JP2002104003A - 作業車の走行変速構造 - Google Patents

作業車の走行変速構造

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JP2002104003A
JP2002104003A JP2000300136A JP2000300136A JP2002104003A JP 2002104003 A JP2002104003 A JP 2002104003A JP 2000300136 A JP2000300136 A JP 2000300136A JP 2000300136 A JP2000300136 A JP 2000300136A JP 2002104003 A JP2002104003 A JP 2002104003A
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Akihiro Asada
朝田  晃宏
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業車の走行伝動構造において、走行モード
及びPTOモードの両方において、走行用の変速装置の
操作時に、エンジンの動力がショック少なく走行装置に
伝達されるように構成する。 【解決手段】 走行モード及びPTOモードを選択する
選択手段、エンジン1に掛かる負荷を検出する負荷検出
手段、負荷検出手段の検出値に基づいて走行用の油圧ク
ラッチ26,27の操作パターンを変更する第1制御手
段、負荷検出手段の検出値に関係なく走行用の油圧クラ
ッチ26,27の操作パターンを設定パターンに維持す
る第2制御手段を備える。選択手段により走行モードが
選択されると第1制御手段が作動し、選択手段によりP
TOモードが選択されると第2制御手段が作動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、作業車の走行変速
構造に関する。
【0002】
【従来の技術】作業車において走行用の変速装置に対し
走行用の油圧クラッチを備えた場合、走行用の変速装置
と走行用の油圧クラッチとを直列に配置して、走行用の
変速装置の操作時に、走行用の油圧クラッチが自動的に
伝動遮断側に操作され再び伝動側に操作されるように構
成したものがある。
【0003】前述のような作業車において、エンジンに
掛かる負荷を検出する負荷検出手段を備えることによ
り、走行用の油圧クラッチが自動的に伝動遮断側に操作
され再び伝動側に操作される際の操作パターンが、負荷
検出手段の検出値に基づいて変更されるように構成した
ものがある。これにより、台車やプラウ装置を牽引しな
がら走行する状態や何も牽引せずに走行する状態のよう
に、走行装置(走行用の車輪やクローラ走行装置等)か
らエンジンに掛かる負荷が変化しても、これに関係な
く、走行用の変速装置の操作時に、エンジンの動力が走
行用の油圧クラッチを介して、ショック少なく走行装置
に伝達されるようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】例えば、農用トラクタ
等の作業車においては、機体に備えられた作業装置に動
力を伝達するPTO伝動系を備えており、台車やプラウ
装置を牽引しながら走行する状態や何も牽引せずに走行
する状態(作業装置にエンジンの動力を伝達しない状
態)に加えて、PTO伝動系を介して作業装置にエンジ
ンの動力を伝達し作業装置を駆動しながら走行する状態
がある。これにより、走行装置から掛かる負荷及び作業
装置から掛かる負荷の2種類の負荷が、エンジンに掛か
る状態となっている。
【0005】本発明は、作業車の走行伝動構造におい
て、台車やプラウ装置を牽引しながら走行する状態や何
も牽引せずに走行する状態(作業装置にエンジンの動力
を伝達しない状態)、及びPTO伝動系を介して作業装
置にエンジンの動力を伝達し作業装置を駆動しながら走
行する状態の両方の状態で、走行用の変速装置の操作時
に、エンジンの動力がショック少なく走行装置に伝達さ
れるように構成することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】[I]作業車において走
行用の変速装置と走行用の油圧クラッチとを直列に配置
し、機体に備えられた作業装置に動力を伝達するPTO
伝動系を備えて、走行用の変速装置の操作時に、走行用
の油圧クラッチを自動的に伝動遮断側に操作し再び伝動
側に操作する操作手段を備えた場合、請求項1の特徴に
よると、エンジンに掛かる負荷を検出する負荷検出手
段、負荷検出手段の検出値に基づいて操作手段による走
行用の油圧クラッチの操作パターンを変更する第1制御
手段、負荷検出手段の検出値に関係なく操作手段による
走行用の油圧クラッチの操作パターンを設定パターンに
維持する第2制御手段を備えている。
【0007】台車やプラウ装置を牽引しながら走行する
状態や何も牽引せずに走行する状態(作業装置にエンジ
ンの動力を伝達しない状態)の場合には、走行装置から
エンジンに掛かる負荷が大きなものになることが多く、
走行装置からエンジンに掛かる負荷は比較的変化するこ
とが多い。逆に作業装置からエンジンに掛かる負荷は小
さなものになることが多く、作業装置からエンジンに掛
かる負荷はあまり変化しないことが多い。
【0008】請求項1の特徴によれば、選択手段により
走行モードが選択されると、負荷検出手段の検出値に基
づいて操作手段による走行用の油圧クラッチの操作パタ
ーンを変更する第1制御手段が作動する状態となる。従
って、請求項1の特徴によれば、走行用の変速装置の操
作が行われると、走行用の油圧クラッチが自動的に伝動
遮断側に操作され再び伝動側に操作されるのであり、走
行用の油圧クラッチが自動的に伝動遮断側に操作され再
び伝動側に操作される際の操作パターンが、負荷検出手
段の検出値に基づいて変更される。
【0009】これにより、請求項1の特徴によると、台
車やプラウ装置を牽引しながら走行する状態や何も牽引
せずに走行する状態(作業装置にエンジンの動力を伝達
しない状態)の場合、走行用の油圧クラッチが自動的に
伝動遮断側に操作され再び伝動側に操作される際の操作
パターンが、負荷検出手段の検出値に基づいて変更され
るように構成することにより、走行装置からエンジンに
掛かる負荷が変化しても、これに関係なくエンジンの動
力が走行用の油圧クラッチを介してショック少なく走行
装置に伝達されるようになる。
【0010】[II]PTO伝動系を介して作業装置に
エンジンの動力を伝達し作業装置を駆動しながら走行す
る状態の場合には、作業装置からエンジンに掛かる負荷
が大きなものになることが多く、作業装置からエンジン
に掛かる負荷は比較的変化することが多い。逆に走行装
置からエンジンに掛かる負荷は小さなものになることが
多く、走行装置からエンジンに掛かる負荷はあまり変化
しないことが多い。この場合、走行用の変速装置の操作
時に、変化する作業装置からエンジンに掛かる負荷に基
づいて、走行用の油圧クラッチが自動的に伝動遮断側に
操作され再び伝動側に操作される際の操作パターンが変
更されるようにすると、走行装置からエンジンに掛かる
負荷があまり変化しない状態であるのに、走行用の油圧
クラッチが自動的に伝動遮断側に操作され再び伝動側に
操作される際の操作パターンが変更されることになっ
て、エンジンの動力が走行用の油圧クラッチを介して走
行装置に伝達される際に、ショックの生じることがあ
る。
【0011】請求項1の特徴によれば、選択手段により
PTOモードが選択されると、負荷検出手段の検出値に
関係なく操作手段による走行用の油圧クラッチの操作パ
ターンを設定パターンに維持する第2制御手段が作動す
る状態となる。従って、請求項1の特徴によれば、走行
用の変速装置の操作が行われると、走行用の油圧クラッ
チが自動的に伝動遮断側に操作され再び伝動側に操作さ
れるのであり、走行用の油圧クラッチが自動的に伝動遮
断側に操作され再び伝動側に操作される際の操作パター
ンが、設定パターンに維持される。
【0012】これにより、請求項1の特徴によると、P
TO伝動系を介して作業装置にエンジンの動力を伝達し
作業装置を駆動しながら走行する状態のように、走行装
置からエンジンに掛かる負荷があまり変化しない状態で
は、走行用の油圧クラッチが自動的に伝動遮断側に操作
され再び伝動側に操作される際の操作パターンを、設定
パターンに維持することにより、エンジンの動力が走行
用の油圧クラッチを介して走行装置に伝達される際に生
じるショックを抑えることができる。
【0013】[III]請求項2の特徴によると、請求
項1の場合と同様に前項[I][II]に記載の「作
用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」
を備えている。PTO伝動系を介して作業装置にエンジ
ンの動力を伝達し作業装置を駆動しながら走行する状態
において、機体に備えられた作業装置を変更すれば、作
業装置からエンジンに掛かる負荷の状態も変化する。こ
の場合、機体に備えられた作業装置によって走行用の変
速装置に適切な変速位置があり、機体に備えられた作業
装置を変更すれば、走行用の変速装置の適切な変速位置
も変わる。
【0014】請求項2の特徴によると、第2制御手段の
設定パターンを走行用の変速装置の変速位置に応じて変
更するように構成しているので、前述のように機体に備
えられた作業装置を変更して、作業装置からエンジンに
掛かる負荷の状態が変化しても、走行用の変速装置の変
速位置に応じて、走行用の油圧クラッチが自動的に伝動
遮断側に操作され再び伝動側に操作される際の設定パタ
ーン(操作パターン)(前項[II]参照)を、適切な
ものにすることが可能になる。
【0015】[IV]請求項3の特徴によると、請求項
1の場合と同様に前項[I][II]に記載の「作用」
を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備
えている。PTO伝動系を介して作業装置にエンジンの
動力を伝達し作業装置を駆動しながら走行する状態にお
いて、機体に備えられた作業装置を変更すれば、作業装
置からエンジンに掛かる負荷の状態も変化する。この場
合、機体に備えられた作業装置によって適切なエンジン
のアクセル開度があり、機体に備えられた作業装置を変
更すれば、適切なエンジンのアクセル開度も変わる。
【0016】請求項3の特徴によると、第2制御手段の
設定パターンをエンジンのアクセル開度に応じて変更す
るように構成しているので、前述のように機体に備えら
れた作業装置を変更して、作業装置からエンジンに掛か
る負荷の状態が変化しても、エンジンのアクセル開度に
応じて、走行用の油圧クラッチが自動的に伝動遮断側に
操作され再び伝動側に操作される際の設定パターン(操
作パターン)(前項[II]参照)を、適切なものにす
ることが可能になる。
【0017】[V]請求項4の特徴によると、請求項2
又は3の場合と同様に前項[I]〜[IV]に記載の
「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作
用」を備えている。PTO伝動系を介して作業装置にエ
ンジンの動力を伝達し作業装置を駆動しながら走行する
状態では、前項[II]に記載のように、走行装置から
エンジンに掛かる負荷は小さなものになることが多く、
走行装置からエンジンに掛かる負荷はあまり変化しない
ことが多いのであるが、作業地の状態が水平な状態から
上り坂や下り坂の状態になると、走行装置からエンジン
に掛かる負荷は変化する。
【0018】請求項4の特徴によると、機体の前後方向
の傾斜角度を検出する傾斜検出手段を備えており、第2
制御手段の設定パターンを傾斜検出手段の検出値に応じ
て変更するように構成しているので、前述のように作業
地の状態が水平な状態から上り坂や下り坂の状態にな
り、走行装置からエンジンに掛かる負荷が変化しても、
機体の前後方向の傾斜角度に応じて、走行用の油圧クラ
ッチが自動的に伝動遮断側に操作され再び伝動側に操作
される際の設定パターン(操作パターン)(前項[I
I]参照)を、適切なものにすることが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】[1]図1は、作業車の一例であ
る四輪駆動型の農用トラクタのミッションケース8を示
しており、エンジン1の動力が前進クラッチ5又は後進
クラッチ6、円筒軸7、第1主変速装置10、第2主変
速装置11、副変速装置12及び後輪デフ装置13を介
して右及び左の後輪14に伝達される。後輪デフ装置1
3の直前から分岐した動力が伝動軸15、油圧クラッチ
型式の前輪変速装置16、前輪伝動軸17及び前輪デフ
装置18を介して、右及び左の前輪19に伝達される。
【0020】図1に示すように、前進クラッチ5及び後
進クラッチ6は、摩擦板(図示せず)とピストン(図示
せず)とを組み合わせた油圧多板式で、作動油を供給す
ることにより伝動側に操作される。前進クラッチ5を伝
動側に操作すると、エンジン1の動力が前進クラッチ5
から円筒軸7に直接流れて機体は前進する。後進クラッ
チ6を伝動側に操作すると、エンジン1の動力が後進ク
ラッチ6及び伝動軸20を介して、逆転状態で円筒軸7
に伝達されて機体は後進する。
【0021】図1に示すように、第1主変速装置10は
4個の油圧多板式の1速クラッチ21、2速クラッチ2
2、3速クラッチ23及び4速クラッチ24を並列的に
配置した油圧クラッチ型式に構成されて4段に変速可能
であり、1速〜4速クラッチ21〜24のうちの一つを
伝動側に操作することにより、円筒軸7の動力が4段に
変速されて伝動軸25に伝達される。
【0022】図1に示すように、第2主変速装置11も
2個の油圧多板式の低速クラッチ26、及び高速クラッ
チ27を並列的に配置した油圧クラッチ型式に構成され
ており、低速及び高速クラッチ26,27の一方を伝動
側に操作することによって、伝動軸25の動力が2段に
変速されて副変速装置12に伝達される。副変速装置1
2は、シフト部材53をスライド操作するシンクロメッ
シュ型式に構成されて2段に変速可能であり、変速レバ
ー28(図2参照)によって機械的に操作される。
【0023】[2]次に、PTO伝動系について説明す
る。図1に示すように、変速されないエンジン1の動力
(前進及び後進クラッチ5,6、第1及び第2主変速装
置10,11、副変速装置12を通らないエンジン1の
動力)を伝達する伝動軸2、伝動軸63、伝動軸2,6
3の間に配置された油圧多板式のPTOクラッチ3、伝
動軸63にスプライン構造により一体回転自在及びスラ
イド自在に外嵌されたシフトギヤ68が備えられてお
り、伝動軸63の動力がPTO変速装置9を介して、P
TO軸4に伝達されるように構成されている。
【0024】図1に示すように、PTO変速装置9はシ
フト部材69をスライド操作することにより2段に変速
可能であり、切換レバー(図示せず)により機械的にシ
フト部材69をスライド操作するように構成されてい
る。シフトギヤ68も同様に切換レバー(図示せず)に
より、機械的にスライド操作されるように構成されてい
る。
【0025】以上の構造により、シフトギヤ68をPT
Oクラッチ3のケースに咬合させた状態において、PT
Oクラッチ3を伝動側に操作すると、変速されないエン
ジン1の動力(前進及び後進クラッチ5,6、第1及び
第2主変速装置10,11、副変速装置12を通らない
エンジン1の動力)が、PTOクラッチ3、シフトギヤ
68、伝動軸63及びPTO変速装置9を介してPTO
軸4に伝達される。
【0026】シフトギヤ68をスライド操作してPTO
クラッチ3のケースから離間させ、後輪デフ装置13の
直前の伝動ギヤ72に咬合させると、変速されたエンジ
ン1の動力(前進及び後進クラッチ5,6、第1及び第
2主変速装置10,11、副変速装置12を通ったエン
ジン1の動力)が、伝動ギヤ72、シフトギヤ68、伝
動軸63及びPTO変速装置9を介してPTO軸4に伝
達される。
【0027】[3]次に、前進及び後進クラッチ5,
6、第1及び第2主変速装置10,11に対する油圧回
路について説明する。図3に示すように、ポンプ29か
らの油路30に、前進及び後進クラッチ5,6に対する
電磁比例弁35及びパイロット操作式の切換弁36a,
37a、1速〜4速クラッチ21〜24に対するパイロ
ット操作式の切換弁31a,32a,33a,34a、
低速及び高速クラッチ26,27に対する電磁比例弁3
8,39が並列的に接続されている。
【0028】図3に示すように、油路30から分岐した
油路40に、前輪デフ装置18におけるデフロック操作
用の油圧クラッチ41に対するパイロット操作式の切換
弁42a、後輪デフ装置13におけるデフロック操作用
の油圧クラッチ43に対するパイロット操作式の切換弁
44a、前輪変速装置16の標準クラッチ45及び増速
クラッチ46(図1参照)に対するパイロット操作式の
切換弁47a,48aが並列的に接続されている。切換
弁31a〜34a,36a,37a,42a,44a,
47a,48aは、バネで排油側(伝動遮断側)に付勢
されており、パイロット作動油が供給されることで供給
側(伝動側)に操作される。
【0029】図3に示すように、油路30から減圧弁4
9を介してパイロット油路50が分岐し、パイロット油
路50が切換弁31a〜34a,36a,37a,42
a,44a,47a,48aの操作部に接続されてお
り、操作部に電磁操作弁31b,32b,33b,34
b,36b,37b,42b,44b,47b,48b
が接続されている。電磁操作弁31b〜34b,36
b,37b,42b,44b,47b,48bは、バネ
で排油側(伝動遮断側)に付勢されており、これらを電
気的に供給側に操作すると、パイロット作動油が切換弁
31a〜34a,36a,37a,42a,44a,4
7a,48aの操作部に供給されて、これらが供給側
(伝動側)に操作される。
【0030】[4]次に、前進及び後進クラッチ5,
6、第1及び第2主変速装置10,11の操作部の構成
について説明する。図3及び図2に示すように、前進及
び後進クラッチ5,6の切換弁36a,37aの操作部
からパイロット作動油を排油可能な開閉弁51が備えら
れ、開閉弁51がバネで閉側に付勢されており、開閉弁
51を機械的に開側に操作するクラッチペダル52が備
えられている。前輪19の操縦ハンドル58の基部に、
前進位置F、後進位置R及び中立位置Nに操作自在な前
後進レバー59が備えられている。
【0031】図2に示すように、機体の操縦部の横軸芯
周りに変速レバー28が揺動操作自在に支持されて、副
変速装置12(図1参照)のシフト部材53をスライド
操作するシフトフォーク54と変速レバー28とが、連
係機構55により機械的に連動連結されている。変速レ
バー28を中立位置N、低速位置L及び高速位置Hに操
作することにより、副変速装置12(シフト部材53)
を中立位置、低速位置及び高速位置に操作することがで
きるように構成されており、変速レバー28の操作位置
を検出する位置センサー70が備えられている。
【0032】図2に示すように、変速レバー28の横側
部に出退操作自在なロックピン56が備えられて、ロッ
クピン56を出退操作する操作ボタン57が変速レバー
28の上部に備えられている。ロックピン56はバネ
(図示せず)により突出側(図2の紙面右方)に付勢さ
れており(操作ボタン57も図2の紙面左方の突出側に
付勢されている)、固定部のガイド板60にロックピン
56を係合させることにより、変速レバー28を中立位
置N、低速位置L及び高速位置Hに保持する。操作ボタ
ン57を押し操作するとロックピン56が退入操作され
て、変速レバー28を中立位置N、低速位置L及び高速
位置Hに操作することができる。
【0033】図2に示すように、変速レバー28の左横
側面に、シフトアップボタン61及びシフトダウンボタ
ン62が上下に配置されており、後述するようにシフト
アップボタン61及びシフトダウンボタン62を一度押
し操作すると、一つのシフトアップ信号及びシフトダウ
ン信号が発信されて、図1に示す第1及び第2主変速装
置10,11が操作される。
【0034】図2に示すように、第1及び第2主変速装
置10,11の変速位置(1速〜8速)を表示する7セ
グメントの変速表示部64、前後進レバー59により前
進及び後進クラッチ5,6のどちらが伝動側に操作され
ているかを表示する前進ランプ65及び後進ランプ6
6、変速レバー28又は前後進レバー59が中立位置N
に操作されていることを示す中立ランプ67が操縦部に
備えられている。図3に示すように、前進及び後進クラ
ッチ5,6の作動圧が伝動状態の所定圧に達しているか
否かを検出する圧力センサー74が備えられており、圧
力センサー74の検出により前進及び後進ランプ65,
66を点灯させる。
【0035】[5]次に、変速レバー28を低速位置L
及び高速位置Hに操作している状態において、シフトア
ップボタン61及びシフトダウンボタン62による操作
について、図4に基づいて説明する。前後進レバー59
が前進位置Fに操作されていると(ステップS1)、電
磁操作弁36bに操作電流が供給され(ステップS
2)、切換弁36aが供給側に操作されて前進クラッチ
5が伝動側に操作され、前進ランプ65が点灯する(ス
テップS3)。前後進レバー59が後進位置Rに操作さ
れていると(ステップS1)、電磁操作弁37bに操作
電流が供給され(ステップS4)、切換弁37aが供給
側に操作されて後進クラッチ6が伝動側に操作され、後
進ランプ66が点灯し(ステップS5)、ブザー71
(図2参照)が間欠的に作動する(ステップS6)。
【0036】前後進レバー59が中立位置Nに操作され
ていると(ステップS1)、電磁操作弁36b,37b
への操作電流が遮断されて、前進及び後進クラッチ5,
6が伝動遮断側に操作され(ステップS7)、中立ラン
プ67が点灯する(ステップS8)。このように、前進
及び後進クラッチ5,6の両方が伝動遮断側に操作され
ると、前進及び後進クラッチ5,6において動力が遮断
されて、機体が停止する。
【0037】図1に示すように第1主変速装置10が4
段に変速可能で、第2主変速装置11が2段に変速可能
であるから、第1及び第2主変速装置10,11により
8段の変速が可能である。この場合、第2主変速装置1
1の低速クラッチ26が伝動側に操作されている状態
で、第1主変速装置10の1速〜4速クラッチ21〜2
4が1速〜4速の変速位置に対応するのであり、第2主
変速装置11の高速クラッチ27が伝動側に操作されて
いる状態で、第1主変速装置10の1速〜4速クラッチ
21〜24が5速〜8速の変速位置に対応する。
【0038】図3に示すように、1速〜4速クラッチ2
1〜24、低速及び高速クラッチ26,27の各々に、
作動圧が伝動状態の作動圧P1,P2に達しているか否
かを検出する圧力センサー74が備えられており、圧力
センサー74の検出により、現在の第1及び第2主変速
装置10,11の変速位置(1速〜8速)が検出され
て、検出された変速位置が変速表示部64に表示される
(ステップS9)。
【0039】以上の状態で、シフトアップボタン61又
はシフトダウンボタン62を一度押し操作したとする
(ステップS10,S11)。この場合、図5の実線A
1(時点B1)に示すように、シフトアップボタン61
を押し操作した場合には、現在の変速位置よりも1段高
速側の変速位置の電磁操作弁31b〜34bに対して操
作電流が供給され始め、逆にシフトダウンボタン62を
押し操作した場合には、現在の変速位置よりも1段低速
側の変速位置の電磁操作弁31b〜34bに対して操作
電流が供給され始める(ステップS12)。
【0040】変速レバー28が中立位置Nではなく低速
位置L又は高速位置Hに操作されていると(ステップS
13)、ステップS12と略同時に図5の実線A2(時
点B1)に示すように、伝動側に操作されている低速又
は高速クラッチ26,27の電磁比例弁38,39によ
り、伝動側に操作されている低速又は高速クラッチ2
6,27の作動圧が伝動状態の作動圧P2から、所定低
圧P3に減圧操作される(ステップS14)。この場
合、4速の変速位置から5速の変速位置への操作時に
は、低速クラッチ26の作動圧が零に減圧操作され、高
速クラッチ27の作動圧が零から所定低圧P3に昇圧操
作される。逆に5速の変速位置から4速の変速位置への
操作時には、高速クラッチ27の作動圧が零に減圧操作
され、低速クラッチ26の作動圧が零から所定低圧P3
に昇圧操作される。
【0041】図5の実線A1(時点B2から時点B3)
に示すように、1段高速側又は1段低速側の1速〜4速
クラッチ21〜24の作動圧が電磁操作弁31b〜34
bにより伝動状態の作動圧P1に昇圧操作される。これ
と同時に図5の一点鎖線A3(時点B2から時点B3)
に示すように、シフトアップボタン61又はシフトダウ
ンボタン62の押し操作前の1速〜4速クラッチ21〜
24の作動圧が、電磁操作弁31b〜34bにより伝動
状態の作動圧P1から零に減圧操作される(ステップS
15)。
【0042】変速レバー28が中立位置Nではなく低速
位置L又は高速位置Hに操作されていると(ステップS
16)、所定低圧P3に維持されていた低速又は高速ク
ラッチ26,27の作動圧が、図5の実線A2(時点B
3から時点B4)に示すように、電磁比例弁38,39
により漸次的に昇圧操作されていき低速又は高速クラッ
チ26,27の作動圧が伝動状態の作動圧P2に達する
(ステップS17)。この場合、図5の実線A2の時点
B3から時点B4において、低速又は高速クラッチ2
6,27の作動圧の昇圧特性が変速位置の各々に対して
設定されており、低速側(1速側)の変速位置ほど、時
点B3から時点B4の作動圧が短時間で急速に昇圧操作
される。
【0043】以上のようにして、シフトアップボタン6
1又はシフトダウンボタン62の押し操作による1回の
操作を終了するのであり、操作が終了すると操作後の変
速位置が変速表示部64に表示され(ステップS1
8)、ブザー71が1回だけ作動して操作の終了が操縦
者に報知される(ステップS19)。以上のような操作
はシフトアップボタン61又はシフトダウンボタン62
を押し続けていても連続的に行われることはなく、シフ
トアップボタン61又はシフトダウンボタン62を一度
戻し操作して再び押し操作しないと、次の一回の操作は
行われない。
【0044】[6]次に、変速レバー28を中立位置N
に操作している状態において、シフトアップボタン61
及びシフトダウンボタン62による操作について、図4
に基づいて説明する。変速レバー28を中立位置Nに操
作していると、副変速装置12(シフト部材53)(図
1参照)が中立位置に操作されるので、機体は停止して
いる。変速レバー28を中立位置Nに操作した状態にお
いて、シフトアップボタン61又はシフトダウンボタン
62を押し操作すると(ステップS10,S11)、前
項[5]と同様に、押し操作に応じて第1及び第2主変
速装置10,11が、1段高速側又は1段低速側に操作
され(ステップS12,S15)、操作の度に第1及び
第主変速装置10,11の変速位置が変速表示部64に
表示されて(ステップS18)、ブザー71が1回だけ
作動する(ステップS19)。
【0045】この場合、機体は停止しているのでステッ
プS14,S17のような、低速及び高速クラッチ2
6,27の作動圧の所定低圧P3への減圧操作、及び伝
動状態の作動圧P2への昇圧操作は行われない(ステッ
プS13,S16)。以上のような操作はシフトアップ
ボタン61又はシフトダウンボタン62を押し続けてい
ても連続的に行われることはなく、シフトアップボタン
61又はシフトダウンボタン62を一度戻し操作して再
び押し操作しないと、次の一回の操作は行われない。
【0046】前項[5]及び[6]に記載のように、変
速レバー28を中立位置N、低速位置L及び高速位置H
に操作している状態において、シフトアップボタン61
及びシフトダウンボタン62を押し操作することによ
り、第1及び第2主変速装置10,11を全ての変速位
置(1速〜8速)に操作することができる。
【0047】[7]次に、変速レバー28による副変速
装置12の変速操作について説明する。変速レバー28
を中立位置Nに操作すると、副変速装置12(シフト部
材53)が中立位置に操作され、変速レバー28を低速
位置Lに操作すると、副変速装置12(シフト部材5
3)が低速位置に操作され、変速レバー28を高速位置
Hに操作すると、副変速装置12(シフト部材53)が
高速位置に操作される。
【0048】例えば前後進レバー59を前進位置Fに操
作し(前進クラッチ5が伝動側に操作され、後進クラッ
チ6が伝動遮断側に操作されている状態)、変速レバー
28を低速位置L(高速位置H)に操作している状態に
おいて(操作ボタン57及びロックピン56により変速
レバー28を低速位置L(高速位置H)に保持している
状態)、操作ボタン57を押し操作してロックピン56
をガイド板60から退入操作すると、電磁操作弁36b
により切換弁36aが排油側に操作されて、前進クラッ
チ5が伝動遮断側に自動的に操作される。
【0049】これにより、操作ボタン57を押し操作し
た状態で変速レバー28を低速位置L(高速位置H)か
ら中立位置N、高速位置H(低速位置L)に操作して、
操作ボタン57を戻し操作し、ロックピン56により変
速レバー28を中立位置N、高速位置H(低速位置L)
に保持する。
【0050】この場合、中立位置Nにおいて操作ボタン
57を戻し操作すると、電磁操作弁36bにより切換弁
36aが供給側に操作されて、電磁比例弁35により前
進クラッチ5が直ちに伝動側に自動的に操作される。高
速位置H(低速位置L)において操作ボタン57を戻し
操作すると、電磁操作弁36bにより切換弁36aが供
給側に操作されて、電磁比例弁35により前進クラッチ
5が漸次的に伝動側に自動的に操作される。
【0051】前後進レバー59を後進位置Rに操作した
状態において(後進クラッチ6が伝動側に操作され、前
進クラッチ5が伝動遮断側に操作されている状態)、前
述のように変速レバー28の操作ボタン57を押し及び
戻し操作すると、前述と同様に後進クラッチ6が自動的
に伝動遮断側及び伝動側に操作される。
【0052】[8]次に、前項[5]及び図5の実線A
2に示すように、低速又は高速クラッチ26,27の作
動圧が所定低圧P3に減圧操作される際において、所定
低圧P3の設定について、図8に基づいて説明する。図
2に示すように、エンジン1のアクセル開度を人為的に
任意の位置に設定可能なハンドアクセルレバー73が備
えられて、ハンドアクセルレバー73の操作位置を検出
するポテンショメータ型式の開度センサー75が備えら
れており、エンジン1の回転数を検出する回転数センサ
ー76が備えられている。
【0053】図2に示すように、走行モード及びPTO
モードを選択する選択スイッチ77が備えられており、
選択スイッチ77は操縦者が人為的に操作するように構
成されている。この場合、台車やプラウ装置を牽引しな
がら走行する状態や何も牽引せずに走行する状態(作業
装置にエンジン1の動力を伝達しない状態)では、走行
モードを選択すればよく、機体に備えられた作業装置に
PTO軸4を介してエンジン1の動力を伝達し作業装置
を駆動しながら走行する状態では、PTOモードを選択
すればよい。
【0054】図6に示すように、エンジン1に負荷が掛
からない無負荷状態(前進及び後進クラッチ5,6を伝
動遮断側に操作し、且つPTOクラッチ3を伝動遮断側
に操作した状態)において、無負荷状態での回転数セン
サー76の検出値(無負荷状態でのエンジン1の回転数
N1)と、開度センサー75の検出値(ハンドアクセル
レバー73の操作位置)との関係が、関係データC1と
して求められて記憶されている。
【0055】図4のステップS10,S11のようにシ
フトアップボタン61又はシフトダウンボタン62が押
し操作された場合(ステップS21,S22)、選択ス
イッチ77により走行モードが選択されていると(ステ
ップS23)、ハンドアクセルレバー73の操作位置が
検出され(ステップS24)、ハンドアクセルレバー7
3の操作位置に対応した無負荷状態でのエンジン1の回
転数N1が、図6に示す関係データC1に基づいて求め
られる(ステップS25)。
【0056】次に、エンジン1の現在の回転数N2が回
転数センサー76により検出されて(ステップS2
6)、無負荷状態でのエンジン1の回転数N1とエンジ
ン1の現在の回転数N2との回転数差N3が求められ
(ステップS27)、シフトアップボタン61及びシフ
トダウンボタン62の押し操作前の第1及び第2主変速
装置10,11、副変速装置12の変速位置(1速〜1
6速)が検出される(ステップS28)。
【0057】副変速装置12の低速位置で第1及び第2
主変速装置10,11が1速〜8速の変速位置に対応
し、副変速装置12の高速位置で第1及び第2主変速装
置10,11が9速〜16速の変速位置に対応すること
になる。図7に示すように、回転数差N3とエンジン1
に掛かる負荷Tとの関係が、変速位置(1速〜16速)
に基づいて事前にマップデータとして求められて記憶さ
れている。これにより、回転数差N3及びステップS2
8で検出された変速位置(1速〜16速)に基づいて、
図7によりエンジン1に掛かる負荷Tが求められ(ステ
ップS29)、エンジン1に掛かる負荷Tに基づいて所
定低圧P3が設定される(ステップS30)。
【0058】この場合、回転数差N3が大きいほど、エ
ンジン1に掛かる負荷Tが大きいと判断され、所定低圧
P3が高いもの(伝動状態の作動圧P2に近い側)に設
定されるのであり、逆に回転数差N3が小さいほどエン
ジン1に掛かる負荷Tが小さいと判断されて、所定低圧
P3が低いもの(零側)に設定される。図7に示すよう
に、ステップS28で検出された変速位置(1速〜16
速)が低速側(1速側)であるほど、エンジン1に掛か
る負荷Tが大きいと判断されて、所定低圧P3が高いも
の(伝動状態の作動圧P2に近い側)に設定される。
【0059】図4のステップS10,S11のようにシ
フトアップボタン61又はシフトダウンボタン62が押
し操作された場合(ステップS21,S22)、選択ス
イッチ77によりPTOモードが選択されていると(ス
テップS23)、シフトアップボタン61及びシフトダ
ウンボタン62の押し操作前の第1及び第2主変速装置
10,11、副変速装置12の変速位置(1速〜16
速)が検出される(ステップS31)。値の異なる複数
の所定低圧P3が事前に設定されており、ステップS3
1で検出された変速位置(1速〜16速)に応じて、複
数の所定低圧P3のうちから一つの所定低圧P3が選択
される(ステップS32)。
【0060】機体に備えられた作業装置にPTO軸4を
介してエンジン1の動力を伝達し作業装置を駆動しなが
ら走行する状態では、機体に備えられた作業装置に応じ
て適切な変速位置(1速〜16速)があり、機体に備え
られた作業装置に応じて、操縦者はシフトアップボタン
61及びシフトダウンボタン62を押し操作し、変速レ
バー28を低速及び高速位置L,Hに操作して、適切な
変速位置(1速〜16速)を設定する。言い換えると、
機体にどのような作業装置を備えるかにより、変速位置
(1速〜16速)が略決まる状態となっており、変速位
置(1速〜16速)に応じて適切な所定低圧P3を設定
しておけば、機体に備えられた作業装置にとって適切な
所定低圧P3が設定されるようにすることができる。
【0061】[発明の実施の第1別形態]前述の[発明
の実施の形態]において、図8のステップS31,S3
2を次のように構成してもよい。図4のステップS1
0,S11のようにシフトアップボタン61又はシフト
ダウンボタン62が押し操作された場合(ステップS2
1,S22)、選択スイッチ77によりPTOモードが
選択されていると(ステップS23)、シフトアップボ
タン61及びシフトダウンボタン62の押し操作前のハ
ンドアクセルレバー73の操作位置(エンジン1のアク
セル開度)が検出され、事前に設定された値の異なる複
数の所定低圧P3のうちから、検出されたハンドアクセ
ルレバー73の操作位置(エンジン1のアクセル開度)
に応じて、一つの所定低圧P3が選択されるように構成
する。
【0062】機体に備えられた作業装置にPTO軸4を
介してエンジン1の動力を伝達し作業装置を駆動しなが
ら走行する状態では、機体に備えられた作業装置に応じ
て、適切なハンドアクセルレバー73の操作位置(エン
ジン1のアクセル開度)があり、機体に備えられた作業
装置に応じて、操縦者はハンドアクセルレバー73を適
切な操作位置(エンジン1のアクセル開度)に操作す
る。言い換えると、機体にどのような作業装置を備える
かにより、ハンドアクセルレバー73の操作位置(エン
ジン1のアクセル開度)が略決まる状態となっており、
ハンドアクセルレバー73の操作位置(エンジン1のア
クセル開度)に応じて適切な所定低圧P3を設定してお
けば、機体に備えられた作業装置にとって適切な所定低
圧P3が設定されるようにすることができる。
【0063】[発明の実施の第2別形態]前述の[発明
の実施の形態]及び[発明の実施の第1別形態]におい
て、所定低圧P3が選択された後、次のような選択され
た所定低圧P3を補正する構成を加えてもよい。機体の
前後方向の傾斜角度を検出する傾斜検出手段(例えば重
垂式等)を備えて、機体の前後方向の傾斜角度が水平状
態から上向きになるほど、選択された所定低圧P3を高
いもの(伝動状態の作動圧P2に近い側)に補正する。
同様に機体の前後方向の傾斜角度が水平状態から下向き
になるほど、選択された所定低圧P3を高いもの(伝動
状態の作動圧P2に近い側)に補正する。
【0064】作業地が上り坂の状態であれば、操作中
(図4のステップS12〜S17、図5の時点B1〜B
3)に、エンジン1の動力が前輪19及び後輪14に伝
達されない中立状態が生じた際、機体の走行速度が急速
に低下するような状態になることがあるので、前述のよ
うに所定低圧P3を高いもの(伝動状態の作動圧P2に
近い側)に補正する。これにより、低速又は高速クラッ
チ26,27の作動圧が伝動状態の作動圧P2に素早く
昇圧操作されるようにして、機体の走行速度が急速に低
下を防止するのであり、機体の走行速度が急速に低下し
てから低速又は高速クラッチ26,27の作動圧が伝動
状態の作動圧P2に達して、エンジン1の動力が伝達さ
れてショックが生じると言うような状態を防ぐ。
【0065】作業地が下り坂の状態であれば、操作中
(図4のステップS12〜S17、図5の時点B1〜B
3)に、エンジン1の動力が前輪19及び後輪14に伝
達されない中立状態が生じた際、下り坂を下るように機
体が空走しながら加速するような状態になることがある
ので、前述のように所定低圧P3を高いもの(伝動状態
の作動圧P2に近い側)に補正する。これにより、低速
又は高速クラッチ26,27の作動圧が伝動状態の作動
圧P2に素早く昇圧操作されるようにし、エンジン1の
動力が前輪19及び後輪14に素早く伝達されるように
して、エンジン1の動力が前輪19及び後輪14に伝達
されない中立状態を抑える。
【0066】[発明の実施の第3別形態]前述の[発明
の実施の形態]及び[発明の実施の第1別形態]、[発
明の実施の第2別形態]において、選択された所定低圧
P3が高いもの(伝動状態の作動圧P2に近い側)であ
るほど、図5の時点B3から時点B4での低速又は高速
クラッチ26,27の昇圧操作が、急速に行われるよう
に構成してもよい。人為的に操作されるような選択スイ
ッチ77に代えて、PTOクラッチ3の伝動及び伝動遮
断状態やPTO軸4の回転及び停止状態に基づいて、自
動的に走行モード及びPTOモードを選択する選択手段
を備えてもよい。
【0067】前述の[発明の実施の形態]及び[発明の
実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]にお
いて、図1に示す副変速装置12を第2主変速装置11
と同様に、油圧多板式の低速クラッチ(図示せず)及び
高速クラッチ(図示せず)を並列的に配置して構成し、
副変速装置12の低速及び高速クラッチの各々に対し
て、電磁比例弁(図示せず)を備えるように構成しても
よい。このように構成すると、第1及び第2主変速装置
10,11、副変速装置12によって1速〜16速の変
速位置が設定されることになり、シフトアップボタン6
1及びシフトダウンボタン62を押し操作することによ
り、第1及び第2主変速装置10,11、副変速装置1
2を、1速〜16速の変速位置に操作することができる
ように構成する。
【0068】前述の[発明の実施の形態]及び[発明の
実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]にお
いて、図1に示す第1及び第2主変速装置10,11は
油圧クラッチ型式に構成されているが、第1及び第2主
変速装置10,11を副変速装置12と同様にシフト部
材(図示せず)をスライド操作するギヤ変速型式に構成
し、シフト部材を油圧シリンダ(図示せず)によりスラ
イド操作して操作するように構成してもよい。第1及び
第2主変速装置10,11が10段や6段に変速可能に
構成された作業車にも本発明は適用でき、副変速装置1
2が高速位置、中速位置及び低速位置の3段に変速可能
に構成された作業車にも本発明は適用できる。
【0069】
【発明の効果】請求項1の特徴によると、作業車の走行
伝動構造において、走行用の変速装置の操作時に、走行
用の油圧クラッチが自動的に伝動遮断側に操作され再び
伝動側に操作されるように構成した場合、台車やプラウ
装置を牽引しながら走行する状態や何も牽引せずに走行
する状態(作業装置にエンジンの動力を伝達しない状
態)に対しては、エンジンに掛かる負荷に基づいて走行
用の油圧クラッチの操作パターンを設定し、PTO伝動
系を介して作業装置にエンジンの動力を伝達し作業装置
を駆動しながら走行する状態に対しては、エンジンに掛
かる負荷に基づかずに走行用の油圧クラッチの操作パタ
ーンを設定パターンに維持するように構成することによ
り、前述の両方の状態において走行用の変速装置の操作
時に、エンジンの動力が走行用の油圧クラッチを介して
ショック少なく走行装置に伝達されるようにすることが
できるようになって、作業車の走行性能を向上させるこ
とができた。
【0070】請求項2の特徴によると、請求項1の場合
と同様に前述の請求項1の「発明の効果」を備えてお
り、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の
効果」を備えている。請求項2の特徴によると、PTO
伝動系を介して作業装置にエンジンの動力を伝達し作業
装置を駆動しながら走行する状態において、走行用の変
速装置の変速位置に応じて、走行用の油圧クラッチが自
動的に伝動遮断側に操作され再び伝動側に操作される際
の設定パターン(操作パターン)を、適切なものにする
ことが可能になり、走行用の変速装置の操作時に、エン
ジンの動力が走行用の油圧クラッチを介してショック少
なく走行装置に伝達されるようにすることができるよう
になって、作業車の走行性能を向上させることができ
た。
【0071】請求項3の特徴によると、請求項1の場合
と同様に前述の請求項1の「発明の効果」を備えてお
り、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の
効果」を備えている。請求項3の特徴によると、PTO
伝動系を介して作業装置にエンジンの動力を伝達し作業
装置を駆動しながら走行する状態において、エンジンの
アクセル開度に応じて、走行用の油圧クラッチが自動的
に伝動遮断側に操作され再び伝動側に操作される際の設
定パターン(操作パターン)を、適切なものにすること
が可能になり、走行用の変速装置の操作時に、エンジン
の動力が走行用の油圧クラッチを介してショック少なく
走行装置に伝達されるようにすることができるようにな
って、作業車の走行性能を向上させることができた。
【0072】請求項4の特徴によると、請求項2又は3
の場合と同様に前述の請求項2又は3の「発明の効果」
を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のよう
な「発明の効果」を備えている。請求項4の特徴による
と、PTO伝動系を介して作業装置にエンジンの動力を
伝達し作業装置を駆動しながら走行する状態において、
機体の前後方向の傾斜角度に応じて、走行用の油圧クラ
ッチが自動的に伝動遮断側に操作され再び伝動側に操作
される際の設定パターン(操作パターン)を、適切なも
のにすることが可能になり、走行用の変速装置の操作時
に、エンジンの動力が走行用の油圧クラッチを介してシ
ョック少なく走行装置に伝達されるようにすることがで
きるようになって、作業車の走行性能を向上させること
ができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ミッションケースの伝動系を示す概略図
【図2】シフトアップボタン及びシフトダウンボタン、
変速レバーと各部の連係状態を示す図
【図3】前進及び後進クラッチ、第1及び第2主変速装
置等の油圧回路図
【図4】前後進レバーを操作した際の操作の流れ、シフ
トアップボタン及びシフトダウンボタンを押し操作した
際の操作の流れを示す図
【図5】シフトアップボタン及びシフトダウンボタンを
押し操作した際の1速〜4速クラッチ、低速及び高速ク
ラッチの状態を示す図
【図6】無負荷状態での回転数センサーの検出値(無負
荷状態でのエンジンの回転数)と開度センサーの検出値
との関係の関係データを示す図
【図7】無負荷状態での回転数センサーの検出値(無負
荷状態でのエンジンの回転数)とエンジンの現在の回転
数との回転数差、及びエンジンに掛かる負荷の関係を示
す図
【図8】シフトアップボタン及びシフトダウンボタンを
押し操作した際において、所定低圧を設定する操作の流
れを示す図
【符号の説明】 1 エンジン 10,11 走行用の変速装置 26,27 走行用の油圧クラッチ 77 選択手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行用の変速装置と走行用の油圧クラッ
    チとを直列に配置し、機体に備えられた作業装置に動力
    を伝達するPTO伝動系を備えて、 前記走行用の変速装置の操作時に、前記走行用の油圧ク
    ラッチを自動的に伝動遮断側に操作し再び伝動側に操作
    する操作手段を備えると共に、 走行モード及びPTOモードを選択する選択手段と、エ
    ンジンに掛かる負荷を検出する負荷検出手段と、 前記負荷検出手段の検出値に基づいて前記操作手段によ
    る前記走行用の油圧クラッチの操作パターンを変更する
    第1制御手段と、前記負荷検出手段の検出値に関係なく
    前記操作手段による前記走行用の油圧クラッチの操作パ
    ターンを設定パターンに維持する第2制御手段とを備え
    て、 前記選択手段により走行モードが選択されると前記第1
    制御手段が作動し、前記選択手段によりPTOモードが
    選択されると前記第2制御手段が作動するように構成し
    てある作業車の走行変速構造。
  2. 【請求項2】 前記第2制御手段の設定パターンを、前
    記走行用の変速装置の変速位置に応じて変更するように
    構成してある請求項1に記載の作業車の走行変速構造。
  3. 【請求項3】 前記第2制御手段の設定パターンを、前
    記エンジンのアクセル開度に応じて変更するように構成
    してある請求項1に記載の作業車の走行変速構造。
  4. 【請求項4】 機体の前後方向の傾斜角度を検出する傾
    斜検出手段を備えて、前記第2制御手段の設定パターン
    を、前記傾斜検出手段の検出値に応じて変更するように
    構成してある請求項2又は3に記載の作業車の走行変速
    構造。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007118857A (ja) * 2005-10-31 2007-05-17 Isuzu Motors Ltd 車両に搭載された作業用機器の駆動装置
CN105818681A (zh) * 2015-01-07 2016-08-03 比亚迪股份有限公司 车辆及其动力传动系统和变速器

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