JP3005086B2 - シス−4−ヒドロキシ−l−プロリンの製造法 - Google Patents

シス−4−ヒドロキシ−l−プロリンの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、(2S、4S)−
(−)−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボン酸
[((2 S 、4 S )−(−)−4 −Hydroxypyrrolidine
−2 −carboxylicacid)、以下「シス−4−ヒドロキシ
−L−プロリン(cis −4 −Hydroxy −L−proline )
と略称する」]の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シス−4−ヒドロキシ−L−プロ
リンはビャクダンの葉(バイオケミカル ジャーナル
(Biochemical Journal)、117 巻、1013頁(1970
年))やアクチノマイシン等の抗生物質の構成成分(ア
ーチーブス オブ バイオケミストリー アンド バイ
オフィジクス(Archieves of Biochemistryand Biophys
ics)、131 巻、276 頁(1969 年))としてのみ、そ
の存在が知られている。そして、シス−4−ヒドロキシ
−L−プロリンは自然界には少量しか存在しないので、
合成化学の手法により供給されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ヘリコ
セラス属またはアクロシリンドリウム属に属する微生物
がシス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを生産すること
を見出して本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ヘリコセラス
属またはアクロシリンドリウム属に属するシス−4−ヒ
ドロキシ−L−プロリン生産菌を培養し、その培養物よ
りシス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを採取すること
からなるシス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの製造法
に関する。
【0005】ここに、シス−4−ヒドロキシ−L−プロ
リンは以下の構造式
【0006】
【化1】
【0007】で示される。
【0008】なお、トランス−4−ヒドロキシ−L−プ
ロリンは以下の構造式
【0009】
【化2】
【0010】で示される。
【0011】本発明に使用されるヘリコセラス属に属す
る微生物としては、例えばヘリコセラス オリザエ SA
NK 11458 株をあげることができる。
【0012】本菌株は抗生物質セルレニン(Cerulenin
)の生産菌として公知である(Ann.Sankyo Res.La
b.、19巻、86−90頁、1967年)。
【0013】本菌株の菌学的性状は以下の通りである。
本菌株はイネの籾から分離された菌株で次のごとき形態
的特徴を有する。WSH 寒天培地上での生育は 25 ℃、1
週間で 40 〜 50 mm、綿毛状、薄く広がりコロニーの表
面は淡褐色(3 −4B)、裏面もほぼ同様である。 25 −
30 日培養を続けると分生子の形成が見られる。PDA 培
地上での生育は 25 ℃、1週間で 50 〜 60 mm、綿毛状
でコロニーの中央部は灰緑褐色(25−3C)、周辺部は橙
褐色(11−2B)、裏面もほぼ同様である。分生子の形成
は見られない。WSH 培地でも PDA 培地でも可溶性色素
の産生は見られない。 37 ℃ではほとんど生育しない。
光学顕微鏡での観察によると、菌糸は淡褐色、平滑で隔
壁を有しその径は 1.5〜4.0 μm である。分生子柄は短
く先端がやや膨らみ、ときに分枝する。分生子はコイル
状、褐色、表面は粗で 5−15 細胞よりなり、隔壁部分
がややくびれ、80〜150 × 7〜11 μm であるが不規則
な形のものも多く見られる。
【0014】以上の形態をもとに R.T.Moore 著、「My
cologia 」第 47 巻、90−103 頁(1955 年)に掲載の
論文、「Index to the Helicosporae 」を検索の結果、
本菌株を Helicoceras oryzaeLinder et Tullis と同
定した。
【0015】なお、コロニーの色調のカッコ内の数値は
A.Kornerup and J.H.Wansher 著「Methuen Handbook o
f Colour」 3rd ed.,Eyre Methuen、London(1978
年)に準拠した表示である。
【0016】また、WSH 寒天培地の組成は次の通りであ
る。 オートミール 10 g NaNO3 1 g KH2PO4 1 g MgSO4・7H2O 1 g 寒天 20 g 水道水 1000 ml ────────────────────── pH 無修正。
【0017】上記ヘリコセラス オリザエ SANK 11458
株は 寄託番号、微工研条寄第3603 号(FERM BP −
3603)(寄託機関、工業技術院微生物工業技術研究所:
寄託日、1991 年 10 月 14 日)として寄託されてい
る。
【0018】本発明に使用されるアクロシリンドリウム
属に属する微生物としては、例えばアクロシリンドリウ
ム オリザエ SANK 10360 株をあげることができる。
【0019】本菌株の菌学的性状は以下の通りである。
本菌株は罹病したイネの葉鞘から分離された菌株で次の
ごとき形態的特徴を有する。PDA 培地上での生育は比較
的遅く 25 ℃、1週間でコロニーの直径は 30 〜40 mm
、 37 ℃では 2〜3 mmである。コロニーは羊毛状、白
色(1 −A )で 25℃でも 37 ℃でも分生子をよく形成
する。裏面は淡灰色(21−4C)ないしは淡灰黄色(5 −
5B)である。光学顕微鏡での観察によると、菌糸は無色
で隔壁を有し、その径は 1.5〜4.0μm である。分生子
柄も無色で隔壁を有する場合と有しない場合とがあり、
8 〜16× 3〜4 μm であ。メトレは同じく無色で隔壁は
無く、 6〜8 × 2〜3 μm である。フィアライドは分生
子柄上に直接またはメトレ上にそれぞれ 3−5 づつ形成
され 8〜20× 2〜3 μm である。分生子は無色、平滑、
1 細胞からなり円筒形から長楕円形ないしは楕円形
で、3.0 〜8.0× 1.5〜2.5 μm である。
【0020】以上の形態から本菌株を沢田兼吉著、台湾
産菌類調査報告第 2編、台湾総督府中央研究所農業部報
告第 2 号、135 −136 頁(1922 年)に記載されてい
る稲葉鞘腐敗病菌 Acrocylindrium oryzae Sawada と
同定した。本菌株の詳細な菌学的記載は河村栄吉著、日
本植物病理学会報、10 巻、55−59頁(1940 年)にも
記載されている。
【0021】なお、コロニーの色調のカッコ内の数値は
A.Kornerup and J.H.Wansher 著「Methuen Handbook o
f Colour」 3rd ed.,Eyre Methuen、London(1978
年)に準拠した表示である。
【0022】上記アクロシリンドリウム オリザエ SA
NK 10360 株は 寄託番号、微工研条寄第 3602 号(F
ERM BP −3602)(寄託機関、工業技術院微生物工業技
術研究所:寄託日、1991 年 10 月 14 日)として寄託
されている。
【0023】周知のとおり、糸状菌は自然界において、
または人工的な操作(例えば、紫外線照射、放射線照
射、化学薬品処理等)により、変異を起こし易く、本発
明のSANK 11458 株および SANK 10360 株もこの点は同
じである。本発明にいうSANK 11458 株および SANK 10
360 株はそのすべての変異株を包含する。また、これら
の変異株の中には、遺伝学的方法、例えば、組み替え、
形質導入、形質転換等により得られたものも包含され
る。即ち、シス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを生産
する、SANK11458 株および SANK 10360 株、その変異株
およびそれらと明確に区別されない菌株は、すべて SAN
K11458 株および SANK 10360 株に包含されるものであ
る。
【0024】本発明の方法を実施するにさいして、微生
物の培養は、通常微生物が利用できる栄養物を含有する
培地中で培養することにより行なわれる。栄養源として
は、一般の微生物の培養に使用される公知のものを使用
することができる。
【0025】一般に、炭素源としてグルコース、フラク
トース、マルトース、シュークロース、マンニトール、
グリセロール、デキストリン、オート麦、ライ麦、トウ
モロコシデンプン、ジャガイモ、トウモロコシ粉、大豆
粉、綿実油、糖蜜、クエン酸、酒石酸等を単一に、ある
いは併用して用いる事ができる。一般には、培地量の1
−10 重量%で変量する。
【0026】窒素源としては、一般に蛋白質を含有する
物質を醗酵工程に用いる。適当な窒素源としては、大豆
粉、フスマ、落花生粉、綿実油、綿実粉、カゼイン加水
分解物、ファーマミン、魚粉、コーンスチープリカー、
ペプトン、肉エキス、イースト、イーストエキス、マル
トエキス、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ア
ンモニウム等である。窒素源は、単一または併用して培
地量の 0.2−6 重量%の範囲で用いる。
【0027】培地中にとり入れる栄養無機塩は、ナトリ
ウム、アンモニウム、カルシウム、フォスフェート、サ
ルフェート、クロライド、カーボネート等のイオンを得
ることのできる通常の塩類である。また、カリウム、カ
ルシウム、コバルト、マンガン、鉄、マグネシウム等の
微量の金属も含む。
【0028】液体培養に際しては、シリコン油、植物
油、界面活性剤等が、消泡剤として使用される。
【0029】SANK 11458 株または SANK 10360株を培
養し、シス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを生産する
培地の pHは、 5.0−7.0 に変化できる。
【0030】菌の生育は 20 ℃から 37 ℃の範囲が良好
であり、更にシス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの生
産には 25 ℃から 30 ℃が好適である。シス−4−ヒド
ロキシ−L−プロリンは、好気的に培養して得られる
が、通常用いられる好気的培養法、例えば固体培養法、
振盪培養法、通気撹拌培養法等が用いられる。
【0031】小規模な培養においては、 26 ℃で数日間
振盪培養を行うのが良好である。
【0032】培養は、バッフル( 水流調節壁) のついた
三角フラスコ中で、 1−2 段階の種の発育工程により開
始する。種発育段階の培地は、炭素源および窒素源を併
用できる。種フラスコは定温インキュベーター中で 26
℃、2 〜 3 日間振盪するか、または充分に成長するま
で振盪する。成長した種は第二の種培地または生産培地
に接種するのに用いる。中間の発育工程を用いる場合に
は、本質的に同様の方法で成長させ生産培地に接種する
ために、それを部分的に用いる。接種したフラスコを一
定温度で数日間振盪し、インキュベーションが終わった
らフラスコの含有物を遠心分離またはろ過する。
【0033】大量培養の場合には、撹拌機、通気装置を
付けた適当なタンクで培養するのが好ましい。この方法
によれば、栄養培地をタンクの中で作成できる。栄養培
地を125 ℃ まで加熱して滅菌し、冷却後、滅菌培地に
あらかじめ成長させてあった種を接種する。培養は 26
℃で通気撹拌して行う。この方法は、多量の化合物を得
るのに適している。
【0034】通常は 48 時間から 72 時間の培養でシス
−4−ヒドロキシ−L−プロリンの生産量は最高値に達
する。
【0035】培養終了後、目的化合物は既知の方法で採
取、定量分析、分離、精製することができる。
【0036】すなわち、培養終了後、培養液中の液体部
分 (および菌体内) に存在するシス−4−ヒドロキシ−
L−プロリンは、培養液にアセトンなどの有機溶剤を添
加した後、菌体、その他の固形部分を珪藻土をろ過助剤
とするろ過操作または遠心分離によって分別し、そのろ
液または上清中に存在するシス−4−ヒドロキシ−L−
プロリンを、その物理化学的性状を利用し抽出精製する
ことにより得られる。
【0037】例えば、ろ液または上清中に存在するシス
−4−ヒドロキシ−L−プロリンをイオン交換樹脂、例
えばアンバーライト IRC−50、CG−50(ローム・アンド
・ハース社製)、ダウエックス 50W×4 、ダウエックス
SBR−P (ダウ・ケミカル社製)の層を通過させて不純
物を吸着させて取り除くか、またはシス−4−ヒドロキ
シ−L−プロリンを吸着させた後、アンモニア水を用い
て溶出させることにより得られる。あるいは吸着剤とし
て、例えば活性炭または吸着用樹脂であるアンバーライ
ト XAD−2 、XAD −4 (ローム・アンド・ハース社製)
等や、ダイヤイオンHP−10、HP−20、 CHP−20、HP−50
(三菱化成(株)社製)等が使用される。シス−4−ヒ
ドロキシ−L−プロリンを含む液を上記のごとき吸着剤
の層を通過させて不純物を吸着させて取り除くか、また
はシス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを吸着させた
後、メタノール水、アセトン水等の水と有機溶剤との混
合溶剤を用いて溶出させることにより得られる。
【0038】このようにして得られたシス−4−ヒドロ
キシ−L−プロリンは、更にシリカゲル、フロリジルの
ような担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィー、ア
ビセル(旭化成工業(株)社製)、セファデックス G−
10 (ファルマシア社製)等を用いた分配カラムクロマ
トグラフィーおよび順相、逆相カラム、イオン交換カラ
ムを用いた高速液体クロマトグラフィー等で精製するこ
とができる。
【0039】なお、目的化合物の定量分析法としては以
下の二つの既知の方法を採用できる。
【0040】まず、イオン交換カラムにより各アミノ酸
を分離した後にニンヒドリンで発色させて検出する方法
(アナリティカル ケミストリー(Analytical Chemist
ry)、30 巻、1185 頁(1958 年))により目的化合
物を定量する(定量機器:高速アミノ酸分析機 L−85
00 型、日立(株)社製)。
【0041】今ひとつの方法は、まず各アミノ酸をフェ
ニルイソチオシアナートにより対応するチオカルバモイ
ル酸エステルとしてから逆相カラムクロマトグラフィー
による高速液体クロマトグラフィ−分析(ジャーナル
オブ クロマトグラフィー(Journal of chromatograph
y)、336 巻、93 頁(1984 年))により目的化合物を
定量する(定量機器:655 −020 型高速液体クロマトグ
ラフィ−、日立(株)社製)。
【0042】または、以上のニ方法を併用して目的化合
物の定量を行なうこともできる。
【0043】
【実施例】次に実施例をあげて、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0044】実施例 1.下記組成の培地 100 ml を
含有するへそ付き 500 ml 容三角フラスコにヘリコセラ
ス オリザエ SANK 11458 株を植菌し、26℃、 200 r
pmで振とう培養した。
【0045】培地組成 シュクロース 5.0 % ペプトン 2.0 コーンスチープリカー 0.3 水道水 残(pH 5.0−5.5 )。
【0046】培養 2 日後、菌体を含む培養液に存在す
るシス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを定量した。
【0047】なお、定量はアミノ酸をフェニルイソチオ
シアネートとトリエチルアミンの存在下、反応させてそ
れぞれ対応するチオカルバモイル酸エステルに誘導体化
した後、逆相 HPLC により同定する方法によって実施し
た。すなわち、培養液 1 mlに対しアセトン 1 ml 添加
し遠心分離後、上清 25 μl を減圧乾固した。これに
エタノール:水:トリエチルアミン=2 :2 :1 の溶液
を 25 μl添加して減圧乾固した。更にこれにエタノー
ル:水:トリエチルアミン:フェニルイソチオシアネー
ト=7 :1 :1 :1 の溶液を25 μl 添加して 20分
間、室温にて放置した後、減圧乾固した。次いでこれに
PICO-Tag 希釈液(アセトニトリル:リン酸緩衝液(pH
7.4)=5 :95)を 400 μl 添加して遠心上清をノバパ
ック C18(3.9 ×300 mm、ウォーターズ、ミリポア社
製)で HPLC で分析した。移動相としてアセトニトリ
ル:0.1 %リン酸トリエチルアミン緩衝液(pH 3.2)=
11:89を使用した。流速 1.2 ml/分で254 nm におけ
る吸収強度によりヒドロキシプロリンのチオカルバモイ
ル酸エステルの検出を実施した。HPLC における保持時
間はシス−4−ヒドロキシ−L−プロリンが 9.10 分
であった。
【0048】なお、この定量には日立 655-020 型高速
液体クロマトグラフィーが使用された。
【0049】この結果、培養液中に 10 μg /ml のシ
ス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの存在が認められ
た。
【0050】実施例 2.実施例 1.と全く同様な方
法でヘリコセラス オリザエ SANK 11458 菌株を 26
℃、 200 rpmで 2 日間振とう培養した。得られた菌体
培養液 2.7 リットルに対してアセトン 3 リットルを
添加し 4 ℃ にて一夜放置した。次いでこれをセライ
トでろ過しろ液を減圧下で濃縮した。得られた粗抽出液
200 ml をダウエックス 50 W のカラムに吸着せし
め、 0.5 N アンモニア水にて溶出した。得られた溶出
液を減圧下で濃縮し、残渣をさらにアンバーライトCG−
50 のカラムに付し非吸着画分を集めて減圧下で濃縮し
た。得られた残渣を移動相にn−ブタノール:酢酸:水
=4 :1 : 2 を用いてセファデックス G−10によるゲ
ルろ過を行なった。シス−4−ヒドロキシ−L−プロリ
ンを含む画分をウォーターズ(ミリポア社製)のアミノ
酸分析用カラムにより精製した。シス−4−ヒドロキシ
−L−プロリンを含む画分 20 mg を、再びセファデッ
クス G−10を移動相としてn−ブタノール:酢酸:水=
5 :1 : 2 を用いてゲルろ過を行なうと精製標品 2.1
mg が得られた。得られた精製標品の重水中における核
磁気共鳴スペクトルは次の通りであった。
【0051】核磁気共鳴スペクトル:δ ppm 2.07(1 H 、dm、 J =14.2 Hz)、2.31(1 H 、ddd
、J =14.2、3.9 および 2.0 Hz )、3.18(1 H 、d
d、 J =12.7 および 3.9 Hz )、3.27(1 H 、ddd
、J =12.7、 1.9 および 1.5 Hz )、4.02(1 H 、d
d、 J =10.3 および 3.9 Hz )、4.40(1 H 、m ) 得られた核磁気共鳴スペクトルは、既知のシス−4−ヒ
ドロキシ−L−プロリンのそれと一致した。
【0052】実施例 3.実施例 1.と全く同様な方
法でアクロシリンドリウム オリザエ SANK 10360 株
を用いて実施し、定量した結果、培養液中に 11.7 μg
/ml のシス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの存在が
認められた。
【0053】
【発明の効果】シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン
は、これをトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンに
変換することによって、カルバペネム系抗生物質などの
医薬品原料として使用される重要な化合物である。
【0054】すなわち、シス−4−ヒドロキシ−L−プ
ロリンのアミノ基を保護し(例えば、p−ニトロベンジ
ルオキシカルボニル)、カルボキシル基を保護し(例え
ば、p−ニトロベンジル)、次いで常法に従って反転反
応(例えば、光延ら、ビューレチン オブ ケミカル
ソサィエティー オブ ジャパン(Bulletinof chemica
l society of Japan)、44 巻、3427 頁(1971
年))に付し、最後に保護基を除去することによってト
ランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンが得られる。次
いでこれを中間体として例えば、N−p−ニトロベンジ
ルオキシカルボニル−3−メルカプトピロリジンを合成
し(HETEROCYCLES、24巻、5 号、(1986 年))、さら
に(5R・6S・8R)−6−(1−ヒドロキシエチ
ル)−2−(ピロリジン−3−イルチオ)−2−カルバ
ペネム−3−カルボン酸(特公昭 61−29357 号)を合
成することによって有用なカルバペネム系抗生物質が得
られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 13/00 - 13/24 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘリコセラス属またはアクロシリンドリ
    ウム属に属するシス−4−ヒドロキシ−L−プロリン生
    産菌を培養し、その培養物よりシス−4−ヒドロキシ−
    L−プロリンを採取することからなるシス−4−ヒドロ
    キシ−L−プロリンの製造法。
  2. 【請求項2】 ヘリコセラス属に属するシス−4−ヒド
    ロキシ−L−プロリン生産菌がヘリコセラス オリザエ
    SANK 11458 株である[請求項1]記載の製造法。
  3. 【請求項3】 アクロシリンドリウム属に属するシス−
    4−ヒドロキシ−L−プロリン生産菌がアクロシリンド
    リウム オリザエ SANK 10360 株である[請求項1]
    記載の製造法。
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