JP3288033B2 - 高密度リポ蛋白中のコレステロール定量用試薬 - Google Patents
高密度リポ蛋白中のコレステロール定量用試薬Info
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Description
(以下、「HDL」ということがある)中のコレステロ
ールの定量用試薬に関する。
コレステロールを受け取るので細胞内に蓄積したコレス
テロールの除去作用に関係し、冠動脈硬化症をはじめと
する各種動脈硬化症の危険予防因子であり、その血中レ
ベルは動脈硬化性疾患の発症予知に有用な指針となるこ
とが知られている。
ては、例えば超遠心分離によってHDLを他のリポ蛋白
と分離した後、コレステロール測定に供する方法や、電
気泳動によって分離した後に脂質の染色を行なってその
発色強度を測定する方法等が知られている。しかしなが
ら、これらの方法は、いずれも操作が煩雑であったり、
多数の検体を処理できない等の問題があり、日常的には
ほとんど用いられていない。
て現在臨床検査の領域で一般に用いられている方法は、
検体に沈殿剤を加えてHDL以外のリポ蛋白質を凝集さ
せ、これを遠心分離によって取り除き、分離されたHD
Lのみを含む上清中のコレステロールを測定する方法で
ある。この方法は、超遠心法や電気泳動法に比較して簡
便であるものの、沈殿剤を加えて分離する操作を含むた
め、簡便性で満足できるものでなく、また、比較的多量
の検体量を必要とする。
を分別定量する方法も既に検討されている。例えば、H
DL以外のリポ蛋白を抗体とポリアニオンで予め凝集さ
せておき、HDL中のコレステロールのみを酵素的に反
応させた後に、酵素を失活させると同時に凝集体を再溶
解して吸光度を測定するという方法(特開平6−242
110号公報)がある。しかしながら、この方法は少な
くとも3回の試薬を添加する操作が必要なため、限定さ
れた分析装置にしか適用できず、汎用性の点で問題があ
った。
オン界面活性剤の存在下に、酵素反応を行なう方法(特
開昭63−126498号公報)、さらに近年ではコレ
ステロールエステラーゼやコレステロールオキシダーゼ
酵素を化学修飾し、シクロデキストリン等の包接化合物
存在下においてHDL中のコレステロールを特異的に捕
える方法(特開平7−301636号公報)やHDL以
外のリポ蛋白と凝集体や複合体を形成させ、その後にH
DL中のコレステロールを酵素的反応で捕える方法(特
開平8−131197号公報及び特開平8−20139
3号公報)が知られているが、いずれも臨床検体の一部
のもので沈殿法との乖離が認められる等、特異性の点で
問題となっている。
な分画分離操作を必要とせず、HDL並びに低密度リポ
蛋白(LDL)、超低密度リポ蛋白(VLDL)及びカ
イロミクロン(CM)等の他のリポ蛋白を含む被検試料
中のHDLコレステロールを選択的に、簡便かつ正確に
定量することができる、HDL中のコレステロールの定
量方法に用いられる高密度リポ蛋白中のコレステロール
定量用試薬を提供することである。
究の結果、HDLに作用するが他のリポ蛋白にはほとん
ど作用しない界面活性剤が存在することを見出した。そ
して、先ず、第1工程において被検試料中の高密度リポ
蛋白以外のリポ蛋白中のコレステロールを選択的に消去
した後、第2工程において上記界面活性剤及び、少なく
ともコレステロールエステラーゼ、コレステロールオキ
シダーゼの存在下で酵素的にHDL由来のコレステロー
ルを定量することにより、HDL及び他のリポ蛋白を含
む被検試料中のHDLコレステロールを選択的に、簡便
かつ正確に定量することができることを見出し本発明を
完成した。
テラーゼ、コレステロールオキシダーゼ及び、高密度リ
ポ蛋白中のコレステロールに特異的に作用する、HLB
が13〜14の界面活性剤を組み合わせてなることを特
徴とする高密度リポ蛋白中のコレステロール定量用試薬
を提供する。
ールとしては、エステル型コレステロール(コレステロ
ールエステル)及び遊離型コレステロールがある。本明
細書において、単に「コレステロール」という場合に
は、これらの両者を包含する。本発明の方法に供される
被検試料としては、HDL、LDL、VLDL及びCM
等のリポ蛋白を含むかもしれない試料であればいずれの
ものでもよく、例えば、血清等の体液やその希釈物を挙
げることができるがこれらに限定されるものではない。
試料中のHDL以外のリポ蛋白中のコレステロールを選
択的に消去する。ここで、「消去」とは、コレステロー
ルを分解し、かつ、その分解物が次の第2工程で検出さ
れないようにすることを意味する。HDL以外のリポ蛋
白、すなわち、LDL、VLDL及びCM等に含まれる
コレステロールを選択的に消去する方法としては以下の
方法を挙げることができる。
非存在下において、被検試料にコレステロールエステラ
ーゼ及びコレステロールオキシダーゼを作用させ、生じ
た過酸化水素を除去する。コレステロールエステラーゼ
の作用により、リポ蛋白中のエステル型コレステロール
が加水分解されて遊離型コレステロールと脂肪酸が生じ
る。次いで、この生じた遊離型コレステロールと元々リ
ポ蛋白中に存在する遊離型コレステロールがコレステロ
ールオキシダーゼの作用で酸化されてコレステノンと過
酸化水素が生じる。この生じた過酸化水素を除去する。
過酸化水素を除去する方法としては、カタラーゼを作用
させて水と酸素に分解する方法、及びペルオキシダーゼ
の作用により、例えばDAOS(N−エチル−N−(2
−ヒドロキシスルホプロピル)−3,5−ジメチオキシ
アニリン)のような、過酸化水素と反応して無色キノン
を生じるフェノール系又はアニリン系水素供与体化合物
と反応させて過酸化水素を無色キノンに転化する方法等
を挙げることができるがこれらに限定されるものではな
い。
性剤の非存在下において行うことにより、HDL中のコ
レステロールはほとんど反応せず、LDL、VLDL、
CM等の他のリポ蛋白中のコレステロールが反応して消
去される。これにより、次の第2工程においてHDL中
のコレステロールが選択的に定量される。
テラーゼの濃度は0.2〜1.0U/ml程度が好まし
く、また、コレステロールオキシダーゼの濃度は0.1
〜0.7U単位/ml程度が好ましい。さらに、カタラ
ーゼの濃度は40〜100U/ml程度が好ましく、ペ
ルオキシダーゼの濃度は0.4〜1.0U/ml程度が
好ましい。また、過酸化水素と反応して無色キノンを生
じる化合物の濃度は0.4〜0.8mmol/l程度が好まし
い。
で行なうことが好ましく、緩衝液としてはリン酸、グリ
シン、トリス及びグッドの緩衝液が好ましい。特にグッ
ドの緩衝液であるBis−Tris、PIPES、MO
PSO、BES、HEPES及びPOPSOが好まし
く、緩衝液の濃度は10〜500mM程度が好ましい。
をさらに高めるために、反応液中に2価の金属イオンを
含ませてもよい。2価の金属イオンとしては銅イオン、
鉄イオン及びマグネシウムイオンを好ましく使用するこ
とができるが、特にマグネシウムイオンが好ましい。2
価の金属イオンの濃度は5〜200mM程度が好まし
い。
に、リポ蛋白加水分解酵素を加えることもできる。この
酵素を加えることにより、特にVLDL中のコレステロ
ールが反応し易くなるので好ましい。この酵素の反応液
中の濃度は、5.0〜10.0U/ml程度が好まし
い。
が適当であり、37℃が最も好ましい。また、反応時間
は2〜10分間程度でよい。
に、HDLに特異的に作用する界面活性剤を加え、高密
度リポ蛋白中のコレステロールを酵素的に定量する。こ
こで、「HDLに特異的に作用する界面活性剤」とは、
当該界面活性剤の存在下においてコレステロールエステ
ラーゼ及びコレステロールオキシダーゼ等の酵素を作用
させた場合に、HDL中のコレステロールは反応する
(反応率70%以上、好ましくは90%以上)が、HD
L以外のリポ蛋白中のコレステロールはほとんど反応し
ない(反応率30%以下、好ましくは20%以下)こと
となる界面活性剤を言う。ここで用いる界面活性剤の親
水性親油性バランス(HLB)は13〜14である。中で
も、HLBが13〜14の非イオン界面活性剤、とりわ
け、ポリアルキレンオキサイド誘導体を挙げることがで
きる。ここでいう、誘導体の例としては高級アルコール
縮合物、高級脂肪酸縮合物、高級脂肪酸アミド縮合物、
高級アルキルアミン縮合物、高級アルキルメルカプタン
縮合物、アルキルフェノール縮合物等を挙げることがで
きる。また、ポリアルキレンオキサイド誘導体の中でも
ポリエチレンオキサイド誘導体が最も好ましい。また、
複数の界面活性剤を混合することによりHLBを上記の
範囲内に調整することもでき、このような複数の界面活
性剤の混合物を用いることもできる。なお、界面活性剤
のHLBの算出方法は周知であり、例えば「新界面活性
剤」、堀口博著、昭和61年、三共出版に記載されてい
る。
オキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン
セチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテ
ル、ポリオキシエチレン高級アルコール(炭素数4〜3
5)エーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエ
ーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等
を挙げることができるがこれらに限定されるものではな
い。
に限定されないが、反応混合物全体に対し、0.05〜
3重量%が好ましく、さらには0.1〜1.5重量%が
好ましい。
料中のHDLコレステロールを酵素的に定量することが
できる。すなわち、第1工程では、HDL以外のリポ蛋
白中のコレステロールが大部分消去されるが第2工程で
の反応との相乗効果によりHDL中のコレステロールの
みが定量される。
この分野において周知であり、例えば第1工程と同様、
コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシ
ダーゼの作用によりコレステロールエステル及び遊離型
コレステロールから過酸化水素を発生させ、発生した過
酸化水素を定量することにより行なうことができる。過
酸化水素の定量は、例えば、ペルオキシダーゼの存在下
で、過酸化水素と反応してキノン色素を形成する化合物
と反応させ、生じたキノン色素の量を吸光度測定等によ
り測定することにより行なうことができる。キノン色素
は、例えば過酸化水素と4−アミノアンチピリン及びD
AOS又はHDAOS(N−(2−ヒドロキシスルホプ
ロピル)−3,5−ジメチオキシアニリン)を反応させ
ることにより形成される。これにより形成されるキノン
色素は、DAOSを用いた場合には波長593nmに最
大吸収を有し、HDAOSを用いた場合には波長583
nmに最大吸収を有する。キノン色素を生成する化合物
の濃度は、特に限定されないが、反応混合物全体に対
し、例えば4−アミノアンチピリンでは好ましくは0.
1〜2.0mM、さらに好ましくは0.5〜1.5mM
であり、DAOS又はHDAOSでは好ましくは0.1
〜1.5mM、さらに好ましくは0.4〜1.0mMで
ある。また、ペルオキシダーゼの濃度は、特に限定され
ないが、反応混合物全体に対し、0.4〜5U/mlが
好ましい。なお、第2工程の好ましい反応条件(反応温
度、反応時間、緩衝液、pH)は、第1工程の好ましい
反応条件と同じである。
素をカタラーゼで分解する場合には、第2工程ではこの
カタラーゼを阻害する必要があるので、第2工程におい
て例えばアジ化ナトリウムのようなカタラーゼ阻害剤を
用いてカタラーゼを阻害する。
もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではな
い。なお、下記例において、「%」は特に断りがない限
り「重量%」を示す。
む試料を用い、花王(株)製非イオン性界面活性剤エマ
ルゲン911(ポリオキシエチレンノニルエーテル、H
LB13.7)、エマルゲンB66(ポリオキシエチレ
ン誘導体、HLB13.2)、又はエマルゲンB66と
エマルゲンA90(ポリオキシエチレン誘導体、HLB
14.5)の混合物の存在下で各リポ蛋白中のコレステ
ロールを酵素的に定量した。この操作は具体的に次のよ
うに行なった。
コレステロールエステラーゼ0.5U/ml、コレステ
ロールオキシダーゼ0.4U/ml、ペルオキシダーゼ
0.5U/ml、4−アミノアンチピリン1.0mmo
l/l、HDAOS 0.5mmol/lに、エマルゲ
ン911若しくはエマルゲンB66を0.1重量%、又
はエマルゲンB66/エマルゲンA90混合物(9/
1)1.3重量%を含む試薬を調整し、試料20μlに
試薬2.0mlを混和し、37℃、10分間反応させた
後、600nmの吸光度を測定した。
ステロール中の定量されたコレステロールの割合)は、
HDL中のコレステロールが約95%、その他のリポ蛋
白中のコレステロールが約18〜22%であった。
ゲンB66、及びエマルゲンB66/エマルゲンA90
混合物は、本発明で言う「高密度リポ蛋白に特異的に作
用する界面活性剤」に該当する。
L、VLDL又はCMをそれぞれ含む4種類の試料各4
μlに、予め37℃で加温した上記第1試薬300μl
を混和し、37℃で5分間反応させた後に、第2試薬1
00μlを37℃で5分間反応させ、反応液の600n
mにおける吸光度を測定した。測定された吸光度からコ
レステロール量を算出し、試料中のコレステロール量と
の比を計算して捕捉率とした。
素がカタラーゼにより分解され、一方、第2工程で生じ
た過酸化水素はHDAOS及び4−アミノアンチピリン
と反応してキノン色素が生じる。結果を下記表1に示
す。
ば、HDL中のコレステロールは大部分定量されるが、
それ以外のリポ蛋白中のコレステロールはほとんど又は
全く定量されず、本発明の方法により、HDL中のコレ
ステロールを選択的に定量できることがわかる。
2と同じ方法により、被検試料中のHDLコレステロー
ルを定量した。一方、「臨床検査」、23, 121(1979) に
記載された沈殿法により同じ被検試料中のHDLコレス
テロールを定量した。得られた測定結果の相関図を図1
に示す。
結果は非常によく一致しており、本発明の方法により、
正確にHDL中のコレステロールが定量できることが明
らかになった。
用いることを除き、実施例2と同じ操作を行った。
素がペルオキシダーゼの作用でDAOSと反応して無色
キノンが生じ、第2工程で発生した過酸化水素は同じく
ペルオキシダーゼの作用で第1工程の残存DAOS及び
第2工程で加えた4−アミノアンチピリンと反応してキ
ノン色素を生じる。結果を下記表2に示す。
ば、HDL中のコレステロールは大部分定量されるが、
それ以外のリポ蛋白中のコレステロールはほとんど又は
全く定量されず、本発明の方法により、HDL中のコレ
ステロールを選択的に定量できることがわかる。
4と同じ方法により、被検試料中のHDLコレステロー
ルを定量した。実施例2と同様に、沈殿法により同じ被
検試料中のHDLコレステロールを定量した。得られた
測定結果の相関図を図2に示す。
結果は非常によく一致しており、本発明の方法により、
正確にHDL中のコレステロールが定量できることが明
らかになった。
L、VLDL又はCMをそれぞれ含む4種類の試料各4
μlに、予め37℃で加温した上記第1試薬300μl
を混和し、37℃で5分間反応させた後に、第2試薬1
00μlを5分間反応させ、反応液の600nmにおけ
る吸光度を測定した。測定された吸光度からコレステロ
ール量を算出し、試料中のコレステロール量との比を計
算して捕捉率とした。
素がカタラーゼにより分解され、一方、第2工程で生じ
た過酸化水素はHDAOS及び4−アミノアンチピリン
と反応してキノン色素が生じる。結果を下記表3に示
す。
ば、HDL中のコレステロールは大部分定量されるが、
それ以外のリポ蛋白中のコレステロールはほとんど又は
全く定量されず、本発明の方法により、HDL中のコレ
ステロールを選択的に定量できることがわかる。
6と同じ方法により、被検試料中のHDLコレステロー
ルを定量した。一方、「臨床検査」、23, 121(1979) に
記載された沈殿法により同じ被検試料中のHDLコレス
テロールを定量した。得られた測定結果の相関図を図3
に示す。
結果は非常によく一致しており、本発明の方法により、
正確にHDL中のコレステロールが定量できることが明
らかになった。
操作を必要とせず、HDL並びにLDL、VLDL及び
CM等の他のリポ蛋白を含む被検試料中のHDLを選択
的に、簡便かつ正確に定量することができる。
中のコレステロール量と、従来の沈殿法により測定され
たHDL中のコレステロール量の関係を示す相関図であ
る。
DL中のコレステロール量と、従来の沈殿法により測定
されたHDL中のコレステロール量の関係を示す相関図
である。
したHDL中のコレステロール量と、従来の沈殿法によ
り測定されたHDL中のコレステロール量の関係を示す
相関図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 コレステロールエステラーゼ、コレステ
ロールオキシダーゼ及び、高密度リポ蛋白中のコレステ
ロールに特異的に作用する、HLBが13〜14の界面
活性剤を組み合わせてなることを特徴とする高密度リポ
蛋白中のコレステロール定量用試薬。
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JP34464996 | 1996-12-09 | ||
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