JPH04218357A - 微粒化セルロース含有加工食品および食品原料 - Google Patents

微粒化セルロース含有加工食品および食品原料

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JPH04218357A
JPH04218357A JP3040560A JP4056091A JPH04218357A JP H04218357 A JPH04218357 A JP H04218357A JP 3040560 A JP3040560 A JP 3040560A JP 4056091 A JP4056091 A JP 4056091A JP H04218357 A JPH04218357 A JP H04218357A
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food
cellulose
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aqueous suspension
water
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Ninpei Kuno
久野 忍平
Yuichi Komuro
雄一 小室
Koichi Hatakeyama
畠山 弘一
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油脂代替によるカロリ
ーの削減および食物繊維による生理効果の付与を可能に
する食品原料、さらに、当該カロリーの削減および生理
効果が付与された加工食品に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、糖尿病、便秘や大腸癌の予防に、
医学、食品系の立場から、食物繊維が効果的であること
が判明しつつある。この食物繊維には、水溶性食物繊維
と難溶性食物繊維とが存在し、後者には、小麦ふすま、
ぬか、その他の穀類のセルロースや微結晶セルロースが
使用されているが、臭、味、色調上の欠点や喫食時の喉
ごしの悪さや違和感という欠点があるため、一食5g以
上の食物繊維を加工食品へ添加したいにも拘らず、十分
の量を食品へ添加することはできない。
【0003】すなわち、食品中に多量に食物繊維を含有
させ、生理効果を増強させたいにも拘らず、現在の技術
レベルでは、既に述べた欠点を有するために、使用量が
制限されている。また、現在のもう一つの傾向として、
食品中に含まれるカロリーの低減化がある。高カロリー
は、肥満や成人病を生み出すために、ドレッシングやマ
ーガリン等の分野では、原料油脂分を削減または代替し
、カロリーを低減またはノンカロリー化する方向で研究
開発が行われている。
【0004】すなわち、特開昭63−14680号公報
では、油脂の一部を野菜破砕物の発酵物に置換し、特開
昭62−239950号公報では、ゼラチン、寒天、ペ
クチン、ガムなどのゲル生成物質を用いてゲルを作成し
、このゲルを細砕し、脂肪代替物を得ている。これらの
場合、カロリーの低減化が不充分であったり、食味が単
調、平板となり、舌触りの悪化や濃厚感の欠如等の問題
があった。
【0005】さらに、特開平2−57161号公報では
、低カロリー食品が記載されているが、平均粒度が20
μmと大きいと、やはりざらつきがあり、使用される対
象となる加工食品が制限され、好ましくない。また、一
般的に食品を常温で流通する場合には、水分率を10%
以下にして、水分活性を菌の増殖範囲以下に抑えるか、
またはレトルト等の処理により、一般生菌数を0個/g
にして流通している。また、チルドにて流通する場合に
は、出荷時の菌数を抑えた上さらに賞味期間をきわめて
短期間に限定して流通するか、またはPHを下げるか、
防腐剤を入れて賞味期間を若干長期化しているのが現状
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら食物
繊維のもつ欠点および油脂代替の有する欠点を解決し、
食物繊維を豊富に含有した加工食品およびこれら加工食
品を可能にする食品原料を供給し、さらに、食物繊維を
豊富に含有したノンカロリーまたはローカロリー加工食
品、およびこれら加工食品を可能にする食品原料を供給
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は;■
  添加されるべき食品に分散するセルロース粒子の積
算体積50%の粒径が0.3〜6μmであり、かつ3μ
m以下の粒子の積算体積割合が25%以上の微粒化セル
ロース系素材を分散してなる加工食品に関し、さらに、
■  積算体積50%の粒径が0.3〜6μmであり、
かつ3μm以下の粒子の積算体積割合が25%以上の微
粒化セルロース系素材を2重量%以上含有する微粒化セ
ルロース系素材の水懸濁液からなる食品原料に関する。
【0008】さらに、本発明を詳細に説明する。本発明
の微粒化セルロース系素材とは、セルロースが従来到達
し得なかったレベルに微小体になった物であり、この微
粒化セルロースを得る方法の例としては、例えば、前処
理工程としてセルロース素材に解重合処理を施し、引き
続き、媒体を容器に内蔵し、かつ該媒体を強制攪拌せし
めるための回転翼を設けた容器内で湿式粉砕することに
よって懸濁液として得られる。上記セルロース素材とは
、例えば、木材パルプ、精製リンター、綿繊維、麻繊維
等の脱リグニン後の天然セルロース、またはビスコース
溶液や銅アンモニア溶液から凝固再生された再生セルロ
ース、さらには、アルカリセルロースを水洗して得られ
るセルロースなどである。
【0009】また、上記解重合処理とは、例えば、酸加
水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、スチームエクス
プロージョン分解、水蒸気蒸煮のうちの1つまたは2つ
以上の組合せ処理などであり、解重合の結果、好ましく
は重合度を300以下とする。媒体を容器に内蔵し、か
つ該媒体を強制攪拌せしめるための回転翼を設けた容器
内で湿式粉砕する装置は、一般に媒体攪拌湿式粉砕装置
(通称ビーズミルまたはアニューラー型ミル)と呼ばれ
、顔料、インク、セラミックス等の無機材料の微粒化に
一般的に使用されるが、微粒化が困難であるセルロース
系素材に適用すると、極めて高度な微粒化効果が得られ
る。
【0010】このようにして得られた微粒化セルロース
の水懸濁液は、水と親和性の高い固体、すなわち、セル
ロースの粒子コロイドとして、高度な安定性と構造粘性
を有する。本発明の食品原料は、この水懸濁液からなる
食品原料である。また、本発明の加工食品は、当該懸濁
液を添加されるべき食品へ添加することにより製造する
ことができる。
【0011】粒径の測定は、島津レーザー回折式粒度分
布測定装置(SALD−1100)を用いて、測定に供
する懸濁液を、蒸留水で0.1重量%に希釈し、装置に
内蔵する超音波発信器で2次凝集を壊した状態で測定す
る。本発明での積算体積50%の粒径とは、粒子全体の
体積に対して積算体積が50%になる時の粒子の球形換
算直径のことである。なお、該粒度分布測定装置での測
定にあたっては、測定レンジを0.1〜45μmに設定
する。これにより、ミー(Mie)散乱理論式(測定装
置中に組み込まれている)から導き出された散乱光強度
と粒子径の関係を用いて計算されることとなる。
【0012】また、屈折率は1.7−0.2iの標準屈
折率用を選択することとし、粒度分布を求める計算方法
は、最小二乗法理論を使った直接計算法を使うこととす
る。1つの試料に対する測定回数は7回に指定し、測定
間隔は2秒とする。0.1重量%に純粋で均一に希釈さ
れた試料は、フローセルを利用して測定されるが、内蔵
された超音波発信器は常時オンとし、少なくとも1分以
上は超音波をあてて凝集を防止した後に測定を行う。
【0013】本発明における積算体積50%の粒径およ
び3μm以下の粒子の積算体積割合は、各々平均となる
粒径および粒子の分布を示した値であるが、当該粒径が
6μ以上または当該積算体積割合が25%未満となると
、本発明の滑らかなクリーム感がなくなり、喫食時にザ
ラツキ感が発生し、また、本発明の食品組成物中のデン
プンの水への溶出が鋭敏になり、ヌメリ感が発生してく
る。さらに、保水性、保油性も低下してくる。また、当
該粒径が0.3μm未満となるような懸濁液は、製造が
極めて困難である。
【0014】添加されるべき加工食品とは、食物繊維の
生理効果を目的とした場合には、マヨネーズ、ドレッシ
ング、洋風スープ、ソース類、たれ類、トマト加工品類
、珍味などの調味料類;カレー、ハヤシ、ミートソース
、シチュー、スープ等のレトルト食品、チルド食品;ハ
ンバーグ、ベーコン、ソーセージ、サラミソーセージ、
ハム類などの畜肉加工品;かまぼこ、ちくわ、魚肉ハム
・ソーセージ、揚げかまぼこなどの水練製品;パン、生
麺、乾麺、マカロニ、スパゲッティ、中華饅頭の皮、ケ
ーキミックス、プレミックス、ホワイトソース、餃子・
春巻等の皮類などの小麦粉加工品;カレー、ソース、ス
ープ、佃煮、ジャムなどの缶詰、瓶詰類;キャンディー
、チョコレート、ビスケット、クッキー、米菓、和生菓
子、洋生菓子、スナック菓子、砂糖菓子、プリンなどの
菓子類;フライ類、コロッケ、餃子、中華饅頭などの調
理加工品;野菜ペースト、肉のミンチ、穀類、芋類のペ
ースト、豆類のペースト、果実ペースト、魚介類のペー
スト等のペースト類をいう。
【0015】また、食物繊維の効果および油脂代替によ
るノーカロリーまたはローカロリーを目的とした場合の
加工食品とは、アイスクリーム、アイスミルク、ラクト
アイス、ホイップクリーム、練乳、バター、ヨーグルト
、チーズ、ホワイトソース等の乳製品類;マーガリン、
ファットスプレッド、ショートニング等の油脂加工品が
主たる加工食品であるが、既述のマヨネーズやドレッシ
ングなどの油脂を使用する調味料等の加工食品にも、カ
ロリー低減の当該目的に使用することができる。
【0016】これらの加工食品へ本発明の水懸濁液を添
加する際には、本発明の懸濁液がもちこむ水分量と全体
の粘度とを勘案して、添加すべき食品の製造時に添加す
る水分量を調整する必要がある。例えば、マヨネーズの
場合は、約13%の本発明の水懸濁液を使用するとして
、マヨネーズの原料となる食用油を50重量%以下に減
らし、水懸濁液を10〜70重量%添加すると良好なマ
ヨネーズが得られるが、さらに、食物繊維含量を増加さ
せたい場合、またはオイル感を付与する場合は、この範
囲に限定されるものではない。水懸濁液中の固形分(セ
ルロース分)が変化した場合は、マヨネーズ全体重量の
中のセルロース分の重量が一定となるように、添加する
水分量を加減する必要がある。マヨネーズに使用する場
合、適正な粘性を出すため、天然多糖類を1%前後添加
するとよい。
【0017】ドレッシングの場合は、約13%の本発明
の水懸濁液を使用するとして、ドレッシングの原料とな
る食用油を基準にするとドレッシングの粘度が増加して
しまうので、ドレッシング全体の粘度を一致させるよう
に、本発明の水懸濁液を使用するのが一般的である。具
体的には、原料となる食用油は1/2以下、さらには0
%まで減少することができる。約13%水懸濁液は、食
感的には約40重量%以下で使用するのが好ましいが、
この範囲に限定されるものではない。マヨネーズと同様
に、水懸濁液中の固形分が異なる水懸濁液を使用する場
合は、固形分を一致させるように水を加減するとよいし
、また、濃厚感を出すために、天然多糖類を添加すると
よい。
【0018】ホイップクリームの場合は、約13%の本
発明の水懸濁液を使用するとき、ホイップクリーム原料
の食用油の全量または一部を置き換えることが可能であ
る。具体的には、食感、保型性、光沢、オーバーラン等
の性質を保持するためには、ホイップクリームが本来含
有すべき食用油の5〜50重量%を水懸濁液で置換する
のが一般的である。さらに、ローオイルなホイップクリ
ームを望むのであるならば、上記の範囲外での使用も可
能である。
【0019】マヨネーズと同様に、水懸濁液中の固形分
が異なる水懸濁液を使用する場合は、固形分濃度が一致
するように別途水を添加する等の手段で、水分を調整す
るとよい。また、適正な保型性、光沢、オーバーランを
出すために、界面活性剤の使用量をコントロールに比べ
同量または多目にするとよい。
【0020】ヨーグルトの場合は、約13%の本発明の
水懸濁液を使用するとして、具体的には、食感、風味と
いう点より、ヨーグルト全体量に対して10〜80重量
%の水懸濁液を添加するのが一般的である。さらに、食
物繊維添加を望むものであるならば、上記の範囲外での
使用も可能である。マヨネーズと同様に、水懸濁液中の
固形分が異なる水懸濁液を使用する場合は、固形分を一
致させるように水を加減するとよい。ヨーグルトへ使用
する場合、適正な食感、風味を出すために、脱脂粉乳の
量を加減する方法も採用できる。
【0021】ファットスプレッドの場合は、約13%の
本発明の水懸濁物を使用するとき、ファットスプレッド
原料の食用油の全量または一部を置き換えることが可能
である。具体的には、食感、光沢、保型性、ローオイル
、および食物繊維添加という観点より、ファットスプレ
ッド全量の10〜80%の水懸濁液を使用するのが一般
的である。さらには、オイル、食物繊維添加を望むので
あるならば、上記の範囲外での使用も可能である。マヨ
ネーズと同様に、水懸濁液中の固形分が異なる水懸濁液
を使用する場合は、固形分を一致させるように製品中の
水を加減するとよい。ファットスプレッドへ使用する場
合、適正な硬さ、光沢、滑らかさを出すために、ゼラチ
ンなどのタンパク質や天然多糖類を添加する方法も採ら
れる。
【0022】ホワイトソースの場合は、約13%の本発
明の水懸濁液を使用するとして、ホワイトソース原料の
バターまたは牛乳の一部、もしくは両方の一部を置き換
えることが可能である。具体的には、油脂量を減らし、
白色度向上、褐変防止効果の付与ができ、食感、粘度等
の物性が適性になるように、ホワイトソース全体量の1
〜30重量%の水懸濁液を使用するのが一般的である。 さらに、白色度向上、油脂量低下、褐変防止効果の向上
を望むのであれば、上記の範囲外での使用も可能である
。マヨネーズと同様に、水懸濁液中の固形分が異なる水
懸濁液を使用する場合は、固形分を一致させるように製
品中の水を加減するとよい。ホワイトソースへ使用する
場合、適正な粘度を出すために小麦粉の量を加減しても
よい。
【0023】アイスクリームの場合は、約13%の本発
明の水懸濁液を使用するとして、アイスクリーム原料の
バターの全量または一部を置き換えることが可能である
。具体的には、油脂量を減らすことができ、食感、オー
バーラン、ファーストドロップが適正になるように、ア
イスクリーム全体量の1〜15重量%の水懸濁液を使用
するのが一般的である。さらに、食物繊維添加、食感改
良等を望むのであれば、上記の範囲外での使用も可能で
ある。マヨネーズと同様に、水懸濁液中の固形分が異な
る水懸濁液を使用する場合は、固形分を一致させるよう
に製品中の水を加減するとよい。アイスクリームへ使用
する場合、濃厚感を出すために天然多糖類などの増粘剤
を添加するとよい。
【0024】スープ、ソース類、たれ類、トマト加工品
類などのその他の調味料類;カレー、ハヤシ、ミートソ
ース、シチュー、スープ等のレトルト食品、チルド食品
;カレー、ソース、スープ、佃煮、ジャムなどの缶詰、
瓶詰類;野菜ペースト、穀類、芋類のペースト、豆類の
ペースト、果実ペースト、魚介類のペースト、ケーキミ
ックス、プレミックス等の液状またはペースト状食品の
場合は、添加されるべき食品の粘度が大巾に異ならない
範囲内で、本発明の水懸濁液を添加する。
【0025】添加されるべき食品が、ハンバーグ、ハム
、ソーセージ、サラミソーセージ、ハム類などの畜肉加
工品;カマボコ、ちくわ、魚肉ハム・ソーセージ、揚げ
かまぼこなどの水練製品;パン、生麺、乾麺、マカロニ
、スパゲッティ、中華饅頭の皮、餃子・春巻の皮等の小
麦粉加工品;キャンディ、チョコレート、ビスケット、
クッキー、米菓、和生菓子、洋生菓子、スナック菓子な
どの菓子類;フライ類、コロッケ、餃子、中華饅頭など
の調理加工品;厚焼玉子、茶巾などの玉子加工品等の固
形状のものについては、一般に、これら加工食品中の水
分量、または製造工程中の最大加水時の水分量の全部あ
るいは一部を、本発明の水懸濁液から持ち込ませる形で
添加するか、ソフトな食感が得たい場合は、最大もちこ
ませる水分量で加水するとよい。パン、麺類の小麦加工
品を製造する場合は、プレミックスやドウの段階での粘
度をあわせる形で、添加する方法も採用されるが、小麦
加工品に限らず、これら固形食品の水懸濁液の添加量は
、これらの水分調整および粘度調整は、折衷した形で決
定される。
【0026】水懸濁液の添加量は、前述のように、主と
して水分含量と粘度により決定されるが、食物繊維強化
食品を目的とする場合には、目安となる水懸濁液の添加
量は、各食品の一食分のセルロース含量が約1g以上、
好ましくは3g以上、さらに好ましくは5g以上になる
ように添加することが望ましい。1食当たり、多量の食
物繊維を含有させることが可能となることが、本発明の
好ましい特徴である。
【0027】この水懸濁液を添加する時期は、支障のあ
る場合を除き、なるべく初期に添加し、均一に混合する
方がよい。本発明の水懸濁液が分散され難い場合は、高
速剪断型またはニーダー型の混合機で混合する。本発明
の加工食品中の微粒化セルロース系素材の積算体積50
%の粒径と3μm以下の粒子の積算体積割合を求める場
合は、加工食品の前処理が必要である。
【0028】すなわち、前処理としては、セルロースを
溶解せずに、加工食品を構成するセルロース以外の組成
物を溶解する溶媒を用いてセルロースを分離し、このセ
ルロースの積算体積50%の粒径および積算体積割合を
求めるとよい。
【0029】上記セルロースの分離方法は、加工食品の
種類により適切な方法が採用されるが、一例を示すと、
6%以下のアルカリ水溶液(カセイソーダ水溶液)に、
加工食品を構成するセルロース以外の組成物を溶出し、
残ったセルロースの水懸濁液の分析を行うとよい。実際
には、セルロースの分離は食品の種類に応じて、数段階
の処理を行い実施される場合が多い。例えば、加工食品
の原料にすでにセルロースを含む場合(野菜類を使って
いる場合など)には、上記のアルカリ処理を行う前に野
菜等セルロース含有原料の分離操作が必要である。注意
すべきことは、加工食品を処理して微粒子セルロースを
取り出す場合には、乾燥操作を入れてはならない。乾燥
するとセルロース粒子が凝集し、本来分散していたセル
ロースの粒子とは異なる大きな凝集セルロース粒子が生
成される。
【0030】本発明の食品原料は、出荷時に、一般生菌
数が0〜103 個/gに滅菌または殺菌されて出荷さ
れるケースが多い。一般生菌数の測定方法は、標準平板
培養法に記載の方法で実施される。滅菌または殺菌後の
本発明の食品原料は、常温またはチルドで流通される。 常温流通とは、温度制御を何ら行うことなく流通または
保存をするやり方で、夏場などは、数十度に上昇する。 チルド流通とは、一般に5℃から10℃くらいの範囲に
制御され、凍ることなく低温で流通または保存する方法
である。水分活性(Awと以下略す)が0.9以上の加
工食品では、数日または数週間が限度である。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、こ
れに範囲を限定されるものではない。 (参考例) 重合度760のL−DSP(広葉樹サルファイトパルプ
)を18重量%苛性ソーダ水溶液に51℃で浸漬し、ア
ルカリセルロースとした。これを圧搾破砕した後、40
℃で酸素濃度40%の雰囲気中に96時間さらし、酸化
分解させて、前処理を施した。次に、水洗してアルカリ
成分を完全に洗い落としてセルロースII型の結晶型を
したセルロースとした後、加水して懸濁濃度12.5重
量%の懸濁液とした。この懸濁液を神鋼ファウドラー(
株)製コボールミル(商品名)MS−18型によって媒
体攪拌湿式粉砕を行った。ローター周速は13m/秒と
し、媒体は1.5mmφのジルコンビーズを用い、30
.55l/hrの通過速度で8回通過させて、微粒化セ
ルロースの懸濁液を得た。この懸濁液の積算体積50%
の粒径は0.96μであり、3μ以下の粒子の積算体積
割合は86.0%であった。
【0032】実施例1(ハンバーグへの添加)参考例の
方法で得た水懸濁液を使用し、次の表1に示すレシピー
でハンバーグを製造した。
【0033】
【表1】
【0034】上記原料をよく混合し、ホリアチップ成型
機にて、ハンバーグを成形し、オーブン180℃で8.
5分焼成し、冷凍した。このハンバーグを12名のパネ
ラーにて、食感検査を行ったところ、表2の結果が得ら
れた。順位法による順位の平均を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】やややわらかく、あっさりしたジューシー
感のある、食物繊維入りのローカロリーハンバーグが得
られた。実施例2(マヨネーズへの添加)参考例の水懸
濁液を使用し、次の表3に示すレシピーでマヨネーズを
作成した。
【0037】
【表3】
【0038】アルギン酸NaとカゼインNaとを加温溶
解し、それに麦芽酢と水懸濁液を加えホモジナイズする
。別に、卵黄、液糖、マスタード、食塩の混合物を用意
しておき、両者をホモジナイズし、マヨネーズを作成し
た。作成したマヨネーズは、食感が市販のマヨネーズに
類似し、ノンカロリーおよび食物繊維入りのマヨネーズ
が製造できた。
【0039】実施例3(ドレッシングへの添加)参考例
の水懸濁液を使用し、次の表4に示すレシピーでドレッ
シングを作成した。
【0040】
【表4】
【0041】水にガムを添加し、加温溶解し、レモン果
汁、リンゴ酢を加え、さらに水懸濁液を加え、ホモジナ
イズする。これにその他の副原料を加え、ホモジナイズ
し、ドレッシングを作成する。得られたドレッシングは
、味、食感共に良好で、ノンカロリーおよび食物繊維入
りドレッシングが得られた。
【0042】実施例4(アイスクリームへの添加)下記
表5に示す組成で原料を準備した。
【表5】
【0043】水飴、水、脱脂粉乳、グラニュー糖、界面
活性剤と水懸濁液を85℃でよくかきまぜた後、バター
を加え、ミキサーで良くかきまぜる。続いて、ホモジナ
イザーで100kg/cm2 〜200kg/cm2 
の圧をかけ、さらに均一にまぜる。この懸濁液を5〜1
0℃に冷却した後、市販のソフトクリームフリーザーに
て−3〜−5℃でフリージングし、アイスクリームカッ
プに充填した。−40℃で1日硬化し、物性を測定した
。その結果、両者の物性は表6のとおりであった。
【0044】
【表6】   得られたローファットアイスクリームは、オーバー
ラン、ファーストドロップ共に無添加のものと同等の、
少々シャーベット風の食感であった。
【0045】実施例5(カスタードプリンへの添加)参
考例の水懸濁液を用い、次の表7に示すレシピーでプリ
ンを作成した。
【0046】
【表7】
【0047】上記原料を良く混合し、プリン型をカップ
に移し、130℃で50分オーブンで加熱し(天板に水
をはった状態で)、プリンを作成した。出来上がったプ
リンは、コントロールに比べやや軟らかい食感であった
が、形状、味、風味共に、コントロール品と同等のロー
カロリー、食物繊維含有のプリンを製造することができ
た。
【0048】実施例6(カスタードクリームへの添加)
参考例の水懸濁液を用い、次の表8に示すレシピーでカ
スタードクリームを作成した。
【0049】
【表8】
【0050】上記原料を良く混合し、その後、泡立て器
で4分、泡を立て弱火で16分間加熱し、カスタードク
リームを作った。風味、味、食感共に良好なローカロリ
ー、食物繊維含有のカスタードクリームを得た。
【0051】実施例7、8(ヨーグルトへの添加)参考
例の水懸濁液を用い、次の表9に示すレシピーでヨーグ
ルトを作成した。
【0052】
【表9】
【0053】脱脂粉乳に水を加え、100℃で15分間
殺菌し、37〜40℃に冷却し、スターターを接種した
。振盪後、37℃×12Hr発酵させ、冷却後、砂糖を
添加した。その後、ハンドミキサーにて1分均質化し、
ヨーグルトを作った。本発明の水懸濁液は、実施例7の
ときは原料投入時に、実施例8のときは砂糖添加後に加
えた。出来上がった高食物繊維入りのヨーグルトは、市
販のヨーグルトと全く同様で違和感がなく、識別が不可
能であった。
【0054】実施例9工場内落下菌、工場内口水菌およ
び耐熱性芽胞菌でセルラーゼ産生菌であるBacill
us Stearothermophilus(バチル
ス  ステアロサーモフィルス)を混合し、参考例の水
懸濁液に植菌を行った。この水懸濁液を冷蔵、室温およ
び37℃にて保存し、保存中の一般生菌数の変化をみた
【0055】その結果は、図1に示すように、30日を
経過したにもかかわらず、最も増殖したもので104 
個/gの増殖であった。比較のため、同固形分含量を有
するコーンスターチの水懸濁液および同固形分含量を有
するゼラチンの水懸濁液に、同様に植菌した結果、前者
は3日で106 個/gに、後者は2日で106 個/
gに増殖してしまった。
【0056】実施例10(マヨネーズへの添加)参考例
の水懸濁液を使用し、次の表10に示すレシピーでマヨ
ネーズを作製した。
【0057】
【表10】
【0058】アルギン酸NaとカゼインNaとを加熱溶
解し、それに麦芽酢、水懸濁液、コーン油を加えホモジ
ナイズした。別に、卵黄、食塩、液糖、マスタード、M
P−K1の混合物を用意しておき、両者をホモジナイズ
し、マヨネーズを作製した。作製したマヨネーズは、油
脂分を80%減らすことができ、かつ、食感が市販のマ
ヨネーズに類似し、油の旨さが存在するローカロリーお
よび食物繊維入りのマヨネーズが製造できた。なお、本
品100gを摂ることにより、約4.5gの食物繊維を
摂取できる。
【0059】実施例11(ホイップクリームへの添加)
参考例の水懸濁液を使用し、次の表11に示すレシピー
でホイップクリームを作製した。
【0060】
【表11】
【0061】大豆硬化油、ヤシ硬化油と界面活性剤(油
溶性)を70℃で、加熱溶解させた。別に、水懸濁液、
水、脱脂粉乳と界面活性剤(水溶性)を70℃で、加熱
溶解させておき、両者をミキサーで予備乳化させた後、
ホモジナイザーで150kg/cm2 の圧をかけ乳化
させた。この懸濁液を7〜10℃に急冷した後、5℃で
一昼夜エージングを行い、グラニュー糖15%とバニラ
フレーバーを添加し、ハンドミキサーにてホイッピング
を行った。得られたホイッピングクリームの物性は表1
2のとおりであった。
【0062】
【表12】
【0063】本発明のローファットホイップクリームは
、油脂分を30%減らすことができ、かつ、オーバーラ
ン、光沢、保型性のいずれもコントロール品と同等で、
少し軽めの食感であった。
【0064】実施例12(ファットスプレッドへの添加
)参考例の水懸濁液を用い、次の表13に示すレシピー
でファットスプレッドを作製した。
【0065】
【表13】
【0066】水にゼラチンと食塩を加熱溶解させ、コー
ン油、水懸濁物を加え、ミキサーで良く攪拌した。これ
にホモジナイズしながら卵黄を添加し、乳化させ、ファ
ットスプレッドを作製した。得られたファットスプレッ
ドは、油脂分を65%減らすことができ、かつ、パン等
へ非常に塗りやすく、作業性が優れており、また、食感
も軽く、良好であった。なお、本品100gを摂ること
により、約7gの食物繊維を摂取することができる。
【0067】実施例13(ホワイトソースへの添加)参
考例の水懸濁液を用い、次の表14に示すレシピーでホ
ワイトソースを作製した。
【0068】
【表14】
【0069】40℃に溶かした無塩バターに薄力粉を加
え、120℃まで加熱をし、ルーを調整し、40℃に冷
却した。別に、水懸濁液を牛乳中にミキサーにて均一分
散させ、60℃に温めてルーに加え、混合した後、97
℃まで加熱を行い、最後に食塩、ホワイトペッパー、ブ
イヨンAFを添加し、均一混合してホワイトソースを作
製した。得られたホワイトソースは、コントロールに比
べ、油脂分を50%減らすことができ、かつ、風味がや
や弱いが、外観、食感共に、コントロールと同等であっ
た。
【0070】次に、コントロールおよび水懸濁液添加品
をレトルト処理したところ、表15のような結果となっ
た。レトルト条件:121℃×20min (F値9.
29)
【表15】白色度(Lab W )の変化
【0071】
レトルト処理されたホワイトソースは、コントロールに
比べ、白色度低下の割合が低く、褐変防止効果が認めら
れた。レトルト処理後の食感とコントロールと同等であ
った。
【0072】
【発明の効果】本発明の食品原料は、驚くことにPHが
中性で防腐剤が入っていないにも拘らず、Awが1付近
であっても、常温流通で1ケ月以上保存できることが分
かった。よって、本発明の食品原料は、菌を0〜103
 個/gに出荷時に抑えれば、実に常温流通が可能であ
り、かつ、安全なチルド流通が可能となる。このことに
より、殺菌包装設備の省力化、流通保存コストの低減に
よるメリットは、計りしれない。
【0073】本発明の食品原料は、ざらつきのない、滑
らかなクリーム状の食物繊維付与素材や油脂代替素材と
して、食品各分野に展開が期待され、かつ、本発明の加
工食品は、ノンカロリー、ローカロリーまたはダイエタ
リー加工食品として、現在の食品の流行にマッチし、か
つ、肥満、糖尿病、大腸癌等の成人病の予防食として、
今後の発展が期待される。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例9において、水懸濁液の保存日数と菌数
の増加の関係を調べた結果を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  添加されるべき食品に分散するセルロ
    ース粒子の積算体積50%の粒径が0.3〜6μmであ
    り、かつ3μm以下の粒子の積算体積割合が25%以上
    の微粒化セルロース系素材を分散してなることを特徴と
    する加工食品。
  2. 【請求項2】  積算体積50%の粒径が0.3〜6μ
    mであり、かつ3μm以下の粒子の積算体積割合が25
    %以上の微粒化セルロース系素材を2重量%以上含有す
    ることを特徴とする微粒化セルロース系素材の水懸濁液
    からなる食品原料。
  3. 【請求項3】  請求項2記載の食品原料の一般生菌数
    が0〜103 個/gであり、かつ常温またはチルドで
    流通するようにしたことを特徴とする請求項2記載の食
    品原料。
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