JP2004016739A - いす式階段昇降機の肘掛け構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】いす式階段昇降機のいすに車いす利用者、身体の弱い高齢者などが乗降する際に、乗降の支障とならないように肘掛けを押し下げ自在として座面に突出物が出ないようにする。
【解決手段】昇降機構上に設置される座席部、足置き台、背もたれ、肘掛け2dを含むいすにおいて、肘掛け2dを押し下げ可能にラチェット機構3を介して座席部に取付ける。ラチェット機構3はラチェット板31の切欠き33に係合する係止爪32をワイヤ37で肘掛け2dの上端部のレバー38に連結し、レバー38を操作して係止爪32を切欠き33から解放することにより肘掛け2dを押し下げ自在に軸3X に取付けられている。
【選択図】 図2
【解決手段】昇降機構上に設置される座席部、足置き台、背もたれ、肘掛け2dを含むいすにおいて、肘掛け2dを押し下げ可能にラチェット機構3を介して座席部に取付ける。ラチェット機構3はラチェット板31の切欠き33に係合する係止爪32をワイヤ37で肘掛け2dの上端部のレバー38に連結し、レバー38を操作して係止爪32を切欠き33から解放することにより肘掛け2dを押し下げ自在に軸3X に取付けられている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、いす式階段昇降機のいすの肘掛け構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
いす式階段昇降機は、福祉施設や各家庭で高齢者や病気の人、けがを負った人、あるいは車いすを利用する身体障害者などが階上へ昇降するため、図8に示すように壁がある場合階段の側壁に沿って取付けられたレールR上でいす2を駆動部を含む昇降機構1によって移動、昇降させて階段を昇降できるよう設置される。いす2は座席部2a、足置き台2b、背もたれ2c、肘掛け2dを一般に備えている。いす2は階段に沿って進行する方向と直交する向きに着席し、いす2の側方に設けた肘掛け2dに腕を置き、あるいはこれを握って姿勢を安定化させるように設けられるのが一般的である。このようないす式階段昇降機のいす肘掛け2dは、図9に示すように、乗降の際に身体に当たらないよう跳ね上げる形式のものが一般に採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような肘掛けを跳ね上げる形式の階段昇降機では、肘掛けを跳ね上げてもいすの座面又は背もたれ面から肘掛けの端部が少しだけ突出する状態に肘掛けがどうしても残る。しかし、いす式階段昇降機を利用する人は、身体の弱った高齢者、あるいは車いす利用の身障者などであり、上記のように突出物が少しでも残った状態ではこれが邪魔になることが多い。利用者はいすに座る、あるいは降りる際に横方向に身体をすべらせて乗降する場合があるからである。
【0004】
又、乗降する際に肘掛けを跳ね上げる操作をする場合、階下で乗り込む際に乗り込む側の肘掛けは大きく跳ね上げることができるが、反対側の肘掛けは昇降レールに干渉するため、大きく跳ね上げることができない。他方で、階上に昇り、いすから降りる際にはレールは水平状態に設置され、このレール端付近で階下での乗込み側と反対側の肘掛けを跳ね上げて横すべりして降りるのが一般的である。従って、通常の乗降では乗り、降りする側の肘掛けを大きく跳ね上げておけば横すべりして乗降することはできる。階上で乗り込み、階下で降りる時も状況は同じである。
【0005】
しかし、万一駆動部等の故障が生じ、階段途中でいすが停止した場合、肘掛けを大きく跳ね上げようとすると昇降レールに干渉し、肘掛けを大きく跳ね上げることができない。このため、乗っている人を横すべりして降ろすことができなくなり、極めて不便である。また、人が乗っていない時は座面と肘掛けを畳んでいる。その時、大きく跳ね上げた肘掛けでは壁がある場合に干渉する恐れがある。
【0006】
この発明は、上述した従来の肘掛けを跳ね上げ式としたいす式階段昇降機の問題に留意して、いすに車いす利用者などが乗降する際に、乗降の支障とならないように肘掛けを押し下げ方向に操作して座面に突出物が出ないようにし、車いす利用者等がより使い易く、スムーズな移乗を可能とするいす式階段昇降機の肘掛け構造を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決する手段として、階段の傾斜に沿って設置されるガイドレールに移動自在に支持され、昇降するための駆動部を有する昇降機構と、この昇降機構に取付けた座席部、足置き台、背もたれ、及び肘掛けを含むいすとを備え、肘掛けは座席部又は背もたれに対し回転制限手段を介して取付けられ、座席部への乗降の際は回転制限手段による肘掛けの係止を解除することにより肘掛けを下げ降ろし方向へ回転自在に構成したいす式階段昇降機の肘掛け構造としたのである。
【0008】
上記構成のいす式階段昇降機によれば、車いす利用者や身体の弱い人にとって乗降の際に障害がなく利用できる。階下又は階上で昇降機のいすに乗降する際に肘掛けは押し下げられて肘掛けが座面より突出しない位置に停止させることができるから、乗降の障害とならないのである。車いす利用者等は、身体を横すべりして座面に移乗するから、座面からあるいは背もたれから突出物が少しでも残っていると、わずかなことで移乗し難いが、肘掛けを座面より下げることによりこのような不都合が解消されつつ、レールや壁との干渉も解消される。
【0009】
【実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は実施形態のいす式階段昇降機の概略構成図である。Rは階段の傾斜に沿って設けられるガイドレールであり、このガイドレールR内に設けられるチェーンにスプロケットを係合させ、このスプロケットを回転駆動する駆動部を有する昇降機構1がガイドレールRに沿って昇降自在に設置される。昇降機構1の収納ケースを支持部材の一部として座席部2a、足置き台2b、背もたれ2c、及び肘掛け2dを有するいす2が昇降機構1に取付けられている。なお、ガイドレールRは階段の傾斜に沿って走行する範囲では斜めに設置されるが、階上では水平に設けられるのが一般的であり、階段の傾斜部では昇降機構1に設置されるいすは、着座したときの向きが階段の昇降方向と直交する向きとなるよう設置される。
【0010】
昇降機構1の収納ケース内には図示しないモータが駆動部として設けられ、その出力軸に減速機を接続して所定の回転数に減速した回転を収納ケース外に設けたスプロケットに伝達して回転させるように構成されているが、その詳細については説明を省略する。なお、図1の(b)図に示すように、一対の肘掛け2d、2dのうちの一方(図示の例では図の左側)の前端に設けた押しボタン2PBを押すことにより上記モータが正転、逆転され、昇降を自由に操作することができる。
【0011】
いす2の座席部2aは、昇降機構1の収納ケースに固定した取付部材3B に固定されて収納ケース上に設置され、取付部材3B と平行に取付けた軸3X の両端に取付けた回転制限手段であるラチェット機構3を介して座席部2aの両端に一対の肘掛け2dが設けられている。この一対の肘掛け2d、2dを下げ降ろし可能とするような機構としたことがこの発明の特徴であり、以下肘掛け2dの詳細について図2〜図5を参照して説明する。なお、肘掛け2dは押しボタンの有無を除いて左右対称であり、機能的には互いに同一であるから、特記する場合を除いて片側について説明する。
【0012】
図示のように、肘掛け2dの下端部は軸3X の軸端部に回転自在に取付けられ、ラチェット機構3を介して回転が制限され、通常は肘掛け2dの先端が水平な状態となるように設定される。ラチェット機構3は、ラチェット板31と係止爪32とから成り、ラチェット板31に形成されている切欠き33に係止爪32が嵌合した状態で肘掛け2dの回転が係止される。ラチェット板31は軸3X に嵌合固定され、軸3X が回転しない限り回転はしない。
【0013】
係止爪32は、中空構造の肘掛け2d内の適宜位置に固定した軸35X の周りに回転自在に取付けられ、軸35X に取付けられたコイルばね35の両端はピン36aと36bとの間に挿置して設けられている。ピン36aは肘掛け2dの内側の側壁に固定され、ピン36bは係止爪32に固定されている。係止爪32は、図示のように側面視形状が略L字状に形成され、その外側コーナ部に係止爪32をラチェット板31の切欠き33から解放するためのワイヤ37の一端が軸37X により連結されている。
【0014】
ワイヤ37は肘掛け2d内を上方へ延び、途中複数箇所に設けたローラ37R で案内されて他端が操作レバー38に連結されている。操作レバー38を実線で示す水平位置から下方へ押し下げると係止爪32が引き上げられ、切欠き33との係合が解除される。操作レバー38を押し下げる力を加えなくなると、コイルバネ35の復元力によりワイヤ37が引き戻されて係止爪32が再び切欠き33に係合する。なお、コイルばね35は肘掛け2dに通常程度の人の腕の重さが加えられても簡単に肘掛け2dの水平部が下がらない程度に常に係止爪32を切欠き33へ押圧する程の大きさの復元力が作用するよう設定されているものとする。
【0015】
ラチェット板31には、上述した肘掛け2dの上端部が水平状態となる位置で係止爪32が嵌合する切欠き33と、座面を上向きに折り畳んだ状態の際、連動した肘掛けが、昇降機構1のレールからの突出量を超えない位置で係止爪32が嵌合する切欠き33の2つが設けられ、肘掛け2dは通常状態と座面と肘掛け2dを収納した際に、肘掛け2dの先端が昇降機構1より突出量が少ない状態の2つの態様を取ることができるようにしている。又、肘掛け2dを押下げた際に、肘掛け2dの傾斜部が水平状態となるようにラチェット板31には突起(ストッパ)34が設けられている。
【0016】
上記突起34には、肘掛け2dを押下げた時、ラチェット板31が肘掛け2dの下部に嵌合するように切込まれた肘掛け下縁2E が当接し、肘掛け2dの傾斜部が水平となる位置に形成されている。なお、ラチェット板31が嵌合する肘掛け2dの下端には、保護カバー3cが被せられているが、図示簡略化のため省略している。又、肘掛け2dの中空断面は矩形状のものを示しているが、ワイヤ37を通すために中空断面であればよく、断面形状は例えば楕円形など任意の形状とすることができる。
【0017】
図6にラチェット機構3の一部変形例の構成を示す。この変形例では、係止爪32の回転中心の軸35X が肘掛け2dの中心線を中心として対称な位置に設けられている点が図3に示す第1実施形態と異なる。係止爪32の形状は第1実施形態と同じであり取付方向を逆向きにしている。又、ラチェット板31の切欠き33は傾斜端が逆の関係に形成されている。
【0018】
係止爪32が切欠き33に嵌合した状態(実線で示す)では係止爪32の端が切欠き33の傾斜端に当接し、係止爪32を解放するときは、肘掛け2dを若干上方へ持上げることにより係止爪32を切欠33の傾斜端との間を離し、この状態で係止爪32をワイヤ37で引上げることにより係止爪32を切欠き33から解放できる。なお、切欠き33の傾斜端は直線状でなくても係止爪32の端形状に合わせて曲線状に形成してもよい。
【0019】
上記の構成とした実施形態のいす式階段昇降機は、通常使用時には従来の昇降機と同様に座面及び肘掛け2dの水平部を水平に保持して使用される。昇降機へ階下又は階上で乗降する際に、特に身体の弱い高齢者や車いすから乗り移る人は座面に対し身体を横すべりさせて乗降する。このとき乗降の支障とならないように肘掛け2dは、この実施形態では下げ降ろして使用される。下げ降ろした肘掛け2dは、図7に示すように水平部が下向きで、傾斜部が水平状態となり、従って傾斜部は一時的に座面の一部となって乗降が容易となる。
【0020】
肘掛け2dを下げ降ろす際は、前述したように操作レバー38を押し下げると、係止爪32がラチェット板31の切欠き33から解放され、肘掛け2dを押し下げることができる。肘掛け2dをその傾斜部が座面と平行に水平状態となるまで押し下げると操作レバー38への押下げ力を停止させる。肘掛け2dの下部に嵌合するように切り込まれた肘掛け下縁2E が突起34に当接し、肘掛け2dは傾斜部が水平状態に保持される。従って、この状態で身体の弱い人あるいは車いす利用者は身体を横すべりさせて乗降する。乗り込んだ状態では操作レバー38を操作し、かつ肘掛け2dを持上げて、水平部が水平となるように操作することは勿論である。
【0021】
なお、座席部2aには軸3X が取付けられ、軸3X を取付部材3B に対し回転自在に支持することによって通常は座面が水平となるように座席部2aは取付けられているが、不使用時には座席部2aを上向きに折り畳んで置くことがある。このときも、肘掛け2dは一旦通常状態から押し下げて係止爪32と切欠き33が係合し、この状態で座席部2aを跳ね上げると、肘掛けも連動して一緒に持上げられる。
【0022】
又、図7中には肘掛け2dを跳ね上げる従来例の状態を参考として示している。(イ)は従来一般的に跳ね上げた場合、(ロ)は大きく跳ね上げた場合を示す。(ロ)の状態は壁に干渉する虞れがあるが、レールRに干渉しない位置で回転させる場合に可能である。但し、回転制限手段としてのラチェット機構はこの実施形態のものと異なる。
【0023】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、この発明のいす式階段昇降機の肘掛け構造はいすを構成する部材のうち肘掛けを座席部又は背もたれに対し回転制限手段を介して取付け、乗降の際肘掛けの係止を解除して下げ方向へ回転させるように構成したから、着座したときは通常通りの肘掛けであることは勿論、乗降の際は肘掛けを下げ降ろしすると座面より突出する物がないため、車いす利用者等が移乗するのが容易となり、スムーズな移乗が可能となるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のいす式階段昇降機の概略構成図
【図2】昇降機のいす肘掛けの部分拡大図
【図3】肘掛け基部とラチェット機構の拡大図
【図4】図3の矢視IV−IVから見た部分断面図を含む側面図
【図5】図3のラチェット機構の外観斜視図
【図6】図3のラチェット機構の変形例の側面図
【図7】肘掛けの作用の説明図
【図8】従来例のいす式階段昇降機の階段への設置状態を示す外観斜視図
【図9】同上の昇降機とレールの関係を示す外観斜視図
【符号の説明】
1 昇降機構
2 いす
2a 座席部
2b 足置き台
2c 背もたれ
2d 肘掛け
31 ラチェット板
32 係止爪
33 切欠き
34 突起
35 コイルばね
36a、36b ピン
37 ワイヤ
【発明の属する技術分野】
この発明は、いす式階段昇降機のいすの肘掛け構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
いす式階段昇降機は、福祉施設や各家庭で高齢者や病気の人、けがを負った人、あるいは車いすを利用する身体障害者などが階上へ昇降するため、図8に示すように壁がある場合階段の側壁に沿って取付けられたレールR上でいす2を駆動部を含む昇降機構1によって移動、昇降させて階段を昇降できるよう設置される。いす2は座席部2a、足置き台2b、背もたれ2c、肘掛け2dを一般に備えている。いす2は階段に沿って進行する方向と直交する向きに着席し、いす2の側方に設けた肘掛け2dに腕を置き、あるいはこれを握って姿勢を安定化させるように設けられるのが一般的である。このようないす式階段昇降機のいす肘掛け2dは、図9に示すように、乗降の際に身体に当たらないよう跳ね上げる形式のものが一般に採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような肘掛けを跳ね上げる形式の階段昇降機では、肘掛けを跳ね上げてもいすの座面又は背もたれ面から肘掛けの端部が少しだけ突出する状態に肘掛けがどうしても残る。しかし、いす式階段昇降機を利用する人は、身体の弱った高齢者、あるいは車いす利用の身障者などであり、上記のように突出物が少しでも残った状態ではこれが邪魔になることが多い。利用者はいすに座る、あるいは降りる際に横方向に身体をすべらせて乗降する場合があるからである。
【0004】
又、乗降する際に肘掛けを跳ね上げる操作をする場合、階下で乗り込む際に乗り込む側の肘掛けは大きく跳ね上げることができるが、反対側の肘掛けは昇降レールに干渉するため、大きく跳ね上げることができない。他方で、階上に昇り、いすから降りる際にはレールは水平状態に設置され、このレール端付近で階下での乗込み側と反対側の肘掛けを跳ね上げて横すべりして降りるのが一般的である。従って、通常の乗降では乗り、降りする側の肘掛けを大きく跳ね上げておけば横すべりして乗降することはできる。階上で乗り込み、階下で降りる時も状況は同じである。
【0005】
しかし、万一駆動部等の故障が生じ、階段途中でいすが停止した場合、肘掛けを大きく跳ね上げようとすると昇降レールに干渉し、肘掛けを大きく跳ね上げることができない。このため、乗っている人を横すべりして降ろすことができなくなり、極めて不便である。また、人が乗っていない時は座面と肘掛けを畳んでいる。その時、大きく跳ね上げた肘掛けでは壁がある場合に干渉する恐れがある。
【0006】
この発明は、上述した従来の肘掛けを跳ね上げ式としたいす式階段昇降機の問題に留意して、いすに車いす利用者などが乗降する際に、乗降の支障とならないように肘掛けを押し下げ方向に操作して座面に突出物が出ないようにし、車いす利用者等がより使い易く、スムーズな移乗を可能とするいす式階段昇降機の肘掛け構造を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決する手段として、階段の傾斜に沿って設置されるガイドレールに移動自在に支持され、昇降するための駆動部を有する昇降機構と、この昇降機構に取付けた座席部、足置き台、背もたれ、及び肘掛けを含むいすとを備え、肘掛けは座席部又は背もたれに対し回転制限手段を介して取付けられ、座席部への乗降の際は回転制限手段による肘掛けの係止を解除することにより肘掛けを下げ降ろし方向へ回転自在に構成したいす式階段昇降機の肘掛け構造としたのである。
【0008】
上記構成のいす式階段昇降機によれば、車いす利用者や身体の弱い人にとって乗降の際に障害がなく利用できる。階下又は階上で昇降機のいすに乗降する際に肘掛けは押し下げられて肘掛けが座面より突出しない位置に停止させることができるから、乗降の障害とならないのである。車いす利用者等は、身体を横すべりして座面に移乗するから、座面からあるいは背もたれから突出物が少しでも残っていると、わずかなことで移乗し難いが、肘掛けを座面より下げることによりこのような不都合が解消されつつ、レールや壁との干渉も解消される。
【0009】
【実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は実施形態のいす式階段昇降機の概略構成図である。Rは階段の傾斜に沿って設けられるガイドレールであり、このガイドレールR内に設けられるチェーンにスプロケットを係合させ、このスプロケットを回転駆動する駆動部を有する昇降機構1がガイドレールRに沿って昇降自在に設置される。昇降機構1の収納ケースを支持部材の一部として座席部2a、足置き台2b、背もたれ2c、及び肘掛け2dを有するいす2が昇降機構1に取付けられている。なお、ガイドレールRは階段の傾斜に沿って走行する範囲では斜めに設置されるが、階上では水平に設けられるのが一般的であり、階段の傾斜部では昇降機構1に設置されるいすは、着座したときの向きが階段の昇降方向と直交する向きとなるよう設置される。
【0010】
昇降機構1の収納ケース内には図示しないモータが駆動部として設けられ、その出力軸に減速機を接続して所定の回転数に減速した回転を収納ケース外に設けたスプロケットに伝達して回転させるように構成されているが、その詳細については説明を省略する。なお、図1の(b)図に示すように、一対の肘掛け2d、2dのうちの一方(図示の例では図の左側)の前端に設けた押しボタン2PBを押すことにより上記モータが正転、逆転され、昇降を自由に操作することができる。
【0011】
いす2の座席部2aは、昇降機構1の収納ケースに固定した取付部材3B に固定されて収納ケース上に設置され、取付部材3B と平行に取付けた軸3X の両端に取付けた回転制限手段であるラチェット機構3を介して座席部2aの両端に一対の肘掛け2dが設けられている。この一対の肘掛け2d、2dを下げ降ろし可能とするような機構としたことがこの発明の特徴であり、以下肘掛け2dの詳細について図2〜図5を参照して説明する。なお、肘掛け2dは押しボタンの有無を除いて左右対称であり、機能的には互いに同一であるから、特記する場合を除いて片側について説明する。
【0012】
図示のように、肘掛け2dの下端部は軸3X の軸端部に回転自在に取付けられ、ラチェット機構3を介して回転が制限され、通常は肘掛け2dの先端が水平な状態となるように設定される。ラチェット機構3は、ラチェット板31と係止爪32とから成り、ラチェット板31に形成されている切欠き33に係止爪32が嵌合した状態で肘掛け2dの回転が係止される。ラチェット板31は軸3X に嵌合固定され、軸3X が回転しない限り回転はしない。
【0013】
係止爪32は、中空構造の肘掛け2d内の適宜位置に固定した軸35X の周りに回転自在に取付けられ、軸35X に取付けられたコイルばね35の両端はピン36aと36bとの間に挿置して設けられている。ピン36aは肘掛け2dの内側の側壁に固定され、ピン36bは係止爪32に固定されている。係止爪32は、図示のように側面視形状が略L字状に形成され、その外側コーナ部に係止爪32をラチェット板31の切欠き33から解放するためのワイヤ37の一端が軸37X により連結されている。
【0014】
ワイヤ37は肘掛け2d内を上方へ延び、途中複数箇所に設けたローラ37R で案内されて他端が操作レバー38に連結されている。操作レバー38を実線で示す水平位置から下方へ押し下げると係止爪32が引き上げられ、切欠き33との係合が解除される。操作レバー38を押し下げる力を加えなくなると、コイルバネ35の復元力によりワイヤ37が引き戻されて係止爪32が再び切欠き33に係合する。なお、コイルばね35は肘掛け2dに通常程度の人の腕の重さが加えられても簡単に肘掛け2dの水平部が下がらない程度に常に係止爪32を切欠き33へ押圧する程の大きさの復元力が作用するよう設定されているものとする。
【0015】
ラチェット板31には、上述した肘掛け2dの上端部が水平状態となる位置で係止爪32が嵌合する切欠き33と、座面を上向きに折り畳んだ状態の際、連動した肘掛けが、昇降機構1のレールからの突出量を超えない位置で係止爪32が嵌合する切欠き33の2つが設けられ、肘掛け2dは通常状態と座面と肘掛け2dを収納した際に、肘掛け2dの先端が昇降機構1より突出量が少ない状態の2つの態様を取ることができるようにしている。又、肘掛け2dを押下げた際に、肘掛け2dの傾斜部が水平状態となるようにラチェット板31には突起(ストッパ)34が設けられている。
【0016】
上記突起34には、肘掛け2dを押下げた時、ラチェット板31が肘掛け2dの下部に嵌合するように切込まれた肘掛け下縁2E が当接し、肘掛け2dの傾斜部が水平となる位置に形成されている。なお、ラチェット板31が嵌合する肘掛け2dの下端には、保護カバー3cが被せられているが、図示簡略化のため省略している。又、肘掛け2dの中空断面は矩形状のものを示しているが、ワイヤ37を通すために中空断面であればよく、断面形状は例えば楕円形など任意の形状とすることができる。
【0017】
図6にラチェット機構3の一部変形例の構成を示す。この変形例では、係止爪32の回転中心の軸35X が肘掛け2dの中心線を中心として対称な位置に設けられている点が図3に示す第1実施形態と異なる。係止爪32の形状は第1実施形態と同じであり取付方向を逆向きにしている。又、ラチェット板31の切欠き33は傾斜端が逆の関係に形成されている。
【0018】
係止爪32が切欠き33に嵌合した状態(実線で示す)では係止爪32の端が切欠き33の傾斜端に当接し、係止爪32を解放するときは、肘掛け2dを若干上方へ持上げることにより係止爪32を切欠33の傾斜端との間を離し、この状態で係止爪32をワイヤ37で引上げることにより係止爪32を切欠き33から解放できる。なお、切欠き33の傾斜端は直線状でなくても係止爪32の端形状に合わせて曲線状に形成してもよい。
【0019】
上記の構成とした実施形態のいす式階段昇降機は、通常使用時には従来の昇降機と同様に座面及び肘掛け2dの水平部を水平に保持して使用される。昇降機へ階下又は階上で乗降する際に、特に身体の弱い高齢者や車いすから乗り移る人は座面に対し身体を横すべりさせて乗降する。このとき乗降の支障とならないように肘掛け2dは、この実施形態では下げ降ろして使用される。下げ降ろした肘掛け2dは、図7に示すように水平部が下向きで、傾斜部が水平状態となり、従って傾斜部は一時的に座面の一部となって乗降が容易となる。
【0020】
肘掛け2dを下げ降ろす際は、前述したように操作レバー38を押し下げると、係止爪32がラチェット板31の切欠き33から解放され、肘掛け2dを押し下げることができる。肘掛け2dをその傾斜部が座面と平行に水平状態となるまで押し下げると操作レバー38への押下げ力を停止させる。肘掛け2dの下部に嵌合するように切り込まれた肘掛け下縁2E が突起34に当接し、肘掛け2dは傾斜部が水平状態に保持される。従って、この状態で身体の弱い人あるいは車いす利用者は身体を横すべりさせて乗降する。乗り込んだ状態では操作レバー38を操作し、かつ肘掛け2dを持上げて、水平部が水平となるように操作することは勿論である。
【0021】
なお、座席部2aには軸3X が取付けられ、軸3X を取付部材3B に対し回転自在に支持することによって通常は座面が水平となるように座席部2aは取付けられているが、不使用時には座席部2aを上向きに折り畳んで置くことがある。このときも、肘掛け2dは一旦通常状態から押し下げて係止爪32と切欠き33が係合し、この状態で座席部2aを跳ね上げると、肘掛けも連動して一緒に持上げられる。
【0022】
又、図7中には肘掛け2dを跳ね上げる従来例の状態を参考として示している。(イ)は従来一般的に跳ね上げた場合、(ロ)は大きく跳ね上げた場合を示す。(ロ)の状態は壁に干渉する虞れがあるが、レールRに干渉しない位置で回転させる場合に可能である。但し、回転制限手段としてのラチェット機構はこの実施形態のものと異なる。
【0023】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、この発明のいす式階段昇降機の肘掛け構造はいすを構成する部材のうち肘掛けを座席部又は背もたれに対し回転制限手段を介して取付け、乗降の際肘掛けの係止を解除して下げ方向へ回転させるように構成したから、着座したときは通常通りの肘掛けであることは勿論、乗降の際は肘掛けを下げ降ろしすると座面より突出する物がないため、車いす利用者等が移乗するのが容易となり、スムーズな移乗が可能となるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のいす式階段昇降機の概略構成図
【図2】昇降機のいす肘掛けの部分拡大図
【図3】肘掛け基部とラチェット機構の拡大図
【図4】図3の矢視IV−IVから見た部分断面図を含む側面図
【図5】図3のラチェット機構の外観斜視図
【図6】図3のラチェット機構の変形例の側面図
【図7】肘掛けの作用の説明図
【図8】従来例のいす式階段昇降機の階段への設置状態を示す外観斜視図
【図9】同上の昇降機とレールの関係を示す外観斜視図
【符号の説明】
1 昇降機構
2 いす
2a 座席部
2b 足置き台
2c 背もたれ
2d 肘掛け
31 ラチェット板
32 係止爪
33 切欠き
34 突起
35 コイルばね
36a、36b ピン
37 ワイヤ
Claims (4)
- 階段の傾斜に沿って設置されるガイドレールに移動自在に支持され、昇降するための駆動部を有する昇降機構と、この昇降機構に取付けた座席部、足置き台、背もたれ、及び肘掛けを含むいすとを備え、肘掛けは座席部又は背もたれに対し回転制限手段を介して取付けられ、座席部への乗降の際は回転制限手段による肘掛けの係止を解除することにより肘掛けを下げ降ろし方向へ回転自在に構成したいす式階段昇降機の肘掛け構造。
- 前記肘掛けを座席部又は背もたれに固定した軸に対し回転自在に取付け、肘掛けの下端部に回転制限手段を係合させて肘掛けの回転、係止を自在に構成したことを特徴とする請求項1に記載のいす式階段昇降機の肘掛け構造。
- 前記回転制限手段をラチェット板とその切欠きに係合する係止爪とから成るラチェット機構としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のいす式階段昇降機の肘掛け構造。
- 前記係止爪を肘掛け下端内に取付け、肘掛け先端に取付けた操作レバーとの間をワイヤで連結し、ラチェット板を座席部又は背もたれに固定した軸に固定し、ラチェット板の切欠きに係合する係止爪を操作レバーにより回転させてラチェット機構による肘掛けの係止を解除自在としたことを特徴とする請求項3に記載のいす式階段昇降機の肘掛け構造。
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