JP4883856B2 - 食品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
澱粉を含有する水中油型乳化組成物としては、フラワーペーストやカスタードクリームが代表的である。しかし、これらの澱粉を含有する水中油型乳化組成物は、加熱により溶解する性質や、加熱したものを冷却しても固化する性質を持ち合わせていない。そのため、従来の澱粉を含有する水中油型乳化組成物は、加熱工程を経て製造される食品の用途に用いられることはなかった。
【0003】
したがって、本発明の目的は、澱粉を含有する水中油型乳化組成物を用いて、加熱工程を経て製造される食品を好適に製造することができる食品の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、種々検討を重ねた結果、特定の粒径を有する澱粉粒子を含有し、且つ特定の融点を有する熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を用いることによって、上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
【0005】
即ち、本発明は、馬鈴薯由来の澱粉及び馬鈴薯澱粉の化工澱粉の中から選ばれた1種又は2種以上を用い、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有し、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を、得ようとする食品における該水中油型乳化組成物以外の配合物と共に、加熱して溶解させ、更に冷却して固化させることを特徴とする食品の製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の食品の製造方法について詳述する。
【0007】
本発明の食品の製造方法では、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有し、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を用いる。
【0008】
上記の水中油型乳化組成物は、粒径が30μmより大きい澱粉粒子、好ましくは粒径が50μmよりも大きい澱粉粒子を含有するものである。上記の粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有しないと、熱可逆性ゲルが口中で自然に崩壊しないため、 本発明の製造方法により得られる食品の口溶けが悪くなるので好ましくない。尚、上記澱粉粒子の粒径の上限は、200μm以下とする。
【0009】
また、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、上記の粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、好ましくは1×105 個以上1×107 個未満、更に好ましくは5×105 個以上5×106 個未満存在するものであるのがよい。更に、上記の粒径が50μmより大きい澱粉粒子が、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、好ましくは7×104 個以上7×106 個未満、更に好ましくは3×105 個以上4×106 個未満存在するものであるのが望ましい。
【0010】
上記澱粉粒子の粒径と数の測定は、例えば以下のような方法により測定する。
まず、血球計測器であるJIS規格品の中央に多数の0.0025mm2 の区画があるスライドグラスとカバーグラスを用意する。上記スライドグラスにヨウ素水溶液にて澱粉粒子を着色した水中油型乳化組成物又は水中油型乳化組成物の希釈液(試料)を、縦15区画×横15区画=225区画中に1〜3個程度の澱粉粒子が顕微鏡下で認められる程度になるように入れ、その225区画内にある澱粉粒子の粒径と粒径が30μmより大きい澱粉粒子数を測定する。ちなみにスライドグラスの1区画あたりの容積は、スライドグラスとカバーグラスとの間に0.1mm厚の空間ができるので、0.00025mm3 である。このような一連の測定を同一試料について50回行い、平均をとることにより、得られた値を澱粉粒子の粒径と数とする。同様の手段により50μmより大きい澱粉粒子の粒径と数を測定する。また、上記澱粉粒子の粒径とは、澱粉粒子の形状が球体であればその直径を指すものであり、楕円体であればその長径と短径の平均を表すものとする。
【0011】
次に上記の水中油型乳化組成物で用いることができる配合材料について説明する。
【0012】
澱粉としては、上記の水中油型乳化組成物中において粒径が30μmより大きいものとなる澱粉を用いる。上記の粒径が30μmより大きいものとなる澱粉としては、馬鈴薯由来の澱粉や、馬鈴薯澱粉の化工澱粉が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いる。
【0013】
上記の化工澱粉とは、エステル化、エーテル化、リン酸架橋、アセチル化、ヒドロキシプロピル化等の化学変性処理をした澱粉や、アルファ化処理等の物理変性処理をした澱粉をいい、これらは単独又は2種以上組合わせて用いることができる。また、上記処理方法を2種以上重複して施した加工澱粉を用いても良い。
【0014】
上記水中油型乳化組成物中の上記澱粉の含有量は、好ましくは0.3〜15重量%、更に好ましくは1〜10重量%、最も好ましくは3〜8重量%である。
【0015】
上記の水中油型乳化組成物は、融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している。上記の融点が37℃以上の熱可逆性ゲルを構成するゲル化剤としては、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン等が挙げられ、これらのゲル化剤の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0016】
上記の水中油型乳化組成物では、上記ゲル化剤のうち、特にキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用するのが好ましい。キサンタンガムとローカストビーンガムとを併用する場合の両者の配合比率は、重量比率で、好ましくはキサンタンガム:ローカストビーンガム=30:70〜70:30、更に好ましくは40:60〜60:40、最も好ましくは45:55〜55:45である。
【0017】
上記の水中油型乳化組成物中の上記ゲル化剤の含有量は、好ましくは0.001〜2重量%、更に好ましくは0.001〜1重量%、最も好ましくは0.001〜0. 7重量%である。
【0018】
上記の水中油型乳化組成物で用いる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、乳脂、バターオイル等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂、油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品が挙げられる。上記油脂のうち、油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品を用いるのが好ましく、特に油脂として油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品のみを用いるのが好ましい。
【0019】
上記の油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品としては、生クリーム、ホイップクリーム、クリームチーズ、マスカルポーネ、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、加工乳、クリーム、チーズ、バター、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、全粉乳、クリームパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳もしくはその加工品等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0020】
上記の水中油型乳化組成物では、上記の油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品として、生クリーム及び/又はクリームチーズを用いるのが好ましい。特に生クリームやクリームチーズを冷凍処理したものを用いるのが好ましい。冷凍処理を施すことにより上記乳製品中の蛋白質が変性し、ポリペプチド鎖の疎水性官能基が分子表面に露出して遊離状態になるため、解凍後に蛋白質分子間架橋結合が生成し易い状態になり、これによって豊かな乳風味を有する水中油型乳化組成物となると考えられる。冷凍変性をさせるために、冷凍期間は7日間〜24ヶ月であることが望ましい。該冷凍期間が7日間より短いと、冷凍変性が不十分なため、その含有効果が十分に得られず、また24ヶ月を越えると、冷凍変性が過度となり溶解、乳化が困難となる。また、冷凍温度は−10℃以下とするのが望ましい。
【0021】
また、上記の油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品としては、好ましくは油分が3〜85重量%、更に好ましくは油分が3〜70重量%、最も好ましくは油分が3〜60重量%である乳製品及び/又は乳製品類似食品を用いるのがよい。
【0022】
上記の油脂や油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品は、上記の水中油型乳化組成物中の油分が好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは3〜35重量%、最も好ましくは5〜20重量%となるように用いるのがよい。
【0023】
また、上記の水中油型乳化組成物中の水道水や天然水等の水の含有量は、好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜75重量%、最も好ましくは45〜70重量%である。
【0024】
上記の水中油型乳化組成物は、糖類を含有することができる。かかる糖類としては、例えば、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記の水中油型乳化組成物は、上記糖類を好ましくは0〜40重量%、更に好ましくは1〜30重量%、最も好ましくは3〜25重量%含有するのがよい。
【0025】
上記の水中油型乳化組成物は、乳化剤としてはレシチン等の天然の乳化剤や、以下に示した合成乳化剤を使用することができる。合成乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。上記の水中油型乳化組成物は、上記乳化剤を好ましくは0〜2重量%含有するのがよい。しかし、上記の水中油型乳化組成物では、風味や、また消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記の合成乳化剤を用いない方がより好ましく、更に好ましくは乳化剤を用いないのがよい。
【0026】
また、上記の水中油型乳化組成物は、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩等のリン酸塩を用いてもよいが、消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記のリン酸塩を用いないのが好ましい。
【0027】
上記の水中油型乳化組成物には、その他の材料としてコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、サゴヤシ澱粉等の粒径が30μm以下の澱粉、脱脂乳、脱脂濃縮乳、糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエープロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン等の油脂を含有しない乳製品、無機塩及び有機酸塩、生卵黄、液卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄及び酵素処理卵黄等の卵製品、ゼラチン、グリシン、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、果汁、ジャム、ナッツ加工品、その他各種食品素材全般、着香料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0028】
また、上記のコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、サゴヤシ澱粉等の粒径が30μm以下の澱粉、脱脂乳、脱脂濃縮乳、糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエープロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン等の油脂を含有しない乳製品、生卵黄、液卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄及び酵素処理卵黄等の卵製品、ゼラチンの中から選ばれた1種又は2種以上を配合することで、融点が37℃以上の熱可塑性ゲルによって形成されるゲル骨格を阻害し、食感の調整をすることができる。
【0029】
上記の粒径が30μm以下の澱粉は、上記の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有するのがよい。
【0030】
上記の油脂を含有しない乳製品は、上記の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有するのがよい。
【0031】
上記の卵製品は、上記の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7重量%、最も好ましくは1〜5重量%含有するのがよい。
【0032】
上記のゼラチンは、上記の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%、最も好ましくは0.1〜0.5重量%含有するのがよい。
【0033】
次に上記の水中油型乳化組成物の製造方法について説明する。
【0034】
まず、配合油脂の融点以上で、且つ水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度で、全原料を混合攪拌して予備乳化物を調製する。尚、配合油脂の融点以上とは、上記の水中油型乳化組成物において、例えば、植物油脂を用いた水中油型乳化物と生クリームを油脂として用いる場合は、植物油脂と生クリーム中の乳脂のうち、融点が高い方の油脂の融点以上とする。
【0035】
例えば、水中油型乳化組成物の油脂として生クリームのみを用い、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、生クリームの品質にもよるが、配合油脂の融点は、28〜33℃程度である。また、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度及びその他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、溶融状態にある水中油型乳化組成物の温度を下げていったときに、ゲル化が開始する温度のことを示している。
【0036】
全原料を混合攪拌する際、油脂を使用する場合は、油脂及び必要により油溶性成分を含有する油相と、水及び必要により乳製品、砂糖、水溶性成分を含有する水相とを混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。また、油分として油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品のみを使用し、油脂を使用しない場合は、水に、油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品並びに必要により砂糖及び水溶性成分を混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。
【0037】
上記の予備乳化物を調製する際、澱粉や融点が37℃以上の熱可逆性ゲルを構成するゲル化剤は、水相及び/又は油相に添加することが可能であり、また水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加することも可能である。本発明では、上記の澱粉やゲル化剤は、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加することが好ましい。この場合、上記の澱粉やゲル化剤の一部を水相及び/又は油相に添加し、残りの澱粉やゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加してもよい。上記の澱粉やゲル化剤を水相と油相とを予備乳化した後の予備乳化物に添加せず、上記の澱粉やゲル化剤の全部を水相及び/又は油相に添加した後、予備乳化物を製造すると、予備乳化物を均一に攪拌しにくく、均一に乳化させにくくなる。
【0038】
また、上記ゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加する場合、上記ゲル化剤を糖類等の水によく溶ける原料と混合して、予備乳化物に添加することにより、上記ゲル化剤がダマになるのを防止することができる。
【0039】
上記の水中油型乳化組成物では、上記の澱粉やゲル化剤を添加した後は均質化処理を行わないことが好ましい。これは、均質化処理により、澱粉粒子が破壊されたり、ゲル化剤のゲル化力が低下しやすいためである。均質化が必要な場合は、上記ゲル化剤を添加する前に行うことが好ましい。均質化処理機としては、ホモゲナイザー、ホモミキサー及びコロイドミル等が挙げられる。尚、本発明では、製造の全工程を通じて均質化処理を行わないことが好ましい。
【0040】
次いで、上記予備乳化物を、水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で殺菌又は滅菌する。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル融点とは、ゲル化した水中油型乳化組成物が融け始める温度を示している。例えば、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、水中油型乳化組成物のゲル融点は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度及びその他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。
【0041】
上記殺菌又は滅菌は、インジェクション式・インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式・チューブラー式・掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理、あるいは直火等の加熱調理により行うことができ、UHTによる加熱滅菌もしくは加熱殺菌を行うのが好ましい。
【0042】
そして、上記の殺菌又は滅菌後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以上の温度で容器に充填した後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度まで冷却することにより、上記の水中油型乳化組成物が得られる。上記の容器への充填は、無菌充填をはじめとする衛生的な充填手法で行うのが好ましい。
【0043】
尚、本発明の水中油型乳化組成物の製造方法において、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度と、水中油型乳化組成物のゲル融点という言葉を用いているが、一般的にこの2つの温度が異なっている水中油型乳化組成物が多いことが分かっている。
【0044】
本発明の食品の製造方法は、上記の水中油型乳化組成物を、加熱して溶解させ、更に冷却して固化させることを特徴とする。このときの加熱温度は、上記の水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度とするのが好ましく、冷却温度は、上記の水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度とするのが好ましい。
【0045】
上記の加熱方法としては、直火による加熱、オーブンによる加熱、湯煎による加熱、電子レンジによる加熱等が挙げられる。
上記の冷却方法としては、室温に放置することによる冷却、冷蔵庫に入れることによる冷却、冷凍庫に入れることによる冷却等が挙げられる。
【0046】
また、本発明の食品の製造方法によって製造される食品(上記水中油型乳化組成物及び該水中油型乳化組成物以外の配合物からなる)中の上記の水中油型乳化組成物の含有量は、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。
【0047】
また、本発明の食品の製造方法によって製造される食品には必要により、以下のような食品素材を用いることができる。例えば、強力粉、薄力粉、中力粉等の穀粉類、マーガリン、ショートニング、バター等の油脂類、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等の糖類、全卵、卵黄、卵白、乾燥卵、乾燥卵黄、乾燥卵白等の卵類、原料アルコール、焼酎、ウオッカやブランデー等の蒸留酒、ワイン、日本酒、ビール等の醸造酒、各種リキュール、純生クリーム、ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)、植物性ホイップ用クリーム、チョコレート・ガナッシュ・カスタード風味のホイップ用クリーム等のクリーム類及びこれらのクリーム類をホイップしたもの、ケーキ用起泡剤、水、牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、調製粉乳、発酵乳、ヨーグルト、練乳、加糖練乳、全脂練乳、脱脂練乳、濃縮乳等の乳製品、ココナッツミルク、豆乳、寒天、カラギーナン、ファーセルラン、タマリンド種子多糖類、タラガム、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、プルラン、ジェランガム、アラビアガム、ゼラチン、澱粉等の増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド、レシチン等の乳化剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、コーヒー、ナッツペースト、ココアマス、ココアパウダー、チョコレート、チョコレートペースト、抹茶、紅茶、香辛料、穀類、ハーブ、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、コンソメ、ブイヨン、食品添加物等が挙げられる。
【0048】
本発明の食品の製造方法によって製造される食品の具体例としては、タルト、スフレ、ガトー・バスク等のケーキ類や焼き菓子類、冷製グラタン等が挙げられる。
【0049】
本発明の食品の製造方法で得られた食品は、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有し、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物が加熱により溶解するので、更に冷却して固化したときに、その表面を平らなものとすることができる。
また、本発明の食品の製造方法で得られた食品は、包丁でカットしたときに、上記の水中油型乳化組成物を含有する部分が包丁に付着しにくいものである。
【0050】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。実施例で用いた水中油型乳化組成物A、B及びC並びに比較例で用いたカスタードクリームは、次のようにして調製した。
【0051】
(水中油型乳化組成物Aの調製)
50℃に調温したパーム油4.7重量%と、水56.6重量%を50℃に昇温して攪拌しながらクリーム(油分47重量%、融点31℃)15重量%を添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量%と、あらかじめ砂糖20重量%、キサンタンガム0.1重量%及びローカストビーンガム0.1重量%を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0052】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Aを得た。
【0053】
得られた水中油型乳化組成物Aの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は11.8重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0054】
(水中油型乳化組成物Bの調製)
水51.3重量%を50℃に昇温して攪拌しながら、クリーム(油分47重量%、融点31℃)25重量%を添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量%と、あらかじめ砂糖20重量%、キサンタンガム0.1重量%及びローカストビーンガム0.1重量%を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0055】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Bを得た。
【0056】
得られた水中油型乳化組成物Bの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は11.8重量%、配合油脂の融点は31℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0057】
(水中油型乳化組成物Cの調製)
水63.45重量%を50℃に昇温して攪拌しながら、冷凍処理したクリームチーズ(クリームチーズを3ヶ月冷凍保存したもので、油分60重量%、融点31℃)30重量%を添加して、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物をホモジナイザーH−20型(三和機械(株)製)によって、1段目150kg/cm2、2段目10kg/cm2にて均質化処理を行った。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉4重量%と、あらかじめコーンスターチ2重量%、ゼラチン0.25重量%、キサンタンガム0.15重量%及びローカストビーンガム0.15重量%を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0058】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Cを得た。
【0059】
得られた水中油型乳化組成物Cの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は18重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0060】
(カスタードクリームの調製)
牛乳61.3重量%、上白糖18.4重量%、薄力粉2.4重量%、コーンスターチ2.5重量%、卵黄15.4重量%を均一に混合後、加熱し、沸騰させ、カスタードクリームを得た。
【0061】
(実施例1)
以下の配合と製法によりタルトを製造した。得られたタルトの中詰めクリーム部分の表面は平らであった。得られたタルトを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Aを含有する中詰めクリーム部分が付着することはなかった。
【0062】
<タルト生地>
(配合)
バター ▲1▼ 200 重量部
上白糖 ▲2▼ 200
食塩 ▲2▼ 2
卵黄 ▲3▼ 60
全卵 ▲3▼ 60
アーモンドプードル▲4▼ 75
薄力粉 ▲4▼ 350
強力粉 ▲4▼ 75
ベーキングパウダー▲4▼ 5
【0063】
(製法)
1 室温に戻した▲1▼に▲2▼を加え、混合する。
2 ほぐした▲3▼を1に少しずつ加え、均一に混合する。
3 ▲4▼をふるい、これを2に添加し、軽く混合する。
4 3を冷蔵庫で1晩休ませる。
5 4を3mmに圧延し、タルト生地とする。
【0064】
<中詰めクリーム>
水中油型乳化組成物A600重量部に植物性ホイップクリーム100重量部を加え、軽く混合する。
【0065】
<タルト> 直径21mmのタルト型1個分
1 タルト生地200gをタルト型に敷き詰め、底部分をピケする。
2 1に型紙を敷き、タルトストーンをのせ、オーブンにて焼成する。
3 焼き上がった2に5mm厚にスライスした洋ナシ5個を全体に並べる。
4 3の上に、中詰めクリーム300gを入れる。
5 170℃で25分、焼成する。
6 焼成後、10℃以下に冷却する。
【0066】
(比較例1)
実施例1において、中詰めクリームをカスタードクリームに置き換えた他は実施例1と同様の方法により、タルトを製造した。得られたタルトの表面はでこぼこしていた。また得られたタルトを包丁でカットしたとき、包丁に中詰めクリーム部分であるカスタードクリームが付着してしまった。
【0067】
(実施例2)
以下の配合と製法によりタルトを製造した。得られたタルトの中詰めクリーム部分の表面は平らであった。得られたタルトを包丁でカットしたとき、包丁に中詰めクリーム部分である水中油型乳化組成物Aが付着することはなかった。
【0068】
<タルト生地>
(配合)
マーガリン ▲1▼ 230 重量部
上白糖 ▲2▼ 230
バニラオイル ▲2▼ 3
食塩 ▲2▼ 2
全卵 ▲3▼ 80
薄力粉 ▲4▼ 460
ベーキングパウダー▲4▼ 2
【0069】
(製法)
1 室温に戻した▲1▼に▲2▼を加え、混合する。
2 ほぐした▲3▼を1に少しずつ加え、均一に混合する。
3 ▲4▼をふるい、これを2に添加し、軽く混合する。
4 3を冷蔵庫で1晩休ませる。
5 4を3mmに圧延し、タルト生地とする。
【0070】
<中詰めクリーム>
水中油型乳化組成物A 200g
【0071】
<タルト> 直径21mmのタルト型1個分
1 タルト生地160gをタルト型に敷き詰める。
2 1にタルトストーンをのせ、オーブンにて焼成する。
3 焼き上がった2に中詰めクリーム200gを絞り、冷凍ラズベリー70gを並べる。
4 下火180℃、上火160℃で30分、焼成する。
6 焼成後、タルトを冷蔵庫(5℃)で冷やし、表面にナパージュヌートルを塗る。
【0072】
(実施例3)
以下の配合と製法によりタルトを製造した。得られたタルトの中詰めクリーム部分の表面は平らであった。得られたタルトを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有するチーズ生地部分が付着することはなかった。
【0073】
<タルト生地>
(配合)
バター 200 重量部
上白糖 200
食塩 2
卵黄 60
全卵 60
アマンドプードル 75
薄力粉 350
強力粉 75
【0074】
(製法)
1 室温に戻したバターに上白糖及び食塩を加え、混合する。
2 ほぐした卵黄と全卵を1に少しずつ加え、均一に混合する。
3 アマンドプードル、薄力粉及び強力粉を混合し、ふるい、2に添加し、軽く混合する。
4 3を3mmに圧延し、タルト生地とする。
【0075】
<チーズ生地>
(配合)
クリームチーズ 250 重量部
水中油型乳化組成物B 375
植物性ホイップクリーム 125
レモンジュース 15
キリッシュワッサー 15
【0076】
(製法)
1 室温に戻したクリームチーズをほぐし、攪拌する。
2 1に水中油型乳化組成物Bを3回に分けて、混合する。
3 2に植物性ホイップクリームを徐々に加え、混合する。
4 3にレモンジュースとキリッシュワッサーを加え、混合する。
【0077】
<タルト> 直径21mmのタルト型1個分
1 タルト生地200gをタルト型に敷き、タルトストーンをのせ、焼成する。
2 1にダークチェリー150gを乗せ、チーズ生地450gを絞り込み、180℃で30分焼成する。
3 焼成後、10℃以下に冷却する。
【0078】
(実施例4)
以下の配合と製法によりスフレケーキを製造した。得られたスフレケーキのアパレイユ部分の表面は平らであった。得られたスフレケーキを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有するアパレイユ部分が付着することはなかった。
【0079】
<アパレイユ>
(配合)
カマンベールクリーム 380 重量部
レモン果汁 10
水中油型乳化組成物B 400
カマンベールチーズ香料 1
卵白 80
上白糖 60
【0080】
(製法)
1 カマンベールクリームとレモン果汁を練り合わせ軟らかくする。
2 1に水中油型乳化組成物Bとカマンベールチーズ香料を加え、均一に混合する。
3 卵白と上白糖にて6部立て程度のメレンゲを作り、メレンゲの1/3を2に加えて軽く混合し、残りのメレンゲを加え均一に混合する。
【0081】
<シートスポンジ>
(配合)
全卵 500 重量部
上白糖 250
薄力粉 200
ケーキ用油脂 50
【0082】
(製法)
1 全卵と上白糖をブランシールする。
2 1に薄力粉を加え、軽く混合する。
3 2にケーキ用油脂を加え、均一に混合する。
4 天板に3を800g流し、180℃で8分焼成する。
【0083】
<スフレケーキ> 直径6cmのセルクル型1個分
1 直径6cmのセルクル型の内側にシリコングラシンを巻く。
2 セルクル型にあわせて、焼成したシートスポンジ(7g)を抜く。
3 2の上に、アパレイユ30gを流す。
4 180℃のオーブンにて、下火はほとんどつけないで、濡らした新聞紙を下天板に挟んで、15〜20分、焼成する。
5 焼成後、5℃に冷却する。
【0084】
(実施例5)
以下の配合と製法によりショコラケーキを製造した。得られたショコラケーキを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物B部分が付着することはなかった。
【0085】
<ショコラスポンジ> 直径18cmの型2台分
(配合) 重量部
薄力粉 ▲1▼ 36
アーモンドプードル▲1▼ 26
粉糖 ▲1▼ 26
ココアパウダー ▲1▼ 20
卵黄 ▲2▼ 120
グラニュー糖 ▲2▼ 70
卵白 ▲3▼ 120
グラニュー糖 ▲3▼ 46
溶かしバター ▲4▼ 20
【0086】
(製法)
1 ▲1▼の材料をふるう。
2 ▲2▼を白っぽくなるまで、混合する。
3 ▲3▼を泡立て、しっかりとしたメレンゲを作る。
4 2に3の半分を加え、軽く混合する。
5 4に1を加え、軽く混合する。
6 5に残りの3を加え、軽く混合する。
7 6に▲4▼を良く混ぜ合わせる。
8 180℃のオーブンにて30分焼成する。
【0087】
<ショコラ・クレーム> 直径18cmの型2台分
(配合) 重量部
植物性ホイップクリーム ▲1▼ 140
スイートチョコ ▲1▼ 140
バター ▲1▼ 130
薄力粉 ▲2▼ 45
ココアパウダー ▲2▼ 70
卵白 ▲3▼ 240
グラニュー糖 ▲3▼ 245
【0088】
(製法)
1 ▲1▼を湯煎にかけ、溶かしておく。
2 ▲2▼をふるう。
3 ▲3▼を泡立て、メレンゲを作る。
4 1に2を加え、混合する。
5 4に3を加え、混合する。
【0089】
<ショコラケーキ>
1 1cm厚のショコラスポンジを3枚用意する。
2 直径18cmの型に型紙を敷き、1のスポンジを1枚おき、水中油型乳化組成物B120gを平らに絞る。
3 ショコラ・クレームを2の上に160g流し込む。
4 1で用意したショコラスポンジの1枚にラズベリージャムを塗り、塗った面が下になるように3にのせ、その上に水中油型乳化組成物B120gを平らに絞る。
5 ショコラ・クレームを4の上に160g流し込む。
6 1で用意したショコラスポンジの1枚にラズベリージャムを塗り、塗った面が下になるように5にのせ、その上にショコラ・クレーム160gを流し込む。
7 170℃で90分、焼成する。
8 焼成後、10℃以下に冷却する。
【0090】
(実施例6)
以下の配合と製法によりガトー・バスクを製造した。得られたガトー・バスクを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物A部分が付着することはなかった。
【0091】
<パートシュクレ生地>
(配合)
バター 140 重量部
ショートニング 60
上白糖 200
卵黄 160
牛乳 60
薄力粉 500
【0092】
(製法)
1 バターとショートニングを室温に戻し、これに上白糖を混ぜ、ホイップする。
2 1に卵黄を2〜3回に分けて添加し、均一に混合する。
3 2に牛乳を2〜3回に分けて添加し、均一に混合する。
4 3に薄力粉を添加し、軽く混合する。
5 冷蔵庫で一晩休ませる。
【0093】
<ガトー・バスク> 直径15cmセルクル型1個分
1 セルクル型の内側に溶かしたバターを薄く塗る。
2 パートシュクレ生地を3mmに圧延し、1のセルクル型にはめこむ。
3 水中油型乳化組成物Aを、2の上に、450g流す。
4 3の上に、圧延したパートシュクレ生地をのせ、フォークの背で薄く筋をつける。
5 170〜175℃のオーブンにて、45分、焼成する。
6 焼成後、10℃以下に冷却する。
【0094】
(実施例7)
以下の配合と製法により冷製グラタンを製造した。得られた冷製グラタンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Cを含有するホワイトソース部分が付着することはなかった。
【0095】
<ホワイトソース>
(配合)
水中油型乳化組成物C 95.05 重量部
植物性ホイップクリーム 4
食塩 0.5
チキンブイヨン 0.4
胡椒 0.05
【0096】
(製法)
1 水中油型乳化組成物Cと植物性ホイップクリームを鍋に入れ、火にかけ、60℃以上に加熱する。
2 1に食塩、チキンブイヨン、胡椒を加え、混合する。
【0097】
<冷製グラタン>
(配合)グラタン皿1枚分
ホワイトソース 130g
マカロニ 50
エビ 5
ブロッコリー 8
チーズ 7
【0098】
(製法)
1 エビは背わたをとり、茹でて殻をむく。
2 ブロッコリーは小房にわけ、茹でる。
3 マカロニを茹でる。
4 グラタン皿に3を入れ、ホワイトソースを入れ、1と2をのせ、チーズをふりかけ、230℃のオーブンにて5分焼成する。
5 焼成後、10℃以下に冷却する。
【0099】
(実施例8)
以下の配合と製法によりタルトを製造した。得られたタルトの中詰めクリーム部分の表面は平らであった。得られたタルトを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Aを含有する中詰めクリーム部分が付着することはなかった。
【0100】
<中詰めクリーム>
(配合)
水中油型乳化組成物A 210g
卵黄 70
ガナッシュ 140
オレンジキュラソー 適量
【0101】
<タルト>
(製法)
1 パイ生地28.5gが全体的に折り曲がる程度に柔らかくなったら、星型のくぼみを有する天板の上に置く。(パイ生地の大きさ 縦8cm×横8cm)
2 中詰めクリームの材料を混合し、1の上に42g流し入れる。
3 上火を切り、下火180℃にて25分焼成する。
4 焼成後、室温(20℃)に放置する。
【0102】
(実施例9)
以下の配合と製法によりタルトを製造した。得られたタルトの中詰めクリーム部分の表面は平らであった。得られたタルトを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有する中詰めクリーム部分が付着することはなかった。
【0103】
<中詰めクリーム>
(配合)
水中油型乳化組成物B 150g
卵黄 30
ガナッシュ 180
濃縮乳 40
オレンジキュラソー 適量
【0104】
<タルト>
(製法)
1 パイ生地28.5gが全体的に折り曲がる程度に柔らかくなったら、星型のくぼみを有する天板の上に置く。(パイ生地の大きさ 縦8cm×横8cm)
2 中詰めクリームの材料を混合し、1の上に42g流し入れる。
3 上火を切り、下火180℃にて25分焼成する。
4 焼成後、室温(20℃)に放置する。
【0105】
(実施例10)
以下の配合と製法によりタルトを製造した。得られたタルトを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Aを含有する中詰めクリーム部分が付着することはなかった。
【0106】
<中詰めクリーム>
(配合)
水中油型乳化組成物A 200g
ガナッシュ 100
卵白 100
オレンジキュラソー 適量
【0107】
<タルト>
(製法)
1 パイ生地28.5gが全体的に折り曲がる程度に柔らかくなったら、星型のくぼみを有する天板の上に置く。(パイ生地の大きさ 縦8cm×横8cm)
2 中詰めクリームの材料を混合し、1の上に40g流し入れる。
3 上火を切り、下火180℃にて25分焼成する。
4 焼成後、室温(20℃)に放置する。
【0108】
(実施例11)
以下の配合と製法によりタルトを製造した。得られたタルトを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Aを含有する中詰めクリーム部分が付着することはなかった。
【0109】
<中詰めクリーム>
(配合)
水中油型乳化組成物A 300g
卵白 150
オレンジキュラソー 適量
【0110】
<タルト>
(製法)
1 パイ生地28.5gが全体的に折り曲がる程度に柔らかくなったら、星型のくぼみを有する天板の上に置く。(パイ生地の大きさ 縦8cm×横8cm)
2 中詰めクリームの材料を混合し、1の上に40g流し入れる。
3 上火を切り、下火180℃にて25分焼成する。
4 焼成後、室温(20℃)に放置する。
【0111】
(実施例12)
以下の配合と製法によりタルトを製造した。得られたタルトを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有する中詰めクリーム部分が付着することはなかった。
【0112】
<中詰めクリーム>
(配合)
水中油型乳化組成物B 210g
卵黄 70
卵白 140
オレンジキュラソー 適量
【0113】
<タルト>
(製法)
1 パイ生地28.5gが全体的に折り曲がる程度に柔らかくなったら、星型のくぼみを有する天板の上に置く。(パイ生地の大きさ 縦8cm×横8cm)
2 中詰めクリームの材料を混合し、1の上に40g流し入れる。
3 上火を切り、下火180℃にて25分焼成する。
4 焼成後、室温(20℃)に放置する。
【0114】
(実施例13)
以下の配合と製法によりクレープを製造した。得られたクレープの水中油型乳化組成物A部分の表面は平らで、得られたクレープを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物A部分が付着することはなかった。
【0115】
(製法)
1 直径18cmのパイ皿に直径18cmのクレープ皮(5.5g)を焼き面を下にしてのせる。
2 1のクレープの周囲約1cmを残し、これ以外の部分にホイップした水中油型乳化組成物Aを平らに80g絞る。
3 180℃のオーブンにて5分焼成する。
4 冷めたら、ホイップした生クリームとジャム(生クリームとジャムの合計30g)をのせ、端から巻き上げ、10℃以下に冷却する。
【0116】
(実施例14)
以下の配合と製法によりクレープを製造した。得られたクレープの水中油型乳化組成物B部分の表面は平らで、得られたクレープを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物B部分が付着することはなかった。
【0117】
(製法)
1 直径18cmのパイ皿に直径18cmのクレープ皮(5.5g)を焼き面を下にしてのせる。
2 1のクレープの周囲約1cmを残し、これ以外の部分にホイップした水中油型乳化組成物Bを平らに80g絞る。
3 180℃のオーブンにて5分焼成する。
4 冷めたら、ホイップした生クリームとフルーツ(生クリームとフルーツの合計40g)と半月状のスポンジ25gをのせ、クレープを半分に折りたたみ、さらにクレープを半分に折りたたむ。
5 10℃以下に冷却する。
【0118】
【発明の効果】
本発明の食品の製造方法によれば、澱粉を含有する水中油型乳化組成物を用いて、加熱工程を経て製造される食品を好適に製造することができる。
また、本発明の食品の製造方法で得られた食品は、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有し、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物が加熱により溶解するので、更に冷却して固化したときに、その表面を平らなものとすることができる。
更に、本発明の食品の製造方法で得られた食品は、包丁でカットしたときに、上記の水中油型乳化組成物を含有する部分が包丁に付着しにくいものである。
Claims (3)
- 馬鈴薯由来の澱粉及び馬鈴薯澱粉の化工澱粉の中から選ばれた1種又は2種以上を用い、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有し、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を、得ようとする食品における該水中油型乳化組成物以外の配合物と共に、加熱して溶解させ、更に冷却して固化させることを特徴とする食品の製造方法。
- 上記水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で加熱する請求項1記載の食品の製造方法。
- 上記水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度で冷却する請求項1記載の食品の製造方法。
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