JP2942937B2 - 塗布方法及び装置 - Google Patents

塗布方法及び装置

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JP2942937B2 JP28103992A JP28103992A JP2942937B2 JP 2942937 B2 JP2942937 B2 JP 2942937B2 JP 28103992 A JP28103992 A JP 28103992A JP 28103992 A JP28103992 A JP 28103992A JP 2942937 B2 JP2942937 B2 JP 2942937B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塗布方法及び装置に関
し、特に、移動中の支持体表面に向けて連続的に吐出し
た磁性塗布液を、支持体表面に均一な厚さをもって高速
薄層塗布するエクストルージョン型塗布ヘッドを用いた
塗布方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より所定の塗布液を可撓性の支持体
表面に塗布する方法が種々行われている。その中で、例
えば移動中の支持体表面に向けて連続的に押出した塗布
液を、支持体表面に均一な厚さをもって高速薄層塗布す
るエクストルージョン型塗布装置は、種々検討され、塗
布ヘッドの上流側エッジをプレコート層によって液封し
塗布層へのエア同伴を遮断する方法として、同一組成の
液をプレコートする方法(特開昭58−205561号
公報)、プレコートとしての溶剤を支持体上に塗布する
方法(特開昭61−139929号公報)等が開示され
ている。これらの塗布方法により、高速での薄層塗布を
実現することができる。しかしながらこの塗布装置はエ
クストルージョン型塗布装置において、下流側エッジと
支持体との間が加圧状態となり塗布層がスムージングさ
れるため、支持体の幅方向不均一がある場合には、塗布
膜厚みも幅方向に不均一なものとなる。さらに、支持体
上やプレコート塗布液あるいは塗布層塗布液中に異物が
混入していた場合、下流側エッジ上に異物がトラップさ
れやすく、それによりスジが発生しやすくなる。
【0003】なお、ここにいう塗布液としては、例えば
写真感光性塗布液、磁性塗布液、表面保護・帯電防止あ
るいは滑性用塗布液等であり、その代表的な製品として
は、各種写真フィルム、印画紙、磁気記録媒体等があ
る。本出願人は先にこれらを改善して、スジ故障や、支
持体の厚み,ヤング率等の不均一に起因する塗布膜厚み
の変動を回避出来、さらには塗布液のスロット通過時に
圧力損失を少くすることのできる塗布装置として、特開
昭63−20069号公報に記載の塗布装置を提案し
た。
【0004】特開昭63−20069号公報には、図1
に示すように支持体1の塗布面にあらかじめ塗布され
た有機溶剤7によって液封された状態で、支持体移動方
向に対して上流側に位置するフロントエッジ2と、支持
体移動方向に対して下流側に位置し、その先端が前記フ
ロントエッジ2よりも段差をつけて反支持体方向に後退
していて先端部が鋭角なバックエッジ3とを有するエク
ストルージョン型塗布ヘッドにより支持体に塗布層を形
成する塗布装置が開示されている。
【0005】前記支持体1の塗布面には、まず有機溶剤
が、グラビアコーター、ロールコーター、ブレードコー
ター、エクストルージョンコーターなどの一般的に用い
られている公知の塗布装置により塗布され、この層によ
り、フロントエッジ上流側からの同伴空気の塗布層への
浸入が防止され、欠陥のない塗布状態が維持され、高速
塗布特性が高められている。
【0006】前記フロントエッジ2は前記スリット5の
出口から前記支持体1の上流側に位置し、該支持体1に
対向するエッジ面全域が支持体側に膨らむように形成さ
れている。支持体側に膨らむ形態としては、一般的には
曲率を持った湾曲面が用いられるが、同伴空気の巻き込
みを防止できれば、その形状はこれには限らない。前記
バックエッジ3は、前記フロントエッジ2のスリット5
の出口部における接線よりも反支持体方向にその先端部
が後退して位置している。これによって前記バックエッ
ジ3と前記支持体1との間において塗布液8が押圧され
るような塗布時の加圧力が働かず、該塗布液8には自由
面が形成されるとともにバックエッジ先端部分での異物
のトラップ等を防止でき、該異物による塗布面の故障を
少なくできるようになった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の塗布方法並びに装置に関して更に研究をした結果、特
に、前記特開昭63−20069号公報に開示されるよ
うな非加圧型塗布ヘッドを使用して、高速で支持体に塗
布液を塗布する場合に、プレコート液の塗付けと塗布層
の塗付けのタイミングによっては、前記有機溶剤を主体
とする液体に隣接する塗布液との間に、塗布開始時など
における液挙動の乱れがながく続き、該塗布液の安定な
引き伸ばしができない。このことに起因して、塗膜形成
に必要な条件が大きく影響され、スジムラや段ムラが多
発するという問題や、またこのスジムラや段ムラが生じ
たままの支持体がロール上に巻かれると、該支持体にス
ジムラの写り等によるシワの発生により、例えばスリッ
ト工程等の後工程において各種装置を破壊しかねない重
大な故障を引き起こしたりして、安定して大量に塗布す
ることができないという問題が判明した。従来における
塗付けタイミングの調節等は、ほとんど作業者の経験的
なものに依存しているのが現状である。
【0008】更に、塗布液を加圧塗布するドクターエッ
ジを有する塗布液塗布ヘッドでは、該ドクターエッジで
塗布液のスムージングを行うため、ドクターエッジ近傍
での異物トラップによるスジの発生が起こりやすい。こ
の対策として本出願は特願平2−96285号の明細
書に示すような提案をした。この明細書に示した方法で
は、塗布開始時に、下流側のエッジ面とのラップを浅く
した状態で塗布を開始し、しかるのちにこのラップ角を
所定の位置に深くする方法である。
【0009】しかし、このような方法は、ドクターエッ
ジを有する塗布ヘッドにあっては支持体の削れや異物の
トラップを防止できる有効な方法であるが、本発明が対
象とする非加圧型の塗布ヘッドには適用できないことが
判明した。すなわち、バックエッジと支持体は接触せず
に該バックエッジと支持体間には間隔が形成されるた
め、ラップが浅く、この間隔が大きい状態においては、
塗布液が支持体と均一に接触しないばかりでなく、塗布
液がバックエッジの下流側エッジ面まで回り込むような
挙動が生じて該エッジ面を汚染してバックエッジの塗布
液のメニスカスを乱し、結果としてスジを発生させると
いう問題が生じる。
【0010】本発明の目的は、前記塗布方法及び装置に
改良を加え、特に塗布開始時や再開時等において塗布液
の挙動を安定させて、スジムラや段ムラのない均一な薄
層塗膜を高速で形成することができ、かつ常に安定した
塗布工程を可能とする塗布方法及び装置を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、支
持体移動方向に対して上流側に位置するフロントエッジ
と、該支持体移動方向に対して下流側に位置し、その先
端が前記フロントエッジよりも段差をつけて反支持体方
向に後退しているバックエッジとを有し、該バックエッ
ジに隣接するスリットから吐出する塗布液により最上層
を形成するエクストルージョン型塗布ヘッドにより、一
つ以上の塗布液を塗布する塗布方法において、塗布開始
時或いは塗布再開時に、前記支持体を走行させた状態に
て最初前記支持体にプレコート液を前記塗布ヘッドより
も上流側で塗布し、次いで前記支持体を前記フロントエ
ッジにラップさせると共に、前記支持体と前記バックエ
ッジの先端部との距離を150μm以下の状態にしたの
ち、前記スリットから前記塗布液を吐出し、その後、前
記距離を定常塗布の距離に戻して塗布することを特徴と
する塗布方法により達成される。
【0012】また、本発明の同様な目的は、支持体移動
方向に対して上流側に位置するフロントエッジと、該支
持体移動方向に対して下流側に位置し、その先端が前記
フロントエッジよりも段差をつけて反支持体方向に後退
しているバックエッジとを有し、該バックエッジに隣接
するスリットから吐出する塗布液により最上層を形成す
るエクストルージョン型塗布ヘッドを備えた塗布装置で
あって、少なくとも前記塗布ヘッドが前記支持体を前記
フロントエッジにラップさせたときに、前記支持体と前
記バックエッジの先端部との最短距離を150μm以下
の状態にできるように構成されており、前記支持体にプ
レコート液を前記塗布ヘッドよりも上流側で塗布する手
段を備え、更に前記塗布ヘッドと前記支持体とのラップ
角を変更すべく該塗布ヘッドと該支持体との相対位置を
設定するラップ角変更手段を備えたことを特徴とする塗
布装置により達成される。
【0013】
【実施態様】以下、本発明の塗布方法およびこの方法を
実施した塗布装置の一実施態様について、図1乃至図7
を参照して説明する。先ず、本実施態様における支持体
上へのプレコート液並びに磁性塗布液を塗布する方法
を、図5に基づいて説明する。
【0014】本態様において使用される塗布装置100
は、プレコート液塗布ヘッド9と塗布液塗布ヘッド10
がヘッドホルダ9a,10a、移動部材20、21及び
ヘッド支持台28、29により適宜保持されて、支持体
1に対して接近と後退ができるように構成されていると
共に、該両塗布ヘッド9、10の移動ならびに送液系2
2、25による送液をコントロールする制御部30を具
備した構成である。一方、前記プレコート液塗布ヘッド
9と前記塗布液塗布ヘッド10に対して3本のパスロー
ル40、41、42により前記支持体1が支持され走行
路が形成されている。なお、前記支持体1は、同図左側
から、前記プレコート液塗布ヘッド9並びに前記塗布液
塗布ヘッド10を通過して右側に移動する。
【0015】前記塗布ヘッド10には送液系22を介し
て磁性塗布液8(塗布液)が送られるが、この送液系2
2はポンプP1 及び該ポンプP1 の回りを還流するよう
に切換バルブ23等を有した還流系24を備えている。
また、前記塗布ヘッド9には送液系25を介してプレコ
ート液7が送られるが、この送液系25においてもポン
プP2 及び該ポンプP2 の回りを還流するように切換バ
ルブ26等を有した還流系27が形成されている。
【0016】前記送液系22、25のような構成である
と、前記塗布ヘッド9、10の直前の前記切換バルブ2
3、26の操作によって適宜還流系を利用することがで
き、例えば塗布開始前あるい塗布再開前において、前記
プレコート液7や前記塗布液8を予め前記各塗布ヘッド
に充満させた後に、前記切換バルブ23、26によって
前記各液を前記還流系に送り、塗布の開始あるいは再開
時に再び前記切換バルブ23、26をそれぞれのタイミ
ングに切り換えることにより、各液の塗着タイミングを
正確に操作することができる。
【0017】なお、本実施態様の装置においては、前記
塗布ヘッド10と前記支持体1とのラップ角の調整は、
前記塗布ヘッド10の移動だけでなく、前記パスロール
42に該ロールの移動手段45等を設けることにより、
前記支持体1の走行路を調整してラップ角を変更するこ
ともできる。図1には本実施態様の前記塗布ヘッド10
の横断面図ならびに塗布液8の塗布状態を示す。
【0018】前記塗布ヘッド10においては、フロント
エッジ2は、スリット5の出口部から支持体1の走行方
向上流側に位置し、かつ下流側に配設したバックエッジ
3の先端部4よりも前記支持体1寄りに、距離(d1
だけ突出している。前記支持体1に対向するフロントエ
ッジ面6全域が支持体側に膨らむように形成されている
が、支持体側に膨らむ形態としては、一般的には曲率
(R)をもった湾曲面が用いられるが、支持体に同伴さ
れる空気の巻き込みを防止できれば、これには限らな
い。
【0019】前記バックエッジ3は、前記フロントエッ
ジ2の前記スリット5の出口部における接線よりも反支
持体方向にその先端部4が位置するように配設される。
即ち、前記バックエッジ3は、前記フロントエッジ2の
頂部よりも前記距離(d1 )だけ低く、前記フロントエ
ッジ2との間で段差を形成するように前記支持体1に対
して後退するように構成されている。また、前記バック
エッジ3は、前記スリット5の出口部で最も支持体に近
接しているシャープエッジ状で、前記スリット5から吐
出される塗布液は、シャープエッジ先端部4で液切れよ
く離れ、これより下流ではスムージングされない。
【0020】すなわち、前記支持体1と前記塗布液8の
定常塗布状態での接触部における該塗布液8の液圧P
は、0<P≦0.25kgw/cm2 の範囲である。ま
た、少なくとも前記塗布ヘッド10が前記支持体1を前
記フロントエッジ2にラップさせたときに、前記支持体
1と前記バックエッジ3の先端部4との最短距離
(d2)を150μm以下の状態にできる。
【0021】なお、前記接触部における前記液圧Pの測
定は、前記塗布液8を前記スリット5から自由に吐出し
た時の送液系の特定箇所の液圧P0 と前記支持体1をラ
ップしたときの同じ箇所の液圧P1 との差により表すこ
とができるものである。前記スリット5は、ポケット部
(図示せず)から支持体への塗布点に向けてテーパを有
していても、平行であっても構わない。
【0022】本態様では前記スリット5は一つである
が、2層以上の塗布層を形成する際には、塗布層と同じ
数の複数のスリットと、一つ以上の中間ブロック(最後
方のバックエッジ以外のスリットを形成するブロック)
を有した塗布ヘッドを使用することができる。この場
合、前記中間ブロックは、前述のバックエッジ3の如
く、フロントエッジのスリット出口部における接線より
も反支持体方向にその先端部が位置するように配設され
る。
【0023】なお、前記送液系22については、前記塗
布液8の性質に応じた公知の技術を用いることができ
る。特に、磁性塗布液の場合には、一般的には凝集性を
持っており、したがって、凝集をしない程度の剪断を与
えることが好ましい。具体的には、特開平1−2369
68号、特開昭62−95174号公報などによること
ができる。又、特開平1−236968号公報に示され
ている給液系の場合には、例えばポンプから塗布ヘッド
の配管径はφ50mm以下、一般的に磁性液塗布ヘッド
のポケット径はφ2〜20mm、スリット長は5mm〜
150mmが適当であるがこれに限るものではない。
【0024】前記塗布ヘッド10は、前記パスロール4
1、42間に配設されるが、前記塗布ヘッド10の上流
側のパスロール40、42との間に配置した前記プレコ
ート液塗布ヘッド9を同じスパン内に一緒に配置しても
よい(図8参照)。前記塗布ヘッド10における支持体
のラップ角は一般に2°〜60°に設定することができ
る。また、塗布ヘッドにおいてラップを形成するための
スパンは、一般的には50〜3000mmであるが、こ
れに限定する必要はない。
【0025】上述のように構成された前記塗布装置10
0の動作について説明する。図5乃至図7を参照して説
明すると、塗布開始時或いは塗布再開時に、先ず、予め
前記プレコート液塗布ヘッド9には前記プレコート液7
を、前記塗布液塗布ヘッド10には塗布液8をそれぞれ
充満させておく。そして、前記支持体1を走行させてか
ら、前記プレコート液塗布ヘッド9を前記移動部材21
を駆動して前記支持体1側に移動させ、また前記プレコ
ート液7を該塗布ヘッド9から吐出し支持体上にプレコ
ート液7を塗布する(図6の状態)。なお、前記プレコ
ート液塗布ヘッド9の構造は、本態様においてはエクス
トルージョン型の塗布ヘッドを使用したが、特にエクス
トルージョン型に限るものではなく、公知の種々の塗布
ヘッドで構わない。
【0026】次いで、前記塗布液塗布ヘッド10を、前
記移動部材10を駆動して前記支持体1に下方から押し
当てるが、このときの前記塗布ヘッド10と前記支持体
1とのラップ角は後述する塗布工程の定常状態ラップ角
よりも深くする。この深いラップ角の状態において前記
塗布液8を吐出し、しかる後にラップ角を定常状態ラッ
プ角の浅い状態に戻して塗布工程を続行する。
【0027】本塗布装置100の全体的な動作は上述の
如くであるが、さらに前記塗布液塗布ヘッド10による
前記塗布液8の塗着に関して、微妙な動作および作用に
ついて図2乃至4図を参照して以下説明する。前記塗布
ヘッド10が前記支持体1の方向に移動することによ
り、該支持体1は該塗布ヘッド10のフロントエッジ2
に対して所定のラップが形成されると共に、前記バック
エッジ3に対するラップ(以下、下流側ラップという)
を、定常状態のラップ角以上に該支持体1を大きく折り
込む深いラップ角を形成している(図2の状態)。この
ときに前記支持体1と前記バックエッジ3の先端部4と
の距離d2 は150μm以下に設定されている。この状
態で、前記プレコート液塗布ヘッド9で塗布された前記
プレコート液7が、前記フロントエッジ2により一部掻
き落とされて、所定の厚さになるように調整されると共
に、前記フロントエッジ2と前記支持体1間を液封状態
にして、前記バックエッジ3側に送られる。ここで、前
記支持体1上に異物がある場合には、異物は前記フロン
トエッジ2の上流側で前記プレコート液7と共に除去さ
れるため、前記バックエッジ3側に異物が運ばれること
を防止できる。この状態の当初においては、前記塗布液
8は、スリット5内に留まった状態にある(図2参
照)。
【0028】前記プレコート液7が塗布された後、本実
施態様においては好ましくは5秒以内、更に好ましくは
2秒以内に、前記塗布液8を前記スリット5から吐出さ
せ、前記プレコート液7が塗布された前記支持体1と接
触させる(図3参照)。なお、ここに示した時間は、支
持体走行速度、前記プレコート液塗布ヘッド9と前記塗
布液塗布ヘッド10との距離等の設定により変化するも
のである。
【0029】前記塗布液8の吐出当初(図3に示した状
態)の時、前述のように前記支持体1と前記バックエッ
ジ3の先端部4との距離(d2 )が、150μm以下、
好ましくは100μm以下になるように下流側ラップを
形成していると、前記塗布液8は、塗着初期における液
挙動の乱れが少なくなり該塗布液8により形成された塗
布層の厚みムラや縦スジの発生を抑えることができる。
すなわち、非加圧型の前記塗布ヘッド10においては、
前記支持体1と前記塗布液8との定常状態での接触部の
液圧Pが0<P≦0.25kgw/cm2 程度のもので
あることから、該塗布液8が前記プレコート液7に接触
しはじめるとき(最初は衝突状態ということができ
る)、該塗布液8の衝突力の影響が液挙動を比較的長く
乱すことになるが、前記距離d2 を150μm以下にす
るべく前記下流側ラップ角を大きくした状態とすること
により、前記塗布液8の流動性を勘案して該塗布液8の
移動向きを大きくしかつ液出口を狭める状態を作り出す
ことができるので、前記スリット5の出口付近における
液圧Pを高い状態に維持し、この比較的高い液圧Pが前
記塗布液8の塗着当初の液挙動の乱れを効果的に抑える
ものと推定される。この結果、前記塗布液8は前記バッ
クエッジ3の傾斜面上を流れることもなく、吐出当初か
ら前記支持体1上に均一に塗布され、スジ等の発生が抑
制された安定した塗布状態が得られる。
【0030】上記のような前記塗布液8の塗り付けが開
始されたしかる後に、前記距離d2を定常状態のラップ
角における距離d1 に戻し、本来の塗布工程の状態の塗
布を継続する(図4の状態)。なお、前記先端部4と前
記支持体1との前記距離d1 が常時150μm以下の状
態で塗布する場合においては、当初からこの距離にして
塗布すれば該距離d1を変化させてもさせなくても塗布
スジを抑えることができると言う結果がえられた。これ
は、前記距離d1 を当初小さくして後に大きく(いずれ
も150μm以下)することが最も効果的ではあるもの
の、前記塗布液8の粘性や流動性を勘案すると、この1
50μmという距離が極めて重要な要素であると推定さ
れる。
【0031】本発明における前記塗布装置100は、上
記のように3本のパスロール40、41、42で走行路
を構成するものに限らず、図8乃至図13に示される構
造でもよい。図8乃至図13に示した装置においては、
図示以外の部分においては図5に準ずる構成であり、送
液系や制御系等の重複する構造に関しては説明を省略す
る。
【0032】図8〜図10に示される塗布装置101
は、塗布液塗布ヘッド10の上流側即ち図8左側のパス
ロール40と右側のパスロール42との間にプレコート
液塗布ヘッド9並びに塗布液塗布ヘッド10を配設した
ものである。尚、ヘッド支持台29aは前記両塗布ヘッ
ドをスライド可能に支持できる構造である。最初、前記
プレコート液塗ヘッド9を支持体1に下方より押し当て
てラップを完成させて、支持体1上に前記プレコート液
9を塗布し(図9を参照)、その後、適当なタイミング
をはかって前記塗布液塗布ヘッド10を前記支持体1に
下方より押し当てて当初のラップ角を設定する(図10
参照)。その後、必要に応じて前記塗布液塗布ヘッド1
0におけるラップ角を定常塗布のラップ角に設定する。
【0033】ここで、本装置101では、前記塗布液塗
布ヘッド10を上述の如く位置決めしたときに、前記プ
レコート液塗布ヘッド9におけるラップ条件に変化が生
じるが、この変化は塗布に影響を及ぼさない程度の変化
に止めるようにする。また、ここで云う変化を最小限に
するには、例えば前記パスロール42を移動手段45に
より上下する構造を併用することができる。
【0034】図11乃至図12に示される塗布装置10
2は、図8に示した塗布装置101と同様に、パスロー
ル40と42との間にプレコート液塗布ヘッド9並びに
塗布液塗布ヘッド10を並べて配置した構造であり、か
つ両塗布ヘッドを同時に支持するヘッド支持台11aに
一つの移動部材20を具備し、さらに前記パスロール4
2を支持体厚み方向に移動できる移動手段45が必須の
構造である。
【0035】したがって、前記プレコート液塗布ヘッド
9と前記塗布液塗布ヘッド10は単一動作で支持体1方
向に移動する。最初、前記プレコート液塗布ヘッド9を
前記支持体1に押し当ててラップを完成させ、プレコー
ト液7を塗布する(図12を参照)。次に、前記塗布液
塗布ヘッド10の下流側に配設された前記パスロール4
2を前記塗布液塗布ヘッド10方向に押し下げて初期の
ラップ角を設定し(図13を参照)、必要に応じて、そ
の後前記パスロール42を移動してラップ角を変更す
る。
【0036】前記各実施態様においては、塗布終了後
は、塗布開始時或いは塗布再開時とは逆に、塗布液塗布
ヘッドが先に支持体から離れるようにして、塗布ヘッド
が支持体から離れる前に塗布液の押し出しを停止させる
(例えば、特開昭62−95169号公報参照)。通常
は、その後でプレコート液塗布ヘッドも支持体から離れ
るようにするが、場合によってはプレコート液塗布ヘッ
ドを支持体から離れるようにせず、そのままの状態で塗
布液塗布ヘッドを再度支持体と接触させ、塗布工程を再
開してもよい。
【0037】また、塗布液押し出しのタイミングは、初
期のラップ角が形成された状態で、塗布液が支持体に塗
り付けられるまでの間に、該支持体の削れや異物をバッ
クエッジ先端部にトラップさせないように、及びスリッ
ト面上やバックエッジ面上に乾きを生じさせないよう
に、プレコート液塗布後早ければ早いほどよい。しか
し、実際上は、プレコート液塗布ヘッドと塗布液塗布ヘ
ッドとの相対位置関係、支持体の移動速度やラップの形
成のための塗布ヘッドの移動時間等の関係で、プレコー
ト液塗布直後に塗布液を塗布するのは困難であり、5秒
以下が好ましく、2秒以下であれば更に好ましい。この
ときの、前記各塗布ヘッドの移動速度は、0.1〜50
cm/秒で、塗布速度や塗布流量等の塗布条件によって
適宜選択される。
【0038】前記図5から図13に示した塗布装置の
他、本発明の方法を実施する種々の構造の塗布装置が考
えられるが、塗布開始時或いは塗布再開時に、最初プレ
コート液を支持体上に塗布し、次いで、プレコート液が
塗布された位置が塗布液塗布ヘッドよりも下流側まで進
んだ後に、本発明における上述の諸条件を満足するよう
に塗布液塗布ヘッドを支持体に接触させて塗布液を塗布
する構造であれば、特に限定されるものではない。
【0039】本発明における前記プレコート液7とは、
例えばトルエン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、シ
クロヘキサノン等の有機溶剤単独あるいはこれらの組み
合わせた有機溶剤に、バインダを溶解分散させた溶液
で、その粘度が20cp以下、さらに好ましくは5cp
以下の低粘度の液体である。また、前記有機溶剤にバイ
ンダを溶解分散させた溶液に、磁性体粉末を更に添加し
た、剪断速度700sec-1 における粘度が、50〜3
00cp程度の範囲の高粘度溶液であってもよい。
【0040】また、少なくとも1層以上の塗布層とは、
磁気記録媒体においては、磁性層のみの場合と、磁性層
が重層構造になっているものと、磁性層と非磁性層の組
み合わせで少なくとも磁性層を1層含む構造になってい
るものも含む。磁気記録媒体の磁性層には強磁性微粉末
が使用される。強磁性微粉末としては、γ−Fe
2 3 、Co含有のγ−Fe2 3 、Fe34 、Co
含有のFe3 4 、γ−FeOx、Co含有のγ−Fe
Ox(X=1.33〜1.50)、CrO2 、Co−N
i−P合金、Co−Ni−Fe−B合金、Fe−Ni−
Zn合金、Ni−Co合金、Co−Ni−Fe合金な
ど、公知の強磁性微粉末が使用でき、これら強磁性微粉
末の粒子サイズは約0.005〜1ミクロンの長さで、
軸長/軸幅の比は、1/1〜50/1程度である。又、
これらの強磁性体微粉末の比表面積は、1m2 /g〜7
0m2 /g程度である。
【0041】また強磁性微粉末として、板状六方晶のバ
リウムフェライトも使用できる。バリウムフェライトの
粒子サイズは約0.001〜1ミクロンの直径で、厚み
が直径の1/2〜1/20である。バリウムフェライト
の比重は4〜6g/ccで、比表面は1m2 /g〜70
2 /gである。また、前記磁性塗布液8には強磁性微
粉末と共にバインダーが使用される。使用されるバイン
ダーとしては従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、
反応型樹脂やこれらの混合物が挙げられる。
【0042】熱可塑性樹脂としては軟化温度が150℃
以下、平均分子量が10,000〜300,000、重
合度が約50〜2,000程度のもので、例えば塩化ビ
ニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル塩化ビニリデン共
重合体、塩化ビニルアクリロニトリル共重合体、アクリ
ル酸エステルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エ
ステル塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステルス
チレン共重合体、メタクリル酸エステルアクリロニトリ
ル共重合体、メタクリル酸エステル塩化ビニリデン共重
合体、メタクリル酸エステルスチレン共重合体、ウレタ
ンエラストマー、ナイロン−シリコン系樹脂、ニトロセ
ルロース−ポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビ
ニリデンアクリロニトリル共重合体、ブタジェンアクリ
ロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチ
ラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチ
レート、セルロースジアセテート、セルローストリアセ
テート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース
等)、スチレンブタジェン共重合体、ポリエステル樹
脂、クロロビニルエーテルアクリル酸エステル共重合
体、アミノ樹脂、各種の合成ゴム系の熱可塑性樹脂及び
これらの混合物等が使用される。
【0043】熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、
塗布液の状態では200,000以下の分子量のもので
あり、磁性層形成用組成物を塗布し、乾燥させた後、加
熱すると、これらの樹脂が縮合、付加等の反応を生じて
分子量が無限大のものとなり得る。また、これらの樹脂
の中で、樹脂が熱分解するまでの問に軟化または溶融し
ないものであることが望ましい。具体的には、例えばフ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、硬化型ポリウレタン樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコ
ン樹脂、反応型アクリル系樹脂、エポキシポリアミド樹
脂、ニトロセルローズメラミン樹脂、高分子量ポリエス
テル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタ
クリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの
混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネート
との混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリ
コール/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイ
ソシアネートの混合物、ポリアミド樹脂及びこれらの混
合物などがある。
【0044】バインダー中に分散する強磁性微粉末、溶
剤、又、添加剤としての分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電
防止剤及び非磁性支持体等は従来使用されていたものが
同様に使用される。分散剤としてはカプリル酸、カプリ
ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リ
ノレン酸、ステアロール酸等の炭素数12〜18個の脂
肪酸(R1 COOH、R1 は炭素数11〜17個のアル
キルまたはアルケニル基):前記の脂肪酸のアルカリ金
属(Li,Na,K等)またはアルカリ土類金属(M
g,Ca,Ba)から成る金属石鹸:前記の脂肪酸エス
テルの弗素を含有した化合物:前記の脂肪酸のアミド:
ポリアルキレンオキサイドアルキルリン酸エステル:レ
ジチン:トリアルキルポリオレフィンオキシ第四アンモ
ニウム塩(アルキルは炭素数1〜5個、オレフィンはエ
チレン、プロピレンなど):等が使用される。この他に
炭素数12以上の高級アルコール、およびこれらの他に
硫酸エステル等も使用可能である。
【0045】潤滑剤としては前述の分散剤もその効果が
認められるが、ジアルキルポリシロキサン(アルキルは
炭素数1〜5個)、ジアルコキシポリシロキサン(アル
コキシは炭素数1〜4個)、モノアルキルモノアルコキ
シポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個、アルコ
キシは炭素数1〜4個)、フェニルポリシロキサン、フ
ロロアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5
個)などのシリコンオイル、グラファイトなどの導電性
微粉末:二硫化モリブデン、二酸化タングステンなどの
無機微粉末:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチ
レン塩化ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン
などのプラスチック微粉末:α−オレフィン重合物:常
温で液状の不飽和脂肪族炭化水素(二重結合が末端の炭
素に結合したα−オレフィン、炭素数約20):炭素数
12〜20個の一塩基性脂肪酸と炭素数3〜12個の一
価のアルコールからなる脂肪酸エステル類、フルオロカ
ーボン類などが使用できる。
【0046】研磨剤としては溶融アルミナ、炭化ケイ
素、酸化クロム(Cr2 3 )、コランダム、人造コラ
ンダム、ダイアモンド、人造ダイアモンド、ザクロ石、
エメリー(主成分:コランダムと磁鉄鉱)等が使用され
る。帯電防止剤としてはカーボンブラック、カーボンブ
ラックグラフトポリマーなどの導電性微粉末:サポニン
などの天然界面活性剤:アルキレンオキサイド系、グリ
セリン系、グリシドール系などのノニオン界面活性剤:
高級アルキルアミン類、第4級アンモニウム塩類、ピリ
ジンその他の複素環類、ホスホニウム又はスルホニウム
類などのカチオン界面活性剤:カルボン酸基、スルホン
酸基、燐酸基、硫酸エステル基、燐酸エステル基等の酸
性基を含むアニオン界面活性剤:アミノ酸類、アミノス
ルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステ
ル類等の両性活性剤などが使用される。
【0047】塗布溶媒に使用する有機溶媒としては、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン系:酢酸メチル、酢酸
エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノ
エチルエーテル等のエステル系:ベンゼン、トルエン、
キシレン等のタール系(芳香族炭化水素):メチレンク
ロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホ
ルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の
塩素化炭化水素等がある。
【0048】溶剤の量は磁性微粉末の2〜3倍である。
バインダー100重量部に対して、分散剤は0.5〜2
0重量部、潤滑剤は0.2〜20重量部、研磨剤は0.
5〜20重量部、帯電防止剤として使用する導電性微粉
末は0.2〜20重量部、同じく帯電防止剤として使用
する界面活性剤は0.1〜10重量部である。磁性粉末
及び前述の結合剤、分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止
剤、溶剤等は混練されて前記塗布液8とされる。
【0049】これらの前記塗布液8による磁性層を設け
る支持体の素材としてはポリエチレンテレフタレートや
ポリエチレンナフタレートなどのごときポリエステル、
ポリプロピレンのごときポリオレフィン、三酢酸セルロ
ーズや二酢酸セルローズのごときセルローズ誘導体、ポ
リ塩化ビニルのごときビニル系樹脂、ポリカーボネー
ト、ポリアミド樹脂、ポリスルホンなどのプラスチック
のフィルム、アルミニュウム、銅などの金属材料、ガラ
スなどのセラミックスなどがある。これらの支持体は、
あらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、下塗処理、
熱処理、金属蒸着処理、アルカリ処理などの前処理が施
されていてもよい。支持体は、種々所望の形状のもので
よい。また、上記磁気記録媒体以外に関しても、公知の
層構造が可能である。
【0050】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の塗布方法及
び塗布装置は、非加圧型のエクストルージョン型塗布ヘ
ッドにより、塗布液を塗布する塗布方法で、塗布開始時
或いは塗布再開時に、支持体を走行させた状態にて最初
前記支持体にプレコート液を前記塗布ヘッドよりも上流
側で塗布し、次いで前記支持体を前記フロントエッジに
ラップさせると共に、前記支持体と前記バックエッジの
先端部との距離を150μm以下の状態にしたのち、前
記スリットから前記塗布液を吐出し、その後前記距離を
定常塗布の距離に戻して塗布するようにすると共に、こ
の方法を可能に構成されていることにより、前記塗布液
が前記プレコート液に接触しはじめるときに該塗布液の
流動性を勘案して良好な塗布液圧Pを生じさせることが
できるので、前記塗布液の塗着当初の液挙動の乱れを効
果的に抑えることができ、スジムラや段ムラのない表面
性の良好な薄層塗膜を高速で形成することができる。
【0051】
【実施例】本発明の効果を実施例によってさらに明確に
することができる。 (実施例−1)下記組成の各成分をボールミルに入れて
十分混合分散させた後、エポキシ樹脂(エポキシ当量5
00)を30重量部加えて均一に混合分散させて磁性塗
布液(磁性分散液)とした。このようにして得られた磁
性塗布液を図1に示す塗布ヘッド10を備えた図5の塗
布装置により塗布を実施した。なお、得られた磁性塗布
液の粘度を、ロトビスコ粘度計にて測定したところ、各
剪断速度において、チキソトロピックな粘度特性を示し
た。また、塗布の諸条件は下記1〜6に示す条件とし
た。
【0052】 ○ 塗布液組成 γ−Fe2 3 粉末 300重量部 (長径方向の平均粒径0.5μの針状粒子、 抗磁力320エルステッド) 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30重量部 (共重合比87:13、重合度400) 導電性カーボン 20重量部 ポリアミド樹脂(アミン価300) 15重量部 レシチン 6重量部 シリコンオイル(ジメチルポンリシロキサン) 3重量部 キシロール 300重量部 メチルイソブチルケトン 300重量部 n−ブタノール 100重量部 <塗布条件> 1. プレコート液は有機溶剤を主体にした低粘度溶液
として、メチルエチルケトンを使用した場合、又、磁性
体粉末としてγ−Fe2 3 粉末(長径方向の平均粒径
0.5μの針状粒子、抗磁力320エルステッド)を含
有した高粘度溶液としてのプレコート液を使用した場合
について、それぞれプレコート液を掻き落とす場合とス
ムージング(掻き落とさない場合)をした場合について
塗布を実施した。 2.非磁性支持体 材質 :ポリエチレンテレフタレートフィルム 厚さ :15ミクロン 幅 :500mm 張力 :10kg/全幅 塗布速度:600m/分 3.プレコート液の塗布装置及び塗布厚み エクストルージョン型塗布ヘッドで、厚み4.0μm
(wet状態)に塗布した。 4.磁性塗布液の塗布ヘッド 図1に示すエクストルーダー(クリアランスC:200
μm、段差t:50μm、フロントエッジの曲率R:
2.0mm、フロントエッジの幅W:0.6mm)を用
いて、厚み15.0μm(wet状態)に塗布した。
【0053】尚、プレコート液塗布ヘッドとの相対位置
は、図5の如く配置し,その距離L:300mmとし
た。 5.塗り付けタイミング プレコート液塗布後、1.0秒後に磁性塗布液塗布し
た場合。 プレコート液塗布後、5.0秒後に磁性塗布液塗布し
た場合。
【0054】磁性塗布液を塗布後で、1.0秒後にプ
レコート液塗布した場合。 プレコート液塗布と同時に、磁性塗布液塗布した場
合。 6.磁性塗布液吐出時のバックエッジ先端部と支持体と
の距離d2 (μm) d2 :0(注1)、10、30、50(注2)、10
0、150、200 注1:バックエッジ側で支持体をさらに折り曲げた状態 注2:フロントエッジ接線 なお、定常塗布における距離d1 は当初のラップによる
距離d2 と150μmよりも大きい場合も150μmよ
り小さい場合についても測定した。
【0055】上記条件により、プレコート液並びに磁性
塗布液を塗布し、支持体上に形成されたスジを観測し
た。この観測結果を表1に示す。また、表中のスジ本数
は平均値である。
【0056】
【表1】
【0057】表1から明らかなように、プレコート液を
塗布後に、塗布液塗布ヘッドを支持体に接触させて、磁
性塗布液を塗布すると、スジの発生が非常に少ない(タ
イミング及び)。一方、プレコート液が塗布されて
いないところに塗布液を先に塗布してしまうと、スジの
発生が多くなる(タイミング及び)。また、磁性塗
布液吐出時におけるバックエッジ先端部と支持体との距
離d2 に関しては、150μm以下であれば、スジの発
生を抑制でき、更には100μm以下であれば、より効
果がある。尚、支持体がバックエッジに接する状態での
塗り付けでは、塗り付け時の圧力が過剰となり、バック
エッジ側に液が吹き出すため、スジが多発し好ましくな
い。
【0058】(実施例−2)図1および図5に示す塗布
装置100を使用して前記プレコート液並びに前記塗布
液の塗布液圧Pを測定した。なお、塗布液圧Pの値は定
常塗布におけるラップ角度により調整した。なお、表中
の○印はスジの発生が殆どない場合、△印は数本以下の
スジ発生したが実用上許容できる程度、×印は実用上問
題がある程度(10本以上)のスジ発生、この評価に加
えて厚みムラについても測定してその総合評価として
○、△、×として評価した。塗布液8の塗布厚みは5〜
30cc/m2 とした。塗布速度は600m/分とし
た。他の条件は実施例1と同じとした。そして、目視に
よってスジの発生状況を評価した。この結果を表2に示
す。
【0059】
【表2】
【0060】表2から判るように、塗布液圧Pは0<P
≦0.25kgw/m2 以下にして塗布することにより
良好の塗布ができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様の塗布装置における塗布ヘ
ッドの要部および塗布状態を示す拡大断面図である。
【図2】図1に示した塗布ヘッドを用いた塗布方法にお
いて、塗布液を塗着する前の状態を示した要部断面図で
ある。
【図3】図1に示した塗布ヘッドを用いた塗布方法にお
いて、塗布液を塗着の当初の状態を示した要部断面図で
ある。
【図4】図1に示した塗布ヘッドを用いた塗布方法にお
ける塗布工程の定常塗布の状態を示した要部断面図であ
る。
【図5】本発明の塗布装置に一実施態様の全体構造を示
した概略図である。
【図6】図5に示した塗布装置の動作を説明するための
要部概略図である。
【図7】図5に示した塗布装置の動作を説明するための
要部概略図である。
【図8】本発明の他の塗布装置(第二の実施態様)の要
部を示すとともに、その動作を説明するための要部概略
図である。
【図9】本発明の他の塗布装置(第二の実施態様)の要
部を示すとともに、その動作を説明するための要部概略
図である。
【図10】本発明の他の塗布装置(第二の実施態様)の
要部を示すとともに、その動作を説明するための要部概
略図である。
【図11】本発明の他の塗布装置(第三の実施態様)の
要部を示すとともに、その動作を説明するための要部概
略図である。
【図12】本発明の他の塗布装置(第三の実施態様)の
要部を示すとともに、その動作を説明するための要部概
略図である。
【図13】本発明の他の塗布装置(第三の実施態様)の
要部を示すとともに、その動作を説明するための要部概
略図である。
【図14】非加圧型の塗布ヘッドを示す概略断面図であ
る。
【符号の説明】
1 支持体 2 フロントエッジ 3 バックエッジ 4 バックエッジの先端部 5 スリット 6 フロントエッジ面 7 プレコート液 8 塗布液 9 プレコート液塗布ヘッド 10 塗布液塗布ヘッド 20、21 塗布ヘッドの移動部材 22 塗布液の送液系 23、26 切換バルブ 24 塗布液の循環系25 プレコート液の送液系27 プレコート液の循環系 28、29 ヘッド支持台 30 制御部 40、41、42 パスロール 100,101,102 塗布装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 都丸 美喜男 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富士写真フイルム株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−153(JP,A) 特開 平3−163(JP,A) 特開 平5−81667(JP,A) 特開 平2−265672(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B05C 5/00,5/02 B05D 1/26 B05D 1/36 G03C 1/74 G03F 7/16 501 G11B 5/842

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体移動方向に対して上流側に位置す
    るフロントエッジと、該支持体移動方向に対して下流側
    に位置し、その先端が前記フロントエッジよりも段差を
    つけて反支持体方向に後退しているバックエッジとを有
    し、該バックエッジに隣接するスリットから吐出する塗
    布液により最上層を形成するエクストルージョン型塗布
    ヘッドにより、一つ以上の塗布液を塗布する塗布方法に
    おいて、塗布開始時或いは塗布再開時に、前記支持体を
    走行させた状態にて最初前記支持体にプレコート液を前
    記塗布ヘッドよりも上流側で塗布し、次いで前記支持体
    を前記フロントエッジにラップさせると共に、前記支持
    体と前記バックエッジの先端部との距離を150μm以
    下の状態にしたのち、前記スリットから前記塗布液を吐
    出し、その後前記距離を定常塗布の距離に戻して塗布す
    ることを特徴とする塗布方法。
  2. 【請求項2】 前記プレコート液が、有機溶剤あるいは
    有機溶剤を主体としてバインダを溶解分散させた液であ
    り、前記フロントエッジとの接触により掻き落とされる
    ことを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
  3. 【請求項3】 前記プレコート液が、有機溶剤あるいは
    有機溶剤を主体としてバインダを溶解分散させた液であ
    り、前記フロントエッジとの接触によりスムージングさ
    れることを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
  4. 【請求項4】 前記プレコート液が、磁性体粉末とバイ
    ンダを有機溶剤に溶解分散させた液であり、前記フロン
    トエッジとの接触により掻き落とされることを特徴とす
    る請求項1に記載の塗布方法。
  5. 【請求項5】 前記プレコート液が、磁性体粉末とバイ
    ンダを有機溶剤に溶解分散させた液であり、前記フロン
    トエッジとの接触によりスムージングされることを特徴
    とする請求項1に記載の塗布方法。
  6. 【請求項6】 前記支持体と前記塗布液の定常塗布状態
    での接触部における該塗布液の液圧Pが、0<P≦0.
    25kgw/cm2 の範囲であることを特徴とする請求
    項1に記載の塗布方法。
  7. 【請求項7】 支持体移動方向に対して上流側に位置す
    るフロントエッジと、該支持体移動方向に対して下流側
    に位置し、その先端が前記フロントエッジよりも段差を
    つけて反支持体方向に後退しているバックエッジとを有
    し、該バックエッジに隣接するスリットから吐出する塗
    布液により最上層を形成するエクストルージョン型塗布
    ヘッドを備えた塗布装置であって、少なくとも前記塗布
    ヘッドが前記支持体を前記フロントエッジにラップさせ
    たときに、前記支持体と前記バックエッジの先端部との
    最短距離を150μm以下の状態にできるように構成さ
    れており、前記支持体にプレコート液を前記塗布ヘッド
    よりも上流側で塗布する手段を備え、更に前記前記塗布
    ヘッドと前記支持体とのラップ角を変更すべく該塗布ヘ
    ッドと該支持体との相対位置を設定するラップ角変更手
    段を備えたことを特徴とする塗布装置。
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