JP2671098B2 - 階段昇降装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は階段昇降装置に関し、
特には車椅子に座ったままで昇降することのできる階段
昇降装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】たとえば、足や腰が不自由で独力で歩行
することが困難な人にとっては、車椅子が足の代わりと
なっている。このような人々にとって、階段の昇り降り
は大変大きな問題となっている。かかる人々が、一階と
二階とを行き来する場合には、それぞれの階に車椅子を
用意しておき、階段を介護者に抱えられるなどして昇降
しその階の車椅子へと移動することが多い。しかるに、
このような方法では、介護者の労力は並大抵のものでは
ないばかりか、身体の不自由な人々が好きな時に自由に
行き来することができないため、行動範囲を狭める原因
となっている。

【０００３】そのため、近年になって、階段の壁面にレ
ール部材を設けるとともに前記レール部材に沿って移動
する椅子を取り付け、モーターなどによって前記椅子を
階段の上下間で昇降させる装置が提案されている。この
装置によれば、たとえば一階から二階へ移動する場合、
使用者は一階の階段入口で車椅子を降り昇降用椅子へ移
る。そして、前記椅子または壁面に設けられたスイッチ
によって昇降用椅子を二階へ移動させる。二階の階段入
口には、二階用の車椅子が用意してあり、使用者はこの
二階用車椅子に乗り移るようになっている。

【０００４】しかしながら、このような従来の昇降装置
の構造にあっては、階段の上下で昇降用の椅子からそれ
ぞれの階の車椅子に移動しなければならかった。このよ
うな動作は、身体の不自由な人にとっては極めて困難で
転落などの危険を伴うばかりか、時には介護者の補助が
必要な場合がある。また、車椅子を階段の上下にそれぞ
れ用意しなければならないという問題もある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、このよう
な問題を解決するために提案されたものであって、身体
の不自由な人が、いちいち車椅子から降りることなく階
段を昇降することのできる階段の昇降装置を提供しよう
とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
階段両脇の上方に該階段に沿って設けられたガイドレー
ルと、前記ガイドレールに懸垂されて駆動手段により前
記階段上を昇降するフレームと、前記フレームの一側部
の上下中間部に上下方向へ回動可能に一端が取り付けら
れて該フレームの前記一側部と対向する側部の上下中間
部に他端が係止可能にされた乗員保護枠と、前記フレー
ムの一側部の下端に上下方向へ回動可能に一端が取り付
けられて該フレームの前記側部と対向する側部の下端に
他端が係止可能にされた車椅子載置プレートとよりなる
階段昇降装置に係る。

【０００７】

【実施例】以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説
明する。図１はこの発明の階段昇降装置の一例を示す斜
視図、図２はその２−２線における断面図、図３はこの
発明装置の使用状態を示す図である。

【０００８】図１および図２に示されるように、この発
明の階段昇降装置１０は、ガイドレール１１，１１とフ
レーム１２と乗員保護枠１３と車椅子載置プレート１４
とからなり、身体の不自由な人が車椅子ごと階段の上下
を行き来することができるようになっている。

【０００９】ガイドレール１１，１１は階段２０の両脇
上方で、当該階段２０に沿って設けられている。この例
では、階段に設けられている手すりにレール溝を形成
し、ガイドレール１１，１１として用いている。このガ
イドレール１１には、フレーム１２がころ部材１５を介
して取り付けられている。

【００１０】フレーム１２は、前記ガイドレール１１，
１１からそれぞれ二本づつ下方に懸垂され、後記する車
椅子載置プレート１４の四隅を支持固定するとともに、
駆動手段２５により、階段上を階上と階下の間で昇降す
るように構成されている。

【００１１】ここで、駆動手段２５について説明する。
この駆動手段２５は、巻き上げ機２６とロープまたはワ
イヤー２７と図示しないモーターとからなる公知のウイ
ンチ機構よりなり、前記フレーム１２の適宜位置に設け
られたスイッチ２８の作動によって、前記フレーム１２
をガイドレール１１に沿って上下に昇降させる。なお、
このスイッチ２８は、階上および階下の壁面などにそれ
ぞれ設けてもよい。また、前記駆動手段２５は前記した
ウインチ機構に限られるものではなく、ガイドレール１
１にラックを設け、フレーム１２には前記ラックに噛み
合って回転するピニオンを設け、前記ピニオンをモータ
ーによって回転させてもよい。

【００１２】前記フレーム１２の上下中間部には乗員保
護枠１３が設けられている。この乗員保護枠１３は、昇
降する使用者を囲んで転落などの危険から守るととも
に、前記使用者が昇降する際に身体を支える手すりとし
て用いるためのもので、略四角形状に形成され、片側の
フレーム１２ａ，１２ａ側部にその一辺を上下方向に回
動可能に取り付けられている。符号１６，１６はその蝶
番部材である。一方、前記乗員保護枠１３が取り付けら
れたフレーム１２ａと対向するフレーム１２ｂの中間に
は、係止部１７が設けられている。この係止部１７はフ
レーム１２ｂからフレーム１２ａ方向に突出して設けら
れており、回動する前記乗員保護枠１３をその位置で係
止することができるようになっている。なお、昇降時の
振動などによって、当該乗員保護枠１３が容易に外れる
ことのないように、掛け金などを並設することが好まし
い。

【００１３】車椅子載置プレート１４は前記フレーム１
２の一側部下端に設けられている。この車椅子載置プレ
ート１４は、乗員を車椅子ごと乗せて階上または階下へ
運ぶためのもので、木または金属板などが適宜の大きさ
に形成されている。前記車椅子載置プレート１４は、前
記乗員保護枠１３と同様に、一端が蝶番部材１８を介し
て上下方向に回動可能に取り付けられているとともに、
他端が対向するフレームの下端に係止可能に設けられて
いる。符号１９は係止突部、２９は車椅子載置プレート
に設けられ前記係止突部１９が係合する係止溝である。

【００１４】また、この乗員保護枠１３および車椅子載
置プレート１４は、階段昇降装置１０を用いない時には
健常者の通行の妨げにならないように、図の鎖線で示さ
れるように、フレーム１２上方に持ち上げて畳んでおく
ことができる。なお、図示は省略するが、安全のため、
フレーム１２などに、畳んだ前記乗員保護枠１３および
車椅子載置プレート１４を固定する掛け金などを設けて
おくことはいうまでもない。

【００１５】図３にこの発明の階段昇降装置の使用状態
を示す。図中の符号で図１および図２と同一の符号は同
一の部材を示す。たとえば、階下から階上へ移動する場
合、使用者は車椅子載置プレート１４を回動させ対向す
るフレーム下端にセットする。そして、車椅子ごと前記
車椅子載置プレート１４上に移動し乗員保護枠１３を回
動させ、当該枠内に使用者が入った状態でフレーム中間
に係止させる。しかる後、図の一点鎖線に示されるよう
に、フレーム上のスイッチ２８により駆動手段２５を作
動させ、フレーム１２および車椅子載置プレート１４を
ガイドレール１１に沿って階上へ移動させる。階上へ着
いたところで、使用者は前記乗員保護枠１３を持ち上げ
て、車椅子ごと車椅子載置プレート１４より降りること
ができる。

【００１６】

【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の
階段昇降装置によれば、使用者が車椅子に乗ったままで
階段を安全かつ自由に昇降することができるので、身体
の不自由な人の行動範囲を広げるとともに、介護者の負
担を大幅に軽減することができる。また、装置は簡便な
構造であり、家庭用として好適に用いることができる上
折り畳み式であるので、通常の階段の使用には何らの支
障もない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の階段昇降装置の一例を示す斜視図で
ある。

【図２】その２−２線における断面図である。

【図３】この発明装置の使用状態を示す図である。

【符号の説明】

１０ 階段昇降装置 １１ ガイドレール １２ フレーム １３ 乗員保護枠 １４ 車椅子載置プレート ２０ 階段 ２５ 駆動手段

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 階段両脇の上方に該階段に沿って設けら
   れたガイドレールと、前記ガイドレールに懸垂されて駆
   動手段により前記階段上を昇降するフレームと、前記フ
   レームの一側部の上下中間部に上下方向へ回動可能に一
   端が取り付けられて該フレームの前記一側部と対向する
   側部の上下中間部に他端が係止可能にされた乗員保護枠
   と、前記フレームの一側部の下端に上下方向へ回動可能
   に一端が取り付けられて該フレームの前記側部と対向す
   る側部の下端に他端が係止可能にされた車椅子載置プレ
   ートとよりなる階段昇降装置。