JP2961021B2 - ベータアルミナ電解質の製造方法 - Google Patents

ベータアルミナ電解質の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はナトリウムイオンをキャ
リアとして作動するナトリウム−イオウ電池及びナトリ
ウム−溶融塩電池等の二次電池あるいはアルカリ金属熱
電変換電池等の固体電解質として用いるベータアルミナ
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ベータアルミナ電解質は高いナトリウム
イオン導電性を有するために、ナトリウムイオンをキャ
リアとする各種電池の電解質として利用されている。そ
してこの電池は電池の内部抵抗のかなりの部分を占める
ため、低抵抗でかつ高強度を示す緻密焼結体が望まし
く、また焼結を行う高温時、例えば1700℃で揮発し
やすいナトリウムを含有するために、なるべく低温で焼
結する方が望ましい。またベータアルミナにはβ−アル
ミナ(理論組成Na2 O・11Al2 3 )及びβ″−
アルミナ(理論組成Na2 O・5.3Al2 3 )とい
う2種類の結晶形が存在し、β″−アルミナの方が導電
性が高く電池として高性能を示すため、実用的にはβ″
−アルミナあるいはβ″−アルミナとβ−アルミナの混
合物のものが多用されている。
【0003】従来のベータアルミナの製造法は特公昭5
7−15063号公報にみられるように、アルミナと炭
酸ナトリウムを混合後焼成して得たβ−アルミナとβ″
−アルミナの混合物の仮焼粉と、アルミナと炭酸リチウ
ムを混合後焼成して得たゼータアルミナ(理論組成Li
2 O・Al2 3 )の結晶相を示す仮焼粉を再度混合
し、成型して焼結後にβ″−アルミナを得るという方法
である。この方法は混合前の仮焼粉にゼータアルミナを
用いることからゼータプロセスとよばれている。
【0004】さらに、上記公報の中にはナトリウムとリ
チウムの水溶性塩(例えば硝酸塩、硫酸塩、塩化物等)
の溶液とアルミナ粉体のスラリを混合後、乾燥・仮焼し
て、その後β″−アルミナ焼結体をえる方法が記載され
ている。しかしながら、この方法については詳細な実施
例は全く示されておらず、良好な電解質が得られるかど
うかは明かではない。
【0005】また、特公昭55−90470号公報に
は、非水溶媒に可溶なアルミニウム、ナトリウム及びリ
チウムのアルコキシドを加水分解後に乾燥・仮焼操作を
行い、焼成してベータアルミナを得る方法が記載されて
いる。
【0006】さらに、公知の方法であるが、アルミニウ
ム、ナトリウム及びリチウムの3種の粉末原料を同時に
乾式あるいは湿式で混合後、仮焼してベータアルミナを
得る方法がある。
【0007】また、本発明者等は先に非水溶媒に、アル
ミニウムの出発原料粉末、ナトリウムの出発原料粉末
と、一部あるいは全量を上記非水溶媒に溶解する有機リ
チウム化合物としたリチウムの出発原料とを混合してス
ラリを調製し、該スラリの乾燥粉または仮焼粉を成型
後、焼結するという簡便な方法において、アルミナ原料
の一次粒子径を制御することで従来法と同等以上の導電
性及び強度を示すベータアルミナの電解質の製造方法を
提案した。(平成4年7月6日付「ベータアルミナ電解
質の製造方法」として特許出願)
【0008】最後に、本発明者等はこれまた先に非水溶
媒に、アルミニウムの出発原料粉末、ナトリウムの出発
原料粉末と、一部あるいは全量を上記非水溶媒に溶解す
る有機リチウム化合物としたリチウムの出発原料とを混
合してスラリを調製し、該スラリの乾燥粉を仮焼した
後、粉砕・成型後、焼結するという簡便な方法において
特性に及ぼすアルミナ原料の影響を低減させ、従来法と
同等以上の特性を示すベータアルミナの電解質を再現性
よく製造する方法を提案した。(特願平4−20761
0)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記特公昭57−15
063号公報の最も一般的な従来法では、製品における
酸化リチウムの量が0.75重量%と非常に少ないため
に、ゼータアルミナというリチウムがアルミナ中に分散
した仮焼粉を用いて最終的にβ″−アルミナ中に分散さ
せようとするものである。該従来法のゼータプロセスで
は2種類の仮焼粉を調製後、粉砕・混合して焼結を行う
ため、混合工程が3回及び仮焼工程が2回と工程が複雑
となり製品のコストアップをもたらす。また、この方法
では、すべてが固相反応によりリチウムの拡散を行うこ
とからリチウムの不均一な分布が生じ、そこを起点に異
常粒成長が起きやすいという問題がある。
【0010】さらに、上記公報に記載してある水溶性の
塩を用いる方法では、上記ゼータプロセスよりもコスト
的に安価であるが、仮焼する際に特にナトリウムの水溶
性塩の量が多いため、有害なガス{例えば窒素酸化物
(NOx)あるいは硫黄酸化物(SOx)}が発生する
ばかりでなく、仮焼あるいは焼結の温度でも不揮発な塩
(塩化物等)を生成する可能性がある。また、該公報で
は具体的実施例が記載されていないため、本発明者等が
追試を行った結果、水溶性の塩を用いる方法では異常粒
成長が激しく(100μm以上)、導電性の面を除き、
電池に供する電解質としての強度及び耐久性に関して非
常に劣るものであることを確認した。
【0011】また、特公昭55−90470号公報の3
成分の原料に可溶性のアルコキシドを用いる方法では、
先ず原料のコストがかなり高くなる。また3成分を溶解
させるため、溶液中の成分は10重量%程度であり、通
常の粉体を使用するスラリが60から90重量%である
ことから判断し、溶媒を含めた原料の歩留まりが悪い。
さらに、この方法は加水分解速度がかなり遅いために、
長い熟成時間を必要とするという問題がある。
【0012】さらに、3成分に粉体の原料を用いる公知
の方法では、前述のゼータプロセスで述べたように、リ
チウムの固相反応による分散が悪く、ベータアルミナで
はない結晶相が残るあるいは異常粒成長という問題が生
じる。
【0013】また、本発明者等が先に提案した方法に
は、簡便な方法にて従来法と同等以上の導電性及び強度
を示すベータアルミナの電解質の製造方法について提案
してあるが、アルミナ原料の一次粒子径及びそれに対す
る焼結条件の適正化をしなければ、従来法の特性を越え
ず、アルミナ原料の選択の自由度及び製品の特性の再現
性等に問題があった。
【0014】また、本発明者等の先に提案した方法(特
願平4−207610)には非水溶媒に、アルミナの出
発原料粉末、ナトリウムの出発原料粉末と、一部あるい
は全量を上記非水溶媒に溶解する有機リチウム化合物と
したリチウムの出発原料とを混合してスラリを調製し、
該スラリの乾燥粉を仮焼した後、粉砕・成型後、焼結す
るという簡便な方法において、特性に及ぼすアルミニウ
ム原料の影響を低減させ、従来法と同等以上の特性を示
すベータアルミナの電解質を再現性よく製造する方法を
提案した。しかしながら、仮焼粉のβ″−アルミナの割
合(以下β″化率と略す)が40〜70%であり、従来
法であるゼータ法のアルミナと炭酸ナトリウムを混合後
焼成して得たβ−アルミナとβ″−アルミナの混合物の
仮焼粉のβ″化率が約90%であるのに比較して低い値
を示す。該方法によれば、仮焼粉を粉砕・成型後、焼結
することによりそのβ″化率はほぼ100%になること
を示したが、仮焼粉の状態でもそのβ″化率は高い方が
よいことは明かである。アルミナとリチウムの反応性が
アルミナとナトリウムの反応性より高いために、仮焼粉
の状態でAl2 3 −Li2 O系複合酸化物がAl2
3 −Na2 O系複合酸化物(β″−アルミナ及びβ−ア
ルミナ)よりも先に生成し、ナトリウムのアルミナ中の
拡散を遅くしているものと思われる。このことはミクロ
な状態でのリチウムの分布に悪影響を及ぼす可能性があ
る。
【0015】本発明は上記従来のβ″−アルミナの製造
に際する種々の問題の存在に鑑み、簡単で、かつ工業的
に原料の取扱い、毒性あるいは特性に問題がなく、アル
ミニウム原料や焼結条件の差による焼結体の特性の変化
を極力抑制しうるベータアルミナ電解質の製造方法を提
供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明はアルミニウム出
発原料とナトリウム出発原料を混合・仮焼してベータア
ルミナの仮焼粉を調製後、該仮焼粉と溶媒に可溶性のリ
チウムの出発原料とを混合してスラリを調製し、該スラ
リを乾燥・粉砕・成型後、焼結することを特徴とするベ
ータアルミナの電解質の製造方法である。
【0017】すなわち、アルミニウムとナトリウムの出
発原料を仮焼してβ″化率の高い仮焼粉を調製した後に
粉砕することにより、アルミナ出発原料の物性(一次粒
子径、比表面積等)に起因する仮焼粉物性の差を抑制す
る。その粉砕された仮焼粉を溶媒に可溶性のリチウム原
料の溶液に分散させスラリを調製し、液状でリチウムを
供給してリチウムの仮焼粉内の分散性を向上させる。さ
らにそのスラリを乾燥・粉砕・成型後に焼結することに
より拡散性の高いリチウムを反応させることでアルミナ
出発原料の物性に依存しない、特性の安定したベータア
ルミナ電解質を得るようにしたものである。
【0018】
【作用】本発明のベータアルミナの製造法では仮焼粉の
状態でβ″化率の高い仮焼粉を調製することができる。
また、β″−アルミナの結晶安定化剤であるリチウム原
料に、溶媒に可溶性なリチウム出発原料を用いることに
よって微量成分であるリチウムの分散性を向上させるこ
とができる。また、アルミニウムとナトリウムの仮焼粉
にリチウムを高分散させ、焼結させることでβ″化率を
低下させるリチウムの影響を低減させることができる。
上記特徴によりリチウムの偏在のない高いβ″化率を示
す仮焼粉を用いることでβ″−アルミナ粒子の異常粒成
長を抑制することが可能となり、焼結体の強度あるいは
耐久性等の特性を向上させることができる。
【0019】また、本発明のベータアルミナの製造法で
はアルミニウム及びナトリウムの粉体原料から仮焼粉を
調製後、溶媒に可溶性なリチウム原料とのスラリを乾燥
・成型して焼結を行うものであるが、この方法では最も
一般的な従来法であるゼータ法の混合工程3回及び仮焼
工程2回に対し混合工程2回及び仮焼工程1回と大幅に
工程を減らすことができる。さらに、仮焼工程を施し、
粉砕することにより、原料アルミナの物性により変化す
る焼結体の特性を安定化させることができ、アルミニウ
ム原料の選択の自由度の増加及び焼結体の特性の安定化
を図ることができる。
【0020】
【実施例】次に本発明を具体的な実施例により、さらに
詳細に説明する。工業的に電池としてベータアルミナ電
解質を用いる場合には通常片端を封じたチューブ状の焼
結体を使用する。上記チューブ状の焼結体を工業的に量
産するには造粒粉を用いて成型体を作成し、それを焼結
することによって得られる。そこで、この実施例では混
合原料スラリを仮焼した後、湿式粉砕したスラリを用い
てスプレードライ法により造粒粉を作成し、それを焼結
することによりベータアルミナ電解質を得る方法につい
てのべる。
【0021】先ず、一次粒子径が0.1、0.25、
0.5、1.2及び2.0μmという酸化アルミニウム
と炭酸ナトリウム選定した後、酸化アルミニウム及び炭
酸ナトリウムの別別のストックスラリを調製した。具体
的には1リットルのポットにジルコニアボールを入れ、
所定量の原料粉末とn−ブタノール及び分散剤(ポリエ
チレンイミン系)を投入して原料に応じた時間で混合を
行った。その調製条件を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】次に得られた5種類の酸化アルミニウムス
ラリ及び炭酸ナトリウムスラリを2時間混合した。その
時の化学組成はβ″−アルミナの標準的組成である酸化
アルミニウム:90.4重量%、酸化ナトリウム:8.
85重量%及び酸化リチウム:0.75重量%を基準
に、酸化アルミニウム=90.4wt%:酸化ナトリウ
ム=8.85wt%のモル比で酸化アルミニウム:酸化
ナトリウム=6.209になるように調製した。また、
比較のために、Li−ブトキシドのブタノール溶液を用
いて酸化物ベースで標準組成になるように3成分を含む
スラリも調製した。
【0024】得られたスラリをロータリエバポレータで
濃縮後、120℃の乾燥器にて1昼夜乾燥させた。その
乾燥物を粉砕し500μmのフルイを通した後、仮焼に
供した。仮焼は5℃/minで昇温後、1250℃で2
時間保持し、5℃/minで降温するものとした。
【0025】得られた仮焼粉のアルミナ原料の一次粒子
径とβ″−アルミナの生成率(β″化率)の関係を図1
に示す。ここでβ″化率は以下の式で定義した。 β″化率=Iβ″(0210) ×100 /Iβ″(0210) +I
β(017) 但し、Iβ″(0210) はβ″−アルミナの(0210) ピー
ク高さ、Iβ(017)はβ−アルミナの(017)ピーク高さ
である。
【0026】図1より、酸化アルミニウム及び酸化ナト
リウムの混合物のβ″化率は酸化アルミニウムの一次粒
子径に依存せず、高い値を示した。また、図1にはLi
−ブトキシドを用いた3成分を含むスラリの仮焼粉の
β″化率を示すが、この系ではβ″化率の酸化アルミニ
ウムの一次粒子径への依存性がみられる。
【0027】得られた仮焼粉は粒成長しているため、1
リットルのポットにて平均粒径が1μm以下になるまで
n−ブタノール中で湿式粉砕を行った。湿式粉砕後のス
ラリにLi−ブトキシドのブタノール溶液を酸化物ベー
スでβ″−アルミナの標準組成になるように添加した。
さらにスプレードライに供するためにn−ブタノールを
用いて希釈し100cp程度に粘度調整を行い、その混
合スラリを2時間混合して合計5種類のスラリを調製し
た。その後、スプレードライにて5種類の造粒粉を調製
した。その操作条件は室温とし、ディスクの回転数を1
4000rpmとした。得られた造粒粉の粒径は平均粒
径で80〜100μmの球状のものであった。なお、こ
の実施例では溶媒にn−ブタノール、可溶性のリチウム
出発原料にLi−ブトキシドを用いているが、他の有機
溶媒とそれに可溶な有機リチウムあるいは水と水に可溶
なリチウム塩(例えば硝酸リチウム)等の種々の組合せ
が可能である。
【0028】その造粒粉を用いて、径20mmの円形金
型を用いて一軸圧100kg/cm 2 で成型し、さらに
それをラバーに入れてCIP(冷間静水圧加圧)で1.
5t/cm2 の圧力にて5分間保持して成型体とした。
得られた成型体を5℃/minの昇温速度で昇温し、1
600℃で10分保持後、1450℃で5時間のアニー
ル処理を施し焼結体を作製した。
【0029】5種類の焼結体の密度は3.18g/cm
3 以上で、相対密度は97%以上(理論密度=3.28
g/cm3 )であった。その時の各焼結体のアルミナ原
料の一次粒子径とβ″化率の関係を図2に示す。また、
比較のために仮焼粉を調製せず3成分を含有するスラリ
(一次粒子径の異なる5種類のアルミナ原料を使用)を
成型して、1250℃で2時間保持後に続いて1600
℃で10分、1450℃で5時間の熱処理を行い調製し
た焼結体のβ″化率をも図2に併せて示す。なお、従来
法であるゼータ法により調製した焼結体のβ″化率は1
00%である。
【0030】図2より、仮焼粉調製を行なうことによ
り、一次粒子径が2.0μmの系以外ではほぼβ″−ア
ルミナ単相の焼結体を作製できた。すなわち、本発明方
法によればβ″化率のアルミナ原料依存性を低減するこ
とができることが明らかである。
【0031】(実施例2)β″−アルミナ中の酸化リチ
ウム量を変化させた焼結体を実施例1と同様の製法で調
製した。具体的には、β″−アルミナの標準的組成であ
る酸化アルミニウム(Al2 3 ):90.4重量%、
酸化ナトリウム(Na2 O):8.85重量%及び酸化
リチウム(Li2 O):0.75重量%を基準に、Al
2 3 =90.4wt%:Na2 O=8.85wt%の
モル比でAl2 3 :Na2 O=6.209になるよう
に調製したスラリに、Li−ブトキシド溶液を添加し、
Li2 O/(Al2 3 +Na2 O+Li2 O)比が
0.25、0.5、0.75、1.00重量%になるよ
うに調製した。また、比較のために3成分を同時に混合
して、仮焼粉を調製せずに焼結体を作製した。
【0032】得られた焼結体の300℃における導電率
の値を図3に示す。図3において、Li2 O量の増加に
伴い導電率は向上することがわかる。また、本発明の製
法では3成分を同時に混合して焼結体を作製する製法に
比較して、Li2 O量による導電率の変化が小さく、化
学組成の変動に伴う特性の変化を低減することができる
ことが明らかである。
【0033】なお、標準組成(Li2 O=0.75wt
%)における本発明の製法、3成分を同時に混合して焼
結体を作製する製法及び従来法(ゼータ法)の3種類の
焼結体の導電率は約0.20Scm-1とほぼ同じ値を示
した。
【0034】上記3種類(本発明、3成分同時混合、ゼ
ータ法)の焼結体研磨面を熱燐酸(160℃)で1分間
エッチングした組織の光学顕微鏡写真をそれぞれ図4、
図5及び図6に示す。これらの図より、その組織は図4
(本発明)が最も微細で、図6(ゼータ法)が最も粗大
で、図5(3成分同時混合)はその中間の大きさであ
る。
【0035】ベータアルミナは組織が粗大(粒成長)な
程、その導電率は増加するが、その強度は低下するとい
う一般的な傾向をもつ。そのため、ほぼ同じ導電率を示
す本実施例において述べた3種類の焼結体の中で、最も
微細な組織を示す本発明の焼結体が強度が高く、電池と
しての耐久性が優れていることを示している。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来法により調製したものと比較して、導電性を低下さ
せずに微細な組織をもつベータアルミナを従来法よりも
簡便な方法により調製することができ、電池用電解質と
しての耐久性が向上する。また、アルミナ原料の種類に
よらず再現性のある特性をもち、かつ酸化リチウム量に
よる特性の変化の少ないβ″−アルミナを調製できるた
め、工業的な製法による電池用電解質としての信頼性が
向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における仮焼粉に対するアル
ミナ原料の一次粒子径とβ″化率の関係を示す図表。
【図2】本発明の実施例1における焼結体に対するアル
ミナ原料の一次粒子径とβ″化率の関係を示す図表。
【図3】本発明の実施例2における焼結体の酸化リチウ
ム含有量と導電率の関係を示す図表。
【図4】本発明の実施例2における焼結体の結晶構造
示す光学顕微鏡写真。
【図5】本発明の実施例2における3成分を同時に混合
する製法にて作製した比較例としての焼結体の結晶構造
を示す光学顕微鏡写真。
【図6】本発明の実施例2における従来法(ゼータ法)
により作製した焼結体の結晶構造を示す顕微鏡写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮地 正和 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地 1 三菱重工業株式会社 基盤技術研究 所内 (72)発明者 水流 靖彦 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地 1 三菱重工業株式会社 基盤技術研究 所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/10 - 35/119

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム出発原料とナトリウム出発
    原料を混合・仮焼してベータアルミナの仮焼粉を調製
    後、該仮焼粉と溶媒に可溶性のリチウムの出発原料とを
    混合してスラリを調製し、該スラリを乾燥・粉砕・成型
    後、焼結することを特徴とするベータアルミナの電解質
    の製造方法。
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