JP2002262832A - 濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵 - Google Patents
濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵Info
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Abstract
がよく、卵製品を調製したときに単調な色彩とならず、
凝固した卵白の白色や、卵黄の黄色が濃淡を呈し、外観
や、卵黄と卵白の風味が従来の殺菌液全卵より改善さ
れ、卵黄と卵白の物理的損傷の少ない濃厚卵白入り加熱
殺菌液全卵を提供する。 【解決手段】 濃厚卵白を含む液卵白と液卵黄の不均一
な混合物であって、アミラーゼ活性測定試験における吸
光度が0.3以上を示すことを特徴とする容器詰めして
なる濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵。
Description
化されておらず、割卵した生卵のように、濃厚卵白を保
持している容器詰めしてなる濃厚卵白入り加熱殺菌液全
卵に関する。
という利点から、卵を大量に必要とするような製菓、製
パン業界、卵加工業界等で使用されている。また、市販
されている容器詰めの液卵としては、卵黄と卵白が均質
化された後殺菌された殺菌液全卵、卵を割卵しそのまま
殺菌せずに袋詰めし、含有する卵黄の半分以上の卵黄膜
が破れずに保持された未殺菌ホール液全卵、卵黄と卵白
が均質化された未殺菌液全卵が知られている。近年、産
卵直後の殻付き生卵の内部でも、親鶏の体内でサルモネ
ラに感染している卵があることが明らかになってきた。
特に、容器詰めされた液卵の場合、大量の原料卵を一つ
の容器に詰めているため、原料卵が1個でも汚染されて
いると、容器に詰められている液卵全体に汚染が広がる
可能性が高く、そのため、殺菌された液卵が強く要望さ
れるようになってきた。しかしながら、現状では、殺菌
された液卵を工業的に製造するには、卵黄と卵白の化学
的組成が異なり、熱凝固温度に差があることから、原料
卵を割卵した後、殺菌する前に、卵黄と卵白を均質にな
るまで攪拌混合する必要があった。しかし、攪拌混合を
均質になるまで行うと、卵黄と特に卵白の蛋白質が物理
的損傷を受けるため起泡性が低下し、また、卵黄と卵白
が均一に混合されているため全体が白っぽい黄色一色と
なるので厚焼き卵等の卵加工品を製したときに生卵から
手作りしたものとは明らかに異なった単調な色彩のもの
しか得られなかった。そのため、どら焼、カステラやス
ポンジケーキ等の卵の起泡性に影響を受ける食品や、厚
焼き卵等の卵の風味や色彩に影響を受ける食品は、未殺
菌ホール液全卵や未殺菌液全卵を用いられることが多
く、殺菌液全卵では、機能性の面で満足な結果が得られ
なかった。
かかわらず、起泡性がよく、卵製品を調製したときに単
調な色彩とならず、凝固した卵白の白色や、卵黄の黄色
が濃淡を呈し、外観や、卵黄と卵白の風味が従来の殺菌
液全卵より改善され、卵黄と卵白の物理的損傷の少ない
容器詰めしてなる濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵を提供す
ることを目的とする。
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明は、(1)濃厚卵白を含
む液卵白と液卵黄の不均一な混合物であって、下記アミ
ラーゼ活性測定試験における吸光度が0.3以上を示す
ことを特徴とする容器詰めしてなる濃厚卵白入り加熱殺
菌液全卵、 《アミラーゼ活性試験》 濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵を均質化し、45℃に加
温する。 0.7%可溶性澱粉液を45℃に加温する。 15gと15mlを45℃に加温しながら30分
間反応させる。 反応後のに15%のトリクロロ酢酸溶液5ml加
え、反応を停止させる。 の反応液を濾過し、濾液2.5mlに対して1/1
000mol/lのヨウ素溶液0.5mlを加えて発色
させる。 の585nmにおける吸光度を分光光度計で測定す
る。 (2)濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵を10メッシュの金
網で自重により濾過したときに、濃厚卵白を含む未濾過
物、ただし(卵黄膜の破れていない卵黄を除く)が濃厚
卵白入り加熱殺菌液全卵全体に対して10%以上濾過さ
れず金網上に残る(1)記載の濃厚卵白入り加熱殺菌液
全卵、(3)含有する液卵黄に対して卵黄膜の破れてい
ない卵黄を30%以上含有する(1)記載の濃厚卵白入
り加熱殺菌液全卵を提供することである。
発明において「%」はすべて「質量%」を意味する。本
発明の濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵は濃厚卵白を含む液
卵白と液卵黄の不均一な混合物であり、攪拌して起泡さ
せたときに、起泡性を有する液全卵である。起泡性が失
くなる程度まで加熱され、凝固したものは除く。原料卵
がサルモネラ陽性の場合でも、加熱殺菌されており、後
述の公定法に基づく試験によりサルモネラ陰性を示す。
白を含み、水様卵白は卵黄膜の破れた卵黄成分と混じり
あい、濃厚卵白は卵黄成分と混じることなく、分離可能
な状態であり、少なくとも、本発明の濃厚卵白入り加熱
殺菌液全卵中に目視で確認できる程度の大きさを有す
る。濃厚卵白は、生卵を割卵した時の濃厚卵白の大きさ
を保持している必要はなく、割卵工程、輸送工程、充填
工程、保管工程等で、2分割〜10分割程度に小さくな
っても構わない。小さくなりすぎて卵黄膜の破れた卵黄
成分と混じりあってしまい、目視で濃厚卵白が確認でき
なくなる程度に小さくなった場合は、従来の卵黄と卵白
が均質化された後殺菌された殺菌液全卵のように起泡性
が低下するので好ましくない。本発明の濃厚卵白入り加
熱殺菌液全卵中において、濃厚卵白を含む液卵白は、曇
る程度に白濁していても構わない。濃厚卵白入り加熱殺
菌液全卵として起泡性を有するからである。加熱し過ぎ
て濃厚卵白を含む液卵白が、完全に白色化し、凝固して
しまった場合には、濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵として
起泡性が著しく低下するので、好ましくない。
卵白の望ましい含有量としては、10メッシュ(JIS
規格、目開き1.7mm)の金網で濃厚卵白入り加熱殺
菌液全卵を自重により濾過したときに、濾過されずに金
網上に残っている未濾過物の質量を指標に規定すること
ができる。ただし、この未濾過物には、卵黄膜の破れて
いない卵黄は、除くものとする。前記未濾過物は、主
に、濾過されずに金網上に残った濃厚卵白であり、その
他、微量であるが、破れた卵黄膜やカラザ、金網上に残
った濃厚卵白等に付着している極少量の卵黄成分等が含
まれる。なお、卵黄膜の破れていない卵黄がある場合は
注意深く、卵黄膜が破れないようにして除く。10メッ
シュの金網で濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵を濾過した場
合、主に、卵黄膜の破れた卵黄液と水様卵白の混じりあ
った全卵液が濾過され、また、元は濃厚卵白であって
も、目視で確認できない程度に小さくなった濃厚卵白
が、濾過される。本発明の濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵
を、上記のとおり未濾過物(ただし、卵黄膜の破れてい
ない卵黄は除く)を測定した場合、濃厚卵白入り加熱殺
菌液全卵に対し、未濾過物が10%以上であると望まし
く、また20%以上であると、より望ましい。濃厚卵白
入り加熱殺菌液全卵中に濃厚卵白が多く存在すると、濃
厚卵白入り加熱殺菌液全卵として起泡性が高いからであ
る。なお、未濾過物の含有割合の上限としては、原料卵
の水様卵白の含有率が個体差によっても異なるので一概
には言えないが、濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵に対し約
35%程度となる。
すべて破れていないもの、あるいは、破れているもの、
また、破れているものと破れていないものが混在してい
るものを含み、流動性を示す液状である。加熱され、生
卵黄よりも粘度が上昇しているものも含むものである。
卵黄膜の破れていない卵黄が残っている割合が多いと、
透明の容器に入れたときに容器詰めしてなる濃厚卵白入
り加熱殺菌液全卵自体の見た目が良いばかりか、厚焼き
卵や玉子丼等を調製する際に粗くざっくりかき混ぜる
と、生卵を使用したときのように卵白の白色部分、卵黄
と卵白の混じった薄い黄色の部分から、卵黄の濃い黄色
の部分まで色彩に変化のある卵製品が得られ、外観が生
卵から手作りしたように自然で色彩豊かであるため、望
ましい。そのため、卵黄膜の破れていない卵黄が残って
いる割合としては、濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵に含有
する液卵黄に対して30%以上、より望ましくは50%
以上が望ましい。例えば、原料卵10個を用いて容器詰
めしてなる濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵を調製したとき
に卵黄膜の破れていない卵黄が3個以上残っていれば、
30%以上残っていることになる。
卵の加熱殺菌の指標として、下記アミラーゼ活性測定試
験における吸光度を用いた。本発明のアミラーゼ活性測
定試験における吸光度は、まず、液全卵を液卵黄と液卵
白が均質になるまで攪拌混合を行い試料液全卵とした。
試料液全卵15gを試験管に採り45℃に加温した。そ
こに予め45℃に加温しておいた0.7%可溶性澱粉液
15mlを加え、混合した後に45℃で30分間保持し
た。保持後、15%トリクロロ酢酸溶液5mlを加えて
反応を休止させて反応液を得た。この反応液をろ紙(東
洋ろ紙(株)製NO.2)を用いて濾過し、濾液2.5
mlに対して1/1000mol/lのヨウ素溶液0.
5mlを加えて発色させた。次に、この反応液の585
nmにおける吸光度を分光光度計で測定した。試料液全
卵中にアミラーゼ活性が残っている場合は、加えた可溶
性澱粉は分解され、ヨウ素溶液を加えても発色せず吸光
度は小さくなる。逆に、加熱殺菌処理によってアミラー
ゼ活性が消失もしくは低減されている場合は、加えた可
溶性澱粉は分解されず、ヨウ素澱粉反応により青紫色を
呈し吸光度は大きくなる。本発明の容器詰めしてなる加
熱殺菌液全卵のアミラーゼ活性測定試験における吸光度
は0.3以上が好ましい。吸光度が0.3以上である
と、アミラーゼ活性は極少量であると考えられ、加熱殺
菌前サルモネラが陽性である場合でも、サルモネラが陰
性となるほど充分に加熱殺菌されていることになる。ま
た、加熱殺菌されていたとしても、液全卵の卵黄と卵白
のいずれかが、均一に攪拌混合できない程度に凝固した
り変性している場合は、本発明の濃厚卵白入り加熱殺菌
液全卵に含まれないものとする。なお、加熱され、アミ
ラーゼ活性が完全に失われている場合であると、吸光度
は2.2程度となり、加熱されず、アミラーゼ活性が失
われていない場合であると、吸光度は0.095程度で
あった。なお、本発明のアミラーゼ活性測定試験は、今
井の変法(C.Imai:Poultry Scien
ce,58(4)815−823(1979))に準じ
たものである。
填する容器としては、清浄で、密封でき、通常、食品に
用いることのできる容器であればよく、特に問わない。
また、柔軟性を有する袋容器でもよく、ビンのような形
状の固定された容器を用いてもよい。
表的な製造方法を以下に説明するが、これらの方法に限
定するものではない。まず、原料卵として殻付き生卵を
用意する。必要に応じ、卵殻表面に付着した鶏糞等を除
去するために卵殻表面を洗浄し、次亜鉛塩素酸ナトリウ
ム溶液に浸漬したり、紫外線照射による殺菌処理等をす
るとよい。これを、53.5℃で190分間〜300分
間、54℃で120分間〜200分間、55℃で60分
間〜100分間程度、又は、55.5℃で50分間〜7
0分間程度加熱する。加熱手段は、湯浴、スチーム、シ
ャワー等があるが、特に問わない。次に、加熱した原料
卵を清浄な冷却水中に投入し、卵の温度が5℃程度にな
るまで冷却する。冷却後、卵殻表面に水滴が付着してい
ると割卵時に水滴と共に雑菌が液卵の中に入る恐れがあ
るため、卵殻表面の水滴を除去するとよい。次いで、清
浄な割卵機、清浄な充填機を用いて、容器へ充填し密封
して、容器詰めしてなる濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵と
する。このとき、鮮度の低下を防ぐため、液全卵の品温
は、5℃程度に保ったままが好ましい。
入り加熱殺菌液全卵は、起泡性の優れた濃厚卵白入り加
熱殺菌液全卵であるので、特に製菓・製パン用に好適で
ある。また、どら焼や錦糸卵のような泡立てることなく
調製する食品に使用しても、ふっくらとした製品を得る
ことができる。そして、生卵を用いて家庭で製するよう
な色彩豊かで風味のよい卵製品が得られるので、丼や厚
焼き卵等の卵加工品用にも好適である。
き、さらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限
定されるものではない。
℃、150ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液中に20
秒間浸し殺菌した原料卵50個を用意した。原料卵を温
水の恒温水槽に収容し、55℃で90分間加熱殺菌を行
い、5℃の清浄な冷却水に投入し、卵が5℃となるまで
冷却し、卵殻表面の水分を除去し、濃厚卵白入り加熱殺
菌殻付卵を調製した。濃厚卵白入り加熱殺菌殻付卵を5
℃に保ったまま、清浄な割卵機と清浄な充填機を用いて
割卵、充填し、容器詰めしてなる濃厚卵白入り加熱殺菌
液全卵とした。得られた容器詰めしてなる濃厚卵白入り
加熱殺菌液全卵80gを容器から取り出し、醤油15
g、塩2gを入れて、軽く混ぜ、調味卵とした。出し汁
40gを親子鍋で熱した後、玉葱25gを入れ、調味卵
を流し入れ軽く凝固させ、ご飯にのせ、玉子丼を調製し
た。
熱殺菌液全卵は、卵黄膜の破れていない卵黄が50%
(25個)残っており、濃厚卵白が目視で確認できるも
のであった。また、得られた玉子丼は、卵黄と卵白が残
っているため、白色、濃い黄色と薄い黄色の部分があり
外観の良いものであった。食しても、卵の風味のよい、
おいしいものであった。
5℃、150ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液中に2
0秒間浸し殺菌した原料卵20個を用意した。原料卵を
温水の恒温水槽に収容し、53℃で300分間加熱殺菌
を行い、5℃の清浄な冷却水に投入し、卵が5℃となる
まで冷却し、濃厚卵白入り加熱殺菌殻付卵を調製した。
濃厚卵白入り加熱殺菌殻付卵を5℃に保ったまま、卵殻
表面の水分を除去し、清浄な割卵機と清浄な充填機を用
いて割卵、充填し、容器詰めしてなる濃厚卵白入り加熱
殺菌液全卵を調製した。得られた濃厚卵白入り加熱殺菌
液全卵は、10メッシュのストレーナーで自重により濾
過し、卵黄膜の破れていない卵黄を除いたときに、濃厚
卵白を含む未濾過物が、濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵全
体に対して10%程度残っており、卵黄膜の破れていな
い卵黄が30%残っているものであった。得られた濃厚
卵白入り加熱殺菌液全卵を原料として、下記配合にてど
ら焼を調製した。ミキサーボウルに取り出した濃厚卵白
入り加熱殺菌液全卵、砂糖、薄力粉を入れ、ビーターを
用いて低速で20秒間攪拌し、予め混合しておいた清酒
と水飴を投入し、さらに20秒間、均一になるまで攪拌
した。次に、20メッシュストレーナーを用いて濾過
後、30分間放置して生地を調製した。180〜190
℃に加熱した天板に35g/枚流して、表面を2分30
秒、反転して裏面を30秒焼成し、どら焼の皮を調製し
た。得られたどら焼の皮に市販のこし餡をはさみ、どら
焼を調製した。また、対照として、濃厚卵白入り加熱殺
菌液全卵の変わりに、卵黄と卵白を攪拌混合して均質化
した後、60℃で3.5分間の加熱殺菌を行った殺菌液
全卵を用いて同様にどら焼を調製した。 <配合>(g) 濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵 230 薄力粉 350 砂糖 360 清酒 35 醤油 15 水飴 5 重曹 3 水 180
れたどら焼は、こし餡としっとりとなじみ、どら焼の皮
はふんわりと軟らかいながらも、しっかりとした食べ応
えのあるものであった。また、どら焼の皮を焼成すると
きに、生地がだれず、薄く広がらず、まとまりが良く扱
いやすいものであり、焼成したときのどら焼の皮は厚み
がありふっくらとしたものであった。そして、殺菌液全
卵を用いたどら焼の皮は、濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵
を用いたどら焼の皮と比較して、固く、薄いものであっ
た。
詰めしてなる濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵を調製し、下
記配合にて錦糸卵を調製した。160℃程度に熱したフ
ライパンに薄く食用油を敷き、出し汁と濃厚卵白入り加
熱殺菌液全卵と食塩を予め混合しておいたものを流し入
れ、1〜2分間焼成し、室温になるまで冷却した後、幅
3mm程度の糸状に刻み、錦糸卵を得た。また、対照と
して実施例2と同様にして、殺菌液全卵を調製し、錦糸
卵を得た。 <配合>(g) 濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵 950 出し汁 45 食塩 5
いた錦糸卵は、厚く、ふっくらとして、おいしいもので
あった。そして、対照として、殺菌液全卵を用いた錦糸
卵は、濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵を用いた錦糸卵と比
較して、薄く、固いものであった。
し、卵殻表面を洗浄し、55℃で150ppmの次亜塩
素酸ナトリウム溶液中に20秒間浸し殺菌した後、ドリ
ルで鈍端部に直径1mmの穴を開け、鶏卵より検出され
たSalmonella Enteritidisを卵
の中心部に鶏卵1g当たり4×105となるように、注
射器を用いて添加し、接着剤で穴をふさぎ、接種卵とし
た。次に、接種卵を55℃の恒温水槽に投入し、90間
加熱し、恒温水槽から取りだし、4℃の清水で冷却を行
い、卵殻表面の水分を除去し、殺菌した接種卵を4℃に
保ったまま、清浄な割卵機と清浄な充填機を用い、密閉
容器に充填を行い、容器詰めしてなる濃厚卵白入り加熱
殺菌液全卵を調製した。下記のとおり細菌試験とアミラ
ーゼ活性測定試験を行った。 サルモネラ試験 得られた容器詰めしてなる濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵
が殺菌されているか確認するための試験を行った。公定
法に基づいて、得られた濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵を
ストマッカー袋に入れ、ストマッカー処理を行った後、
そのうち25gのサンプリングをした。その後、常法に
より、EEM培地とラバポート培地による増菌を行い、
XLD培地による画線により陰性か陽性かの確認行っ
た。 アミラーゼ活性測定試験 得られた容器詰めしてなる濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵
を容器から取り出し、液全卵を卵黄と卵白が均質になる
まで攪拌混合を行い、そのうち15gを試験管に採り4
5℃に加温した。そこに予め45℃に加温しておいた
0.7%可溶性澱粉液15mlを加え、混合した後に4
5℃で30分間保持した。保持後、15%トリクロロ酢
酸溶液5mlを加えて反応を休止させて反応液を得た、
この反応液をろ紙(東洋ろ紙(株)製NO.2)を用い
て濾過し、濾液2.5mlに対して1/1000mol
/lのヨウ素溶液0.5mlを加えて発色させた。次
に、この反応液を585nmにおける吸光度を分光光度
計で測定し、アミラーゼ活性の消失の程度を測定した。
なお、未殺菌液全卵をもちいて同様に反応させ、吸光度
を測定したところ、0.095であった。
された本発明品の容器詰めしてなる濃厚卵白入り加熱殺
菌液全卵は、サルモネラが陰性となり、サルモネラ陽性
の原料卵が含まれていたとしても、殺菌され、安全な液
全卵であることが理解できる。また、加熱殺菌されて吸
光度が0.3以上であると、アミラーゼ活性が極少な
く、卵黄と卵白に熱が通り、サルモネラが陰性となって
いることが理解できる。
器詰めしてなる濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵を調製し
た。調製した濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵の起泡性の確
認を行った。 起泡性試験 容器詰めしてなる濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵を袋から
取り出し、均質化後、20メッシュのストレーナーを用
いて濾過し、1500gの殺菌液全卵を得た。次いで、
25℃に加温した後に1350g上白糖を添加し、20
コート縦型ミキサーにて攪拌後、時間ごとに泡の高さ、
及び泡比重を測定した。なお、対照として、同じ大き
さ、同じ産卵日の卵を用いて、未殺菌ホール液全卵と殺
菌液全卵を調製し、同様に上白糖を添加し、起泡性試験
を行った。未殺菌ホール液全卵は、原料卵を加熱殺菌せ
ず、清浄な割卵機と清浄な充填機を用い、密閉容器に充
填を行い調製し、また、殺菌液全卵は、原料卵を割卵
し、卵黄と卵白を均一になるまで攪拌混合し、60℃で
3.5分間攪拌しながら加熱殺菌を行い、清浄な充填機
を用いて充填を行い調製した。
ルの底面から泡表面までの高さを測定したものである。
泡比重(g/ml)は、泡立てた生地を抜き取り、次式
により計算したものである。 {(生地+容器)(g)−容器(g)}/容器の容積
(ml)
は、未殺菌ホール液全卵よりも泡の高さが低くと泡比重
が大きいものの、殺菌液全卵よりも泡の高さが高くと泡
比重が小さいことが分かる。つまり、濃厚卵白入り加熱
殺菌液全卵は、殺菌液全卵よりも起泡性が良いことが理
解できる。また、濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵は、殺菌
液全卵と比較して、泡立て8分間は泡比重が大きいもの
の、10分間以上泡立てると逆転し泡比重が小さくなっ
ていうことが分かる。つまり、濃厚卵白入り加熱殺菌液
全卵は殺菌液全卵よりも泡の持続性があることが理解で
きる。
厚卵白入り加熱殺菌液全卵、殺菌液全卵と未殺菌ホール
液全卵をそれぞれ調製した。濃厚卵白入り加熱殺菌液全
卵、殺菌液全卵と未殺菌ホール液全卵をそれぞれ容器か
ら取り出し、上白糖と混合し、25℃に加温した後、ワ
イヤーホイッパーで14分間攪拌する。次いで、予め混
合し、ふるいにかけておいた薄力粉とベーキングパウダ
ーを加え、牛乳、溶かしバターを加えて、種比重が0.
45〜0.47g/mlの生地を調製した。直径18c
mのスポンジ型に350gずつ充填し、180℃のオー
ブンで30分間焼成し、スポンジケーキを調製した。配
合は下記の通りとした。 <配合> 液卵 1,500g 砂糖 1,350g 薄力粉 1,000g 溶かしバター 150g ベーキングパウダー 5g 水 300g
を用いた容積置換法により測定した。比容積(ml/
g)は、焼きあがったスポンジケーキの質量と容積を測
定し、次式により計算した。 スポンジケーキの容積(ml)/スポンジケーキの質量
(g) 圧縮距離(mm)は、スポンジケーキをレオメーター
(不動工業(株)製NMR−2010J−CW型)で、
直径20mmの円盤型プランジャーを用い、200gの
荷重をかけたときのプランジャーの深度を測定したもの
である。
用いた場合は、殺菌液全卵を用いた場合と比較して容積
と比容積が大きく、未殺菌ホール液全卵を用いた場合に
よりちかく、スポンジケーキのふくらみが良いことが分
かる。また、濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵を用いたスポ
ンジケーキは、殺菌液全卵と比較して圧縮距離が小さ
く、未殺菌ホール液全卵によりちかいことがわかる。ま
た、圧縮距離が小さいほうがより生地がしっかりしてい
て、食べ応えがあることから、濃厚卵白入り加熱殺菌液
全卵を用いたスポンジケーキは、殺菌液全卵を用いた場
合より、しっかりした食べ応えのある生地に仕上がるこ
とが理解できる。
厚卵白入り加熱殺菌液全卵、殺菌液全卵と未殺菌ホール
液全卵をそれぞれ調製した。次に、濃厚卵白入り加熱殺
菌液全卵、殺菌液全卵、未殺菌ホール液全卵それぞれを
20メッシュのストレーナーを通し、濾過した後、それ
ぞれに砂糖、食塩、旨味調味料、水を加えて攪拌し、常
法に従い、厚焼き卵を焼成した。得られた厚焼き卵は焼
成後、24時間冷蔵庫に保管し、風味、外観、食感を比
較した。配合は下記の通りにした。 <配合>(g) 試料卵 990 砂糖 75 食塩 7.5 旨味調味料 1.5 水 411
てもらい、外観、食感、風味の採点を行った。なお、表
に示された数値は平均点であり、評価基準は以下の通り
である。 <外観> 3点 未殺菌ホール液全卵と同程度、自然に卵白が散在
している。 2点 卵白は散在しているもののわずかであり、未殺菌
ホール液全卵よりも劣る。 1点 卵白は全くなく、全体が薄い黄色である。 <食感> 3点 未殺菌ホール液全卵と同程度に食感が軟らかく、
ジューシーで気泡が入り、おいしい。 2点 未殺菌ホール液全卵と同程度の軟らかさがある
が、気泡の入り方が若干劣る。 1点 食感が固く、ジューシーさに欠けて気泡も少な
く、劣る。 <風味> 3点 未殺菌ホール液全卵と同程度に卵の風味があり、
非常においしい。 2点 未殺菌ホール液全卵よりも卵の風味がわずかに乏
しい。 1点 卵風味が乏しく感じる。
は、外観、食感や風味ともに殺菌液全卵と比較して、未
殺菌ホール液全卵にちかいことがわかる。つまり、卵白
が自然に残り外観がよく、卵の風味が良好であり、軟ら
かく気泡の入った良好な食感であることが理解できる。
されているにもかかわらず、卵白と卵黄が均質化される
ことなく、濃厚卵白が残っているため、卵製品を製造し
たときに卵白と卵黄の模様があるため外観がよく、卵の
風味と食感も良好であり、また、どら焼や錦糸卵等の泡
立てを行わないようなものについても、ふんわり仕上げ
ることができ、また、焼成するときに生地がだれずに扱
いやすいものであり、そして、起泡性が良好であるた
め、起泡性を要求されるカステラ、スポンジケーキ、ど
ら焼等の食品を製造するにも好適な、濃厚卵白入り加熱
殺菌液全卵を提供することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】濃厚卵白を含む液卵白と液卵黄の不均一な
混合物であって、下記アミラーゼ活性測定試験における
吸光度が0.3以上を示すことを特徴とする容器詰めし
てなる濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵。 《アミラーゼ活性試験》 濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵を均質化し、45℃に加
温する。 0.7%可溶性澱粉液を45℃に加温する。 15gと15mlを45℃に加温しながら30分
間反応させる。 反応後のに15%のトリクロロ酢酸溶液5ml加
え、反応を停止させる。 の反応液を濾過し、濾液2.5mlに対して1/1
000mol/lのヨウ素溶液0.5mlを加えて発色
させる。 の585nmにおける吸光度を分光光度計で測定す
る。 - 【請求項2】濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵を10メッシ
ュの金網で自重により濾過したときに、濃厚卵白を含む
未濾過物(ただし、卵黄膜の破れていない卵黄を除く)
が濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵全体に対して10%以上
濾過されず金網上に残る請求項1記載の濃厚卵白入り加
熱殺菌液全卵。 - 【請求項3】含有する液卵黄に対して卵黄膜の破れてい
ない卵黄を30%以上含有する請求項1記載の濃厚卵白
入り加熱殺菌液全卵。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001114608A JP2002262832A (ja) | 2001-03-08 | 2001-03-08 | 濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001114608A JP2002262832A (ja) | 2001-03-08 | 2001-03-08 | 濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002262832A true JP2002262832A (ja) | 2002-09-17 |
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ID=18965648
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001114608A Pending JP2002262832A (ja) | 2001-03-08 | 2001-03-08 | 濃厚卵白入り加熱殺菌液全卵 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2002262832A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016140270A (ja) * | 2015-01-30 | 2016-08-08 | 富士電機株式会社 | 排水処理性能の評価方法 |
JP5973686B1 (ja) * | 2015-03-02 | 2016-08-23 | キユーピー株式会社 | 加熱液全卵 |
-
2001
- 2001-03-08 JP JP2001114608A patent/JP2002262832A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016140270A (ja) * | 2015-01-30 | 2016-08-08 | 富士電機株式会社 | 排水処理性能の評価方法 |
JP5973686B1 (ja) * | 2015-03-02 | 2016-08-23 | キユーピー株式会社 | 加熱液全卵 |
JP2016165267A (ja) * | 2015-03-02 | 2016-09-15 | キユーピー株式会社 | 加熱液全卵 |
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