JP3644490B2 - 高密度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高密度リポ蛋白(以下、「HDL」ということがある)中のコレステロールの定量方法に関する。
【0002】
HDLは、動脈硬化壁を含めた各組織からコレステロールを受け取るので細胞内に蓄積したコレステロールの除去作用に関係し、冠動脈硬化症をはじめとする各種動脈硬化症の危険予防因子であり、その血中レベルは動脈硬化性疾患の発症予知に有用な指針となることが知られている。
【0003】
HDL中のコレステロールの測定方法としては、例えば超遠心分離によってHDLを他のリポ蛋白と分離した後、コレステロール測定に供する方法や、電気泳動によって分離した後に脂質の染色を行なってその発色強度を測定する方法等が知られている。しかしながら、これらの方法は、いずれも操作が煩雑であったり、多数の検体を処理できない等の問題があり、日常的にはほとんど用いられていない。
【0004】
HDL中のコレステロールの測定方法として現在臨床検査の領域で一般に用いられている方法は、検体に沈殿剤を加えてHDL以外のリポ蛋白質を凝集させ、これを遠心分離によって取り除き、分離されたHDLのみを含む上清中のコレステロールを測定する方法である。この方法は、超遠心法や電気泳動法に比較して簡便であるものの、沈殿剤を加えて分離する操作を含むため、簡便性で満足できるものでなく、また、比較的多量の検体量を必要とする。
【0005】
一方、酵素的にHDL中のコレステロールを分別定量する方法も既に検討されている。例えば、HDL以外のリポ蛋白を抗体とポリアニオンで予め凝集させておき、HDL中のコレステロールのみを酵素的に反応させた後に、酵素を失活させると同時に凝集体を再溶解して吸光度を測定するという方法(特開平6−242110号公報)がある。しかしながら、この方法は少なくとも3回の試薬を添加する操作が必要なため、限定された分析装置にしか適用できず、汎用性の点で問題があった。
【0006】
また、他の方法としては胆汁酸塩又は非イオン界面活性剤の存在下に、酵素反応を行なう方法(特開昭63−126498号公報)、さらに近年ではコレステロールエステラーゼやコレステロールオキシダーゼ酵素を化学修飾し、シクロデキストリン等の包接化合物存在下においてHDL中のコレステロールを特異的に捕える方法(特開平7−301636号公報)やHDL以外のリポ蛋白と凝集体や複合体を形成させ、その後にHDL中のコレステロールを酵素的反応で捕える方法(特開平8−131197号公報及び特開平8−201393号公報)が知られているが、いずれも臨床検体の一部のもので沈殿法との乖離が認められる等、特異性の点で問題となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、煩雑な分画分離操作を必要とせず、HDL並びに低密度リポ蛋白(LDL)、超低密度リポ蛋白(VLDL)及びカイロミクロン(CM)等の他のリポ蛋白を含む被検試料中のHDLコレステロールを選択的に、簡便かつ正確に定量することができる、HDL中のコレステロールの定量方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、HDLに作用するが他のリポ蛋白にはほとんど作用しない界面活性剤が存在することを見出した。そして、先ず、被検試料中の高密度リポ蛋白以外のリポ蛋白中のコレステロールを選択的に消去した後、上記界面活性剤の存在下で酵素的にHDL由来のコレステロールを定量することにより、HDL及び他のリポ蛋白を含む被検試料中のHDLコレステロールを選択的に、簡便かつ正確に定量することができることを見出し本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、被検試料中の高密度リポ蛋白以外のリポ蛋白中のコレステロールを消去する第1工程と、次いで、前記第1工程の産物に、高密度リポ蛋白に特異的に作用するHLBが13〜14の界面活性剤を加え、コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼの作用により生じた過酸化水素を定量することにより高密度リポ蛋白中のコレステロールを酵素的に定量する第2工程とを含む、高密度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
リポ蛋白中に含まれるコレステロールとしては、エステル型コレステロール(コレステロールエステル)及び遊離型コレステロールがある。本明細書において、単に「コレステロール」という場合には、これらの両者を包含する。
本発明の方法に供される被検試料としては、HDL、LDL、VLDL及びCM等のリポ蛋白を含むかもしれない試料であればいずれのものでもよく、例えば、血清等の体液やその希釈物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0011】
本発明の方法における第1工程では、被検試料中のHDL以外のリポ蛋白中のコレステロールを選択的に消去する。ここで、「消去」とは、コレステロールを分解し、かつ、その分解物が次の第2工程で検出されないようにすることを意味する。HDL以外のリポ蛋白、すなわち、LDL、VLDL及びCM等に含まれるコレステロールを選択的に消去する方法としては以下の方法を挙げることができる。
【0012】
すなわち、第1の方法では、HDLに作用する界面活性剤の非存在下において、被検試料にコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼを作用させ、生じた過酸化水素を除去する。コレステロールエステラーゼの作用により、リポ蛋白中のエステル型コレステロールが加水分解されて遊離型コレステロールと脂肪酸が生じる。次いで、この生じた遊離型コレステロールと元々リポ蛋白中に存在する遊離型コレステロールがコレステロールオキシダーゼの作用で酸化されてコレステノンと過酸化水素が生じる。この生じた過酸化水素を除去する。過酸化水素を除去する方法としては、カタラーゼを作用させて水と酸素に分解する方法、及びペルオキシダーゼの作用により、例えばDAOS(N−エチル−N−(2−ヒドロキシスルホプロピル)−3,5−ジメチオキシアニリン)のような、過酸化水素と反応して無色キノンを生じるフェノール系又はアニリン系水素供与体化合物と反応させて過酸化水素を無色キノンに転化する方法等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0013】
上記第1工程は、HDLに作用する界面活性剤の非存在下において行うことにより、HDL中のコレステロールはほとんど反応せず、LDL、VLDL、CM等の他のリポ蛋白中のコレステロールが反応して消去される。これにより、次の第2工程においてHDL中のコレステロールが選択的に定量される。
【0014】
第1工程の反応液中のコレステロールエステラーゼの濃度は0.2〜1.0U/ml程度が好ましく、また、コレステロールオキシダーゼの濃度は0.1〜0.7U単位/ml程度が好ましい。さらに、カタラーゼの濃度は40〜100U/ml程度が好ましく、ペルオキシダーゼの濃度は0.4〜1.0U/ml程度が好ましい。また、過酸化水素と反応して無色キノンを生じる化合物の濃度は0.4〜0.8mmol/l程度が好ましい。
【0015】
第1工程の反応は、pH5〜8の緩衝液中で行なうことが好ましく、緩衝液としてはリン酸、グリシン、トリス及びグッドの緩衝液が好ましい。特にグッドの緩衝液であるBis−Tris、PIPES、MOPSO、BES、HEPES及びPOPSOが好ましく、緩衝液の濃度は10〜500mM程度が好ましい。
【0016】
第1工程で、HDL以外のリポ蛋白の消去をさらに高めるために、反応液中に2価の金属イオンを含ませてもよい。2価の金属イオンとしては銅イオン、鉄イオン及びマグネシウムイオンを好ましく使用することができるが、特にマグネシウムイオンが好ましい。2価の金属イオンの濃度は5〜200mM程度が好ましい。
【0017】
なお、第1工程の反応液中には、任意的に、リポ蛋白加水分解酵素を加えることもできる。この酵素を加えることにより、特にVLDL中のコレステロールが反応し易くなるので好ましい。この酵素の反応液中の濃度は、5.0〜10.0U/ml程度が好ましい。
【0018】
第1工程の反応温度は25℃〜40℃程度が適当であり、37℃が最も好ましい。また、反応時間は2〜10分間程度でよい。
【0019】
続く第2工程では、前記第1工程の産物に、HDLに特異的に作用する界面活性剤を加え、高密度リポ蛋白中のコレステロールを酵素的に定量する。ここで、「HDLに特異的に作用する界面活性剤」とは、当該界面活性剤の存在下においてコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼ等の酵素を作用させた場合に、HDL中のコレステロールは反応する(反応率70%以上、好ましくは90%以上)が、HDL以外のリポ蛋白中のコレステロールはほとんど反応しない(反応率30%以下、好ましくは20%以下)こととなる界面活性剤を言う。このような界面活性剤としては、親水性親油性バランス(HLB)が13〜14の界面活性剤を挙げることができ、中でも、HLBが13〜14の非イオン界面活性剤、とりわけ、ポリアルキレンオキサイド誘導体を挙げることができる。ここでいう、誘導体の例としては高級アルコール縮合物、高級脂肪酸縮合物、高級脂肪酸アミド縮合物、高級アルキルアミン縮合物、高級アルキルメルカプタン縮合物、アルキルフェノール縮合物等を挙げることができる。また、ポリアルキレンオキサイド誘導体の中でもポリエチレンオキサイド誘導体が最も好ましい。また、複数の界面活性剤を混合することによりHLBを上記の範囲内に調整することもでき、このような複数の界面活性剤の混合物を用いることもできる。なお、界面活性剤のHLBの算出方法は周知であり、例えば「新界面活性剤」、堀口博著、昭和61年、三共出版に記載されている。
【0020】
好ましい界面活性剤の具体例として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコール(炭素数4〜35)エーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0021】
第2工程における界面活性剤の濃度は、特に限定されないが、反応混合物全体に対し、0.05〜3重量%が好ましく、さらには0.1〜1.5重量%が好ましい。
【0022】
上記界面活性剤の存在下において、被検試料中のHDLコレステロールを酵素的に定量することができる。すなわち、第1工程では、HDL以外のリポ蛋白中のコレステロールが大部分消去されるが第2工程での反応との相乗効果によりHDL中のコレステロールのみが定量される。
【0023】
コレステロールの酵素的な定量方法自体はこの分野において周知であり、例えば第1工程と同様、コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼの作用によりコレステロールエステル及び遊離型コレステロールから過酸化水素を発生させ、発生した過酸化水素を定量することにより行なうことができる。過酸化水素の定量は、例えば、ペルオキシダーゼの存在下で、過酸化水素と反応してキノン色素を形成する化合物と反応させ、生じたキノン色素の量を吸光度測定等により測定することにより行なうことができる。キノン色素は、例えば過酸化水素と4−アミノアンチピリン及びDAOS又はHDAOS(N−(2−ヒドロキシスルホプロピル)−3,5−ジメチオキシアニリン)を反応させることにより形成される。これにより形成されるキノン色素は、DAOSを用いた場合には波長593nmに最大吸収を有し、HDAOSを用いた場合には波長583nmに最大吸収を有する。キノン色素を生成する化合物の濃度は、特に限定されないが、反応混合物全体に対し、例えば4−アミノアンチピリンでは好ましくは0.1〜2.0mM、さらに好ましくは0.5〜1.5mMであり、DAOS又はHDAOSでは好ましくは0.1〜1.5mM、さらに好ましくは0.4〜1.0mMである。また、ペルオキシダーゼの濃度は、特に限定されないが、反応混合物全体に対し、0.4〜5U/mlが好ましい。なお、第2工程の好ましい反応条件(反応温度、反応時間、緩衝液、pH)は、第1工程の好ましい反応条件と同じである。
【0024】
なお、第1工程において、生じた過酸化水素をカタラーゼで分解する場合には、第2工程ではこのカタラーゼを阻害する必要があるので、第2工程において例えばアジ化ナトリウムのようなカタラーゼ阻害剤を用いてカタラーゼを阻害する。
【0025】
実施例
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、下記例において、「%」は特に断りがない限り「重量%」を示す。
【0026】
参考例1
既知濃度の精製HDL、LDL、VLDL又はCMを含む試料を用い、花王(株)製非イオン性界面活性剤エマルゲン911(ポリオキシエチレンノニルエーテル、HLB13.7)、エマルゲンB66(ポリオキシエチレン誘導体、HLB13.2)、又はエマルゲンB66とエマルゲンA90(ポリオキシエチレン誘導体、HLB14.5)の混合物の存在下で各リポ蛋白中のコレステロールを酵素的に定量した。この操作は具体的に次のように行なった。
【0027】
50mM PIPES緩衝液pH7.0、コレステロールエステラーゼ0.5U/ml、コレステロールオキシダーゼ0.4U/ml、ペルオキシダーゼ0.5U/ml、4−アミノアンチピリン1.0mmol/l、HDAOS 0.5mmol/lに、エマルゲン911若しくはエマルゲンB66を0.1重量%、又はエマルゲンB66/エマルゲンA90混合物(9/1)1.3重量%を含む試薬を調整し、試料20μlに試薬2.0mlを混和し、37℃、10分間反応させた後、600nmの吸光度を測定した。
【0028】
その結果、コレステロールの反応率(コレステロール中の定量されたコレステロールの割合)は、HDL中のコレステロールが約95%、その他のリポ蛋白中のコレステロールが約18〜22%であった。
【0029】
このことから、エマルゲン911、エマルゲンB66、及びエマルゲンB66/エマルゲンA90混合物は、本発明で言う「高密度リポ蛋白に特異的に作用する界面活性剤」に該当する。
【0030】
実施例1
次の組成から成る第1及び第2試薬を調製した。
第1試薬
PIPES緩衝液、pH7.0 100 mmol/l
HDAOS 0.7 mmol/l
コレステロールエステラーゼ 0.8 U/ml
コレステロールオキシダーゼ 0.5 U/ml
カタラーゼ 80 U/ml
塩化マグネシウム 10 mmol/l
第2試薬
PIPES緩衝液、pH7.0 100 mmol/l
4−アミノアンチピリン 4.0 mmol/l
ペルオキシダーゼ 2.4 U/ml
アジ化ナトリウム 0.1%
花王(株)製エマルゲンB66(HLB13.2) 0.3%
【0031】
濃度100 mg/dl の精製したHDL、LDL、VLDL又はCMをそれぞれ含む4種類の試料各4μlに、予め37℃で加温した上記第1試薬300μlを混和し、37℃で5分間反応させた後に、第2試薬100μlを37℃で5分間反応させ、反応液の600nmにおける吸光度を測定した。測定された吸光度からコレステロール量を算出し、試料中のコレステロール量との比を計算して捕捉率とした。
【0032】
この方法では、第1工程で生じた過酸化水素がカタラーゼにより分解され、一方、第2工程で生じた過酸化水素はHDAOS及び4−アミノアンチピリンと反応してキノン色素が生じる。結果を下記表1に示す。
【0033】
【表1】
表1
【0034】
表1に示されるように、上記方法によれば、HDL中のコレステロールは大部分定量されるが、それ以外のリポ蛋白中のコレステロールはほとんど又は全く定量されず、本発明の方法により、HDL中のコレステロールを選択的に定量できることがわかる。
【0035】
実施例2
被検試料として健常人血清を用いることを除き、実施例1と同じ方法により、被検試料中のHDLコレステロールを定量した。一方、「臨床検査」、23, 121(1979) に記載された沈殿法により同じ被検試料中のHDLコレステロールを定量した。得られた測定結果の相関図を図1に示す。
【0036】
図1に示されるように、両方法による定量結果は非常によく一致しており、本発明の方法により、正確にHDL中のコレステロールが定量できることが明らかになった。
【0037】
実施例3
第1試薬及び第2試薬として下記の組成を有するものを用いることを除き、実施例1と同じ操作を行った。
【0038】
第1試薬
HEPES緩衝液、pH7.0 50 mmol/l
DAOS 1.5 mmol/l
コレステロールエステラーゼ 0.8 U/ml
コレステロールオキシダーゼ 0.5 U/ml
ペルオキシダーゼ 1.0 U/ml
第2試薬
HEPES緩衝液、pH7.0 50 mmol/l
4−アミノアンチピリン 4.0 mmol/l
花王(株)製エマルゲン911(HLB13.7) 0.3%
【0039】
この方法では、第1工程で生じた過酸化水素がペルオキシダーゼの作用でDAOSと反応して無色キノンが生じ、第2工程で発生した過酸化水素は同じくペルオキシダーゼの作用で第1工程の残存DAOS及び第2工程で加えた4−アミノアンチピリンと反応してキノン色素を生じる。結果を下記表2に示す。
【0040】
【表2】
表2
【0041】
表2に示されるように、上記方法によれば、HDL中のコレステロールは大部分定量されるが、それ以外のリポ蛋白中のコレステロールはほとんど又は全く定量されず、本発明の方法により、HDL中のコレステロールを選択的に定量できることがわかる。
【0042】
実施例4
被検試料として健常人血清を用いることを除き、実施例3と同じ方法により、被検試料中のHDLコレステロールを定量した。実施例2と同様に、沈殿法により同じ被検試料中のHDLコレステロールを定量した。得られた測定結果の相関図を図2に示す。
【0043】
図2に示されるように、両方法による定量結果は非常によく一致しており、本発明の方法により、正確にHDL中のコレステロールが定量できることが明らかになった。
【0044】
実施例5
次の組成から成る第1及び第2試薬を調製した。
第1試薬
BES緩衝液、pH7.0 100 mmol/l
HDAOS 0.7 mmol/l
コレステロールエステラーゼ 0.8 U/ml
コレステロールオキシダーゼ 0.5 U/ml
カタラーゼ 100 U/ml
塩化マグネシウム 18 mmol/l
第2試薬
BES緩衝液、pH7.0 100 mmol/l
4−アミノアンチピリン 4.0 mmol/l
ペルオキシダーゼ 2.4 U/ml
アジ化ナトリウム 0.1%
花王(株)製エマルゲンB66(HLB13.2) 1.17%
花王(株)製エマルゲンA90(HLB14.5) 0.13%
【0045】
濃度100 mg/dl の精製したHDL、LDL、VLDL又はCMをそれぞれ含む4種類の試料各4μlに、予め37℃で加温した上記第1試薬300μlを混和し、37℃で5分間反応させた後に、第2試薬100μlを5分間反応させ、反応液の600nmにおける吸光度を測定した。測定された吸光度からコレステロール量を算出し、試料中のコレステロール量との比を計算して捕捉率とした。
【0046】
この方法では、第1工程で生じた過酸化水素がカタラーゼにより分解され、一方、第2工程で生じた過酸化水素はHDAOS及び4−アミノアンチピリンと反応してキノン色素が生じる。結果を下記表3に示す。
【0047】
【表3】
表3
【0048】
表3に示されるように、上記方法によれば、HDL中のコレステロールは大部分定量されるが、それ以外のリポ蛋白中のコレステロールはほとんど又は全く定量されず、本発明の方法により、HDL中のコレステロールを選択的に定量できることがわかる。
【0049】
実施例6
被検試料として健常人血清を用いることを除き、実施例5と同じ方法により、被検試料中のHDLコレステロールを定量した。一方、「臨床検査」、23, 121(1979) に記載された沈殿法により同じ被検試料中のHDLコレステロールを定量した。得られた測定結果の相関図を図3に示す。
【0050】
図3に示されるように、両方法による定量結果は非常によく一致しており、本発明の方法により、正確にHDL中のコレステロールが定量できることが明らかになった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、煩雑な分画分離操作を必要とせず、HDL並びにLDL、VLDL及びCM等の他のリポ蛋白を含む被検試料中のHDLを選択的に、簡便かつ正確に定量することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の方法により測定したHDL中のコレステロール量と、従来の沈殿法により測定されたHDL中のコレステロール量の関係を示す相関図である。
【図2】本発明の他の1実施例の方法により測定したHDL中のコレステロール量と、従来の沈殿法により測定されたHDL中のコレステロール量の関係を示す相関図である。
【図3】本発明のさらに他の1実施例の方法により測定したHDL中のコレステロール量と、従来の沈殿法により測定されたHDL中のコレステロール量の関係を示す相関図である。
Claims (1)
- 被検試料中の高密度リポ蛋白以外のリポ蛋白中のコレステロールを消去する第1工程と、次いで、前記第1工程の産物に、高密度リポ蛋白に特異的に作用する、HLBが13〜14の界面活性剤を加え、コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼの作用により生じた過酸化水素を定量することにより高密度リポ蛋白中のコレステロールを酵素的に定量する第2工程とを含む、高密度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法。
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