JP2004158286A - ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含有する正極材料複合体および該複合体からなる正極を有するリチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極材料の調製時にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を添加、好ましくは正極材料に含まれる無機活物質に対して、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を10〜150重量%添加して正極材料複合体、ならびに前記正極材料複合体からなる正極を有することを特徴とするリチウム二次電池。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含有する正極材料複合体および該複合体からなる正極を有するリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロニクス技術の進歩により、携帯電話、無線機などの移動体通信器やノート型パソコン、ビデオカメラなどの携帯電子機器が、小型化・軽量化され、また、機能・信頼性も向上し、広く普及してきている。
【0003】
このような状況下において、電池は電子機器の「心臓」ともいわれ、電子機器全体の大きさ・重量・性能を決定づける重要な意味を持つことから、電池の高エネルギー密度化が強く望まれている。とくに、高電圧および高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池、リチウム二次電池が注目されており、その正極のサイクル特性、成形加工性、さらなる高エネルギー密度化などが重要な課題となっている。
【0004】
一般に、前記正極を構成する正極活物質としては、金属酸化物、導電性高分子などがあげられるが、金属酸化物のみでは導電性がわるく、また、自己成形性がないため、導電剤、バインダーを大量に添加する必要がある。そのため、期待されるエネルギー密度を得ることが困難である。それゆえ、加工性に優れ、柔軟性もあり、軽量である導電性高分子を材料とする正極材料の開発が進められている。
【0005】
前記導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどがあげられ、高いサイクル特性を示すなどの利点を有する。
しかし、理論容量にドープ率とドーパントの重量を含めるため、実際の重量あたりのエネルギー容量は小さくなり、また、金属酸化物と比較すると密度が低いため、体積あたりのエネルギー密度も低いという欠点を有する。
【0006】
前記金属酸化物と導電性高分子の互いの欠点を補い、利点を生かし、問題を解消する方法として、導電性高分子と金属酸化物との複合体電極が提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。また、無機活物質の表面をコーティングすることによってサイクル特性を改善する方法が提案されている(たとえば、非特許文献2参照)。
【0007】
【非特許文献1】
ジィ アール ゴワード他(G.R.Goward, et. al.),エレクトロケミカ アクタ(Electrochim. Acta), 43, 1307 (1998)
【非特許文献2】
杉田勝, 野口英行, 添嶋康廣, 芳尾真幸,エレクトロケミストリィ(Electrochemistry), 68, 587 (2000)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで開発された導電性高分子と金属酸化物との複合体電極の場合、金属酸化物電極と比較するとサイクル特性は改善され、容量も大きくなるが、まだ完全にサイクル劣化を抑えて理論容量に近い容量を引き出すことができていない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記問題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、正極材料の調製時にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を添加して正極材料中にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含有させた正極材料複合体とすることによって、前記問題を解決することができ、エネルギー密度が高く、サイクル特性および成形加工性に優れたリチウム二次電池を提供することができることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0010】
すなわち、本発明は、
正極材料の調製時にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を添加して正極材料中にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が含有されてなる正極材料複合体(請求項1)、
前記ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の含有量が、前記正極材料に含まれる無機活物質に対して、10〜150重量%(以下、%という)である請求項1記載の正極材料複合体(請求項2)、および
請求項1記載の正極材料複合体からなる正極を有することを特徴とするリチウム二次電池(請求項3)
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の正極材料複合体は、正極材料の調製時に導電性高分子であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を添加した、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と正極材料との複合体である。正極材料に含有せしめられた導電性高分子は、通常、正極材料に含まれる無機活物質の表面付近に存在すると考えられる。
【0012】
前記正極材料複合体をリチウム二次電池の正極の製造に使用すると、正極材料単独で正極を製造した場合よりも高エネルギー密度にすることができ、充放電サイクルに対する容量劣化を抑制することができる。この改善効果は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(以下、PEDOTともいう)を含有させることによって、正極材料に含まれる無機活物質に導電性が付与され、無機活物質の酸化還元(充放電)反応に伴う体積変化や結晶構造の崩壊が抑制され、酸化還元反応を繰り返し行なうことによって生じる特性劣化が軽減するためと考えられる。
【0013】
通常、正極材料複合体に用いられる導電性高分子としては、ポリアニリン類、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類などがあげられるが、本発明に使用する導電性高分子としては、すぐれた耐熱性、高い環境安定性および高い電気伝導性を有するPEDOTが選ばれる。
【0014】
正極材料複合体に使用するPEDOTの分子量などにはとくに限定はなく、一般にPEDOTと呼ばれているものであれば使用することができ、なかでもとくに良好な電気特性が得られるものとして好ましく使用されているものは、高い電気伝導性を有するものである。
【0015】
PEDOTの導電率は、一般に0.01〜300S/cmであるが、電極などの導電材料として使用するには、なるべく導電率が高いものがよく、導電率が1S/cm以上のものが好ましい。
【0016】
前記PEDOTの導電率を高くするために、通常ドーピングが行なわれるが、ドーピングに使用するドーパントの種類やドープ率としては、一般に導電性高分子に使用されるドーパント、一般に導電性高分子に行なわれるドープ率(0.1〜0.5程度)を採用することができる。
【0017】
なお、PEDOTの耐熱性は、熱重量分析において最低200℃まで重量変化しない耐熱性を有し、正極材料として使用するのに充分な耐熱性を有する。
【0018】
PEDOTは、化学重合法、電解重合法などの公知の重合法により製造可能であるが、電解重合法による製造では重合体は電極上にフィルムとして得られるが、多大な電気エネルギーを必要とし、工業的に不利であるので、化学重合法によるのが好ましい。
【0019】
PEDOTを、化学重合法により製造する場合、たとえばEDOTの有機溶媒溶液中に酸化剤を添加して重合する方法や、界面活性剤を含む液に、EDOTを乳化させた液を用意し、酸化剤水溶液を添加して重合する方法などにより製造することができる。後者の場合、低酸化剤濃度でも高収率・高電気伝導度のPEDOTが得られるため好ましい。
【0020】
PEDOTは、正極材料の調製時に添加して正極材料中に含有せしめられ、正極材料複合体とされる。
【0021】
PEDOTの含有量は、前記正極材料に含まれる無機活物質に対して10〜150%、さらには14〜50%であるのが好ましい。PEDOTの含有量が少なすぎる場合、PEDOTを含有させることによる充分な効果が得られず、多すぎる場合、リチウム二次電池にした場合に電池容量の低下を招くおそれがある。
【0022】
前記無機活物質としては、たとえばTiS2、MoS2、Co2S6、FeS2、NbS2、ZrS2、VSe2などの遷移金属カルゴゲン化合物、V2O5、MoO3、MnO2、CoO2などの金属酸化物、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄などから選ばれるいずれかの金属とリチウムとを構成元素として含む複合酸化物があげられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちではコバルトとリチウムとを構成元素として含む複合酸化物(たとえばコバルト酸リチウム)、ニッケルとリチウムとを構成元素として含む複合酸化物(たとえばニッケル酸リチウム)、V2O5(バナジウム酸化物)、MoO3(モリブデン酸化物)などが、理論容量が大きい点から好ましい。さらに、V2O5、MoO3が、前記導電性高分子の電気化学的酸化還元反応を起こす電位付近に放電曲線の平坦部を持つ点から好ましい。
【0023】
前記無機活物質の粒径としては、平均粒径が0.1〜150μm、さらには0.5〜120μm、とくには1〜100μmであるのが好ましい。平均粒径は、小さくなるほど表面積が増え、初期の電池容量が増大するため、平均粒径が大きすぎるものは実用的でない。一方、平均粒径が小さくなりすぎると、充放電サイクルを経るうちに電池容量が低下する問題や、電極を調製する際の分散性が劣化につながるなどの問題が生じやすくなる。
【0024】
本発明において、PEDOTを含有する正極材料複合体を製造する方法としては、たとえば正極材料に含まれる無機活物質とPEDOTと導電剤およびバインダーとを、有機溶媒中で混合・撹拌して均一に分散させた組成物の溶媒を除去することにより製造することができる。
【0025】
また、前記分散液を乾燥させる際の条件にもとくに制限はないが、溶媒が完全に除去することが好ましい。
【0026】
前記導電剤としては、たとえばアセチレンブラック、グラファイト、カーボンなどがあげられる。これらの炭素材料のうち、アセチレンブラックは若干導電性は劣るものの、0.1μm以下の結晶がぶどうの房状に連なっているため、0.1〜150μmの大きさの無機活物質と効率よく接触可能であるため、正極材料において一般的な導電剤として使用されている。本発明に使用する無機活物質の平均粒径は0.1〜150μmの範囲であるので、導電剤にアセチレンブラックを使用することが好ましい。
【0027】
前記バインダーとしては、たとえばポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどがあげられる。正極活物質と導電剤を強く縛り付けることにより、正極の高い導電性を保持することができるポリマーが、一般に使用される。
【0028】
前記有機溶媒としては、たとえばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミドなどのごとき、導電性高分子やバインダーに対して良溶媒である溶媒が一般に使用される。
【0029】
前記有機溶媒の使用量は、溶媒を含む組成物が均一に撹拌できる量であればよく、とくにどれだけの量という規定はないが、電極を乾燥(溶媒を除去)する工程があるために、N−メチル−2−ピロリドンを用いる場合には、揮発しにくいのでなるべく少量(たとえば、バインダー10重量部(以下、部という)に対して100〜200部程度)にするのが好ましい。
【0030】
前記無機活物質とPEDOTと導電剤およびバインダーとを有機溶媒中で混合・撹拌して均一に分散させる際の温度、時間などにはとくに制限はない。
【0031】
また、前記有機溶媒を乾燥させる際の条件にもとくに制限はないが、溶媒が完全に除去することが好ましい。
【0032】
無機活物質複合体(所定量の無機活物質とPEDOTを混合したもののこと)、導電剤、バインダーからなる溶媒を除く組成物中に占める各成分の割合としては、無機活物質複合体が60〜100%、さらには70〜95%、導電剤が0〜30%、さらには5〜25%、バインダーが0〜20%、さらには0〜15%であるのが好ましい。前記無機活物質複合体の割合が少なすぎる場合には、電池容量が低下しやすくなる。また、前記導電剤の割合が多すぎる場合には、電極の成形が困難になったり、エネルギー密度が低下したりしやすくなる。さらに、前記バインダーの割合が多すぎる場合には、バインダーの絶縁性による電子伝導が不良となりやすくなる。
【0033】
なお、無機活物質複合体中に含まれる導電性高分子(PEDOT)が無機活物質のバインダーおよび導電剤も兼ねることができるので、バインダーおよび導電剤を添加しなくても電極は作製できるが、本発明においては、電極の特性を充分に引き出すことを考慮して、無機複合体にバインダーおよび導電剤を添加して正極材料を作製する方法が好ましい。
【0034】
本発明のリチウム二次電池は、リチウム二次電池の正極として、前記正極材料複合体を用いて製造した正極を有するものであり、正極以外については特別な限定はない。
【0035】
前記正極材料複合体を用いて製造した正極というのは、通常、前記無機活物質複合体または無機活物質およびPEDOTと、導電剤、バインダー、溶媒とからなる組成物を均一に混合し、溶媒を除去して得られた正極材料複合体を、集電体とともに成形して得られる電極のことである。
【0036】
前記集電体としては、たとえばニッケル、アルミニウム、ステンレス、チタン、銅、金、白金などからなるメッシュ、箔、板などがあげられる。
【0037】
前記正極を成形する際の条件にはとくに限定はなく、従来からの方法にしたがって成形すればよい。したがって、正極の形状にもとくに限定はない。
【0038】
前記正極が取り付けられるリチウム二次電池の負極材料としては、従来から使用されているのと同様の、たとえば金属リチウム、リチウム−アルミニウム合金などのリチウムを吸蔵/放出可能な材料をあげることができる。
【0039】
本発明のリチウム二次電池に使用される非水電解質についてもとくに制限はなく、従来から使用されているのと同様の非水電解質、たとえば電解質である塩を有機溶媒に溶解させた電解質溶液や固体電解質を使用することができる。
【0040】
前記電解質である塩としては、リチウム塩、たとえばLiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3などを用いることができる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
また、前記有機溶媒としては、たとえばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて混合溶媒として用いてもよい。
【0042】
前記非水電解質として電解質溶液を使用する場合、電解質溶液が電極と実質的に化学反応を起こしさえしなければ、とくに制限はない。電解質溶液中の電解質濃度にもとくに制限はなく、使用する電解質の種類と溶媒とを考慮して適宜設定すればよい。通常、0.001〜10M、さらには0.01〜2Mの範囲のものが使用される。
【0043】
一方、前記非水電解質として固体電解質を用いる場合、電解質溶液の偏りや漏液、ガス発生がなく、変形に強く、信頼性の高いリチウム二次電池を製造することができる。
【0044】
前記固体電解質としては、たとえばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリルアミドなどの高分子材料をマトリックスとし、前述の電解質である塩をこのマトリックス中に溶解させた複合体、該複合体のゲル架橋体、低分子量ポリエチレンオキサイドやクラウンエーテルなどのイオン解離基をポリマー主鎖にグラフトさせたもの、前述の電解質溶液を含有させたゲル状態の高分子量重合体などがあげられる。
【0045】
本発明のリチウム二次電池では、必要に応じてセパレータを用いても本発明の効果は損われない。
【0046】
前記セパレータとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ガラス、ポリテトラフルオロエチレンなどから選んだ1種以上の材質から製造された不織布や織布などがあげられる。
【0047】
前述のごとき本発明のリチウム二次電池は、正極として、充放電サイクルを繰り返すうちに結晶構造が崩壊され、エネルギー密度が低下するという問題が生じにくい、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含有する無機活物質複合体を用いて製造した正極を使用しているため、充放電サイクル中の無機活物質の構造が安定化され、放電容量が増加するとともに、充放電サイクル特性が向上したものとなる。
【0048】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
実施例1
本実施例では、実験室レベルの実験として簡易型三電極式セルを用いた。作用極は、無機活物質にPEDOTを含有させた複合体を用いて製造し、対極および参照極は、金属リチウム箔を用いて製造した。また、非水電解質として、LiClO4をプロピレンカーボネートに溶解させた溶液を使用し、電池特性を評価した。
【0050】
まず、PEDOTの製造は、高電気伝導度の観点から、界面活性剤水溶液にEDOTを乳化させた乳化液に、酸化剤水溶液を添加することにより行なった。
【0051】
酸化剤として硫酸第二鉄(Fe2(SO4)3)、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた。
【0052】
界面活性剤の0.012M水溶液200mlに、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー(バイエル社製のバイトロンM)0.05Mを混合し、乳化させた。これに酸化剤0.05Mを溶解させた水溶液50mlを滴下し、室温で1日撹拌後、アセトンを加えて生成物を析出させ、濾別、洗浄(水・アセトン)、乾燥させてPEDOT(粉末)を得た。
【0053】
得られたPEDOTの導電率は10S/cmで、耐熱性は、熱重量分析で200℃までは重量変化しない安定性に優れたポリマーであった。
【0054】
つぎに、作用極(正極)を作製した。
【0055】
前記PEDOT 50mg、無機活物質である酸化バナジウム(太陽鉱工(株)製、V2O5、平均粒径100μm)350mg、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(アルドリッチ(Aldrich)社製)50mgおよびアセチレンブラック(電気化学工業(株)製)50mgを、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)の適量中で混合し、1日撹拌後、70℃で乾燥させた。
【0056】
得られた電極材料をニッケルメッシュ(100メッシュ、10×10×0.1mm)に挟み込み、約29.4MPa(300kg/cm2)で加圧したのち室温で一晩以上真空乾燥させたものを作用極とした。なお、本実施例の場合、活物質量は5〜10mgとした。
【0057】
つぎに、前記作用極を用いて簡易型三極式セルを組み立てた。対極と参照極には金属リチウム箔(旭東金属工業(株)製、厚さ0.2mm)を用いた。非水電解質として、プロピレンカーボネートにLiClO4を1M濃度に溶解させた溶液を用いた。これらの操作はすべてアルゴン雰囲気のドライボックスで行なった。
【0058】
得られた簡易型三極式セルの評価を、下記の方法により行なった。結果を表1に示す。
【0059】
実施例2〜3
本実施例では、正極材料を製造するときの仕込量を、V2O5 320mgおよびPEDOT 80mg(実施例2)、V2O5 267mgおよびPEDOT 133mg(実施例3)にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして作用極、ついで簡易型三極式セルを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0060】
実施例4〜6
本実施例では、無機活物質として酸化モリブデン(太陽鉱工(株)製、MoO3、平均粒径1〜5μm)を用いて作用極を製造した。
【0061】
作用極を製造するときの仕込量を、MoO3 320mgおよびPEDOT 80mg(実施例4)、MoO3 300mgおよびPEDOT 100mg(実施例5)、MoO3 267mgおよびPEDOT 133mg(実施例6)にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして作用極を製造し、ついで簡易型三極式セルを製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0062】
比較例1〜2
PEDOTを添加せずに400mgの無機活物質単独で使用した以外実施例1と同様にして作用極を製造し、ついで簡易型三極式セルを製造し、評価した。結果を表1、表2に示す。
【0063】
酸化バナジウムを用いた場合が比較例1で、酸化モリブデンを用いた場合が比較例2である。
【0064】
比較例3
無機活物質を使用せずに400mgのPEDOT単独で使用した以外は実施例1と同様にして作用極を製造し、ついで簡易型三極式セルを製造し、評価した。
結果を表1、2に示す。
【0065】
(リチウム電池の評価)
得られた簡易型三極式セルを用い、室温で充放電サイクル試験を10サイクル行なった。試験には充放電測定装置(北斗電工(株)製のHJ−101SM6型)を用いた。サイクル条件は活物質により異なり、下記の条件A、条件Bの2種類を使い分けた。
条件A:電極活物質にV2O5が含まれるリチウム二次電池
定電流20mA/gで電池電圧2.5Vまで放電→1分間休止→定電流20mA/gで電池電圧4.0Vまで充電→1分間休止
条件B:電極活物質にMoO3が含まれるリチウム二次電池
定電流20mA/gで電池電圧2.0Vまで放電→1分間休止→定電流20mA/gで電池電圧4.0Vまで充電→1分間休止
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
以上の結果から明らかなように、本発明の無機活物質複合体を用いた実施例の電池の場合、本発明の無機活物質複合体を用いていない比較例の電池の場合に比べ、放電容量が大きくなり、充放電サイクルに伴なう放電容量の低下が小さい。
【0069】
したがって、本発明が放電容量の増加と充放電サイクル特性の改善に有効であることがわかる。
【0070】
【発明の効果】
本発明のPEDOTを含有する無機活物質複合体をリチウム二次電池の正極材料として用いることにより、エネルギー密度が高く、サイクル特性および成形加工性に優れたリチウム二次電池を提供することができる。
Claims (3)
- 正極材料の調製時にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を添加して正極材料中にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が含有されてなる正極材料複合体。
- 前記ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の含有量が、前記正極材料に含まれる無機活物質に対して、10〜150重量%である請求項1記載の正極材料複合体。
- 請求項1記載の正極材料複合体からなる正極を有することを特徴とするリチウム二次電池。
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JP2002322530A JP4365572B2 (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含有する正極材料複合体および該複合体からなる正極を有するリチウム二次電池 |
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