JP5879002B1 - 加熱液全卵の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分に殺菌され、かつ起泡性が高い加熱液全卵及びその製造方法の提供。【解決手段】液卵黄からなる第1の液卵を59〜80℃で加熱した後、58℃以下に冷却する第1の加熱工程と、少なくとも液卵白を含む第2の液卵を前記第1の加熱工程の加熱温度より1〜26℃低い温度であり、かつ54〜58℃で加熱する第2の加熱工程と、前記第1の加熱工程で得られた液卵及び前記第2の加熱工程で得られた液卵を均質化して得られた液全卵を8℃以下で3時間以上保持する保持工程とを有する、加熱液全卵の製造方法。加熱液全卵のサルモネラ属菌がサンプル重量25g当たり陰性、大腸菌群が10個/g未満であり、前記加熱液全卵をNative—PAGE法で電気泳動したときに検出される、第1のバンドと、前記第1のバンドよりも泳動速度の速い第2のバンドとを含む2本のオボトランスフェリンのバンドが所定の条件を満たす加熱液全卵の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、十分に殺菌され、かつ起泡性が高い加熱液全卵及びその製造方法に関する。
割卵して卵殻から分離されたばかりの未加熱液全卵は、サルモネラ・エンティリティディス、大腸菌等の細菌に汚染されている可能性がある。これらの細菌に汚染された液全卵は、7℃程度の温度に保管しても2〜3日間しか保存できず、作業環境を汚染する可能性がある。また、サルモネラ・エンティリティディスに汚染された液全卵は、広範囲に及ぶ食中毒の危険性を有する。したがって、割卵後の液全卵は、例えば連続式の加熱殺菌装置を用いる場合、60℃で3.5分間以上加熱することにより、殺菌処理されている。
しかしながら、上記条件で加熱殺菌処理した場合、加熱中に液全卵中の蛋白質の一部が熱変性し、加熱前と比較して起泡性等が低下することがあった。起泡性が低下した液全卵を製菓・製パンに用いた場合、泡立て時間の遅延や製品の容積の低下、及び食感の低下等の影響を及ぼす。
そこで、特許文献1では、マルトース及び/又はトレハロースを液全卵に対し3〜8重量%添加してなる液全卵であって、α−アミラーゼ活性がなく、大腸菌群数10個/g未満、サンプル重量25g当たりサルモネラ属菌陰性、かつ、黄色ぶどう球菌及びその他の病原性菌が陰性である起泡性に優れた加工液全卵が記載されている。
一方で、加糖することにより、無添加の液全卵に対して味や組成が変化する可能性があるため、特許文献1のように加糖されずとも、十分に殺菌され、かつ起泡性の高い液全卵が求められていた。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、十分に殺菌され、かつ起泡性が高い加熱液全卵及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、本発明者らは、加熱液全卵であっても、Native―PAGE法で電気泳動したときに、2本のオボトランスフェリンのバンドが検出され、かつこれらのバンドの測定値が所定の条件を満たす場合に、十分な起泡性が得られる、という知見を見出した。さらに、このような加熱液全卵を製造するために、新規な加熱液全卵の製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)サルモネラ属菌がサンプル重量25g当たり陰性、大腸菌群が10個/g未満である加熱液全卵であって、
前記加熱液全卵をNative―PAGE法で電気泳動したときに、第1のバンドと、前記第1のバンドよりも泳動速度の速い第2のバンドとを含む2本のオボトランスフェリンのバンドが検出され、
前記2本のオボトランスフェリンのバンド各々の濃さをデンシトメーターで測定したときに、前記第1のバンドの測定値が前記第2のバンドの測定値の50%以上200%以下である
加熱液全卵。
(2)(1)に記載の加熱液全卵であって、
前記2本のオボトランスフェリンのバンド各々の濃さをデンシトメーターで測定したときに、前記第1のバンドの測定値が前記第2のバンドの測定値の50%以上100%以下である
加熱液全卵。
(3)(1)又は(2)に記載の加熱液全卵であって、
前記加熱液全卵をNative―PAGE法で電気泳動したときに、さらにオボアルブミンのバンドが検出され、
前記オボトランスフェリンの第1のバンドと前記オボアルブミンのバンドとをデンシトメーターで測定したときに、前記第1のバンドの測定値が前記オボアルブミンのバンドの測定値の20%以上50%以下である
加熱液全卵。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の加熱液全卵の製造方法であって、
液卵黄からなる第1の液卵を59〜80℃で加熱した後、58℃以下に冷却する第1の加熱工程と、
少なくとも液卵白を含む第2の液卵を前記第1の加熱工程の加熱温度より1〜26℃低い温度であり、かつ54〜58℃で加熱する第2の加熱工程と、
前記第1の加熱工程で得られた液卵及び前記第2の加熱工程で得られた液卵を均質化して得られた液全卵を8℃以下で3時間以上保持する保持工程とを有する
加熱液全卵の製造方法。
(1)サルモネラ属菌がサンプル重量25g当たり陰性、大腸菌群が10個/g未満である加熱液全卵であって、
前記加熱液全卵をNative―PAGE法で電気泳動したときに、第1のバンドと、前記第1のバンドよりも泳動速度の速い第2のバンドとを含む2本のオボトランスフェリンのバンドが検出され、
前記2本のオボトランスフェリンのバンド各々の濃さをデンシトメーターで測定したときに、前記第1のバンドの測定値が前記第2のバンドの測定値の50%以上200%以下である
加熱液全卵。
(2)(1)に記載の加熱液全卵であって、
前記2本のオボトランスフェリンのバンド各々の濃さをデンシトメーターで測定したときに、前記第1のバンドの測定値が前記第2のバンドの測定値の50%以上100%以下である
加熱液全卵。
(3)(1)又は(2)に記載の加熱液全卵であって、
前記加熱液全卵をNative―PAGE法で電気泳動したときに、さらにオボアルブミンのバンドが検出され、
前記オボトランスフェリンの第1のバンドと前記オボアルブミンのバンドとをデンシトメーターで測定したときに、前記第1のバンドの測定値が前記オボアルブミンのバンドの測定値の20%以上50%以下である
加熱液全卵。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の加熱液全卵の製造方法であって、
液卵黄からなる第1の液卵を59〜80℃で加熱した後、58℃以下に冷却する第1の加熱工程と、
少なくとも液卵白を含む第2の液卵を前記第1の加熱工程の加熱温度より1〜26℃低い温度であり、かつ54〜58℃で加熱する第2の加熱工程と、
前記第1の加熱工程で得られた液卵及び前記第2の加熱工程で得られた液卵を均質化して得られた液全卵を8℃以下で3時間以上保持する保持工程とを有する
加熱液全卵の製造方法。
本発明により、十分に殺菌され、かつ起泡性が高い加熱液全卵及びその製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
<液全卵>
本発明の液全卵とは、殻付卵を割卵して卵殻を取り除いた卵内容物、又は殻付卵を割卵して液卵黄と液卵白とを分離し、再び液卵黄と液卵白とを当該卵内容物と同程度の割合で混合したものをいう。また、上記、卵内容物、液卵黄及び液卵白としては、凍結した後解凍したものを用いてもよい。液卵黄と液卵白との比率は、例えば、生換算で1:1〜1:3程度であればよい。本発明の液全卵は、典型的には均質化したものとする。ここで本発明の均質化とは、液卵黄と液卵白を混合して液卵黄と液卵白の区別が判然としない状態にすることをいう。また、殻付卵を割卵した卵内容物は、均質化した後ろ過したものとしてもよい。
なお、用いる卵としては、鶏、鶉、鴨、アヒル等、食用に供される鳥類の卵があげられ、一般によく流通している鶏卵を用いるとよい。
本発明の液全卵とは、殻付卵を割卵して卵殻を取り除いた卵内容物、又は殻付卵を割卵して液卵黄と液卵白とを分離し、再び液卵黄と液卵白とを当該卵内容物と同程度の割合で混合したものをいう。また、上記、卵内容物、液卵黄及び液卵白としては、凍結した後解凍したものを用いてもよい。液卵黄と液卵白との比率は、例えば、生換算で1:1〜1:3程度であればよい。本発明の液全卵は、典型的には均質化したものとする。ここで本発明の均質化とは、液卵黄と液卵白を混合して液卵黄と液卵白の区別が判然としない状態にすることをいう。また、殻付卵を割卵した卵内容物は、均質化した後ろ過したものとしてもよい。
なお、用いる卵としては、鶏、鶉、鴨、アヒル等、食用に供される鳥類の卵があげられ、一般によく流通している鶏卵を用いるとよい。
<液卵黄/液卵白/液卵>
本発明の液卵黄及び液卵白とは、それぞれ、殻付卵を割卵して分離された卵黄及び卵白をいうものとする。
液卵黄には、例えばホスビチン等の卵黄蛋白質、リン脂質、鉄等が含まれる。
液卵白には、例えばオボアルブミン、オボトランスフェリン等の卵白蛋白質が含まれる。
本発明の液卵は、液全卵、液卵黄、及び液卵白を含む概念とする。
本発明の液卵黄及び液卵白とは、それぞれ、殻付卵を割卵して分離された卵黄及び卵白をいうものとする。
液卵黄には、例えばホスビチン等の卵黄蛋白質、リン脂質、鉄等が含まれる。
液卵白には、例えばオボアルブミン、オボトランスフェリン等の卵白蛋白質が含まれる。
本発明の液卵は、液全卵、液卵黄、及び液卵白を含む概念とする。
<オボトランスフェリン>
オボトランスフェリンは、分子量が7万7千程度の糖蛋白質であり、生卵白の卵白蛋白質のうち約12%を占める。オボトランスフェリンは、鉄結合部位を有し、鉄の結合によって分子構造が変化する。以下、鉄の結合していないオボトランスフェリンを非鉄結合オボトランスフェリン、鉄の結合したオボトランスフェリンを鉄結合オボトランスフェリンと称する。非鉄結合オボトランスフェリンは、60℃程度の加熱で熱変性するが、鉄結合オボトランスフェリンは耐熱性を有し、60℃程度の加熱でも熱変性しにくい。なお、液卵白中のオボトランスフェリンは、液卵白中に鉄が含まれていないことから、通常、非鉄結合オボトランスフェリンとして存在している。
オボトランスフェリンは、分子量が7万7千程度の糖蛋白質であり、生卵白の卵白蛋白質のうち約12%を占める。オボトランスフェリンは、鉄結合部位を有し、鉄の結合によって分子構造が変化する。以下、鉄の結合していないオボトランスフェリンを非鉄結合オボトランスフェリン、鉄の結合したオボトランスフェリンを鉄結合オボトランスフェリンと称する。非鉄結合オボトランスフェリンは、60℃程度の加熱で熱変性するが、鉄結合オボトランスフェリンは耐熱性を有し、60℃程度の加熱でも熱変性しにくい。なお、液卵白中のオボトランスフェリンは、液卵白中に鉄が含まれていないことから、通常、非鉄結合オボトランスフェリンとして存在している。
<オボアルブミン>
オボアルブミンは、分子量が4万5千程度の糖蛋白質であり、生卵白の卵白蛋白質のうち約54%を占める。オボアルブミンは、非鉄結合オボトランスフェリンよりも耐熱性が高く、約75〜80℃で熱変性し凝固する。
オボアルブミンは、分子量が4万5千程度の糖蛋白質であり、生卵白の卵白蛋白質のうち約54%を占める。オボアルブミンは、非鉄結合オボトランスフェリンよりも耐熱性が高く、約75〜80℃で熱変性し凝固する。
<加熱液全卵>
本発明の加熱液全卵とは、加熱殺菌された液全卵であって、サルモネラ・エンティリティディスを含むサルモネラ属菌をサンプル重量25g当たり陰性、大腸菌群を10個/g未満となるように処理されたものをいう。サルモネラ属菌についての基準は、食品衛生法により定められた殺菌液卵の条件を満たすものであり、サルモネラ属菌が1/107以下に減少する条件であるとよりよい。大腸菌群の基準は、食中毒等を十分防止できるものとして一般的に用いられている基準である。本発明における加熱液全卵によれば、食中毒を未然に防ぐことが可能となる。なお、本発明の加熱液全卵は、凍結後、解凍したものでもよい。
本発明の加熱液全卵とは、加熱殺菌された液全卵であって、サルモネラ・エンティリティディスを含むサルモネラ属菌をサンプル重量25g当たり陰性、大腸菌群を10個/g未満となるように処理されたものをいう。サルモネラ属菌についての基準は、食品衛生法により定められた殺菌液卵の条件を満たすものであり、サルモネラ属菌が1/107以下に減少する条件であるとよりよい。大腸菌群の基準は、食中毒等を十分防止できるものとして一般的に用いられている基準である。本発明における加熱液全卵によれば、食中毒を未然に防ぐことが可能となる。なお、本発明の加熱液全卵は、凍結後、解凍したものでもよい。
<起泡性>
本発明の起泡性とは、液全卵を一定時間泡立てた場合の起泡性のことを言い、具体的には、泡の比重が小さいほど起泡性が高いと評価される。
起泡性は、加熱殺菌により低下することが知られている。連続式により殺菌する場合、通常、全卵は60℃で3分30秒以上加熱する。一方で、当該条件下で加熱した液全卵は、液全卵に含まれる蛋白質の一部、特に卵白蛋白質の一部が加熱により変性するためか、起泡性が低下し、菓子やパンに当該液全卵を用いた際にふんわり感を十分得ることが難しかった。
そこで、本発明者らは、Native−PAGE法によって未加熱液全卵及び加熱液全卵各々に含まれる蛋白質の種類及び量について検討した。
本発明の起泡性とは、液全卵を一定時間泡立てた場合の起泡性のことを言い、具体的には、泡の比重が小さいほど起泡性が高いと評価される。
起泡性は、加熱殺菌により低下することが知られている。連続式により殺菌する場合、通常、全卵は60℃で3分30秒以上加熱する。一方で、当該条件下で加熱した液全卵は、液全卵に含まれる蛋白質の一部、特に卵白蛋白質の一部が加熱により変性するためか、起泡性が低下し、菓子やパンに当該液全卵を用いた際にふんわり感を十分得ることが難しかった。
そこで、本発明者らは、Native−PAGE法によって未加熱液全卵及び加熱液全卵各々に含まれる蛋白質の種類及び量について検討した。
<Native−PAGE法>
Native−PAGE法は、アクリルアミドの重合体であるポリアクリルアミドのゲルを用いた電気泳動により蛋白質等を分離する、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(Poly-Acrylamide Gel Electrophoresis;PAGE)の一種である。Native−PAGE法は、サンプル中の蛋白質を変性及び還元してから電気泳動を行うSDS−PAGE法と異なり、サンプル中の蛋白質を変性させることなく電気泳動を行う。これにより、Native−PAGE法における蛋白質分子の移動速度は、分子量のみならず、分子の形及び電荷にも依存することとなる。したがって、本発明にNative−PAGE法を適用することで、サンプルとなる加熱液全卵に含まれる蛋白質のうち、加熱殺菌によって変性しなかった蛋白質と変性した蛋白質とを分離することが可能となる。
ここで、図1を用いて液全卵をNative―PAGE法によって電気泳動した結果の一例を示す。図1において、左側のレーンは加熱殺菌していない液全卵(以下、未加熱液全卵と称する)のサンプル、右側のレーンは60℃で3分30秒加熱した加熱液全卵(以下、通常加熱液全卵と称する)のサンプルを示す。未加熱液全卵は、良好な起泡性を有し、通常加熱液全卵は、上述のように起泡性が低下していた。
未加熱液全卵のサンプルからは、3本のバンドB11,B12、B13が検出され、通常加熱液全卵のサンプルからは、2本のバンドB22,B23が検出された。これらのバンドは、各バンドを含むゲルを切り取って所定の処理を施した後、SDS−PAGE法によって電気泳動し、分子量を確認した。その結果、バンドB11,B12及びバンドB22はオボトランスフェリンのバンド、バンドB13及びバンドB23はオボアルブミンのバンドであることを確認した。
さらに、未加熱液全卵のサンプルから検出された2本のオボトランスフェリンのバンドB11,B12の違いを確認するため、以下の実験を行った。すなわち、未加熱液全卵に鉄を添加し、同様にNative−PAGE法を行ったところ、オボトランスフェリンのバンドが1本になった。その結果から、未加熱液全卵のサンプルから検出されたバンドB11,B12のうち、泳動速度のより遅いバンドB11が未変性の非鉄結合オボトランスフェリン(以下、単に非鉄結合オボトランスフェリンと称する)、泳動速度の速いバンドB12が未変性の鉄結合オボトランスフェリン(以下、単に鉄結合オボトランスフェリンと称する)のバンドであることが確認された。また、通常加熱液全卵のサンプルから検出されたバンドB22は、泳動速度に鑑みて鉄結合オボトランスフェリンのバンドであると確認されたが、同サンプルから非鉄結合オボトランスフェリンのバンドは検出されなかった。
図1に示す結果から、本発明者らは、液全卵中の鉄結合オボトランスフェリンと非鉄結合オボトランスフェリンとに着目した。
Native−PAGE法は、アクリルアミドの重合体であるポリアクリルアミドのゲルを用いた電気泳動により蛋白質等を分離する、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(Poly-Acrylamide Gel Electrophoresis;PAGE)の一種である。Native−PAGE法は、サンプル中の蛋白質を変性及び還元してから電気泳動を行うSDS−PAGE法と異なり、サンプル中の蛋白質を変性させることなく電気泳動を行う。これにより、Native−PAGE法における蛋白質分子の移動速度は、分子量のみならず、分子の形及び電荷にも依存することとなる。したがって、本発明にNative−PAGE法を適用することで、サンプルとなる加熱液全卵に含まれる蛋白質のうち、加熱殺菌によって変性しなかった蛋白質と変性した蛋白質とを分離することが可能となる。
ここで、図1を用いて液全卵をNative―PAGE法によって電気泳動した結果の一例を示す。図1において、左側のレーンは加熱殺菌していない液全卵(以下、未加熱液全卵と称する)のサンプル、右側のレーンは60℃で3分30秒加熱した加熱液全卵(以下、通常加熱液全卵と称する)のサンプルを示す。未加熱液全卵は、良好な起泡性を有し、通常加熱液全卵は、上述のように起泡性が低下していた。
未加熱液全卵のサンプルからは、3本のバンドB11,B12、B13が検出され、通常加熱液全卵のサンプルからは、2本のバンドB22,B23が検出された。これらのバンドは、各バンドを含むゲルを切り取って所定の処理を施した後、SDS−PAGE法によって電気泳動し、分子量を確認した。その結果、バンドB11,B12及びバンドB22はオボトランスフェリンのバンド、バンドB13及びバンドB23はオボアルブミンのバンドであることを確認した。
さらに、未加熱液全卵のサンプルから検出された2本のオボトランスフェリンのバンドB11,B12の違いを確認するため、以下の実験を行った。すなわち、未加熱液全卵に鉄を添加し、同様にNative−PAGE法を行ったところ、オボトランスフェリンのバンドが1本になった。その結果から、未加熱液全卵のサンプルから検出されたバンドB11,B12のうち、泳動速度のより遅いバンドB11が未変性の非鉄結合オボトランスフェリン(以下、単に非鉄結合オボトランスフェリンと称する)、泳動速度の速いバンドB12が未変性の鉄結合オボトランスフェリン(以下、単に鉄結合オボトランスフェリンと称する)のバンドであることが確認された。また、通常加熱液全卵のサンプルから検出されたバンドB22は、泳動速度に鑑みて鉄結合オボトランスフェリンのバンドであると確認されたが、同サンプルから非鉄結合オボトランスフェリンのバンドは検出されなかった。
図1に示す結果から、本発明者らは、液全卵中の鉄結合オボトランスフェリンと非鉄結合オボトランスフェリンとに着目した。
<Native−PAGE法:デンシトメーター>
本発明では、デンシトメーターを用いて、Native−PAGE法によって検出されたバンド各々の濃さを測定し、各バンドに対応する蛋白質を定量する。デンシトメーターは、より具体的には、バンドを撮影した画像等から検出されたバンドに基づいて各バンドの濃さを測定することができる。
本発明では、デンシトメーターを用いて、Native−PAGE法によって検出されたバンド各々の濃さを測定し、各バンドに対応する蛋白質を定量する。デンシトメーターは、より具体的には、バンドを撮影した画像等から検出されたバンドに基づいて各バンドの濃さを測定することができる。
<Native−PAGE法:第1のバンドと第2のバンド>
本発明の加熱液全卵は、当該加熱液全卵をNative―PAGE法で電気泳動したときに、第1のバンドと、第1のバンドよりも泳動速度の速い第2のバンドとを含む2本のオボトランスフェリンのバンドが検出される。すなわち、本発明の加熱液全卵は、未加熱液全卵と同様に、第1のバンドとして検出された未変性の非鉄結合オボトランスフェリンと、第2のバンドとして検出された未変性の鉄結合オボトランスフェリンとの2種類の未変性オボトランスフェリンを含む。
本発明の加熱液全卵は、当該加熱液全卵をNative―PAGE法で電気泳動したときに、第1のバンドと、第1のバンドよりも泳動速度の速い第2のバンドとを含む2本のオボトランスフェリンのバンドが検出される。すなわち、本発明の加熱液全卵は、未加熱液全卵と同様に、第1のバンドとして検出された未変性の非鉄結合オボトランスフェリンと、第2のバンドとして検出された未変性の鉄結合オボトランスフェリンとの2種類の未変性オボトランスフェリンを含む。
<Native−PAGE法:第2のバンドの測定値に対する第1のバンドの測定値の割合>
本発明者らは、第1のバンド及び第2のバンドの2本のオボトランスフェリンのバンド各々をデンシトメーターで測定し、第2のバンドの測定値に対する第1のバンドの測定値の割合に、良好な起泡性が維持できる範囲が存在することを見出した。
すなわち、本発明では、2本のオボトランスフェリンのバンド各々をデンシトメーターで測定したときに、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であり、さらに50%以上100%以下であればよく、さらに70%以上100%以下であるとよい。第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%未満であると、十分な起泡性が得られず、200%より大きくても、十分な起泡性が得られない。一方、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であれば良好な起泡性を得ることができ、50%以上100%以下、さらに70%以上100%以下であればより良好な起泡性が得られる。
本発明者らは、第1のバンド及び第2のバンドの2本のオボトランスフェリンのバンド各々をデンシトメーターで測定し、第2のバンドの測定値に対する第1のバンドの測定値の割合に、良好な起泡性が維持できる範囲が存在することを見出した。
すなわち、本発明では、2本のオボトランスフェリンのバンド各々をデンシトメーターで測定したときに、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であり、さらに50%以上100%以下であればよく、さらに70%以上100%以下であるとよい。第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%未満であると、十分な起泡性が得られず、200%より大きくても、十分な起泡性が得られない。一方、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であれば良好な起泡性を得ることができ、50%以上100%以下、さらに70%以上100%以下であればより良好な起泡性が得られる。
<Native−PAGE法:オボアルブミンのバンドの測定値に対する第1のバンドの測定値の割合>
また、本発明者らは、オボトランスフェリンの第1のバンド及びオボアルブミンのバンド各々をデンシトメーターで測定し、オボアルブミンのバンドの測定値に対する第1のバンドの測定値の割合に、良好な起泡性が維持できる範囲が存在することを見出した。
すなわち、本発明では、加熱液全卵をNative―PAGE法で電気泳動したときに、さらにオボアルブミンのバンドが検出され、上記オボトランスフェリンの第1のバンドとオボアルブミンのバンドとをデンシトメーターで測定したときに、第1のバンドの測定値がオボアルブミンのバンドの測定値の20%以上50%以下とすることができる。これにより、より良好な起泡性を得ることができる。
また、本発明者らは、オボトランスフェリンの第1のバンド及びオボアルブミンのバンド各々をデンシトメーターで測定し、オボアルブミンのバンドの測定値に対する第1のバンドの測定値の割合に、良好な起泡性が維持できる範囲が存在することを見出した。
すなわち、本発明では、加熱液全卵をNative―PAGE法で電気泳動したときに、さらにオボアルブミンのバンドが検出され、上記オボトランスフェリンの第1のバンドとオボアルブミンのバンドとをデンシトメーターで測定したときに、第1のバンドの測定値がオボアルブミンのバンドの測定値の20%以上50%以下とすることができる。これにより、より良好な起泡性を得ることができる。
<その他の添加物>
本発明の加熱液全卵には、以上の成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば増粘多糖類、ショ糖、乳糖、焙焼デキストリン、食塩、蛋白加水分解物等を添加することができる。
なお、本発明の加熱液全卵に、その他の添加物を含有させる場合、液全卵本来の風味を損ない難い点で、3%未満であるとよく、さらに1%以下であるとよい。
本発明の加熱液全卵には、以上の成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば増粘多糖類、ショ糖、乳糖、焙焼デキストリン、食塩、蛋白加水分解物等を添加することができる。
なお、本発明の加熱液全卵に、その他の添加物を含有させる場合、液全卵本来の風味を損ない難い点で、3%未満であるとよく、さらに1%以下であるとよい。
さらに本発明者らは、本発明の加熱液全卵を製造する方法についても鋭意研究を重ね、以下の方法に想到した。
<加熱液全卵の製造方法>
本発明の加熱液全卵の製造方法は、第1の加熱工程と、第2の加熱工程と、保持工程とを有する。さらに、上記製造方法は、第1の加熱工程の前に、液卵黄と液卵白を分離する分離工程を含んでいてもよく、また第1の加熱工程の後又は保持工程の後に、液全卵を充填する充填工程を有していてもよい。以下、具体的に説明する。
本発明の加熱液全卵の製造方法は、第1の加熱工程と、第2の加熱工程と、保持工程とを有する。さらに、上記製造方法は、第1の加熱工程の前に、液卵黄と液卵白を分離する分離工程を含んでいてもよく、また第1の加熱工程の後又は保持工程の後に、液全卵を充填する充填工程を有していてもよい。以下、具体的に説明する。
<分離工程>
まず、殻付卵を割卵し、液卵黄と液卵白を分離することができる。割卵は、機械割りによって工業的に行われてもよい。液卵黄と液卵白との分離は、常法に従って行うことができる。
なお、本発明の加熱液全卵の製造方法は、分離工程を有さずとも、液卵黄と液卵白とをそれぞれ準備できればよい。
まず、殻付卵を割卵し、液卵黄と液卵白を分離することができる。割卵は、機械割りによって工業的に行われてもよい。液卵黄と液卵白との分離は、常法に従って行うことができる。
なお、本発明の加熱液全卵の製造方法は、分離工程を有さずとも、液卵黄と液卵白とをそれぞれ準備できればよい。
<第1の加熱工程>
続いて、主に液卵黄からなる第1の液卵を加熱する。加熱温度は、59〜80℃であり、59〜75℃であるとよく、さらに59〜62℃であるとよい。加熱温度の下限の例として、59℃以上であるとよく、さらに60℃より大きい温度であるとよい。加熱温度の上限の例として、80℃以下であるとよく、さらに75℃以下であるとよく、さらに62℃以下であるとよい。その後、58℃以下、好ましくは55℃以下に冷却する。第1の液卵は、液卵白を含まない液卵、又は特定量の液卵白を含む液卵とする。特に第1の液卵が特定量の液卵白を含む場合は、後述の保持工程の時間が短縮され、起泡性の良好な液全卵がより短時間に得られる場合がある。本工程における液卵白の量は、5%以上30%以下であるとよく、さらに10%以上20%以下であるとよい。加熱方法としては、例えばプレート式熱交換器等の連続式殺菌装置やバッチ式加熱タンクを用いた加熱、ジュール加熱式殺菌装置を用いた通電加熱、マイクロ波加熱等が挙げられる。加熱温度が58℃以下であると、液卵黄を十分に殺菌することができず、加熱温度が80℃より大きいと、液卵黄中の成分を変性させるおそれがある。また、加熱温度が75℃超80℃以下の場合は、前記第1の液卵は、高圧ホモジナイザーで処理したものを用いるとよい。高圧ホモジナイザーで処理することにより、液卵黄中の成分を変性しにくくすることができる。加熱時間は特に限定されないが、例えば0.01〜15分とすることができ、0.1〜15分とすることができ、さらに1〜10分とすることができ、さらに3分30秒〜10分程度とすることができる。
58℃以下への冷却方法は、プレート式熱交換器による連続的な冷却や、58℃以下に保持することができるバッチ式タンクにより冷却する方法、第2の加熱工程で得られた液卵を第1の加熱工程で得られた液卵に混合することで、冷却する方法等を挙げることができる。なお、第2の加熱工程で得られた液卵を第1の加熱工程で得られた液卵に混合することで58℃以下に冷却する方法を行った場合、その混合後の液卵を均質化して、後述の保持工程を行うことができる。
また、冷却温度は、58℃以下で、かつ第1の液卵が凍結されない温度であればよく、加熱温度から1〜22℃低下させた温度、あるいは5〜8℃程度等を適用することができる。加熱後58℃以下へ冷却することにより、第1の液卵を液卵白と混合させた際の卵白蛋白質の熱変性を防止することができる。
続いて、主に液卵黄からなる第1の液卵を加熱する。加熱温度は、59〜80℃であり、59〜75℃であるとよく、さらに59〜62℃であるとよい。加熱温度の下限の例として、59℃以上であるとよく、さらに60℃より大きい温度であるとよい。加熱温度の上限の例として、80℃以下であるとよく、さらに75℃以下であるとよく、さらに62℃以下であるとよい。その後、58℃以下、好ましくは55℃以下に冷却する。第1の液卵は、液卵白を含まない液卵、又は特定量の液卵白を含む液卵とする。特に第1の液卵が特定量の液卵白を含む場合は、後述の保持工程の時間が短縮され、起泡性の良好な液全卵がより短時間に得られる場合がある。本工程における液卵白の量は、5%以上30%以下であるとよく、さらに10%以上20%以下であるとよい。加熱方法としては、例えばプレート式熱交換器等の連続式殺菌装置やバッチ式加熱タンクを用いた加熱、ジュール加熱式殺菌装置を用いた通電加熱、マイクロ波加熱等が挙げられる。加熱温度が58℃以下であると、液卵黄を十分に殺菌することができず、加熱温度が80℃より大きいと、液卵黄中の成分を変性させるおそれがある。また、加熱温度が75℃超80℃以下の場合は、前記第1の液卵は、高圧ホモジナイザーで処理したものを用いるとよい。高圧ホモジナイザーで処理することにより、液卵黄中の成分を変性しにくくすることができる。加熱時間は特に限定されないが、例えば0.01〜15分とすることができ、0.1〜15分とすることができ、さらに1〜10分とすることができ、さらに3分30秒〜10分程度とすることができる。
58℃以下への冷却方法は、プレート式熱交換器による連続的な冷却や、58℃以下に保持することができるバッチ式タンクにより冷却する方法、第2の加熱工程で得られた液卵を第1の加熱工程で得られた液卵に混合することで、冷却する方法等を挙げることができる。なお、第2の加熱工程で得られた液卵を第1の加熱工程で得られた液卵に混合することで58℃以下に冷却する方法を行った場合、その混合後の液卵を均質化して、後述の保持工程を行うことができる。
また、冷却温度は、58℃以下で、かつ第1の液卵が凍結されない温度であればよく、加熱温度から1〜22℃低下させた温度、あるいは5〜8℃程度等を適用することができる。加熱後58℃以下へ冷却することにより、第1の液卵を液卵白と混合させた際の卵白蛋白質の熱変性を防止することができる。
<第2の加熱工程>
続いて、少なくとも液卵白を含む第2の液卵を加熱する。加熱温度は、第1の加熱工程の加熱温度より1〜26℃低い温度であり、好ましくは3〜21℃低い温度である。例えば54〜58℃であればよく、さらに54〜56℃であるとよりよい。加熱方法としては、第1の加熱工程と同様の方法を用いることができる。加熱時間は特に限定されないが、例えば0.5〜15分とすることができ、1〜15分とすることができ、さらに3〜10分とすることができ、さらに3分30秒〜10分程度とすることができる。第2の工程の加熱温度と第1の加熱工程の加熱温度との差が26℃より大きいと、十分に加熱殺菌できないおそれがあり、これらの差が1℃未満であると、卵白蛋白質の一部が変性するおそれがある。第2の液卵を第1の加熱工程の加熱温度より1〜26℃低い温度で加熱することにより、第2の液卵を十分に殺菌することができるとともに、オボトランスフェリンの熱変性を防止することができる。
また、第2の液卵は、液卵白からなり液卵黄を含まない液卵とすることができ、あるいは液卵白と第1の加熱工程を得た第1の液卵とを含む液卵(液全卵)とすることもできる。後者の場合、加熱前に、液卵白と液卵黄を混合し、均質化してもよい。
続いて、少なくとも液卵白を含む第2の液卵を加熱する。加熱温度は、第1の加熱工程の加熱温度より1〜26℃低い温度であり、好ましくは3〜21℃低い温度である。例えば54〜58℃であればよく、さらに54〜56℃であるとよりよい。加熱方法としては、第1の加熱工程と同様の方法を用いることができる。加熱時間は特に限定されないが、例えば0.5〜15分とすることができ、1〜15分とすることができ、さらに3〜10分とすることができ、さらに3分30秒〜10分程度とすることができる。第2の工程の加熱温度と第1の加熱工程の加熱温度との差が26℃より大きいと、十分に加熱殺菌できないおそれがあり、これらの差が1℃未満であると、卵白蛋白質の一部が変性するおそれがある。第2の液卵を第1の加熱工程の加熱温度より1〜26℃低い温度で加熱することにより、第2の液卵を十分に殺菌することができるとともに、オボトランスフェリンの熱変性を防止することができる。
また、第2の液卵は、液卵白からなり液卵黄を含まない液卵とすることができ、あるいは液卵白と第1の加熱工程を得た第1の液卵とを含む液卵(液全卵)とすることもできる。後者の場合、加熱前に、液卵白と液卵黄を混合し、均質化してもよい。
<保持工程>
続いて、液卵黄及び液卵白を均質化して得られた液全卵を8℃以下で保持する。均質化処理は、プロペラ攪拌機等を用いて、本発明の効果を損なわない条件下にて行うことができる。保持工程により、液卵黄と液卵白の成分が十分混ざり合い、未変性のオボトランスフェリンと卵黄由来の鉄とが結合し得る。これにより、加熱液全卵中の鉄結合オボトランスフェリンと、非鉄結合オボトランスフェリンとの比率を所定の範囲に調整することができ、起泡性を維持することができる。
本発明の保持工程は、液全卵を3時間以上保持するとよく、さらに24時間以上保持すればよりよい。これにより、未変性のオボトランスフェリンと卵黄由来の鉄とを十分結合させることができる。
続いて、液卵黄及び液卵白を均質化して得られた液全卵を8℃以下で保持する。均質化処理は、プロペラ攪拌機等を用いて、本発明の効果を損なわない条件下にて行うことができる。保持工程により、液卵黄と液卵白の成分が十分混ざり合い、未変性のオボトランスフェリンと卵黄由来の鉄とが結合し得る。これにより、加熱液全卵中の鉄結合オボトランスフェリンと、非鉄結合オボトランスフェリンとの比率を所定の範囲に調整することができ、起泡性を維持することができる。
本発明の保持工程は、液全卵を3時間以上保持するとよく、さらに24時間以上保持すればよりよい。これにより、未変性のオボトランスフェリンと卵黄由来の鉄とを十分結合させることができる。
<充填工程>
最後に、得られた液全卵をナイロン、ポリエチレン、塩化ビニル又はナイロン−ポリエチレン複合シート等の容器に充填密封することができる。
充填工程は、保持工程の前に行うこともでき、あるいは、第1の加熱工程後、第2の加熱工程前に行うことができる。後者の場合、液卵黄からなる第1の卵液と液卵白とを容器に充填して第2の卵液とし、容器ごと加熱する。この場合の加熱方法は、例えばバッチ式タンクを用いた加熱を適用することができる。
最後に、得られた液全卵をナイロン、ポリエチレン、塩化ビニル又はナイロン−ポリエチレン複合シート等の容器に充填密封することができる。
充填工程は、保持工程の前に行うこともでき、あるいは、第1の加熱工程後、第2の加熱工程前に行うことができる。後者の場合、液卵黄からなる第1の卵液と液卵白とを容器に充填して第2の卵液とし、容器ごと加熱する。この場合の加熱方法は、例えばバッチ式タンクを用いた加熱を適用することができる。
<本発明の作用効果>
以上のように、本発明によれば、食中毒を未然に防止することができるとともに、十分な起泡性を有する加熱液全卵を提供することができる。
より具体的には、2本のオボトランスフェリンのバンド各々をデンシトメーターで測定したときに、非鉄結合オボトランスフェリンに対応する第1のバンドの測定値が鉄結合オボトランスフェリンに対応する第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であることにより、起泡性を高めることができる。すなわち、加熱液全卵が、耐熱性の高い鉄結合性オボトランスフェリンのみならず、耐熱性の比較的低い非鉄結合性オボトランスフェリンも含み、かつ、鉄結合性オボトランスフェリンに対する非鉄結合性オボトランスフェリンの相対量を所定の範囲に調整することで、起泡性を高めることができる。
また、2本のオボトランスフェリンのバンドの条件に加えて、オボトランスフェリンの第1のバンドとオボアルブミンのバンドとをデンシトメーターで測定したときに、第1のバンドの測定値がオボアルブミンのバンドの測定値の20%以上50%以下であることにより、起泡性をより高めることできる。すなわち、耐熱性が高いオボアルブミンに対して、非鉄結合性オボトランスフェリンが所定量残っていることにより、起泡性をより高めることができる。
加えて、上記製造方法によれば、本発明の加熱液全卵を容易に製造することができる。上記製造方法が本発明の加熱液全卵を製造できる機序は、以下のように推測される。
図2は、本発明の加熱液全卵の製造方法において推測される機序を説明するための模式図であり、図2Aは未加熱液全卵、図2Bは通常加熱液全卵、図2Cは本発明の加熱液全卵の製造方法を示す。図2Aに示すように、未加熱液全卵E1は、卵白由来の非鉄結合オボトランスフェリンOT1と、非鉄結合オボトランスフェリンOT1に卵黄中の鉄が結合した鉄結合オボトランスフェリンOT2とを含む。これにより、Native―PAGE法で電気泳動したときに、非鉄結合オボトランスフェリンOT1と鉄結合オボトランスフェリンOT2との2本のバンドB11,B12が検出されると推測される。一方、図2Bに示すように、通常加熱液全卵E2では、例えば60℃で5分程度加熱した際に、耐熱性の低い非鉄結合オボトランスフェリンOT1が変性し、耐熱性の高い鉄結合オボトランスフェリンOT2が残る。したがって、Native―PAGE法で電気泳動したときに、鉄結合オボトランスフェリンOT2のバンドB22が多く検出されると推測される。一方、図2Cに示すように、本発明の加熱液全卵E3においては、液卵白を含む第2の卵液E32が、第2の加熱工程において59〜80℃より1〜26℃低い温度で加熱されることから、加熱後も非鉄結合オボトランスフェリンOT1がほとんど変性しない。さらに、当該第2の卵液E32と第1の加熱工程を経た液卵黄(第1の卵液)E31とを混合し、均質化して保持することで、当該卵黄中の鉄と非鉄結合オボトランスフェリンOT1の一部とが結合すると考えられる。したがって、本発明の製造方法によれば、Native―PAGE法で電気泳動したときに、非鉄結合オボトランスフェリンOT1と鉄結合オボトランスフェリンOT2との2本のバンドB31,B32が検出され、かつ、デンシトメーターで測定したときに、上記本発明の条件を満たす加熱液全卵を提供することができると推測される。
さらに、本発明の製造方法において、第1の液卵と第2の液卵とを均質化して得られた液全卵を8℃以下で3時間以上保持することにより、液卵黄に含まれる鉄とオボトランスフェリンとを十分に反応させることができる。これにより、鉄結合オボトランスフェリンと非鉄結合オボトランスフェリンとの割合を適切なものとすることができ、本発明の加熱液全卵を製造することができる。
以上のように、本発明によれば、食中毒を未然に防止することができるとともに、十分な起泡性を有する加熱液全卵を提供することができる。
より具体的には、2本のオボトランスフェリンのバンド各々をデンシトメーターで測定したときに、非鉄結合オボトランスフェリンに対応する第1のバンドの測定値が鉄結合オボトランスフェリンに対応する第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であることにより、起泡性を高めることができる。すなわち、加熱液全卵が、耐熱性の高い鉄結合性オボトランスフェリンのみならず、耐熱性の比較的低い非鉄結合性オボトランスフェリンも含み、かつ、鉄結合性オボトランスフェリンに対する非鉄結合性オボトランスフェリンの相対量を所定の範囲に調整することで、起泡性を高めることができる。
また、2本のオボトランスフェリンのバンドの条件に加えて、オボトランスフェリンの第1のバンドとオボアルブミンのバンドとをデンシトメーターで測定したときに、第1のバンドの測定値がオボアルブミンのバンドの測定値の20%以上50%以下であることにより、起泡性をより高めることできる。すなわち、耐熱性が高いオボアルブミンに対して、非鉄結合性オボトランスフェリンが所定量残っていることにより、起泡性をより高めることができる。
加えて、上記製造方法によれば、本発明の加熱液全卵を容易に製造することができる。上記製造方法が本発明の加熱液全卵を製造できる機序は、以下のように推測される。
図2は、本発明の加熱液全卵の製造方法において推測される機序を説明するための模式図であり、図2Aは未加熱液全卵、図2Bは通常加熱液全卵、図2Cは本発明の加熱液全卵の製造方法を示す。図2Aに示すように、未加熱液全卵E1は、卵白由来の非鉄結合オボトランスフェリンOT1と、非鉄結合オボトランスフェリンOT1に卵黄中の鉄が結合した鉄結合オボトランスフェリンOT2とを含む。これにより、Native―PAGE法で電気泳動したときに、非鉄結合オボトランスフェリンOT1と鉄結合オボトランスフェリンOT2との2本のバンドB11,B12が検出されると推測される。一方、図2Bに示すように、通常加熱液全卵E2では、例えば60℃で5分程度加熱した際に、耐熱性の低い非鉄結合オボトランスフェリンOT1が変性し、耐熱性の高い鉄結合オボトランスフェリンOT2が残る。したがって、Native―PAGE法で電気泳動したときに、鉄結合オボトランスフェリンOT2のバンドB22が多く検出されると推測される。一方、図2Cに示すように、本発明の加熱液全卵E3においては、液卵白を含む第2の卵液E32が、第2の加熱工程において59〜80℃より1〜26℃低い温度で加熱されることから、加熱後も非鉄結合オボトランスフェリンOT1がほとんど変性しない。さらに、当該第2の卵液E32と第1の加熱工程を経た液卵黄(第1の卵液)E31とを混合し、均質化して保持することで、当該卵黄中の鉄と非鉄結合オボトランスフェリンOT1の一部とが結合すると考えられる。したがって、本発明の製造方法によれば、Native―PAGE法で電気泳動したときに、非鉄結合オボトランスフェリンOT1と鉄結合オボトランスフェリンOT2との2本のバンドB31,B32が検出され、かつ、デンシトメーターで測定したときに、上記本発明の条件を満たす加熱液全卵を提供することができると推測される。
さらに、本発明の製造方法において、第1の液卵と第2の液卵とを均質化して得られた液全卵を8℃以下で3時間以上保持することにより、液卵黄に含まれる鉄とオボトランスフェリンとを十分に反応させることができる。これにより、鉄結合オボトランスフェリンと非鉄結合オボトランスフェリンとの割合を適切なものとすることができ、本発明の加熱液全卵を製造することができる。
以下、本発明を実施例等に基づき、さらに説明する。
[実施例1〜6]
機械的に殻付卵を割卵し、液卵黄と液卵白とを分離し、それぞれ常法によりろ過を行った。以下の工程では、連続式熱交換器(岩井機械(株)製)を用いた。まず第1の加熱工程として、得られた液卵黄を表1に示すように61℃に加熱し、3.5分ほど保持した後、5℃に冷却した。なお、本実施例における液卵黄は、17%の液卵白を含有するものとする。続いて、第2の加熱工程として、分離して得られた液卵白をそれぞれ表1に示す温度条件により加熱した。続いて、加熱後の液卵黄と液卵白とを混合し、プロペラ攪拌機を用いて均質化し、液全卵を得た。最後に、得られた液全卵を8℃以下に冷却して、表1に示す時間それぞれ保持した。これにより、実施例1〜6の加熱液全卵を得た。
機械的に殻付卵を割卵し、液卵黄と液卵白とを分離し、それぞれ常法によりろ過を行った。以下の工程では、連続式熱交換器(岩井機械(株)製)を用いた。まず第1の加熱工程として、得られた液卵黄を表1に示すように61℃に加熱し、3.5分ほど保持した後、5℃に冷却した。なお、本実施例における液卵黄は、17%の液卵白を含有するものとする。続いて、第2の加熱工程として、分離して得られた液卵白をそれぞれ表1に示す温度条件により加熱した。続いて、加熱後の液卵黄と液卵白とを混合し、プロペラ攪拌機を用いて均質化し、液全卵を得た。最後に、得られた液全卵を8℃以下に冷却して、表1に示す時間それぞれ保持した。これにより、実施例1〜6の加熱液全卵を得た。
[実施例7]
機械的に殻付卵を割卵し、液卵黄と液卵白とを分離し、それぞれ常法によりろ過を行った。続いて、第1の加熱工程として、得られた液卵黄を61℃に加熱し、3.5分ほど保持した後、50℃に冷却した。続いて、第2の加熱工程として、上記冷却後の液卵黄と上記液卵黄と分離して得られた液卵白を混合し、プロペラ攪拌機を持いて均質化した後、56℃に加熱し、3.5分保持した。最後に、得られた液全卵を8℃以下に冷却して、48時間保持した。これにより、実施例7の加熱液全卵を得た。
機械的に殻付卵を割卵し、液卵黄と液卵白とを分離し、それぞれ常法によりろ過を行った。続いて、第1の加熱工程として、得られた液卵黄を61℃に加熱し、3.5分ほど保持した後、50℃に冷却した。続いて、第2の加熱工程として、上記冷却後の液卵黄と上記液卵黄と分離して得られた液卵白を混合し、プロペラ攪拌機を持いて均質化した後、56℃に加熱し、3.5分保持した。最後に、得られた液全卵を8℃以下に冷却して、48時間保持した。これにより、実施例7の加熱液全卵を得た。
[実施例8]
第1の加熱工程を65℃で3.5分間加熱した以外は、実施例1と同様の方法で実施例8の加熱液全卵を得た。
第1の加熱工程を65℃で3.5分間加熱した以外は、実施例1と同様の方法で実施例8の加熱液全卵を得た。
[実施例9]
第1の加熱工程を75℃で10秒間加熱した以外は、実施例1と同様の方法で実施例9の加熱液全卵を得た。
[実施例10]
第1の加熱工程を80℃で10秒間加熱した以外は、実施例1と同様の方法で実施例10の加熱液全卵を得た。なお、実施例10で用いた液卵黄は、高圧ホモジナイザーで均質化処理したものを用いた。
第1の加熱工程を75℃で10秒間加熱した以外は、実施例1と同様の方法で実施例9の加熱液全卵を得た。
[実施例10]
第1の加熱工程を80℃で10秒間加熱した以外は、実施例1と同様の方法で実施例10の加熱液全卵を得た。なお、実施例10で用いた液卵黄は、高圧ホモジナイザーで均質化処理したものを用いた。
[実施例11]
第1の加熱工程を61℃で10分間加熱した以外は、実施例1と同様の方法で実施例11の加熱液全卵を得た。
第1の加熱工程を61℃で10分間加熱した以外は、実施例1と同様の方法で実施例11の加熱液全卵を得た。
[実施例12]
第2の加熱工程を58℃で1.2分間加熱した以外は、実施例1と同様の方法で実施例12の加熱液全卵を得た。
第2の加熱工程を58℃で1.2分間加熱した以外は、実施例1と同様の方法で実施例12の加熱液全卵を得た。
[比較例1,2]
実施例1〜6と同様に、比較例1,2の加熱液全卵を得た。但し、比較例1の第2の加熱工程は、表1に示すように、60℃で3.5分間行った。また、比較例2は、液卵黄と液卵白を均質化した後、液全卵を保持しなかった。
実施例1〜6と同様に、比較例1,2の加熱液全卵を得た。但し、比較例1の第2の加熱工程は、表1に示すように、60℃で3.5分間行った。また、比較例2は、液卵黄と液卵白を均質化した後、液全卵を保持しなかった。
[比較例3]
機械的に殻付卵を割卵した後、液卵黄と液卵白とを分離せずにプロペラ攪拌機を用いて均質化し、常法によりろ過を行った。加熱はせず、8℃以下で48時間、衛生的な環境下で冷蔵保存した。
機械的に殻付卵を割卵した後、液卵黄と液卵白とを分離せずにプロペラ攪拌機を用いて均質化し、常法によりろ過を行った。加熱はせず、8℃以下で48時間、衛生的な環境下で冷蔵保存した。
[比較例4〜6]
機械的に殻付卵を割卵した後、液卵黄と液卵白とを分離せずにプロペラ攪拌機を用いて均質化し、常法によりろ過を行った。続いて、第1の加熱工程として、上記連続式熱交換器を用い、得られた液全卵を表1に示す温度条件で加熱した。最後に、加熱した液全卵を8℃で48時間、それぞれ保持した。これにより、比較例4〜6の加熱液全卵を得た。
機械的に殻付卵を割卵した後、液卵黄と液卵白とを分離せずにプロペラ攪拌機を用いて均質化し、常法によりろ過を行った。続いて、第1の加熱工程として、上記連続式熱交換器を用い、得られた液全卵を表1に示す温度条件で加熱した。最後に、加熱した液全卵を8℃で48時間、それぞれ保持した。これにより、比較例4〜6の加熱液全卵を得た。
[比較例7]
機械的に殻付卵を割卵した後、液卵黄と液卵白とを分離せずにプロペラ攪拌機を用いて均質化し、常法によりろ過を行った。続いて、実施例1〜12と同様の連続式殺菌装置を用い、第1の加熱工程として、58.5℃の温度に加熱し、3秒間保持した後、30℃に冷却した。続いて、第2の加熱工程として、56.5℃の温度に加熱し5分間保持した後、8℃以下に冷却して48時間保持し、比較例7の加熱液全卵を得た。
機械的に殻付卵を割卵した後、液卵黄と液卵白とを分離せずにプロペラ攪拌機を用いて均質化し、常法によりろ過を行った。続いて、実施例1〜12と同様の連続式殺菌装置を用い、第1の加熱工程として、58.5℃の温度に加熱し、3秒間保持した後、30℃に冷却した。続いて、第2の加熱工程として、56.5℃の温度に加熱し5分間保持した後、8℃以下に冷却して48時間保持し、比較例7の加熱液全卵を得た。
(サルモネラ属菌数の測定/大腸菌群数の測定)
サルモネラ属菌数は、実施例1〜12及び比較例1〜7のサンプル原液をXLD平板培地に直接塗沫し、36℃で1〜2日間培養し、検出されるか否かを測定した。
大腸菌群数は、デスオキシコーレート培地で検出した。
結果を、表1に示す。
サルモネラ属菌数は、実施例1〜12及び比較例1〜7のサンプル原液をXLD平板培地に直接塗沫し、36℃で1〜2日間培養し、検出されるか否かを測定した。
大腸菌群数は、デスオキシコーレート培地で検出した。
結果を、表1に示す。
(Native―PAGE法による電気泳動)
実施例1〜12及び比較例1〜7の各サンプル5gを遠沈管に測り取り、25,000 rpm(40,000g)、30分間遠心分離した(小型超遠心機 himac CS 150GX II、日立工機(株))。続いて、遠心上清をパスツールピペットで回収し、イオン交換水で1%(w/w)に調製したサンプルを用いてNative−PAGEを行った。調製したサンプルに対してNative―PAGEサンプルバッファーを等量混合し、15μLをゲルへとアプライした。ゲルはNON-SDS-PAGE mini(テフコ(株)製、ゲル濃度4−20%、ゲル厚1mm)を使用し、20mAの定電流で各サンプルを泳動した。ゲルの染色はCBB G250を用いて20分間行った。その後、染色されたゲルを5%メタノール、7.5%酢酸水浴液に一晩浸漬させて振とうし、脱色した。
続いて、脱色後のゲルを撮影し、デンシトメーター(ハードウェア:ULTRA CAM((株)東京インスツルメンツ製)、ソフトウェア:Total Lab. Quant(Total Lab. 社製))を用いてバンドの定量を行った。
第1のバンドの測定値に対する第2のバンドの測定値の割合(%)及びオボアルブミンのバンドの測定値に対する第1のバンドの測定値の割合(%)を、表1に示す。
図3に、一例として、実施例1に係る加熱液全卵をNative―PAGE法で電気泳動し、撮影した結果を示す。同図に示すように、実施例1に係る加熱液全卵のサンプルからは3本のバンドB31,B32,B33が検出され、バンドB31,B32はいずれも未変性のオボトランスフェリンのバンド、B33はオボアルブミンのバンドであることが確認された。さらに、バンドB31,B32のうち、泳動速度の遅い第1のバンドB31は非鉄結合オボトランスフェリンのバンド、泳動速度の速い第2のバンドB32は鉄結合オボトランスフェリンのバンドであった。
実施例1〜12及び比較例1〜7の各サンプル5gを遠沈管に測り取り、25,000 rpm(40,000g)、30分間遠心分離した(小型超遠心機 himac CS 150GX II、日立工機(株))。続いて、遠心上清をパスツールピペットで回収し、イオン交換水で1%(w/w)に調製したサンプルを用いてNative−PAGEを行った。調製したサンプルに対してNative―PAGEサンプルバッファーを等量混合し、15μLをゲルへとアプライした。ゲルはNON-SDS-PAGE mini(テフコ(株)製、ゲル濃度4−20%、ゲル厚1mm)を使用し、20mAの定電流で各サンプルを泳動した。ゲルの染色はCBB G250を用いて20分間行った。その後、染色されたゲルを5%メタノール、7.5%酢酸水浴液に一晩浸漬させて振とうし、脱色した。
続いて、脱色後のゲルを撮影し、デンシトメーター(ハードウェア:ULTRA CAM((株)東京インスツルメンツ製)、ソフトウェア:Total Lab. Quant(Total Lab. 社製))を用いてバンドの定量を行った。
第1のバンドの測定値に対する第2のバンドの測定値の割合(%)及びオボアルブミンのバンドの測定値に対する第1のバンドの測定値の割合(%)を、表1に示す。
図3に、一例として、実施例1に係る加熱液全卵をNative―PAGE法で電気泳動し、撮影した結果を示す。同図に示すように、実施例1に係る加熱液全卵のサンプルからは3本のバンドB31,B32,B33が検出され、バンドB31,B32はいずれも未変性のオボトランスフェリンのバンド、B33はオボアルブミンのバンドであることが確認された。さらに、バンドB31,B32のうち、泳動速度の遅い第1のバンドB31は非鉄結合オボトランスフェリンのバンド、泳動速度の速い第2のバンドB32は鉄結合オボトランスフェリンのバンドであった。
(起泡性)
20コートミキサー(関東混合機工業株式会社製)のミキサーボウルに実施例1〜12、比較例1〜7の各液全卵1500gを入れ、グラニュー糖1350gを加えた。この混合物を30℃に加温し、ワイヤーホッパーを使用して高速攪拌した。14分後の泡比重を測定し、起泡性を評価した。
[評価基準]
〇比較例3の未加熱液全卵と同様の高い起泡性を有する。
△比較例3の未加熱液全卵よりも若干起泡性が低い。
×比較例3の未加熱液全卵よりも起泡性が低い。
結果を、表1に示す。
20コートミキサー(関東混合機工業株式会社製)のミキサーボウルに実施例1〜12、比較例1〜7の各液全卵1500gを入れ、グラニュー糖1350gを加えた。この混合物を30℃に加温し、ワイヤーホッパーを使用して高速攪拌した。14分後の泡比重を測定し、起泡性を評価した。
[評価基準]
〇比較例3の未加熱液全卵と同様の高い起泡性を有する。
△比較例3の未加熱液全卵よりも若干起泡性が低い。
×比較例3の未加熱液全卵よりも起泡性が低い。
結果を、表1に示す。
(結果1 サルモネラ属菌数及び大腸菌数について)
実施例1〜12、比較例1,2,4,5,7の加熱液全卵と、比較例3,6の液全卵とを比較した場合、前者はいずれもサルモネラ属菌がサンプル重量25g当たり陰性、大腸菌群が10個/g未満であるが、後者はいずれもサルモネラ属菌がサンプル重量25g当たり陽性、大腸菌群が10個/g以上であった。
したがって、実施例1〜12、比較例1,2,4,5,7の加熱液全卵は、十分に加熱殺菌されているが、比較例3,6の液全卵は食品衛生上の問題を有することが確認された。
なお、実施例1〜12に係る加熱液全卵の製造方法の殺菌効果をさらに確認するため、サルモネラ属菌が107/g以上になるように菌液を添加した液卵黄および液卵白を用いて、実施例1乃至12と同様の方法で各加熱液全卵を調製し、サルモネラ属菌の菌数を測定した。その結果、実施例7を除く全てのサンプルで、サルモネラ属菌が1/107以下に減少し、菌数は陰性/gであった。
実施例1〜12、比較例1,2,4,5,7の加熱液全卵と、比較例3,6の液全卵とを比較した場合、前者はいずれもサルモネラ属菌がサンプル重量25g当たり陰性、大腸菌群が10個/g未満であるが、後者はいずれもサルモネラ属菌がサンプル重量25g当たり陽性、大腸菌群が10個/g以上であった。
したがって、実施例1〜12、比較例1,2,4,5,7の加熱液全卵は、十分に加熱殺菌されているが、比較例3,6の液全卵は食品衛生上の問題を有することが確認された。
なお、実施例1〜12に係る加熱液全卵の製造方法の殺菌効果をさらに確認するため、サルモネラ属菌が107/g以上になるように菌液を添加した液卵黄および液卵白を用いて、実施例1乃至12と同様の方法で各加熱液全卵を調製し、サルモネラ属菌の菌数を測定した。その結果、実施例7を除く全てのサンプルで、サルモネラ属菌が1/107以下に減少し、菌数は陰性/gであった。
(結果2 オボトランスフェリンの第1のバンドと第2のバンドについて)
続いて、十分加熱殺菌されていた、実施例1〜12の加熱液全卵と、比較例1,2,4,5,7の加熱液全卵とを比較した場合、前者は良好な起泡性を有していたが、後者は良好な起泡性を有していなかった。また、Native―PAGE法で電気泳動して得られたバンドの濃さをデンシトメーターで測定したときに、前者は、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であるのに対し、後者は、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%未満か200%より大きいかのいずれかであった。
したがって、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であることによって、良好な起泡性を得られることが確認された。
さらに、実施例1〜3,5〜12の加熱液全卵は、比較例3の未加熱液全卵と同様の高い起泡性を有していたのに対し、実施例4は、これらより若干劣る起泡性を有していた。
したがって、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上100%以下であることによって、未加熱液全卵と同程度の高い起泡性が得られることが確認された。
続いて、十分加熱殺菌されていた、実施例1〜12の加熱液全卵と、比較例1,2,4,5,7の加熱液全卵とを比較した場合、前者は良好な起泡性を有していたが、後者は良好な起泡性を有していなかった。また、Native―PAGE法で電気泳動して得られたバンドの濃さをデンシトメーターで測定したときに、前者は、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であるのに対し、後者は、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%未満か200%より大きいかのいずれかであった。
したがって、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であることによって、良好な起泡性を得られることが確認された。
さらに、実施例1〜3,5〜12の加熱液全卵は、比較例3の未加熱液全卵と同様の高い起泡性を有していたのに対し、実施例4は、これらより若干劣る起泡性を有していた。
したがって、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上100%以下であることによって、未加熱液全卵と同程度の高い起泡性が得られることが確認された。
(結果3 オボトランスフェリンの第1のバンドとオボアルブミンのバンドについて)
十分加熱殺菌されていた、実施例1〜3,5〜12の加熱液全卵と、実施例4,比較例1、2,4,5,7の加熱液全卵とを比較した。Native―PAGE法で電気泳動して得られたバンドをデンシトメーターで測定したときに、前者は第1のバンドの測定値がオボアルブミンのバンドの測定値の20%以上50%以下であるが、後者は20%未満か50%より大きいかのいずれかであった。
したがって、第1のバンドの測定値がオボアルブミンのバンドの測定値の20%以上50%以下であることによって、より良好な起泡性が得られることが確認された。
十分加熱殺菌されていた、実施例1〜3,5〜12の加熱液全卵と、実施例4,比較例1、2,4,5,7の加熱液全卵とを比較した。Native―PAGE法で電気泳動して得られたバンドをデンシトメーターで測定したときに、前者は第1のバンドの測定値がオボアルブミンのバンドの測定値の20%以上50%以下であるが、後者は20%未満か50%より大きいかのいずれかであった。
したがって、第1のバンドの測定値がオボアルブミンのバンドの測定値の20%以上50%以下であることによって、より良好な起泡性が得られることが確認された。
(結果4 製造方法について)
続いて、実施例1〜12の加熱液全卵と、比較例1〜7の液全卵との製造方法を比較する。
前者は、いずれも、第1の加熱工程、第2の加熱工程及び保持工程を有していた。また、この第1の加熱工程は、いずれも、液卵黄を59〜80℃で0.01〜15分加熱する工程を含み、この第2の加熱工程は、いずれも、液卵白を59〜80℃の1〜26℃低い範囲に含まれる54〜58℃で0.5〜15分間加熱する工程を含んでいた。前者は、いずれも、十分に加熱殺菌され、かつ、Native―PAGE法で電気泳動して得られたバンドをデンシトメーターで測定したときに、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であった。
後者は、上記条件を満たす第1の加熱工程、第2の加熱工程及び保持工程のうちの少なくとも一つを有していなかった。すなわち、比較例1は、実施例1〜12と同様の第1の加熱工程を有するが、60℃で3.5分間加熱する第2の加熱工程を有していた。また、比較例2は、実施例1〜12と同様の第1の加熱工程及び第2の加熱工程を有するが、保持工程を有していなかった。また、比較例3は、いずれの加熱工程も有していなかった。また、比較例4,5,7は、液全卵を58℃以上で加熱する工程を有していた。後者は、いずれも、加熱殺菌されていること、及び、Native―PAGE法で電気泳動して得られたバンドをデンシトメーターで測定したときに、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であること、のうちの少なくとも一方の条件を満たしていなかった。
したがって、実施例1〜12に係る本発明の製造方法によれば、本発明の加熱液全卵を製造できることが確認された。
続いて、実施例1〜12の加熱液全卵と、比較例1〜7の液全卵との製造方法を比較する。
前者は、いずれも、第1の加熱工程、第2の加熱工程及び保持工程を有していた。また、この第1の加熱工程は、いずれも、液卵黄を59〜80℃で0.01〜15分加熱する工程を含み、この第2の加熱工程は、いずれも、液卵白を59〜80℃の1〜26℃低い範囲に含まれる54〜58℃で0.5〜15分間加熱する工程を含んでいた。前者は、いずれも、十分に加熱殺菌され、かつ、Native―PAGE法で電気泳動して得られたバンドをデンシトメーターで測定したときに、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であった。
後者は、上記条件を満たす第1の加熱工程、第2の加熱工程及び保持工程のうちの少なくとも一つを有していなかった。すなわち、比較例1は、実施例1〜12と同様の第1の加熱工程を有するが、60℃で3.5分間加熱する第2の加熱工程を有していた。また、比較例2は、実施例1〜12と同様の第1の加熱工程及び第2の加熱工程を有するが、保持工程を有していなかった。また、比較例3は、いずれの加熱工程も有していなかった。また、比較例4,5,7は、液全卵を58℃以上で加熱する工程を有していた。後者は、いずれも、加熱殺菌されていること、及び、Native―PAGE法で電気泳動して得られたバンドをデンシトメーターで測定したときに、第1のバンドの測定値が第2のバンドの測定値の50%以上200%以下であること、のうちの少なくとも一方の条件を満たしていなかった。
したがって、実施例1〜12に係る本発明の製造方法によれば、本発明の加熱液全卵を製造できることが確認された。
(考察)
結果2より、鉄結合オボトランスフェリンに対して非鉄結合オボトランスフェリンが少なすぎても、多すぎても良好な起泡性が得られないことがわかった。したがって、十分に殺菌され、かつ良好な起泡性の加熱液全卵を実現するには、加熱液全卵中に非鉄結合オボトランスフェリンが十分残存することのみならず、加熱液全卵中に卵黄の鉄と結合した鉄結合オボトランスフェリンも十分含まれることが重要であることがわかった。
また、結果3より、加熱液全卵中の鉄結合オボトランスフェリンと非鉄結合オボトランスフェリンとの割合に加え、オボアルブミンと非鉄結合オボトランスフェリンとの割合も、起泡性と相関があることが確認された。オボアルブミンは上記実施例及び比較例の加熱条件ではほぼ変性しないため、いずれのサンプルもほぼ同量のオボアルブミンを含んでいると考えられる。これにより、オボアルブミンに対する非鉄結合オボトランスフェリンの割合を各サンプル間で比較することで、各サンプルに含まれる非鉄結合オボトランスフェリンの絶対量を各サンプル間で比較することができる。したがって、結果3より、非鉄結合オボトランスフェリンの絶対量が多すぎても少なすぎても、良好な起泡性が得られないことがわかった。
また、結果4より、液卵白を含む液全卵を58℃以上で加熱した場合、殺菌は十分されるものの、耐熱性の高い鉄結合オボトランスフェリンに対して熱変性しやすい非鉄結合オボトランスフェリンが減少し、十分な起泡性が得られないことがわかった。さらに、0〜48時間の保持工程の場合、保持工程の時間が長くなるに従って、鉄結合オボトランスフェリンに対する非鉄結合オボトランスフェリンの量が多くなることが確認された。これにより、保持工程の間に、液卵黄に含まれる鉄が非鉄結合オボトランスフェリンと結合し、非鉄結合オボトランスフェリンに対して鉄結合オボトランスフェリンが増加することで、起泡性を高めることができるものと推測される。
結果2より、鉄結合オボトランスフェリンに対して非鉄結合オボトランスフェリンが少なすぎても、多すぎても良好な起泡性が得られないことがわかった。したがって、十分に殺菌され、かつ良好な起泡性の加熱液全卵を実現するには、加熱液全卵中に非鉄結合オボトランスフェリンが十分残存することのみならず、加熱液全卵中に卵黄の鉄と結合した鉄結合オボトランスフェリンも十分含まれることが重要であることがわかった。
また、結果3より、加熱液全卵中の鉄結合オボトランスフェリンと非鉄結合オボトランスフェリンとの割合に加え、オボアルブミンと非鉄結合オボトランスフェリンとの割合も、起泡性と相関があることが確認された。オボアルブミンは上記実施例及び比較例の加熱条件ではほぼ変性しないため、いずれのサンプルもほぼ同量のオボアルブミンを含んでいると考えられる。これにより、オボアルブミンに対する非鉄結合オボトランスフェリンの割合を各サンプル間で比較することで、各サンプルに含まれる非鉄結合オボトランスフェリンの絶対量を各サンプル間で比較することができる。したがって、結果3より、非鉄結合オボトランスフェリンの絶対量が多すぎても少なすぎても、良好な起泡性が得られないことがわかった。
また、結果4より、液卵白を含む液全卵を58℃以上で加熱した場合、殺菌は十分されるものの、耐熱性の高い鉄結合オボトランスフェリンに対して熱変性しやすい非鉄結合オボトランスフェリンが減少し、十分な起泡性が得られないことがわかった。さらに、0〜48時間の保持工程の場合、保持工程の時間が長くなるに従って、鉄結合オボトランスフェリンに対する非鉄結合オボトランスフェリンの量が多くなることが確認された。これにより、保持工程の間に、液卵黄に含まれる鉄が非鉄結合オボトランスフェリンと結合し、非鉄結合オボトランスフェリンに対して鉄結合オボトランスフェリンが増加することで、起泡性を高めることができるものと推測される。
B11,B31…非鉄結合オボトランスフェリンのバンド
B12,B22,B32…鉄結合オボトランスフェリンのバンド
B13,B23,B33…オボアルブミンのバンド
OT1…非鉄結合オボトランスフェリン
OT2…鉄結合オボトランスフェリン
E1…未加熱液全卵
E2…通常加熱液全卵
E3…本発明の加熱液全卵
E31…第1の卵液
E32…第2の卵液
B12,B22,B32…鉄結合オボトランスフェリンのバンド
B13,B23,B33…オボアルブミンのバンド
OT1…非鉄結合オボトランスフェリン
OT2…鉄結合オボトランスフェリン
E1…未加熱液全卵
E2…通常加熱液全卵
E3…本発明の加熱液全卵
E31…第1の卵液
E32…第2の卵液
Claims (1)
- 液卵黄からなる第1の液卵を59〜80℃で加熱した後、58℃以下に冷却する第1の加熱工程と、
少なくとも液卵白を含む第2の液卵を前記第1の加熱工程の加熱温度より1〜26℃低い温度であり、かつ54〜58℃で加熱する第2の加熱工程と、
前記第1の加熱工程で得られた液卵及び前記第2の加熱工程で得られた液卵を均質化して得られた液全卵を8℃以下で3時間以上保持する保持工程と
を有する加熱液全卵の製造方法であって、
前記加熱液全卵のサルモネラ属菌がサンプル重量25g当たり陰性、大腸菌群が10個/g未満であり、
前記加熱液全卵をNative―PAGE法で電気泳動したときに、第1のバンドと、前記第1のバンドよりも泳動速度の速い第2のバンドとを含む2本のオボトランスフェリンのバンドが検出され、
前記2本のオボトランスフェリンのバンド各々の濃さをデンシトメーターで測定したときに、前記第1のバンドの測定値が前記第2のバンドの測定値の50%以上200%以下である、
加熱液全卵の製造方法。
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