JPH0656513A - ベータアルミナ電解質の製造方法 - Google Patents
ベータアルミナ電解質の製造方法Info
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- JPH0656513A JPH0656513A JP4207610A JP20761092A JPH0656513A JP H0656513 A JPH0656513 A JP H0656513A JP 4207610 A JP4207610 A JP 4207610A JP 20761092 A JP20761092 A JP 20761092A JP H0656513 A JPH0656513 A JP H0656513A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 ナトリウム−イオウ電池、ナトリウム−溶融
塩電池などの二次電池あるいはアルカリ金属熱電変換電
池などの固体電解質として用いるベータアルミナの製造
方法に関する。 【構成】 非水溶媒に、アルミニウムの出発原料粉末、
ナトリウムの出発原料粉末と、一部あるいは全量を上記
非水溶媒に溶解する有機リチウム化合物としたリチウム
の出発原料とを混合してスラリを調製し、該スラリの乾
燥粉を仮焼した後、粉砕・成型後、焼結してベータアル
ミナの電解質を製造する方法。
塩電池などの二次電池あるいはアルカリ金属熱電変換電
池などの固体電解質として用いるベータアルミナの製造
方法に関する。 【構成】 非水溶媒に、アルミニウムの出発原料粉末、
ナトリウムの出発原料粉末と、一部あるいは全量を上記
非水溶媒に溶解する有機リチウム化合物としたリチウム
の出発原料とを混合してスラリを調製し、該スラリの乾
燥粉を仮焼した後、粉砕・成型後、焼結してベータアル
ミナの電解質を製造する方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はナトリウムイオンをキャ
リアとして作動するナトリウム−イオウ電池及びナトリ
ウム−溶融塩電池等の二次電池あるいはアルカリ金属熱
電変換電池等の固体電解質として用いるベータアルミナ
の製造法に関する。
リアとして作動するナトリウム−イオウ電池及びナトリ
ウム−溶融塩電池等の二次電池あるいはアルカリ金属熱
電変換電池等の固体電解質として用いるベータアルミナ
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ベータアルミナ電解質は高いナトリウム
イオン導電性を有するために、ナトリウムイオンをキャ
リアとする各種電池の電解質として利用されている。そ
してこの電池は電池の内部抵抗のかなりの部分を占める
ため、低抵抗でかつ高強度を示す緻密焼結体が望まし
く、また焼結を行う高温時、例えば1700℃で揮発し
やすいナトリウムを含有するために、なるべく低温で焼
結する方が望ましい。またベータアルミナにはβ−アル
ミナ(理論組成Na2 O・11Al2 O3 )及びβ″−
アルミナ(理論組成Na2 O・5.3Al2 O3 )とい
う2種類の結晶形が存在し、β″−アルミナの方が導電
性が高く電池として高性能を示すため、実用的にはβ″
−アルミナあるいはβ″−アルミナとβ−アルミナの混
合物のものが多用されている。
イオン導電性を有するために、ナトリウムイオンをキャ
リアとする各種電池の電解質として利用されている。そ
してこの電池は電池の内部抵抗のかなりの部分を占める
ため、低抵抗でかつ高強度を示す緻密焼結体が望まし
く、また焼結を行う高温時、例えば1700℃で揮発し
やすいナトリウムを含有するために、なるべく低温で焼
結する方が望ましい。またベータアルミナにはβ−アル
ミナ(理論組成Na2 O・11Al2 O3 )及びβ″−
アルミナ(理論組成Na2 O・5.3Al2 O3 )とい
う2種類の結晶形が存在し、β″−アルミナの方が導電
性が高く電池として高性能を示すため、実用的にはβ″
−アルミナあるいはβ″−アルミナとβ−アルミナの混
合物のものが多用されている。
【0003】従来のベータアルミナの製造法は特公昭5
7−15063号公報にみられるように、アルミナと炭
酸ナトリウムを混合後焼成して得たβ−アルミナとβ″
−アルミナの混合物の仮焼粉と、アルミナと炭酸リチウ
ムを混合後焼成して得たゼータアルミナ(理論組成Li
2 O・Al2 O3 )の結晶相を示す仮焼粉を再度混合
し、成型して焼結後にβ″−アルミナを得るという方法
である。この方法は混合前の仮焼粉にゼータアルミナを
用いることからゼータプロセスとよばれている。
7−15063号公報にみられるように、アルミナと炭
酸ナトリウムを混合後焼成して得たβ−アルミナとβ″
−アルミナの混合物の仮焼粉と、アルミナと炭酸リチウ
ムを混合後焼成して得たゼータアルミナ(理論組成Li
2 O・Al2 O3 )の結晶相を示す仮焼粉を再度混合
し、成型して焼結後にβ″−アルミナを得るという方法
である。この方法は混合前の仮焼粉にゼータアルミナを
用いることからゼータプロセスとよばれている。
【0004】さらに、上記公報の中にはナトリウムとリ
チウムの水溶性塩(例えば硝酸塩、硫酸塩、塩化物等)
の溶液とアルミナ粉体のスラリを混合後、乾燥・仮焼し
て、その後β″−アルミナ焼結体をえる方法が記載され
ている。しかしながら、この方法については詳細な実施
例は全く示されておらず、良好な電解質が得られるかど
うかは明かではない。
チウムの水溶性塩(例えば硝酸塩、硫酸塩、塩化物等)
の溶液とアルミナ粉体のスラリを混合後、乾燥・仮焼し
て、その後β″−アルミナ焼結体をえる方法が記載され
ている。しかしながら、この方法については詳細な実施
例は全く示されておらず、良好な電解質が得られるかど
うかは明かではない。
【0005】また、特公昭55−90470号公報に
は、非水溶媒に可溶なアルミニウム、ナトリウム及びリ
チウムのアルコキシドを加水分解後に乾燥・仮焼操作を
行い、焼成してベータアルミナを得る方法が記載されて
いる。
は、非水溶媒に可溶なアルミニウム、ナトリウム及びリ
チウムのアルコキシドを加水分解後に乾燥・仮焼操作を
行い、焼成してベータアルミナを得る方法が記載されて
いる。
【0006】さらに、公知の方法であるが、アルミニウ
ム、ナトリウム及びリチウムの3種の粉末原料を同時に
乾式あるいは湿式で混合後、仮焼してベータアルミナを
得る方法がある。
ム、ナトリウム及びリチウムの3種の粉末原料を同時に
乾式あるいは湿式で混合後、仮焼してベータアルミナを
得る方法がある。
【0007】最後に、本発明者等は先に非水溶媒に、ア
ルミニウムの出発原料粉末、ナトリウムの出発原料粉末
と、一部あるいは全量を上記非水溶媒に溶解する有機リ
チウム化合物としたリチウムの出発原料とを混合してス
ラリを調製し、該スラリの乾燥粉または仮焼粉を成型
後、焼結するという簡便な方法において、アルミナ原料
の一次粒子径を制御することで従来法と同等以上の導電
性及び強度を示すベータアルミナの電解質の製造方法を
提案した。(平成4年7月6日付「ベータアルミナ電解
質の製造方法」として特許出願)
ルミニウムの出発原料粉末、ナトリウムの出発原料粉末
と、一部あるいは全量を上記非水溶媒に溶解する有機リ
チウム化合物としたリチウムの出発原料とを混合してス
ラリを調製し、該スラリの乾燥粉または仮焼粉を成型
後、焼結するという簡便な方法において、アルミナ原料
の一次粒子径を制御することで従来法と同等以上の導電
性及び強度を示すベータアルミナの電解質の製造方法を
提案した。(平成4年7月6日付「ベータアルミナ電解
質の製造方法」として特許出願)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記特公昭57−15
063号公報の最も一般的な従来法では、製品における
酸化リチウムの量が0.75重量%と非常に少ないため
に、ゼータアルミナというリチウムがアルミナ中に分散
した仮焼粉を用いて最終的にβ″−アルミナ中に分散さ
せようとするものである。該従来法のゼータプロセスで
は2種類の仮焼粉を調製後、粉砕・混合して焼結を行う
ため、混合工程が3回及び仮焼工程が2回と工程が複雑
となり製品のコストアップをもたらす。また、この方法
では、すべてが固相反応によりリチウムの拡散を行うこ
とからリチウムの不均一な分布が生じ、そこを起点に異
常粒成長が起きやすいという問題がある。
063号公報の最も一般的な従来法では、製品における
酸化リチウムの量が0.75重量%と非常に少ないため
に、ゼータアルミナというリチウムがアルミナ中に分散
した仮焼粉を用いて最終的にβ″−アルミナ中に分散さ
せようとするものである。該従来法のゼータプロセスで
は2種類の仮焼粉を調製後、粉砕・混合して焼結を行う
ため、混合工程が3回及び仮焼工程が2回と工程が複雑
となり製品のコストアップをもたらす。また、この方法
では、すべてが固相反応によりリチウムの拡散を行うこ
とからリチウムの不均一な分布が生じ、そこを起点に異
常粒成長が起きやすいという問題がある。
【0009】さらに、上記公報に記載してある水溶性の
塩を用いる方法では、上記ゼータプロセスよりもコスト
的に安価であるが、仮焼する際に有害なガス(例えば窒
素酸化物(NOx)あるいは硫黄酸化物(SOx)が発
生するばかりでなく、仮焼あるいは焼結の温度でも不揮
発な塩(塩化物等)を生成する可能性がある。また、該
公報では具体的実施例が記載されていないため、本発明
者等が追試を行った結果、水溶性の塩を用いる方法では
異常粒成長が激しく(100μm以上)、導電性の面を
除き、電池に供する電解質としての強度及び耐久性に関
して非常に劣るものであることを確認した。
塩を用いる方法では、上記ゼータプロセスよりもコスト
的に安価であるが、仮焼する際に有害なガス(例えば窒
素酸化物(NOx)あるいは硫黄酸化物(SOx)が発
生するばかりでなく、仮焼あるいは焼結の温度でも不揮
発な塩(塩化物等)を生成する可能性がある。また、該
公報では具体的実施例が記載されていないため、本発明
者等が追試を行った結果、水溶性の塩を用いる方法では
異常粒成長が激しく(100μm以上)、導電性の面を
除き、電池に供する電解質としての強度及び耐久性に関
して非常に劣るものであることを確認した。
【0010】また、特公昭55−90470号公報の3
成分の原料に可溶性のアルコキシドを用いる方法では、
先ず原料のコストがかなり高くなる。また3成分を溶解
させるため、溶液中の成分は10重量%程度であり、通
常の粉体を使用するスラリが60から90重量%である
ことから判断し、溶媒を含めた原料の歩留まりが悪い。
さらに、この方法は加水分解速度がかなり遅いために、
長い熟成時間を必要とするという問題がある。
成分の原料に可溶性のアルコキシドを用いる方法では、
先ず原料のコストがかなり高くなる。また3成分を溶解
させるため、溶液中の成分は10重量%程度であり、通
常の粉体を使用するスラリが60から90重量%である
ことから判断し、溶媒を含めた原料の歩留まりが悪い。
さらに、この方法は加水分解速度がかなり遅いために、
長い熟成時間を必要とするという問題がある。
【0011】さらに、3成分に粉体の原料を用いる公知
の方法では、前述のゼータプロセスで述べたように、リ
チウムの固相反応による分散が悪く、ベータアルミナで
はない結晶相が残るあるいは異常粒成長という問題が生
じる。
の方法では、前述のゼータプロセスで述べたように、リ
チウムの固相反応による分散が悪く、ベータアルミナで
はない結晶相が残るあるいは異常粒成長という問題が生
じる。
【0012】最後に、本発明者等の前記の先に提案した
方法には、簡便な方法にて従来法と同等以上の導電性及
び強度を示すベータアルミナの電解質の製造方法につい
て提案してあるが、アルミナ原料の一次粒子径及びそれ
に対する焼結条件の適正化をしなければ、従来法の特性
を越えず、アルミナ原料の選択の自由度及び製品の特性
の再現性等に問題があることが判った。
方法には、簡便な方法にて従来法と同等以上の導電性及
び強度を示すベータアルミナの電解質の製造方法につい
て提案してあるが、アルミナ原料の一次粒子径及びそれ
に対する焼結条件の適正化をしなければ、従来法の特性
を越えず、アルミナ原料の選択の自由度及び製品の特性
の再現性等に問題があることが判った。
【0013】本発明は上記のβ″−アルミナの製造に際
する種々の問題の存在に鑑み、簡単で、かつ工業的に原
料の取扱い、毒性あるいは特性に問題がなく、アルミニ
ウム原料や焼結条件の差による焼結体の特性の変化を極
力抑制しうるベータアルミナ電解質の製造方法を提供し
ようとするものである。
する種々の問題の存在に鑑み、簡単で、かつ工業的に原
料の取扱い、毒性あるいは特性に問題がなく、アルミニ
ウム原料や焼結条件の差による焼結体の特性の変化を極
力抑制しうるベータアルミナ電解質の製造方法を提供し
ようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は非水溶媒に、ア
ルミニウムの出発原料粉末、ナトリウムの出発原料粉末
と、一部あるいは全量を上記非水溶媒に溶解する有機リ
チウム化合物としたリチウムの出発原料とを混合してス
ラリを調製し、該スラリの乾燥粉を仮焼した後、粉砕・
成型後、焼結することを特徴とするベータアルミナの電
解質の製造方法である。
ルミニウムの出発原料粉末、ナトリウムの出発原料粉末
と、一部あるいは全量を上記非水溶媒に溶解する有機リ
チウム化合物としたリチウムの出発原料とを混合してス
ラリを調製し、該スラリの乾燥粉を仮焼した後、粉砕・
成型後、焼結することを特徴とするベータアルミナの電
解質の製造方法である。
【0015】すなわち、非水溶媒に可溶性の有機リチウ
ム化合物を用いるのは、液状でリチウムを供給してリチ
ウムの分散性を向上させることにより、3成分を同時に
均一に混合させるためである。さらに、その混合スラリ
の乾燥粉を仮焼した後に、粉砕することにより、アルミ
ニウムの出発原料の物性(一次粒子径、比表面積等)に
起因する仮焼粉物性の差を抑制するためである。その粉
砕された仮焼粉を成型後に焼結することにより、アルミ
ニウムの出発原料の物性に依存しない特性の安定したベ
ータアルミナ電解質を得るようにしたものである。
ム化合物を用いるのは、液状でリチウムを供給してリチ
ウムの分散性を向上させることにより、3成分を同時に
均一に混合させるためである。さらに、その混合スラリ
の乾燥粉を仮焼した後に、粉砕することにより、アルミ
ニウムの出発原料の物性(一次粒子径、比表面積等)に
起因する仮焼粉物性の差を抑制するためである。その粉
砕された仮焼粉を成型後に焼結することにより、アルミ
ニウムの出発原料の物性に依存しない特性の安定したベ
ータアルミナ電解質を得るようにしたものである。
【0016】
【作用】本発明のベータアルミナの製造法ではβ″−ア
ルミナの結晶安定化剤であるリチウム原料に、非水溶媒
に不溶性なリチウム出発原料粉末の一部あるいは全量を
上記非水溶媒に可溶性な有機リチウム化合物を用いるこ
とによって微量成分であるリチウムの分散性を向上させ
ることができる。リチウムの分散性を向上させることで
混合原料中のリチウムの偏在がなくなり、焼結体中の
β″−アルミナ粒子の異常粒成長を抑制することが可能
となり、焼結体の強度あるいは耐久性等の特性を向上さ
せることができる。
ルミナの結晶安定化剤であるリチウム原料に、非水溶媒
に不溶性なリチウム出発原料粉末の一部あるいは全量を
上記非水溶媒に可溶性な有機リチウム化合物を用いるこ
とによって微量成分であるリチウムの分散性を向上させ
ることができる。リチウムの分散性を向上させることで
混合原料中のリチウムの偏在がなくなり、焼結体中の
β″−アルミナ粒子の異常粒成長を抑制することが可能
となり、焼結体の強度あるいは耐久性等の特性を向上さ
せることができる。
【0017】また、本発明のベータアルミナの製造法で
はアルミニウム及びナトリウムの粉体原料及び上記リチ
ウム成分の3成分を含む混合スラリを乾燥・仮焼した
後、粉砕・成型して焼結を行うものであるが、この方法
では最も一般的な従来法であるゼータ法の混合工程3回
及び仮焼工程2回に対し混合工程1回及び仮焼工程1回
と大幅に工程を減らすことができる。
はアルミニウム及びナトリウムの粉体原料及び上記リチ
ウム成分の3成分を含む混合スラリを乾燥・仮焼した
後、粉砕・成型して焼結を行うものであるが、この方法
では最も一般的な従来法であるゼータ法の混合工程3回
及び仮焼工程2回に対し混合工程1回及び仮焼工程1回
と大幅に工程を減らすことができる。
【0018】さらに、仮焼工程を施し、粉砕することに
より、原料アルミナの物性により変化する焼結体の特性
を安定化させることができ、アルミナ原料の選択の自由
度の増加及び焼結体の特性の安定化を図ることができ
る。
より、原料アルミナの物性により変化する焼結体の特性
を安定化させることができ、アルミナ原料の選択の自由
度の増加及び焼結体の特性の安定化を図ることができ
る。
【0019】
【実施例】次に本発明を具体的な実施例により、さらに
詳細に説明する。工業的に電池としてベータアルミナ電
解質を用いる場合には通常片端を封じたチューブ状の焼
結体を使用する。上記チューブ状の焼結体を工業的に量
産するには造粒粉を用いて成型体を作成し、それを焼結
することによって得られる。そこで、この実施例では混
合原料スラリを仮焼した後、湿式粉砕したスラリを用い
てスプレードライ法により造粒粉を作成し、それを焼結
することによりベータアルミナ電解質を得る方法につい
てのべる。
詳細に説明する。工業的に電池としてベータアルミナ電
解質を用いる場合には通常片端を封じたチューブ状の焼
結体を使用する。上記チューブ状の焼結体を工業的に量
産するには造粒粉を用いて成型体を作成し、それを焼結
することによって得られる。そこで、この実施例では混
合原料スラリを仮焼した後、湿式粉砕したスラリを用い
てスプレードライ法により造粒粉を作成し、それを焼結
することによりベータアルミナ電解質を得る方法につい
てのべる。
【0020】酸化アルミニウム及び炭酸ナトリウムのn
−ブタノールスラリを調製し、そのスラリにリチウムブ
トキシドのn−ブタノール溶液(以下、リチウム溶液と
いう)を加えてスプレードライ用のスラリとすることと
した。その時の化学組成はβ″−アルミナの標準的組成
である酸化アルミニウム:90.4重量%、酸化ナトリ
ウム:8.85重量%及び酸化リチウム:0.75重量
%になるように調製した。この場合、最初から3成分を
含むスラリを混合する簡便な方法もあるが、量産性ある
いは品質の安定性の面から上述のようなストックスラリ
(酸化アルミニウム及び炭酸ナトリウムのn−ブタノー
ルスラリ)とリチウム溶液を混合するという方法を採用
した。
−ブタノールスラリを調製し、そのスラリにリチウムブ
トキシドのn−ブタノール溶液(以下、リチウム溶液と
いう)を加えてスプレードライ用のスラリとすることと
した。その時の化学組成はβ″−アルミナの標準的組成
である酸化アルミニウム:90.4重量%、酸化ナトリ
ウム:8.85重量%及び酸化リチウム:0.75重量
%になるように調製した。この場合、最初から3成分を
含むスラリを混合する簡便な方法もあるが、量産性ある
いは品質の安定性の面から上述のようなストックスラリ
(酸化アルミニウム及び炭酸ナトリウムのn−ブタノー
ルスラリ)とリチウム溶液を混合するという方法を採用
した。
【0021】先ず、一次粒子径が0.1、0.25、
0.5、1.2及び2.0μmという酸化アルミニウム
と炭酸ナトリウム選定した後、酸化アルミニウム及び炭
酸ナトリウムのストックスラリを調製した。具体的には
1リットルのポットにジルコニアボールを入れ、所定量
の原料粉末とn−ブタノール及び分散剤(ポリエチレン
イミン系)を投入して原料に応じた時間で混合を行っ
た。その調製条件を表1に示す。
0.5、1.2及び2.0μmという酸化アルミニウム
と炭酸ナトリウム選定した後、酸化アルミニウム及び炭
酸ナトリウムのストックスラリを調製した。具体的には
1リットルのポットにジルコニアボールを入れ、所定量
の原料粉末とn−ブタノール及び分散剤(ポリエチレン
イミン系)を投入して原料に応じた時間で混合を行っ
た。その調製条件を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】次に得られた5種類の酸化アルミニウムス
ラリ、炭酸ナトリウムスラリ及びリチウム溶液を上記
β″−アルミナの標準組成になるように調製した後、1
2時間混合を行った。得られたスラリのロータリエバポ
レータで濃縮後、120℃の乾燥器にて1昼夜乾燥させ
た。その乾燥物を粉砕し、500μmのフルイを通した
後、仮焼に供した。仮焼は5℃/minで昇温後、12
50℃で2時間保持し、5℃/minで降温するものと
した。
ラリ、炭酸ナトリウムスラリ及びリチウム溶液を上記
β″−アルミナの標準組成になるように調製した後、1
2時間混合を行った。得られたスラリのロータリエバポ
レータで濃縮後、120℃の乾燥器にて1昼夜乾燥させ
た。その乾燥物を粉砕し、500μmのフルイを通した
後、仮焼に供した。仮焼は5℃/minで昇温後、12
50℃で2時間保持し、5℃/minで降温するものと
した。
【0024】得られた仮焼粉のアルミナ原料の一次粒子
径とβ″−アルミナの生成率(β″化率)の関係を図1
に示す。ここでβ″化率は以下の式で定義した。 β″化率=Iβ″(0210) ×100 /Iβ″(0210) +I
β(017) 但し、Iβ″(0210) はβ″−アルミナの(0210) ピー
ク高さ、Iβ(017)はβ−アルミナの(017)ピーク高さ
である。図1より、1250℃で2時間におけるβ″化
率は一次粒子径が小さい程、高い値を示した。
径とβ″−アルミナの生成率(β″化率)の関係を図1
に示す。ここでβ″化率は以下の式で定義した。 β″化率=Iβ″(0210) ×100 /Iβ″(0210) +I
β(017) 但し、Iβ″(0210) はβ″−アルミナの(0210) ピー
ク高さ、Iβ(017)はβ−アルミナの(017)ピーク高さ
である。図1より、1250℃で2時間におけるβ″化
率は一次粒子径が小さい程、高い値を示した。
【0025】次に一次粒子径が0.25μmのものに対
して、その仮焼温度を変えてβ″化率の異なる仮焼粉を
調製した。その時の1100、1150及び1250℃
という仮焼温度に対するβ″化率の関係を図2に示し
た。図2より仮焼温度によりβ″化率は変化するが、1
150℃以上ではほぼ同じ値を示した。
して、その仮焼温度を変えてβ″化率の異なる仮焼粉を
調製した。その時の1100、1150及び1250℃
という仮焼温度に対するβ″化率の関係を図2に示し
た。図2より仮焼温度によりβ″化率は変化するが、1
150℃以上ではほぼ同じ値を示した。
【0026】得られた一次粒子径の異なる仮焼粉5種類
及び仮焼温度の異なる仮焼粉2種類、合計7種類を仮焼
粉として用いた。得られた仮焼粉は粒成長しているた
め、1リットルのポットにて平均粒径が1μm以下にな
るまでn−ブタノール中で湿式粉砕を行った。さらにス
プレードライに供するためにn−ブタノールを用いて希
釈し100cp程度に粘度調整を行い、その混合スラリ
を2時間混合して合計7種類のスラリを調製した。その
後、スプレードライにて7種類の造粒粉を調製した。そ
の操作条件は室温とし、ディスクの回転数を14000
rpmとした。得られた造粒粉の粒径は平均粒径で80
〜90μmの球状のものであった。
及び仮焼温度の異なる仮焼粉2種類、合計7種類を仮焼
粉として用いた。得られた仮焼粉は粒成長しているた
め、1リットルのポットにて平均粒径が1μm以下にな
るまでn−ブタノール中で湿式粉砕を行った。さらにス
プレードライに供するためにn−ブタノールを用いて希
釈し100cp程度に粘度調整を行い、その混合スラリ
を2時間混合して合計7種類のスラリを調製した。その
後、スプレードライにて7種類の造粒粉を調製した。そ
の操作条件は室温とし、ディスクの回転数を14000
rpmとした。得られた造粒粉の粒径は平均粒径で80
〜90μmの球状のものであった。
【0027】その造粒粉を用いて、径20mmの円形金
型を用いて一軸圧100kg/cm 2 で成型し、さらに
それをラバーに入れてCIP(冷間静水圧加圧)で1.
5t/cm2 の圧力にて5分間保持して成型体とした。
得られた成型体を5℃/minの昇温速度で昇温し、1
600℃で10分保持後、1450℃で5時間のアニー
ル処理を施し焼結体を作製した。
型を用いて一軸圧100kg/cm 2 で成型し、さらに
それをラバーに入れてCIP(冷間静水圧加圧)で1.
5t/cm2 の圧力にて5分間保持して成型体とした。
得られた成型体を5℃/minの昇温速度で昇温し、1
600℃で10分保持後、1450℃で5時間のアニー
ル処理を施し焼結体を作製した。
【0028】7種類の焼結体の密度は3.19g/cm
3 以上で、相対密度は97%以上(理論密度=3.28
g/cm3 )であった。その時の各焼結体のアルミナ原
料の一次粒子径とβ″化率の関係を図3に示す。また、
比較のために仮焼粉を調製せず3成分を含有するスラリ
(一次粒子径の異なる5種類のアルミナ原料を使用)を
成型して、1250℃で2時間保持後に続いて1600
℃で10分、1450℃で5時間の熱処理を行い調製し
た焼結体のβ″化率を図3に示す。なお、従来法である
ゼータ法により調製した焼結体のβ″化率は100%で
ある。
3 以上で、相対密度は97%以上(理論密度=3.28
g/cm3 )であった。その時の各焼結体のアルミナ原
料の一次粒子径とβ″化率の関係を図3に示す。また、
比較のために仮焼粉を調製せず3成分を含有するスラリ
(一次粒子径の異なる5種類のアルミナ原料を使用)を
成型して、1250℃で2時間保持後に続いて1600
℃で10分、1450℃で5時間の熱処理を行い調製し
た焼結体のβ″化率を図3に示す。なお、従来法である
ゼータ法により調製した焼結体のβ″化率は100%で
ある。
【0029】図3より、仮焼粉調製を設けることにより
一次粒子径が2.0μmの系以外ではほぼβ″−アルミ
ナ単相の焼結体を作製できた。すなわち、本発明方法に
よればβ″化率のアルミナ原料依存性を低減することが
できる。
一次粒子径が2.0μmの系以外ではほぼβ″−アルミ
ナ単相の焼結体を作製できた。すなわち、本発明方法に
よればβ″化率のアルミナ原料依存性を低減することが
できる。
【0030】次に、得られた焼結体の300℃における
導電率と最大結晶粒子径の値を表2に示す。なお、焼結
体研磨面を熱燐酸(160℃)で1分間エッチングした
組織に応じて、光学顕微鏡写真あるいは走査型電子顕微
鏡写真で観察できる最も大きな結晶粒子の最も長い値を
最大結晶粒子径として採用した。
導電率と最大結晶粒子径の値を表2に示す。なお、焼結
体研磨面を熱燐酸(160℃)で1分間エッチングした
組織に応じて、光学顕微鏡写真あるいは走査型電子顕微
鏡写真で観察できる最も大きな結晶粒子の最も長い値を
最大結晶粒子径として採用した。
【0031】
【表2】
【0032】表2より、仮焼粉調製を実施した系では実
施しない系に比較して、アルミナ原料の一次粒子径の導
電率及び最大結晶粒子径に及ぼす影響が小さい。特に、
仮焼粉調製を実施した系では最大結晶粒子径のアルミナ
原料の一次粒子径への依存性が小さく、粒内抵抗及び粒
界抵抗の変化が小さいために、導電率の変化も小さくな
っている。また、最大結晶粒子径の値からも予想される
ように、焼結体の強度も変化がないと思われる。
施しない系に比較して、アルミナ原料の一次粒子径の導
電率及び最大結晶粒子径に及ぼす影響が小さい。特に、
仮焼粉調製を実施した系では最大結晶粒子径のアルミナ
原料の一次粒子径への依存性が小さく、粒内抵抗及び粒
界抵抗の変化が小さいために、導電率の変化も小さくな
っている。また、最大結晶粒子径の値からも予想される
ように、焼結体の強度も変化がないと思われる。
【0033】表2の仮焼温度を変えて調製した仮焼粉
(一次粒子径=0.25μm)の場合、1100℃で仮
焼したものは導電率は高いが、最大結晶粒子径が60μ
mと大きく強度の低下が懸念される。しかしながら、1
150℃以上で仮焼を行うとその最大結晶粒子径及び導
電率は15〜20μm及び約0.20S・cm-1とほぼ
同じ特性を示し、従来法であるゼータ法と同等以上の特
性を示した。また、その最大結晶粒子径から判断して、
強度的にも従来法と比較し遜色ないものと考えられる。
(一次粒子径=0.25μm)の場合、1100℃で仮
焼したものは導電率は高いが、最大結晶粒子径が60μ
mと大きく強度の低下が懸念される。しかしながら、1
150℃以上で仮焼を行うとその最大結晶粒子径及び導
電率は15〜20μm及び約0.20S・cm-1とほぼ
同じ特性を示し、従来法であるゼータ法と同等以上の特
性を示した。また、その最大結晶粒子径から判断して、
強度的にも従来法と比較し遜色ないものと考えられる。
【0034】なお、この実施例は溶媒にn−ブタノー
ル、可溶性のリチウム出発原料にLi−ブトキシドを用
いているが、他の有機溶媒とそれに可溶な有機リチウム
の組合せが可能であることは勿論である。
ル、可溶性のリチウム出発原料にLi−ブトキシドを用
いているが、他の有機溶媒とそれに可溶な有機リチウム
の組合せが可能であることは勿論である。
【0035】すなわち、本発明による調製法によれば、
アルミナ原料の種類を変えても、従来法と比較してほぼ
同等以上の特性をもつβ″−アルミナを再現性よく作製
することができた。
アルミナ原料の種類を変えても、従来法と比較してほぼ
同等以上の特性をもつβ″−アルミナを再現性よく作製
することができた。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来法により調製したものよりも導電性が優れ、微細な
組織をもつベータアルミナを従来法よりも簡便な方法に
より調製することができる。また、アルミニウム原料の
種類によらず再現性のある特性をもつβ″−アルミナを
調製できるため、電池用電解質としての信頼性が向上す
る。
従来法により調製したものよりも導電性が優れ、微細な
組織をもつベータアルミナを従来法よりも簡便な方法に
より調製することができる。また、アルミニウム原料の
種類によらず再現性のある特性をもつβ″−アルミナを
調製できるため、電池用電解質としての信頼性が向上す
る。
【図1】本発明の実施例における仮焼粉に対するアルミ
ナ原料の一次粒子径とβ″化率の関係を示す図表。
ナ原料の一次粒子径とβ″化率の関係を示す図表。
【図2】本発明の実施例における仮焼粉に対する仮焼温
度とβ″化率の関係を示す図表。
度とβ″化率の関係を示す図表。
【図3】本発明の実施例における焼結体のアルミナ原料
の一次粒子径とβ″化率の関係を示す図表。
の一次粒子径とβ″化率の関係を示す図表。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水流 靖彦 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社基盤技術研究所内
Claims (1)
- 【請求項1】 非水溶媒に、アルミニウムの出発原料粉
末、ナトリウムの出発原料粉末と、一部あるいは全量を
上記非水溶媒に溶解する有機リチウム化合物としたリチ
ウムの出発原料とを混合してスラリを調製し、該スラリ
の乾燥粉を仮焼した後、粉砕・成型後、焼結することを
特徴とするベータアルミナの電解質の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4207610A JPH0656513A (ja) | 1992-08-04 | 1992-08-04 | ベータアルミナ電解質の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4207610A JPH0656513A (ja) | 1992-08-04 | 1992-08-04 | ベータアルミナ電解質の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0656513A true JPH0656513A (ja) | 1994-03-01 |
Family
ID=16542639
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4207610A Withdrawn JPH0656513A (ja) | 1992-08-04 | 1992-08-04 | ベータアルミナ電解質の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0656513A (ja) |
-
1992
- 1992-08-04 JP JP4207610A patent/JPH0656513A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19991005 |