JP2981460B1 - 加工液全卵及びその製造方法 - Google Patents

加工液全卵及びその製造方法

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JP2981460B1 JP10163321A JP16332198A JP2981460B1 JP 2981460 B1 JP2981460 B1 JP 2981460B1 JP 10163321 A JP10163321 A JP 10163321A JP 16332198 A JP16332198 A JP 16332198A JP 2981460 B1 JP2981460 B1 JP 2981460B1
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Abstract

【要約】 【課題】加熱処理しても、起泡性が落ちることなく、製
菓、製パンに用いても、生液全卵を用いた製品と同等以
上の製品が得られる加工液全卵を提供する。 【解決手段】 麦芽糖、乳糖、トレハロース、還元乳
糖、又は、還元麦芽糖等のショ糖以外の二糖類を添加し
てなり、α−アミラーゼ活性がなく、大腸菌群数10個
/g未満、サンプル重量25g当たりサルモネラ菌陰
性、黄色ぶどう球菌及びその他の病原性菌が陰性である
加工液全卵。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱処理しても、
起泡性等の物性が低下しない加工液全卵に関する。
【0002】
【従来の技術】製菓・製パン分野をはじめとして、あら
ゆる食品の素原料として用いられる鶏卵、ひいてはその
内容物のみを集めた液全卵は、重要な蛋白源として有用
である。しかしながら、ここ数年、この鶏卵を原因とし
た食中毒が多発している。鶏卵および液全卵で問題視さ
れている食中毒菌としてはサルモネラ・エンティリティ
ディス(S.E)が挙げられているが、この菌は生液全
卵で60℃、3.5分以上の加熱処理により、液全卵サ
ンプル重量25g当たり陰性にできる事が確認されてい
る。しかしながら、生液全卵を60℃、3.5分以上加
熱処理した場合、わずかではあるが卵蛋白質が熱変性
し、特に製菓・製パン向けでは泡立て時間の遅延や出来
上がった製品の容積の低下および食感の低下等に望まし
くない影響がある。このような加熱処理による蛋白質の
熱変性を抑える方法としては、殺菌の温度条件を緩和す
る方法以外には有効な手段がなかった。また液全卵を凍
結する際、凍結保管時の卵黄の変性を抑える目的でショ
糖が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、温度条
件を緩和することでは、特に夏場の殺菌前の初菌数レベ
ルが高い場合には十分な殺菌効果が得られない。また、
ショ糖を凍結変性防止のために用いる場合、凍結変性を
抑制するに足るショ糖量は液全卵に対し10〜20%程
度以上であるので、この量を添加して加熱殺菌を施す
と、例えばスポンジケーキを製する場合、泡立ちが遅
く、出来上がった製品の容積が生液全卵を用いたものよ
り低くなり、食感もよくない。そして、ショ糖は甘味度
が強いので、甘味度を抑えた製品を製するのには用いる
ことができず、また、スポンジケーキやプリン等に、生
液全卵に代えてショ糖入り殺菌液全卵を用いた場合、砂
糖量を計算し直さないと、甘過ぎた製品になってしまう
等、味のバランスが崩れてしまうものとなる。
【0004】よって本発明は、加熱処理しても、起泡性
等の物性が良好であり、また、甘味度を抑えた製品にも
用いることができ、そして、生液全卵に代えて使用して
も配合等の調整を必要としない、加熱処理した加工液全
卵及びその製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の目的を
達成するために種々検討した結果本発明に到達した。す
なわち、本発明は、マルトース及び/又はトレハロー
スを液全卵に対し3〜8重量%添加してなる液全卵であ
って、α−アミラーゼ活性がなく、大腸菌群数10個/
g未満、サンプル重量25g当たりサルモネラ菌陰性、
かつ、黄色ぶどう球菌及びその他の病原性菌が陰性であ
る起泡性に優れた加工液全卵、製菓・製パン用である
ことを特徴とする項に記載の加工液全卵、液全卵に
マルトース及び/又はトレハロースを3〜8重量%添加
混合し、60〜70℃で3.5〜10分間程度加熱殺菌
することを特徴とする加工液全卵の製造方法を提供する
ものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。な
お、本発明において、「%」はすべて「重量%」を意味
する。
【0007】本発明における液全卵とは、卵を割卵して
卵殻を除いて得た卵内溶液をいうが、卵黄と卵白の組成
は、もとの卵の組成と同じ組成のものだけに限定される
ものではない。具体的には、例えば、卵を割卵したまま
のものや、一度液卵黄と液卵白に分離した後に再度混合
したもの、あるいは、割卵したままのものに、一度分離
して得た液卵白又は液卵黄を足して混合したもの等をあ
げることができる。なお、用いる卵としては、鶏、鶉、
鴨、アヒル等、食用に供される鳥類の卵があげられ、一
般によく流通している鶏卵を用いるとよい。
【0008】本発明に用いる糖としては、マルトース
(麦芽糖)、トレハロースの1種又は2種を用いるとよ
い。
【0009】また、添加量は液全卵に対して3〜8%で
あると、より望ましい。3%未満であると加熱処理によ
り泡が立ち難くなり、逆に、8%を越えると甘味度の面
から味・風味に影響し、また、相対的に蛋白質含量が少
なくなるため、起泡性や熱凝固性が低下する傾向とな
る。
【0010】本発明においてα−アミラーゼ活性がない
とは、下記の方法に従って測定したヨード−澱粉反応が
起こることをいう。α−アミラーゼ活性は、元来、卵黄
及び卵白の中に存在する澱粉分解酵素が澱粉を分解する
能力のことで、その測定方法は、今井の変法(Poultry S
cience,58(4),815(1979))に準じる。すなわち、卵黄、
卵白あるいはこれらを均一に混合した液全卵を45℃に
加温し、0.7%澱粉水溶液を加えて所定の時間、反応
させる。その後、15%トリクロロ酢酸液を加え蛋白質
を変性凝固させて反応を止め、上澄み液を得る。この上
澄み液に1/1000規定のヨード指示約を加えて発色
させ、585nmでの吸光度を測定する。この際、試料卵
液中にα−アミラーゼ活性が残存していると澱粉が分解
され、ヨード−澱粉反応が起こらず、発色しない。ま
た、α−アミラーゼ活性がないと、澱粉は分解されず
に、発色する。この発色の度合いを比較して、加熱され
ているか確認する指標とすることができる。つまり、α
−アミラーゼ活性は熱の影響を受け、液全卵において
は、56℃を境にして高温になると急激に低下し、ヨー
ド−澱粉反応を示すようになる。58℃、5分間の条件
では薄紫色を呈し、60℃以上になると青紫色に発色
し、α−アミラーゼ活性がないことを示す。未加熱の液
全卵はヨード−澱粉反応の発色がなく、α−アミラーゼ
活性があることを示す。なお、上記58℃、5分間加熱
した加工液全卵のように、実際にはα−アミラーゼ活性
を若干有するが、ヨード−澱粉反応で薄紫色を呈するも
のは、本発明のα−アミラーゼ活性がない加工液全卵に
含まれるものとする。
【0011】本発明の加工液全卵は、後述の製造方法で
述べるようにα−アミラーゼ活性がなくなる程度に加熱
することにより得られるが、そのような加熱でも、起泡
性が落ちることなく、良好な物性を示すものである。特
に、製菓、製パンに本発明の加工液全卵を用いても、出
来上がった製品の容積が、従来の加熱された液全卵を用
いたもののように低くならず、食感もよく、高品位の製
菓・製パンを製することができるものである。なかで
も、特に卵の泡立ち性 (起泡性)を必要とする共立て
法スポンジケーキ、共立て法長崎カステラ、蒸しケー
キ、ドラ焼き、ブッセケーキ等に好適である。
【0012】本発明の加工液全卵は、細菌数で大腸菌群
数が10個/g未満で、サルモネラ・エンティリティデ
ィスを始めとしたサルモネラ菌がサンプル重量25g当
たり陰性で、かつ黄色ぶどう球菌を始めとした病原性菌
が全て陰性であるものである。このような加工液全卵
は、後述の製造方法で提供が可能である。厚生省の液卵
製造時における指導要領に記載の殺菌液卵の規格に則っ
たもで、殺菌済加工液全卵とすることができ、食中毒
を未然に防ぐことができる加工液全卵を提供できるもの
となる。
【0013】なお、加工液全卵にその他の成分として、
塩類や澱粉類、多糖類、蛋白質類、乳化剤、調味料等を
必要に応じて添加してもよい。
【0014】次に本発明の代表的製造方法について説明
する。卵を割卵し殻を取り除いた液全卵に、マルトー
ス、トレハロースの1種又は2種を、液全卵に対し3〜
8%となるように添加し、撹拌混合して完全に溶解した
後に、60〜70℃になるまで加温し、ついでその温度
で3.5〜10分間程度保持した後、10℃以下になる
まで冷却する。この際、使用する設備としては、例えば
温水又は冷却水が周囲を循環する様式になっているジャ
ケット式の加熱・冷却タンクや、温水又は冷却水の流れ
る部分と製品の流れる部分とが交互に逆向きに流れる様
に組み合わされているプレート式の加熱冷却装置、温水
又は冷却水と製品とが同心円状に組み合わされたチュー
ブ式の加熱冷却装置等がある。
【0015】加熱殺菌の目安としては、加熱殺菌後の細
菌数で大腸菌群数が10個/g未満、サルモネラエンテ
ィリティディスを始めとしたサルモネラ菌がサンプル重
量25g当たり陰性で、かつ黄色ぶどう球菌を始めとし
た病原性菌が全て陰性、つまり、厚生省の液卵製造時に
おける指導要領に記載の殺菌液卵の規格に則ったものに
するとよい。
【0016】
【実施例】以下実施例に従って説明する。 実施例1.新鮮な鶏卵10kgを手割りした後、卵黄と卵
白を均一に攪拌混合し30メッシュストレーナーでろ過
して液全卵8.3kgを得た。この液全卵7.6kgに対し
トレハロース(林原生化学研究所製、商品名:トレハオ
ース)0.4kg添加し、佐竹式攪拌装置を使用して10
分間攪拌混合し、添加したトレハロースが完全に溶解し
ている事を確認した後、この液全卵を62.5±0.5
℃にまで加熱し、この温度で5分間保持して、そのまま
攪拌を続けながら品温が7℃以下になるまで氷水中で冷
却し、本発明の加工液全卵を得た。この加工液全卵の細
菌数は一般生菌数で120個/g、大腸菌群数は10個
/g未満、サルモネラ菌数はサンプル量25gあたり陰
性であり、殺菌済加工液全卵とした。
【0017】実施例2 新鮮な鶏卵2トンを割卵機(キユーピー(株)社製、QP
−N600)を使用して常法通りに割卵し、新鮮な液全
卵約1.7トンを得た。この液全卵のうち1.5トンを攪拌
機付き混合タンクに取り、麦芽糖(林原生化学研究所
製、商品名:粉末マルトース)85kgを投入した後に1
5分間攪拌混合して完全に溶解した。この液全卵を連続
式加熱殺菌装置(岩井機械(株)社製)を使用して6
2.5±0.5℃、5分間の加熱処理後、冷却して本発
明の加工液全卵を製した。加熱殺菌装置の出口での品温
は6.8℃であった。
【0018】この加工液全卵を一旦冷却タンクに取り、
40メッシュストレーナーを用いてろ過した後に所定の
容器に10kgづつ充填して5℃の冷蔵庫で保管した。こ
の時の細菌数は一般生菌数で75個/g、大腸菌群数は
10個/g未満、サルモネラ菌数はサンプル25g当た
り陰性であり、殺菌済加工液全卵とした。
【0019】実施例3 実施例2と同じ方法で得た液全卵1.5トンに対し、トレ
ハロース(林原生化学研究所製、商品名:トレハオー
ス)45kgと、麦芽糖(林原生化学研究所製、商品名:
粉末マルトース)40kgを予め粉体混合しておいたもの
を添加した。加熱殺菌処理と冷却の方法及び条件は、実
施例2と同様に行い、本発明の加工液全卵を製した。こ
の時の細菌数は一般生菌数で68個/g、大腸菌群数は
10個/g未満、サルモネラ菌数はサンプル25g当た
り陰性であった。
【0020】以下、試験例でもってさらに詳しく説明す
る。 試験例1.二糖類の添加量について ショ糖、トレハロース、マルトースの三種類について、
添加量の起泡性と味に対する影響を調べた。
【0021】(配合)液全卵に対し0、1、3、5、
8、10%になるよう加え、完全に混合溶解したのち、
62.5℃、5分間の加熱処理を施した後、10℃以下
まで冷却し、試料液全卵とした。
【0022】(試験方法)カントー20コートミキサー
のミキサーボウルに試料液全卵1500gを入れ、グラ
ニュー糖1350gを加えた。この混合物を30℃に加
温し、ワイヤーホッパーを使用して高速攪拌した。泡比
重が0.300g/mlになる迄の攪拌時間を測定し、泡
立ち性(起泡性)とした。そして、この泡に薄力粉10
00gを加えてスポンジ生地とし、焼成して味のみを比
べた。結果を表1に示す
【0023】表1より、トレハロース又はマルトースを
3〜8%添加すると、泡が立ちやすく、甘さも少ないこ
とがわかる。3%未満又は10%になると泡が立ち難
く、また、ショ糖は甘さが強いことがわかる。
【0024】
【表1】
【0025】実施例1〜3及び下記対照例1〜3の液全
卵を用いて、試験例2〜5の試験を行った。 対照例1 実施例1と同じ方法で得た液全卵を、無加熱、無添加の
まま、生液全卵とした。この生液全卵の細菌数は、一般
生菌数で6.5×104個/g、大腸菌群数は1.5×
102個/g、サルモネラ菌はサンプ ル重量25g当た
り陽性であった。
【0026】対照例2 実施例2と同じ方法で得た液全卵を、無添加のままで、
同じ加熱殺菌装置を使用して60℃、5分間の加熱処理
を施し、同様の容器に充填し、無添加殺菌液全卵とし
た。無添加殺菌液全卵の細菌数は一般生菌数で350個
/g、大腸菌群数は10個/g未満、サルモネラ菌はサ
ンプル重量25g当たり陰性であった。
【0027】対照例3 実施例3と同じ方法で得た液全卵に、ショ糖(台糖
(株)製、上白糖)を5%添加し、完全溶解した後に6
2.5℃、5分間加熱処理を行い、ショ糖添加殺菌液全
卵を得た。このときのショ糖添加殺菌液全卵の細菌数
は、一般生菌数で245個/g、大腸菌群数は10個/
g未満、サルモネラ菌はサンプル重量25g当たり陰性
であった。
【0028】試験例2.共立て法高級スポンジ焼成試験 (配合) 単位(g) 試料液全卵 1500 グラニュー糖 1350 薄力粉 1000 ベーキングパウダー 7.5 溶かしバター 150 水 300
【0029】(工程)試料液全卵とグラニュー糖をミキ
サーボウル(関東混合機(株)社製、20コートミキサ
ー)に入れて撹拌しながら30℃に加温した。ミキサー
本体にセットしワイヤーホイッパーで高速ミキシングし
ながら泡比重で0.300g/mlになるまで泡立てた。
この泡に水、および予め粉体混合しておいた薄力粉とベ
ーキングパウダーを加え、低速で30秒撹拌して均一な状
態にした。さらに溶かしバターを加えてスポンジ生地を
得た。この生地は比重(種比重)で0.450g/mlを
目安とした。
【0030】こうして得たスポンジ生地を直径24cmの
ブリキ製の丸型容器に650g充填し、175℃に設定
したオーブン(三幸機械(株)社製、コンポオーブン)
を使用して30分間焼成し、スポンジを得た。焼成した
スポンジは室温で1晩放置冷却したのち、重量、容積を
測定するとともに、断面の様子や専門のパネラー20人
による風味試験等に供した。結果を表2に示す。
【0031】表2より、通常の殺菌液全卵である対照例
2は泡立て時間が遅くなり、容積、比容積といった外観
上の差も、対照例1とは、大きく異なり、食感、硬さと
いった食べ口も低下した。実施例1〜3については泡立
て時間といった作業性、容積、比容積といった外観、食
感、風味、硬さといった品質面で、対照例1との差が認
められなかった。通常の上白糖を使用した対照例3で
は、砂糖の甘さを強く感じて製品品位の評価は実施例1
〜3よりも低いものであった。
【0032】
【表2】
【0033】なお、表中の泡立て時間は所定の泡比重に
なるまでに要した時間を示す。また、重量、容積は10
個の平均値、比容積は容積の平均値を重量の平均値で除
した数値であり、一定重量あたりの容積を示す。評点は
パネラー20名が10点法で評価した平均値を示す。
【0034】
【0035】(工程)各種試料液全卵と上白糖、水飴、
蜂蜜を縦型ミキサー(関東混合機(株)社製、20コー
トミキサー)に計量し、ホイッパーで攪拌しながら30
℃まで加温した。これをミキサーにセットしワイヤーホ
イッパーを使用して高速で攪拌し、泡比重が0.50g
/mlになるまで泡立てた。所定の泡比重に達した後、薄
力粉を投入し均一に攪拌して種比重0.60g/mlの生
地を得た。この生地をカステラ用の木枠に入れ、カステ
ラ専用のオーブン(南蛮窯製作所製)を使用して常法通
りにカステラを焼成した。焼成後、1晩放置冷却して、
試験例2と同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0036】対照例2の無添加殺菌液全卵(通常殺菌液
全卵)を使用すると泡立て時間が長くなり、カステラは
焼成直後に萎んでしまって高さが低くなり食感も悪くな
る傾向が見られた。また対照例3の上白糖使用時では作
業性や外観上の差は少なくなるものの、褐変が見られた
り甘さのバランスが崩れて味、風味の点での評価が低か
った。これに対し、実施例1〜3のいずれの場合も、泡
立てに要した時間は若干長くなるものの、焼成時間を含
めた作業性や製品の外観、実際の食感、風味、硬さ等に
ついては対照例1の無殺菌のものとの差は特に認められ
なかった。
【0037】
【表3】
【0038】生地粘度はリオン工業(株)製VT-02型低粘
度計で測定、焼成時間はカステラの状態を見ながら焼成
に要した時間。
【0039】試験例4.どら焼き焼成試験 (配合) 単位(g) 薄力粉 3600 試料液全卵 2200 上白糖 3600 清 酒 360 醤 油 150 水 飴 30 重 曹 30 清 水 1800
【0040】(工程)ミキサーボウルに試料液全卵、上
白糖、小麦粉を投入してカントー20コートミキサーに
セットし、ビーターを使用して低速で30秒間攪拌す
る。清酒、醤油、水飴を混ぜて溶かしたものを投入し、
さらに重曹を清水で溶いたものを加えて低速で30秒間
攪拌する。10メッシュのストレーナーで一旦ろ過して
30分間室温で放置する。放置後、180℃に熱した銅
版の上に1枚あたり35gの生地を流して表面を2分3
0秒焼成し、反転して裏面を15秒焼成する。焼成後、
少し冷却してからつぶ餡をはさんでどら焼きとした。室
温で冷却してから袋に入れて1晩放置してから、試験例
2と同様の評価試験を行った。結果を表4に示す。
【0041】どら焼きの場合、先のスポンジケーキやカ
ステラのように泡立ち性は要望されないが、表4に示し
た通りに対照例2の通常無添加殺菌液全卵の場合は生地
粘度が低下する傾向がみられ、同じ生地量を焼成しても
横への広がりが大きく、高さの無い製品になりやすい。
また、どら焼きに特有の縦目にはしった気泡が無くスポ
ンジのような比較的揃った綺目になった。焼成時に薄く
広がるので水分の蒸発量が多く、硬くて締まった食感に
なった。
【0042】上白糖を使用した対照例3は生地状態は対
照例2に近く、対照例2よりは良好であったが、銅版か
らの剥がれが悪く作業性がよく無かった。全体に褐変し
ており黒い感じになった。これらの結果に対して、実施
例1〜3はいずれも生地状態、作業性、製品状態、とも
に対照例1の無殺菌液全卵と同程度であった。また、実
際の食感・風味・硬さといった品質面でも特に顕著な差
は認められず、無殺菌液全卵と同等に使用できるものと
考えられた。
【0043】
【表4】
【0044】製品幅、高さ、水分量は1枚についての測
定値。合計20組(皮40枚)の測定値の平均値で示し
た。
【0045】
【0046】(工程)カントー20コートミキサーのミ
キサーボウルに薄力粉とベーキングパウダー以外の原料
と投入し、ワイヤーホイッパーを使用して低速で30秒
間攪拌する。その中に薄力粉とベーキングパウダーを混
ぜて2回篩い通ししたものを加え、最初は低速で30
秒、次いで中速で種比重0.45g/mlになるまで攪拌
する。
【0047】その生地を口径1cmの口金を付けた絞り袋
にとり、展板に敷いた紙の上に直径3cmの大きさに絞
る。この時の生地重量は約30g前後となる。絞った
後、表面に粉砂糖を振ってから175〜180℃のオー
ブンで10〜12分間焼成してブッセケーキを製した。
熱いあいだに紙から剥がし、室温で1晩放置した後に試
験例2と同様の評価試験を行った。結果を表5に示す。
【0048】表5より、泡立ち性と生地の粘度の安定性
を必要とするブッセケーキに使用した場合、対照例2の
通常の無添加殺菌液全卵では乳化起泡剤を使用している
にもかかわらずに泡の立ちが悪く、また生地の粘度も低
くなった。その影響で製品は縦に膨らまずに横に広が
り、先のどら焼きと同じく水分の飛びが多くなってやや
パサパサした硬めの食感になってしまい、全体の評価は
低かった。対照例3の通常の上白糖を使用した場合は、
やはり対照例1よりも品位は低下した。それと比較し
て、実施例1〜3の場合、特に差は認められずに通常の
無殺菌液全卵と同等以上に使用できるものと考えられ
た。
【0049】
【表5】
【0050】
【発明の効果】以上のとおり、本発明は、加熱処理して
も、起泡性が落ちることなく、良好な物性を示し、ま
た、甘味も少ないため、甘味度を抑えた製品にも用いる
ことができ、したがって、生液全卵に代えて使用しても
配合等の調整を必要としないものである。特に、製菓、
製パンに用いても、出来上がった製品の容積が、従来の
加熱された液全卵を用いたもののように低くならず、食
感もよく、高品位の製菓・製パンを製することができる
ものである。なかでも、特に卵の泡立ち性 (起泡性)
を必要とする共立て法スポンジケーキ、共立て法長崎カ
ステラ、蒸しケーキ、ドラ焼き、ブッセケーキ等に好適
である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マルトース及び/又はトレハロースを液全
    卵に対し3〜8重量%添加してなる液全卵であって、α
    −アミラーゼ活性がなく、大腸菌群数10個/g未満、
    サンプル重量25g当たりサルモネラ菌陰性、かつ、黄
    色ぶどう球菌及びその他の病原性菌が陰性である起泡性
    に優れた加工液全卵。
  2. 【請求項2】製菓・製パン用であることを特徴とする請
    求項1記載の加工液全卵。
  3. 【請求項3】液全卵にマルトース及び/又はトレハロー
    を3〜8重量%添加混合し、60〜70℃で3.5〜
    10分間程度加熱殺菌することを特徴とする加工液全卵
    の製造方法。
JP10163321A 1998-06-11 1998-06-11 加工液全卵及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2981460B1 (ja)

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