JP4374209B2 - 乳房カップを有する衣料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳房カップを有する衣料に関し、特に、カップワイヤやバック布端部などによる局所的な圧迫を軽減させることにより着用感を向上させた衣料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ブラジャー、ロングブラジャー、ボディスーツ、水着などの乳房カップを有する衣料は、女性用の被服として広く普及している。一般にこれらの女性用衣料は、乳房の形を整え、そのシルエットをできるだけ美しくするために、乳房カップの縁の下半部に、ほぼ円弧状の金属製のカップワイヤを備えたものが広く普及している。このカップワイヤは、その剛性を利用してカップの変形を食い止め、乳房の形を美しく保とうとするものである。
【0003】
このようなカップワイヤを有する従来のブラジャーの代表例について、以下に説明する。図13は、従来のカップワイヤを有するブラジャーの乳房カップ部の断面図である。図13に示されるように、従来のブラジャーでは、カップワイヤ101が、着用者の肌への当たりをやわらげるためのバイアステープ102で覆われた状態で、乳房カップ部105および土台布106に、縫着により取り付けられている。乳房カップ部105は、表布103およびカップ裏打104から構成されている。カップ裏打104としては、着け心地を良くしたり、乳房の形の補正機能を持たせたりするために、例えばポリウレタン発泡体などの弾力性がありかつ比較的厚みのある材料を用いることもある。なお、図13中に示す破線は、縫製線である。
【0004】
また、このようなカップワイヤを有するブラジャーにおいて、カップワイヤにより着用者の皮膚に直接的な衝撃が加わるのを緩和するために、カップワイヤのバイアステープ内にクッション材を挿入することが、例えば特許文献1に記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−110005号公報(図3〜図6)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図13に示したような従来のブラジャーでは、カップワイヤ101が乳房カップ部105よりも内側に設けられていることにより、カップ裏側から見た場合に、乳房カップ部105および土台布106に対するカップワイヤ101の段差が大きかった。このため、ブラジャーを着用した場合に、着用者の皮膚に対する圧力が、カップワイヤ101部分において局所的に高くなり、着け心地を損なうことがあるといった問題があった。
【0007】
また、従来のブラジャーでは、乳房カップ部の脇側から背面側へ延びるバック布(バックストラップとも称される)が、裁断された縁の始末が必要な布地を用いて作成されることが一般的であった。この場合、バック布の上下端において裁断された縁を折り返して縫製により縁始末をする必要があり、始末された縁の厚みが、折り返された生地の分だけ増すこととなる。これにより、(1)ブラジャーのバック布のラインが着衣にひびき易くなる、(2)バック布が着用者の身体へ与える圧力が前記縁部分において局所的に高くなり、着用者に締め付け感を与えたり、長時間着用すると皮膚に跡が残ったりする、(3)縁始末の縫い目部分が皮膚への刺激となることもある、といった問題があった。
【0008】
本発明はこれらの問題を解決するために、乳房カップ部のカップワイヤやバック布端部による局所的な圧迫を軽減することにより、着け心地を向上させた衣料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる乳房カップを有する衣料は、以下のものである。
(1)本発明にかかる乳房カップを有する衣料は、乳房カップと、前記乳房カップのほぼ前中心側から下側並びに脇側にかけてのほぼ下半部の湾曲縁に沿うカップワイヤとを具備した、乳房カップを有する衣料であって、前記カップワイヤが、前記乳房カップの表布によって表裏から挟み込まれた状態で前記乳房カップの表面側に取り付けられたことを特徴とする。
(2)前記(1)にかかる構成の衣料において、アンダーバスト部分を正面から両脇にかけて覆う土台布を、前記乳房カップの裏面側にさらに備えると共に、前記カップワイヤと前記土台布との間に前記乳房カップの下端部が介在することが好ましい。
【0010】
なお、前記(2)にかかる構成の衣料において、▲1▼前記表布の下端部が、前記カップワイヤと前記乳房カップの下端部との間に介在する構成、または、▲2▼前記表布の下端部が、前記乳房カップの下端部と前記土台布との間に介在する構成とすることが可能である。
(3)前記(2)にかかる構成の衣料において、前記乳房カップが、低反発の不織布もしくは発泡ポリウレタンからなることが好ましい。
【0011】
なお、前記(1)〜(3)のいずれかにかかる構成の衣料において、▲1▼前記カップワイヤの芯材が、バイアステープにより表裏から挟み込まれた構成、または、▲2▼前記カップワイヤの芯材の表側のみがバイアステープで覆われた構成とすることが可能である。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかにかかる構成の衣料においては、ブラジャー、ロングブラジャー、ブラスリップ、ブラキャミソール、乳房カップ付きテディ、ボディスーツ、レオタード、および水着から選ばれた衣料であることが好ましい。
(5)前記(1)〜(3)のいずれかにかかる構成の衣料においては、前記乳房カップの脇側から背面側へ延びる左右のバック布が、縁始末が不要な布を裁断されたままの状態で用いて形成されたことが好ましい。
(6)前記(5)にかかる構成の衣料においては、前記バック布が、2枚の布を接着して形成され、縁始末がなされていないことが好ましい。
(7)前記(1)〜(3)のいずれかにかかる構成の衣料においては、バック布および/または土台布の少なくとも乳房カップ側端部が、縁始末不要な布を裁断したままの状態で、前記カップワイヤ部分において前記乳房カップと連結されていることが好ましい。
(8)前記(1)〜(3)のいずれかにかかる構成の衣料においては、アンダーバスト部分の正面から前記乳房カップの脇側を通って背面側へ延びる布地部片が、接ぎのない連続した布地で形成され、カップワイヤ部分において前記乳房カップと連結されていることが好ましい。
(9)前記(8)にかかる構成の衣料においては、前記布地部片の上下端部が波形状に裁断されていることが好ましい。
(10)前記(9)にかかる構成の衣料においては、前記布地部片の上下端部が、上端部が凸であれば下端部が凹、上端部が凹であれば下端部が凸となるように裁断されていることが好ましい。
(11)前記(5)〜(10)のいずれかにかかる構成の衣料は、ブラジャーであることが好ましい。
(12)本発明の乳房カップを有する衣料は、乳房カップと、アンダーバスト部分を正面から両脇にかけて覆いかつ乳房カップの脇側を通って背面側へ延びる布地部片とを具備した、乳房カップを有する衣料であって、前記布地部片が、縁始末が不要な布を裁断されたままの状態で用いて形成され、前記布地部片の上下端部が、上端部が凸であれば下端部が凹、上端部が凹であれば下端部が凸となるように、波形状に裁断されていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施形態にかかるブラジャーの斜視図である。図1に示すように、本実施形態にかかるブラジャーは、主に、乳房カップ部1、土台布2、バック布3、肩紐4、およびカップワイヤ5から構成される。なお、図1においては、構成を分かりやすく示すために、乳房カップ部1の表布と土台布2の表面のレース布の図示を省略したが、この図1のA−A’断面を示した図3では、前記表布およびレース布も図示した。
【0013】
乳房カップ部1は、弾性を有する材料(クッション材)を用いて、上カップ部1aおよび下カップ部1b・1cから形成されている。前記クッション材としては、不織布、発泡ポリウレタン、ダブルラッセル等が好適に用いられる。特に、クッション材として、カップワイヤの厚みを吸収することができる程度の反発係数を有する低反発発泡ポリウレタンを用いれば、カップワイヤの厚みが肌側に突出することが少なく、カップワイヤ部分において着用者の肌に触れる側をより平坦にすることができるので、最も好ましい。また、このクッション材の厚みは、上カップ部1aで約5mm、下カップ部1b・1cでカップのサイズに応じて7〜10mmの範囲とすることが好適である。
【0014】
なお、この図では、乳房カップ部1のクッション材が3つの部分から構成されている例を示したが、上カップ部と下カップ部との2つで乳房カップ部1を形成しても良いし、乳房カップ部1の全体を1つのクッション材で形成することも可能である。あるいは、乳房カップ部1のクッション材を4つ以上のパッドから構成することも可能であるが、この場合、カップワイヤに当接するパッドが少なくとも下カップ部に当接するパッドと連続していることが好ましい。
【0015】
このブラジャーにおいては、乳房カップ部1の脇側上端から最下点を通って内側上端へ至るように、ほぼ半円弧状のカップワイヤ5が取り付けられている。図3に示されるように、カップワイヤ5は、適度な弾力性および剛性を有する芯材5aを、バイアステープなどと称される布地5bで表裏から挟み込むように覆い被せた状態で取り付けられている。バイアステープ5bの素材としては、芯材5aの突き抜けを防止しうる布地であれば、任意の布地を用いることができる。なお、バイアステープ5bは、芯材5aに対して表裏から縫着されていても良いし、接着剤などにより接着されていても良い。
【0016】
芯材5aとしては、鋼鉄ワイヤ、形状記憶合金ワイヤ、合成樹脂ワイヤなどを用いることができる。また、図3等では、断面が略楕円状の芯材を用いた例を示したが、これに限らず、断面が扁平形状、ほぼ円状、あるいは多角形状の芯材を用いても良い。
【0017】
図3に示されるように、カップワイヤ5は、乳房カップ部1の表面を覆う表布6の下端部を折り返してなるループ部分に挟み込まれた状態で、乳房カップ部1の表側から、乳房カップ部1および土台布2に縫着される。なお、図3の例では、土台布2の表側には、装飾性を高めるための布としてレース布7を設けたが、レース以外の布を用いても良いし、土台布2だけであっても良い。すなわち、レース布7は必須ではない。
【0018】
土台布2は、アンダーバスト部分を正面から両脇にかけて覆い、土台布2の背面側端部には、左右のバック布3がそれぞれ縫着されている。左右のバック布3の後端には、フック・アンド・アイとも呼ばれる鈎ホックの爪部(フック)3aと後環部(アイ)3bとがそれぞれ取り付けられている。すなわち、着用時には、鈎ホックのフック3aをアイ3bに引っかけて左右のバック布を連結し、脱ぐ場合はフック3aとアイ3bとの連結を外す。すなわち、このブラジャーは、左右のバック布3が人体背面側で係止される後ろ開きタイプのブラジャーである。
【0019】
表布6としては、例えば、トリコット、天竺、パワーネット、チュールパワーネットなどを用いることができる。また、装飾性を高めるために、レース生地を用いても良い。ただし、表布6はこれらに限定されず、任意の布地を用いることができる。
【0020】
ここで、図3を参照しながら、本実施形態にかかるブラジャーの製造工程におけるカップワイヤ5の取り付け方の一例を説明する。なお、図3における41〜48は、縫着位置を示す線(縫製線)である。まず、縫製線41で示すように、土台布2にレース布7を縫着する。次に、縫製線42で示すように、土台布2に乳房カップ部1を縫着する。さらに、乳房カップ部1を縫着した土台布2の端部をレース布7側へ折り返し、縫製線43で示すように押え縫いを施す。次に、表布6の端部にカップワイヤ5を載せて、縫製線44で示すように縫着し、さらに、縫製線45で示すように、乳房カップ部1および土台布2およびレース布7にも縫着する。そして、表布6を、カップワイヤ5を挟み込み、かつ乳房カップ部1の表面を覆うように折り返し、縫製線46および47で示すように、カップワイヤ5の芯材5aの上下に二箇所、表布6から土台布2まで貫通させて押え縫いを施す。さらに、縫製線48で示すように、表布6の上端部を乳房カップ部1の上端部に縫着する。
【0021】
以上の工程により、カップワイヤ5が表布6により表裏から挟み込まれた状態で、乳房カップ部1および土台布2に縫着される。なお、縫着箇所、縫着方法、あるいは縫着順序は、この図に示した態様に限定されず、縫着の代わりに接着剤などによる仮止めで済む箇所もある。また、縫製線46は、表布6、カップワイヤ5、乳房カップ部1、土台布2の全てを貫通するように記載されているが、表布6を貫通しなくとも良い。
【0022】
なお、着用者の皮膚に接する箇所を極力平坦にするために、縫合箇所を少なくすることが好ましい。フック・アンド・アイと隣接するバック布、カップワイヤの上端や下端周囲に隣接するバック布や土台布など、着用時に負荷がかかりやすい箇所は、補強のため、1〜2cm程度縫合することがあっても差し支えない。
【0023】
図3から分かるように、本実施形態のブラジャーでは、カップワイヤ5が、土台布2の表側に取り付けられている。従って、図13に示した従来のブラジャーのようにカップワイヤが土台布の内側(着用者の皮膚に接する側)に取り付けられたものと比較すると、図2に示されるように、カップ裏側から見た場合の、乳房カップ部1および土台布2に対するカップワイヤ5部分の段差(突出量)が小さくなる。従って、着用者の皮膚に対してカップワイヤの芯材が与える局所的な圧力が従来よりも小さくなるので、肌当たりが良く、長時間着用しても着用者の皮膚にカップワイヤ跡が残りにくく、着用感に優れた衣料を提供できる。
【0024】
また、本実施形態のブラジャーは、カップワイヤ5が表布6に表裏から挟み込まれた状態で取り付けられているので、正面から見た場合、カップワイヤ5が目立たず(あるいは全く見えず)、カップワイヤが外観を損なうことがない。
【0025】
さらに、本実施形態のブラジャーでは、図3に示されるように、カップワイヤ5と土台布2との間に、乳房カップ部1のクッション材が介在していることにより、着用者の皮膚に対してカップワイヤ5の芯材5aが与える局所的な圧力がさらに小さくなる。これにより、肌当たりが向上し、長時間の着用においても着用者の皮膚に跡が残ったり違和感や圧迫感を生じたりし難く、着用感に優れた衣料を提供できる。
【0026】
また、本実施形態のブラジャーでは、図3に示されるように、カップワイヤ部分が、土台布2、乳房カップ部1のクッション材、表布6、芯材5a、およびバイアステープ5bのみからなっている。これにより、カップワイヤ部分の厚みを極力薄くすることができるという利点がある。
【0027】
なお、本発明にかかる衣料は、上述の具体的な実施形態にのみ限定されるものではない。以下に、本発明の他の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図4は、本発明の他の実施形態にかかるブラジャーの構成を示すものであり、図1のA−A’と同じ位置における断面図である。図4に示すブラジャーは、図3と比較することから明らかなように、カップワイヤ5が表布6で表裏から挟み込まれている点では前述の実施形態と同じであるが、カップワイヤ5の背面側と表布6との間に乳房カップ部1が挟み込まれている点において、前述の実施形態と異なる。なお、この構成において、装飾性を高めるために、土台布2の表面に、図3に示したレース布7等を設けても良い。
【0029】
なお、図4において、51〜54は縫着位置を表す縫製線であるが、縫着箇所や縫着方法はこれに限定されない。縫着箇所は、これより増やしても良いし、縫着の代わりに接着を行うなどによって減らしても良い。また、縫製線51は、表布6、カップワイヤ5、乳房カップ部1、土台布2の全てを貫通するように記載されているが、表布6を貫通しなくとも良い。
【0030】
図4に示したブラジャーにおいても、カップワイヤ5が、土台布2の表側に取り付けられている。従って、従来のブラジャー(図13参照)のようにカップワイヤが土台布の内側(着用者の皮膚に接する側)に取り付けられたものと比較すると、カップ裏側から見た場合の、乳房カップ部1および土台布2に対するカップワイヤ5部分の段差(突出量)が小さくなる。従って、着用者の皮膚に対してカップワイヤの芯材が与える局所的な圧力が従来よりも小さくなるので、肌当たりが良く、長時間の着用においても着用者の皮膚にカップワイヤ跡が残りにくく、着用感に優れた衣料を提供できる。
【0031】
また、図4に示したブラジャーも、カップワイヤ5が表布6に表裏から挟み込まれた状態で取り付けられているので、正面から見た場合、カップワイヤ5が目立たず(あるいは全く見えず)、カップワイヤが外観を損なうことがない。
【0032】
さらに、図4に示したブラジャーも、カップワイヤ5と土台布2との間に、乳房カップ部1のクッション材が介在していることにより、着用者の皮膚に対してカップワイヤ5の芯材5aが与える局所的な圧力がさらに小さくなる。これにより、肌当たりが向上し、長時間の着用においても着用者の皮膚に跡が残ったり違和感や圧迫感を生じたりし難く、着用感に優れた衣料を提供できる。
【0033】
さらに、図4に示したブラジャーも、カップワイヤ部分が、土台布2、乳房カップ部1のクッション材、表布6、芯材5a、およびバイアステープ5bのみからなっている。これにより、カップワイヤ部分の厚みを極力薄くすることができるという利点がある。
【0034】
また、本発明のさらに他の実施形態を図5に示す。図5に示したブラジャーでは、カップワイヤ5の芯材5aが、その表側だけをバイアステープ5bで覆われている点において、図3に示した構成と異なっている。なお、この構成において、装飾性を高めるために、土台布2の表面に、図3に示したレース布7等を設けても良い。
【0035】
なお、図5において、61〜64は縫着位置を表す縫製線であるが、縫着箇所や縫着方法はこれに限定されない。縫着箇所は、これより増やしても良いし、縫着の代わりに接着を行うなどによって減らしても良い。また、縫製線61は、表布6、カップワイヤ5、乳房カップ部1、土台布2の全てを貫通するように記載されているが、表布6を貫通しなくとも良い。
【0036】
図5に示したブラジャーでは、カップワイヤ5が乳房カップ部1の表面側に取り付けられており、芯材5aよりも内側(着用者の肌側)に乳房カップ部1のクッション材が介在しているので、カップワイヤ5の肌への当りを軽減できる。また、芯材5aの裏側をバイアステープで覆わなくとも、芯材5aの表側をバイアステープで覆うことによって芯材5aを固定しているので、芯材5aの突き抜けを防止することができる。
【0037】
従って、図5に示したブラジャーは、芯材5aの表裏をバイアステープで覆う構成と比較して、カップワイヤ部分の厚みをより薄くすることができるので、カップ裏側から見た場合の、乳房カップ部1および土台布2に対するカップワイヤ5部分の段差(突出量)がさらに小さくなる。従って、着用者の皮膚に対してカップワイヤの芯材が与える局所的な圧力が従来よりもさらに小さくなるので、肌当たりが良く、長時間の着用においても着用者の皮膚にカップワイヤ跡が残りにくく、着用感に優れた衣料を提供できる。
【0038】
なお、図5に示したブラジャーのさらなる変形例として、図4に示した構成と同様に、表布6の下端部を乳房カップ部1と土台布2との間に挟み込んだ構成としても良い。
【0039】
以上、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明したが、本発明にかかる衣料は、上述の各具体例にのみ限定されるものではなく、発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、図3等に示したブラジャーでは表布が1枚であるが、表布を2枚以上具備した構成としても良い。この場合、少なくとも最も内側の表布でカップワイヤを表裏から挟み込んだ状態でカップワイヤを取り付ければ良い。また、図1等では後ろ開きタイプのブラジャーを例示したが、前開きタイプのブラジャーにも本発明を適用できる。さらに、土台布およびバック布が着用者のほぼウェスト位置まで及ぶいわゆるロングブラジャーにも本発明を適用できる。また、本発明にかかるブラジャーの乳房カップ部としては、乳房全体を覆うフルカップ、乳房の脇側から約3/4を覆う3/4カップ、乳房の下側から約半分を覆う1/2カップなど、任意のタイプの乳房カップを用いることができる。また、図1等では肩紐を有する衣料を例示したが、本発明にかかる衣料において肩紐は必須ではない。従って、肩紐が取り外し可能な衣料または肩紐がないタイプの衣料にも、本発明を適用できる。
【0040】
また、本発明にかかる衣料は、ブラジャーまたはロングブラジャーのみに限定されず、例えば、ブラスリップ、ブラキャミソール、乳房カップ付きテディ、ボディスーツ、レオタード、水着など、乳房カップを有する衣料に広く適用しうる。
(実施の形態2)
本発明のさらに他の実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図6は、本実施形態にかかるブラジャーの構成を示す斜視図である。図6に示した本実施形態にかかるブラジャーは、アンダーバスト部分を正面から両脇にかけて覆う部分(図1の土台布2に相当する部分)と、乳房カップ部1の脇側から背面側へ延びる部分(図1のバック布3に相当する部分)を、裁断されたままの状態でもほつれが生じず、その裁ち端(裁断されたままの縁)が縁始末不要な縁となるような生地を用いた左右一対の布地部片9により形成した。この布地部片9において、前記縁始末不要な生地を、その裁断されたままの端部がバック布の上下端の縁となるように用いる。なお、図6の例では、左右一対の布地部片9を前中心で縫合した構成例を示したが、前中心の縫合線をなくし、左右が連続した布地部片によって構成されていても良い。
【0041】
ここで、縁始末不要な生地を用いることの利点を、縁始末が必要な生地を用いる場合と対比させて説明する。バック布として縁始末が必要な生地を用いた場合は、バック布の上下端において裁断された縁を折り返して縫製する、あるいはテープ材を縫着することにより、縁始末をする必要がある。この場合、始末された縁の厚みが、生地を折り返した分だけ増すこととなり、ブラジャーのバック布のラインが着衣にひびき易くなる。また、バック布の上下端の縁部分において厚みが増すことにより、バック布が着用者の身体へ与える圧力が、前記縁部分において局所的に高くなる。これにより、着用者に締め付け感を与えたり、長時間着用すると皮膚に跡が残ったりする。また、縫い目部分が皮膚への刺激となることもある。一方、本実施形態のように、布地部片9として、裁ち端の縁始末不要な生地を用いることにより、縁始末する必要がなくなる。従って、上述の問題は全て解決され、着け心地の良い衣料を提供することができる。
【0042】
図7は、図6のB−B’断面を示したものである。上述のような布地部片9を用いる場合、縁始末が不要であることから、図7に示すように、布地部片9は、カップワイヤ5の当接部分において、裁断されたままの状態で乳房カップ部1のクッション材と連結することができる。つまり、端部が一重のままでクッション材と縫着などにより連結することができるので、その上端部を折り返すことなく連結でき、連結箇所を薄くできる。
【0043】
なお、図7において、71〜73は縫着位置を表す縫製線であるが、縫着箇所や縫着方法はこれに限定されない。縫着箇所は、これより増やしても良いし、縫着の代わりに接着を行うなどによって減らしても良い。また、縫製線71は、表布6、カップワイヤ5、乳房カップ部1、布地部片9の全てを貫通するように記載されているが、表布6を貫通しなくとも良い。
【0044】
布地部片9としては、裁断したままで縁始末不要な布を1枚のみ用いても良いし、裁断したままで縁始末不要な同形状の布を2枚重ねて樹脂接着して一体化させたものを用いても良い(このように一体化させた2枚の布を、「1枚」と数えることもある)。後者の場合、布地部片9の強度を向上させることができる点で好ましい。なお、樹脂接着は、2枚の布の全体またはその一部に接着剤を塗布することによって行う。
【0045】
また、布地部片9は、縁始末不要な布を裁断されたままの状態で、裁断端が部片9の上下端となるように使用し、上下端部の少なくとも一方が波形状であることが好ましく、特に、図6に示すように、乳房カップ部1の脇側から背面までの上下端部が波形状に裁断されていることが好ましい。波形状のカーブの数は任意であるが、布地部片9の上下端部のそれぞれについて2〜8個であることが好ましく、特に3〜6個程度とすることが、着圧を分散できる点においてより好ましい。なお、「カーブの数」とは、布地部片9の端部における波形の凸部の数と凹部の数のうちの多い方の数をいう。これにより、着用者の身体に対する圧迫を分散させて着用感を向上させると共に、特に、着用時に、乳房カップ部1と背面のフック・アンド・アイとの間において張力がかかった時に、特定の箇所に着圧が集中するのではなく、バック布全体に着圧がバランス良くかかることになり、着圧が分散されて着用感が向上する。また、薄手の衣服を着けた場合などに、ブラジャーのバックストラップのラインが着衣にひびくことを防止できる。
【0046】
なお、布地部片9の上下端部の波形状は、図11(a)に示すように、バック布の上下端部が、上端部が凸であれば下端部が凹、上端部が凹であれば下端部が凸となるような波形状に裁断することが好ましい。ここで、この裁断形状が好ましい理由を、図11(b)に示すような波形状に裁断した場合と比較して説明する。例えば、図11(b)に示すように、バック布の上下端部が、上端部が凸であれば下端部も凸、上端部が凹であれば下端部も凹となるように裁断することも可能ではあるが、裁断された縁にはゴムテープなどが縫着されていないので、身体へのフィット性が悪いという問題がある。特に、波形状の、外に向けて突出した部分(凸部分)のフィット性が悪く、身体から浮き易いという問題がある。これに対して、布地部片9を、図11(a)に示すように、上端部が凸であれば下端部が凹、上端部が凹であれば下端部が凸となるように裁断することにより、ゴムテープなどを縫着しなくても、布地部片9が身体にバランス良くフィットし、浮き上がりや局部的な圧迫感がないという利点がある。また、図11(a)に示すような布地部片9を用いれば、着用時に、乳房カップ部1と背面のフック・アンド・アイとの間において張力がかかった時に、特定の箇所に着圧が集中するのではなく、バック布全体に着圧が分散されてバランス良くかかる。さらに、着用時に、乳房カップ部1と背面のフック・アンド・アイとの間に張力がかかった時に、実際の波形の端部ラインではなく、乳房カップ部1と布地部片9とが連結する上端とフック・アンド・アイの上端とを結ぶライン(図12に示す破線L1参照)、および、乳房カップ部1と布地部片9とが連結する下端とフック・アンド・アイの下端とを結ぶライン(図12に示す破線L2参照)、の二つのラインの上下間に張力がかかることとなる。そして、波形状の凹凸の頂点が前記ラインの上下に交互に現れることにより、波形状端部の身体へのフィット性が向上し、身体への着圧バランスが良くなる。
【0047】
このような、裁ち端が縁始末不要な縁となるような布地部片9の素材としては、例えば次に示すような編み組織を有する生地を用いることができるが、特に以下のもののみに限定されるものではなく、その裁ち端がほぐれずに縁始末不要な縁となるような生地であれば、他の編み組織を有する生地を用いることを除外するものではない。
【0048】
布地部片9として用いられる、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を形成しうる布地は、非弾性糸と弾性糸を同行させた1×1編み組織からなることが好ましい。非弾性糸と弾性糸とを用いることで、適度の伸縮性を付与することができる。この場合、この編み組織は、(1)各編針において非弾性糸と弾性糸のうちの少なくとも一方が閉じ目により編成された伸縮性経編地、(2)各編針において非弾性糸と弾性糸のうちの両方が閉じ目により編成された伸縮性経編地、(3)各編針において非弾性糸と弾性糸のうちの両方が開き目により編成された伸縮性経編地、のいずれかであることが好ましい。前記(1)(2)のように、1×1の編み組織とし、かつ、各編針において非弾性糸と弾性糸のうちの少なくとも一方を閉じ目により編成することにより、編目の安定、裁断されたままの縁のほつれの防止を達成できる。1×1の編み組織としては、1×1のトリコット編みが好ましく、特にラッシェル編機ないしはジャカードラッシェル編機で編まれた1×1のトリコット編みが好ましい。
【0049】
前記伸縮性経編地は、2.54cm(1インチ)当たり55ウェールを超える密度に編成されていることが好ましい。なお、編成密度は大きい方が好ましく、2.54cm(1インチ)当たり60ウェールを超える密度であればより好ましく、2.54cm(1インチ)当たり65ウェールを超える密度、さらに70ウェールを超える密度であることが最も好ましい。
【0050】
非弾性糸のランナー(A)と弾性糸のランナー(B)との比率(A/B)が、1.15以上であることが好ましい。この比率(A/B)は大きい方が好ましく、1.2以上であればより好ましく、1.3以上であることが最も好ましい。
【0051】
かかる伸縮性経編地においては、編目の安定性、裁断されたままの縁のほつれ防止効果などを得る目的で、プレセット処理または/およびヒートセット処理の施されているものが好適である。処理温度は、装置の形状、プレセット処理時間、ヒートセット処理時間、素材の種類、編地の厚さなどにもよるが、180℃以上、好ましくは185℃以上の温度で、さらに確実に前記の効果を得るには190℃から195℃の範囲で前記処理が施されていると、編地の一部が軟化し軽く融着して編地の形態が安定し、裁断されたままの縁が特にほつれにくくなり好ましい。ヒートセット処理時間は、例えば6〜8チャンバー構成(チャンバーの合計長さが約15〜30m)の装置を用いた場合、15〜40m/分程度、好ましくは24〜36m/分程度が良い。
【0052】
また、一般的な編地では、仕上巾を160cm前後にするが、この伸縮性編地では可能な範囲で高密度に編成したものが、伸縮性衣類において編目の美しさを保持しつつ、その安定性を向上するために望ましい。伸縮性編地の密度は、使用する編糸の繊度等にもよるが、2.54cm(1インチ)当たり55ウェールを超えることが好ましい。なお、伸縮性編地の密度は大きい方が好ましく、60ウェールを超えればさらに好ましく、65ウェールを超えて、例えば70ウェール前後の高密度に編地を編成し、編地のよこ伸びの割合を大きくすることが最も好ましい。ただし、非弾性糸としてセルロース糸や綿糸が編み込まれている場合はこの限りではない。
【0053】
さらに、通常に較べて使用糸量を増やし、非弾性糸のランナーを弾性糸のランナーよりも大きくアンバランスな伸縮性経編地を好ましく使用する。具体的には、通常80cm/ラック以下の非弾性糸のランナーを85〜120cm/ラック、好ましくは95〜115cm/ラックとし、通常60cm/ラック以下の弾性糸のランナーを70〜110cm/ラック、好ましくは75〜105cm/ラックにして編成することが好ましい。
【0054】
なお、ここで「ランナー」とは、一定コース数(これを「ラック」と言い、通常、480コースを1ラックとする)を編むのに使用する糸の長さ(cm)を言い、ランナーの値が小さいほど、すなわち1ラック当たりの糸の長さが短いほど、編組織が締まってきつくなる。
【0055】
なお、本発明で用いる裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を形成しうる経編地は、通常、筬が24ゲージ以上のラッシェル編機で編まれ、従ってレース生地は含まれない。
【0056】
図10は、布地部片9の裁断図である。なお、図中に示す矢印は、生地の編みたて方向を示す。このように、布地部片9を、生地の編みたて方向に対して平行でない角度で裁断すれば、端部がほつれにくいので好ましい。また、図10に示した例のように、布地部片9を、生地の編みたて方向に対してほぼ垂直に裁断すれば、バック布の横方向の伸びが良くなるという利点もあるので、さらに好ましい。なお、図10では、布地部片の上下端部に、波形状の凹凸がほぼ3周期現れるように裁断する例を示したが、凹凸の数はこれに限定されない。
【0057】
なお、布地部片9は、図10に示すように、乳房カップ部1の脇においては、下端部が凹、上端部が凸となるように裁断されていることが好ましい。
【0058】
また、一つのカーブの長さが3cm以上であることが好ましい。「カーブの長さ」とは、図12内に寸法例を表記したように、波形状カーブの凸部頂点からその隣の凸部頂点までの距離、あるいは、波形状カーブの凹部頂点からその隣の凹部頂点までの長さをいう。なお、図12に示した寸法例は、あくまでも一例であって、本発明をこの実施例にのみ限定するものではない。なお、カーブの長さは大きい方が好ましく、5cm以上であればより好ましく、7cm以上であることが最も好ましい。なお、この数値長さは、アンダーサイズが70の場合を基準とするものである。
【0059】
布地部片9の上下端それぞれにおいて、乳房カップ部1の脇から背面側の後端までに現れるカーブの数が、2〜8個であることが好ましく、特に、3〜6個程度とすることが、着圧を分散できる点においてより好ましい。なお、「カーブの数」とは、布地部片9の波形状の端部における凸部の数と凹部の数のうちの多い方の数をいう。例えば、図12に示した例では、布地部片9の上端部における凸部の数は3個、凹部の数も3個である。布地部片9の下端部も、凸部の数は3個、凹部の数も3個である。従って、この例における「カーブの数」は3である。
【0060】
また、肩紐4は、布地部片9の上端部の凸部分に取り付けられていることが好ましい。
【0061】
布地部片9は、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を形成しうる布地を1枚だけ用いて形成されていても良いし、このような布地を2枚重ねて、その全体または一部を互いに接着することによって形成されていても良い。
【0062】
また、布地部片9の波形のカーブ形状、カーブの長さ、凹凸の高さなどは、バック布の上下端部において類似であれば良く、互いに同一でなくとも良い。波形カーブの凸部の頂点と凹部の頂点は、バック布の上下において同位置であることが好ましいが、左右に若干ずれていても良い。すなわち、バック布の上下において波形カーブが同一もしくは同一に近い類似形状であれば、着圧バランスを良くすることができる。
【0063】
なお、図6および図7に示した実施形態の変形例として、図4に示した実施形態と同様に、表布6を乳房カップ部1と布地部片9との間に挟み込んだ構成も可能であり、この構成も本発明の技術的範囲に属する。さらに、図6および図7に示した実施形態の変形例として、図5に示した実施形態と同様に、バイアステープ5bを芯材5aの表側のみに設けた構成も可能である。
【0064】
なお、本実施形態にかかるブラジャーにおいても、着用者の皮膚に接する箇所を極力平坦にするために、縫合箇所を少なくすることが好ましい。フック・アンド・アイと隣接するバック布、カップワイヤの上端や下端周囲に隣接するバック布や土台布など、着用時に負荷がかかりやすい箇所は、補強のため、1〜2cm程度縫合することがあっても差し支えない。
【0065】
発明者らは、本発明の効果を確認するために、以下のサンプルを試作し、着用者の身体の各部に加わる圧力を測定した。
【0066】
本発明にかかるブラジャーのサンプル(実施例)として、図6および図7に示した構成のブラジャーを作成した。カップワイヤ5の芯材5aとしては、日本工業規格(JIS)のG3506「SWRH82A」の硬鋼線材を用いた。その厚みは0.6mm、幅は2.4mmであった。また、乳房カップ部1のクッション材としては低反発発泡ポリウレタンを用い、表布6としてはレースを用いた。
【0067】
本発明の比較例として、図8に示すように、カップワイヤ85が着用者の皮膚に接するように取り付けられた構成のブラジャーを作成した。比較例としてのブラジャーは、芯材85a、乳房カップ部81、および表布86のそれぞれについて、上述の本発明にかかるサンプルと同じ素材を用いた。なお、土台布82としてはマーキジットを用いた。
【0068】
女性の上半身を模したトルソを用意し、図9(a)および(b)に示すように、P1〜P4の4箇所に圧力センサを設置した。圧力センサとしては、株式会社AMI製のAMI3037を用いた。このトルソに、本発明にかかるブラジャーのサンプル(実施例)と、比較例のブラジャーとを着けて、エアパック方式(接触間に閉じ込めたエアで受圧し、大気との差圧を測定する方法)によって、P1〜P4の各ポイントにおける圧力を測定した。測定結果を下記の(表1)に示す。なお、測定ポイントP1は、バージスライン(乳房の周囲の縁に相当するライン)の下方脇であって、カップワイヤを有するブラジャーを着用した際に、ワイヤが当たって痛みを感じる人が多い箇所である。
【0069】
【表1】
Figure 0004374209
【0070】
(表1)に示されたように、P1〜P4の全ての測定ポイントにおいて、本発明の実施例にかかるブラジャーが着用者の身体に加える圧力が、比較例よりも小さくなっている。特に、多くの人がワイヤが当たって痛いと感じる箇所である測定ポイントP1の圧力が、比較例の約1/2になっている。この結果より、本発明の実施例にかかるブラジャーでは、カップワイヤによる局所的な圧力が軽減され、肌当たりや着用感が向上していることが分かる。また、測定ポイントP2,P3の測定値を比較することにより、バック布の上下辺における圧力差が、実施例の方が比較例よりも小さいことが分かる。つまり、特定の箇所に強く着圧がかかっておらず、着圧のバランスが良いことがわかる。
【0071】
以上の測定結果から分かるように、本実施形態にかかるブラジャーでは、カップワイヤやバック布の上下端部による局所的な圧迫が軽減され、着け心地が向上されている。
【0072】
なお、図6および図7に示したように、(1)カップワイヤを表布で表裏から挟み込んだ状態で乳房カップ部の表面側に取り付け、(2)バック布として裁断したままで縁始末が不要な素材を用いる、という二つの特徴を具備した構成が、カップワイヤおよびバック布上下端部による局所的な圧迫の両方を軽減できるので、本発明の実施形態としては最も好ましい。ただし、発明としては、上記(1)(2)の両方の特徴を具備する必要はなく、いずれか一方の特徴のみを有していれば、本発明の技術的範囲に属する。すなわち、上記(1)の特徴を有していれば、カップワイヤによる局所的な圧迫を軽減でき、上記(2)の特徴を有していればバック布上下端部による局所的な圧迫を軽減でき、いずれにおいても従来のブラジャーよりも優れた着用感が得られるからである。従って、上記(2)の特徴を有していれば、カップワイヤは必須の構成要件ではない。
【0073】
以上、図面を参照しながら本発明の他の実施形態について説明したが、本発明にかかる衣料は、上述の具体例にのみ限定されるものではなく、発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、図7に示したブラジャーでは表布が1枚であるが、表布を2枚以上具備した構成としても良い。この場合、少なくとも最も内側の表布でカップワイヤを表裏から挟み込んだ状態でカップワイヤを取り付ければ良い。なお、前述したように、カップワイヤは必ずしも必須の構成要件ではない。また、図6では後ろ開きタイプのブラジャーを例示したが、前開きタイプのブラジャーにも本発明を適用できる。また、本発明にかかるブラジャーの乳房カップ部としては、乳房全体を覆うフルカップ、乳房の脇側から約3/4を覆う3/4カップ、乳房の下側から約半分を覆う1/2カップなど、任意のタイプの乳房カップを用いることができる。また、図6では肩紐を有する衣料を例示したが、本発明にかかる衣料において肩紐は必須ではない。従って、肩紐が取り外し可能な衣料または肩紐がないタイプの衣料にも、本発明を適用できる。
【0074】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、カップワイヤまたはバック布上下端部による局所的な圧迫を軽減することにより、着用感が向上された乳房カップを有する衣料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態にかかるブラジャーの斜視図。
【図2】 図1に示すブラジャーを裏面から見た様子を表す平面図。
【図3】 図1におけるA−A’断面を表す断面図。
【図4】 本発明の他の実施形態にかかるブラジャーの構成を示す断面図。
【図5】 本発明のさらに他の実施形態にかかるブラジャーの構成を示す断面図。
【図6】 本発明の他の実施形態にかかるブラジャーの斜視図。
【図7】 図6におけるB−B’断面を表す断面図。
【図8】 本発明にかかるブラジャーとの比較例にかかるブラジャーの構成を示す断面図。
【図9】 (a)は、本発明の実施例および比較例にかかるブラジャーによる身体への圧迫を測定するための圧力センサを取り付けたトルソの正面図、(b)は同トルソの側面図。
【図10】 図6に示すブラジャーのバック布を含む布地部片の裁断図。
【図11】 (a)は、実施形態2にかかるブラジャーのバック布を含む布地部片の好適な形態の一例を示す平面図、(b)はその比較例を示す平面図。
【図12】 実施形態にかかる布地部片の一例を示す裁断図。
【図13】 従来のブラジャーの構成の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1 乳房カップ部
1a 上カップ部
1b 下カップ部
1c 下カップ部
2 土台布
3 バック布
3a フック
3b アイ
4 肩紐
5 カップワイヤ
5a 芯材
5b バイアステープ
6 表布
9 布地部片
41〜48 縫製線
51〜54 縫製線
61〜64 縫製線
71〜73 縫製線
81 乳房カップ部
82 土台布
85 カップワイヤ
85a 芯材
85b バイアステープ
86 表布
P1〜P4 測定ポイント
101 カップワイヤ
102 バイアステープ
103 表布
104 カップ裏打
105 乳房カップ部
106 土台布

Claims (6)

  1. 乳房カップと、アンダーバスト部分の正面から前記乳房カップの脇側を通って背面側へ延びる布地部片とを具備した、乳房カップを有する衣料であって、
    前記布地部片が、縁始末が不要な布を裁断されたままの状態で用いて、継ぎのない連続した布地で形成され、
    前記布地部片の上下端部が、上端部が凸であれば下端部が凹、上端部が凹であれば下端部が凸となるように、波形状に裁断されていることを特徴とする乳房カップを有する衣料。
  2. 前記乳房カップのほぼ前中心側から下側並びに脇側にかけてのほぼ下半部の湾曲縁に沿うカップワイヤをさらに備え、
    前記カップワイヤが、前記乳房カップの表布によって表裏から挟み込まれた状態で前記乳房カップの表面側に取り付けられた、請求項1に記載の乳房カップを有する衣料。
  3. 前記乳房カップが、低反発の不織布もしくは発泡ポリウレタンからなる、請求項1または2に記載の乳房カップを有する衣料。
  4. 前記布地部片が、縁始末が不要な2枚の布を接着して形成された、請求項に記載の乳房カップを有する衣料。
  5. 前記布地部片の少なくとも乳房カップ側端部が、前記カップワイヤ部分において前記乳房カップと連結されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の乳房カップを有する衣料。
  6. 前記布地部片が、カップワイヤ部分において前記乳房カップと連結されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の乳房カップを有する衣料。
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