磁比例弁38,39が接続されている。
次に、前進及び後進クラッチ5,6、第1及び第2主変速装置10,11の操作部の構造について説明する。
図3に示すように、切換弁36a,37aの操作部からパイロット圧を排油可能な開閉弁51が備えられ、開閉弁51がバネで閉側に付勢されており、開閉弁51を開側に操作するクラッチペダル52が備えられている。図2に示すように、前輪19の操縦ハンドル58の基部に、前進位置F、後進位置R及び中立位置Nに操作自在な前後進レバー59が備えられている。
次に、前後進レバー59の操作について、図4に基づいて説明する。
前後進レバー59を前進位置Fに操作すると(ステップS1)、電磁操作弁36bに操作電流が供給され切換弁36aが供給側に操作されて、前進クラッチ5が伝動状態に操作され(ステップS2)、前進ランプ65が点灯する(ステップS3)。前後進レバー59を後進位置Rに操作すると(ステップS1)、電磁操作弁37bに操作電流が供給され切換弁37aが供給側に操作されて、後進クラッチ6が伝動状態に操作され(ステップS4)、後進ランプ66が点灯し(ステップS5)、図2に示すブザー71が間欠的に作動する(ステップS6)。
次に、シフトアップボタン61又はシフトダウンボタン62の押し操作による第1及び第2主変速装置10,11の操作の前半について、図5に基づいて説明する。
図1に示すように、第1主変速装置10が4段に変速可能であり、第2主変速装置11が2段に変速可能なので、第1及び第2主変速装置10,11により8段に変速可能である。低速クラッチ26が伝動状態に操作されている状態で、1速〜4速クラッチ21〜24が1速〜4速の変速位置に対応し、高速クラッチ27が伝動状態に操作されている状態で、1速〜4速クラッチ21〜24が5速〜8速の変速位置に対応する。
農用トラクタでは、運転部を覆うキャビン(図示せず)を備えた場合、キャビンに空調装置(エアコン)(図示せず)(負荷装置に相当)を備えており、エンジン1によって駆動される発電機からの電力により、空調装置(エアコン)が駆動される。空調装置(エアコン)を作動及び停止させる空調スイッチ68が備えられている。
次に、シフトアップボタン61又はシフトダウンボタン62の押し操作による第1及び第2主変速装置10,11の操作の後半について、図5,6,7に基づいて説明する。
前項[5]に記載の状態において、シフトアップボタン61又はシフトダウンボタン62を押し操作したとする(ステップS16,S17)。
この場合、前項[5]に記載のように、空調スイッチ68のON位置及びOFF位置に関係なく、前輪19及び後輪14からの走行負荷だけに基づく実際のエンジン1の回転数N2、並びに、前輪19及び後輪14からの走行負荷だけに基づく回転数差N3が検出されているのであり、この回転数差N3に基づいて所定低圧P3が設定される。
この場合、機体は停止しているのでステップS22,S27のような、低速又は高速クラッチ26,27の作動圧の所定低圧P3への減圧操作、及び伝動状態の作動圧P2への昇圧操作は行われない。
次に、変速レバー28による副変速装置12の操作について説明する。
図2に示すように、変速レバー28を中立位置Nに操作すると、副変速装置12(シフト部材53)が中立位置に操作され、変速レバー28を低速位置Lに操作すると、副変速装置12(シフト部材53)が低速位置に操作され、変速レバー28を高速位置Hに操作すると、副変速装置12(シフト部材53)が高速位置に操作される。
前述の[発明を実施するための最良の形態]の図5のステップS13,S14,S15,S21において、以下のように構成してもよい。
図5のステップS13,S14,S15を削除して、空調スイッチ68のON位置及びOFF位置に関係なく、無負荷状態でのエンジン1の回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3に基づいて、所定低圧P3が設定されるように構成する。
所定低圧P3が設定された後、空調スイッチ68がOFF位置に操作されていると、所定低圧P3がそのまま使用され、空調スイッチ68がON位置に操作されていると、所定低圧P3から設定圧が引かれて(補正されて)、所定低圧P3が少し低められるように構成する(第4制御手段に相当)。この場合、空調装置(エアコン)を駆動するのに必要なエンジン1の動力が、設定圧に相当する。
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]において、空調装置(エアコン)(図示せず)に代わる負荷装置として、機体の前部に接続されるフロントローダ装置(エンジンの動力により駆動される油圧ポンプからの作動油により駆動される)(図示せず)や、機体の後部に接続されるロータリ耕耘装置(PTO軸4からの動力によって駆動される)(図示せず)を設定してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、図1に示す副変速装置12を第2主変速装置11と同様に、油圧多板式の低速クラッチ(図示せず)及び高速クラッチ(図示せず)を並列的に配置して構成し、副変速装置12の低速及び高速クラッチの各々に対して、電磁比例弁(図示せず)を備えるように構成してもよい。このように構成すると、第1及び第2主変速装置10,11、副変速装置12によって1速〜16速の変速位置が設定されることになり、シフトアップボタン61及びシフトダウンボタン62を押し操作することにより、第1及び第2主変速装置10,11、副変速装置12を、1速〜16速の変速位置に操作することができるように構成する。
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、図1に示す第1及び第2主変速装置10,11は油圧クラッチ型式に構成されているが、第1及び第2主変速装置10,11を副変速装置12と同様にシフト部材(図示せず)をスライド操作するギヤ変速型式に構成し、シフト部材を油圧シリンダ(図示せず)によりスライド操作して操作するように構成してもよい。
第1及び第2主変速装置10,11が10段や6段に変速可能に構成された作業車、副変速装置12が高速位置、中速位置及び低速位置の3段に変速可能に構成された作業車にも本発明は適用できる。
本発明は、無負荷状態でのエンジン1の回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2とに基づいて、第1及び第2主変速装置10,11が自動的に変速される作業車にも適用できる。
10 走行用の変速装置
26,27 油圧クラッチ
N1 無負荷状態でのエンジンの回転数
N2 実際のエンジンの回転数
N3 回転数差
P3 所定低圧
Claims (1)
- エンジンの下手側に、複数の変速位置を備えた走行用の変速装置と走行用の油圧クラッチとを直列に配置して、
変速指令に基づいて、伝動状態に操作されている前記変速装置の変速位置を遮断状態に操作し、変速指令に対応する前記変速装置の変速位置を伝動状態に操作する第1制御手段と、
変速指令に基づいて、前記油圧クラッチの作動圧を所定低圧に減圧操作し、前記油圧クラッチの作動圧を昇圧操作する第2制御手段とを備えると共に、
無負荷状態でのエンジンの回転数と実際のエンジンの回転数との回転数差を検出する検出手段を備えて、
前記検出手段で検出される回転数差が大きくなるほど、前記所定低圧を高圧側に設定する第3制御手段を備え、
機体に備えられた負荷装置又は機体に接続された負荷装置の作動及び停止状態を検出する作動検出手段を備えて、
前記作動検出手段による負荷装置の作動状態の検出に基づいて、前記負荷装置を駆動するのに必要なエンジンの動力に相当する分だけ、前記第3制御手段により設定される所定低圧を低圧側に変更する第4制御手段を備えてある作業車の走行変速構造。
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