JP3004868U - 自動車用回転シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 乗降が容易で、シートの回動から乗車人の乗
降まで１人の介護人で行うことのできる操作性に優れた
自動車用回転シートを提供する。 【構成】 自動車の床面に固設された基台２と、前記基
台２に回動機構５により回動自在に軸着されたシート台
部３と、前記シート台部３上に形成された着座クッショ
ンとを備える。前記シート台部３が基台２の後部のドア
側に偏心状態で前記回動機構５によりドア側に交叉する
方向に回動自在に軸着されている。 【効果】 乗車人の乗降が容易である。特に足腰が不自
由な高齢者等が乗車人であっても１人の介護人が容易に
車外に運びだすことができる。また乗車人も楽である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は自動車用回転シートに関し、特に高齢者等の体の不自由な人の乗降が 容易な自動車用回転シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、高齢化社会がますます進行し、高齢者の介護や医療等が日常問題となっ てきている。また、身体障害者の介護や妊産婦の世話等が必要とされることもあ る。このような場合、高齢者等は平時は家族と共に生活し、各種医療機関等に通 院することが多い。この際、家族等の介護人が一般乗用車で高齢者等を送迎する のが普通であるが、通常自動車のシートは前後ともに固定式であるので、乗降す る際には腰部及び足部を捻転する必要があり、健康人にはなんら苦痛を伴わない かかる動作も高齢者等には困難であり、このようなシートは乗降には適しないと いう問題点がある。また、歩行が困難な場合には自動車のシートに着座したまま の状態で介護人が車内から抱きかかえるようにして、所定の場所や車椅子等にま で運んでやる必要があるが、このような時には車中から無理やりに運び出すこと になるので、介護人も乗車人も難儀であるという問題点がある。このような場合 には２人以上の介護人が付添ってやるのが望ましいが、平日の昼間頻繁に通院す る場合などでは、常に２人以上の介護人が付添ってやるのは困難であるのが現状 である。

【０００３】 ところで、回動可能に取付けられた自動車用シートが市井に出回っている。こ の自動車用回転シートは、一般に運転席側に設けられるものであり、婦女子など が足を揃えたまま乗降できるようにしたものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

そこで、前述したような高齢者等のために前記回動可能な自動車用シートを助 手席側に設けてやることが考えられるが、前記従来の自動車用回転シートは、シ ートの設置位置でそのまま回転するものであるため、車から体が十分に突出でき ないため乗降時の苦労が必ずしも解消されないという問題点がある。シートの回 動から乗車人の乗降まで１人の介護人でできるのが理想的である。

【０００５】 本考案は前記問題を解決して乗降の容易な自動車用回転シートを提供すること を目的とする。さらに本考案は、シートの回動から乗車人の乗降まで１人の介護 人で行うことのできる操作性に優れた自動車用回転シートを提供することを目的 とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の請求項１の自動車用回転シートは、床面に対して回動自在に取付けら れた自動車用回転シートにおいて、前記シートが床面に固設された基台と、前記 基台に回動自在に軸着されたシート台部と、前記シート台部に取付けられた着座 クッションとを備え、前記シート台部が後部のドア側で偏心状態で軸着されてお り、該シート台部がドア側に交叉する方向に回転すると前記着座クッションの前 端部が閉成状態におけるドア面よりも外側に突出するものである。

【０００７】 請求項２の自動車用回転シートは、前記シート台部がドア側に交叉する方向に 回転すると前記着座クッションが該着座クッションの長さの20〜50％がドア面よ りも突出するように前記シート台部が後部のドア側に偏心状態で軸着されている ものである。

【０００８】 請求項３の自動車用回転シートは、前記シート台部に回動を抑止するロック機 構が付設されているものである。

【０００９】 請求項４の自動車用回転シートは、前記シート台部の前記基台との対向面に、 前記シート台部の回動補助機構を備えるものである。

【００１０】 さらに請求項５の自動車用回転シートは、前記基台に前記シート台部の振動防 止機構が付設されているものである。

【００１１】

【作用】

前記請求項１の構成では、着座クッションをシート台部ごとドア側に交叉する 方向に回転させると、前記シート台部がドア側に偏心して軸着されているので着 座クッションの前端部が閉成状態におけるドア面よりも突出するため、乗車人の 乗降が容易である。特に足腰が不自由な高齢者等が乗車人であっても１人の介護 人が容易に車外に運びだすことができるので乗車人の介護者も楽である。さらに 前記介護人は運転者が兼務することができる。

【００１２】 請求項２の構成では、前記シート台部がドア側に交叉する方向に回転すると前 記着座クッションが、該着座クッションの長さの20〜50％がドア面よりも突出す るように前記シート台部が後部のドア側に偏心状態で軸着されているので、乗車 人の乗降が一層容易である。

【００１３】 請求項３の構成では、前記シート台部に回動を抑止するロック機構が付設され ているので、走行時の安全性が良好である。

【００１４】 請求項４の構成では、前記シート台部の前記基台との対向面に、前記シート台 部の回動補助機構を備えるものであるので、前記シートの回動が軽快である。

【００１５】 さらに請求項５の構成では、前記基台に前記シート台部の振動防止機構が付設 されているものであるので、シートの居住性および乗り心地が快適である。

【００１６】

【実施例】

以下、本考案の第１実施例を図１乃至図６を参照して説明する。前記第１実施 例の自動車用回転シート１は、右ハンドルの自動車の助手席であり、図１乃至図 ４に示すように基台２と、前記基台２に回動自在に軸着されたシート台部３と、 前記シート台部３上に形成された着座クッション４とを備える。前記基台２は、 機枠21と、前記機枠21の後部ドア側に形成された貫通孔22と、前記機枠21の後端 面に垂設された支持板23と、前記支持板23に回動自在に取り付けられたシート台 部３のロック機構たるコ形状の係止部24Ａを先端部に有するアーム24と、前記機 枠21の運転席側側部に垂設された略コ字形状に屈曲した振動防止板25と、ストッ パー機構26とが取付けられている。また前記ストッパー機構26の取付板260 の垂 直壁面には円形の孔部と前記孔部から上下方向に延在する溝部とからなる横長な 貫通孔26Ａが形成されており、前記貫通孔26Ａには一端部に貫通孔26Ａの形状に 応じた係止部261 Ｂ有し、後述するシート台部３に配設された回動レバー262 Ｂ を有するストッパーピン26Ｂが貫挿される。なお、27，27Ａは後述する回動ロー ラ33Ｂ，33Ｃの回動板である。またシート台部３は、機枠31と、前記機枠31の後 部のドア側に形成された貫通孔32と、前記機枠31の下面に所定の角度をもって配 設された回動補助機構たる４個のローラ33Ａ，33Ｂ，33Ｃ，33Ｄと、前記機枠31 の後端面に突設された係止ピン34とを備える。このような基台２とシート台部３ とは回動機構５を介して回動自在に接合されている。すなわち、前記回動機構５ はセンターシャフト51と、上部及び下部スラストベアリング52、53と、ナット54 とを備え、前記基台２の貫通孔22上に下部スラストベアリング53を載置し、シー ト台部３を前記貫通孔32の位置をあわせて載置し、さらに上部スラストベアリン グ53を載置しこれらを同軸的に位置決めした状態で前記センターシャフト51を挿 通し、その先端部からナット54を螺合することにより、基台２とシート台部３と を回動自在に固定している。また、前記シート台部３には着座クッション４が取 付けられる。上述したような前記第１実施例による自動車用回転シート１は、右 ハンドルの自動車６の助手席の位置の床面に前記基台２をスライド機構（図示せ ず）などを有する固定用脚台27，27Ａで固設することにより設置することができ る。なお、図２においては図示左側が自動車の前方であり、図示下方にドアが存 することになり、したがって乗降時には自動車用回転シートを矢印の方向に回動 させることになる。また図６中において、61は運転席であり、62は後部シートで あり、Ｄはドアであり破線において閉成状態を示す。

【００１７】 前記構成につきその作用について説明する。平常時には自動車用回転シート１ を正面に向けた状態にしておく。この際、振動防止板25は前記シート台部３に側 面から係合している。また前記アーム24の係止部24Ａは、係止ピン34に係止させ ておく。このような状態にしておくことにより、通常の自動車用シートとなんら 変わるところなく使用することができる。特に前記実施例においては、アーム24 の係止部24Ａを係止ピン34に係止させているので、走行中に自動車用シート１か 回動したりガタついたりすることがなく、安全性が良好である。また、振動防止 板25は前記シート台部３に側面から係合しているので、走行中に基台２に対して シート台部３が上下方向に振動するのも抑制されるので、走行時のシートの居住 性および乗り心地が快適である。

【００１８】 次に乗車する際には、前記アーム24を上方に回動して係止ピン34への係止を解 除し、着座クッション４とともにシート台部３を反時計回りに回動させる。そう すると回動レバー262 Ｂの係止部261 Ｂが貫通孔26Ａを通過した位置で取付板26 0 の垂直壁面にシート台部３の内周面に当接して、ドア側に交叉する方向、すな わち概ね90°回動して停止する。そうしたら回動レバー262 Ｂを概ね垂直方向に 向けて貫通孔26Ａの溝部とおよそ直交するように回動してて、シート台部３の位 置を固定する。このようにしてシート台部３を回動させると、前記シート台部３ はその後部のドア側で基台２に軸着されているので、自動車用シート１は図６に 一点鎖線で示すように閉成時の自動車６のドアＤの線よりも着座クッション４の 長さの概ね３分の１の長さが突出する。このように前記着座クッション４が自動 車６の閉成時のドアＤよりも大きく突出するので、高齢者等の身体の不自由な人 を乗車させるのも容易である。なお、前記着座シート４の突出長さは本実施例の ように着座クッション４の長さの概ね３分の１である必要はなく、着座クッショ ン４の長さの20〜50％、特に30〜40％であるのが好ましい。前記突出長さは前記 シート台部３の軸着する位置を適宜変更することにより所望のものとすることが できる。また、前記実施例においては、ストッパーピン26Ｂの係止部261 Ｂを貫 通孔26Ａの溝部と直交させることにより固定しているので、乗車が完了するまで 着座シート４が動いたりしないため、安全性が高いものとなっている。さらに、 前記回動機構５は２個のスラストベアリング52、53を採用しているので、前記回 動操作が軽快である。しかも、前記実施例においてはシート台部３の前記基台２ との対向面、すなわち下面側に回動補助機構たる４個のローラ33Ａ，33Ｂ，33Ｃ ，33Ｄが、前記シート台部３の回動に応じた所定の角度をもって設置されている ので、前記前記シート台部３の回動が一層軽快であり、しかも回動安定性が良好 である。特にローラ33Ｂ，33Ｃが回動板27，27Ａ上を回動するので回動性が良好 である。

【００１９】 このようにして乗車が完了した後は、前記操作とは逆の操作、すなわち回動レ バー262 Ｂを回動させて前記ストッパーピン26Ｂの係止部261 Ｂと、貫通孔26Ａ の溝部とを一致させ、シート台部３の固定を解除し、着座クッション４とともに シート台部３を時計回りに回動させてシート１を正面に向け、前記アーム24を下 方に回動しての係止部24Ａを係止ピン34に係止させて、最初の状態に復すればよ い。さらに、目的地に到着して降車する際には、ドアを開け同様にして再びシー ト１を反時計方向に概ね90°回転させてロックし、降車させることができる。特 に上述したように本実施例では着座クッション４の長さの概ね３分の１の長さが 閉成時のドアＤの線よりも突出するので、高齢者等、特に足腰が不自由な人や身 体に重度の障害がある人などを下ろす場合にも、体がある程度車外に出た状態で あるので、一人の介護人でも容易に降車させることができる。また、降車させら れる側の人間も、力まかせに引きずりだされるようなことがないので安楽である 。

【００２０】 以上詳述したとおり前記第１実施例の自動車用回転シートは、自動車の床面に 固設された基台２と、前記基台２に回動機構５により回動自在に軸着されたシー ト台部３と、前記シート台部３上に形成された着座クッション４とを備え、前記 シート台部３が基台２の後部のドア側に偏心状態で前記回動機構５により回動自 在に軸着されているので、前記シート台部３がドア側に交叉する方向に回転する と前記着座クッション４が閉成状態におけるドア面よりも突出するので、乗車人 の乗降が容易である。特に足腰が不自由な高齢者等が乗車人であっても１人の介 護人が容易に車外に運びだすことができる。また乗車人も楽である。さらに前記 介護人は運転者が兼務することができる。また、前記着座クッション４の長さの 20〜50％がドア面よりも突出するように前記シート台部３が前記基台２の後部の ドア側に偏心状態で回動自在に軸着されているので、前記着座クッション４が大 きく突出し、乗車人の乗降が一層容易である。さらに基台２には係止部24Ａを有 するアーム24が取付けられ、前記シート台部３に係止ピン34が取付けられている ので、前記係止部24Ａを係止ピン34に係止させることにより前記シート台部３が 走行時等に回動するのを防止することができ、安全性が良好である。そのうえ、 前記基台２に振動防止板25が取付けられているので、走行時の振動が少なく居住 性および乗り心地が良好である。また、シート台部３の基台２との対向面に、前 記シート台部３の回動補助機構たるローラ33Ａ…を有するので、シート台部３の 回動が極めて軽快である。

【００２１】 以上本考案を添付図面を参照してきたが、本考案は前記実施例に限定されるも のではなく、本考案の思想を逸脱しない範囲で種々の応用が可能である。例えば 前記実施例においては、右ハンドルの自動車の場合について説明してきたが、左 ハンドルの自動車にも適用可能である。さらに場合によっては後部シートに取付 けることもできる。

【００２２】

【考案の効果】

本考案の請求項１の自動車用回転シートは、床面に対して回動自在に取付けら れた自動車用回転シートにおいて、前記シートが床面に固設された基台と、前記 基台に回動自在に軸着されたシート台部と、前記シート台部に取付けられた着座 クッションとを備え、前記シート台部が後部のドア側で偏心状態で軸着されてお り、該シート台部がドア側に交叉する方向に回転すると前記着座クッションの前 端部が閉成状態におけるドア面よりも外側に突出するものであるので、乗車人の 乗降が容易である。特に足腰が不自由な高齢者等が乗車人であっても１人の介護 人が容易に車外に運びだすことができる。また乗車人も楽である。さらに前記介 護人は運転者が兼務することができる。

【００２３】 請求項２の自動車用回転シートは、前記シート台部がドア側に交叉する方向に 回転すると前記着座クッションが、該着座クッションの長さの20〜50％がドア面 よりも突出するように前記シート台部が後部のドア側に偏心状態で軸着されてい るので、乗車人の乗降が一層容易である。

【００２４】 請求項３の自動車用回転シートは、前記シート台部に回動を抑止するロック機 構が付設されているので、走行時の安全性が良好である。

【００２５】 請求項４の自動車用回転シートは、前記シート台部の前記基台との対向面に、 前記シート台部の回動補助機構を備えるものであるので、前記シートの回動が軽 快である。

【００２６】 さらに請求項５の自動車用回転シートは、前記基台に前記シート台部の振動防 止機構が付設されているものであるので、シートの居住性および乗り心地が快適 である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例による自動車用回転シート
を示す斜視図である。

【図２】前記第１実施例の自動車用回転シートの基台お
よびシート台部を示す平面図である。

【図３】前記第１実施例の自動車用回転シートの基台お
よびシート台部を示すＡ−Ａ線部分断面図である。

【図４】前記第１実施例の自動車用回転シートの基台お
よびシート台部を示すＢ−Ｂ線部分断面図である。

【図５】前記第１実施例の自動車用回転シートの基台お
よびシート台部を示す分解斜視図である。

【図６】前記第１実施例の自動車用回転シートの回転状
態を示す概略図である。

【符号の説明】

１ 自動車用回転シート ２ 基台 ３ シート台部 ４ 着座クッション 24 アーム（ロック機構） 25 振動防止板（振動防止機構） 33Ａ，33Ｂ，33Ｃ，33Ｄ ローラ（回動補助機構）

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 床面に対して回動自在に取付けられた自
   動車用回転シートにおいて、前記シートが床面に固設さ
   れた基台と、前記基台に回動自在に軸着されたシート台
   部と、前記シート台部に取付けられた着座クッションと
   を備え、前記シート台部が後部のドア側で偏心状態で軸
   着されており、該シート台部がドア側に交叉する方向に
   回転すると前記着座クッションの前端部が閉成状態にお
   けるドア面よりも外側に突出することを特徴とする自動
   車用回転シート。
2. 【請求項２】 前記シート台部がドア側に交叉する方向
   に回転すると前記着座クッションが該着座クッションの
   長さの20〜50％がドア面よりも突出するように前記シー
   ト台部が後部のドア側に偏心状態で軸着されていること
   を特徴とする請求項１記載の自動車用回転シート。
3. 【請求項３】 前記シート台部に回動を抑止するロック
   機構が付設されていることを特徴とする請求項２記載の
   自動車用回転シート。
4. 【請求項４】 前記シート台部の前記基台との対向面
   に、前記シート台部の回動補助機構を備えることを特徴
   とする請求項３記載の自動車用回転シート。
5. 【請求項５】 前記基台に前記シート台部の振動防止機
   構が付設されていることを特徴とする請求項４記載の自
   動車用回転シート。