JP3672920B2 - 衣料 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する衣料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、衣料の裾部などの縁は、裁断したままの状態では、縁部が解れてしまうので、解れを防止するために、何らかの縁始末をする必要があった。この始末のことを、縁始末をする、ヘミングなどと称し、その方法は部位や素材によって様々であって、例えば、布端を折り返して2重にし縫合したり、別布やテープ状物を断面略U字状に生地の縁部に被せて縫合するなど、縁始末がされているのが一般的である。しかし、この作業は衣類の縫製において可成りの負担であり、しかもこのように縁始末を施すと、その部分が厚くなり、タイトなアウターウェアーをその上に着用した場合など、下着の縁ラインが凸条になって外衣に現れ、外観を損なったり、分厚くなった縁部が着用感を損なうなどの問題になっている。また、従来は、上下に連続した1枚の部片を衣料に使用した場合、縁始末不要な縁を形成するためには、糸抜きによって縁部を形成する方法がよく行われている(下記特許文献1の図2および段落[0019]、[0020]参照。特許文献2の図3および段落[0014]参照。特許文献3の図1および段落[0020]参照。)。糸抜きによる縁部とする場合は、上下縁部のラインは平行になる部片とせざるを得ない、上下縁部のラインが非平行な部片を衣料に使用する場合は、少なくとも一方は縁部始末をせざるを得ないといった制約があった。
そこで、近年、例えば縁始末不要な裾を有するガードルなど、縁始末不要な生地の当該縁部がガードル裾部になるように、縁始末不要な生地からなる部片を少なくとも当該衣料を構成する生地の少なくとも一部に用いた衣料が使用されてきている。しかし、縁部がカーリングを起こし、縁部が身体にフィットしない、という問題があった。
【特許文献1】
日本特開2000−303331号公報
【特許文献2】
日本特許第2997432号公報
【特許文献3】
日本特許第3054384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、かかる従来の問題点を解決し、裁断したままで縁部始末不要な部片を用いて当接する身体の形状にあわせ自由な縁部形状とし、設計の自由度を向上させ、かつ縁の部分が厚くならず、裾やウェストラインが外衣に反映して段差となって現れることなどのないなどの縁始末不要な縁を有する衣料の利点を有し、かつ衣料の当該縁部がカーリングすることなく、身体にフィットする衣料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を達成するために、本発明の衣料は、(1)少なくとも非弾性糸が1×1トリコット組織であり、弾性糸がルーピング組織からなる、伸縮性を有する経編地を、編み方向に対し3度以上かつ177度以下の角度で裁断し、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が衣料の縁部の少なくともいずれかとなる様、その裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を含んだ部片を含んで形成された衣料である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の衣料は、(1)少なくとも非弾性糸が1×1トリコット組織であり、弾性糸がルーピング組織からなる、伸縮性を有する経編地を、編み方向に対し3度以上かつ177度以下の角度で裁断し、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が衣料の縁部の少なくともいずれかとなる様、その裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を含んだ部片を含んで形成された衣料である。
【0006】
本発明の衣料は、裁断したままで縁始末不要な布部片から形成されるため、縁の部分が厚くならず、裾あるいはウェストラインが外衣に反映して段差となって現れることなどのない縁始末不要な縁を有する衣料とすることができ、かつ衣料の上下のいずれか又は両縁部を縁始末不要な縁とでき、衣料設計の自由度が向上し、かつ衣料の前記縁部がカーリングすることなく、身体にフィットし、伸縮性を有し、着用感の良い衣料を提供出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の衣料においては、少なくとも非弾性糸が1×1トリコット組織であり、弾性糸がルーピング組織からなる、伸縮性を有する経編地を、編み方向に対し3度以上かつ177度以下の角度で裁断することにより、裁断されたままの状態でほつれの生じない縁始末不要な縁を形成することができ、裁断されたままの状態でほつれの生じない縁始末不要な縁が衣料の縁部の少なくともいずれかとなる様、その裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する部片を含んで形成すると、衣料縁部を、縁部始末がなく、縁部がフラットで段差のない衣料とすることができる。しかも衣料の前記縁部がカーリングすることなく、身体にフィットし、伸縮性を有し、着用感の良い衣料を提供出来る。
【0008】
(2)前記(1)項に記載の衣料においては、前記経編地が、非弾性糸と弾性糸が同行する1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸の両方が開き目である経編地からなることが好ましい。
【0009】
(3)前記(1)項に記載の衣料においては、前記経編地が、非弾性糸と弾性糸が逆行する1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸の少なくとも一方が閉じ目である経編地からなることが好ましい。
【0010】
(4)前記(1)項に記載の衣料においては、前記経編地が、非弾性糸と弾性糸が逆行する1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸の両方が閉じ目である経編地からなることが好ましい。
【0011】
(5)前記(1)項に記載の衣料においては、弾性糸の組織がハーフ組織であることが好ましい。
【0012】
(6)前記(1)項に記載の衣料においては、弾性糸の組織がアトラス組織であることが好ましい。
【0013】
(7)前記(5)項又は(6)項に記載の衣料においては、非弾性糸と弾性糸の少なくとも一方が閉じ目である経編地からなることが好ましい。
【0014】
(8)前記(5)項又は(6)項に記載の衣料においては、非弾性糸と弾性糸の両方が閉じ目である経編地からなることが好ましい。
【0015】
(9)前記(5)項又は(6)項に記載の衣料においては、非弾性糸が綿糸であることが好ましい。
【0016】
(10)前記(5)項に記載の衣料においては、非弾性糸が綿糸であることが好ましい。
【0017】
(11)前記(5)項に記載の衣料においては、非弾性糸が綿糸で、非弾性糸と弾性糸の少なくとも一方が閉じ目である経編地からなることが好ましい。
【0018】
(12)前記(5)項に記載の衣料においては、非弾性糸が綿糸で、非弾性糸と弾性糸の両方が閉じ目である経編地からなることが好ましい。
【0019】
(13)前記(1)項に記載の衣料においては、前記部片が、下記(A−1)、(A−2)からなる群(A)から選ばれた少なくとも1種の素材と(A−1)、(A−2)以外の他の布からなる素材を接合して積層した部片からなることが好ましい。
(A−1)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目である経編地。
(A−2)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸のどちらか一方が閉じ目、他方が開き目である経編地。
【0020】
(14)前記(13)項に記載の衣料においては、他の布からなる素材が、下記(B−1)〜(B−4)からなる群(B)から選ばれた少なくとも1種の素材であることが好ましい。
(B−1)非弾性糸が1×1トリコット組織で、弾性糸がハーフ組織である経編地。
(B−2)非弾性糸が1×1トリコット組織で、弾性糸がアトラス組織である経編地。
(B−3)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に開き目である経編地。
(B−4)非弾性糸と弾性糸とが逆行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目である経編地。
【0021】
(15)前記(1)項に記載の衣料においては、前記部片が、下記(B−1)〜(B−4)からなる群から選ばれた少なくとも1種の素材を複数枚接合して積層した部片からなることが好ましい。
(B−1)非弾性糸が1×1トリコット組織で、弾性糸がハーフ組織である経編地。
(B−2)非弾性糸が1×1トリコット組織で、弾性糸がアトラス組織である経編地。
(B−3)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に開き目である経編地。
(B−4)非弾性糸と弾性糸とが逆行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目である経編地。
【0022】
(16)前記(14)項に記載の衣料においては、素材(A)が(A−1)であり、素材(B)が(B−1)であることが好ましい。
【0023】
(17)前記(16)項に記載の衣料においては、(B−1)の非弾性糸が綿であり、且つ非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目であることが好ましい。
【0024】
(18)前記(1)〜(17)項のいずれかに記載の衣料においては、前記部片の衣料における上縁あるいは下縁の少なくとも一方が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、当該縁始末不要な縁が編み方向に対して、10〜120度の角度で裁断されていることが好ましい。
【0025】
(19)前記(1)〜(17)項のいずれかに記載の衣料においては、前記部片の衣料における上縁および下縁の両方が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、当該縁始末不要な縁が編み方向に対して、10〜120度の角度で裁断されていることが好ましい。
【0026】
(20)前記(1)〜(19)項のいずれかに記載の衣料においては、前記部片が、衣料の上下方向に連続した経編地からなることが好ましい。
【0027】
(21)前記(1)〜(20)項のいずれかに記載の衣料においては、前記部片の衣料における上縁あるいは下縁の少なくとも一方が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、当該縁始末不要な縁が曲線に裁断されていることが好ましい。
【0028】
(22)前記(1)〜(20)項のいずれかに記載の衣料においては、前記部片の衣料における上縁および下縁の両方が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、当該縁始末不要な縁が曲線に裁断されていることが好ましい。
【0029】
(23)前記(1)〜(21)項のいずれかに記載の衣料においては、前記部片の衣料における上縁あるいは下縁の少なくとも一方が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、当該縁始末不要な縁が複数の曲線のある波形状であることが好ましい。
【0030】
(24)前記(1)〜(22)項のいずれかに記載の衣料においては、前記部片の衣料における上縁および下縁の両方が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、当該縁始末不要な縁が複数の曲線のある波形状であることが好ましい。
【0031】
(25)前記(1)〜(24)項のいずれかに記載の衣料においては、前記部片の衣料における上縁および下縁の両方の縁が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、上縁および下縁が相互に非平行であることが好ましい。
【0032】
(26)前記(1)〜(25)項のいずれかに記載の衣料においては、前記部片の衣料における上縁および下縁の両方の縁が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、上縁の縁の形状と、下縁の縁の形状が異なっていることが好ましい。
【0033】
(27)前記(1)〜(26)項のいずれかに記載の衣料においては、衣料がボトム衣料であり、前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、ウェストもしくは裾の少なくとも一方を形成することが好ましい。
【0034】
(28)前記(1)〜(26)項のいずれかに記載の衣料においては、衣料がボトム衣料であり、前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、ウェストと裾の両方を形成することが好ましい。
【0035】
(29)前記(1)〜(26)項のいずれかに記載の衣料においては、衣料がブラジャー、もしくは水着あるいはレオタードのトップスであり、前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、バック布の上縁又は下縁の少なくとも一方の縁を形成することが好ましい。
【0036】
(30)前記(1)〜(26)項のいずれかに記載の衣料においては、衣料がブラジャー、もしくは水着あるいはレオタードのトップスであり、前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、バック布の上縁及び下縁の両方の縁を形成することが好ましい。
【0037】
(31)前記(27)項に記載の衣料においては、前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、編み方向に対して、20〜80度の角度で裁断されていることが好ましい。
【0038】
(32)前記(28)項に記載の衣料においては、前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、共に編み方向に対して、20〜80度の角度で裁断された縁であることが好ましい。
【0039】
(33)前記(29)〜(30)項のいずれかに記載の衣料においては、バック布を形成する前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、編み方向に対して10〜90度の角度で裁断されていることが好ましい。
【0040】
(34)前記(29)〜(30)項のいずれかに記載の衣料においては、バック布を形成する前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、編み方向に対して75〜90度の角度で裁断されていることが好ましい。
【0041】
(35)前記(1)〜(34)項のいずれかに記載の衣料においては、前記部片が、前記部片を構成する前記非弾性糸と弾性糸とからなる地編組織に、更に柄糸となる非弾性糸がジャカード制御により編みこまれて、ジャカード柄模様が形成されていることが好ましい。
【0042】
(36)前記(35)項に記載の衣料においては、地編組織を形成する弾性糸が1×1トリコット組織であり、地編組織を形成する非弾性糸とジャカード制御される柄糸となる非弾性糸の少なくともいずれか一方が、弾性糸と同行する1×1トリコット組織となっており、柄糸においてジャカード柄模様を形成する部分が、1×1トリコット組織以外の組織となっていることが好ましい。
【0043】
(37)前記(35)項に記載の衣料においては、地編組織を形成する弾性糸が1×1トリコット組織であり、地編組織を形成する非弾性糸とジャカード制御される柄糸となる非弾性糸のいずれか一方が、弾性糸と同行する1×1トリコット組織であり、他方の非弾性糸が、弾性糸と逆行する1×1トリコット組織であり、柄糸においてジャカード柄模様を形成する部分が、1×1トリコット組織以外の組織となっていることが好ましい。
【0044】
(38)前記(35)項に記載の衣料においては、地編組織を形成する非弾性糸が地編組織を形成する弾性糸と逆行する1×1トリコット組織であり、ジャカード制御される柄糸となる非弾性糸が、地編組織を形成する弾性糸と同行する組織で、柄糸においてジャカード柄模様を形成する部分が、1×1トリコット組織以外の組織となっていることが好ましい。
【0045】
(39)前記(1)項に記載の衣料においては、前記部片が、下記(A−1)、(A−2)からなる群から選ばれた少なくとも1種の素材からなる部片と前記(35)、(36)、(37)、(38)項のいずれかに記載のジャカード柄模様が形成されている部片からなる素材を接合して積層した部片からなることが好ましい。
(A−1)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目である経編地。
(A−2)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸のいずれか一方が閉じ目、他方が開き目である経編地。
【0046】
(40)バック布が、前記(13)〜(17)、(39)項のいずれかに記載の部片を用いたバック布である前記(29)、(30)、(33)、(34)項のいずれかに記載の衣料。
【0047】
(41)前記(1)〜(40)項のいずれかに記載の衣料においては、前記部片が、弾性糸による直線状の伸縮パワーの切替え部位を有していることが好ましい。
【0048】
(42)前記(1)〜(41)項のいずれかに記載の衣料においては、衣料が、身体に密着する衣料であることが好ましい。
【0049】
本発明の衣料において、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁は、前述した糸抜きなどの方法で形成された縁始末不要な縁ではなく、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁となる経編地を用いた裁断されたままの縁である。このように裁断されたままの状態でも、その裁ち端(裁断されたままの縁)が縁始末不要な縁となるような生地としては、少なくとも非弾性糸が1×1トリコット組織であり、弾性糸はルーピング組織からなる伸縮性を有するトリコット編地などであれば良く、弾性糸はルーピングのトリコット組織であれば、ハーフ組織、アトラス組織などの1×1組織(デンビ組織)ではない組織でも良い。
具体的には、次に示すような編み組織を有する生地を用いることができるが、特に以下のもののみに限定されるものではなく、その裁ち端(裁断されたままの縁)が解れずに縁始末不要な縁となるような生地であれば本発明の範囲において具体的に記載された編組織以外の他の編み組織を有する生地を用いることを除外するものではない。
【0050】
本発明で用いる裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する部片を構成する編地は、例えば、(1)非弾性糸と弾性糸とを同行させた1×1トリコット組織であって、かつ各編針において非弾性糸と弾性糸の両方が開き目により編成された伸縮性を有する経編地からなる。編糸に非弾性糸と弾性糸とを用いることによって適度の伸縮性が付与されている。あるいは、(2)非弾性糸と弾性糸とを逆行させた1×1トリコット組織であって、かつ各編針において非弾性糸と弾性糸のうちの少なくとも1方が閉じ目により編成された伸縮性経編地からなる。編糸に非弾性糸と弾性糸とを用いることによって適度の伸縮性が付与されている。非弾性糸と弾性糸を1×1の編み組織とし、且つ、各編針において非弾性糸と弾性糸のうちの少なくとも1方を閉じ目により編成することにより、編目の安定、裁断されたままの縁のほつれの防止を達成できる。非弾性糸と弾性糸の両方を閉じ目により編成してもよい。
【0051】
また、前記部片の編地としては、(3)非弾性糸が1×1トリコット組織(デンビ組織)で、弾性糸がハーフ組織であるものも好ましい。
また、前記部片の編地としては、(4)非弾性糸が1×1トリコット組織で、弾性糸がアトラス組織であるものも好ましい。
前記(3)と(4)の編地においては、非弾性糸と弾性糸の、少なくとも一方が閉じ目であることが好ましく、非弾性糸と弾性糸の両方が閉じ目である経編地が裁断されたままの縁のほつれの防止が良好でありより好ましい。
非弾性糸として綿糸を用いると、肌触りや吸汗性などの点で好ましいが、非弾性糸として綿糸を用いる場合には、上記(3)ないし(4)の組織の縦編地を用いることが、裁断されたままの縁のほつれの防止が良好であり好ましく、特に、上記(3)の組織とすることがより好ましい。綿糸を用いる場合にはナイロン糸やポリエステル糸を用いた場合に比べて裁断されたままの縁のほつれが生じやすくなる傾向になるが、弾性糸を上記の如く、ハーフ組織やアトラス組織、特に好ましくはハーフ組織にすることにより、弾性糸の引き締めパワーが大きくなり、非弾性糸としてほつれの生じやすい傾向にある綿糸を用いても、裁断されたままの縁のほつれを効果的に防止することができ好ましい。このように非弾性糸として綿糸を用いる場合においては、非弾性糸と弾性糸の少なくとも一方が閉じ目とすることが好ましく、非弾性糸と弾性糸の両方が閉じ目である経編地を用いることが、裁断されたままの縁のほつれをより一層効果的に防止することができより好ましい。
【0052】
また、本発明で用いる裁断されたままの状態でほつれの生じにくい縁を有する前記部片の編地としては、上述したような非弾性糸と弾性糸を組み合せた特定の編組織の編地を用いることができるが、仮に、かかる編地を「地編」と称するとすれば、かかる地編に、更にジャカード制御により柄糸となる非弾性糸を編み込むことによって、小柄模様などの適宜のジャカード柄模様を形成することができる。ジャカード制御により編み込む柄模様を形成するための非弾性糸を柄糸と称することにすると、模様を形成したい部分において、柄糸を、地編の編組織と異なる組織で編むことによりジャカード柄模様などを形成できる。柄模様を出さない部分は、例えば地編の非弾性糸または弾性糸と同行させて同じ組織で編めばよい。例えば、柄を出したい部分の柄糸は鎖編とすることが好ましいが、鎖編に限定されず、地編が弾性糸と非弾性糸が同行する1×1のトリコット組織であれば、柄を出したい部分の柄糸はそのシンカーループの方向が地編組織のシンカーループの方向と逆向きの1×1のトリコット組織としたり、ハーフ組織とするなど、地編組織と異なる編組織を適宜選定して柄模様が形成できればよい。
【0053】
好ましいジャカード柄模様の形成例としては、例えば次の(a)〜(c)のようなものが挙げられる。
(a)地編組織を形成する弾性糸が1×1トリコット組織であり、地編組織を形成する非弾性糸とジャカード制御される柄糸となる非弾性糸の少なくともいずれか一方が、弾性糸と同行する1×1トリコット組織となっており、柄糸においてジャカード柄模様を形成する部分が、1×1トリコット組織以外の組織となっている経編地からなる部片。
このように、ジャカード制御される柄糸となる非弾性糸は、弾性糸と同行する1×1トリコット組織となる箇所は、ジャカード柄模様を形成する部分以外の箇所となる。このようにすることにより、柄模様と柄模様の間が柄で連続していない複数の小柄模様を形成することもできる。以下の、(b)、(c)についてもほぼ同様に柄模様と柄模様の間が柄で連続していない複数の小柄模様を形成することもできる。もちろん、一部、小柄と他の小柄とが連続している柄模様も形成できる。
(b)地編組織を形成する弾性糸が1×1トリコット組織であり、地編組織を形成する非弾性糸とジャカード制御される柄糸となる非弾性糸のいずれか一方が、弾性糸と同行する1×1トリコット組織であり、他方の非弾性糸が、弾性糸と逆行する1×1トリコット組織であり、柄糸においてジャカード柄模様を形成する部分が、1×1トリコット組織以外の組織となっている経編地からなる部片。
(c)地編組織を形成する非弾性糸が地編組織を形成する弾性糸と逆行する1×1トリコット組織であり、ジャカード制御される柄糸となる非弾性糸が、弾性糸と同行する組織で、柄糸においてジャカード柄模様を形成する部分が、1×1トリコット組織以外の組織となっている経編地からなる部片。
上記(a)〜(c)などで説明した様に、ジャカード柄模様を有するジャカード経編地の場合は、非弾性糸は少なくとも2つの筬に通糸され、同種、異種と問わず、2種類(2本)の非弾性糸が使われる。少なくとも1方の非弾性糸を弾性糸と同行する1×1トリコット組織とすることで、裁断されたままの縁部のほつれを生じにくくしている。さらに、他方の非弾性糸は弾性糸と逆行する1×1トリコット組織とすることで、編地の強度が上がり、特に引き裂き強度(生地が縁部から2つに分断される様に、裂けること)を向上させることができ好ましい。弾性糸と同行、逆行させる非弾性糸は、地編部分を形成する非弾性糸が弾性糸と同行し、ジャカードを形成する非弾性糸が弾性糸と逆行しても、地編部分を形成する非弾性糸が弾性糸と逆行し、ジャカードを形成する非弾性糸が弾性糸と同行しても、いずれでもよい。言い換えれば、非弾性糸同士が逆行の関係になっているのが上記で説明した態様である。
また、弾性糸、地編とジャカード柄を形成する2つの非弾性糸、全てが同行する1×1トリコット組織とすることも可能である。この場合、裁断されたままの縁部のほつれにくさという点で上記に挙げた部片より優れている。引き裂き強度の点では、上記のようにいずれかに逆行部分がある素材が優れている。
【0054】
これらジャカード柄模様が形成されている経編地からなる部片は、ジャカード制御(ジャカード制御機構を有する経編機)を用いれば、部分的に編み組織を地編組織と異なる組織に変えることができる。ジャカード柄模様としては小柄模様が好適に用いられ、特に限定するものではないが、例えば花柄などの植物柄やその他の装飾柄が挙げられる。大きさも特に限定するものではないが、最大長部分の長さが10cm以下、より好ましくは5cm以下のような小さい柄が好ましい。
【0055】
以上説明したような裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する部片を形成する1×1トリコット組織、ハーフ組織、アトラス組織などはトリコット機でも、ラッシェル機でも編むことが出来る。前述のようにジャカード柄を更に付与する場合には、これらにジャカード制御機構がついたものを用いればよい。
【0056】
これらの編組織の経編地を、編み方向と平行に裁断した場合は、ほつれが生じたり、カーリングが発生するが、編み方向に対し3度以上177度以下の角度で裁断し、その裁断端を衣料の縁部として使用すれば、裁断したままの状態でも縁部のほつれが生じず、かつカーリングが発生することなく、衣料縁部を身体にフィットさせることができる。
【0057】
そして上記伸縮性経編地の中でも、下記の伸縮性たて編地が実用的で優れている。図10に示した編地組織のように、非弾性糸47と弾性糸48が同行する1×1のトリコット組織で、非弾性糸47と弾性糸48のいずれもが開き目により編成されている伸縮性たて編地。矢印49の方向は、編地の編み方向である。図11に示した編地組織のように、非弾性糸50と弾性糸51が逆行する1×1のトリコット組織で、非弾性糸50と弾性糸51の両方が閉じ目により編成されている伸縮性たて編地。矢印52の方向は、編地の編み方向である。図示していないが、非弾性糸と弾性糸が逆行し、非弾性糸と弾性糸のいずれか一方が閉じ目で編成、例えば非弾性糸が閉じ目により、弾性糸が開き目により、あるいは非弾性糸が開き目により、弾性糸が閉じ目により編成されている伸縮性たて編地も実用的で優れている。
【0058】
また、図12に示した編地組織は、非弾性糸60が1×1のトリコット組織であり弾性糸61がハーフ組織であって両方が閉じ目により編成されている伸縮性たて編地である。図13は図12に示した非弾性糸60と弾性糸61を重ねて示した編組織図である。矢印62の方向は、編地の編み方向である。この組織は、前述したように、非弾性糸60として綿糸を用いる場合に特に有用な編組織である。非弾性糸と弾性糸のいずれか一方が閉じ目で編成、例えば非弾性糸が閉じ目により、弾性糸が開き目により、あるいは非弾性糸が開き目により、弾性糸が閉じ目により編成されている伸縮性たて編地も使用可能である。
【0059】
また、図14に示した編地組織は、非弾性糸65が1×1のトリコット組織であり弾性糸66がアトラス組織(この場合、4コースアトラス)であり、非弾性糸65は閉じ目により編成されている例である。図15は図14に示した非弾性糸65と弾性糸66を重ねて示した編組織図である。矢印67の方向は、編地の編み方向である。
【0060】
以上、上記に説明した部片は、必要に応じ、2枚またはそれ以上を重ねて積層し例えば樹脂接着剤などで接合して積層物として用いることも出来る。部片として複数枚の編地を積層して用いる場合には、通常、編地2枚を積層すれば充分であるが、必要に応じて3枚以上積層してもよい。ブラジャーのバック布、もしくはセパレートタイプの水着あるいはレオタードのトップスにおけるバック布などの素材として用いる場合には、このように複数枚の編地を積層した部片を用いることが好ましい。
【0061】
上記のように接合して積層する場合の布地の組み合せとしては、例えば、次のような態様が挙げられる。
<1>下記(A−1)、(A−2)からなる群(A)から選ばれた少なくとも1種の素材と(A−1)、(A−2)以外の他の布からなる素材を接合して積層した部片。
(A−1)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目である経編地。
(A−2)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸のどちらか一方が閉じ目、他方が開き目である経編地。
このように、ブラジャーのバック布などを形成する際、少なくとも(A−1)、又は(A−2)素材を含んだ積層部片を用いて形成すれば、裁断したままの縁部を縁部始末をすることなく衣料(バック布など)の縁部として使用しても、ほつれが生じることがない。
一方、(A−1)、(A−2)にこれら以外の素材を積層することによって、(A−1)、(A−2)の素材では実現困難な特性を付与するることも出来る。
この場合、他の布からなる素材は、通常、他の編組織の編物が用いられるが、下記(B−1)〜(B−4)からなる群(B)から選ばれた少なくとも1種の素材が好適である。
(B−1)非弾性糸が1×1トリコット組織で、弾性糸がハーフ組織である経編地。
(B−2)非弾性糸が1×1トリコット組織で、弾性糸がアトラス組織である経編地。
(B−3)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に開き目である経編地。
(B−4)非弾性糸と弾性糸とが逆行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目である経編地。
これら以外の素材としては、非弾性糸と弾性糸がともにハーフ組織であるトリコット素材が挙げられる。素材の裁断縁を縁部始末を行わずに、衣料縁部に使う場合は、積層する素材は編糸がすべてルーピングされているトリコット素材が好ましい。
【0062】
<2>下記(B−1)〜(B−4)からなる群から選ばれた少なくとも1種の素材を複数枚接合して積層した部片も用いることができる。
(B−1)非弾性糸が1×1トリコット組織で、弾性糸がハーフ組織である経編地。
(B−2)非弾性糸が1×1トリコット組織で、弾性糸がアトラス組織である経編地。
(B−3)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に開き目である経編地。
(B−4)非弾性糸と弾性糸とが逆行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目である経編地。
これらのうちでも、上記<1>に挙げた組み合わせの内、素材(A)が(A−1)であり、素材(B)が(B−1)である組み合わせがより好ましい。この組み合せは、非弾性糸として綿糸などを用いる場合に、裁断されたままの縁のほつれの防止が良好でありより好ましい。
さらには、(A−1)と(B−1)の組み合せを用いる場合には、(B−1)の非弾性糸として綿糸を用い、且つ(B−1)における非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目であることが裁断されたままの縁のほつれの防止が良好でありより好ましい。しかもこの積層部片を用いる場合には、(B−1)が肌側になるように設計することが、肌触りや吸汗性などの点で極めて好ましい。
【0063】
また、前述したジャカード柄模様を有する部片と、ジャカード柄模様を持たない部片とを用いて積層部片とする場合には、ジャカード柄模様を有する部片が衣類の表側になるように使用することが好ましい。
また、このように、ジャカード柄模様を有する部片と、ジャカード柄模様を持たない部片とを用いて積層部片とする場合には、ジャカード柄模様を持たない部片として、特に上述した(A−1)又は(A−2)の素材とすることが好ましく、かかる組み合せとすることにより、裁断したままの縁部を縁部始末をすることなく衣料(例えばブラジャーなどのバック布など)の縁部として使用しても、ほつれが生じることを防止でき好ましい。
また、積層する他方の編地を、ジャカードによる花柄などの装飾柄が編み込まれた素材とすることで、デザイン性が向上でき好ましい。(A−1)や(A−2)素材を肌側とし、ジャカード柄の編み込まれた素材を、外側とすれば、ほつれが生じず、かつデザイン的に優れた衣料とすることが可能となり好ましい。
【0064】
積層部片を作成する場合には、予め複数枚の部片を重ねて接合し積層してから所望の形状に裁断してもよいし、予めそれぞれの部片を所定の同形状に裁断しておいて、それら複数枚を重ねて接合し積層してもよい。
いずれの場合も、接合する複数枚の部片は、同形状で接合積層されて、実質的に1枚の状態となる。よって部片に段差が生じない。また、1枚でもほつれの生じない編地を接合しているため、部片の縁部がさばけたり、糸端が突出することなく、縁部を綺麗に出来る。もちろん、引き裂き強度なども向上する。
「部片を複数枚接合して積層して形成されている」とは部片2枚又はそれ以上を重ね合わせて、簡単に剥がれないように接着して積層することを意味している。接着手段は特に限定するものではないが、熱融着性の樹脂などが接着剤として用いられる。接着剤は、多数の点状に点接着することが通気性の点で好ましい。
【0065】
次に、使用する非弾性糸としては、伸縮性衣類の種類により異なるが、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維、レーヨンなどの半合成繊維、絹や綿などの天然繊維のいずれでも、またフィラメント糸、紡績糸のいずれも使用することができる。なかでも吸水性に富むナイロンはインナーウエア用編地として好ましく用いられる。弾性糸についてもとくに制限はないが、一般にカバリングを行っていないポリウレタン弾性糸や当該弾性糸を非弾性糸でカバーしたカバリング糸等が使用できる。 カバリングを行っていない糸が、編密度を上げやすい。また、綿は肌触りがよく、吸汗性の点でも好ましい。
非弾性糸は、細い方が編目を高密度にしやすい。一方、細すぎると強度が弱くなってしまう。よって、33〜154dtexが編地を高密度にしやすく、かつ安定し強度のある編み組織とすることができるので好ましい。非弾性糸は、より好ましくは33〜88dtex、さらに好ましくは33〜77dtex、更に一層好ましくは33〜55dtexとすれば、編地を高密度にでき、かつ安定し強度のある編み組織とすることができるので好ましい。綿糸を使う場合も、裁断されたままの状態の縁の部分がほつれないようにするためには、編み密度を高く編成できるようにすることが好ましく、したがって比較的細い綿糸を使用すれば、編み密度を高くしやすく好ましい。上記の場合において、綿糸としては50番手かそれより細い綿糸を使用することが好ましく、より好ましくは70番手かそれより細い綿糸を使用することが好ましい。通常、細ければ細いほど好ましいが、現在、市場で通常入手できる綿糸の細いものは100番手程度である。従って綿糸を用いる場合には、50〜100番手の綿糸が好ましく用いられる。
【0066】
弾性糸は、細い方が編地を高密度とできる。154dtex以上となると、裁断したままで縁部始末不要な状態は実現できるが、伸度が少なくなり、身体に密着する衣料に使用するには154dtex以下のものが好ましい。より好ましくは、15〜100dtex、更に好ましくは33〜88dtexである。一方、154dtexよりも太い弾性糸は、伸度を要求しない衣料部位に使用することは可能である。また、231dtex以上、396dtexまでの弾性糸でも、比較的柔らかいものであれば、裁断しても裁断したままの縁部がほつれにくい状態を実現できる。伸度は少ないが、伸度を要求しない部位には使用しうる。
【0067】
そして、かかる伸縮性経編地においては、編み目の安定性、裁断されたままの縁のほつれ防止効果などを得る目的でプレセット処理または/およびヒートセット処理の施されているものが、好適である。処理温度は、装置の形状、プレセット処理時間、ヒートセット処理時間、素材の種類、編地の厚さなどにもよるが、180℃以上、好ましくは185℃以上の温度で、さらに確実に前記の効果を得るには190℃〜195℃の範囲で前記処理が施されていると、編地の一部が軟化し軽く編目が融着して編地の形態が安定し、裁断されたままの縁が特にほつれにくくなり好ましい。ヒートセット処理時間は、たとえば6〜8チャンバー構成(チャンバーの合計長さが約15〜30m)の装置を用いた場合、15〜40m/分程度、好ましくは15〜24m/分程度がよい。
【0068】
また、一般的な編地では仕上巾を160cm前後にするが、この伸縮性経編地では仕上巾を100〜140cm、より具体的には、110cm、120cm、130cmなどと短くし、可能な範囲で高密度に編成したものが、伸縮性衣類において編目の美しさを保持しつつ、その安定性を向上するために望ましい。使用する編糸の繊度等にもよるが、2.54cm(1インチ)当たり55ウエールを超える、好ましくは60ウエールを超える、より好ましくは65ウエールを超える、更に好ましくは70ウエール以上の高密度に編地を編成し、編地のよこ伸びの割合を大きくすることが好ましい。ただし、非弾性糸としてセルロース糸や綿糸が編み込まれている場合はこの限りではない。
【0069】
さらに、通常に較べて非弾性糸の使用糸量を増やし、長くし、且つ弾性糸は短くし、非弾性糸のランナー長を弾性糸のランナー長に比べてかなり長くした伸縮性経編地を好ましく使用する。具体的には、通常80cm/ラック以下の非弾性糸のランナーを85〜120cm/ラック、好ましくは95〜115cm/ラックとし、通常60cm/ラック以下の弾性糸のランナーを70〜110cm/ラック、好ましくは75〜105cm/ラックにして編成することが好ましい。
【0070】
尚、ここで、「ランナー」とは、一定コース数(これを「ラック」と言い、通常、480コースを1ラックとする)を編むのに使用する糸の長さ(cm)を言う。
非弾性糸のランナーAと弾性糸のランナーBの比率(A/B)は、好ましくは1.15以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.3以上とすることが好ましい。
尚、本発明で用いる裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を形成しうる経編地は、レース生地ではない。
【0071】
そして、伸縮性の経編地からなる前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁の内、衣料における上縁又は下縁の少なくとも一方が前記部片の縁始末不要な縁からなる場合に、当該縁が、編み地の編み方向に対して3度以上177度の範囲の、編み方向に平行ではない角度で裁断されていれば、ほつれ及びカーリングを防止することができる。さらに好ましくは5〜150度、より好ましくは10〜120度、更に好ましくは15〜90度、より好ましくは20〜80度、更に好ましくは30〜60度、より一層好ましくは40〜50度、最も好ましくは45度前後(具体的には43〜47度)の角度で裁断された縁とすることが好ましい。
ここでいう、縁の裁断角度がどの角度をあらわすか、模式図である図16を用いて説明する。
【0072】
図16中、A−B−C−D−Aで囲まれた部分が、裁断した部片であるとする。矢印E、F、Gはこの編地の編方向を示している。図16のX側を「編始め側」と言い、図16のY側を「編終り側」と言う。従って、縁A−Dと、縁C−Dは、編始め側の縁と言うことになり、縁A−Bと、縁B−Cは、編終り側の縁と言うことになる。
縁の裁断角度とは、「編始め側」の縁(A−DやC−D)の場合には、縁のラインと編方向とがなす角度のうち、鋭角となる方の角度(α4やα3)を言う。また「編終り側」の縁(A−BやB−C)の場合には、縁のラインと編方向とがなす角度のうち、鈍角となる方の角度(α1やα2)を言う。
以上が、本発明における縁の裁断角度の定義であるが、説明のしやすさから、例えば図16において縁A−Bラインの裁断角度をβ1の角度を用いて説明している場合があるが、これは、縁の裁断角度の上記定義から明白なように縁A−Bラインの裁断角度としては「180度−β1度」のことであることは容易に理解される。
【0073】
縁ラインの裁断角度を上述したような本発明の態様とすることにより、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁の身体へのフィット性が向上し、当該縁部分が、着用者の身体外側にカールすることを防止でき好ましい。即ち、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を、衣料の上縁又は下縁、例えば、ウェストや裾などに有する衣料は、当該縁部分が、着用者の身体外側にカールする場合がある。このようなカールを生じないようにするには、上記縁始末不要な縁となる部分の裁断ラインを、当該編地の編み方向に対し上述の角度となるように裁断することが好ましい。編地の編み方向とは、編地を編む場合の糸の供給方向に相当する。上記において編み方向に対し20〜80度とは、編み方向のラインを仮定した場合にその左右のいずれか側に20〜80度の角度であること、言い換えれば編み方向の進行方向側に角の頂点側が向いている角の角度で、編み方向の進行方向ラインに対し±20〜80度の角度である。
【0074】
尚、裁断されたままで縁始末不要な縁を、身体外側にカールすることを防止する必要性の少ない部位に使用する場合には、45度を超えない範囲で裁断した縁を有する部片を使用することも好ましい。また、裁断縁を直線状ではなく、波形などに裁断した部片を使用すれば、縁部が身体外側にカールすることを防止でき好ましい。
【0075】
衣類の部片を裁断する際に、複数の縁部を裁断したままで縁始末不要な縁とする場合、いずれかの箇所は、編み方向に対し3〜177度、例えば好ましい範囲の20〜80度では裁断できず、例えば編み方向に20度未満の角度で裁断せざるを得ない箇所がある。その様な縁部は波形に裁断すれば、波形のカーブとなった縁部の裁断角度を例えば好ましい範囲の20〜80度とすることもでき、縁部全体を実質的に20〜80度で裁断した効果を得られる。例えば衣料の上下方向に連続した1枚の部片を用いてショートガードルのウェストラインと裾を共に裁断したままで縁始末不要な縁とする場合など、当該衣料のデザインの関係上、両方の縁部を編み方向に対して例えば編み方向に対し20〜80度で裁断できないこともあり、かかる場合に、一方の縁を波状の縁にすることは好ましい。
【0076】
特にガードルやショーツなどのボトム衣料において、上記角度で裁断した部片の縁部を、ウェストや裾に使用することが、縁部のほつれやカーリングを防止できる。
【0077】
ブラジャー、もしくは水着あるいはレオタードのトップスの場合は、バック布となる部片は、編み方向に対して直角もしくは平行に対し±20度などの平行もしくは直角に近い角度で裁断を行うと、バック布の着用時に横方向に伸度を持たせることができ、着用感が向上するため好ましい。バック布はカップ脇から、フックアンドアイと呼ばれる後中心連結部に向かって幅が狭くなる略台形状であり、上縁と下縁は二等辺三角形の2つの斜辺の関係となっていることが多い。よってバック布の上縁と下縁の一方は、編み方向に対して好ましくは10〜90度、より好ましくは75〜90度で裁断する。一方の縁部の裁断角度をαとすると、他方の縁部は、(180−α)度に近い角度で裁断することとなる。例えば、直角に近い角度で裁断する場合は、バック布の下縁は100度で裁断し、上縁は80度で裁断する。編み方向に対し平行に近い角度で裁断する場合は、バック布の上縁は15度で裁断し、下縁は165度で裁断することとなる。この様に、バック布の部片を、編み方向に対して平行もしくは直角に近い角度以外の角度で裁断しても、裁断形状を複数の曲線のある波形状とすれば、縁部のほつれやカーリングが生ぜず、しかもある程度の伸度を有するために、差し支えない。「複数の曲線のある波形状」とは、単純にどちらか一方向に凸の曲線または凹の曲線ではなく、凹凸のある波線のような曲線など、どちらか一方向に凸の曲線と凹の曲線の複数の曲線が合成されて形成された、いわば、波線のような曲線のことを意味している。「複数の曲線のある波形状」とは所謂「波形状」の曲線のことを意味しているのである。波形状は規則的な単純な曲線の繰り返しからなるものに限られず、不規則な波形状であってもよい。裁断したままの縁部の形状を波形状にする場合には、各波形状の曲線の曲率をあまり小さくしない方が引き裂き強度が低下せず、また、当該縁部のめくれなども生じにくくなり好ましい。
【0078】
ブラジャー、もしくは水着あるいはレオタードのトップスのバック布の場合は、強度を持たせるために、2枚の編地を接着などの手法によって接合して積層することがある。この場合、2枚の編地を接合積層した後、所要の形状に裁断することもあれば、編地から2枚の同形状の部片を裁断した後に接合積層することもある。いずれの場合も、接合する2枚の部片は、同形状で接合積層されて、実質的に1枚の状態となる。よってバック布に段差が生じない。また、1枚でもほつれの生じない編地を接合しているため、バック布の縁部がさばけたり、糸端が突出することなく、縁部を綺麗に出来る。
【0079】
上述したように、「同形状の前記部片を2枚接合して積層して形成されているバック布」は、積層する前にそれぞれの部片を同形状に切断しておいてもよし、予め編地を接合、積層しておいてから、所定の形状にカットしてもよい。
【0080】
積層部片をブラジャーなどのバック布に用いる場合の、積層部片として好ましい態様は前述したものと同様である。
【0081】
尚、縁部のラインが波形状である場合、裁断角度とは、編み方向と、裁断縁部の波形状の凹凸を平準化した場合の仮想直線との角度を指す。裁断縁部の波形状の凹凸を平準化した場合の仮想直線とは、縁始末不要な縁のスカラップ状の波の頂点を結ぶ接線ライン、あるいは、波を上下に分割する中央線である。不規則な波形状が複数あり、前記仮想直線が不明確な場合は、裁断角度とは、編み方向と、編地を裁断した部片もしくはそれを使用した衣料の縁部の、縁部ラインの長さ方向の両縁部を結んだ直線との角度である。縁部に現れる曲線が1つの場合は、裁断角度とは、編み方向と、その曲線の長さ方向の両端を結んだ直線の角度である。縁始末不要な縁のスカラップ状部分は波形形状の曲線であるが、その波の進行方向に相当する全体としての縁のラインは、仮想直線で現すことができる。光は波動するが、全体として直線で進行方向を描いているのと同じ扱い方である。
【0082】
また、本発明の部片は、縁部を1つの円弧状の曲線とすること、複数の曲線のある波形状とすることが可能で、縁部を曲線、あるいは波形状に裁断することで、ほつれやカーリングを防止できる。ガードルやショーツなどのボトム衣料の場合、ウェストラインは下方に向かって窪む凹状の曲線であることが、カーリングを防止し、ウェストにフィットできる。ショートのガードル、ショーツの裾ラインは、全体として下方に向かって凸に突出する曲線であることが、カーリングを防止し、ヒップラインにフィットできる。あるいは裾ラインを波形状とすれば、カーリングを防止し、ヒップラインにフィットできる。あるいは、裾ラインを全体として(巨視的に)下方に向かって凸に突出する曲線とし、かつ微視的に波形状とすれば好ましい。ヒップ及び腹部脇に当接する部片が連続した部片(「連続した部片」とは複数のパーツが接ぎ合わされたものでなく、平面方向に1枚の連続した部片を意味する)からなる場合、ヒップ裾に当接するラインと、腹部脇に当接する縁部ラインで、縁部ラインの形状が変わっていても良い。例えば、ヒップ裾ラインは下方に向かって凸に突出する曲線もしくは、波形状、もしくは下方に向かって凸に突出する曲線でありかつ波形状であり、腹部脇に当接する縁部の裾ラインは、上方に向かって凸となる曲線であっても良い。
【0083】
上記部片の上下縁部が当接する身体部位にフィットできるように、上縁の形状、下縁の形状を異なる形状としたり、上縁と下縁を非平行とする、あるいは上縁と下縁の形状を異ならせ、かつ上縁と下縁を非平行とすることによって、立体形状である身体にフィットさせることができ好ましい。
【0084】
また、本発明においては、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を形成しうる生地に、部分的に弾性糸によって伸縮パワーが直線状に変化している領域を設けることも、体型補整機能を向上させることができ、好ましい。「伸縮パワーが直線状に変化している領域」とは、例えば、伸縮パワーの強い領域と弱い領域の境界が直線状であるような、伸縮パワーの強い領域と弱い領域(伸縮パワーの強い領域と弱い領域は2段階以上のグレードの伸縮パワーの異なる領域を有する場合も含み、また、伸縮パワーが連続的に変化してもよい)が形成されていることを意味する。
部分的に弾性糸によって伸縮パワーが直線状に変化している領域を設けるには、更に次の様な手法を適用してもよい。
(a)編み込む弾性糸の太さが異なる複数の領域を形成することにより伸縮パワーの異なる複数の領域を形成する方式。
(b)編み込む弾性糸の本数が異なる複数の領域を形成することにより伸縮パワーの異なる複数の領域を形成する方式。
(c)前記(a)と(b)の適宜の組み合せにより伸縮パワーの異なる複数の領域を形成するする方式。
【0085】
尚、更に、第2の非弾性糸を編み込むか挿入することにより、伸縮パワーの異なる複数の領域の境界が直線状である複数の領域を形成することもできる。
ここにおいて、伸縮パワーが強いとは、緊締力が強く、伸びが少ないことを指す。
また、衣料の一部の部位に、従来法の糸抜きの手法により縁始末不要な縁となっている生地、あるいは縁始末が必要な生地(以下、この生地を、「本発明とは別の生地」と略称することがある)を用いてもよい。
衣料の縁部の全部、あるいはほとんどを無縫製など縁部始末を行わず表面がフラットな状態とすることが好ましいが、着用時にテンションのかかり易い箇所に強度を持たせるため、当該縁部を長さ0.5〜2cm程度縫合しても良い。例えば、ブラジャーのバック布上縁におけるカップワイヤーと隣接するバック布箇所、後中心のフックアンドアイと呼ばれる後中心連結部と隣接するバック箇所、ショートのガードルやショーツのクロッチ布との接合箇所付近などである。
【0086】
本発明は、身体に密着する衣料において効果的である。本発明が適用される好ましい衣料としては、ショートガードル、ロングガードル、ショーツ、スパッツ、ブラジャー、水着、レオタード、ボディスリップ、ボディキャミソール、ボディースーツ、ボディテディなどが挙げられる。
【実施例1】
【0087】
図1は本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有し且つ体形補整機能を有する衣料の一実施の形態例のセミロングタイプのガードルの背面側から見た斜視図、図2は図1に示したセミロングタイプのガードルの正面側から見た斜視図、図3は図1、図2に示したセミロングタイプのガードルの着用者の左側に相当する前脇−脇−ヒップ部−脚部充当部片1の裁断ラインを編地上に示した平面図及びクロッチ部片の平面図である。
図1〜図3において、1が前脇−脇−ヒップ部−脚部をカバーする前脇−脇−ヒップ部−脚部充当部片であり、ガードルの上下方向に連続し、表面に段差のない1枚の部片となっている。6は腹部をカバーする腹部充当部片であり、ガードルの上下方向に連続し、表面に段差のない1枚の部片からなっている。左右の前脇−脇−ヒップ部−脚部充当部片1は、脚部を除いて後中心の縫合ライン4で相互に縫合されており、前脇−脇―ヒップ部−脚部充当部片1の前側の側縁は、腹部充当部片6の側縁と縫合ライン5で互いに縫合されている。図1などの背面側から見た斜視図では、どのあたりから脚部なのかわかりにくいので、仮想点線8を図中に示し、およそ仮想点線8より下側が脚部であることが分かるようにした。従って、仮想点線8より上側の縫合ライン4が後中心の縫合ラインであり、仮想点線8より下側が左右両足に分かれて形成された脚部である。
【0088】
図3において、生地11中に示されたラインA−B−C−D−E−F−G−Aはこのガードルの脇から後ろ及び脚部に用いられる着用者の左側半分の部片を得るための前脇−脇―ヒップ部−脚部充当部片1の裁断ラインを示したものである。また、10はクロッチ部片であり、前脇−脇―ヒップ部−脚部充当部片1と同じ生地を用いても良いが、異なる生地を用いても良く、クロッチ部片の素材は、従来よりガードルのクロッチ部片に用いられている各種のものが使用できる。クロッチ部片10は、股部になり図1、2では表示されていない。
【0089】
図示していないが、前脇−脇―ヒップ部−脚部充当部片1の右側半分の部片の形状は、左側半分の部片の形状と左右線対称となる。A−Bラインは図1の腹部充当部片6と縫合され、Q−CラインはE−Dラインと縫合されて左脚部を形成し、G−Fラインは図示していない前述した右側半分の部片の同様な部分と縫合されて後中心の縫合ライン4を形成することになる。クロッチ部片10のK−Lラインは腹部充当部片6の下縁に縫合され、L−Iラインは部片1のB−Qラインと縫合され、H−Iラインは部片1のF−Eラインと縫合される。図示していない前述した右側半分の部片1の縫製も左右対象であるので同様である。かくして図1〜図2に示したガードルを作成することができる。他の実施の形態例のガードルもほぼ同様な縫製により形成される。
【0090】
図1〜図3に示したガードルにおいては、前脇−脇―ヒップ部−脚部充当部片1として、裁断されたままの状態で縁部が縁始末不要な部片が用いられている。
前脇−脇−ヒップ部−脚部充当部片1を構成する経編地の編み方向は、矢印9の矢印が示す方向である。
【0091】
前脇−脇−ヒップ部−脚部充当部片1は、図11で説明したようなナイロン糸とポリウレタン糸とを逆行させた1×1編み組織で、弾性糸、非弾性糸共に閉じ目で編まれている。44dtexのナイロン糸と77dtexのポリウレタン糸によって、編まれ、1インチ(2.54cm)当たり70ウェールの編み密度で編成されている。
そしてこの実施の形態において、前脇−脇−ヒップ部−脚部充当部片1の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、2の裾ラインの縁と3のウェストラインの縁の部分を形成している。裾ライン2は波形になっており、裾ライン2の方向は当該波形の各頂点を結ぶ直線と同じ方向、すなわち矢印12(図3参照)で示された方向である。裾ラインは、編み方向に対して角βが約30度の角度で裁断されている。全体として約30度で裁断されているが、裾ライン全体を複数の波形状に裁断しており、波形状箇所は30度を越える角度で裁断されている。
【0092】
ウェストライン3は、下側に向けて若干窪んだ曲線に裁断されている。直線に裁断しても良い。ウェストラインの両端を結んだ仮想直線が編み方向9の方向に対し角αが35度(従って、A−Bの裁断角度は、180−35=145度)の角度で裁断されている。実際のウェストラインは、下側に若干窪んだ曲線であるため、実際の裁断角度角αは35度(裁断角度145度)を前後する角度である。つまり、裾ライン2の方向とウェストライン3の方向は互いに非平行かつ異なる形状となっている(図1、図2ではわかりにくいので図3参照)。
【0093】
尚、腹部充当部片6は、弾性糸と非弾性糸が逆行する1×1のトリコット組織で、弾性糸が開き目で非弾性糸が閉じ目の前述した編み組織の布で作成されていて、上側の縁7は裁断されたままの状態で縁始末不要な縁になっており、下側に向けて若干窪んだ曲線となっている。尚、直線状に裁断し、ウェストを形成しても良い。あるいは、腹部充当部片6は必要に応じ、他の縁始末の必要な生地を用いても良い。腹部充当部片6は44dtexのナイロン糸と88dtexのポリウレタン糸で編まれ、1インチ(2.54cm)当たり68ウェールの編み密度で編成されている。腹部充当部片6のウェストラインに当接する上縁7は、編み方向に対して40度の角度で裁断されている。こうすることによって、ウェストと裾の衣料縁部を全て裁断したままで縁部始末を行っていない縁部とすることができ、かつ上下に連続した段差のない部片でガードルを形成しているため、縫製箇所を少なくし、段差の少ないガードルとできる。特に縁部の段差をなくすことができ、裁断角度を編み方向に対し3度以上、さらに裁断形状を曲線あるいは波形とすることにより、ウェストラインと裾が、裁断したままでもほつれが生じず、かつカーリングすることなく身体に密着し、ずれにくく、ウェストや裾が安定した位置に保持されやすくなり好ましい。腹部充当部片6や前脇−脇−ヒップ部−脚部充当部片1に部分的に更に弾性糸あるいは非弾性糸を編み込み又は挿入し、伸びの少ない部位を設けてもよい。
【0094】
上述の様に、裾ライン2やウェストライン3は、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁になっており、縁始末が不要で、またゴムテープなどを用いていないので、ゴムテープの様に線状にウェストを強く締め付けることがなく、厚みが増大しないので着用時のウェストまわりのシルエットをすっきりとしたシルエットにすることができると共に、ゴムテープの締め付け跡が肌に残ることがない。また、上記裾まわりも同様である。前脇−脇−ヒップ部−脚部充当部片1および腹部充当部片6は、上記編み組織に限らず、裁断したままでほつれの生じないトリコット経編地であれば、他の編組織でも良い。
【実施例2】
【0095】
図4は本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有し且つ体形補整機能を有する衣料の一実施の形態例のショートタイプのガードルの背面側から見た斜視図、図5は図4に示したショートタイプのガードルの正面側から見た斜視図、図6は図4、図5に示したショートタイプのガードルの着用者の左側に相当する前脇−脇−ヒップ部充当部片15の裁断ラインを編地上に示した平面図である。
【0096】
図4〜図6において、15が前脇−脇―背面部をカバーする前脇−脇―ヒップ部充当部片で、上下方向に連続した段差のない1枚の部片である。16は腹部をカバーする腹部充当部片であり、上下方向に連続した段差のない1枚の部片である。17は前中心側裾部片であり、上下方向に連続した段差のない1枚の部片である。左右の前脇−脇―ヒップ部充当部片15は、後中心の縫合ライン18で相互に縫合されており、前脇−脇―ヒップ部充当部片15の前側の側縁は、腹部充当部片16および前中心側裾部片17の側縁と縫合ライン19で互いに縫合されている。
図6において、生地20中に示されたラインM―N―O―P―Q―Mはこのガードルの脇からヒップ部に用いられる着用者の左側半分の部片を得るための前脇−脇―ヒップ部充当部片15の裁断ラインを示したものである。
【0097】
図示していないが、前脇−脇―ヒップ部充当部片15の右側半分の部片の形状は、左側半分の部片の形状と左右線対称となる。M−Nラインは図5の腹部充当部片16および前中心側裾部片17と縫合され、P−Qラインは図示していない前述した右側半分の部片の同様な部分と縫合されて後中心の縫合ライン18を形成することになる。O―Pラインは、クロッチ部21と縫合される。N−Oラインが、裾ラインを形成し、Q−Mラインがウェストラインを形成する。図示していない前述した右側半分の部片15の縫製も左右対象であるので同様である。かくして図4〜図5に示したガードルを作成することができる。
【0098】
前脇−脇―ヒップ部充当部片15および腹部充当部片16、前中心側裾部片17は裁断されたままで縁始末不要な縁を有する部片を用いている。前脇−脇―ヒップ部充当部片15を構成する経編地の編み方向は、矢印14の矢印が示す方向である。
【0099】
前脇−脇―ヒップ部充当部片15は、図11で説明したようなナイロン糸とポリウレタン糸とを逆行させた1×1のトリコット組織で、弾性糸、非弾性糸共に閉じ目で、1インチ(2.54cm)当たり70ウェールの編み密度で編成されている。33dtexのナイロン糸と77dtexのポリウレタン糸で編まれている。そして前脇−脇―ヒップ部充当部片15の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、22の裾ラインの縁と23のウェストラインの縁の部分を形成している。裾ライン22は波形になっており、裾ライン22の方向は当該波形の各頂点を結ぶ直線と同じ方向、すなわち矢印12で示された方向であり、編み方向14とは5度の角度がついている。ウェストライン23は、編み方向14の方向に対し角αが約40度の角度(裁断角度)で裁断されている。ウェストライン23は、下方向に若干湾曲した曲線であるため、湾曲部分は40度を前後する角度で裁断されている。いずれにしても、裾ライン22とウェストライン23は、非平行かつ異なる形状となっている。
【0100】
裾ライン22は、全体としては5度の角度で裁断(裁断角度は180−5=175度)で裁断されているが、裾ライン全体を複数の波形のある波形状に裁断しているため、波形ラインは5度を越えた角度(裁断角度で言えば175度より小さい角度)で裁断されている。ウェストライン23は、下方向に若干湾曲した曲線であり、ウェストラインの両端のQとMを結ぶ仮想直線が、当該編地の編み方向14に対し、40度の角度(裁断角度)で裁断された縁である。ウェストライン23は、衣類下方向に若干湾曲した曲線であるので、実際の裁断角度は、40度を前後する角度となる。つまり、上側の縁であるウェストライン23と、下側の縁である裾ライン22は、非平行となっている。
【0101】
腹部充当部片16の上側の縁24は前述したように、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁としている。図10で説明したような非弾性糸と弾性糸とを同行させた1×1トリコット組織で、弾性糸と非弾性糸が共に開き目で編まれた編地を用いている。腹部充当部片16は44dtexのナイロン糸と154dtexのポリウレタン糸を用い、1インチ(2.54cm)当たり65ウェールの編み密度で編まれている。編み方向に対し、45度の角度で裁断されている。前中心側裾部片17は、図10で説明したような非弾性糸と弾性糸とを同行させた1×1トリコット組織で、弾性糸と非弾性糸が共に開き目で編まれた編地を用いている。33dtexのナイロン糸と77dtexのポリウレタン糸で編まれ、1インチ(2.54cm)当たり70ウェールの編み密度で編まれている。前中心側裾部片17の裾ライン25は裁断されたままの状態で縁始末不要な縁から形成されており、編み方向に対して約25度で裁断している。また上方に向いて凹状に窪む湾曲した曲線となっている、湾曲部分は25度を前後する角度で裁断されている。尚、裾ラインを直線ラインとしても良い。また、縁部が従来の糸抜きの方法で得られた縁始末不要な縁が形成されている編み物を用いてもよい。
【0102】
こうすることによって、ウェストと裾の衣料縁部を全て裁断したままで縁部始末を行っていない縁部とすることができ、かつ上下に連続した段差のない部片15を用いることによりガードルを形成しているため、縫製箇所を少なくし、段差の少ない表面がフラットなガードルとできる。特に縁部の段差をなくすことができ、裁断角度を編み方向に対し3度以上(180−3=177度以下)、さらに裁断形状を曲線あるいは波形とすることにより、ウェストラインと裾が、裁断したままでもほつれが生じず、かつカーリングすることなく身体に密着し、ずれにくく、ウェストや裾が安定した位置に保持されやすくなり好ましい。
【0103】
上述の様に、裾ライン22、25やウェストライン23は、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁になっており、縁始末が不要で、またゴムテープなどを用いていないので、ゴムテープの様に線状にウェストを強く締め付けることがなく、厚みが増大しないので着用時のウェストまわりのシルエットをすっきりとしたシルエットにすることができると共に、ゴムテープの締め付け跡が肌に残ることがない。また、上記裾まわりも同様である。前脇−脇−ヒップ部充当部片15および腹部充当部片16および前中心側裾部片17は、上記編み組織に限らず、裁断したままでほつれの生じないトリコット経編地であれば、他の編組織でも良い。
【実施例3】
【0104】
図17は本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する衣料の一実施の形態例のショーツの背面図、図18は図17に示したショーツの正面図、図19は図17、図18に示したショーツの着用者の左側に相当する前脇腹−脇−ヒップ部充当部片75の裁断ラインを編地上に示した平面図である。
【0105】
図18〜図19において、75が前脇腹−脇―背面部をカバーする前脇腹−脇―ヒップ部充当部片で、上下方向に連続した段差のない1枚の部片である。76は腹部と股部をカバーする腹部−クロッチ部充当部片であり、上下方向に連続した段差のない1枚の部片からなる。左右の前脇腹−脇―ヒップ部充当部片75は、後中心の縫合ライン78で相互に縫合されており、前脇腹−脇―ヒップ部充当部片75の前側の側縁は、腹部−クロッチ部充当部片76の側縁の一部と縫合ライン79で互いに縫合されている。つまり本ショーツは、3枚の部片から形成されている。
図19において、生地70中に示されたラインM―N―O―P―Q―Mはこのショーツの脇からヒップ部に用いられる着用者の左側半分の部片を得るための前脇腹−脇―ヒップ部充当部片75の裁断ラインを示したものである。
【0106】
図示していないが、前脇腹−脇―ヒップ部充当部片75の右側半分の部片の形状は、左側半分の部片の形状と左右線対称となる。M−Nラインは図18の腹部−クロッチ部充当部片76の一部と縫合され、P−Qラインは図示していない前述した右側半分の部片の同様な部分と縫合されて後中心の縫合ライン78を形成することになる。O―Pラインは、腹部−クロッチ部充当部片76のクロッチ後部81と縫合される。N−Oラインが、裾ラインを形成し(N−OラインのうちN−Rラインが前裾ライン84、R−Oラインが後裾ライン82)、Q−Mラインがウェストライン83を形成する。図示していない前述した右側半分の部片75の縫製も左右対象であるので同様である。かくして図18〜図19に示したショーツを作成することができる。
【0107】
前脇腹−脇―ヒップ部充当部片75および腹部−クロッチ部充当部片76は裁断されたままで縁始末不要な部片を用いている。前脇腹−脇―ヒップ部充当部片75を構成する経編地の編み方向は、矢印74の矢印が示す方向である。
【0108】
前脇腹−脇―ヒップ部充当部片75および腹部−クロッチ部充当部片76は、地編部分の編組織が、33dtexのナイロン糸と77dtexのポリウレタン糸とが共に閉じ目で同行する1×1のトリコット組織で、1インチ(2.54cm)当たり63ウェールの編み密度で編成されていて、ジャカード小柄模様(最長径4cmの花柄模様)77を形成するためのジャカード制御される柄糸には33dtexのナイロン糸を用い、柄糸が柄模様を形成しない部分は弾性糸と逆行する閉じ目の1×1のトリコット組織とし、ジャカード小柄模様を発現させる部分は鎖編で編むことにより花柄模様77を形成した。尚、ジャカード小柄模様を発現させる部分をアトラス編としてもよい。
【0109】
そして前脇腹−脇―ヒップ部充当部片75の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、84の前裾と82の後裾ラインの縁及び83のウェストラインの縁の部分を形成している。後裾ライン82は波形になっており、後裾ライン82の方向は当該波形の各頂点を結ぶ直線と同じ方向、すなわち矢印72で示された方向であり、編み方向74とは5度の角度がついている。前裾ライン84(N−R)は図19に示したように、上に若干凸の不規則な形状の曲線状になっている。ウェストライン83は、編み方向74の方向に対し角αが3度の角度(裁断角度)で裁断されている。従って裾ライン82とウェストライン83は、非平行となっている。
【0110】
腹部−クロッチ部充当部片76の上側の縁85は前述したように、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁としている。編地としては、上記前脇腹−脇―ヒップ部充当部片75と同じ編地で同じジャカード花柄模様の形成された同一の編地を用いた。
【0111】
腹部−クロッチ部充当部片76は、編方向や裁断縁の方向を図示していないが、腹部−クロッチ部充当部片76の上側の縁85が編方向に対し45度の角度となるように裁断して用いた。
【0112】
こうすることによって、ウェストと裾の衣料縁部を全て裁断したままで縁部始末を行っていない縁部とすることができ、かつ上下に連続した段差のない部片でショーツを形成しているため、縫製箇所を少なし、段差の少ない表面がフラットな花の小柄模様入りショーツとすることができる。特に縁部の段差をなくすことができ、裁断角度を編み方向に対し3度以上(180−3=177度以下)、さらに裁断形状を曲線あるいは波形とすることにより、ウェストラインと裾が、裁断したままでもほつれが生じず、かつカーリングすることなく身体に密着し、ずれにくく、ウェストや裾が安定した位置に保持されやすくなり好ましい。
【0113】
上述の様に、裾ライン82、84やウェストライン83は、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁になっており、縁始末が不要で、またゴムテープなどを用いていないので、ゴムテープの様に線状にウェストを強く締め付けることがなく、厚みが増大しないので着用時のウェストまわりのシルエットをすっきりとしたシルエットにすることができると共に、ゴムテープの締め付け跡が肌に残ることがない。また、上記裾まわりも同様である。前脇腹−脇−ヒップ部充当部片75および腹部−クロッチ部充当部片76は、上記編み組織に限らず、裁断したままでほつれの生じないトリコット経編地であれば、他の編組織でも良い。
【実施例4】
【0114】
図7は本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する衣料の一実施の形態例のブラジャーの主要部分の斜視図である。図7において、26が伸縮性のバック布、31が着用時に左右のバック布を連結するための連結部、29が乳房カップ、30がストラップである。伸縮性のバック布26は、裁断されたままで縁始末不要な部片で、かつ上下方向に連続した1枚の部片を用い、形成されている。この部片を構成する経編地の編み方向は矢印34の示す方向である。編み方向が、バック布の幅の細い方から幅の太い方に向かう方向とすれば、編み始め側で裁断することができるため、ほつれがより生じにくい。尚、図示していないが着用者の右側にあてがわれるバック布の編み方向は34の矢印とは反対向きの方向になる。つまり、編み方向が、バック布の幅の細い方から幅の太い方に向かう方向となっている。
【0115】
バック布26部片については、前記部片全体は33dtexのナイロン糸と44dtexのポリウレタン糸が、図11で説明したようなナイロン糸とポリウレタン糸とを逆行させた1×1トリコット組織で、弾性糸と非弾性糸が共に閉じ目により編成されている。1インチ(2.54cm)当たり63ウェールの編み密度で編まれている。
【0116】
そして前記バック布26の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁は、バック布の下側の縁28と上側の縁27の部分である。下側の縁28と上側の縁27はいずれも複数の波形のある波形状になっている。波形状は、上側の縁27と下側の縁28で凹凸がほぼ同間隔、ほぼ同高さ、凹凸のいずれかの同じ方が上下でほぼ同箇所に現れる、すなわち上側の縁27が上向きの凸状であれば、下側の縁28は下向きの凸状、上側の縁27が下向きの凹状であれば、下側の縁28は上向きの凹状と、下側の縁28と上側の縁27が、バック布の上下方向を二分する中心ラインを基準にほぼ左右対称の、波形状となっている。尚、本実施例は、バック布26がカップ部に連結し、土台の無いブラジャーとなっている。土台布のあるブラジャーで、バック布と土台布が連続した布からなる場合は、土台部以外のバック部において、バック布の上下方向を二分する中心ラインを基準にほぼ左右対称の、波形状であれば良い。
【0117】
バック布あるいは土台布の上下の縁始末不要な縁は、波形に限られず、直線状でも、波形以外の曲線状でもかまわない。また波形は、均等な波形でも、不均等な波形でもよい。また、上側の縁と下側の縁の形状が同じでも、形状が異なってもよい。バック布26の下側の縁28の縁ラインの方向は当該波形の各頂点を結ぶ直線と同じ方向、すなわち矢印32で示された方向であり、編み方向とは6度の角度がつけられている。上側の縁27の縁ラインの方向は、当該波形の各頂点を結ぶ直線と同じ方向、すなわち矢印33で示された方向であり、編み方向とは6度の角度がつけらている。すなわち、バック布の上下の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を構成するラインは、相互に非平行とされている。尚、縁ラインが波形状となっているため、波形状箇所は、6度を越えた角度で裁断されている。尚、バック布は一番広い箇所で幅9cm、細い箇所で幅4cmとした。
【0118】
従来のブラジャーのバック布においては、バック布26の上下の縁に沿ってゴムテープが設けられていたが、本実施の形態例のブラジャーのバック布26の上下の縁にはゴムテープを縫合していないので、ゴムテープによる厚みの増大がなく、着用時の胸囲まわりのシルエットをすっきりとしたシルエットにすることができると共に、ゴムテープの締め付け跡が肌に残ることがない。従って、バック布が身体にフィットして、かつ縁部がカーリングすることなく身体に密着し、運動時に生じるずれも最小限に防止し、着崩れも防止される。
【0119】
バック布に強度を持たせるため、前記上下方向に連続した部片2枚を樹脂などで接着して積層してもよい。前記部片の布1枚でも、バック布を形成することは可能であるが、本実施の形態例では、2枚の同形状の同じ部片を樹脂接着して使用した。2枚の部片を樹脂接着する際は、2枚の部片の編み方向が同じとなる様に重ねて接着すると、接着し易い。また、上下方向に連続した2枚の布を接着して積層した後、バック布部片を裁断すると、縁部が綺麗である。バック布が2枚を接着して形成された場合でも、2枚は接着されて一体となっており、バック布は、上縁と下縁が縁部始末不要な縁であり、かつ上下方向に連続した布から形成されており、上縁から下縁に至るまで表面がフラットで段差がなく、着用時に部分的な圧迫を生じることがない。バック布部片として用いた編地は、1枚物でも、裁断縁部がほつれの生じない布であり、かつ縁部ほつれの生じない、形状、角度、に裁断しているため、上下縁部の裁ち端が綺麗で、糸が突出することがない。
【実施例5】
【0120】
図8は本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する衣料の一実施の形態例のブラジャーの主要部分の斜視図である。図9は図8に示したブラジャーの着用者の左側に相当するバック布部片35の裁断ラインを編地上に示した平面図である。図8において、35が伸縮性のバック布、38が土台部、39が前中心部であり、42が着用時に左右のバック布を連結するための連結部、40が乳房カップ、41がストラップ、43は左右の前中心部の縫合箇所である。バック布部と土台部と前中心部は、連続した1枚の布から形成されている。伸縮性のバック布35は、裁断されたままで縁始末不要な部片で、かつ上下方向に連続した布で形成されている。この部片を構成する経編地の編み方向は矢印46(図9参照)の示す方向である。
【0121】
バック布35部片については、前記部片全体は33dtexのナイロン糸と44dtexのポリウレタン糸が、ナイロン糸とポリウレタン糸とを逆行させた1×1トリコット組織で、弾性糸が開き目と非弾性糸が閉じ目により編成されている。1インチ(2.54cm)当たり63ウェールの編み密度で編まれている。
【0122】
そして前記バック布35の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁は、バック布の下側の縁37と上側の縁36の部分である。下側の縁37と上側の縁36はいずれも複数の波形のある波形状になっている。波形状は、上側の縁36と下側の縁37で凹凸が、上下で逆に、ほぼ同間隔、同高さで現れる、すなわち上側の縁36が上向きの凸状であれば、下側の縁37は上向きの凹状、上側の縁36が下向きの凹状であれば、下側の縁37は下向きの凸状と、下側の縁37と上側の縁36が、類似の波形状となり、バック布全体としても波形状となっている。尚、本実施例は、バック布35と土台部と前中心部が連続した布から形成されている。土台部や前中心部の下側の縁は、波形状でも、直線形状でも良い。前中心部の伸びを止めたい場合は、前中心部の外側表面に伸度のない布を接合すれば良い。
【0123】
バック布35の下側の縁37の縁ラインの方向は当該波形の各頂点を結ぶ直線と同じ方向、すなわち矢印45で示された方向であり、編み方向とは85度の角度(裁断角度)がつけられている。上側の縁36の縁ラインの方向は、当該波形の各頂点を結ぶ直線と同じ方向、すなわち矢印44で示された方向であり、編み方向とは95度(裁断角度)の角度がつけらている。すなわち、バック布の上下の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を構成するラインは、相互に非平行とされている。尚、縁ラインが波形状となっているため、下側の縁37の縁ラインの波形状箇所は、85度を前後する角度で、上側の縁36の縁ラインの波形状箇所は、95度を前後する角度で、裁断されている。土台部38や前中心部39は、85度よりも小さい角度で裁断されている。土台部38の波形状部分は、85度前後の角度で裁断されている。
【0124】
53は、ストラップ取り付け箇所であり、ストラップ取り付け箇所53に、ストラップ取り付け環を通し、ストラップ取り付け箇所53を2つに折り、先端をバック布35に、逢着することによって、ストラップ41を取付ける。ストラップ取り付け箇所53は、バック布35と連続しており、バック布と一体に裁断されている。縁部は、裁断したままで始末不要である。尚、バック布35は一番広い箇所で幅9cm、細い箇所で幅4cmとした。
【0125】
従来のブラジャーのバック布においては、バック布35の上下の縁に沿ってゴムテープが設けられていたが、本実施の形態例のブラジャーのバック布35の上下の縁にはゴムテープを縫合していないので、ゴムテープによる厚みの増大がなく、着用時の胸囲まわりのシルエットをすっきりとしたシルエットにすることができると共に、ゴムテープの締め付け跡が肌に残ることがない。従って、バック布が身体にフィットして、かつ縁部がカーリングすることなく身体に密着し、運動時に生じるずれも最小限に防止し、着崩れも防止される。
【0126】
尚、バック布に強度を持たせるため、前記上下方向に連続した部片2枚を樹脂などで接着し積層して用いてもよい。前記部片の布1枚でも、バック布を形成することは可能であるが、本実施の形態例では、2枚の同形状の同じ部片を樹脂接着積層して使用した。
【0127】
2枚の部片を樹脂接着する際は、2枚の部片の編み方向が同じとなる様に重ねて接着すると、接着し易い。また、上下方向に連続した2枚の布を接着積層した後、バック布部片を裁断すると、縁部が綺麗である。バック布が2枚を接着積層して形成された場合でも、2枚は接着積層されて一体となっており、バック布は、上縁と下縁が縁部始末不要な縁であり、かつ上下方向に連続した布から形成されており、上縁から下縁に至るまで表面がフラットで段差がなく、着用時に部分的な圧迫を生じることがない。1枚でも、裁断縁部がほつれの生じない布であり、かつ縁部ほつれの生じない、形状、角度、に裁断しているため、上下縁部の裁ち端が綺麗で、糸が突出することがない。
【実施例6】
【0128】
実施例4とほぼ同様にして、ブラジャーを作成した。実施例4と異なる点は、バック布に強度を持たせるため、バック布を形成する部片2枚を熱接着性樹脂で接着して積層する場合に、前記(B−1)に相当する部片2枚を積層した部片を用いた点が主として実施例4と異なる点である。
特に断らない限りは、その他の点は実施例4並びに図7と同様であるので、同一の点は重複詳細説明を省略する。
【0129】
バック布を形成する部片の前記(B−1)に相当する部片としては、非弾性糸は80番手の綿糸を用い、弾性糸として78dtexのポリウレタン糸(混率は、綿65重量%、ポリウレタン35重量%)を用い、図12や図13で説明したように、非弾性糸は1×1のトリコット組織(デンビ組織)、弾性糸はハーフ組織で非弾性糸と弾性糸の両方とも閉じ目で編成した経編地でウェールの編密度65/インチ[1インチ(2.54cm)当り65ウェールの編密度]の編地を2枚の編地の編み方向が同じとなる様に重ねて樹脂接着してから、図7の26で示されるバック布と同様の態様で同様の形状に裁断してバック布部片として用いた。
【0130】
従来のブラジャーのバック布においては、バック布26の上下の縁に沿ってゴムテープが設けられていたが、本実施の形態例のブラジャーのバック布26の上下の縁にはゴムテープを縫合していないので、ゴムテープによる厚みの増大がなく、着用時の胸囲まわりのシルエットをすっきりとしたシルエットにすることができると共に、ゴムテープの締め付け跡が肌に残ることがない。従って、バック布が身体にフィットして、かつ縁部がカーリングすることなく身体に密着し、運動時に生じるずれも最小限に防止し、着崩れも防止される。
【0131】
バック布は前記編地が2枚積層されているので、引き裂き強度が大きく、バック布の上縁と下縁が縁部始末不要な縁であり、かつ上下方向に連続した布から形成されており、上縁から下縁に至るまで表面がフラットで段差がなく、着用時に部分的な圧迫を生じることがない。バック布部片として用いた編地は、裁断縁部がほつれの生じない布であり、かつ縁部ほつれの生じない、形状、角度、に裁断しているため、上下縁部の裁ち端が綺麗で、糸が突出することがない。また、バック布部片として用いた編地は非弾性糸として綿糸を用いているが、バック布の上縁と下縁がほつれが生じにくく、綿糸を用いているので、肌触りが良好で、着用感が向上し、吸汗性、通気性が優れているという効果を奏する。綿糸使用の場合、通常、編密度を向上させにくい傾向になるが、弾性糸をハーフ組織とし、弾性糸の収縮度を、デンビ組織よりも上げることができた。そのことによって、素材全体としての編密度を上げ、必要な伸度を有しながらも、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が形成できる素材とすることができる。
【0132】
上記、実施例の別の態様として、上記で用いたと同じ編組織である非弾性糸が1×1のトリコット組織(デンビ組織)、弾性糸はハーフ組織で非弾性糸と弾性糸の両方とも閉じ目で編成した経編地でウェールの編密度65/インチ[1インチ(2.54cm)当り65ウェールの編密度]の編地を2枚の編地の編み方向が同じとなる様に重ねて樹脂接着してから、実施例5及び図8、図9の35で示されるバック布と同様の態様で同様の形状に裁断してバック布部片として用いても同様のほぼ同様の効果を奏することが確認された。
なお、上記実施例においては、前記(B−1)に相当する部片同士を2枚重ねて積層して用いたが、単層で用いるより2枚かさねてボンディング(樹脂接着)して使用することにより、さらに縁部はほつれにくくなることが確認された。尚、上記実施例においては、前記(B−1)に相当する部片の非弾性糸を綿糸としたが、ナイロン糸やポリエステル糸とすることも出来る。特に、非弾性糸として55dtex以上の太さのナイロン糸やポリエステル糸を使用する場合には、弾性糸を上述のようにハーフ組織で編成することは、編地の編密度を高くし、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁のほつれが生じやすくなることを防止することが出来、好ましい。
なお、これら2枚の編地の積層品を衣料を形成する部片として用いることは、ブラジャーのバック布だけではなく、ショーツ、ガードルなどのボトムや、ランジェリーや肌着を形成することも可能である。
【実施例7】
【0133】
実施例4とほぼ同様にして、ブラジャーを作成した。実施例4と異なる点は、バック布に強度を持たせるため、バック布を形成する部片2枚を熱接着性樹脂で接着して積層する場合に、前記(A−1)に相当する部片1枚と前記(B−1)に相当する部片1枚の合計2枚を(B−1)に相当する部片が肌側になるようにして形成した2枚積層した部片を用いた点が主として実施例4と異なる点である。
特に断らない限りは、その他の点は実施例4並びに図7と同様であるので、同一の点は重複詳細説明を省略する。
【0134】
バック布を形成する部片の前記(A−1)に相当する部片としては、非弾性糸としてナイロン糸44dtex、弾性糸としてポリウレタン糸78dtexを用い(混率はナイロン糸65重量%、ポリウレタン糸35重量%)、非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目により編成されている経編地で、ウェールの編密度75/インチ(2.54cm)を用い、前記(B−1)に相当する部片としては、非弾性糸として80番手の綿糸を用い、弾性糸として78dtexのポリウレタン糸(混率は、綿65重量%、ポリウレタン35重量%)を用い、図12や図13で説明したように、非弾性糸は1×1のトリコット組織(デンビ組織)、弾性糸はハーフ組織で非弾性糸と弾性糸の両方とも閉じ目で編成した経編地でウェールの編密度60/インチ[1インチ(2.54cm)当り60ウェールの編密度]の編地をそれぞれ用い、これら2枚の編地の編み方向が同じとなる様に重ねて樹脂接着してから、図7の26で示されるバック布と同様の態様で同様の形状に裁断してバック布部片として用いた。
【0135】
従来のブラジャーのバック布においては、バック布26の上下の縁に沿ってゴムテープが設けられていたが、本実施の形態例のブラジャーのバック布26の上下の縁にはゴムテープを縫合していないので、ゴムテープによる厚みの増大がなく、着用時の胸囲まわりのシルエットをすっきりとしたシルエットにすることができると共に、ゴムテープの締め付け跡が肌に残ることがない。従って、バック布が身体にフィットして、かつ縁部がカーリングすることなく身体に密着し、運動時に生じるずれも最小限に防止し、着崩れも防止される。
【0136】
バック布は前記編地が2枚積層されているので、引き裂き強度が大きく、バック布の上縁と下縁が縁部始末不要な縁であり、かつ上下方向に連続した布から形成されており、上縁から下縁に至るまで表面がフラットで段差がなく、着用時に部分的な圧迫を生じることがない。バック布部片として用いた編地は、裁断縁部がほつれの生じない布であり、かつ縁部ほつれの生じない、形状、角度、に裁断しているため、上下縁部の裁ち端が綺麗で、糸が突出することがない。また、バック布部片として用いた(B−1)に相当する編地には非弾性糸として綿糸を用いているが、バック布の上縁と下縁がほつれが生じにくく、綿糸を用いている(B−1)に相当する編地が肌側になるように設計されているので、肌触りが良好で、着用感が向上し、吸汗性が優れているという効果を奏する。綿糸使用の場合、通常、編密度を向上させにくい傾向になるが、弾性糸をハーフ組織とし、弾性糸の収縮度を、デンビ組織よりも上げることができた。そのことによって、素材全体としての編密度を上げ、必要な伸度を有しながらも、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が形成できる素材とすることができる。
【0137】
上記、実施例の別の態様として、上記で用いたと同じ編組織である前記(A−1)に相当する部片として、非弾性糸としてナイロン糸44dtex、弾性糸としてポリウレタン糸78dtexを用い(混率はナイロン糸65重量%、ポリウレタン糸35重量%)、非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目により編成されている経編地で、ウェールの編密度75/インチ(2.54cm)を用い、また、(B−1)に相当する編地として上記と同様の非弾性糸として80番手の綿糸、弾性糸として78dtexのポリウレタン糸(混率は、綿65重量%、ポリウレタン35重量%)を用いて、非弾性糸が1×1のトリコット組織(デンビ組織)、弾性糸はハーフ組織で非弾性糸と弾性糸の両方とも閉じ目で編成した経編地でウェールの編密度60/インチ[1インチ(2.54cm)当り60ウェールの編密度]の編地をそれぞれ用い、これら2枚の編地の編み方向が同じとなる様に重ねて樹脂接着してから、実施例5及び図8、図9の35で示されるバック布と同様の態様で同様の形状に裁断してバック布部片として用いても同様のほぼ同様の効果を奏することが確認された。
尚、前記(B−1)に相当する部片に重ね合わせて積層する部片として上記実施例では前記(A−1)に相当する部片を用いたが、前記(A−1)に相当する部片の代わりに前記(A−2)に相当する部片を用いてもよいことは前述したとおりである。
なお、これら2枚の編地の積層品を衣料を形成する部片として用いることは、ブラジャーのバック布だけではなく、ショーツ、ガードルなどのボトムや、ランジェリーや肌着を形成することも可能である。
【実施例8】
【0138】
実施例4とほぼ同様にして、ブラジャーを作成した。実施例4と異なる点は、バック布に強度を持たせるため、バック布を形成する部片2枚を熱接着性樹脂で接着して積層する場合に、前記(A−1)に相当する部片1枚と前記(B−2)に相当する部片1枚の合計2枚を(B−2)に相当する部片が肌側になるようにして形成した2枚積層した部片を用いた点が主として実施例4と異なる点である。
特に断らない限りは、その他の点は実施例4並びに図7と同様であるので、同一の点は重複詳細説明を省略する。
【0139】
バック布を形成する部片の前記(A−1)に相当する部片としては、非弾性糸としてナイロン糸44dtex、弾性糸としてポリウレタン糸78dtexを用い(混率はナイロン糸65重量%、ポリウレタン糸35重量%)、非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目により編成されている経編地で、ウェールの編密度75/インチ(2.54cm)を用い、前記(B−2)に相当する部片としては、非弾性糸として44dtexのナイロン糸を用い、弾性糸として78dtexのポリウレタン糸(混率は、ナイロン糸65重量%、ポリウレタン35重量%)を用い、図14や図15で説明したように、非弾性糸は1×1のトリコット組織(デンビ組織)、弾性糸はアトラス組織(この場合、4コースアトラス)組織でウェールの編密度70/インチ[1インチ(2.54cm)当り70ウェールの編]の編地をそれぞれ用い、これら2枚の編地の編み方向が同じとなる様に重ねて樹脂接着してから、図7の26で示されるバック布と同様の態様で同様の形状に裁断してバック布部片として用いた。
【0140】
従来のブラジャーのバック布においては、バック布26の上下の縁に沿ってゴムテープが設けられていたが、本実施の形態例のブラジャーのバック布26の上下の縁にはゴムテープを縫合していないので、ゴムテープによる厚みの増大がなく、着用時の胸囲まわりのシルエットをすっきりとしたシルエットにすることができると共に、ゴムテープの締め付け跡が肌に残ることがない。従って、バック布が身体にフィットして、かつ縁部がカーリングすることなく身体に密着し、運動時に生じるずれも最小限に防止し、着崩れも防止される。
【0141】
バック布は前記編地が2枚積層されているので、引き裂き強度が大きく、特に前記(B−2)に相当する部片として、弾性糸をアトラス組織とした場合、編み組織が強く、素材として引き裂きが起こりにくい基本物性の強いものとなり、ほつれも生じにくい。本実施例のブラジャーのバック布の上縁と下縁が縁部始末不要な縁であり、かつ上下方向に連続した布から形成されており、上縁から下縁に至るまで表面がフラットで段差がなく、着用時に部分的な圧迫を生じることがない。
弾性糸をアトラス組織とした場合、デンビ組織やハーフ組織に比べ、端部がカーリングしやすくなる傾向があるが、裁断縁部が、素材の編み方向に対して、30〜110度の範囲で裁断することがカーリング防止に好ましい。衣料を形成した際の衣料端部となる箇所全てを、上記角度内で裁断することが好ましい。さらに衣料端部となる箇所の内、縁部長の長い裁断箇所は、40〜90度の範囲で裁断することが好ましい。衣料縁部となる箇所の全てを40〜90度の範囲で裁断できるとさらに好ましい。
40〜90度あるいは30〜110度の範囲で裁断できない箇所は、複数の山形が連続する波形状に裁断すると、ほつれが生じにくい。
【0142】
上記、実施例の別の態様として、上記で用いたと同じ編組織である前記(A−1)に相当する部片として、非弾性糸としてナイロン糸44dtex、弾性糸としてポリウレタン糸78dtexを用い(混率はナイロン糸65重量%、ポリウレタン糸重量35%)、非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目により編成されている経編地で、ウェールの編密度75/インチ(2.54cm)を用い、前記(B−2)に相当する部片としては、非弾性糸として44dtexのナイロン糸を用い、弾性糸として44dtexのポリウレタン糸(混率は、ナイロン糸65重量%、ポリウレタン35重量%)を用い、図14や図15で説明したように、非弾性糸は1×1のトリコット組織(デンビ組織)、弾性糸はアトラス組織(この場合、4コースアトラス)組織でウェールの編密度70/インチ[1インチ(2.54cm)当り70ウェールの編]の編地をそれぞれ用い、これら2枚の編地の編み方向が同じとなる様に重ねて樹脂接着してから、実施例5及び図8、図9の35で示されるバック布と同様の態様で同様の形状に裁断してバック布部片として用いても同様のほぼ同様の効果を奏することが確認された。
尚、前記(A−1)に相当する部片に重ね合わせて積層する部片として上記実施例では前記(B−2)に相当する部片を用いたが、前記(A−1)に相当する部片の代わりに前記(A−2)に相当する部片を用いてもよいし、(B−2)に相当する部片の代わりに前記(B−1)に相当する部片を用いてもよいことは前述したとおりである。
なお、これら2枚の編地の積層品を衣料を形成する部片として用いることは、ブラジャーのバック布だけではなく、ショーツ、ガードルなどのボトムや、ランジェリーや肌着を形成することも可能である。
【実施例9】
【0143】
図20は本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する衣料の一実施の形態例のブラジャーの主要部分の斜視図である。図21は図20に示したブラジャーの着用者の左側に相当するバック布部片95の裁断ラインを編地上に示した平面図である。図20において、95が伸縮性のバック布、98が土台部、99が前中心部であり、102が着用時に左右のバック布を連結するための連結部、100が乳房カップ、101がストラップ、103は左右の前中心部の縫合箇所である。バック布部と土台部と前中心部は、連続した1枚の布から形成されている。伸縮性のバック布95は、裁断されたままで縁始末不要な部片で、かつ上下方向に連続した布で形成されている。この部片を構成する経編地の編み方向は矢印106(図21参照)の示す方向である。
バック布部片95は、バック布に強度を持たせるため、バック布を形成する部片2枚を熱接着性樹脂で接着して積層して使用しており、前記(A−1)に相当する部片1枚と前記(B−1)に相当する部片1枚の合計2枚を(B−1)に相当する部片が肌側になるようにして形成した2枚積層した部片を用いた。
【0144】
バック布を形成する部片の前記(A−1)に相当する部片としては、非弾性糸としてナイロン糸44dtex、弾性糸としてポリウレタン糸78dtexを用い、非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目により編成されている経編地で、ウェールの編密度75/インチ(2.54cm)を用い、前記(B−1)に相当する部片としては、非弾性糸として80番手の綿糸を用い、弾性糸として78dtexのポリウレタン糸(混率は、綿65重量%、ポリウレタン35重量%)を用い、図12や図13で説明したように、非弾性糸は1×1のトリコット組織(デンビ組織)、弾性糸はハーフ組織で非弾性糸と弾性糸の両方とも閉じ目で編成した経編地でウェールの編密度75/インチ[1インチ(2.54cm)当り75ウェールの編密度]の編地をそれぞれ用い、これら2枚の編地の編み方向が同じとなる様に重ねて樹脂接着してから、図21の95で示されるバック布の形状に裁断してバック布部片として用いた。
【0145】
そして前記バック布95の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁は、バック布の下側の縁(「下縁」と略称する)97と上側の縁96(「上縁」と略称する)の部分である。下縁97と上縁96はいずれも複数の波形のある波形状になっている。
【0146】
バック布の上縁96と下縁97において、波形状の凹凸はほぼ同間隔で現れ、上縁96の波形状のうち、上方に凸形状の位置に対応する下の位置の下縁97の波形状は下方に凸形状となっており、逆に、上縁の波形状が下方に凸形状(上方には凹形状) の位置に対応する下の位置の下縁97の波形状は上方に凸形状(下方に凹形状)となり、バック布を上下に分割する線を対称にして、バック布の上縁と下縁の凹凸が、上下でほぼ対称形状となっている。また、バック布において形成される波形状の各々の波の曲線形状がゆるやかな曲線(曲率半径の大きい曲線)で、波形状の高低差が小さいゆるやかな波長の長い波形状となっている。言いかえるならば、えんどう豆のさやの様な形状となっている。波形状が波長が長めでかつ高低差の少ないゆるやかな波形状とすることによって、バック布の身体へのフィット性を向上させ、上下縁部のめくれを防止でき、また特に波形状の谷部分からの引き裂きが生じやすくなることを防止することが出来る。
【0147】
また、バック布95の上緑96は、個々の波形状による凹凸を無視した場合に、全体的に下方に突出したゆるやかな曲線であり、そのゆるやかな曲線部に、ゆるやかな波の曲線部がある形状であり、バック布95の下緑97は、個々の波形状による凹凸を無視した場合に、全体的に上方に突出したゆるやかな曲線であり、そのゆるやかな曲線部に、ゆるやかな4つの波の曲線部がある形状となっている。
【0148】
従って、バック布95の下側の縁97の縁ラインの方向は全体として曲線状であるので、バック布の下縁97の乳房カップ側に近い方の端と連結部102側に近い方の端を結ぶ直線と同じ方向、すなわち矢印105で示された方向であり、編み方向に対して85度の角度(裁断角度)がつけられている。上側の縁96の縁ラインの方向は、当該波形の各頂点を結ぶ直線と同じ方向、すなわち矢印104で示された方向であり、編み方向とは105度(裁断角度)の角度がつけらている。すなわち、バック布の上下の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を構成するラインは、相互に非平行とされている。尚、縁ラインが波形状となっているため、下側の縁97の縁ラインの波形状箇所は、85度を前後する角度で、上側の縁96の縁ラインの波形状箇所は、105度を前後する角度で、裁断されている。土台部98や前中心部99は、編み方向に対し、ほぼ75度の角度で裁断されている。
【0149】
113は、ストラップ取り付け箇所であり、先端にストラップ101が取付けられる。ストラップ取り付け箇所113は、バック布95と連続しており、バック布と一体に裁断されている。縁部は、裁断したままで始末不要である。尚、バック布95は一番広い箇所で幅9cm、細い箇所で幅4cmとした。
【0150】
従来のブラジャーのバック布においては、バック布95の上下の縁に沿ってゴムテープが設けられていたが、本実施の形態例のブラジャーのバック布95の上下の縁にはゴムテープを縫合していないので、ゴムテープによる厚みの増大がなく、着用時の胸囲まわりのシルエットをすっきりとしたシルエットにすることができると共に、ゴムテープの締め付け跡が肌に残ることがない。従って、バック布が身体にフィットして、運動時に生じるずれも最小限に防止し、着崩れも防止される。またバック布の縁部がめくれてしまうことも有効に防止できる。
【0151】
バック布は前記編地が2枚積層されているので、引き裂き強度が大きく、バック布の上縁と下縁が縁部始末不要な縁であり、かつ上下方向に連続した布から形成されており、上縁から下縁に至るまで表面がフラットで段差がなく、着用時に部分的な圧迫を生じることがない。バック布部片として用いた編地は、裁断縁部がほつれの生じない布であり、かつ縁部ほつれの生じない、形状、角度、に裁断しているため、上下縁部の裁ち端が綺麗で、糸が突出することがない。また、バック布部片として用いた(B−1)に相当する編地には非弾性糸として綿糸を用いているが、バック布の上縁と下縁がほつれが生じにくく、綿糸を用いている(B−1)に相当する編地が肌側になるように設計されているので、肌触りが良好で、着用感が向上し、吸汗性が優れているという効果を奏する。綿糸使用の場合、通常、編密度を向上させにくい傾向になるが、弾性糸をハーフ組織とし、弾性糸の収縮度を、デンビ組織よりも上げることができた。そのことによって、素材全体としての編密度を上げ、必要な伸度を有しながらも、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が形成できる素材とすることができる。
【0152】
尚、前記(B−1)に相当する部片に重ね合わせて積層する部片として上記実施例では前記(A−1)に相当する部片を用いたが、前記(A−1)に相当する部片の代わりに前記(A−2)に相当する部片を用いてもよいことは前述したとおりである。また、前記(B−1)に相当する部片の綿糸の代わりに、ナイロン糸やポリエステル糸のような他の非弾性糸を用いてもよい。
なお、これら2枚の編地の積層品を衣料を形成する部片として用いることは、ブラジャーのバック布だけではなく、ショーツ、ガードルなどのボトムや、ランジェリーや肌着を形成することも可能である。
【実施例10】
【0153】
図22は本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する衣料の一実施の形態例のブラジャーの主要部分の斜視図である。図20に示したようなブラジャーの着用者の左側に相当するバック布部片の裁断ラインを編地上に示した平面図は本実施例では省略しているが、その形が若干異なるが、ほぼ同様な編方向と縁ラインの方向を有している。
図22において、130が乳房カップ、125が伸縮性のバック布、129が左右の乳房カップを連結している前中心布、132が着用時に左右のバック布を連結するための連結部、131がストラップである。伸縮性のバック布125は、裁断されたままで縁始末不要な部片で、かつ上下方向に連続した布で形成されている。この部片を構成する経編地の編み方向は矢印136の示す方向である。
バック布部片125は、バック布に強度を持たせるため、バック布を形成する部片2枚を熱接着性樹脂で接着して積層して使用しており、前記(A−1)に相当する部片1枚と前記(B−1)に相当する部片1枚の合計2枚を(B−1)に相当する部片が肌側になるようにして形成した2枚積層した部片を用いた。
【0154】
バック布を形成する部片の前記(A−1)に相当する部片としては、非弾性糸としてナイロン糸44dtex、弾性糸としてポリウレタン糸78dtexを用い、非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目により編成されている経編地で、ウェールの編密度75/インチ(2.54cm)を用い、前記(B−1)に相当する部片としては、非弾性糸として80番手の綿糸を用い、弾性糸として78dtexのポリウレタン糸(混率は、綿65重量%、ポリウレタン35重量%)を用い、図12や図13で説明したように、非弾性糸は1×1のトリコット組織(デンビ組織)、弾性糸はハーフ組織で非弾性糸と弾性糸の両方とも閉じ目で編成した経編地でウェールの編密度75/インチ[1インチ(2.54cm)当り75ウェールの編密度]の編地をそれぞれ用い、これら2枚の編地の編み方向が同じとなる様に重ねて樹脂接着してから、バック布の形状に裁断してバック布部片として用いた。
【0155】
そして前記バック布125の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁は、バック布の下側の縁(「下縁」と略称する)127と上側の縁126(「上縁」と略称する)の部分である。下縁127と上縁126はいずれも複数の波形のある波形状になっている。
【0156】
本実施の形態例においては、バック布の上縁126の波形状と下縁127の波形状が異なっている。上縁126の波形は、上方に凸形状の部分が3個あり、下縁127の波形状は下方に凸形状の部分が5個あり、波の数が異なっている。本実施例では、上縁126の波の数が下縁127の波の数より少なくなっているが、その逆にしてもよい。また、上縁126と下縁127では、波形状の高さ(波の振幅に相当)が異なっており、上縁126は高さの低い波形状であり、下縁127は、波の高さが上縁126は高さよりも高い波形状となっている。尚、波形状の高さは、上縁126と下縁127で前記と逆にしてもよい。
【0157】
波形状の少ない方の縁における波の高さは低く、一方、波形状の多い方の縁における波の高さは高い方が好ましい。かかる態様とすることにより、それぞれの縁のカールがより生じにくく、また、上縁126と下縁127のデザインがこのように異なっていても、バック布の上縁と下縁にかかる応力のバランスをとりやすくなる可能性がある。
【0158】
また、バック布125の上緑126は、個々の波形状による凹凸を無視した場合に、全体的に下方に突出したゆるやかな曲線であり、そのゆるやかな曲線部に、個々の波の曲線部がある形状であり、バック布125の下緑127は、個々の波形状による凹凸を無視した場合に、全体的に上方に突出したゆるやかな曲線であり、そのゆるやかな曲線部に、個々の波の曲線部がある形状となっている。
【0159】
従って、バック布125の下側の縁127の縁ラインの方向は全体として曲線状であるので、バック布の下縁127の乳房カップ側に近い方の端と連結部132側に近い方の端を結ぶ直線と同じ方向、すなわち矢印135で示された方向であり、編み方向136に対して85度の角度(裁断角度)がつけられている。上側の縁126の縁ラインの方向は、当該波形の各頂点を結ぶ直線と同じ方向、すなわち矢印134で示された方向であり、編み方向136とは105度(裁断角度)の角度がつけられている。すなわち、バック布の上下の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を構成するラインは、相互に非平行とされている。尚、縁ラインが波形状となっているため、下側の縁127の縁ラインの波形状箇所は、85度を前後する角度で、上側の縁126の縁ラインの波形状箇所は、105度を前後する角度で、裁断されている。前中心布129の下側の縁は、編み方向に対し、ほぼ75度の角度で裁断されている。
【0160】
143は、ストラップ取り付け箇所であり、先端にストラップ131が取付けられる。ストラップ取り付け箇所143は、図示していないが、図21の符号113で示した場合と同様にバック布125と連続しており、バック布と一体に裁断されている。縁部は、裁断したままで始末不要である。尚、バック布125は一番広い箇所で幅9cm、細い箇所で幅4cmとした。
【0161】
従来のブラジャーのバック布においては、バック布125の上下の縁に沿ってゴムテープが設けられていたが、本実施の形態例のブラジャーのバック布125の上下の縁にはゴムテープを縫合していないので、ゴムテープによる厚みの増大がなく、着用時の胸囲まわりのシルエットをすっきりとしたシルエットにすることができると共に、ゴムテープの締め付け跡が肌に残ることがない。従って、バック布が身体にフィットして、運動時に生じるずれも最小限に防止し、着崩れも防止される。またバック布の縁部がめくれてしまうことも有効に防止できる。
【0162】
バック布は前記編地が2枚積層されているので、引き裂き強度が大きく、バック布の上縁と下縁が縁部始末不要な縁であり、かつ上下方向に連続した布から形成されており、上縁から下縁に至るまで表面がフラットで段差がなく、着用時に部分的な圧迫を生じることがない。バック布部片として用いた編地は、裁断縁部がほつれの生じない布であり、かつ縁部ほつれの生じない、形状、角度、に裁断しているため、上下縁部の裁ち端が綺麗で、糸が突出することがない。また、バック布部片として用いた(B−1)に相当する編地には非弾性糸として綿糸を用いているが、バック布の上縁と下縁がほつれが生じにくく、綿糸を用いている(B−1)に相当する編地が肌側になるように設計されているので、肌触りが良好で、着用感が向上し、吸汗性が優れているという効果を奏する。綿糸使用の場合、通常、編密度を向上させにくい傾向になるが、弾性糸をハーフ組織とし、弾性糸の収縮度を、デンビ組織よりも上げることができた。そのことによって、素材全体としての編密度を上げ、必要な伸度を有しながらも、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が形成できる素材とすることができる。
【0163】
尚、前記(B−1)に相当する部片に重ね合わせて積層する部片として上記実施例では前記(A−1)に相当する部片を用いたが、前記(A−1)に相当する部片の代わりに前記(A−2)に相当する部片を用いてもよいことは前述したとおりである。また、前記(B−1)に相当する部片の綿糸の代わりに、ナイロン糸やポリエステル糸のような他の非弾性糸を用いてもよい。
なお、これら2枚の編地の積層品を衣料を形成する部片として用いることは、ブラジャーのバック布だけではなく、ショーツ、ガードルなどのボトムや、ランジェリーや肌着を形成することも可能である。
以上、各実施の形態例で用いた前記伸縮性の経編地からなる部片用の経編地の編み密度(ウエール)、非弾性糸のランナーと弾性糸のランナーは、次の表1の通りである。
【0164】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明の衣料は、裁断したままで縁始末不要な布部片から形成されるため、縁の部分が厚くならず、裾あるいはウェストラインが外衣に反映して段差となって現れることなどのない縁始末不要な縁を有する衣料とすることができ、かつ衣料の上下のいずれか又は両縁部を縁始末不要な縁とでき、衣料設計の自由度が向上し、かつ衣料の前記縁部がカーリングすることなく、身体にフィットし、伸縮性を有し、着用感の良い衣料を提供出来る。従って、身体にフィットさせて着用する衣料、例えば、ガードル、ショーツなどのボトム衣料や、バック布に本発明を適用してブラジャー、もしくは水着あるいはレオタードのトップスなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】図1は、本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する衣料の一実施の形態例のセミロングタイプのガードルの背面側から見た斜視図。
【図2】図2は、図1に示したセミロングタイプのガードルの正面側から見た斜視図。
【図3】図3は、図1、図2に示したセミロングタイプのガードルの着用者の左側に相当する前脇−脇−ヒップ部−脚部充当部片1の裁断ラインを編地上に示した平面図及びクロッチ部片の平面図。
【図4】図4は、本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する衣料の一実施の形態例のショートタイプのガードルの背面側から見た斜視図。
【図5】図5は、図4に示したショートタイプのガードルの正面側から見た斜視図。
【図6】図6は、図4、図5に示したショートタイプのガードルの着用者の左側に相当する前脇−脇−ヒップ部充当部片15の裁断ラインを編地上に示した平面図。
【図7】図7は、本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する衣料の一実施の形態例のブラジャーの正面側から見た斜視図。
【図8】図8は、本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する衣料の一実施の形態例のブラジャーの正面側から見た斜視図。
【図9】図9は、図8に示したブラジャーの着用者の左側に相当するバック布部片35及び土台部38、前中心部39の裁断ラインを編地上に示した平面図。
【図10】図10は、本発明で用いる伸縮性経編地の編組織。
【図11】図11は、本発明で用いる伸縮性経編地の編組織。
【図12】図12は、本発明で用いる伸縮性経編地の編組織。
【図13】図13は、図12に示した非弾性糸60と弾性糸61を重ねて示した編組織図。
【図14】図14は、本発明で用いる伸縮性経編地の編組織。
【図15】図15は、図14に示した非弾性糸65と弾性糸66を重ねて示した編組織図。
【図16】図16は、縁の裁断角度を説明するための模式図。
【図17】図17は、本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する衣料の一実施の形態例のショーツの背面図。
【図18】図18は、図17に示したショーツの正面図。
【図19】図19は、図17、図18に示したショーツの着用者の左側に相当する前脇腹−脇−ヒップ部充当部片75の裁断ラインを編地上に示した平面図。
【図20】図20は、本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する衣料の一実施の形態例のブラジャーの主要部分の斜視図。
【図21】図21は、図20に示したブラジャーの着用者の左側に相当するバック布部片95の裁断ラインを編地上に示した平面図。
【図22】図22は、本発明の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する衣料の一実施の形態例のブラジャーの主要部分の斜視図。
Claims (42)
- 少なくとも非弾性糸が1×1トリコット組織であり、弾性糸がルーピング組織からなる、伸縮性を有する経編地を、編み方向に対し3度以上かつ177度以下の角度で裁断し、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が衣料の縁部の少なくともいずれかとなる様、その裁断されたままの状態で縁始末不要な縁を有する部片を含んで形成された衣料。
- 前記経編地が、非弾性糸と弾性糸が同行する1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸の両方が開き目である経編地からなる請求項1記載の衣料。
- 前記経編地が、非弾性糸と弾性糸が逆行する1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸の少なくとも一方が閉じ目である経編地からなる請求項1記載の衣料。
- 前記経編地が、非弾性糸と弾性糸が逆行する1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸の両方が閉じ目である経編地からなる請求項1記載の衣料。
- 弾性糸の組織がハーフ組織である請求項1記載の衣料。
- 弾性糸の組織がアトラス組織である請求項1記載の衣料。
- 非弾性糸と弾性糸の、少なくとも一方が閉じ目である経編地からなる請求項5又は6のいずれかに記載の衣料。
- 非弾性糸と弾性糸の両方が閉じ目である経編地からなる請求項5又は6のいずれかに記載の衣料。
- 非弾性糸が綿糸である請求項5又は6のいずれかに記載の衣料。
- 非弾性糸が綿糸である請求項5記載の衣料。
- 非弾性糸が綿糸で、非弾性糸と弾性糸の少なくとも一方が閉じ目である経編地からなる請求項5記載の衣料。
- 非弾性糸が綿糸で、非弾性糸と弾性糸の両方が閉じ目である経編地からなる請求項5記載の衣料。
- 前記部片が、下記(A−1)、(A−2)からなる群(A)から選ばれた少なくとも1種の素材と(A−1)、(A−2)以外の他の布からなる素材を接合して積層した部片からなる請求項1に記載の衣料。
(A−1)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目である経編地。
(A−2)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸のどちらか一方が閉じ目、他方が開き目である経編地。 - 他の布からなる素材が、下記(B−1)〜(B−4)からなる群(B)から選ばれた少なくとも1種の素材である請求項13に記載の衣料。
(B−1)非弾性糸が1×1トリコット組織で、弾性糸がハーフ組織である経編地。
(B−2)非弾性糸が1×1トリコット組織で、弾性糸がアトラス組織である経編地。
(B−3)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に開き目である経編地。
(B−4)非弾性糸と弾性糸とが逆行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目である経編地。 - 前記部片が、下記(B−1)〜(B−4)からなる群から選ばれた少なくとも1種の素材を複数枚接合して積層した部片からなる請求項1に記載の衣料。
(B−1)非弾性糸が1×1トリコット組織で、弾性糸がハーフ組織である経編地。
(B−2)非弾性糸が1×1トリコット組織で、弾性糸がアトラス組織である経編地。
(B−3)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に開き目である経編地。
(B−4)非弾性糸と弾性糸とが逆行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目である経編地。 - 素材(A)が(A−1)であり、素材(B)が(B−1)である請求項14に記載の衣料。
- (B−1)の非弾性糸が綿であり、且つ非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目である請求項16に記載の衣料。
- 前記部片の衣料における上縁あるいは下縁の少なくとも一方が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、当該縁始末不要な縁が編み方向に対して、10〜120度の角度で裁断されている請求項1〜17のいずれかに記載の衣料。
- 前記部片の衣料における上縁および下縁の両方が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、当該縁始末不要な縁が編み方向に対して、10〜120度の角度で裁断されている請求項1〜17のいずれかに記載の衣料。
- 前記部片が、衣料の上下方向に連続した経編地からなる請求項1〜19のいずれかに記載の衣料。
- 前記部片の衣料における上縁あるいは下縁の少なくとも一方が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、当該縁始末不要な縁が曲線に裁断されている請求項1〜20のいずれかに記載の衣料。
- 前記部片の衣料における上縁および下縁の両方が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、当該縁始末不要な縁が曲線に裁断されている請求項 1〜20のいずれかに記載の衣料。
- 前記部片の衣料における上縁あるいは下縁の少なくとも一方が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、当該縁始末不要な縁が複数の曲線のある波形状である請求項1〜21のいずれかに記載の衣料。
- 前記部片の衣料における上縁および下縁の両方が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、当該縁始末不要な縁が複数の曲線のある波形状である請求項1〜22のいずれかに記載の衣料。
- 前記部片の衣料における上縁および下縁の両方の縁が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、上縁および下縁が相互に非平行である請求項1〜24のいずれかに記載の衣料。
- 前記部片の衣料における上縁および下縁の両方の縁が、裁断されたままの状態で縁始末不要な縁からなり、上縁の縁の形状と、下縁の縁の形状が異なっている請求項1〜25のいずれかに記載の衣料。
- 衣料がボトム衣料であり、前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、ウェストもしくは裾の少なくとも一方を形成する請求項1〜26のいずれかに記載の衣料。
- 衣料がボトム衣料であり、前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、ウェストと裾の両方を形成する請求項1〜26のいずれかに記載の衣料。
- 衣料がブラジャー、もしくは水着あるいはレオタードのトップスであり、前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、バック布の上縁又は下縁の少なくとも一方の縁を形成する請求項1〜26のいずれかに記載の衣料。
- 衣料がブラジャー、もしくは水着あるいはレオタードのトップスであり、前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、バック布の上縁及び下縁の両方の縁を形成している請求項1〜26のいずれかに記載の衣料。
- 前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、編み方向に対して、20〜80度の角度で裁断されている請求項27に記載の衣料。
- 前記部片の裁断されたままの状態で縁始末不要な縁が、共に編み方向に対して、20〜80度の角度で裁断された縁である請求項28に記載の衣料。
- バック布を形成する前記部片の衣料における前記縁始末不要な縁が、編み方向に対して10〜90度の角度で裁断されている請求項29または30のいずれかに記載の衣料。
- バック布を形成する前記部片の衣料における前記縁始末不要な縁が、編み方向に対して75〜90度の角度で裁断されている請求項29または30のいずれかに記載の衣料。
- 前記部片が、前記部片を構成する前記非弾性糸と弾性糸とからなる地編組織に、更に柄糸となる非弾性糸がジャカード制御により編みこまれて、ジャカード柄模様が形成されている請求項1〜34のいずれかに記載の衣料。
- 地編組織を形成する弾性糸が1×1トリコット組織であり、地編組織を形成する非弾性糸とジャカード制御される柄糸となる非弾性糸の少なくともいずれか一方が、弾性糸と同行する1×1トリコット組織となっており、柄糸においてジャカード柄模様を形成する部分が、1×1トリコット組織以外の組織となっている請求項35に記載の衣料。
- 地編組織を形成する弾性糸が1×1トリコット組織であり、地編組織を形成する非弾性糸とジャカード制御される柄糸となる非弾性糸のいずれか一方が、弾性糸と同行する1×1トリコット組織であり、他方の非弾性糸が、弾性糸と逆行する1×1トリコット組織であり、柄糸においてジャカード柄模様を形成する部分が、1×1トリコット組織以外の組織となっている請求項35に記載の衣料。
- 地編組織を形成する非弾性糸が地編組織を形成する弾性糸と逆行する1×1トリコット組織であり、ジャカード制御される柄糸となる非弾性糸が、弾性糸と同行する組織で、柄糸においてジャカード柄模様を形成する部分が、1×1トリコット組織以外の組織となっている請求項35に記載の衣料。
- 前記部片が、下記(A−1)、(A−2)からなる群から選ばれた少なくとも1種の素材からなる部片と請求項35、36、37、38のいずれかに記載のジャカード柄模様が形成されている部片からなる素材を接合して積層した部片からなる請求項1に記載の衣料。
(A−1)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸が共に閉じ目である経編地。
(A−2)非弾性糸と弾性糸とが同行する共に1×1トリコット組織で、非弾性糸と弾性糸のいずれか一方が閉じ目、他方が開き目である経編地。 - バック布が、請求項13〜17、39のいずれかに記載の部片を用いたバック布である請求項29、30、33、34のいずれかに記載の衣料。
- 前記部片が、弾性糸による直線状の伸縮パワーの切替え部位を有する請求項1〜40のいずれかに記載の衣料。
- 衣料が、身体に密着する衣料である請求項1〜41のいずれかに記載の衣料。
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