JP3058602B2 - 低密度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法 - Google Patents
低密度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法Info
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診断に重要な低密度リポ蛋白(LDL)中のコレステロ
ール(以下、「LDLコレステロール」ということがあ
る。本明細書において単に「コレステロール」という場
合にはエステル型コレステロール及び遊離型コレステロ
ールの両者を包含する)の分別定量法に関する。
運搬の主役であり粥状動脈硬化において血管壁に沈着し
たコレステロールは主にLDLに由来している。血漿に
おけるLDLの増加は虚血性心疾患等の粥状硬化性疾患
の主要な危険因子の1つであり、LDLコレステロール
を分別定量することは臨床的に有用である。
分画操作とコレステロール定量操作の2段階から求める
方法と血中の総コレステロール、HDL中のコレステロ
ール、トリグリセリドをそれぞれに求めるFriede
waldの式により算出する方法がある。
学的方法等がある。超遠心法を用いる場合には、比重の
差を利用して超遠心分離機によりLDLを分離し、その
コレステロール量を測定するものである。沈殿法はHD
L抗体、ポリアニオン及び2価の陽イオンを添加し、不
溶性沈殿物を生成させて遠心分離により上清中のLDL
コレステロールを定量する方法(WPI Acc No.85-116848
/20)である。免疫化学的方法はHDL、VLDL、CM
に対する抗体をラテックスに結合させ、凝集反応後に遠
心又はフィルタにより取り除き、LDLコレステロール
を定量する方法(WPI Acc No.84-301275/49)が報告され
ているが、いずれも簡便性や経済性に問題がある。
ロールからHDLコレステロールを引き、さらにトリグ
リセリドの1/5量を引きLDLコレステロールを求め
る。しかし、食事の影響や個体差を加味していないため
正確性に問題がある。
ステロールの定量法(WPI Acc No.83-766269/38)が報告
されているが、LDLに対する特異性が不十分である。
な遠心分離操作を要せず、LDLコレステロールを簡便
に分別定量する方法を提供することである。
でアミンを含む緩衝液の存在下で、低密度リポ蛋白以外
のリポ蛋白に作用する界面活性剤の存在下において、コ
レステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダ
ーゼを作用させ、生じた過酸化水素を消去することによ
り、低密度リポ蛋白中のコレステロール以外のコレステ
ロールを消去し、続く第2工程において残存するコレス
テロールを測定することにより、低密度リポ蛋白中のコ
レステロールを定量することができることを見出し本発
明を完成した。
の存在下で、低密度リポ蛋白以外のリポ蛋白に作用する
界面活性剤の存在下において、コレステロールエステラ
ーゼ及びコレステロールオキシダーゼを作用させ、生じ
た過酸化水素を消去することにより、被検試料中の高密
度リポ蛋白、超低密度リポ蛋白及びカイロミクロン中の
コレステロールを消去する第1工程と、次いで、被検試
料中の残存コレステロールを定量する第2工程とから成
る、低密度リポ蛋白、高密度リポ蛋白、超低密度リポ蛋
白及び/又はカイロミクロンを含むかもしれない被検試
料中の低密度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法を
提供する。
ールとしては、エステル型コレステロール(コレステロ
ールエステル)及び遊離型コレステロールがある。本明
細書において、単に「コレステロール」という場合に
は、これらの両者を包含する。
は、HDL、LDL、VLDL及びCM等のリポ蛋白を
含むかもしれない試料であればいずれのものでもよく、
例えば、血液、血清、血漿等の体液やその希釈物を挙げ
ることができるがこれらに限定されるものではない。
ら成り、第1工程ではアミンを含む緩衝液の存在下で、
低密度リポ蛋白以外のリポ蛋白に作用する界面活性剤の
存在下において、コレステロールエステラーゼ及びコレ
ステロールオキシダーゼを作用させ、生じた過酸化水素
を消去し、続く第2工程では、被検試料中の残存コレス
テロールを定量する。第1工程でHDL、VLDL及び
CM中のコレステロールが消去されているので、第2工
程で定量されるコレステロールは、主として被検試料中
のLDL中のコレステロールである。
去」とは、コレステロールを分解し、かつ、その分解産
物が次の第2工程で検出されないようにすることを意味
する。LDL以外のリポ蛋白、すなわち、HDL、VL
DL、CM等に含まれるコレステロールの選択的な消去
は以下のようにして行われる。
で、低密度リポ蛋白以外のリポ蛋白に作用する界面活性
剤の存在下において、コレステロールエステラーゼ及び
コレステロールオキシダーゼを作用させ、生じた過酸化
水素を消去する。
ラーゼを作用させて水と酸素に分解する方法、及びペル
オキシダーゼを用いてフェノール系又はアニリン系水素
供与体化合物と過酸化水素を反応させて無色キノンに転
化する方法を挙げることができるが、これらに限定され
るものではない。
テラーゼ濃度は0.2〜1.0U/ml程度が好まし
く、由来としてはシュードモナス属細菌から生成される
ものが効果的である。また、コレステロールオキシダー
ゼの濃度は0.1〜 0.7U/ml程度が好ましく、
細菌や酵母由来のものを用いることが好ましい。さら
に、カタラーゼの濃度は40〜100U/ml程度が好
ましい。また、過酸化水素を無色キノンへ転化する場合
のペルオキシダーゼの濃度は0.4〜1.0U/mlが
好ましく、フェノール系又はアニリン系水素供与体化合
物の濃度としては0.4〜0.8mmol/Lが好まし
い。
蛋白に作用する界面活性剤の好ましい例として、HLB
値が13以上15以下、好ましくは13以上14以下で
あるポリアルキレンオキサイド誘導体を挙げることがで
きる。誘導体の例としては高級アルコール縮合物、高級
脂肪酸縮合物、高級脂肪酸アミド縮合物、高級アルキル
アミン縮合物、高級アルキルメルカプタン縮合物、アル
キルフェノール縮合物を挙げることができる。なお、界
面活性剤のHLB算出方法は周知であり、例えば「新界
面活性剤」、堀内博著、昭和61年、三共出版に記載さ
れている。
レンオキサイド誘導体の好ましい具体例としては、ポリ
オキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン
セチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテ
ル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリ
オキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル等でHLB値が13以
上15以下の化合物を挙げることができるがこれらに限
定されるものではない。
度は、0.1〜10g/l程度が好ましく、さらに好ま
しくは0.5〜5.0g/l程度である。
ことが好ましく、緩衝液としてはトリス、トリエタノー
ルアミン、グッドの緩衝液等のアミンを含む緩衝液を用
いる。特にグッド緩衝液であるBis−Tris、PI
PES、MOPSO、BES、HEPES及びPOPS
Oが好ましく、緩衝液の濃度は10〜500mM程度が
好ましい。
リポ蛋白の消去をさらに高めるために、反応液中に2価
の金属イオンを含ませてもよい。2価の金属イオンとし
ては銅イオン、鉄イオン及びマグネシウムイオンを使用
することができるが、特にマグネシウムイオンが好まし
い。2価の金属イオンの濃度は5〜200mM程度が好
ましい。
に、リポ蛋白分解酵素を加えることもできる。この酵素
を加えることにより、特にVLDL中のコレステロール
が反応しやすくなるので好ましい。この酵素の反応液中
濃度は、5.0〜10.0U/ml程度が好ましい。
適当であり、37℃が最も好ましい。また、反応時間は
2〜10分間程度でよい。
ステロールを定量する。これは、例えば、少なくともL
DLに作用する界面活性剤を加え、第1工程で加えたコ
レステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダ
ーゼの作用により生じた過酸化水素を定量することによ
り行なうことができる。ここで、少なくともLDLに作
用する界面活性剤は、LDLのみに選択的に作用する界
面活性剤でもよいし、全てのリポ蛋白に作用する界面活
性剤であってもよい。
ましい例として、HLB値が11以上13未満、好まし
くは12以上13未満であるポリアルキレンオキサイド
誘導体を挙げることができる。誘導体の例としては高級
アルコール縮合物、高級脂肪酸縮合物、高級脂肪酸アミ
ド縮合物、高級アルキルアミン縮合物、高級アルキルメ
ルカプタン縮合物、アルキルフェノール縮合物を挙げる
ことができる。
レンオキサイド誘導体の好ましい具体例として、ポリオ
キシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセ
チルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、
ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキ
シエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル等でHLB値が11以上1
3未満の化合物を挙げることができるがこれらに限定さ
れるものではない。
活性剤として、陰イオン界面活性剤を挙げることができ
る。ここで用いられる陰イオン界面活性剤としては、特
に限定されないが、芳香環に炭素数4〜18の直鎖状又
は分枝状アルキル基が結合したものを有するものが好ま
しい。ここで、芳香環は、ベンゼン、ナフタレン、ジフ
ェニール等のように炭素と水素のみから成るものが好ま
しい。さらに、上記芳香環にスルホン酸塩のような親水
基が結合したものが好ましい。このような好ましい陰イ
オン界面活性剤の例を下記式(II)ないし(VI)に示
す。
素数4〜18の直鎖状又は分枝状アルキル基を示す。ま
た、第2工程で用いられる好ましい陰イオン界面活性剤
として、高級アルコール硫酸ナトリウム等を挙げること
ができる。
は、0.1〜100g/l程度が好ましく、さらに好ま
しくは1〜50g/l程度である。
第1工程における好ましい反応条件と同様である。
に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定され
るものではない。
したHDL、LDL、VLDL、CMをそれぞれ含む4
種類の試料各4 μl に、あらかじめ37℃で加温した第1
試薬300 μl を混和し、37℃で5 分間反応させた後に、
第2試薬100 μl を加え5 分間反応させ、600nm におけ
る吸光度を測定した。測定された吸光度からコレステロ
ール量を算出し、試料中のコレステロール量との比を計
算して捕捉率を求めた。結果を下記表1に示す。
ば、LDL中のコレステロールはかなりの部分について
捕らえているが、それ以外のリポ蛋白中コレステロール
はほとんど捕らえておらず、LDL中コレステロールを
選択的に定量できることがわかる。
の反応性を求めた。結果を下記表2に示す。
い、LDLコレステロール濃度を求めた。対照法として
Friedewaldの計算式(CLIN.CHEM.、41、141
4、1995)を用いて血清中のLDLコレステロール濃度
を求めた。その結果を図1及び図2の相関図として示し
た。
よる定量結果は非常によく一致しており、本発明の方法
により正確にLDL中のコレステロールが定量できるこ
とが明らかになった。
せず簡便にLDLコレステロールを分別定量する方法が
提供された。
結果と、Friedewald算出値との相関関係を示す図であ
る。
結果と、Friedewald算出値との相関関係を示す図であ
る。
Claims (11)
- 【請求項1】 アミンを含む緩衝液の存在下で、低密度
リポ蛋白以外のリポ蛋白に作用する界面活性剤の存在下
において、コレステロールエステラーゼ及びコレステロ
ールオキシダーゼを作用させ、生じた過酸化水素を消去
することにより、被検試料中の高密度リポ蛋白、超低密
度リポ蛋白及びカイロミクロン中のコレステロールを消
去する第1工程と、次いで、被検試料中の残存コレステ
ロールを定量する第2工程とから成る、低密度リポ蛋
白、高密度リポ蛋白、超低密度リポ蛋白及び/又はカイ
ロミクロンを含むかもしれない被検試料中の低密度リポ
蛋白中のコレステロールの定量方法。 - 【請求項2】 前記アミンを含む緩衝液は、グッドの緩
衝液である請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 前記第2工程は、前記第1工程の産物
に、少なくとも低密度リポ蛋白に作用する界面活性剤を
加え、前記コレステロールエステラーゼ及びコレステロ
ールオキシダーゼの作用により生じた過酸化水素を定量
することから成る、請求項1又は2記載の方法。 - 【請求項4】 前記少なくとも低密度リポ蛋白と作用す
る界面活性剤は、全てのリポ蛋白に作用するものである
請求項3記載の方法。 - 【請求項5】 前記第1工程で用いられる、低密度リポ
蛋白以外のリポ蛋白に作用する界面活性剤は、HLB値
が13以上15以下であるポリアルキレンオキサイド誘
導体である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方
法。 - 【請求項6】 前記第2工程で用いられる、全てのリポ
蛋白に作用する界面活性剤は、HLB値が11以上13
未満であるポリアルキレンオキサイド誘導体である請求
項4記載の方法。 - 【請求項7】 前記第2工程で用いられる、少なくとも
低密度リポ蛋白に作用する界面活性剤は陰イオン界面活
性剤である請求項3記載の方法。 - 【請求項8】 前記第1工程は、前記界面活性剤濃度を
0.1〜10g/lとして行われる請求項1ないし7の
いずれか1項に記載の方法。 - 【請求項9】 前記第2工程は、HLB値が11以上1
3未満である前記ポリオキシアルキレン誘導体又は前記
陰イオン界面活性剤の濃度を1〜100 g/lとして行
われる請求項6又は7記載の方法。 - 【請求項10】 前記第1及び第2の工程は、pH5〜
8の緩衝液中で行なわれる請求項1ないし9のいずれか
1項に記載の方法。 - 【請求項11】 上記第1及び第2工程は、温度25〜
40℃で行なう請求項1ないし10のいずれか1項に記
載の方法。
Priority Applications (12)
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