JP2974012B1 - ポリマー二次電池およびその製造方法 - Google Patents

ポリマー二次電池およびその製造方法

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Abstract

【要約】 【課題】 本発明は、容量出現率およびサイクル特性
に優れたポリマー二次電池およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 粉体状炭素の表面を、電気化学的なプロ
トンの吸脱着の可能な有機化合物重合体で覆った重合体
−炭素複合組成物を正極および負極の少なくとも一方に
用いることを特徴とするポリマー二次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容量出現率および
サイクル特性に優れたポリマー二次電池およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、二次電池の正極および負極には、
電極活物質と共に、導電性を高めるためにカーボン等の
導電補助剤が使用されている。図4は、この様子を模式
的に示したものである。集電体51上に製膜された電極
活物質52の間に導電補助剤53が分散されている。
【0003】しかし、電極活物質として有機化合物重合
体を用いた場合には、活物質の利用効率が低く、電池の
容量出現が小さいこと、充放電サイクル性能が悪いこ
と、および電子伝導性が小さい物質を活物質として利用
できないこと等の問題があった。本発明者の検討によれ
ば、有機化合物重合体は、一般に活物質の電子伝導性が
乏しいため、酸化還元反応が速やかに反応しない。そこ
で、導電性補助剤を多量に添加して導電性を増大させよ
うとすると、活物質量を増やせないために容量出現率が
低下する問題があった。さらに、このように電極活物質
に単に導電性補助物質を添加しただけでは、炭素と活物
質の間の接触面積が限定され、結合力が乏しく、十分な
導電性が得られないことがわかった。
【0004】一方、特開平3−74051号公報および
特開平5−290852号公報には、炭素電極上にポリ
ピロールを電解重合で形成することが記載されている。
しかし、これらの公報では、すでに電極形状に形成され
ている固まり状の炭素上にポリピロールを形成してお
り、十分な容量が得られるだけの活物質の量を確保でき
ない問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点に鑑みてなされたものであり、容量出現率および
サイクル特性に優れたポリマー二次電池およびその製造
方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、粉体状炭素の
表面を、電気化学的なプロトンの吸脱着の可能な有機化
合物重合体で覆った重合体−炭素複合組成物を正極活物
および負極活物質の少なくとも一方に用いることを特
徴とするポリマー二次電池に関する。
【0007】前記重合体−炭素複合組成物は、前記粉体
状炭素の存在下で前記有機化合物重合体のモノマーを
重合した後、溶媒を除去して得られるものであるか、
または、前記有機化合物重合体の溶液中に前記粉体状炭
素を分散させた後、この溶媒を除去して得られるもので
あることが好ましい。
【0008】さらに本発明は、電気化学的なプロトンの
吸脱着の可能な有機化合物重合体モノマーを、粉体状
炭素の存在下で化学重合した後、溶媒を除去して得られ
る重合体−炭素複合組成物を、集電体上に製膜して正極
および負極の少なくとも一方の電極を形成する工程を含
むポリマー二次電池の製造方法に関する。
【0009】さらに本発明は、電気化学的なプロトンの
吸脱着の可能な有機化合物重合体を溶解した溶液中に粉
体状炭素を分散させた後、溶媒を除去して得られる重合
体−炭素複合組成物を、集電体上に製膜して正極および
負極の少なくとも一方の電極を形成する工程を含むポリ
マー二次電池の製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、正極及び負極の
活物質として本質的に機能するものは、電気化学的なプ
ロトンの吸脱着の可能な有機化合物重合体であり、有機
化合物重合体の電池反応である酸化還元反応においてプ
ロトンの吸脱着が関与する。
【0011】このような有機化合物重合体としては、窒
素原子を含むπ共役高分子、またはキノン類およびその
誘導体の重合体を挙げることができる。
【0012】窒素原子を含むπ共役高分子としては、分
子内にアミノ基を有する有機化合物の重合体、および芳
香環内に窒素原子を有する有機化合物の重合体等を挙げ
ることができる。この重合体のモノマーとして用いられ
る有機化合物としては、例えば、アニリン、およびジメ
チルアニリン等の分子内にアミノ基を有する芳香族化合
物、ピロール、ピリジン、ピリミジンおよびそれらの誘
導体等の芳香環内に窒素原子を有する化合物等を挙げる
ことができる。
【0013】また、キノン類およびその誘導体の重合体
のモノマーとして用いられる化合物としては、アントラ
キノン、ベンゾキノン、およびそれらの誘導体等を挙げ
ることができる。
【0014】通常、これらの有機化合物の重合体は絶縁
物であるため、電子伝導性を発現させ、電池活物質への
適用を可能とするためには、有機ドーパント、または無
機ドーパント等を用いたドーピングが必要である。しか
し、本発明によれば、炭素との複合化により十分な電子
伝導性が得られるようになる。そのため、電子伝導性が
乏しく、従来は活物質として十分な性能を発揮できなか
った化合物も適用可能となり、活物質選択の幅を大きく
広げることができる。
【0015】本発明のポリマー二次電池で用いられる重
合体−炭素複合組成物(以下、単に複合組成物ともい
う。)では、粉体状の炭素の表面が上述した有機化合物
重合体で覆われている。従って、炭素の粒子が重合体か
ら別個に独立した粒子として存在したりすることがな
く、また、表面がむき出しになった炭素粒子も存在しな
い。
【0016】このような複合組成物を調整するには、ま
ず第1の方法として、モノマーとなる上記の所定の有機
化合物を酸化重合する際に、粉体状炭素を共存させるこ
とにより得ることができる。例えば、モノマーとなる有
機化合物の溶液と酸化剤溶液との重合反応液に、粉体状
の炭素を加えた状態で重合反応を行い、その後、重合溶
媒等を例えば減圧または常圧下で留去して除去すれば良
い。このとき用いる溶媒類は、粉体状炭素とできるだけ
親和性の高い溶媒を用いることが好ましい。
【0017】また、第2の方法としては、前記有機化合
物重合体の溶液中に前記粉体状炭素を分散させた後、こ
の溶媒を除去しても得ることができる。このとき用いる
溶媒類としても、粉体状炭素とできるだけ親和性の高い
溶媒を用いることが好ましい。
【0018】粉体状の炭素としては、一般的に導電補助
剤として用いられているようなものであれば特に制限は
無く、例えば粒径(3次元的に最も大きな径)が20μ
m以下程度、好ましくは5μm以下程度の粒子状カーボ
ン、あるいは直径0.01〜10μm、長さ0.5〜1
00μm程度のカーボンファイバー等を用いることがで
きる。
【0019】複合組成物中における重合体と炭素の割合
は、目的とする特性に合わせて変更することができる
が、通常75:25〜40:60(重量部)、好ましく
は60:40〜50:50(重量部)である。
【0020】本発明で用いられる複合組成物において、
炭素と重合体の結合の状態は必ずしも明確ではないが、
本発明者は、炭素と重合体が化学的、または物理的に比
較的強固に結びついていると推定している。
【0021】本発明のポリマー二次電池は、このような
複合組成物を集電体上に製膜して電極として用いる。こ
のとき、正極、負極のいずれか一方、または両方に用い
ることができる。集電体としては、導電性ゴムシート、
グラファイトシート等の公知のものを用いることができ
る。
【0022】二枚の電極の間に介在させる電解質として
は、特に制限は無く、プロトン源を含む水溶液、非水溶
液、またはプロトン伝導性を有する固体電解質、ゲル電
解質を用いることができる。
【0023】上記のような複合組成物では、接触面積が
増大しているために、活物質の電子伝導性が増し、酸化
還元反応が促進される。従ってこれを用いた本発明のポ
リマー二次電池は、活物質の利用効率が高く、電池の容
量出現率が向上する。また、電子伝導性に乏しく、従来
は活物質として利用できなかった物質も利用することが
できる。また、炭素と活物質間の結合が強化されている
ので、充放電サイクル性能も向上する。
【0024】
【実施例】次に実施例および比較例を示して本発明をさ
らに詳細に説明する。
【0025】〔実施例1〕2−ペルオキソ二硫酸アンモ
ニウムの1M水溶液とアニリンモノマーの1M水溶液を
室温で1時間混合して、徐々に重合反応を開始させた。
その反応溶液中に、アニリンモノマーの50wt%の炭
素繊維(直径0.05μm、長さ10μm)を投入し、
さらに6時間混合攪拌して重合反応を継続した。その
後、溶媒を減圧下で留去して未ドープ状態のポリアニリ
ン−炭素の複合組成物を調整した。
【0026】次に、この組成物を、めのう乳鉢を用いて
60メッシュ以下に粉砕した後に、p−トルエンスルホ
ン酸(p−TS)の1Mエタノール溶液を添加して、7
0℃で6時間攪拌してポリアニリンにドーピングを行
い、導電性を付与したポリアニリン−炭素複合組成物を
得た。
【0027】続いて、電極作製、組み立てについて図1
を用いて説明する。図1は本実施例の電池の断面図であ
る。
【0028】上記の方法で得たPAn/p−TSと炭素
の複合組成物の粉末90wt%、バインダーとしてのポ
リフッ化ビニリデン(PVDFと表記)10wt%にN
−メチル−2−ピロリドン(NMPと表記)を加えて混
合してスラリーを調整した。
【0029】導電性ゴムを正極集電体1および負極集電
体4として用い、その上にこのスラリーを塗布して製膜
して正極活物質2および負極活物質3を層状に形成し、
80℃で真空乾燥させて、0.785(cm2)の面積
を有する電極を作製した。この電極をベルジャー内のガ
ラス製ビーカーの内部に設置し、40torr以下で3
0分放置して減圧した後、電解液5としてp−TSの3
M水溶液を注入して電極中に含浸させた。
【0030】さらに、厚み20μmのイオン透過性を有
するポリプロピレン製のセパレータ6を介して、正、負
極用電極を対向させ積層し、電池を組み立てた。
【0031】尚、上記の説明の中で、ドーピングする方
法としては、アニリンモノマーと酸化剤との反応液中に
ドーパントを予め共存させて重合反応とドーピングを同
時に行うようにしても良い。
【0032】上述した方法において、好適に用いられる
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、塩素酸塩、過マ
ンガン酸塩、重クロム酸塩、ペルオキソ二硫酸塩等が用
いられる。
【0033】また、上記、導電性を発現させるためのド
ーパント(X-)としては、例えば、 (1)塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン (2)二塩化銅、四塩化スズ、塩化第二鉄等のルイス酸 (3)硫酸、ホウフッ化水素酸、リンフッ化水素酸、ア
ジピン酸、ジクロロ酢酸、トリフロロ酢酸、p−トルエ
ンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルス
ルホン酸、ナフィオン(Nafion(商標))等のプ
ロトン酸等を好適に用いることができる。
【0034】また、セパレータとしてもイオン透過性を
有する多孔質のものであれば特に制限はない。
【0035】次に、実施例1のポリマー二次電池の動作
について説明する。
【0036】
【化1】 (式1)は、正極活物質としてドーパント(X-と表
記)をドープしたポリアニリンを用いたときの充放電反
応機構である。ポリアニリンは酸化反応により窒素原子
上の電子を引き抜かれ、窒素原子に結合または配位した
プロトンが脱離し電解液中へ放出され、芳香族型のポリ
アニリンがキノイド構造へ変化する。この酸化反応が正
極の充電機構である。また還元反応は、ポリアニリンが
集電体から電子を受け取り、窒素原子に電解液中のプロ
トンが吸着し、キノイド構造のポリアニリンが芳香族型
へ変化することによって起こる。この還元反応が正極活
物質の放電反応機構である。
【0037】PAn/p−TS-を負極活物質として用
いたときの充放電反応機構は上記の機構の逆となる。即
ち、還元反応が充電、酸化反応が放電となる。芳香族型
のポリアニリンは絶縁状態であるが、キノイド構造をと
ることでポリアニリンの電子伝導性が発現する。さらに
酸化すると、電解液中のアニオンがドープされた高酸化
状態へと変化し、ポリアニリンは再び絶縁物となる。但
し、水溶液中におけるこの反応は、電気情報通信学会技
術研究報告,87,33(1988)に報告されている
ように、不可逆である。従って、酸化状態と高酸化状態
の酸化還元反応を利用すると良好なサイクル特性が得ら
れない。本発明のポリマー電池は、可逆性が得られる第
1酸化還元反応、つまり活物質の電子移動を伴うプロト
ンの吸脱着による酸化還元を利用し、良好なサイクル性
能を実現したものである。
【0038】p−トルエンスルホン酸(p−TS-)を
ドープしたポリアニリン(PAn/p−TS)の場合、
元素分析(窒素と硫黄のモル比)の結果から、ドープ率
は50%であった。従って、モノマーユニットあたりの
分子量は176.5(g/mol)と見積もられる。ま
た、モノマーユニットあたりの反応電子数が0.5電子
であるため、理論容量は26800(mAh/mol・
eq)×0.5(eq)/176.5(g/mol)=
76(mAh/g)と計算される。この値に活物質の正
味重量を乗じたものが電極の理論容量である。
【0039】作製した電池の理論容量は、正、負極の理
論容量のうち、値の小さい方の容量で規定されることに
なる。実施例1の電池では、両極にPAn/p−TSを
用いているため、正、負極いずれの活物質量から算出し
た値を用いてもよいが、ここでは、正極の正味重量から
算出した値を用いた。
【0040】この値を基準として、各充放電サイクルご
との容量出現率、エネルギー密度を比較することによ
り、電池性能の優劣を、以下に比較検討した。実施例1
の電池充放電性能とサイクル特性に関する試験結果を表
1に示す(試験条件は表1に併記)。
【0041】〔比較例1〕実施例1において、粉体状の
炭素の不存在下で重合を行い、また、実施例1で重合の
際に用いたものと同じで同量の粉体状の炭素を導電性補
助剤として用いた以外は実施例1と同様にしてポリマー
二次電池を製造した。その電池充放電性能とサイクル特
性に関する試験結果を表1に示す(試験条件は表1に併
記)。
【0042】そこで、本発明の実施例1の電池と比較例
1の電池の性能を比較すると、従来公知の比較例1の方
法に準拠して作製した電池は、サイクル初期から容量出
現率が非常に低く、サイクル数の増大に伴い値が著しく
減少しており、放電電流が非常に小さい。2サイクル目
以降の放電電流は計測不能なほど微弱であり、二次電池
としての機能を全く果たしていないことが分かる。
【0043】これに対し、本実施例1では、初期の容量
出現率が高く、放電レートが増加しても容量の目立った
減少は確認されていない。さらに、1000サイクル後
の容量出現率は比較例1より大きく、初期値に対する減
少率も小さく、容量出現率、サイクル特性に優れた電池
であることがわかる。
【0044】この理由について、本発明者は次のように
考察している。図2は本実施例の電池の電極構造を模式
的に示した図である。この図と従来の構造を模式的に示
した図4を比較すると、図4で示す従来の構造では、導
電補助剤53としての炭素粒子が、活物質52から明確
に独立した形状の粒子として存在しているの対し、本発
明の構造では、炭素粒子の表面を活物質である重合体が
覆っているために、活物質から独立した粒子と存在する
ことがなく複合組成物8の粒子ないしは固まりとして存
在している。
【0045】そのため、本発明のような炭素と重合体と
を複合化すると、電極の全域にわたって良好な電子伝導
性を確保することができる。その結果、従来公知の方法
では、電極作製時に別途添加する必要があった導電補助
剤としての炭素粉末が不要となるので、活物質重量を増
やすことができ、大容量化が容易になる。その結果、第
一の効果として、活物質の利用率、容量出現率の高い電
池が得られたと考えられる。
【0046】また、本発明の第二の効果は、良好なサイ
クル特性が得られることであるが、本発明のプロトン吸
脱着に伴う電子授受をエネルギーとして取り出すポリマ
ーの場合、電荷担体としてのプロトンのイオンサイズが
アルカリ金属イオン等のイオンに比して小さく、プロト
ンの吸脱着による電極活物質の体積変化、構造変化、ま
た活物質の体積変化に伴う電極・集電体界面の接触抵抗
の増加等が抑制される点が特徴的である。また、本発明
のp−トルエンスルホン酸ドープポリアニリンの場合、
水溶液中での過酸化を生じない電位領域を用いて電池を
作動させる点もサイクル性に優れる原因の一つである。
【0047】更に、本発明に特有の理由として、炭素と
重合体が複合化されているので、活物質と炭素との結合
または接触面積が広がり、電気的にも機械的にも強固な
結合が確保されるため、充放電の繰り返しサイクルに伴
う活物質・導電補助剤界面および電極・集電体界面の結
合力の低下、接触抵抗の増加が抑制される。以上の理由
から、本発明では良好なサイクル特性が得られるように
なる。
【0048】〔実施例2〕芳香環内に窒素原子を有する
ピリジン、ピリミジン等の重合体は、それらのπ共役系
の窒素原子にプロトンが吸脱着し、電子授受を生ずるの
が特徴である。しかし、これら化合物はきわめて電子伝
導性に乏しく、その容量を十分に取り出すことができな
かった。本発明の炭素と有機化合物重合体との複合化手
法では、十分な電子伝導性が確保されるため、上述した
ポリアニリンのごとき導電性高分子化合物に限らず、絶
縁性の高い有機化合物の重合体も電池活物質として適用
可能になるのが特徴である。
【0049】実施例2では、実施例1の負極活物質であ
るPAn/p−TSの代わりに、ポリピリジン(以下、
Ppyと表記)と炭素の複合組成物を用いた。活物質で
あるPpyと炭素の複合組成物は、以下の方法により作
製した。
【0050】Ni触媒を用いた化学重合により合成した
Ppy粉末に同重量の活性炭素繊維を投入し、更に、3
Mの蟻酸水溶液を加え、室温で6時間混合攪拌した。残
留したNiを除去した後、溶媒を留去した。このもの
を、めのう乳鉢を用いて60メッシュ以下に粉砕してP
pyと炭素の複合組成物を得た。
【0051】正極活物質には、実施例1と同様にPAn
を用いた。ただし、導電性を発現させるためのドーパン
トにはp−TSに代わり、ポリビニルスルホン酸(PV
-)を用いた。即ち、実施例1と同様の方法により、
未ドープ状態のPAn−炭素の複合組成物を得た後、3
MのPVS-水溶液を添加して、70℃温浴中で6時間
混合攪拌してPAnにドーピングを行い、70℃の温水
洗浄した後、80℃で1時間の減圧乾燥を行い、PAn
/PVS−炭素の複合組成物を得た。
【0052】正、負極の作製方法は、実施例1に準拠し
た。即ち、正極活物質2、負極活物質3に用いる複合組
成物の粉末90wt%、バインダーとしてのポリフッ化
ビニリデン(PVDF)10wt%に適量のN−メチル
−2−ピロリドン(NMP)を加えて混合してスラリー
とした。
【0053】このスラリーを正極集電体1、負極集電体
4としての導電性ゴム上に塗布して製膜し、80℃で真
空乾燥させて、0.785(cm2)の面積を有する
正、負極をそれぞれ作製した。
【0054】更に、実施例1と同様の方法により、電解
液としての3MのPVS-水溶液を正、負極に含浸さ
せ、ポリプロピレン製のセパレータを介して、正、負極
用電極を対向させ積層し、ポリマー二次電池を組み立て
た。
【0055】次に、実施例2のポリマー二次電池の動作
について説明する。
【0056】まず、正極活物質であるPAn/PVSの
充放電機構は実施例1と実質的に同様である。即ち、
(式1)に示した如く、ポリアニリンは最初の酸化反応
により窒素原子上の電子が引き抜かれ、窒素原子に結合
または配位したプロトンが脱離し電解液中へ放出され、
芳香族型のポリアニリンがキノイド構造へ変化する。こ
の酸化反応が正極の充電機構である。また還元反応は、
ポリアニリンが集電体から電子を受け取り、窒素原子に
電解液中のプロトンが吸着し、キノイド構造のポリアニ
リンが芳香族型へ変化することによって起こる。この還
元反応が正極活物質の放電機構となる。
【0057】一方、負極活物質として用いたポリピリジ
ンの充放電反応機構も同様に、(式2)に示すように、
π共役系の窒素原子にプロトンが吸脱着し、電子授受を
生ずる。還元反応により、ポリピリジンが電子を受け取
ると同時に、芳香環内の窒素原子にプロトンが吸着また
は配位する。これが充電時の反応である。また、放電
(酸化)反応ではこれと反対に芳香環内の窒素原子から
電子が引き抜かれ、同時にプロトンが脱離し、溶液中に
放出される。以上がポリピリジンの充放電反応機構であ
る。
【0058】
【化2】 実施例2の電池の理論容量は、次のようになる。正極の
ポリビニルスルホン酸(PVS-)をドープしたポリア
ニリン(PAn/PVS)の場合、元素分析(窒素と硫
黄のモル比)の結果から、ドープ率は、50%であった
ため、モノマーユニットあたりの分子量は144.5
(g/mol)と見積もられる。また、モノマーユニッ
トあたりの反応電子数が0.5電子であるため、理論容
量は、26800(mAh/mol・eq)×0.5
(eq)/144.5(g/mol)=92.5(mA
h/g)と計算される。この値にPAn/PVSの正味
重量を乗じたものが正極の理論容量となる。
【0059】負極のポリピリジン(Ppy)のモノマー
ユニットあたりの分子量は77(g/mol)と見積も
られる。また、モノマーユニットあたりの反応電子数が
1電子であるため、理論容量は、26800(mAh/
mol・eq)×1(eq)/77(g/mol)=3
48.1(mAh/g)と計算される。この値にPpy
の正味重量を乗じたものが負極の理論容量となる。本実
施例2では正極と負極のモル比を1対1として電池を作
製した。そのため理論容量は、値の小さい正極の容量で
規定されることになる。
【0060】その電池充放電性能とサイクル特性に関す
る試験結果を表1に示す(試験条件は表1に併記)。
【0061】〔比較例2〕実施例2において、粉体状の
炭素の不存在下で重合を行い、また、実施例2で重合の
際に用いたものと同じで同量の粉体状の炭素を導電性補
助剤として用いた以外は実施例2と同様にしてポリマー
二次電池を製造した。その電池充放電性能とサイクル特
性に関する試験結果を表1に示す(試験条件は表1に併
記)。
【0062】そこで、本発明の実施例2の電池と比較例
2の電池の性能を比較すると、実施例2の電池は、容量
出現率、サイクル性能とも比較例2の電池より優れてい
ることが分かる。特に、実施例2の電池は、エネルギー
密度が高いことがわかる。その理由を図3を用いて説明
する。
【0063】電池のエネルギー密度は、容量と平均作動
電圧の積として規定される。電池の作動電圧は、J.P
ower Sources,47, 89(199
4).に記載されている如く、正、負極活物質の酸化還
元電位の差によって決まる。作動電圧は、図3(a)に
模式的に示すように、高電位側の還元電流を用いる正極
活物質と低電位側の酸化電流を用いる負極活物質の組み
合わせにより、正、負極の酸化還元電位差により決定さ
れる。従って、正、負極の酸化還元電位差が大きくなる
ような材料を選ぶことににより、電池の作動電圧を高め
ることができる。
【0064】即ち、図3(a)に示すように、正極の還
元電流ピ−クと負極の酸化電流ピ−クの電位差が大きい
ものは、図3(b)に示した如く、放電開始時点での端
子電圧(電池の起電力に相当)がV3と高い。放電反応
が進行し、図3(a)に示すように正極の還元電流ピ−
クと負極の酸化電流ピ−クを消費し、両極の電位差が狭
くなるに従い、図3(b)に示すように端子電圧は徐々
に低下していく。一方、前述した実施例1では、正、負
極の両方にポリアニリンを用いているため、作動電圧が
低い(図3(b)では、起電力V1の電池に相当。)。
一方、本実施例2では、負極のポリピリジンの酸化還元
電位が、正極のポリアニリンの酸化還元電位よりも低電
位側にあるため、作動電圧が高くなる(図3(b)で
は、起電力V3の電池に相当。)。以上の理由から、実
施例2では、実施例1に比してエネルギー密度の高い電
池が得られる。
【0065】〔実施例3〕実施例3では、正、負極活物
質の組み合わせは実施例2と同様であるが、電解液にプ
ロトン源として1Mのホウフッ化水素酸を含むエチレン
カーボネート(EC)溶液を用いた。正、負極の作製
法、電池の組み立ては、実施例2と同様にして行った。
【0066】エチレンカーボネートのような非水溶媒中
でのポリアニリンの酸化還元反応は、水溶液中での反応
と異なる。即ち、(式1)を用いて説明した還元状態と
酸化状態での反応に伴うプロトンの吸脱着に加え、酸化
状態と高酸化状態間での電解液中のアニオンのドープ、
脱ドープが可逆的に生じるのが特徴である。そのため、
水溶液系に比して作動電圧を高くできるという利点があ
る。しかし、本発明の電池は、あくまでポリアニリン、
ポリピリジンへのプロトンの吸脱着を電荷担体として用
いるのが特徴であり、高電位領域で生じる電解液中のア
ニオンのドープ、脱ドープ反応は利用しないため、本実
施例3の電池の動作原理は、実施例2と同様である。
【0067】また、実施例3の電池の理論容量は、実施
例2と同様にして算出できる。その電池充放電性能とサ
イクル特性に関する試験結果を表1に示す(試験条件は
表1に併記)。
【0068】〔比較例3〕実施例3において、粉体状の
炭素の不存在下で重合を行い、また、実施例3で重合の
際に用いたものと同じで同量の粉体状の炭素を導電性補
助剤として用いた以外は実施例3と同様にしてポリマー
二次電池を製造した。その電池充放電性能とサイクル特
性に関する試験結果を表1に示す(試験条件は表1に併
記)。
【0069】そこで、本発明の実施例3の電池と比較例
3の電池の性能を比較すると、実施例3の電池は、容量
出現率、サイクル性能、エネルギー密度ともに比較例3
の電池を上回っている。
【0070】第一の効果である容量出現率が向上するの
理由は、前述の如く、複合化手法を用い、炭素表面に活
物質であるPAn/PVS、およびPpyを形成させる
ことによって、電極の全域にわたって良好な電子伝導性
を確保することができためである。
【0071】第二の効果であるサイクル性能が向上する
理由は、複合化手法を用い炭素表面に活物質であるPA
n/PVSおよびPpyを形成させることにより、活物
質と炭素との結合または接触面積が広がり、電気的にも
機械的にも強固な結合が確保されるためである。
【0072】また、本実施例3に特有の第三の効果とし
て、作動電圧が高くなり、エネルギ密度が大きくなる点
が挙げられる。この理由は、非水溶媒であるエチレンカ
ーボネートを用いたために、正極のポリアニリンにおけ
るプロトンの吸、脱着による酸化還元反応と電解液中の
アニオンのドープ、脱ドープによる酸化還元反応の電位
差が大きく、かつ双方の反応が可逆であり、水溶液系に
比して作動電圧を高めることができるためである。
【0073】〔実施例4〕実施例4は、正極にポリ1、
5アントラキノン(P(1、5−AQ)と表記)と炭素
の複合組成物、負極にPpyと炭素の複合組成物を用い
た水溶液系の電池である。キノン類は、1分子あたりの
反応電子数が2電子と多く、酸化還元に伴って大きな容
量を取り出せるため、従来から電池のエネルギー密度向
上のための研究対象とされてきた。しかし、これらキノ
ン類は、極めて電子伝導性に乏しい問題と、分子量が低
いため、電池活物質に用いた場合に、経時的に電解液中
に拡散してしまうという問題があったために、単独で電
池の活物質に用いることは出来なかった。
【0074】本実施例4では、キノン重合体を作製して
電解液中での安定性を確保し、さらに炭素との複合化に
よって電子伝導性を付与することにより電池活物質への
適用を可能にした。以下に製造方法を説明する。
【0075】まず、1,5ジクロロアントラキノンに、
ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル等の有機
ニッケル錯体を作用させ、ジメチルホルムアミド(以
下、DMFと表記)を加えた60℃の反応液に1、5ジ
クロロアントラキノンと同重量の炭素繊維を加え、攪拌
することにより、炭素繊維上にP(1、5−AQ)を形
成した。さらに、DMFを用いて、反応残留分を洗浄し
た後、80℃で減圧乾燥し、P(1、5−AQ)と炭素
の複合組成物を得、これを正極に用いた。
【0076】一方、負極の作製方法は、実施例2に準拠
した。即ち、実施例2で得られた負極極活物質としての
複合組成物粉末90wt%、バインダーとしてのポリフ
ッ化ビニリデン(PVDF)10wt%に適量のDMF
を加えて混合してスラリーとした。更に、このスラリー
を集電体としての導電性ゴム上に塗布して製膜し、80
℃で真空乾燥させて、0.785(cm2)の面積を有
する負極を作製した。なお、正極の作製法は、実施例2
と全く同じである。更に、実施例2と同様の方法によ
り、電解液として3MのPVS-水溶液を正、負極に含
浸させた。さらに、ポリプロピレン製のセパレータを介
して、正、負極用電極を対向させ積層し、実施例4の電
池を組み立てた。
【0077】実施例4では電解液に3MのPVS-水溶
液を用いているため、負極のPpyの動作原理は、実施
例2と同様である。
【0078】正極のP(1、5−AQ)の反応機構を
(式3)を用いて説明する。
【0079】
【化3】 P(1、5−AQ)は酸化することにより二重結合部位
の電子が引き抜かれ、結合が開裂し酸素原子が負電荷を
帯びる。そして溶液中のプロトンが結合してヒドロキシ
ル基となる。これがP(1、5−AQ)正極活物質とし
て用いた充電反応機構である。また、還元することで酸
素原子は再び二重結合を形成し、プロトンは溶液中へ放
出される。これがP(1、5−AQ)を負極活物質とし
たときの放電反応機構である。
【0080】最初に、実施例4の正極の理論容量は次の
ようになる。正極のP(1、5−AQ)のモノマーユニ
ットあたりの分子量は、206.2(mol/g)、反
応電子数は2電子であるため、理論容量は、26800
(mAh/mol・eq)×2(eq) / 206.
2(g/mol)=260(mAh/g)と計算され
る。この値に正極の正味重量を乗じた値が、理論容量と
なる。
【0081】一方、負極のPpyの場合、理論容量は、
実施例2と同様に348.1(mAh/g)である。更
に、実施例4では正極と負極のモル比を1対1として電
池を作製したため、電池の理論容量は、値の小さな正極
のP(1、5−AQ)の容量で規定されることになる。
【0082】その電池充放電性能とサイクル特性に関す
る試験結果を表1に示す(試験条件は表1に併記)。
【0083】〔比較例4〕実施例4において、粉体状の
炭素の不存在下で重合を行い、また、実施例4で重合の
際に用いたものと同じで同量の粉体状の炭素を導電性補
助剤として用いた以外は実施例4と同様にしてポリマー
二次電池を製造した。その電池充放電性能とサイクル特
性に関する試験結果を表1に示す(試験条件は表1に併
記)。
【0084】そこで、本発明の実施例4の電池と比較例
4の電池の性能を比較すると、実施例4の電池は、容量
出現率が高く、サイクル性能にも優れている。
【0085】本実施例の第一の効果として、サイクル性
能の向上が挙げられる。これは、分子量の大きいアント
ラキノンの重合体を用いたため、化学的な安定性が増
し、経時的に電解液中への拡散が抑制されたためと考え
られる。さらに炭素との複合化手法により、P(1、5
−AQ)と炭素との結合または接触面積が広がり、電気
的にも機械的にも強固な結合が確保されるためである。
【0086】第二の効果は、エネルギー密度の大きな電
池が得られる点である。これは、P(1、5−AQ)の
酸化還元反応に伴う反応電子数が2電子と多く、単位重
量あたり大きな容量が得られるためである。さらに従来
公知の方法では、P(1、5−AQ)の電子伝導性が乏
しく、その容量を十部に引き出すことが出来なかったの
に対し、本発明では炭素との複合化手法により、電子伝
導性が付与され、酸化還元反応を速やかに進行させるこ
とが可能となったためと考えられる。
【0087】〔実施例5〕実施例5は、実施例2の電池
の電解液3MのPVS-の代わりに、プロトン伝導性固
体電解質ナフィオン(商標)に実施例3で用いた1Mの
ホウフッ化水素酸を含むエチレンカーボネート(EC)
溶液を少量添加したゲル電解質を用いた電池である。
正、負極の作製法、電池の組み立ては、実施例2と同様
に行った。
【0088】実施例5の電池の、正、負極の酸化還元反
応は、実施例2と同様であり、プロトン源が電解液では
なく、ゲル電解質である点で異なっているだけである。
【0089】その電池充放電性能とサイクル特性に関す
る試験結果を表1に示す(試験条件は表1に併記)。
【0090】〔比較例5〕実施例5において、粉体状の
炭素の不存在下で重合を行い、また、実施例5で重合の
際に用いたものと同じで同量の粉体状の炭素を導電性補
助剤として用いた以外は実施例5と同様にしてポリマー
二次電池を製造した。その電池充放電性能とサイクル特
性に関する試験結果を表1に示す(試験条件は表1に併
記)。
【0091】そこで、本発明の実施例5の電池と比較例
5の電池の性能を比較すると、実施例5の電池の充放電
性能とサイクル特性は、いずれも比較例5の電池の性能
より優れていることがわかる。尚、実施例5の電池は、
容量出現率は他の実施例と比較すると若干低いが、これ
は溶液よりもゲル電解質のイオン伝導度が数桁低いため
である。
【0092】しかし、実施例5では、ゲル電解質を用い
ることで、電池からの液漏れが抑制されるため、金属ケ
ース外装の必要性がなく簡易な外装が可能となるため、
フィルム状でフレキシブルな形状の電池を得ることが可
能になる。
【0093】
【表1】
【0094】
【発明の効果】本発明によれば、容量出現率およびサイ
クル特性に優れたポリマー二次電池およびその製造方法
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリマー二次電池の構造を示す図であ
る。
【図2】本発明のポリマー二次電池における重合体−炭
素複合組成物の構造を模式的に示す図である。
【図3】正極・負極の酸化還元電位と作動電圧を示す図
である。
【図4】従来のポリマー二次電池における重合体−炭素
複合組成物の構造を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 正極集電体 2 正極活物質 3 負極活物質 4 負極集電体 5 電解液 6 セパレータ 7 集電体 8 重合体−炭素複合組成物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西山 利彦 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−28823(JP,A) 特開 平4−146965(JP,A) 特開 平3−74051(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 4/02 - 4/04 H01M 4/36 - 4/62 H01M 10/36 - 10/40

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉体状炭素の表面を、電気化学的なプロ
    トンの吸脱着の可能な有機化合物重合体で覆った重合体
    −炭素複合組成物を正極活物質および負極活物質の少な
    くとも一方に用いることを特徴とするポリマー二次電
    池。
  2. 【請求項2】 前記重合体−炭素複合組成物は、前記粉
    体状炭素の存在下で前記有機化合物重合体のモノマーを
    化学重合した後、溶媒を除去して得られるものである請
    求項1記載のポリマー二次電池。
  3. 【請求項3】 前記重合体−炭素複合組成物は、前記有
    機化合物重合体の溶液中に前記粉体状炭素を分散させた
    後、この溶媒を除去して得られるものである請求項1記
    載のポリマー二次電池。
  4. 【請求項4】 前記有機化合物重合体は、窒素原子を含
    むπ共役高分子であることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載のポリマー電池。
  5. 【請求項5】 前記の窒素原子を含むπ共役高分子は、
    分子内にアミノ基を有する有機化合物の重合体であるこ
    とを特徴とする請求項4記載のポリマー二次電池。
  6. 【請求項6】 前記の窒素原子を含むπ共役高分子は、
    芳香環内に窒素原子を有する有機化合物の重合体である
    ことを特徴とする請求項4記載のポリマー二次電池。
  7. 【請求項7】 前記有機化合物重合体は、キノン類およ
    びその誘導体の重合体から選ばれる重合体であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー電
    池。
  8. 【請求項8】 前記ポリマー電池はさらに、水溶液、非
    水溶媒、固体電解質またはゲル電解質からなる群より選
    ばれ、かつプロトンを含む電解質を有し、前記有機化合
    物重合体の酸化還元反応に伴う電子授受にプロトンのみ
    が関与することを特徴とする請求項1から7のいずれか
    に記載のポリマー電池。
  9. 【請求項9】 電気化学的なプロトンの吸脱着の可能な
    有機化合物重合体モノマーを、粉体状炭素の存在下で
    化学重合した後、溶媒を除去して得られる重合体−炭素
    複合組成物を、集電体上に製膜して正極および負極の少
    なくとも一方の電極を形成する工程を含むポリマー二次
    電池の製造方法。
  10. 【請求項10】 電気化学的なプロトンの吸脱着の可能
    な有機化合物重合体を溶解した溶液中に粉体状炭素を分
    散させた後、溶媒を除去して得られる重合体−炭素複合
    組成物を、集電体上に製膜して正極および負極の少なく
    とも一方の電極を形成する工程を含むポリマー二次電池
    の製造方法。
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