JP3106255B2 - 強誘電体デバイス - Google Patents

強誘電体デバイス

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JP3106255B2 JP03205875A JP20587591A JP3106255B2 JP 3106255 B2 JP3106255 B2 JP 3106255B2 JP 03205875 A JP03205875 A JP 03205875A JP 20587591 A JP20587591 A JP 20587591A JP 3106255 B2 JP3106255 B2 JP 3106255B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強誘電体メモリー等、
強誘電体の分極反転を利用する強誘電体デバイス、特に
コンデンサーに関し、界面での歪み応力を緩和してその
特性を向上せんとするものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のコンデンサーにおいて、
第1図に示す如く、強誘電体2の結晶配向性を良くする
ために、導電体電極2としてF.C.C.金属(主にP
t)が使われている例が多い。例えばPZTと電極の間
にTaを形成するという提案があるが、Ta
(εr≒25)では誘電率がまだ小さく、反転電圧が
高くなってしまう上に、PZTとは結晶性が全く異なる
ために結晶性の悪化に結がる欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来技術にお
いて分極反転による膜疲労は、主に膜の配向性が原因で
あると考えられてきた。最近配向性を良くしても膜疲労
の解決にはならないという発表もある。ペロブスカイト
型の強誘電体(PZT等)は変位分極を起こすため、P
t等、変位分極を起こさないものとの間の界面で歪みが
生じる。この歪みが原因となりその界面において格子破
壊等が発生して膜疲労に結がると考えられる。本発明
は、上記の如き従来のコンデンサーに生じる界面での歪
みを緩和し膜疲労を減少させるというものである。
【0004】本発明は、上記従来の問題点を解決すべ
く、この種強誘電体デバイスにおいて、その界面の歪み
を緩和し膜疲労を減少させることを目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のキャパシタは、変位分極による自発分極を
持つ強誘電体を、一対の導電体間に介在させた構造の強
誘電体デバイスにおいて、前記強誘電体と導電体の間
に、前記強誘電体と同じ方向に変位分極を生じ、常温で
残留分極が大略0になる、ペロブスカイト構造を持ち、
反転分極による界面での応力を緩和するよう形成された
中間層をそれぞれ介在させてなることを特徴とする。本
発明の第2では、請求項1に記載のキャパシタ前記導電体
層において、半導体基板表面に、絶縁膜を介して形成さ
れた導電体電極であり、前記導電体電極上に中間層とし
てのSrTiO3を介して、強誘電体層が形成されてい
ることを特徴とする。本発明の第3では、請求項2に記
載のキャパシタにおいて、前記強誘電体層は、PZTで
あることを特徴とする。本発明の第4では、請求項1に記
載のキャパシタにおいて、前記導電体層は、半導体基板
表面に、絶縁膜を介して形成された導電体電極であり、
前記導電体電極上に中間層としてのPbZrO3を介し
て、強誘電体層が形成されていることを特徴とする。本
発明の第5では、請求項4に記載のキャパシタにおい
て、前記強誘電体層は、PZTであることを特徴とす
【0006】上記の如き構成で導電体と強誘電間に歪み
の緩和層を形成する中間層の材質として好ましい条件
は、電界により変位分極を発生し、常誘電体、反強誘電
体のように変位による自発分極が0又はそれに近く、か
つ弾性が弱くて強誘電体と分子構造が類似して、さらに
誘電率が高いものが好ましい。
【0007】中間層は、例えば、強誘電体にPZT(P
bZrTi1−x)を用いたときに、上記の条件
にあてはまるものとしては、SrTiO(常誘電性)
や反強誘電体であるPbZrOのようにペロブスカイ
ト構造やそれに類似の構造を有するもので、常誘電体、
反強誘電体のような残留分極が0かそれに近いもの(動
作温度において)が挙げられる。
【0008】
【作用】本発明の請求項1によれば、 I.前記強誘電体と半導体および強誘電体と導電体のそ
れぞれの間に、中間層として、ペロブスカイト構造の膜
であって常温での残留分極が0すなわち、外部電界を0
にしたときに変位による分極が0となるような膜を用い
ているため、電界が0のときは、強誘電体とともに変位
分極を起こすことがなく、強誘電体と半導体および導電
体との界面に大きなストレスがかかることもなくなる。 II.ペロブスカイト構造の膜であり、誘電率を高くで
き、中間層自身による電圧降下に起因する強誘電体層へ
の印加電圧の低下は防止されるため、反転電圧の増大を
招くことなく、十分に膜厚を大きくとることができ、十
分な応力緩和を達成するように、応力吸収力の増大をは
かることができる。すなわち、本願発明では、強誘電体
の両側に中間層を配し、“導電体−中間層−強誘電体−
中間層−導電体”構造をとるようにしているため、半導
体および導電体それぞれとの界面でのストレスを緩和
し、歪が発生するのを防ぐようにしたことを特徴とする
ものである。したがって、データ保持時間を長くするこ
とが可能となる。また、繰り返し分極を引き起こす場合
にも、電界によって強誘電体に追随して中間層が変位分
極を引き起こすため、分極反転に伴う膜疲労のない良好
なデバイスを得ることが可能となる。という顕著な効果
を奏する。また請求項2、にかかる発明は、上記効果
に加え、また、本発明の強誘電体デバイスの中間層とし
てSrTiO3を用いると、SrTiO3は比誘電率が2
00程度のものであるために、シリコン酸化膜の約50
倍シリコン窒化膜の約30倍の膜厚であっても同程度のV
Fを得ることができるものであり、又このために微細化
による面積の低減にも有利になる。このように請求項2
にかかる発明は、上記請求項1による効果に加え、 III.誘電率の高い材料で構成されているため、中間層
自身による電圧降下に起因する、強誘電体層への印加電
圧の低下は防止され、反転電圧の上昇を防止することが
でき、反転電圧の増大を招くことなく、膜疲労の少ない
強誘電体メモリを提供することが可能となる。という顕
著な効果を奏する。さらに、請求項4、5にかかる発明
は、上記効果に加え、 IV.かかる構成によれば、半導体基板表面に、絶縁膜を
介して導電体電極を形成し、この導電体電極上に中間層
としてのSrTiO3を介して、強誘電体層が形成され
ているため、中間層あるいは、強誘電体層の成膜工程、
アニール工程等、ひいてはデバイスの使用中において、
熱工程を経た場合にも、この絶縁膜の存在によって、導
電体電極のシリサイド化により、この上層に形成される
中間層、強誘電体層の特性劣化を防止することができ、
長寿命で信頼性の高いキャパシタを提供することが可能
となる。すなわち、ゾルゲル法などの強誘電体層の成膜
工程では、熱処理工程を必要とするが、このときに特に
問題となる導電体電極のシリサイド化が防止され、信頼
性の高い強誘電体メモリを形成することが可能となる。 という顕著な効果を奏する。
【0009】したがって、本発明は、分極反転にともな
う膜疲労を減少させることにより、例えばそれを利用す
るメモリー素子の書き換え可能回数が増加する一方、
又、外部電界が0のとき、界面での応力が緩和されるた
めデータ保持時間が長くなる。
【0010】
【実施例】以下、本発明にかかる強誘電体デバイスの実
施例を図面を参照して説明する。図2乃至図5におい
て、4は半導体基板、7は不純物注入層、5は絶縁膜、
2は半導体基板4上に設けた強誘電体、3は該強誘電体
層2の上部及び下部に設けた一対の応力緩和のSrTi
よりなる中間層にして、1は該中間層3のさらに外
側に設けた一対の導電体電極である。6は配線層、8は
ゲート電極、9はゲート酸化膜である。
【0011】図2は、単独のコンデンサーを示し、導電
体電極1、中間層3、強誘電体基板2、中間層3、導電
体電極1を順次積み重ねた構造を持つものである。
【0012】上記の如き構造のコンデンサーで、導電体
電極1と強誘電体基板2との間に介在させる中間層3は
界面における応力の緩和を目的とするもので、この中間
層に用いる物質の条件としては、強誘電体と同じ、又は
類似するペロブスカイト構造をとり、又、電界によって
強誘電体と同じ方向に変位分極を生じ、かつ弾性の弱い
もので、しかも動作温度において残留極が0又はそれに
近い値をとるものが好ましい。本発明に用いる中間層と
しては、例えば、強誘電体にPZT(PbZrTi
1−x)を用いたときに上記の如き条件にあてはま
るものとしては、SrTiO(常誘電性)や反強誘電
体であるPbZrOのようにペロブスカイト構造やそ
れに類似の構造を有するもので、常誘電体,反強誘電体
のような残留分極が動作温度において0かそれに近いも
のが挙げられる。
【0013】上記の如き構造のコンデンサーとしての強
誘電体デバイスで、分極による導電体、強誘電体、中間
層の変位をそれぞれ、X,X,Xとすると、それ
による歪みとしてそれぞれの界面で、 導電体−中間層 |X−X|≒X……(i) 中間層−強誘電体 |X−X|……………(ii) に相当する歪みが生じる。(ii)よりXがXに近
い程、強誘電体にかかる歪みが緩和されることがわか
る。逆に、(i)はXが大きい程歪みが大きくなる
が、(i)では直接分極反転に関与しない界面である。
このような強誘電体コンデンサーの構造では分極を反転
させると分極を反転させない時よりだんぜん大きくなる
事を考えると、Xは少々大きくなっても(i),(i
i)の界面では膜疲労に大きな影響はないものと考えら
れる。
【0014】外部電界を0にしたときに変位による分極
が0でないということは中間層も分極反転することにな
り、中間層と導電体間の界面に、中間層を形成しない時
と同様な歪みが発生するために効果がなくなるので、本
発明の如く中間層に動作温度において残留分極が0又は
それに近い値のものを用いることによって上記の問題は
なくなる。
【0015】さらに、外部電界0においてX=0とす
ると、(i),(ii)において(ii)の界面にのみ
に相当する歪みが残る。この歪みは応力によるもの
であるので中間層を形成する膜の弾性に依存している。
PtのようなF.C.C.構造の金属に弾性が強いので強
誘電体の分極変位に対する応力が強くなり分極の保持特
性が悪くなるので、本発明の如く中間層として弾性の弱
いものを形成することによりその応力が小さくなり分極
の保持特性が改善されることになる。
【0016】又、さらに、中間層に強誘電体の構造と全
く異なる構造のものを用いた場合には、面配位や格子間
距離に不整合が生じ、強誘電体の結晶性、界面状態等が
悪化し、膜疲労の大きな原因になると考えられるが、本
発明の如く緩和層に強誘電体と同じ又は類似した構造を
選択することにより上記の問題は改善できると考えられ
る。
【0017】上記の如き構造をもつ、すなわち、図2に
示す構造の強誘電体コンデンサーは図3に示す如き回路
構成のコンデンサーを直列に配置したものと等価にな
る。C,Cはそれぞれ緩和層と強誘電体の容量であ
る。AB間に電圧VをかけたときC,Cにかかる
電圧を夫々V,Vとし、蓄積電荷量をQとすると、 V=V−2V=V−2Q/C=V−2Qd/εε … (iii) ε:真空の誘電率 ε:中間層の比誘電率 d:中間層の電極間距離(膜厚) A:中間層の(電極)面積 となり、εが大きくなる程Vは大きくなることがわ
かる。強誘電体が分極反転するためには、ある程度のV
が必要となり、又、Vが大きい程分極反転速度が速
くなるというメリットもある。従来技術におけるTa
(εr≒25)もまだ誘電率が十分大きいとは言え
ず、SrTiO(εr≒200)の様に高誘電率な特
質と比較すると約8分の1の膜厚にしなければ同程度の
を得ることができない。又、微細化による面積の低
減にも有利である。このことより、本発明に用いる中間
層の材料としては誘電率の大きい物質が好ましい。
【0018】図4は実際に半導体基板4の上に図2と同
様の構造をもつ積層したコンデンサーを設けたものの断
面例である。又、図5は中間層を用いて半導体基板4の
上にトランジスタと同じ図2と同様の構造をもつコンデ
ンサーを作成したメモリー素子の一例である。
【0019】
【発明の効果】上記実施例に詳記した如く、本発明は、
変位分極による自発分極を持つ強誘電体の上下にSrT
iOよりなる中間層を積層し、さらにその上に導電体
を積層する構造にして、強誘電体と導電体間に応力緩和
を目的とする中間層を介在させた構造を持つ強誘電体デ
バイスを創作したものであり、分極反転にともなう膜疲
労を減少させることができることにより、例えばそれを
利用するメモリー素子の書き換え可能回数が増加でき、
又、外部電界が0のときの界面での応力が緩和されるた
めデータ保持時間が長くなるような利点を有するもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来用いられている強誘電体デバイスの構造
の一例を示す説明図である。
【図2】 本発明にかかる強誘電体デバイスの一実施例
としてコンデンサーを示す説明図である。
【図3】 図2に示す強誘電体デバイスの等価回路図で
ある。
【図4】 本発明にかかる強誘電体コンデンサーを半導
体基板上に設けた今一つの実施例を示す説明図である。
【図5】 本発明にかかる強誘電体コンデンサーをトラ
ンジスタと共に半導体基板上に設けた他の実施例を示す
説明図である。
【符号の説明】
1 導電体電極 2 強誘電体 3 中間層 4 半導体基板 5 絶縁膜 6 配線層 7 不純物注入層 8 ゲート電極 9 ゲート酸化膜
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−49471(JP,A) 特開 平2−248089(JP,A) 特開 平3−69512(JP,A) 特開 平4−206870(JP,A) 日経マイクロデバイス 1989.5 p p54〜62

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変位分極による自発分極を持つ強誘電体
    を、一対の導電体間に介在させた構造の強誘電体デバイ
    スにおいて、前記強誘電体と導電体の間に、前記強誘電
    体と同じ方向に変位分極を生じ、常温で残留分極が大略
    0になる、ペロブスカイト構造を持ち、反転分極による
    界面での応力を緩和するよう形成された中間層をそれぞ
    れ介在させたことを特徴とするキャパシタ。
  2. 【請求項2】 前記導電体層は、半導体基板表面に、絶
    縁膜を介して形成された導電体電極であり、前記導電体
    電極上に中間層としてのSrTiO3を介して、強誘電
    体層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載
    のキャパシタ。
  3. 【請求項3】 前記強誘電体層は、PZTであることを
    特徴とする請求項2に記載のキャパシタ。
  4. 【請求項4】 前記導電体層は、半導体基板表面に、絶
    縁膜を介して形成された導電体電極であり、前記導電体
    電極上に中間層としてのPbZrO3を介して、強誘電
    体層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載
    のキャパシタ。
  5. 【請求項5】 前記強誘電体層は、PZTであることを
    特徴とする請求項4に記載のキャパシタ
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日経マイクロデバイス 1989.5 pp54〜62

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