JP3039383U - 乳房カップを有する衣類 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バストにまろやかな丸みを帯びさせると共に
脇部がスレンダーなスッキリした細身な感じを与える補
整機能を有し、乳房カップの接ぎラインが外衣にひびか
ない乳房カップを有する衣類を提供する。 【解決手段】 乳房カップの膨らみのトップを含まない
脇側部分（Ａ）１２を比較的圧縮率の小さい柔軟な素材
で構成し、乳房カップの膨らみのトップを含む残余の部
分（Ｂ）を２つの比較的圧縮率の大きい柔軟な素材から
なる部片１３、１４を接ぎ合わせて構成した乳房カップ
であって、（Ｂ）の接ぎライン１６がトップを通らず、
前中心方向に向かってほぼ斜め下向きで乳房カップの刳
り方向に向かう接ぎラインである乳房カップを有し、ま
たバック布２０が身体の脇に当たる部分に圧縮ポリウレ
タンフォーム及び／またはノーバインダー圧縮不織布か
らなる脇押さえ２１が更に取り付けられているブラジャ
ー。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、乳房カップを有する衣類に関する。特に乳房形状の補整機能を有す る女性用の乳房カップを有する衣類に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、乳房カップを有する女性用衣類、具体的には、例えばブラジヤー、 ロングラインブラジャー、ビスチエ、ボディスーツ、スリーインワン、ブラテデ ィ、ブラキャミソールあるいはブラスリップなどの乳房カップを有するファンデ ーション類や水着などの衣類は、着用者の乳房に当てがわれる膨らみのある乳房 カップを有しており、これらの乳房カップを有する衣類は、女性用の被服として 広く普及している。乳房カップは、不織布やポリウレタンフォームなどの素材が 使用されており、乳房の形を美しく補整するための機能を持たせるために種々の 提案がなされている。例えば乳房カップの脇部分、あるいは脇から刳り（バージ スライン）最下点にわたって、あるいは乳房カップの下辺部に沿った部分に略三 日月状などの厚みの厚いパッドを設けたり、より腰の強い素材を用いてバストア ップをはかったり乳房の脇への流れを防止した乳房カップを有する衣類は、近年 乳房の形を補整する機能を有する乳房カップを有する衣類として普及してきてい る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、これらの衣類を着用した場合、乳房の形は補整される場合もあるが、 胸が豊かに見えるようになるものの、前記乳房カップの強化部分の位置によって 、乳房の肉が前中心側やあるいは脇側にはみ出すような形で補整されるため、特 に太った人でなくともバストがスッキリ見えなかったり、バストが大きい人は全 体の感じが太り気味に見えてしまうため、特に最近はバストの突出高さは低く押 さえ込まず胸のボリュームは保持しながら、乳房の脇側部がスレンダーなスッキ リした細身な感じを与えるような補整が望まれるようになってきている。

【０００４】 また、乳房カップの脇部分、あるいは脇から刳り最下点にわたって、あるいは 乳房カップの下辺部に沿った部分を補強部材で補強し、バストアップなどを達成 しようとする試みは種々採用されている。しかし、脇部ならびに前中心部を補強 しただけのものは他の部分に余り考慮が払われていないため、脇部の補強により 脇からの乳房へ押圧力は作用するものの、反作用で、結局乳房の肉が脇側に流れ る傾向になる。

【０００５】 また、脇部にパッドを用いて乳房を前中心側に寄せようとする試みは、乳房の 反発とパッドの厚みで脇が膨らんで太って見えると言う問題がある。 そしていずれの場合にも、きれいな丸みが実現しにくいと言う問題もある。

【０００６】 更に一般的に乳房カップはポリウレタン発泡体などのモールド成型品を除いて 、カップに山状の膨らみをを持たせるため、通常２つまたは３つのカップ構成部 分を接ぎ合わせる事によってカップに山状の膨らみをを持たせているが、この場 合通常接ぎラインはカップの膨らみのトップを通るようになっているものが大部 分であるので、これによってもトップが『く』の字のようにややとがり、きれい な丸みが実現しにくくなると共に、接ぎラインがトップを通っているため、外衣 に乳房カップの接ぎラインが反映して外衣にひびくようになり、着用者の外観を 低下させると言う問題もある。

【０００７】 ポリウレタン発泡体などのモールド成型品からなる乳房カップは、比較的きれ いな丸みが実現でき、接ぎがないので接ラインが反映して外衣にひびくと言う問 題はなくなるが、乳房の脇の肉をよりフラットな方向に整え、脇部がスレンダー なスッキリした細身な感じを与える補整機能は、実現できない。

【０００８】 本考案はバストにまろやかな丸みを帯びさせると共に脇部がスレンダーなスッ キリした細身な感じを与える補整機能を有し、乳房カップの接ぎラインが外衣に ひびかない乳房カップを有する衣類を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記の課題を解決するために、下記のような乳房カップを有する衣類 を提供する。

【００１０】 （１）乳房カップの膨らみのトップを含まない脇側部分（Ａ）を比較的圧縮率 の小さい柔軟な素材で構成し、乳房カップの膨らみのトップを含む残余の部分（ Ｂ）を２つ以上の比較的圧縮率の大きい柔軟な素材を接ぎ合わせて構成した乳房 カップであって、前記残余の部分（Ｂ）の接ぎラインがトップを通らず、前中心 方向に向かってほぼ斜め下向きで乳房カップの刳り方向に向かう接ぎラインであ る乳房カップを有する衣類。

【００１１】 上記のごとく本考案の乳房カップを有する衣類は、乳房カップの膨らみのトッ プを含まない脇側部分（Ａ）を比較的圧縮率の小さい柔軟な素材で構成し、乳房 カップの膨らみのトップを含む残余の部分（Ｂ）を２つ以上の比較的圧縮率の大 きい柔軟な素材を接ぎ合わせて構成したので、バストの脇側の形をしっかりと押 さえてシェイプアップし、乳房カップのトップを含む残余の部分（Ｂ）を比較的 圧縮率の大きい柔軟な素材で構成することによってバストのボリューム感を保ち 且つまろやかな丸みを帯びさせると共に、脇部がスレンダーなスッキリした細身 な感じを与える補整機能を付与する事ができる。そして前記残余の部分（Ｂ）の 接ぎラインがトップを全く通らず、しかもバストの最も丸みの強い前中心側カッ プ寄り方向に向かってほぼ斜め下向きに向かっている。加えて構成する素材が圧 縮率の大きい柔軟な素材であることから、従来のカットソー（接ぎ構成）ではな し得なかった、モールド成型カップの様な自然できれいな乳房の丸みを実現でき る。同時に接ぎラインがトップを通っていないことから、カットソーであるにも かかわらず、接ぎラインが外衣に反映せず、外衣に接ぎラインがひびかない衣類 が提供できる。しかも前述の様に従来のカットソーやモールド成型ではなし得な かった補正機能を付与することができ、丸みのあるシルエットと強い補正機能と 言う、従来相反するシルエットの実現を可能としたものである。

【００１２】 また、本考案の好ましい態様は次の様である。 （２）脇側部分（Ａ）を構成する比較的圧縮率の小さい柔軟な素材の圧縮率が ３〜１０％であり、残余の部分（Ｂ）の比較的圧縮率の大きい素材の圧縮率が１ ０〜２５％であり、且つ（Ａ）の素材の圧縮率よりも（Ｂ）の素材の圧縮率の方 が大きい前記（１）項に記載の乳房カップを有する衣類。

【００１３】 上記本考案の好ましい態様とすることにより、前記（１）項に記載の作用効果 がより適格に発揮され、しかも着用感の低下のない乳房カップを有する衣類を提 供する事ができ好ましい。

【００１４】 （３）脇側部分（Ａ）を構成する比較的圧縮率の小さい柔軟な素材の圧縮率が ３．５〜８％であり、残余の部分（Ｂ）の比較的圧縮率の大きい素材の圧縮率が １４〜２０％である前記（１）または（２）項のいずれかに記載の乳房カップを 有する衣類。

【００１５】 上記本考案の好ましい態様とすることにより、前記（１）項に記載の作用効果 がより安定して発揮され、しかも着用感の優れた乳房カップを有する衣類を提供 する事ができ好ましい。

【００１６】 （４）更に乳房カップが表カップを有しており、前記表カップは少なくとも一 方向に伸縮性を有する生地からなり、乳房カップの刳り近傍にギャザーを設ける か、及び／または、乳房カップの膨らみのトップを通らず乳房カップの刳り方向 に向かうダーツを設けて取り付けられている前記（１）〜（３）項のいずれかに 記載の乳房カップを有する衣類。

【００１７】 上記本考案の好ましい態様とすることにより、表カップ生地を取り付けてより 見栄えの良好な衣類とするような場合に於ても、表カップ生地が少なくとも一方 向に伸縮性を有する生地からなり、乳房カップの刳り近傍にギャザーを設けるか 、及び／または、乳房カップの膨らみのトップを通らず乳房カップの刳り方向に 向かうダーツを設けて取り付けられているので、バストの美しい丸みを保ち、か つバスト脇部がスレンダーな細身な感じを与え、接ぎラインが外衣に反映せず、 外衣に接ぎラインがひびかない本考案の乳房カップを有する衣類の前記作用効果 を妨げることなく、表カップ生地を設ける事ができ好ましい。

【００１８】 （５）脇側部分（Ａ）を構成する比較的圧縮率の小さい柔軟な素材が圧縮ポリ ウレタンフォームまたは圧縮ポリウレタンフォームの少なくとも片面に織物また は編物が積層された圧縮ポリウレタンフォームの積層物からなる前記（１）〜（ ４）項のいずれかに記載の乳房カップを有する衣類。

【００１９】 上記本考案の好ましい態様とすることにより、圧縮ポリウレタンフォームは、 安価でしかも容易に本考案で用いるに好ましい圧縮率特性を満たすものが得られ 、かつ、人体への当たりが柔らかく着用感の低下もなく特に好ましい素材である 。

【００２０】 （６）残余の部分（Ｂ）の比較的圧縮率の大きい素材がストレッチ性不織布、 非圧縮ポリウレタンフォームまたはこれらのいずれかの少なくとも片面に伸縮性 を有する織物または伸縮性を有する編物が積層された積層物からなる群から選ば れたいずれかである前記（１）〜（５）項のいずれかに記載の乳房カップを有す る衣類。

【００２１】 上記本考案の好ましい態様とすることにより、これらは、比較的弱い力で圧縮 される圧縮特性を有しており、また、柔軟性に優れているので、脇側部分（Ａ） で押し出された乳房の肉をこの部分で吸収し、まろやかな丸みを帯びさせる作用 効果を効果的に安定的に発揮でき、しかも着用感が非常に良好であり好ましい。

【００２２】 （７）脇側部分（Ａ）が、乳房カッの膨らみのトップを含まず乳房カップの脇 上辺部近傍から乳房カップの刳り最下点近傍に至る脇側部分をカバーしている部 分である前記（１）〜（６）項のいずれかに記載の乳房カップを有する衣類。

【００２３】 かかる本考案の好ましい態様とすることにより、バストの脇部がスレンダーな スッキリした細身な感じを与える補整機能を十分に付与する事ができ、好ましい 。

【００２４】 （８）更に、残余の部分（Ｂ）の素材が、脇側部分（Ａ）の素材に比べて、伸 びが大きい性質を有する素材である前記（１）〜（７）項のいずれかに記載の乳 房カップを有する衣類。

【００２５】 上記本考案の好ましい態様とすることにより、脇側部分（Ａ）の部分で押し出 された乳房の肉が、大きな反発力を受けずに残余の部分（Ｂ）部分の伸びにより 形よく吸収されるため、更に一段と脇部がスレンダーなスッキリした細身な感じ を与える補整機能を付与する事ができると共に、バストを形よく人体の前方に押 し出してバストをより美しい自然な丸み形状に保つ事ができる補整機能を付与す る事ができ好ましい。

【００２６】 （９）乳房カップを有する衣類がブラジャーであって、前記ブラジャーはその バック布が身体の脇に当たる部分に圧縮ポリウレタンフォーム及び／またはノー バインダー圧縮不織布からなる脇押さえが更に取り付けられている前記（１）〜 （８）項のいずれかに記載の乳房カップを有する衣類。

【００２７】 上記本考案の好ましい態様とすることにより、ブラジャーのバック布に、それ が身体の脇に当たる部分に圧縮ポリウレタンフォーム及び／またはノーバインダ ー圧縮不織布からなる脇押さえが更に取り付けられていることにより、身体の脇 の肉をしっかりと押さえることができるので、前記乳房カップの作用効果と合わ せてよりスレンダーな細身な感じを与える着痩せする補整機能をより効果的に付 与する事ができるブラジャーを提供することができ好ましい。

【００２８】

【考案の実施の形態】

本考案の乳房カップを有する衣類の乳房カップは、乳房カップの膨らみのトッ プを含まない脇側部分（Ａ）を比較的圧縮率の小さい柔軟な素材で構成し、乳房 カップの膨らみのトップを含む残余の部分（Ｂ）を２つ以上の比較的圧縮率の大 きい柔軟な素材を接ぎ合わせて構成した乳房カップであって、前記残余の部分（ Ｂ）の接ぎラインがトップを通らず、前中心方向に向かってほぼ斜め下向きで乳 房カップの刳り方向に向かう接ぎラインである乳房カップからなる。

【００２９】 以下、本考案の乳房カップを有する衣類に用いられる代表的な乳房カップを説 説明するために、図１〜４に人体左側の乳房カップ（代表例として３／４カップ タイプ）の正面図を示した。

【００３０】 乳房カップのトップとは乳房カップの膨らみの頂点部分を意味し、図１に示し た乳房カップ１は、前記で脇側部分（Ａ）として説明したカップ部片１２は、脇 上辺から乳房カップのトップ２の方向に接近する凸のカーブを描いてカップ刳り ４（カツプの下辺の縁でバージスとも呼ばれている。）の最下点３近傍に至る接 ぎライン１５で区画されるラインよりも脇側の部分を構成しており、この脇側部 分（Ａ）であるカップ部片１２が柔軟で比較的圧縮率の小さい素材で構成されて おり、乳房カップの膨らみのトップ２を含む残余の部分（Ｂ）が、図１に示した 乳房カップでは２つの部片１３と１４から構成されており、部片１３と１４は比 較的圧縮率の大きい柔軟な素材からなり、これらは接ぎライン１６で接ぎ合わさ れており、残余の部分（Ｂ）の前記接ぎライン１６はトップ２を通らず、前中心 方向に向かってほぼ斜め下向きで乳房カップの刳り４方向に向かう接ぎラインと なっている。

【００３１】 この例のように脇側部分（Ａ）は、乳房カップの膨らみのトップを含まず乳房 カップの脇上辺部近傍から乳房カップの刳り最下点３近傍に至る脇側部分をカバ ーしているものが好ましい。乳房カップの刳り最下点近傍と表現されているのは 、厳密に乳房カップの刳り最下点３の位置に接ぎラインの終端が位置することは 要求されず、乳房カップの刳り最下点３よりも適宜前中心寄りになったり、脇側 になっていても特に差し支えなく、本考案の目的を達成出来る範囲で適宜乳房カ ップの刳り最下点３の位置よりずれている事は何等差支えないことを意味してい る。これらの点は他の例に於ても同様である。

【００３２】 次に、図２に示した乳房カップは、本考案の乳房カップを有する衣類に用いら れる別の態様の３／４カップタイプの乳房カップの正面図である。 図２に示した乳房カップ１は、脇側部分（Ａ）として説明したカップ部片１２ ´は、脇上辺から乳房カップのトップ２を避けてカップ刳り４の最下点３近傍（ この例の場合には、最下点３より若干前中心側）に至る凹状のカーブの接ぎライ ン１５´で区画されていて、この接ぎライン１５´よりも脇側の部分を構成して いる。この脇側部分（Ａ）であるカップ部片１２´が柔軟で比較的圧縮率の小さ い素材で構成されており、乳房カップの膨らみのトップ２を含む残余の部分（Ｂ ）が、図２に示した乳房カップでは２つの部片１３´と１４´から構成されてお り、部片１３´と１４´は比較的圧縮率の大きい柔軟な素材から構成され、これ らは接ぎライン１６´で接ぎ合わされており、残余の部分（Ｂ）の前記接ぎライ ン１６´はトップ２を通らず、前中心方向に向かってほぼ斜め下向きで乳房カッ プの刳り４方向に向かう接ぎラインとなっている。図２に示した乳房カップでは ２つの部片１３´と１４´が共に接ぎライン１５´で、脇側部分（Ａ）であるカ ップ部片１２´に接ぎ合わされているタイプであり、この点図１に示した乳房カ ップは、部片１２と接して接ぎ合わされている部片が部片１３のみである点が異 なっている。

【００３３】 次に図３に示した乳房カップは、本考案の乳房カップを有する衣類に用いられ る更に別の態様の３／４カップタイプの乳房カップの正面図である。 図３に示した乳房カップ１は、脇側部分（Ａ）として説明したカップ部片１２ ´´は、脇側最上辺からスタートするのではなく、若干下方の脇上辺からスター トし、乳房カップのトップ２を避けてカップ刳り４の最下点３近傍（この例の場 合には、最下点３より若干前中心側）に至る凹状のカーブの接ぎライン１５´´ で区画されていて、この接ぎライン１５´´よりも脇側の部分を構成している。 この脇側部分（Ａ）であるカップ部片１２´´が柔軟で比較的圧縮率の小さい素 材で構成されており、乳房カップの膨らみのトップ２を含む残余の部分（Ｂ）は ２つの部片１３´´と１４´´から構成されており、部片１３´´と１４´´は 比較的圧縮率の大きい柔軟な素材から構成され、これらは接ぎライン１６´´で 接ぎ合わされており、残余の部分（Ｂ）の前記接ぎライン１６´´はトップ２を 通らず、前中心方向に向かってやや斜め下向きで乳房カップの刳り４方向に向か う接ぎラインとなっている。図３に示した乳房カップでは部片１３´´が接ぎラ イン１５´´で、脇側部分（Ａ）であるカップ部片１２´´に接ぎ合わされ、部 片１４´´が接ぎライン１６´´で、脇側部分（Ａ）であるカップ部片１２´´ に接ぎ合わされているタイプであり、この点図１や図２に示した態様の乳房カッ プと各部片の形や接ぎラインの構成が少し異なっている。

【００３４】 次に図４に示した乳房カップは、本考案の乳房カップを有する衣類に用いられ る更に別の態様の３／４カップタイプの乳房カップの正面図である。 図４に示した乳房カップ１は、脇側部分（Ａ）として説明したカップ部片１２ ａは、脇側最上辺からスタートするのではなく、若干下方の脇上辺からスタート し、乳房カップのトップ２の方向に接近する凸のカーブを描いてカップ刳り４の 最下点３近傍に至る接ぎライン１５ａで区画されるラインよりも脇側の部分を構 成しており、この脇側部分（Ａ）であるカップ部片１２ａが柔軟で比較的圧縮率 の小さい素材で構成されており、乳房カップの膨らみのトップ２を含む残余の部 分（Ｂ）が、図４に示した乳房カップでは２つの部片１３ａと１４ａから構成さ れており、部片１３ａと１４ａは比較的圧縮率の大きい柔軟な素材からなり、こ れらは接ぎライン１６ａで接ぎ合わされており、残余の部分（Ｂ）の前記接ぎラ イン１６ａはトップ２を通らず、前中心方向に向かってほぼ斜め下向きで乳房カ ップの刳り４方向に向かう接ぎラインとなっている。

【００３５】 次に図５に示した乳房カップは、本考案の乳房カップを有する衣類に用いられ る更に別の態様の３／４カップタイプの乳房カップの正面図である。 図５に示した乳房カップ１は、脇側部分（Ａ）であるカップ部片１２ｂは、脇 上辺から乳房カップのトップ２の方向に接近する凸のカーブを描いてカップ刳り ４の最下点３近傍に至る接ぎライン１５ｂよりも脇側の部分を構成する部片であ り、図１に示した脇側部分（Ａ）であるカップ部片１２とほぼ同様の形状である 。この脇側部分（Ａ）であるカップ部片１２ｂは図１で示したカップ部片１２と 同様に柔軟で比較的圧縮率の小さい素材で構成されている。図５に示した乳房カ ップが図１に示した乳房カップと主に異なる部分は、乳房カップの膨らみのトッ プ２を含む残余の部分（Ｂ）が、図１に示した乳房カップでは２つの部片１３と １４から構成されているのに対し、図４に示した乳房カップでは３つの部片１３ ｂ、１４ｂ、１８ｂから構成されている点である。これらの３つの部片１３ｂ、 １４ｂ、１８ｂは比較的圧縮率の大きい柔軟な素材からなり、これらは接ぎライ ン１６ｂ、１７ｂで接ぎ合わされており、残余の部分（Ｂ）の前記接ぎライン１ ６ｂ、１７ｂはいずれもトップ２を通らず、前中心方向に向かってほぼ斜め下向 きで乳房カップの刳り４方向に向かう接ぎラインとなっている。

【００３６】 上記の如く本考案の乳房カップを有する衣類は、乳房カップの膨らみのトップ を含まない脇側部分（Ａ）を比較的圧縮率の小さい柔軟な素材で構成し、乳房カ ップの膨らみのトップを含む残余の部分（Ｂ）を２つ以上の比較的圧縮率の大き い柔軟な素材を接ぎ合わせて構成したので、バストの脇側の形をしっかりと押さ えてシェイプアップし、乳房カップのトップを含む残余の部分（Ｂ）を比較的圧 縮率の大きい柔軟な素材で構成することによってバストのボリューム感を保ち且 つまろやかな丸みを帯びさせると共に、脇部がスレンダーなスッキリした細身な 感じを与える補整機能を付与する事ができる。そして前記残余の部分（Ｂ）の接 ぎラインがトップを全く通らず、しかもバストの最も丸みの強い前中心側カップ 寄り方向に向かってほぼ斜め下向きに向かっている。加えて構成する素材が圧縮 率の大きい柔軟な素材であることから、従来のカットソー（接ぎ構成）ではなし 得なかった、モールド成型カップの様な自然できれいな乳房の丸みを実現できる 。同時に接ぎラインがトップを通っていないことから、カットソーであるにもか かわらず、接ぎラインが外衣に反映せず、外衣に接ぎラインがひびかない衣類が 提供できる。しかも前述の様に従来のカットソーやモールド成型ではなし得なか った補正機能を付与することができ、丸みのあるシルエットと強い補正機能と言 う、従来相反するシルエットの実現を可能とする衣類が提供できる。

【００３７】 図１〜５に示した本考案の乳房カップを有する衣類に用いられるこれら乳房カ ップの実例は本考案の理解を容易にするために示した少数の具体例であって、乳 房カップの具体的な形はその使用目的や、衣類の種類、フルカップ、３／４カッ プ、２／３カップ、１／２カップなどのタイプによっても変ってくるので、本考 案の乳房カップを有する衣類に用いられる乳房カップは図１〜５に示されたもの のみに限定されるものではない。また、図１〜４にはいずれも３枚接ぎで構成さ れている乳房カップを図示したが、乳房カップの膨らみのトップを含む残余の部 分（Ｂ）を図５に示した具体例のごとく３つ以上に分けてもよいし、また、本考 案の作用効果を発現し得る限り、必要に応じて脇側部分（Ａ）の部分を２枚接ぎ またはそれ以上にしてもよい。この場合も前記乳房カップの膨らみのトップを含 む残余の部分（Ｂ）の接ぎラインがトップを通らないようにしなければならない ことは、前記と同様である。

【００３８】 図６に本考案の乳房カップを有する衣類の１種であるブラジャーの一例の正面 図を示した。図６に示したブラジャーに於ては乳房カップ１として前述の図１に 示したタイプの乳房カップを用いている。従って図１と同一の部分は同一の符号 を付して、詳細な説明は省略した。

【００３９】 尚、２０はブラジャーのバック布であり、バック布２０が身体の脇に当たる部 分に圧縮ポリウレタンフォーム及び／またはノーバインダー圧縮不織布からなる 脇押さえ２１が更に取り付けられている。２２はストラップ（肩紐）を示してい る。

【００４０】 図７は図６のブラジャーの別の態様であり、乳房カップを構成する脇側部分（ Ａ）と２つの部片から構成される残余の部分（Ｂ）の接ぎラインの態様が図６の 乳房カップのそれと比べて若干異なっている態様である。すなわち図６に示され た乳房カップ１は図１に示された態様の乳房カップであるのに対し、図７のブラ ジャーに示された乳房カップ１は、図２に示された態様の乳房カップである点が 図６に示したブラジャーと異なり、その他の点は図６に示した態様と実質的に同 一である。図７に示したタイプも図６に示したタイプもほぼ同様の前述した本考 案の作用効果を達成することができる。

【００４１】 次に図８に更に表カップを有するブラジャーの一例の斜視図を示した。尚、表 カップの裏側の乳房カップ１は図１と同一の態様としたが（図示せず）、他の図 ２〜図５に示した態様としても良いことは容易に理解される。図８に於て、７０ が表カップを示しており、表カップを構成する生地は少なくとも一方向に伸縮性 の生地からなり、この例では表カップは図１に示した乳房カップの接ぎライン１ ５と１６の位置とほぼ同一の位置に当該接ぎラインに沿ってダーツ７１、７２が 設けられている。この例でのダーツ７１、７２は、カップの中央部近傍からカッ プの刳り４の方向に向かってカップの刳り４に到達する位置まで設けられている 。尚、ダーツはカップのトップ２を通らない様にカップに立体的な丸みを帯びさ せるためのダーツであれば他の位置に設けてもよいことはもちろんである。ダー ツがカップのトップ２を通ると、ダーツのラインが外衣に反映してひびくので、 見栄えが低下し、好ましくない。

【００４２】 この様に少なくとも一方向に伸縮性の生地を用い乳房カップの膨らみのトップ を通らないダーツを設けて取り付けることにより、本考案の乳房カップを有する 衣類の前記作用効果を妨げることなく、表カップ生地を設ける事ができ好ましい 。また、表カップ生地の伸縮性は少なくとも一方向、好ましくは衣類（ブラジャ ー）縦方向の伸縮性を有することが好ましく、もちろん縦横両方向や更に斜め方 向などの伸縮性を有する生地も極めて好適に用いる事ができる。これら少なくと も一方向に伸縮性を有する表カップ用の生地の具体例としては、特に限定するも のではないが、例えば、ツーウェイトリコット、ベアーフライス、ストレッチレ ース、ポリウレタン繊維含有ラッセル編物（パワーネットと称されることがある 。）、その他ポリウレタン繊維などの弾性繊維の使用された伸縮性の編物、織物 などを使用することができる。

【００４３】 次に図９に更に表カップを有するブラジャーの一例の斜視図を示した。尚、表 カップの裏側の乳房カップ１は図１と同一の態様としたが（図示せず）、他の図 ２〜図５に示した態様としても良いことはなどは、前述の例と同様である。図９ のブラジャーの表カップ７０に於ては、やや前中心側のカップの刳り４の近傍に ギャザー８１を設けて表カップが取り付けられている。表カップを構成する生地 は前述した様に少なくとも一方向に伸縮性の生地であることは、前述の例と同様 である。

【００４４】 この様に少なくとも一方向に伸縮性の生地を用いギャザーを設けて取り付ける ことにより、本考案の乳房カップを有する衣類の前記作用効果を妨げることなく 、表カップ生地を設ける事ができ好ましい。

【００４５】 尚、図示していないが、表カップを取り付ける場合にダーツとギャザーを併用 して取り付けてもよいことはもちろんである。 次に図１０に本考案の乳房カップを有する衣類の１種であるボディスーツの一 例の斜視図を示した。このボディスーツに図示された乳房カップ１の態様は図１ に示した乳房カップ１の態様と実質的に同様なタイプの乳房カップを有している が、図２〜図５などに示したようなタイプの乳房カップを備えたものであっても よいことは容易に理解される。尚、一般にボディスーツに於ては乳房カップは表 カップ布でカバーされているので、乳房カップの接ぎライン１５、１６は点線で 示した。表カップが設けられる場合には、前述した様に表カップ生地としては少 なくとも一方向に伸縮性の生地が用いられている。また、ダーツ及び／またはギ ャザーが設けられて取り付けられていることが好ましい。

【００４６】 次に図１１に本考案の乳房カップを有する衣類の１種である水着の一例の斜視 図を示した。この水着に図示された乳房カップ１の態様は図１に示した乳房カッ プ１の態様と実質的に同様なタイプの乳房カップを有しているが（図示せず）、 図２〜図５などに示したようなタイプの乳房カップを備えたものであってもよい ことは容易に理解される。尚、一般に水着に於ては乳房カップは水着の表布でカ バーされているので乳房カップの接ぎライン１５、１６は点線で示した。水着の 表布の少なくともカップ部分の表布の生地としては、少なくとも一方向に伸縮性 の生地が用いられ、また、ダーツ及び／またはギャザーが設けられて取り付けら れていることが好ましい。

【００４７】 以上、本考案の乳房カップを有する衣類について、その具体例としてブラジャ ー、ボディスーツ、水着を取り上げて説明したが、本考案はこの図示した実施の 態様例で示したもののみに限定されるものではなく、例えばビスチエ、スリーイ ンワン、ブラテディ、ブラキャミソールあるいはブラスリップなどの乳房カップ を有するファンデーション類のみならず、他の各種の乳房カップを有する女性用 の衣類についても同様に適用できることは容易に理解されるところである。

【００４８】 そして乳房カップの膨らみのトップを含まない脇側部分（Ａ）を比較的圧縮率 の小さい柔軟な素材で構成し、乳房カップの膨らみのトップを含む残余の部分（ Ｂ）を２つ以上の比較的圧縮率の大きい柔軟な素材を接ぎ合わせて構成すること によって、バストの脇側の形をしっかりと押さえてシェイプアップし、乳房カッ プのトップを含む残余の部分（Ｂ）を比較的圧縮率の大きい柔軟な素材で構成す ることによってバストのボリューム感を保ち且つまろやかな丸みを帯びさせると 共に、脇部がスレンダーなスッキリした細身な感じを与える補整機能を付与する 事ができる。そして前記残余の部分（Ｂ）の接ぎラインがトップを全く通らず、 しかもバストの最も丸みの強い前中心側カップ寄り方向に向かってほぼ斜め下向 きに向かっている。加えて構成する素材が圧縮率の大きい柔軟な素材であること から、従来のカットソー（接ぎ構成）ではなし得なかった、モールド成型カップ の様な自然できれいな乳房の丸みを実現できる。同時に接ぎラインがトップを通 っていないことから、カットソーであるにもかかわらず、接ぎラインが外衣に反 映せず、外衣に接ぎラインがひびかない衣類が提供できる。しかも前述の様に従 来のカットソーやモールド成型ではなし得なかった補正機能を付与することがで き、丸みのあるシルエットと強い補正機能と言う、従来相反するシルエットの実 現を可能とする衣類が提供できる。

【００４９】 素材の圧縮率については、脇側部分（Ａ）の素材の圧縮率は３〜１０％であり 、乳房カップの膨らみのトップを含む残余の部分（Ｂ）の素材の圧縮率は１０〜 ２５％であって、且つ（Ａ）の素材の圧縮率よりも（Ｂ）の素材の圧縮率の方が 大きいことが好ましい。そして、より好ましい圧縮率の範囲は、（Ａ）の素材の 圧縮率が３．５〜８％であり、（Ｂ）の素材の圧縮率が１４〜２０％の範囲であ る。

【００５０】 また、特に限定するものではないが、更に（Ａ）の素材の嵩高保持率が（Ｂ） の素材の嵩高保持率よりも大きい素材を用いることがより好ましい。また更に（ Ｂ）の素材の伸びが（Ａ）の素材の伸びよりも伸びの大きな素材であることが好 ましい。

【００５１】 ここで圧縮率、嵩高保持率は次の方法によって測定する事ができる。 縦横１０ｃｍ×１０ｃｍの試験片を１０枚重ねて、その上に縦横１０ｃｍ× １０ｃｍ（重さ５０ｇｆ／１００ｃｍ² ）のアルミニウム板をのせ、その状態で 四辺において１０枚分の試験片の厚みを測定し、一枚当たりの試験片の厚みの平 均値（Ｘ）を算出する。

【００５２】 アルミニウム板の上に２０００ｇｆのおもりを３０秒間載せ、前記の操作 と同様にして圧縮された状態の一枚当たりの試験片の厚みの平均値（Ｙ）を算出 する。

【００５３】 ２０００ｇｆのおもりを除き、３０秒放置した後、再び２０００ｇｆのおも りをアルミニウム板の上に２４時間載せ、おもりを除いて１時間放置後の状態の 一枚当たりの試験片の厚みの平均値（Ｚ）を前記の操作と同様にして算出する 。

【００５４】 次式により、圧縮率（％）、嵩高保持率（％）を求める。

【００５５】

【数１】 圧縮率（％）＝｛（Ｘ−Ｙ）／Ｘ｝×１００

【００５６】

【数２】 嵩高保持率（％）＝｛（Ｚ−Ｙ）／（Ｘ−Ｙ）｝×１００ また、前記素材の伸びの比較は、（Ａ）、（Ｂ）の素材とも同じ条件で伸びを 測定して比較すればよく、特に限定するものではないが、通常インストロン型定 速伸長型引張試験機（例えば島津製作所製“オートグラフ”ＡＧ−５００Ｄなど ）を用いて一定加重を掛けた時の伸長率などを測定する方法で判定することがで きる。尚、伸びの測定は、その素材の最もよく伸びる方向の伸長率の値で比較す る。

【００５７】 （Ａ）を構成する素材の具体例としては、例えば、フォームラバーや圧縮ポリ ウレタンフォームなどがあげられるが、特に圧縮ポリウレタンフォームが好まし い。また（Ａ）の素材としてはストレッチレースなども使用可能である。圧縮ポ リウレタンフォームの嵩密度は特に限定するものではないが０．０７５〜０．３ ００ｇ／ｃｃのものが好ましく用いられる。またフォームラバーや圧縮ポリウレ タンフォームの少なくとも片面に織物または編物が積層された圧縮ポリウレタン フォームやフォームラバーの積層物も好ましく用いられる。積層される織物また は編物としては、伸縮性であっても伸縮性がなくてもよい。この様な織物または 編物を積層する事により、肌触りを改良したり、見栄えをよくすることができ好 ましい。特に限定するものではないがトリコット編物、例えばナイロントリコッ ト、ポリエステルトリコット、綿トリコット、綿とナイロンまたはポリエステル の混編トリコットなどが好適に用いられる。これらのトリコット編物は伸縮性を 有するが、伸びを比較的少なく抑えたい場合には、２枚以上重ねて積層してもよ い。

【００５８】 尚、通常のポリウレタンフォームでは圧縮率が大きすぎるものが一般的であり 、通常のポリウレタンフォームは好ましくない。ただし、（Ａ）を構成する素材 は圧縮ポリウレタンフォームやフォームラバーのみに限定されるものではなく、 着用感を低下させずに本考案の目的を達成出来るものであれば使用可能である。

【００５９】 また、（Ｂ）を構成する素材の具体例としては、例えば、ストレッチ性不織布 、非圧縮ポリウレタンフォームまたはこれらのいずれかの少なくとも片面に伸縮 性を有する織物または伸縮性を有する編物が積層された積層物などが用いられ、 これらは、比較的圧縮率が大きい圧縮特性を有しており、また、柔軟性に優れて いるので、（Ｂ）の素材の特性から、バストを人体の前方に押し出して且つまろ やかな丸みを帯びさせる作用効果を効果的に安定的に発揮でき、しかも、着用感 を低下させず、着用感が非常に良好であり好ましい。

【００６０】 特に、ストレッチ性不織布や非圧縮ポリウレタンフォームなどを用いる場合に は、これらのいずれかの少なくとも片面に伸縮性を有する織物または伸縮性を有 する編物が積層された積層物を用いることが肌触りを改良したり、見栄えをよく することができ好ましい。特に限定するものではないが積層する伸縮性を有する 織物または編物としてはトリコット編物、例えばナイロントリコット、ポリエス テルトリコット、綿トリコット、綿とナイロンまたはポリエステルの混編トリコ ットなどの伸縮性を有するものが好適に用いられる。

【００６１】 尚、前記の様な織物や編物を積層した積層物の圧縮率や嵩高保持率を求めるに は、積層物の状態で前記の測定法に従って求めればよい。 また、図６〜１１に示した本考案の乳房カップを有する衣類に於ては、乳房カ ップの（Ａ）に相当する１２の部分の素材はトリコット編物がその両面に積層さ れた圧縮ポリウレタンフォーム（圧縮率４．２％、嵩高保持率９２．３％、厚さ ３ｍｍ、圧縮ポリウレタンフォーム部分のみの嵩密度０．２８０ｇ／ｃｃ）を用 い、（Ｂ）に相当する１３、１４の部分の素材はトリコット編物がその両面に積 層されたストレッチ性不織布（圧縮率１６．５％、嵩高保持率４１．３％、厚さ ４ｍｍ、ストレッチ性不織布部分のみの目付１４５ｇ／ｍ² ）を用いる組み合わ せと、（Ａ）に相当する１２の部分の素材がトリコット編物がその両面に積層さ れた圧縮ポリウレタンフォーム（圧縮率７．０％、嵩高保持率５２．２％、厚さ ３ｍｍ、圧縮ポリウレタンフォーム部分のみの嵩密度０．０７８４ｇ／ｃｃ）を 用い、（Ｂ）に相当する１３、１４の部分の素材はトリコット編物がその両面に 積層されたストレッチ性不織布（圧縮率１６．５％、嵩高保持率４１．３％、厚 さ４ｍｍ、ストレッチ性不織布部分のみの目付１４５ｇ／ｍ² ）を用いる組み合 わせの２通りをそれぞれについて採用したが、これのみに限定されるものではな いことは前述した通りである。

【００６２】

【考案の効果】

（１）本考案の乳房カップを有する衣類は、乳房カップの膨らみのトップを含 まない脇側部分（Ａ）を比較的圧縮率の小さい柔軟な素材で構成し、乳房カップ の膨らみのトップを含む残余の部分（Ｂ）を２つ以上の比較的圧縮率の大きい柔 軟な素材を接ぎ合わせて構成することによって、バストの脇側の形をしっかりと 押さえてシェイプアップし、乳房カップのトップを含む残余の部分（Ｂ）を比較 的圧縮率の大きい柔軟な素材で構成することによってバストのボリューム感を保 ち且つまろやかな丸みを帯びさせると共に、脇部がスレンダーなスッキリした細 身な感じを与える補整機能を付与する事ができる。そして前記残余の部分（Ｂ） の接ぎラインがトップを全く通らず、しかもバストの最も丸みの強い前中心側カ ップ寄り方向に向かってほぼ斜め下向きに向かっている。加えて構成する素材が 圧縮率の大きい柔軟な素材であることから、従来のカットソー（接ぎ構成）では なし得なかった、モールド成型カップの様な自然できれいな乳房の丸みを実現で きる。同時に接ぎラインがトップを通っていないことから、カットソーであるに もかかわらず、接ぎラインが外衣に反映せず、外衣に接ぎラインがひびかない衣 類が提供できる。しかも前述の様に従来のカットソーやモールド成型ではなし得 なかった補正機能を付与することができ、丸みのあるシルエットと強い補正機能 と言う、従来相反するシルエットの実現を可能とする衣類が提供できる。

【００６３】 （２）また、本考案の乳房カップを有する衣類において、脇側部分（Ａ）を構 成する比較的圧縮率の小さい柔軟な素材の圧縮率が３〜１０％であり、残余の部 分（Ｂ）の比較的圧縮率の大きい素材の圧縮率が１０〜２５％であり、且つ（Ａ ）の素材の圧縮率よりも（Ｂ）の素材の圧縮率の方が大きい上記本考案の好まし い態様とすることにより、前記（１）項に記載の作用効果がより適格に発揮され 、しかも着用感の低下のない乳房カップを有する衣類を提供する事ができ好まし い。

【００６４】 （３）また、本考案の乳房カップを有する衣類において、脇側部分（Ａ）を構 成する比較的圧縮率の小さい柔軟な素材の圧縮率が３．５〜８％であり、残余の 部分（Ｂ）の比較的圧縮率の大きい素材の圧縮率が１４〜２０％である上記本考 案の好ましい態様とすることにより、前記（１）項に記載の作用効果がより安定 して発揮され、しかも着用感の優れた乳房カップを有する衣類を提供する事がで き好ましい。

【００６５】 （４）また、本考案の乳房カップを有する衣類において、更に乳房カップが表 カップを有しており、前記表カップは少なくとも一方向に伸縮性を有する生地か らなり、乳房カップの刳り近傍にギャザーを設けるか、及び／または、乳房カッ プの膨らみのトップを通らず乳房カップの刳り方向に向かうダーツを設けて取り 付けられている上記本考案の好ましい態様とすることにより、表カップ生地を取 り付けてより見栄えの良好な衣類とするような場合に於ても、表カップ生地が少 なくとも一方向に伸縮性を有する生地からなり、乳房カップの刳り近傍にギャザ ーを設けるか、及び／または、乳房カップの膨らみのトップを通らず乳房カップ の刳り方向に向かうダーツを設けて取り付けられているので、バストの美しい丸 みを保ち、かつバスト脇部がスレンダーな細身な感じを与え、接ぎラインが外衣 に反映せず、外衣に接ぎラインがひびかない本考案の乳房カップを有する衣類の 前記作用効果を妨げることなく、表カップ生地を設ける事ができ好ましい。

【００６６】 （５）また、本考案の乳房カップを有する衣類において、脇側部分（Ａ）を構 成する比較的圧縮率の小さい柔軟な素材が圧縮ポリウレタンフォームまたは圧縮 ポリウレタンフォームの少なくとも片面に織物または編物が積層された圧縮ポリ ウレタンフォームの積層物からなる上記本考案の好ましい態様とすることにより 、圧縮ポリウレタンフォームは、安価でしかも容易に本考案で用いるに好ましい 圧縮率特性を満たすものが得られ、かつ、人体への当たりが柔らかく着用感の低 下もなく特に好ましい。

【００６７】 （６）また、本考案の乳房カップを有する衣類において、残余の部分（Ｂ）の 比較的圧縮率の大きい素材がストレッチ性不織布、非圧縮ポリウレタンフォーム またはこれらのいずれかの少なくとも片面に伸縮性を有する織物または伸縮性を 有する編物が積層された積層物からなる群から選ばれたいずれかである上記本考 案の好ましい態様とすることにより、これらは、比較的弱い力で圧縮される圧縮 特性を有しており、また、柔軟性に優れているので、脇側部分（Ａ）で押し出さ れた乳房の肉をこの部分で吸収し、まろやかな丸みを帯びさせる作用効果を効果 的に安定的に発揮でき、しかも着用感が非常に良好であり好ましい。

【００６８】 （７）また、本考案の乳房カップを有する衣類において、脇側部分（Ａ）が、 乳房カッの膨らみのトップを含まず乳房カップの脇上辺部近傍から乳房カップの 刳り最下点近傍に至る脇側部分をカバーしている部分である上記本考案の好まし い態様とすることにより、バストの脇部がスレンダーなスッキリした細身な感じ を与える補整機能を十分に付与する事ができ、好ましい。

【００６９】 （８）また、本考案の乳房カップを有する衣類において、更に、残余の部分（ Ｂ）の素材が、脇側部分（Ａ）の素材に比べて、伸びが大きい性質を有する素材 である上記本考案の好ましい態様とすることにより、脇側部分（Ａ）の部分で押 し出された乳房の肉が、大きな反発力を受けずに残余の部分（Ｂ）部分の伸びに より形よく吸収されるため、更に一段と脇部がスレンダーなスッキリした細身な 感じを与える補整機能を付与する事ができると共に、バストを形よく人体の前方 に押し出してバストをより美しい自然な丸み形状に保つ事ができる補整機能を付 与する事ができ好ましい。

【００７０】 （９）また、本考案の乳房カップを有する衣類において、乳房カップを有する 衣類がブラジャーであって、前記ブラジャーはそのバック布が身体の脇に当たる 部分に圧縮ポリウレタンフォーム及び／またはノーバインダー圧縮不織布からな る脇押さえが更に取り付けられている上記本考案の好ましい態様とすることによ り、ブラジャーのバック布に、それが身体の脇に当たる部分に圧縮ポリウレタン フォーム及び／またはノーバインダー圧縮不織布からなる脇押さえが更に取り付 けられていることにより、身体の脇の肉をしっかりと押さえることができるので 、前記乳房カップの作用効果と合わせてよりスレンダーな細身な感じを与える着 痩せする補整機能をより効果的に付与する事ができるブラジャーを提供すること ができ好ましい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の乳房カップを有する衣類に用いられる
左の乳房カップの一例の正面図。

【図２】本考案の乳房カップを有する衣類に用いられる
左の乳房カップの別の一例の正面図。

【図３】本考案の乳房カップを有する衣類に用いられる
左の乳房カップの更に別の一例の正面図。

【図４】本考案の乳房カップを有する衣類に用いられる
左の乳房カップの更に別の一例の正面図。

【図５】本考案の乳房カップを有する衣類に用いられる
左の乳房カップの更に別の一例の正面図。

【図６】本考案の乳房カップを有する衣類の１種である
ブラジャーの一例の正面図。

【図７】本考案の乳房カップを有する衣類の１種である
ブラジャーの別の一例の正面図。

【図８】本考案の乳房カップを有する衣類の１種である
表カップを有するブラジャーの一例の斜視図。

【図９】本考案の乳房カップを有する衣類の１種である
表カップを有するブラジャーの別の一例の斜視図。

【図１０】本考案の乳房カップを有する衣類の１種であ
るボディスーツの一例の斜視図。

【図１１】本考案の乳房カップを有する衣類の１種であ
る水着の一例の斜視図。

【符号の説明】

１ 乳房カップ ２ 乳房カップのトップ ３ 乳房カップの刳りの最下点 ４ 乳房カップの刳り １２、１２、´１２´´、１２ａ、１２ｂ 乳房カップ
の脇側部分（Ａ）のカップ部片 １３、１３´、１３´´、１３ａ、１３ｂ 乳房カップ
の残余の部分（Ｂ）の一部を構成する部片 １４、１４´、１４´´、１４ａ、１４ｂ 乳房カップ
の残余の部分（Ｂ）の一部を構成する部片 乳房カップのトップを含むほぼ中間部分（ｃ） １５、１５´、１５´´、１５ａ、１５ｂ 接ぎライン １６，１６´、１６´´、１６ａ、１６ｂ 接ぎライン １７ｂ 接ぎライン １８ｂ 乳房カップの残余の部分（Ｂ）の一部を構成す
る部片 ２０ ブラジャーのバック布 ２１ 脇押さえ ２２ ストラップ（肩紐） ７０ 表カップ ７１、７２ ダーツ ８１ ギャザー

Claims (9)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 乳房カップの膨らみのトップを含まない
   脇側部分（Ａ）を比較的圧縮率の小さい柔軟な素材で構
   成し、乳房カップの膨らみのトップを含む残余の部分
   （Ｂ）を２つ以上の比較的圧縮率の大きい柔軟な素材を
   接ぎ合わせて構成した乳房カップであって、前記残余の
   部分（Ｂ）の接ぎラインがトップを通らず、前中心方向
   に向かってほぼ斜め下向きで乳房カップの刳り方向に向
   かう接ぎラインである乳房カップを有する衣類。
2. 【請求項２】 脇側部分（Ａ）を構成する比較的圧縮率
   の小さい柔軟な素材の圧縮率が３〜１０％であり、残余
   の部分（Ｂ）の比較的圧縮率の大きい素材の圧縮率が１
   ０〜２５％であり、且つ（Ａ）の素材の圧縮率よりも
   （Ｂ）の素材の圧縮率の方が大きい請求項１に記載の乳
   房カップを有する衣類。
3. 【請求項３】 脇側部分（Ａ）を構成する比較的圧縮率
   の小さい柔軟な素材の圧縮率が３．５〜８％であり、残
   余の部分（Ｂ）の比較的圧縮率の大きい素材の圧縮率が
   １４〜２０％である請求項１または２のいずれかに記載
   の乳房カップを有する衣類。
4. 【請求項４】 更に乳房カップが表カップを有してお
   り、前記表カップは少なくとも一方向に伸縮性を有する
   生地からなり、乳房カップの刳り近傍にギャザーを設け
   るか、及び／または、乳房カップの膨らみのトップを通
   らず乳房カップの刳り方向に向かうダーツを設けて取り
   付けられている請求項１〜３のいずれかに記載の乳房カ
   ップを有する衣類。
5. 【請求項５】 脇側部分（Ａ）を構成する比較的圧縮率
   の小さい柔軟な素材が圧縮ポリウレタンフォームまたは
   圧縮ポリウレタンフォームの少なくとも片面に織物また
   は編物が積層された圧縮ポリウレタンフォームの積層物
   からなる請求項１〜４のいずれかに記載の乳房カップを
   有する衣類。
6. 【請求項６】 残余の部分（Ｂ）の比較的圧縮率の大き
   い素材がストレッチ性不織布、非圧縮ポリウレタンフォ
   ームまたはこれらのいずれかの少なくとも片面に伸縮性
   を有する織物または伸縮性を有する編物が積層された積
   層物からなる群から選ばれたいずれかである請求項１〜
   ５のいずれかに記載の乳房カップを有する衣類。
7. 【請求項７】 脇側部分（Ａ）が、乳房カッの膨らみの
   トップを含まず乳房カップの脇上辺部近傍から乳房カッ
   プの刳り最下点近傍に至る脇側部分をカバーしている部
   分である請求項１〜６のいずれかに記載の乳房カップを
   有する衣類。
8. 【請求項８】 更に、残余の部分（Ｂ）の素材が、脇側
   部分（Ａ）の素材に比べて、伸びが大きい性質を有する
   素材である請求項１〜７のいずれかに記載の乳房カップ
   を有する衣類。
9. 【請求項９】 乳房カップを有する衣類がブラジャーで
   あって、前記ブラジャーはそのバック布が身体の脇に当
   たる部分に圧縮ポリウレタンフォーム及び／またはノー
   バインダー圧縮不織布からなる脇押さえが更に取り付け
   られている請求項１〜８のいずれかに記載の乳房カップ
   を有する衣類。