JP3029642U - 版板給送・交換装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 版板給送・交換装置における版板の操作自体
を簡便にすると共に、印刷ユニットへのアクセス可能性
を維持できるように、版板給送・交換装置を改良する。 【解決手段】 本考案は、版胴が胴溝内に、印刷開始部
に対応配設された把持緊締装置を有し、該把持緊締装置
が、版板の前縁を受容するために、版幅全体にわたって
延びているギャップの形態で開放される掴み領域を設け
た形式の、印刷機の版胴へ版板を給送して交換する装置
であり、その特徴とするところは、旋回可能な保持部材
１０３，１０９が、使用済みの版板１１１を版胴１０１
から取り外すと共に、新規の版板１１２を版胴へ装着す
るように構成されている点にある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、版胴が胴溝内に、印刷開始部に対応配設された把持緊締装置を有し 、該把持緊締装置が、版板の前縁を受容するために、版幅にわたって延びている ギャップの形態で開放される掴み領域を設けた形式の、印刷機の版胴へ版板を給 送して交換する装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

巻取紙輪転印刷機の版胴に版板を給送するための操作装置は、頒布刊行物たる 欧州特許出願公開第０４３１３６４号明細書に基づいて公知になっている。鉛直 方向に運動可能に取付けられたロボットアームが案内部材に設けられており、該 ロボットアームは、少なくとも１つのジョイントによって複数のアーム部分に分 節されており、案内部材から最も離間したアーム部分が操作ヘッドを備えている 。この操作装置により、タワー構造の巻取紙輪転印刷機の比較的高位に位置して いる印刷ユニットの版板取り外しが可能である。

【０００３】 欧州特許出願公開第０５６７７５４号明細書には、印刷機の版胴へ版板を給送 する装置が開示されている。版板の保持及び案内のための部材として、少なくと も１つの回転容易なローラが使用されており、その場合、ローラの、印刷ユニッ トに面した側は版板交換位置では、版板の前縁を受容する装置のクランプ面に対 して平行に該クランプ面間を通走して延びて斜め上方に向かって印刷ユニットか ら出て行く直線上に実質的に位置している。更に該直線上には、版板の保持及び 案内のための別の部材として吸着盤が配置されており、該吸着盤は版板の後部領 域内に孔が設けられていることにより脱気可能である。

【０００４】 欧州特許出願公開第０５７０７０２号明細書は、印刷機、特に枚葉紙オフセッ ト印刷機、の版胴に版板を給送する装置に関連している。この場合、所定の角度 位置へ移動可能な版胴の外周の印刷開始部領域に、版板の版型幅全体にわたって 延びる導入案内レールが当接されて、該導入案内レールによって形成される導入 案内面を介して、版板の前縁が印刷開始部緊締レールの把持領域内へ直接導入さ れるようになっている。従って版胴の外周面は前記導入案内レールと相俟って、 版板前縁のための漏斗状区域を形成している。導入案内時に版板を案内しかつ支 持するすべての構成要素は版胴の手前に配置されているので、これによって版胴 へのアクセスが制約を受けることになる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の課題は、版板給送・交換装置における版板の操作自体を簡便にすると 共に、印刷ユニットへのアクセス可能性を維持できるように、版板給送・交換装 置を改良することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

前記課題を解決するための本考案の構成手段は、旋回可能な保持部材が、使用 済みの版板を版胴から取り外すと共に、新規の版板を版胴へ装着するように構成 されている点にある。

【０００７】

【作用】

本考案によれば旋回可能な保持部材が、版胴上に位置している使用済みの版板 を該版胴から取り出すためだけでなく、新規の版板を版胴へ給送するためにも設 けられているので、印刷ユニットの印刷胴の手前のスペースが稼働中、要するに 版板交換を行わない状態でもアクセス可能であるので、印刷工にとって如何なる 支障も生じることはない。版板マガジンからの版板取出しを、該版板マガジンの サイド開口からでも、上方からでも共に任意に行うことができるので、該本考案 の版板マガジンは人間工学的に見て作業の軽便性に大幅に寄与するものである。

【０００８】 本考案の別の構成によれば、旋回可能な保持部材がその水平位置で版胴の表面 に達する突出部を備えている。１本の旋回軸を中心として旋回可能な保持部材が 上部受取り部材と下部受取り部材とを有しており、これら上下の受取り部材は、 図示の実施例では負圧作動式の吸着盤として構成されている。前記保持部材は、 隔壁により分割された版板マガジンの上位に配置されている。版板マガジンを前 室と後室とに仕切る隔壁はその上部領域に大きな曲率の湾曲領域を有しており、 該湾曲領域により、その都度新規に給送すべき版板の版胴表面への接近・送り込 み動作が著しく改善される。旋回可能な保持部材によって、新規に給送すべき版 板を容易に把持できるようにすると共に、印刷工の版板操作を簡便にするために 、版板マガジンの後室は前室に比して幾分高い位置に配置されている。旋回可能 な保持部材の突出部はその水平位置で、版板マガジンに設けた案内部材と相俟っ て進入ギャップを形成しており、該進入ギャップ内へ、版胴から取り出すべき使 用済み版板の後部が導入されて、前記保持部材の下側に設けた下部受取り部材に よって一時的に固着保持される。

【０００９】

【考案の実施の形態】

次に図面に基づいて本考案の実施例を詳説する。

【００１０】 図１の側面図では、装着すべき版板を版板マガジンの後室に内蔵した版板給送 ・交換装置が示されている。

【００１１】 被印刷ウエブの下方に位置する印刷ユニットは、移し胴１１０と版胴１０１と を備えており、この版胴には使用済みの版板１１１が装着されている。前記の移 し胴１１０と版胴１０１には防護装置１０８が配設されており、該防護装置１０ ８はアクチュエータ１１７を介して作動可能である。版胴１０１には圧着部材１ ０７が配設されており、該圧着部材は、アクチュエータ１１５を介して運動させ られるレバー１１６によって、版胴１０１の表面に対して当接・離間運動可能で ある。

【００１２】 版胴１０１は、版板１１１の夫々折り曲げられた前端部及び後端部を胴溝１１ ４内に受容し、該胴溝内には、版板用の把持緊締装置１１３が配置されている。 この把持緊締装置は、本考案の対象ではないので、図１では略示されているにす ぎない。

【００１３】 版胴１０１及び移し胴１１０には、版板マガジン１０２並びに、旋回可能な保 持部材１０３が配設されている。旋回可能な保持部材１０３は突出部１０９を備 えており、該突出部は、版胴１０１の表面に接近した状態では版板マガジン１０ ２の下位案内部材１０４を上から覆って、この位置で、版胴１０１から版板１１ １を取り出すための進入ギャップを形成する。

【００１４】 旋回可能な保持部材１０３は、アクチュエータ１１８によって１本の旋回軸１ １９を枢支点として旋回運動可能であり、かつ上部受取り部材１０５と下部受取 り部材１０６を備えている。アクチュエータ１１８としては空圧装置以外に油圧 装置も機能することができ、また同じく、電動モータ式のアクチュエータを採用 することもできる。受取り部材１０５，１０６としては図示の実施例では負圧作 動式の吸着盤が使用されている。電磁装置或いは、版板１１１，１１２を形状に よる係合によって固着保持するする受取り部材も考えられる。

【００１５】 版板マガジン１０２は２つの室すなわち前室１２３と後室１２４を備えている 。両室は隔壁１２２によって互いに仕切られており、しかも後室１２４の底部は 前室１２３の底部に比して幾分高く配置されている。その結果、その都度新規に 装着すべき版板１１２は、旋回可能な保持部材１０３の鉛直位置において該保持 部材の上部受取り部材１０５に対面して、次の版板１１２の受取り部材１０５に よる把持を容易にするような高さに位置することになる。隔壁１２２は上部領域 内に大きな曲率の湾曲領域１２５を備えており、この湾曲領域は、版胴１０１か ら使用済みの版板１１１を取り出すための進入ギャップを形成する一方、版胴１ ０１の表面に対する新規に装着すべき版板１１２の送り込みを助成する。

【００１６】 図２には、稼働位置へ旋回された保持部材が図示されている。

【００１７】 版胴１０１及び移し胴１１０は逆方向に低速回転し、その際、版胴１０１の表 面と移し胴１１０の表面との間の隙間から防護装置１０８は離反旋回させられる 。旋回可能な保持部材１０３は、下位案内部材１０４に対して平行な位置へ揺動 して該下位案内部材１０４と相俟って進入ギャップを規定する。次いで、取り出 すべき版板１１１の表面に圧着部材１０７が当接させられる。

【００１８】 図３には版板の後端を解離した状態が図示されている。

【００１９】 版胴１０１の胴溝１１４内の把持緊締装置１１３が、取り出すべき版板１１１ の後端を解放する。版板１１１の固有弾性に基づき、版板１１１の後端は胴溝１ １４から跳ね出て、旋回可能な保持部材１０３の突出部１０９に当接する。版胴 １０１の低速逆回転運動に基づいて、版胴１０１から取り出すべき使用済みの版 板１１１の後部部分は、突出部１０９と案内部材１０４とにより形成された進入 ギャップを通って前室１２３内へ進入する。版胴１０１からの使用済みの版板１ １１の取り出し中に該版板１１１を移し胴１１０の表面に接触させないように、 版板１１１の固有剛さに基づいて生じる版板１１１の曲率が突出部１０９によっ て維持される。

【００２０】 図４には使用済みの版板１１１がすでに可成り前室１２３内へ進入している状 態が示されている。この状態で下部受取り部材１０６が作動され、該下部受取り 部材は、版胴１０１から取り出される使用済みの版板１１１を制動する。使用済 みの版板１１１が下部受取り部材１０６によって固着保持されるので、把持緊締 装置１１３がここで版板１１１の前縁１２０も解放する。使用済みの版板１１１ の弾性により前縁１２０も胴溝１１４から跳ね出る。今や使用済みの版板１１１ は下部受取り部材１０６によって保持されているにすぎない。

【００２１】 版胴１０１は更に逆方向回転を続行するので、これにより、（使用済みの版板 １１１が版胴表面に接触していることにより、かつこれに起因した転がり接触に 基づいて）版板１１１は更に深く前室１２３内に押し入れられる。こうして下部 受取り部材１０６は使用済みの版板１１１を解放し、旋回可能な保持部材１０３ は上方へ旋回して、新規に装着すべき版板１１２に当接する。解放された使用済 みの版板１１１は重力により版板マガジン１０２の前室１２３内に完全に落下す る。

【００２２】 次いで、版胴１０１の回転が停止され、上部受取り部材１０５が、版板マガジ ン１０２の若干高く位置する後室１２４内の新規の版板１１２に固着する。この 新規の版板１１２を版胴１０１の表面へ搬送するためには、該版板１１２を湾曲 させなければならないため、旋回可能な保持部材１０３には上部受取り部材１０ ５が２つ設けられている。次いで、このように固着保持された版板１１２は保持 部材１０３の旋回により版板１０１の表面に向かって送られる。

【００２３】 図５に示したように、次に装着すべき新規の版板１１２の前縁１２０は保持部 材１０３の旋回によって版胴１０１の表面に当接させられる。圧着部材１０７が 版胴１０１から離間させられると、版胴１０１は順方向に低速回転させられる。 胴溝１１４を通過する際に新規の版板１１２の前縁１２０が把持緊締装置１１３ 内へ跳ね入り、これによって該版板１１２は徐々に版胴１０１の周面に張設され ていく。該版板１１２を張設する間、上部受取り部材１０５は作動された状態に ある。該上部受取り部材が例えば負圧作動式の吸着盤から成る場合には、新規の 版板１１２の大部分が版胴１０１に巻掛けられるまで負圧が作用している。

【００２４】 図６に示したように新規の版板１１２の後縁１２１が上部受取り部材１０５に 接近すると、図示の実施例ではレバー１１６に支承されたローラとして構成され ている圧着部材１０７は、新規に装着すべき版板１１２に当接させられる。今や 新規の版板１１２は上部受取り部材１０５から解放され、これにより該版板１１ ２の後端は上方へ向かって跳ね上り、旋回可能な保持部材１０３から離間したと ころで版胴１０１は１回転を終わる。

【００２５】 図７では、胴溝１１４が把持緊締装置１１３と共に圧着部材１０７に対面した 状態が図示されている。圧着部材１０７は、新規に装着された版板１１２の後縁 １２１を把持緊締装置１１３内へ押し込み、こうして把持緊締装置１１３内に新 規の版板１１２の前縁１２０及び後縁１２１が固定されることになる。新規の版 板１１２を張設する間、圧着部材１０７は、版胴１０１の表面への版板１１２の 密着を助成する。新規の版板１１２は、その後縁がクランプされる前に、恰もア イロン掛けされるように癖取りを施して張設される。

【００２６】 次いで、旋回可能な保持部材１０３をその鉛直な位置へ戻し旋回した上で、取 外された版板１１１を版板マガジン１０２から取り出すことが可能である。また 防護装置１０８も移し胴１１０と版胴１０１との間の隙間内へ戻し旋回させられ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】新規に装着すべき版板を版板マガジンの後室内
に収容している本考案に基づく版板給送・交換装置の側
面図である。

【図２】旋回可能な保持部材を稼働位置へ移動させた状
態で示した版板給送・交換装置の側面図である。

【図３】旋回可能な保持部材と案内部材とによって形成
された進入ギャップ内へ使用済み版板を版胴から取り入
れた状態で示した版板給送・交換装置の側面図である。

【図４】版板マガジンの前室内へ使用済み版板を搬入す
る状態で示した版板給送・交換装置の側面図である。

【図５】旋回可能な保持部材によって新規の版板を把持
して版胴に該版板を当接させた状態で示した版板給送・
交換装置の側面図である。

【図６】装着すべき版板を版胴周面に巻掛け中の状態で
示した版板給送・交換装置の側面図である。

【図７】装着された版板を版胴周面に圧着する状態を示
した版板給送・交換装置の側面図である。

【符号の説明】

１０１ 版胴、 １０２ 版板マガジン、 １０３ 旋
回可能な保持部材、１０４ 案内部材、 １０５ 上部
受取り部材、 １０６ 下部受取り部材、１０７ 圧着
部材、 １０８ 防護装置、 １０９ 突出部、 １１
０ 移し胴、 １１１ 使用済みの版板、 １１２ 新
規の版板、 １１３ 把持緊締装置、 １１４ 胴溝、
１１５ アクチュエータ、 １１６ レバー、 １１
７，１１８ アクチュエータ、 １１９ 旋回軸、 １
２０ 前縁、１２１ 後縁、１２２ 隔壁、 １２３
前室、 １２４ 後室、 １２５ 湾曲領域

フロントページの続き (73)実用新案権者 390009232 ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト ＨＥＩＤＥＬＢＥＲＧＥＲ ＤＲＵＣＫＭ ＡＳＣＨＩＮＥＮ ＡＫＴＩＥＮＧＥＳＥ ＬＬＳＣＨＡＦＴ ドイツ連邦共和国 ハイデルベルグ クア フユルステン−アンラーゲ 52−60 Ｋｕｒｆｕｅｒｓｔｅｎ−Ａｎｌａｇｅ 52−60，Ｈｅｉｄｅｌｂｅｒｇ，Ｆｅｄｅ ｒａｌ Ｒｅｐｕｂｌｉｃ ｏｆ Ｇｅｒ ｍａｎｙ (72)考案者 ジャック メトロプ フランス国 レヌヴィユ リュ フランス ワ フェルナンデス ７

Claims (15)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 版胴が胴溝内に、印刷開始部に対応配設
   された把持緊締装置を有し、該把持緊締装置が、版板の
   前縁を受容するために、版幅全体にわたって延びている
   ギャップの形態で開放される掴み領域を設けた形式の、
   印刷機の版胴へ版板を給送して交換する装置において、
   旋回可能な保持部材（１０３，１０９）が、使用済みの
   版板（１１１）を版胴（１０１）から取り外すと共に、
   新規の版板（１１２）を版胴へ装着するように構成され
   ていることを特徴とする、版板給送・交換装置。
2. 【請求項２】 旋回可能な保持部材（１０３）が、版胴
   （１０１）の表面に達する突出部（１０９）を備えてい
   る、請求項１記載の版板給送・交換装置。
3. 【請求項３】 旋回可能な保持部材（１０３）が、１本
   の旋回軸（１１９）を中心として旋回可能である、請求
   項１記載の版板給送・交換装置。
4. 【請求項４】 旋回可能な保持部材（１０３）がその水
   平位置で見て上下両側に受取り部材（１０５，１０６）
   を備えている、請求項１記載の版板給送・交換装置。
5. 【請求項５】 受取り部材（１０５，１０６）が、負圧
   作動式の吸着盤から成っている、請求項４記載の版板給
   送・交換装置。
6. 【請求項６】 旋回可能な保持部材（１０３）が、１つ
   の版板マガジン（１０２）に配設されている、請求項１
   記載の版板給送・交換装置。
7. 【請求項７】 版板マガジン（１０２）が分割されてい
   る、請求項６記載の版板給送・交換装置。
8. 【請求項８】 版板マガジン（１０２）がサイド開口を
   有している、請求項７記載の版板給送・交換装置。
9. 【請求項９】 版板マガジン（１０２）が、前室（１２
   ３）と後室（１２４）とから成っている、請求項７記載
   の版板給送・交換装置。
10. 【請求項１０】 版板マガジン（１０２）の分割が隔壁
    （１２２）によって行われている、請求項７記載の版板
    給送・交換装置。
11. 【請求項１１】 隔壁（１２２）が湾曲領域（１２５）
    を備えている、請求項９記載の版板給送・交換装置。
12. 【請求項１２】 後室（１２４）の底面が、前室（１２
    ３）の底面に比して高く配置されている、請求項７記載
    の版板給送・交換装置。
13. 【請求項１３】 旋回可能な保持部材（１０３）の突出
    部（１０９）が、版胴（１０１）に接近した状態で版板
    マガジン（１０２）の案内部材（１０４）を上方から覆
    っている、請求項２記載の版板給送・交換装置。
14. 【請求項１４】 突出部（１０９）が、版胴（１０１）
    から取り外すべき使用済みの版板（１１１）のためのス
    トッパとして役立っている、請求項２記載の版板給送・
    交換装置。
15. 【請求項１５】 旋回可能な保持部材(１０３)によって
    新規の版板（１１２）の版胴（１０１）への装着時に、
    前記新規の版板（１１２）の前縁（１２０）が版胴（１
    ０１）の表面に当接される、請求項１記載の版板給送・
    交換装置。