JP5682628B2 - 編地及び股付衣類 - Google Patents
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Description
図1は本発明の第1実施形態に係る編地を示す平面図である。図1に示す編地10は、複数の編成組織を重ねて形成された伸縮性経編地である。編地10は、パイル編み組織を有するパイル編み領域20、パイル編み領域20を囲繞し、端始末不要な編み組織からなる周囲領域30を備えている。編地10は、周囲領域30を裁断して周縁部を形成している。
次に図2及び図3を参照して、第2の周囲領域32の編み組織について説明する。図2及び図3は、図1中の第2の周囲領域の各構成糸の編成組織図である。第2の周囲領域32は、非弾性糸50と弾性糸61〜63とを組み合わせて編成された経編地の一部分である。
非弾性糸50による第1編成組織Aは、伸縮性経編地の基本組織を構成している。第1編成組織Aは、1コース毎に1ウェール分の振り幅で1繰り返し単位では合計2ウェール分の振り幅でウェール方向に振られて全てのコースでループを形成する。具体的には、21/10/12/23//などの繰り返し単位を有する編成組織が採用されている。後述する弾性糸の編成組織B、C、Dとの組み合わせによって、伸縮性経編地の機能や特性に違いが生じる。
第1編成組織Aの非弾性糸としては、通常の経編地と同様の糸材料を使用することができる。「非弾性糸」とは、弾性糸と比較して弾性が少ない糸を含むものである。例えば、伸度100%未満の糸を非弾性糸として使用することができる。非弾性糸としては、伸度60未満の糸であることが好適である。具体的には、綿などの天然繊維、ナイロンなどの合成繊維、さらには半合成繊維や再生繊維なども、非弾性糸として使用可能である。非弾性糸の形態としては、フィラメント糸、紡績糸、交撚糸などを採用することができる。
弾性糸による第2編成組織Bは、編地10に良好な伸縮性を付与する機能を有している。また、第2編成組織Bは、編地のほつれや裂けを防止する機能を有している。第2編成組織Bは、他の編成組織A、Cと共に用いることによって、弾性編地を形成する。具体的には、12/02/21/31//などの繰り返し単位を有する編成組織が採用されている。
第2編成組織Bは、編地がカールし難くする機能を有している。第2編成組織Bの弾性糸としては、通常の伸縮性経編地と同様の糸材料を使用することができる。例えば、伸度200%以上の糸を弾性糸として使用することができる。弾性糸としては、伸度400%以上であることが好適である。具体的には、ポリウレタン弾性糸を使用することができる。
弾性糸による第3編成組織Cは、伸縮性その他の特性を編地に付与する機能を有している。第3編成組織Cは、第2編成組織Bと異なり、第2の弾性糸62が1コース毎に1ウェール分の振り幅で左右交互に振られて挿入される。いわゆるジグザグ状の挿入組織であり、00/11//の繰り返し単位になる。なお、本実施形態では、第3編成組織Cは、00/11//の繰り返し単位となる例を挙げているが、図28に示すように、例えば、11/00/11/22//の繰り返し単位となるようにしてもよい。
第3編成組織Cの弾性糸としては、基本的には、第2編成組織Bに用いる弾性糸と共通する糸材料が使用できる。弾性糸の伸度も同程度の範囲内に設定することができる。
弾性糸による第4編成組織Dは、伸縮性その他の特性を編地に付与する機能を有している。第4編成組織Dは、第2編成組織Bと異なり、第2の弾性糸62が1コース毎に1ウェール分の振り幅で左右交互に振られて挿入される。いわゆるジグザグ状の挿入組織であり、00/11//の繰り返し単位になる。なお、第4編成組織Dを弾性糸によって形成しても良い。
第4編成組織Dの弾性糸としては、基本的には、第2編成組織Bに用いる弾性糸と共通する糸材料が使用できる。弾性糸の伸度も同程度の範囲内に設定することができる。
次に図4及び図5を参照して、第1の周囲領域31の編み組織について説明する。図4及び図5は、図1中の第1の周囲領域の各構成糸の編成組織図である。第1の周囲領域31は、非弾性糸50,64と弾性糸61〜63とを組み合わせて編成された経編地の一部分である。
非弾性糸64による第5編成組織Eは、領域20で形成するパイルの糸を各編成組織に絡めている。これにより、第1の周囲領域31の編地が裁断されたときに、パイルを形成する糸がほつれ難くしている。第5編成組織Eは、非弾性糸64が1コース毎に1ウェール分の振り幅で左右交互に振られて挿入される。いわゆるジグザグ状の挿入組織であり、00/11//の繰り返し単位になる。
次に図6及び図7を参照して、パイル編み領域20の編み組織について説明する。図6及び図7は、パイル編み領域の各構成糸の編成組織図である。パイル編み領域20は、非弾性糸50,64と弾性糸61〜63とを組み合わせて編成された経編地の一部分である。
第6編成組織Fは、パイルを構成する部分であり、パイルのループを構成するために、部分的に編み込まないようにしている。具体的には、11/11/11/11/11/11/11/11/11/11/00/11//などの繰り返し単位を有する編成組織が採用されている。なお、図6では、簡単の為、繰り返し単位の一部の図示を省略して示している。
このような編地10では、パイルを構成する第6編成組織Fを有するパイル編み領域20を備え、このパイル編み領域20の周囲に、端始末不要な編み組織からなる周囲領域30が形成されている。これにより、従来の当て布が施されていた領域に、パイル編み領域20を形成することで、従来の当て布を取り付けるための加工の手間を省くことができる。その結果、従来のように当て布を施すことなく、加工の手間を抑えて機能性の向上を図ることができる。また、パイル編み領域20の周囲に、端始末不要な編み組織からなる周囲領域30が形成され、当該周囲領域30が裁断されて周縁部分が形成されているため、裁断後の端始末が不要となり、加工の手間を省くことができる。端始末不要な周囲領域30を裁断することで、パイル部分が生地端となることを回避し、パイル部分のほつれを防止する。このような編地10を用いて、衣類を製造することで、機能性が向上された衣類を製造する際の手間を省略することができ、低コスト化を実現することができる。編地10では、パイル編み領域20が形成されているため、良好な肌触り、吸水性、透け防止など、機能性を向上させることができる。
次に図23を参照して、第1変形例に係る第1編成組織A及び第2編成組織Bについて説明する。図23は、第1変形例に係る第1編成組織A及び第2編成組織Bを有する第2の周囲領域32の各構成糸の編成組織である。図23に示す第2の周囲領域32は、非弾性糸50と弾性糸61〜63とを組み合わせて編成された経編地の一部分である。第1変形例に係る編成組織A,Bは、周囲領域30及びパイル編み領域20に共通して適用可能である。
次に図24を参照して、第2変形例に係る第1編成組織A及び第2編成組織Bについて説明する。図24は、第2変形例に係る第1編成組織A及び第2編成組織Bを有する第2の周囲組織32は、非弾性糸50と弾性糸61〜63とを組み合わせて編成された経編地の一部分である。第2変形例に係る編成組織A,Bは、周囲領域30及びパイル編み領域20に共通して適用可能である。
次に図8及び図9を参照して、第3変形例に係る第2の周囲領域32の編み組織について説明する。図8及び図9は、変形例に係る第2の周囲領域の各構成糸の編成組織図である。第2の周囲領域32は、非弾性糸50と弾性糸61,62とを組み合わせて編成された経編地の一部分である。
弾性糸による第2編成組織Bは、編地10に良好な伸縮性を付与する機能を有している。また、第2編成組織Bは、編地のほつれや裂けを防止する機能を有している。第2編成組織Bは、弾性糸61が、同じコース内で複数針間オーバーラップするコースと、コース間で前のコースから1ウェール分の振り幅でウェール方向に振られて次のコースに移る個所とを、1コース毎または2コース毎に有し、全てのコースでループを形成する。具体的には、31/02//などの繰り返し単位を有する編成組織が採用されている。
次に図10及び図11を参照して、第1の周囲領域31の編み組織について説明する。図10及び図11は、変形例に係る第1の周囲領域の各構成糸の編成組織図である。第1の周囲領域31は、非弾性糸50と弾性糸61,62,64とを組み合わせて編成された経編地の一部分である。
次に図12及び図13を参照して、変形例に係るパイル編み領域20の編み組織について説明する。図12及び図13は、変形例に係るパイル編み領域の各構成糸の編成組織図である。パイル編み領域20は、非弾性糸50,64と弾性糸61,62とを組み合わせて編成された経編地の一部分である。
第6編成組織Fは、パイルを構成する部分であり、図6に示す編成組織Fと同じ構成を備えている。
このような変形例に係る編地10にあっても、上記の第1実施形態の編地10と同様の作用、効果を奏する。
次に図25を参照して、第4変形例に係る編地(リブ編)について説明する。本発明の実施形態に係る編地は、丸編機によって編み立てられた丸編地についても適用可能である。図25は、変形例に係るリブ編を示す編成組織図である。図25に示すリブ編は、図示しないダブル編機(ダイアル及びシリンダーを有する編機)を使用して編み立てることが可能である。このように、編地は、丸編等の緯編によっても形成することができる。その他、丸編の代わりに横編によっても編成可能である。
次に図27を参照して、第5変形例に係る編地(平編)について説明する。図27は、変形例に係る平編を示す編成組織図である。図27に示す平編は、図示しないシングル編機(ダイアルまたはシリンダーの何れか一つを有する編機)を使用して編み立てることが可能である。変形例に係る平編(天竺、シングル)は、第1編成組織A、第2編成組織B、第3編成組織Cを備えている。
次に、本発明の第2実施形態に係るショーツ(股付衣類)用編地について説明する。図14は本発明の第2実施形態に係るショーツ用編地を示す平面図である。第2実施形態に係るショーツ用編地11は、着用者の下腹部を覆う前身頃41と、着用者の臀部を覆う後身頃42と、前身頃41と後身頃42との間に形成された股部43と、を備え、一連の編地10から形成されている。なお、上述した第1実施形態と同一の説明については、省略する。
ショーツ用編地11におけるパイル編み領域20、第1の周囲領域31及び第2の周囲領域32の各編成組織は、上記の第1実施形態の編地10におけるパイル編み領域20、第1の周囲領域31及び第2の周囲領域32の各編成組織と同一とすることができる。各編成組織についての詳細な説明については、第1実施形態と同一であるため、ここでの説明は省略する。また、上記の変形例に係る編成組織を、ショーツ用編地11に採用してもよい。
このようなショーツ用編地11によれば、前身頃41及び後身頃42を対面させて、側端部41b,42b同士を縫合することで、ショーツを形成することができる。
次に、本発明の第3実施形態に係るショーツ(股付衣類)について説明する。図15は本発明の第3実施形態に係るショーツを示す正面図である。図15では、ショーツ40を裏返した状態を示しており、肌側が表面側として図示されている。ショーツ40は、上述したショーツ用編地11(編地10)を用いて形成されたものである。このショーツ40は、着用者の下腹部を覆う前身頃41と、着用者の臀部を覆う後身頃42と、前身頃41と後身頃42との間に形成された股部43と、を備え、一連の編地から形成されている。なお、上述した第1及び第2実施形態と同一の説明については、省略する。
ショーツ40の編地におけるパイル編み領域20、第1の周囲領域31及び第2の周囲領域32の各編成組織は、上記の第1実施形態の編地10におけるパイル編み領域20、第1の周囲領域31及び第2の周囲領域32の各編成組織と同一である。各編成組織についての詳細な説明については、第1実施形態と同一であるため、ここでの説明は省略する。また、上記の変形例に係る編成組織を、ショーツ40に採用してもよい。また、ショーツ40の編地として、その他の編成組織を有する編地を適用してもよい。
このようなショーツ40では、従来、当て布が施されていたクロッチ部分にパイル編み領域20が形成されているため、当て布を取り付けるための加工の手間を省くことができる。また、ショーツ40では、パイル編み領域20の周囲に、端始末不要な編み組織からなる周囲領域が形成され、この周囲領域のみが裁断されている。すなわち、ショーツ40の上端部及びすそ部は、端始末不要な周囲領域を裁断することで形成されているため、加工の手間を省くことができる。端始末不要な周囲領域を裁断することで、パイル部分が生地端となることを回避し、パイル部分のほつれを防止する。
次に、第4実施形態として、本発明の編地の肌着(衣類)への適用について説明する。図16(a)は、肌着の正面図、図16(b)は、肌着の背面図、図17は、肌着用編地の平面図である。肌着110は、編地10を用いて形成されたものである。なお、上述した実施形態と同一の説明については省略する。
次に、第5実施形態として、本発明の編地のハーフトップブラジャー(衣類)への適用について説明する。図18(a)は、ハーフトップブラジャーの正面図、図18(b)は、ハーフトップブラジャー用編地の平面図である。ハーフトップブラジャー120は、編地10を用いて形成されたものである。なお、上述した実施形態と同一の説明については省略する。
次に、第6実施形態として、本発明の編地の膝サポート(衣類)への適用について説明する。図19(a)は、膝サポートの側面図、図19(b)は、膝サポート用編地の平面図である。膝サポート130は、編地10を用いて形成されたものである。なお、上述した実施形態と同一の説明については省略する。
次に、第7実施形態として、本発明の編地の肌着(衣類)への適用について説明する。図20(a)は、肌着の背面図、図20(b)は、肌着用編地の平面図である。肌着110は、編地10を用いて形成されたものである。なお、上述した実施形態と同一の説明については省略する。
次に、第8実施形態として、本発明の編地の肌着(衣類)への適用について説明する。図21(a)は、肌着の正面図、図21(b)は、肌着用編地の平面図である。肌着110は、編地10を用いて形成されたものである。なお、上述した実施形態と同一の説明については省略する。
次に、第9実施形態として、本発明の編地のショーツ(衣類)への適用について説明する。図22(a)は、ショーツの背面図、図22(b)は、ショーツ用編地の平面図である。ショーツ40は、編地10を用いて形成されたものである。なお、上述した実施形態と同一の説明については省略する。
20…パイル編み領域
30…周囲領域、31…第1の周囲領域、32…第2の周囲領域
40…ショーツ、41…前身頃、42…後身頃、43…股部
50,64…非弾性糸
61…第1の弾性糸、62…第2の弾性糸、63…第3の弾性糸
91…シリンダー針、92…ダイアル針
110…肌着
120…ハーフトップブラジャー
130…膝サポート。
Claims (5)
- パイル編み組織を有するパイル編み領域と、
前記パイル編み領域を囲繞し、端始末不要な編み組織からなる周囲領域と、を備え、
前記周囲領域は、
コース方向において前記パイル編み領域の両側に隣接する第1の周囲領域と、
前記コース方向に直交する方向において前記第1の周囲領域及び前記パイル編み領域の両側に隣接する第2の周囲領域と、を有し、
前記第2の周囲領域は、
非弾性糸から構成される第1編成組織と、
弾性糸から構成される第2編成組織と、を有し、
前記第1編成組織及び前記第2編成組織は互いのループを締め付けあうように形成され、
前記第1の周囲領域は、
非弾性糸から構成される第1編成組織と、
弾性糸から構成される第2編成組織と、
非弾性糸から構成される挿入組織と、を有し、
前記第1編成組織及び前記第2編成組織は互いのループを締め付けあうように形成され、
前記パイル編み領域では、前記挿入組織を構成する非弾性糸を部分的に編み込まないことによってパイルが形成され、
前記周囲領域が裁断されて周縁部分が形成されていることを特徴とする経編地。 - 請求項1に記載の編地を用いて形成された股付衣類であって、
着用者の下腹部と臀部の少なくとも一部をそれぞれ被覆するとともに、左右の脚をそれぞれ挿通すべき裾口が形成された身頃部を有し、
前記身頃部の股部分は、前記パイル編み領域が中央に配され、左右の裾口側の領域が前記周囲領域によって形成されていることを特徴とする股付衣類。 - 着用者の胴回りに対応する上端部は、前記編地の周囲領域が裁断されて形成された周縁部分で形成されていることを特徴とする請求項2に記載の股付衣類。
- 前記身頃部は、股部を介して一体に形成された前身頃と後身頃の脇側部分を互いに縫着/接着することにより形成されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の股付衣類。
- 前記パイル編み組織のパイル部分を形成する糸は綿糸である、ことを特徴とする請求項2記載の股付衣類。
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